サァァァー……
雨が降る。
サァァァー……
今日は朝から雨模様。
サァァァ、サァァァー……
「雨は嫌いよ」
つぶやいてみる。誰もいない家の中で。誰もいない森の中で。
少女は窓際に立ち、ずっと外を眺めていた。
重く暗い空は日の光を完全に遮っていた。
「雨は嫌い」
嫌い。嫌い。
静かなのに、音がする。
雨音。木々が揺れ動く音。
「こわい……」
少女は窓の側から離れた。
振り返ると、そこにはいつもとは違う自分が居た。
「これが、わたし」
雨は嫌い。わたしを、こんなふうにさせるから。
虚ろな瞳の少女。
黒の魔法使いの服を着て、右の耳の横の毛をみつあみにした、少女。
「わたし、は……」
コトン。
ふいに、風も吹いていないのに、鏡台の脇に置いてあった人形が倒れた。
あの子がくれた人形。
――別に、意味はないけど、作ったからあげるわ。
水色のワンピースを着た女の子と、魔法使いの格好をした女の子。
彼女は何でもない素振りをしていたけれど、これはきっと、あの子とわたし。
逢イニ来テ 早ク逢イニ来テ……
「……」
ああ、あの子が呼んでいる。
わたしよりももっともっと弱いあの子が。
わたしは大丈夫よ。
魔法をかけましょう
わたしは大丈夫 わたしは平気
ほら、雨も止むわ
目を閉じて 3つ数えたら空には虹が架かってるわ
箒を持って
さぁ・・いち、にぃ、さん……
愛しいあの子のもとへ行こう。きっと寂しくて泣いているあの子のもとへ――
「アリス、今から遊びにいってやるぜ」
あとはそれをより完成に近づけるために力をつけていけば良い、と思います。