Coolier - 新生・東方創想話

小さく可憐な代弁者

2007/07/13 06:32:31
最終更新
サイズ
15.23KB
ページ数
1
閲覧数
947
評価数
4/24
POINT
1120
Rate
9.16
創想話その42『七色の一目惚れ』の設定を使用しておりますので、先にそちらを読まれると良いかもしれません。
できるだけ単品で楽しめるように配慮はしたつもりですが、ご理解をお願いいたします。
本編は↓へスクロールすればあります。























「んっふっふ~。今日は大量だぜ。」
白黒の服を着た少女――霧雨魔理沙は、意気揚々と魔法の森を歩いていた。
手にはかごを持ち、その中は大小色とりどりのキノコが入っていた。
ものすごく毒々しいキノコばかりなのは気のせいだろう。
「いやー、まさに梅雨はキノコにとっては恵みの季節だぜ。
 これだけあれば、新しい魔法薬が作れるかもしれないなー。
 その前に図書館から魔術書を頂いてこないといけないな。」
堂々と犯罪行為を言うあたりが彼女らしいといえば彼女らしいのだろうか。
しばらく歩くと、目の前に霧雨堂が見えてきた。
魔理沙の家である。
彼女は手をドアノブにかけたところで動きを止めた。
「……何かおかしいぜ。」
トラップとして仕掛けておいた魔法陣などがすべて解除されている。
おまけに鍵まで開けられている。
「アリスか? いや、あいつに最近紅魔館に入り浸ってるし、そんな度胸があるわけもないし。
 パチュリーは……、最近の梅雨の影響で喘息が酷いはずだしな。
 だとすると……。」
魔理沙の脳裏に胡散臭い笑顔が浮かぶ。
頭を振ってその考えを振り払うと、魔理沙はゆっくりとドアを開け、中へと入る。
荒れ果てていた部屋という部屋が掃除されている。
本はある程度本棚に納められているようだ。
入りきらなかった本も、綺麗に整頓されて積まれている。
「……ますますもってアリスが怪しいぜ。」
魔理沙はそう呟くと、実験室にキノコを置き、懐にあるスペルカードを確かめる。
「恋符、魔符、星符……。よし、全部あるな。」
スペルカードの枚数を確認した魔理沙は怪しい音がしないか聞き耳を立てる。
すると、カチャカチャと台所から音がしているのが分かった。
魔理沙はゆっくりと台所へと向かう。
不審人物は、台所で鼻歌を歌いながら何かをしているようだ。
魔理沙は意を決して、身を乗り出す。
「人の家に勝手に入って掃除するとはいい度胸だ……ぜ!?」
目の前にある光景を見て、魔理沙は止まれずに壁に頭をぶつけた。
「~~~~~~~~っ!?」
痛打したらしく、屈み込んで悶絶する。
不審人物は魔理沙の方を向くと、くすくすと笑った。
「お帰り。」
そこには、洗い物をしている緑のショートヘアの少女―――風見幽香がいた。


「何でお前がいるんだよ。」
魔理沙は痛打した部分を氷嚢で冷やしている。
「気まぐれよ。」
幽香は優雅に紅茶を入れて飲んでいる。
足の踏み場も無かったはずの居間が、すっきりとしている。
「気まぐれで掃除までするのか?
 幻想郷最強を自負する妖怪のやる事とは思えないぜ。」
魔理沙は意地悪く言う。
「気まぐれだからね。私が何をしようと自由でしょ。
 というかもう少し掃除とかしたら?
 まがりなりにも女の子でしょ、貴女。」
「あれはあれで整頓されてるんだぜ。
 しかし、言う事がアリスに似てて耳が痛いぜ……。」
魔理沙は耳を塞ぐふりをする。
「注意されてるのに改善しないあなたが悪いんでしょう。
 頭の中に向日葵でも咲いてそうね。
 ちょっと咲かせてみようかしら。」
「勘弁してほしいぜ。幻想郷全体の損失になるぜ?」
「たかだか人間一人でしょ。
 損失とかじゃなくて自然の摂理じゃない。」
お互いに顔は笑っているが、雰囲気が笑っていない。
だが、お互いに緊張の糸が切れたのかひとしきり笑いあった。
「まぁ、それは置いといて。
 実際何のようだ?」
魔理沙は氷嚢を流しにおいてから訪ねた。
幽香の顔が少し強張る。
「部屋という部屋を整理して掃除したぐらいだし、何か相談事でもあるんだろ?」
「それは……。」
魔理沙は幽香が人付き合いが上手ではない事を知っている。
幽香は自分が言いたい事と真逆に近い事を言ってしまうのだ。
それ故に勘違いされる事が多い事も、知っていた。
「……仲良くなりたい人がいるのよ。」
幽香は重い口を開いた。
「ほぉ。それは初耳だ。」
魔理沙は真剣に聴く。
魔理沙はこういう相談をされるときは、必ず真面目に相談に乗ってくれるのだ。
態度がそれに沿っているかはわからないが。
「で、誰なんだ? 何なら宴会で気を利かせてやってもいいぜ。」
「……よ。」
幽香はすっかり縮こまって、小さくぼそぼそと言う。
「聞こえないぜー? もっと大きな声で言ってくれ。」
「ま……よ。」
幽香の顔がどんどん赤くなっていく。
「いやほんと小さくて聞こえないぜ。もっと大きな声で――――。」
「あんたよこの馬鹿!」
すっかり顔が真っ赤になった幽香によって、魔理沙は日傘で額を突かれた。
「いっ! あだっ!?」
衝撃で転倒し、魔理沙は本日二度目の悶絶を体験する事になった。


「あー。天井がまわって見えるぜ。」
「悪かったわね……。」
氷嚢で後頭部と額を冷やす。
幽香は冷めた紅茶を一口飲んで喉を潤した。
「しかし、なんだ。」
魔理沙は天井を見ながら口を開く。
「仲良くなりたいってのは、私なのか?」
「そうよ。」
幽香はそっぽを向きながら答える。
「何でまた私なんだ? 霊夢なりいるんじゃないのか。」
「……いないわよ。」
幽香は俯く。
「悪かった。」
魔理沙はばつが悪そうにする。
「だけど私は別に拒んだりはしないぜ?
 仲良くなりたいって言うなら、私はぜんぜん構わない。
 むしろ歓迎するぜ。」
魔理沙は幽香を見据えて言った。
「拒むとかじゃないのよ。」
幽香は軽く首を振る。
「じゃあ、何なんだ?」
「何でしょうね。
 ああ、もう今日は帰るわ。
 もう夕方だし。」
「そうか。」
幽香は立ち上がると、魔理沙の横に立った。
「ありがとう。」
意地の悪い笑顔を浮かべながら、軽く頬にキスを落とす。
魔理沙が固まっているうちに、幽香は霧雨堂を後にした。


外はとても綺麗な赤色の夕焼けだった。
「まったく、素直じゃない奴だぜ。」
頬を撫でながら、魔理沙は呟く。
「しかし、何であんな悲しい顔しながらキスなんてするんだあいつは。
 本当によく分からない奴だぜ。」
魔理沙は幽香の残した紅茶を飲み干して、台所へとカップを置きに行った。
台所もきちんと掃除されていたが、一つだけ魔理沙の見慣れないものがあった。
「花? 幽香のやつが飾っていったのか。」
それは、スイートピーとスイセンの花が飾られた花瓶だった。


「お帰りなさいませ。幽香様。」
「ただいま。」
門番をしているエリーは、幽香の顔が少し悲しみにくれている事に気づいた。
「幽香様、なにかありましたか?」
「何もないわ。 
 エリー、悪いけどしばらく誰も通さないでくれないかしら。」
「え、でも。」
幽香はエリーを締め上げ、顔を見ないままに呟いた。
「誰も通すな。いいな?」
そういうと、幽香はエリーをおろして館へと消えた。
「げほ……。か、かしこまりました。」
エリーはむせながら、幽香の背中を見送った。


「うーん。分からないぜ。」
魔理沙は次の日も悩んでいた。
「アリスにでも聞いてみるか……。」
魔理沙は箒を取ると、アリスの家へと向かった。

「おーい、アリスー!」
あたりはすっかり暗くなっている。
しばらくして、アリスの家の扉が開いた。
上海人形と蓬莱人形が開けてくれたのだ。
「ありがとな。」
魔理沙は二人(?)の頭を撫でてやった。
うれしいのか、撫でられた後魔理沙の周囲をくるくる回る。
「あら、魔理沙じゃない。
 どうしたの? 私の家に来るなんて珍しいじゃない。」
アリスが居間から顔を出す。
「え、魔理沙!?」
アリスの家では聴きなれない声がした。
声に続いて、居間から顔を出したのはフランドールだった。
「おぉ、フランじゃないか。外出許可出たのか?」
フランは笑顔で頷いた。
「うん。お姉さまに許可もらって、今日はアリスの家にお泊り!」
「レミリアからは一応、お目付け役として認められてるからね。」
アリスがやわらかい笑顔で答える。
お目付け役以上である事は魔理沙にも容易に想像はついた。
「で、どうしたのよ。こんな時間に訪ねてくるなんて。」
アリスが魔理沙を見据える。
「ん。少し相談に乗ってもらいたくてな。
 こんな時間に神社に行くと、霊夢に針投げられそうだし。」
「だからって私の家なのね……。まぁいいんだけど。
 フランも喜ぶし。」
言うが早いか、フランは魔理沙に抱きついていた。
「ね。」
アリスは意地悪く笑いながら、やれやれといったポーズをとる。
魔理沙も苦笑を浮かべながら、フランと手を繋いで居間へと向かった。


「はい。」
テーブルには紅茶とクッキーが並べられた。
フランは早速クッキーをほおばってご満悦のようだ。
「で、どうしたの?」
「いや、実はな……。」
魔理沙は今日家であった事を包み隠さず話した。
多少、はぐらかした部分もあるが。
「ふぅん。風見幽香って言えば、紫や霊夢とそんなに変わらないぐらいの力がある妖怪じゃない。
 大変なやつの目に留まったものね。」
アリスは紅茶を口に含む。
「いや、それは別にかまわないんだが。
 帰り際に悲しい顔色でキスされたんだよな。」
盛大にアリスは紅茶を噴き出した。
「アリス汚いよ……。」
フランが苦笑しながらハンカチでアリスの口元を拭う。
「まったくだぜ……。」
ニヤニヤと魔理沙も笑う。
「げほっ……。ありがと、フラン。
 キ、キスって……。
 なんとなくは分かったけど、あんた自身どう思ってるのよ。」
フランを撫でながらアリスが問いかける。
テーブルは上海と蓬莱が綺麗に拭いてくれていた。
「どうって、普通に頬にされただけなんだが。」
魔理沙はきょとんとしている。
アリスはこめかみを押さえ、フランは首をかしげている。
「あんたね、自称でも恋の魔法使いなんでしょ?
 そういうところに鈍くてどうするのよ。」
「あー?」
魔理沙はようやく合点がいったような顔をする。
「なら尚更理由が分からないんだが。」
「そんなの私に言われても分からないわよ。
 本人に聞いてみたらいいじゃない。」
それもそうか、と魔理沙は帽子を被りなおした。
「んー、おいしー。」
フランは相変わらずクッキーをほおばっていた。
「フラン、食べすぎはよくないぜ。」
「アリスの手作りだからおいしいんだもんー。」
リスの頬袋のように、フランの頬がクッキーで膨らんでいた。
魔理沙はそんな光景を微笑ましく見つめていた。


「じゃ、家に戻るぜ。」
「気をつけなさいよ。まぁ、あんたなら大丈夫なんだろうけど。」
「魔理沙ー、今度あそぼー!」
「ああ、弾幕ごっこ以外でな。」
そう言ってアリスとフランに見送られながら、魔理沙は深夜の空を飛ぶ。
「アリスに指摘されるとは、恋の魔法使いとして失格だぜ。
 だけど、何で私なんだろうなぁ。」
魔理沙は考えながら、急いで家へ向かった。
幽香にそんな想いがあるというなら、あの花にも何か意味があるはずだからだ。


幽香は眠りのまどろみの中にいた。
幽香には、長い間友と呼べるような人はいなかった。
あちこちの妖怪に戦いを挑み、力を誇示する事しか考えなかったからだ。
そんな日々も終わりを告げた日が来た。
幽香は二人の人間に負けた。
一人は博麗の巫女、博麗霊夢。
もう一人が、霧雨魔理沙だった。
霊夢は異変が解決すると、すぐに去っていった。
だが、魔理沙は幽香に優しく手を差し伸べてくれた。
しかし、幽香はその手をとらなかった。
幽香にとって、魔理沙はまぶしすぎたのだ。
だが、魔理沙は幽香にこう言ってのけた。
「遊んだりするのなら、いつでも歓迎するぜ。」
幽香にとって、魔理沙の存在は少しずつ大きくなっていった。
そして、久しぶりに出会った60年に一度の異変。
幽香は魔理沙と再開し、自分にとってどれだけ大きい存在になっていたかを知った。
「……魔理沙。」
自分に敗北を与えたのはもはやどうでもいいと考えていた。
閻魔にも説教され、幽香の心は変わっていた。
「たった一人からでも、がんばれる切欠がほしかった。
 それだけだった……はずなのに。
 気づいてくれるかしら……、魔理沙……。」
幽香はベッドで丸くなり、やがて再び眠りの中に落ちていった。
昔の昔の夢を見るために。
せめて夢の中で、あのやり取りをやり直すために。


「えーと。あれでもないこれでもない。」
魔理沙は家の本棚という本棚をひっくり返していた。
「あの図鑑はどこいったんだ……。
 こういうとき、整頓されてると逆に困るんだぜ……。
 お、あったあった。」
机の下に見落とされたように置かれていた図鑑を開く。
「えーと……、やっぱり書いてあるな。
 ふむふむ……。そういうことか。」
魔理沙は花瓶の花を見る。
「幽香の奴、回りくどすぎるぜ……。
 まぁ、それが幽香らしいといえばらしいんだけどな。
 明日は久々に人里に繰り出す事になりそうだぜ……。」
魔理沙は図鑑をしまいこむと、自分の部屋に戻ってすぐに眠りについた。


翌日は梅雨にもかかわらず、珍しい快晴だった。
「うん、出かけるには絶好の日和だぜ。」
魔理沙は準備を整えると、箒にまたがって人里へと飛んでいった。

「あんまり長居はしたくないからな……。
 慧音あたりが見つかればいいんだが。」
上空から見慣れた顔を捜す。
「お、あそこにいるのは……。」
特徴的な帽子を被った少女の前に降り立つ。
「人里にぐらい、歩いてこれないのかお前は。」
「事情が事情だ、勘弁してほしいぜ。」
目的の少女、上白沢慧音だった。
「で、どうしたんだ。
 お前が人里に来るなど珍しいじゃないか。」
魔理沙は軽く頬をかく。
「いや、花屋を探してるんだ。
 できれば包んでくれたりする店がいい。」
「花屋? どういう風の吹き回しだ。」
「あんまり深く聴かないでほしいぜ。
 急いでるから、頼む。」
魔理沙は頭を下げる。
「わかったわかった。
 お前が頭を下げるなど、よほどの事情なんだろう。
 ついて来い、こっちだ。」
慧音は魔理沙を連れて行く。
程なくして、少し大きめの花屋が視界に入ってきた。
「こんなところでいいのか?」
「ばっちりだぜ。」
魔理沙は慧音にお礼を言うと、花屋の中へと入っていく。
「花……、か。」
慧音は軽く微笑むと、そのまま人里の巡回へと戻っていった。

魔理沙は花屋で目的の花を探す。
「店主はいるかー?」
「はいはい。どれが御用入り?」
中年の、人当たりのよさそうな女性が出てきた。
「えーと。ロータンゼとライラックを一本ずつ。」
「はいはい。一本ずつでいいのかい?」
「いいぜ。そこまでお金もないしな。」
魔理沙は少し申し訳なさそうに、帽子を深く被る。
「いえいえ、大丈夫ですよ。一本おまけしておきますね。」
店主はたくさんある花の中からアイリスをおまけして、包んでくれた。
「ありがとう。これ、代金だぜ。」
「はいはい、丁度いただきました。
 がんばってくださいね。」
店主は魔理沙を見送った後で、少しだけ呟いた。
「すごく純情な子だねえ……。」
その店主の顔は、とても優しかった。


花を散らさないように、魔理沙はゆっくりと飛んでいく。
目的の場所は、幽香の向日葵畑である。
「確かこのあたりだったはずなんだがなぁ。
 お、あったあった。」
一面向日葵で覆われた畑の中に、一軒だけ立っている少しだけ大きなお屋敷。
その前に魔理沙は降り立った。
「まて!」
「ん?」
魔理沙の前に、エリーが立ちはだかる。
「幽香様に今は誰も入れるなって言われてるの。
 大人しく引き下がってくれれば危害は加えないわ。」
「冗談。ここまで来て引き下がれるわけがないぜ。」
魔理沙は八卦炉を構える。
花は安全なように、背中側に置いておく。
「人の恋路を邪魔する奴は、恋の魔砲で吹き飛ぶんだぜ!?
 恋符『マスタースパーク』!!」
「うきゃぁあ~!?」
直撃を受けたエリーは、吹き飛ばされて屋根の上で気絶した。
魔理沙はすぐに背後の花を確認する。
どの花も無事な事を確認すると、少し安堵した。
「花は大丈夫だな……。
 さて、ねぼすけの幽香を起こしにいくか。」
魔理沙は意気揚々と屋敷の中へと入っていった。


劈くような魔力の奔流に、幽香は目を覚ました。
「今の規模は……、マスタースパークかしら?」
幽香は着替えると、部屋を出ようと扉を開けた。
ガン! と何か硬い手ごたえがあった。
幽香はそっと扉の向こう側を覗いてみる。
「~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!」
扉の向こうでは、魔理沙が額を押さえて悶絶していた。


「魔理沙は本当に運がないわね。」
「幽香の間が悪いだけだぜ。」
魔理沙は幽香のベッドで横になりながら、氷嚢をあてがっていた。
「に、しても。」
幽香は魔理沙の持ってきた花を見る。
「気づいてくれたのね。
 お返しも持ってきてくれるなんて、うれしいわ。」
幽香の言葉に、魔理沙は苦笑する。
「気づいたのは本当に夜遅くだけどな。
 回りくどすぎるぜ。」
「素直に言えるように努力でもしましょうか?」
幽香は意地の悪い笑顔を浮かべる。
「幽香じゃ無理だと思うぜ。」
魔理沙も意地悪く笑って言い返す。
「でしょうね。」
幽香はあっさりと認めた。
それから二人はひとしきり笑った。

「まぁ。」
笑った後、魔理沙が切り出した。
「幽香、私はいつでも変わらないぜ。
 手は差し伸べるし、拒絶もしない。」
「ええ。魔理沙はそうでしょうね。
 だからー。」
幽香はそっと魔理沙の手を握る。
「少しだけ、前進してみたんだけどね。」
魔理沙はくすくすと笑った。
「そういうところは好きだぜ。」
幽香の顔が赤くなる。
「うるさいわよ。馬鹿。」
魔理沙は起き上がって、幽香の顔を見る。
そして、魔理沙は幽香の頬にキスをした。
「お返しがすんでなかったからな。」
幽香は更に顔を赤くして俯いた。
「ほんと、何でこんな馬鹿好きになったのかしら……。」
悪態こそつきこそすれ、幽香の顔はとても嬉しそうだった。


魔理沙から送られた花は、向日葵畑の片隅にそっと植えられている。
幽香の力で、今もまた綺麗な花を咲かせているだろう。
魔理沙の家には、今も幽香から送られた花が大切に飾られている。
魔理沙の薬で、枯れる事がないように処置を施された。
二人にとっては、大切な記念の花だから。




ある日、幽香は魔理沙に聞いてみた。
「魔理沙、向日葵の意味は知ってるかしら。」
「ああ、知ってるぜ。『――――――――』だろ?」
その答えに、幽香はとても満足そうだった。
魔理沙もその笑顔を見て、満足げに笑った。
向日葵たちはそんな二人を祝福するように、
太陽を見て風に乗せて謡った。
早いものでもう5回目です。
初めての方は始めまして、瞑夜と申します。

先回の作品においての評価、大変為になりました、
今後はそれを生かし、更に精進を重ねたいと思っています。


今回は魔理沙と幽香のお話です。
サブキャラはいっぱいいますけど、メインはその二人です。
アリスと幽香の書き分けに少し苦労しました。 orz
お砂糖分は、ペア小説の中では多分一番少なめです。


この作品において、あえて書かなかったものがあります。
この文章を読み終わって、タイトルをみて、初めて書かなかった物がわかるようにしてあります
(最後の7行は書くべきか非常に悩みました)
調べ物を強いるような作品は受け入れていただけるかは分かりませんが、
私としては一度挑戦してみたかったスタイルなので、今回は大目に見てくださると嬉しいです。 orz
書かなかった部分を頭に入れて読み直していただけると、また別の味わいがあるかもしれません。


それでは、失礼いたします。
次の作品があれば、そこでお会い出来れば嬉しく思います。
瞑夜
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.820簡易評価
6.80名前が無い程度の能力削除
参考までに花言葉についてのせておきます
ヒマワリ:ttp://plaza.rakuten.co.jp/himawarityandesu/ 参照
スイートピー:門出、別離
スイセン:自己愛
ロータンゼ:永遠の愛
ライラック紫:初恋の感激  白:青春のよろこび
アイリス:恋のメッセージ・吉報

にしても魔理沙×幽香ですか。かわいいよゆうかりん
10.60椒良徳削除
いやいや、悪くないですな。魔理沙×幽香。
これまでの作品と比べると、読みやすく仕上がっており、貴方の文章力が着実に上がっていっていることが判ります。今後も腕を磨いていってくださいね。
14.無評価瞑夜削除
花言葉について調べていただきありがとうございます。
大分時間も過ぎましたので、私が考えていた花言葉を書いておきます。

ライラック:愛の芽生え、出会いの喜び
ローダンセ:変わらぬ思い
アイリス:あなたを大切にします
スイートピー:私を覚えてください
スイセン:私の愛にこたえて

順不同

ヒマワリは、先に書いていただいたURLの方を参照していただければ分かると思います。
これからもまた、新しいお話を書いていければと思っております。
評価してくださった方々に最大限の感謝を。
15.80名前が無い程度の能力削除
調べさせる形式については全く気にならなかったのですが、クライマックスが今一盛り上がりに欠けてしまってるかなと感じました。魔理沙はもっとこう、「好きだぜ!!」ぐらいの、ねぇ?

>「あんまり深く聴かないでほしい
聴くより訊くの方が良いのでは?
17.80卯月由羽削除
このカップリングも、なかなかの破壊力……やられた。