Coolier - 新生・東方創想話

もしかしたらそんな願望でなったのかもしれないし

2007/07/30 09:57:19
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「ん・・・ふぁ―――んっ」
目を覚ますとそこは別世界。
・・・なんて事はなくて、いつもの私の部屋だった。
別に何か変わったことがある訳じゃない。つまらない。
とりあえず、する事もないし二度寝しようかと思う。
日差しも差し込んで、
きっとこんな日に散歩すると気持ち良いんだと思うんだけど、正直眠い。
寝起きで二度寝の誘惑にかられるのはきっと自然な事だ、うん。
でも仕事も(今日こそはきっと)あると思うし・・・
眠い頭で色々と考えてしまう。
「・・・よし、寝よう」
「寝るなっ」
「うおぁぁぁぁっ!?
あ、アリス・・・何やってるんだこんな所でっ!?」
突然アリスが現れた。
ドアも何も開いてないのにいきなり目の前に居たんだから、
これには驚かされる。
「全く、もう朝だっていうのにいつまで寝てるのよ」
「いや、それはまぁそうなんだが、
まずそれよりいきなり現れるのはやめようぜ?」
かなり心臓に悪いぞ。
「ふん、いいのよそんな事」
いや良くないだろ。
「よく言うじゃない」
「ん?」
「『お前は俺の物』って」
「略すなっ」
シュールだ・・・
なんで朝からこんなシュールな掛け合いしてるんだ私は・・・
まだ夢なのか・・・?
「人類は十進法を採用したんだぜ?」
「え・・・?」
「じゃ、そういう事で」
夢なら寝直せばきっと目が覚めた時に現実に戻るよな?よな?
「ええ、どうぞごゆっくり」
にまにまと笑いながらアリスが私の布団に入ってく―――
「くるなっ」
「ふんだ、構ってくれないなら私も一緒に寝てやるわよ。
夢の中にまで現れて徹底的にストーキンッする魔法を今編み出したわ」
七色の人形使いすげぇ。
ていうか怖すぎだろそれは。
「何よー、折角幼馴染(女の子)が起こしにきた、
みたいなシチュエーションで起こしてあげようと思ったのに」
シチュエーション言うな。
「私も女だけどな。
ていうかアリス、ほんとに何の用なんだ?
私はとても二度寝したい気分なんだが」
「え?暇だから起こしにきただけよ?用事なんてないわ」
「・・・・・・」
好感度より殺意がUPしそうだぞ?
「帰れっ」
「えー」
「えー、じゃないだろ。
大体どうやって侵入したんだよ」
少なくともちゃんとドアはロックしたはずたぞ。
「窓が開いてたわ」
「しまったぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
ドジかっ!?私にはドジっ子属性が付与されるのか!?
「ふー、全く。この家は客にお茶も出さないのかしら」
近くの椅子に座り、りらっくすたーいむなアリス。
「くつろぐなっ」
「ああもう、朝からテンション高いわねぇ。
そんなだからいつまで経っても友達以上恋人未満なのよ」
「誰とだよ!?」
「こほんっ・・・まぁ、ともかく、起きなさいな。
折角作った朝ご飯が冷めるわ」
「作ったのか」
ていうか作れたのか。
「ふふん、それは見てのお楽しみよ」
おお、アリスが自信満々に胸を張っている・・・無いのに。
「まぁ・・・そこまでいうなら食べてやるか」
「な、何よその態度。まるでツンデレみたいな」
デレる事はないぞ?多分。
ともかく、起きる。
「・・・・・・で」
「・・・?」
「着替えたいんだが?」
「着替えれば良いわ」
「服を脱ぐんだが?」
「まぁそうよね」
「・・・出て行ってくれないか?」
「なんで?」
「いや、着替え見られるの恥ずかしいし」
同性だからそんな問題になるって事はないとは思うけど・・・
でもちょっと・・・なぁ?
「バッチシ撮る予定ですが?」
「撮るなっ!!」
「シャンハーイ」
キラーン
アリスの肩に乗っかっていた人形の目が妖しく光った・・・気がする。
「例えこの私が撮らなかったとしても、
必ずや第二・第三の視客が貴方を・・・」
なんて恐ろしい世界に産まれたんだ私は?
「と、とりあえず部屋から出てくれ」
「仕方ないわね、そこまで言うなら・・・」
しぶしぶ部屋から出るアリス。
「ふぅ・・・やっと出て行ったか」
が、なんとなく出て行ったドアの隙間が気になる。
「・・・・・・」
バンッ
ガチャ
戸締り鍵閉めオッケー。
「・・・よし」
カーテンは元々閉まってるし・・・大丈夫だよな?

「よー、待たせたな」
着替え終わり部屋を出ると、アリスが不機嫌そうに待っていた。
「待たせすぎよ・・・着替えに一時間も掛かるとか」
「帽子を選んでたら時間が掛かったんだ」
「いつもと変わらないじゃない!!」
ひどいぜ・・・こんなに凝ったフォルムなのに。まぁ同じなんだが。
「ていうか家の中で帽子ってどうなのよ・・・」
「それは・・・私にだけ言うことなのか?」
かなり今更な気がするぞ?
「まぁ・・・それはそうと、台所行きましょ」
「ああ、そういえばそうだったな。
ご飯食べないと。おなかぺこぺこだぜ」
危なく何の為に起きたのか解らなくなるところだった。

「あら、おはよう。二人とも遅いからお味噌汁冷めてしまったわ。
今温め直すから待ってて」
メイド長よ、何故ここに居る?
「・・・作ったのって、アリスじゃなかったのか?」
「愚問ね、私が和食なんて作れるわけないじゃない」
だから無い胸を張るなと。
「いや、もう何から突っ込めば良いかわからないんだが・・・」
「なんであんたがここにいるのよっ!?」
ていうかお前が知らなかったのかアリス!?
「あら?洋食派だったの?ごめんなさい」
この疑問にその返答は違う気がするぞ?
「いや、まぁ、いいんだけどさ・・・」
「お嬢様が和食派だから・・・つい和食に」
昨今の吸血鬼は味噌汁と漬物で一日を迎えるのか。
「まぁ・・・真っ赤なお味噌汁なんだけど」
それ・・・赤味噌だよな?
「因みに具は大根だけだわ」
「へぇ・・・意外と質素なんだな」
「油揚げは狐に持っていかれてしまったのよ」
何やってるんだ式神。
「捕まえたから今夜のメニューは決まりね」
しかも捕まったのかよ。
「それはそうとなんでここに居るんだ・・・?」
一応気になったので聞いておく。
「どうしても・・・答えなくてはいけませんか?」
急にどんよりどんよりと背景が暗くなったぞおい。
そして何故敬語。
「いやまあ・・・人の家に勝手に上がり込んでおいて、
何も理由ありませんじゃ困るぜ?」
隣に座る奴に対する嫌味もかねて言う。
「じ、実は・・・」
言いかけて涙目になる。いや、もしかしなくても・・・地雷踏んだか?
聞いたのを少し後悔しながら、迷いながらもそのまま話を聞く。
「お嬢様が私の胸を・・・胸をパッドだとっ」
後悔して損した。
「何よそれ、何も違わないじゃな―――」
タブーを言いかけてた七色の人形使いは、
「おいそれはっ・・・あれ・・・?」
止めようと振り向いた時には居なくなっていた。
「・・・ひどいですわよね?私パッドなんかじゃないですのに」
うるうると涙ぐんで同意を求める咲夜。
「あ・・・あはは・・・そ、そうだな、ひどいよな・・・」
お前がなっ!!
なんて言えない私は普通の魔法使い。
「そんな訳で家出してきたのよ」
どちらかというと職務放棄じゃないかそれ?
「まぁ、路頭に迷うのも私には似合わないから、
しばらくはここのメイドになるわ」
「せめて家主に良いか悪いか聞いてから言おうぜ?」
「あら、そんな必要ないでしょう?
だってメイドよ?メイドさんよ?」
私にそんな趣味はないぞ?
「香霖堂行けよ・・・」
きっとあいつならわかってくれるはずだ。
「行ったけど・・・
あの店主、こんぴゅーたーとかいう式神相手にぶつぶつ呟いてて不気味だったから逃げたわよ」
それは逃げるぜ・・・
「まぁ、そんな訳だからよろしく」
「はぁ・・・好きにしてくれ」
なんかもう色々と疲れた。

「それじゃ、私出掛けるから―――」
食事も終え、日課の魔法の材料集めの為に森へと出発する。
・・・いや、したいんだけど、
「あらそうなの?いってらっしゃいませ」
正直、家を他人に任せるのは嫌だった。
なんとか出て行ってくれないかなぁ。
「いや、家空けるからさ・・・」
「ええ、いってらっしゃいませ☆」
「だから・・・鍵とかかけるし・・・」
「はい、いってらっしゃいませませ☆」
遠まわしに言っても無駄だと学習した。
「だからっ、お前も出てくれとっ」
「そんなっ、
『後の事は咲夜に任せた、お前なら万事問題ないから安心だ』
だなんてっ、照れてしまうわっ」
「言ってないっ、任せてないっ、安心してないっ!!」
「冗談よ。やぁねぇ。
でも今はここのメイドなんだから、留守位は任せなさいな」
「・・・弄られたくない物とかあるんだよ」
「触らないわよ」
「近づかれるだけで困った事になる物とか」
「近寄らないわ」
「見られるだけで大変な事になる地下室とか―――」
「いいから早く行きなさいっ」

「―――あれ?」
そんな咲夜の声を聞いた・・・と思ったんだが、気が付くと全く別の場所に居た。
というか、森の中・・・
「・・・あいつ、また」
きっとアリスのときと同じように時間を止めてその間に吹き飛ばしたんだろう。
そんなに体格違わないのに、すごい力だぜ。全く。
「はぁ、早く戻らないと、アレを見られたら生きていけないぜ・・・」

「さてと・・・お掃除お掃除。
さっきの話だと色々見られては困るものがあるみたいだし・・・
ふふっ、楽しみだわ」
十六夜 咲夜。ETUKOもびっくりのハウスキーパーである。
「どこから掃除しようかしら」
そういえばさっき、見られただけで大変な事になるとかどうとか言っていた気がしたし。
「まずは地下室よね」
霧雨 魔理沙という少女一人で住むにはやや広すぎる家。
特に気になるのがこの地下室の存在。
まぁ魔法使いの家だし、色々と怪しげな物があるかもしれない。
だけれど、長年メイドとして悪魔の棲家で働いていた私はそんな物には恐れをなさない。
「さぁっ、一体何があるのか見せてもらおうじゃないのっ」
バーン
と、とてもとてもお行儀良くドアを蹴破った。
そこで私の見た物は・・・!?

「・・・・・・え?」
唖然としていた。
何が変か?何もかもが変だった。
いや、もしかしたらそう思う私自身が変なだけかもしれない。
が、認められない。
人が知れば誰でも口をそろえてそういうに違いない。
「それはないわ」
と。

「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「あっ・・・」
秘密を知られたくなくて必死に戻ってきたまでは良かった。
掃除をしてるらしくて色々と綺麗になってたのも良かった。
だけど・・・
見られたくないと思っていた地下室の灯りが灯っていたのを見て、
ドアが開けられているのを見て、
そして、そこにいる咲夜の姿を見て、まともな声が上げられなかった。
「い、いやー・・・べ、別に私何も見てない・・・わよ?」
わざとらしさ満点だった。
「嘘つけっ、今見ただろっ!?見てたよなっ?
手にとってどうしようこれっていう顔してたぞ!?」
「ほ、ほら、人には人なりの事情というか・・・ねぇ?
まぁ、その、私にはどうにも言えることじゃないし・・・」
「なっ、何が!?そんなに私の趣味はおかしいって言うのか!?」
「えっ?これ趣味でやってたの・・・?」
またか!?また墓穴ほったのか!?
「そ、そうなの・・・魔理沙も大変ね・・・」
うなだれていると、ぽん、と肩に何かが当たる。
咲夜の手だった。
「う・・・うぅ・・・笑うなら笑えよ」
余計惨めになる。
知り合いに秘密を知られた上に同情までされるなんて。
「そんな事しないわ。
強く・・・生きてね。それじゃ、私帰るからっ」
意外にもそう答えると、咲夜はそのまま部屋から出て行った。


「・・・ふぅ、それにしてもびっくりだわ。
まさか魔理沙が魔法少女モノに興味あるなんて・・・」
ミニスカートにレイジン○ハートとか、もう見てられない。
「ああ・・・でも、だからお嬢様方とも気が合ったのかしら」
何にしても、あまり人に言えるようなことじゃないのは確か。
「・・・流石に言いふらすのは忍びないわね」
まぁ、元々そんなつもりで見たわけじゃないし、
そこまで嫌な子な性格はしてないと自分では思う。
それにしても困った。帰る家がない。
まさか『家出先からも追い出されましたー』なんて言えないし。
でもまだ一日目だし、素直に戻れば許してもらえるかしら。
「むむむ・・・困ったわね」
ぽそぽそと小さく呟きながら、お屋敷へと歩いた。

「スクープげっとぉ」
咲夜の通った直後、同じ道の少し上で、
そんな烏天狗の声が一つ。


後日、幻想郷各地に
『普通の魔法使いが普通の(変身)魔法少女になった』
という記事がバラ撒かれたが、
あまりに荒唐無稽過ぎる為、スルーされたらしい。




「ここ・・・どこ?」
※アリスさんは竹林で迷子中。
(完)
空を飛べば良いのに。
迷子ネタを書くといつもその辺りどうしようか迷う小悪亭・斎田です。
初めましての方初めまして。
ここまで読んでいただけてありがとうございます。

前作と同じ感じに今度は恋愛シミュレーションっぽくしたらどうなるかな、
と思い、書いてたんですが、気が付くと普通の不条理なギャグになってしまいました。
最初は選択肢らしいものもあったのですが、
書き上げてみると不要に感じたので普通の会話文に。
選択肢をネタにしてのギャグっていうのはあんまりない気がするので、
その辺上手く書けたらと思います。
とりあえず今日はこの辺りで、ではでは。
小悪亭・斎田
http://www.geocities.jp/b3hwexeq/mein0.html
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コメント



0.230簡易評価
6.50猫翔削除
竹林で迷子が普通すぎてオチがやや弱いかも?
そして魔理沙が魔法少女趣味でも違和感ない私がいる。

藍様の辺りはとても面白かったです。
9.無評価小悪亭・斎田削除
むぅ、どうかと思ったけれどやっぱりオチが甘かったみたいですね。
魔理沙の趣味のくだりももうちょっとひねった方がよかったか・・・

ともあれ、ご感想ありがとうございます。
ありがたく以後の参考にさせていただきます。
それでは。