Coolier - 新生・東方創想話

Battle On Table

2007/06/24 03:30:20
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このお話はJOJ○ネタ(三部)が満載です。
ネタが解からない方や、そういう物が苦手な方はお戻りする事をお勧めします。
冗談の解かる方はお読みください。































白玉楼

時は12時丁度。
まさにお昼時である。
ここ、白玉楼も例外無くお昼ご飯の時間だった。
畳の敷かれた部屋に一つのちゃぶ台。
そして、その上に乗る二人分のお昼ご飯。
今日の献立は
ごはん、味噌汁、鯛の塩焼き、玉子焼き(5切れ)、野菜炒め、そして漬物の沢庵(7枚)。
ちゃぶ台に対峙するように座っているのは、ここ白玉楼の主、西行寺幽々子と
その従者にして庭師の魂魄妖夢だ。
二人は手を合わせて、いただきます、と言い

同時にただならぬ気配をかもし出し始める。

「幽々子様」
「何かしら?」
「また私のおかず、狙ってますね?」
「さぁ?どうかしらねぇ?」
幽々子はそう言った刹那


シュンッ!!

「っ!!」
妖夢の沢庵を掠め取った。
パリポリと口の中で咀嚼する。
「ん~……美味しいわぁ」
「幽々子様!お行儀が悪いですよ!」
妖夢が叱る。
「妖夢がどれくらい腕を上げたか見るつもりだったけど………試すまでも無かったみたいねぇ?」
薄い笑みを浮かべて幽々子は言う。
「……試すって言うのは小腹も膨れない漬物を盗る事を言うんですか?高級な沢庵は取られましたがね」
妖夢は目をキッとして言い返す。
「魂魄一族、どうしてこう負けず嫌いなのかしら………良いわ。その挑発に乗って、もう少しだけ試してあげるとしましょう」
二人の間に沈黙が流れる。
そして




「せいっ!!」

「このっ!!」



ガキィ!!

幽々子が箸で鯛を狙い、妖夢もまた箸でそれを防ぐ。
だが、それだけでは終わらない。


「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!!」

「このこのこのこのこのこのこのこのっ!!」

ガキキキキキキキィ!!!


食卓に火花が散る。
様々な料理をめぐり、二人の箸が激しくぶつかり合う。
攻める幽々子。
守る妖夢。
互いに一歩も譲らない。
しかし


シュバッ!!

「あっ!?」

間隙を縫った幽々子の一閃が、妖夢の野菜炒めのキャベツを一枚掠め取った。
「ふふふ…もう良いわ。もう十分貴女の実力は解かったわ。さっさと終わりにしてしまいましょう」
幽々子は勝ち誇ってそう言い、そしておかずの中から狙いを定める。
そして、箸を動かす瞬間


ピクッ……


「!?」
妖夢の箸が僅かに動いた。
それも、幽々子が狙おうとしていた玉子焼きの方に向かって。
(動いた!?それとも意識せず動かしただけなのかしら………)
幽々子は一応警戒し、別のおかずに狙いを変えた。
だが


ピクッ……


「っ!!」
再び妖夢の箸が狙いを変えた筈の沢庵の方へと僅かに動いた。
「………読めているのかしら?妖夢」
幽々子は妖夢を見据えて尋ねる。
「…………………」
だが、妖夢は答えない。
「読めているのかと聞いてるのよ!?」
「さぁ……何の事ですか?解かりませんね、幽々子様」
妖夢は表情を変えずに返す。
「ふ………良いわ。読めていると言うのなら読めていると言う所を見せて貰うまでよ!!」
そう言って、再び幽々子は妖夢のおかずを狙う。


ガキィンッ!!

シュンッ!!

「なっ!?」
だが、狙った箸はあっさりと妖夢に弾かれ、あろう事か返す箸で沢庵を一枚奪われてしまった。
パリポリと、今度は妖夢が咀嚼する。
「どうやら……私の狙いが読めるようになったみたいね………」
幽々子は睨みながら言う。
「おかげさまで」
「けど、私は考えるわ。果たして貴女は何手先まで読めているのかと。二手?三手?」
幽々子は続ける。
「もしかして、私の狙いを全て読めていながら、わざと取られた振りをしていたとか…………ふふ…どうなのかしら?」
(まずい……まだ私は幽々子様が次に狙う物程度しか読む事は出来ない………)
妖夢は優位に立てている訳ではなかった。
(なんとかそれを気付かれないようにしないと………)
「ふふふ……沈黙すると言う事は、貴女はまだ一手先程度しか読めていない」
依然、妖夢は沈黙を続ける。
「しかし、ここで貴女を侮って迂闊に手を出すのは賢い者のする事じゃないわ。まだ、私の方が断然に有利だとしても……」
妖夢は冷や汗を垂らし始めている。
「そこで妖夢。貴女が何手先を読めていようが関係の無い方法を思い付いたわ!」
幽々子は両の手に、ちゃぶ台の上に置いてあった爪楊枝の束を持つ。
「っ!!」
「青ざめたわね?勘の良い貴女は気付いたようね。この爪楊枝を見て、先ほどの沢庵程度の被害じゃ済まない事を」
(幽々子様…!!何て事を思い付くんですか!!これは……まずいっ!!!)
妖夢は幽々子の思いついた事を防げる物は無いかと、視線だけを素早く辺りに回す。
だが
「遅いわっ!貴女は将棋で言う所の「詰み」にハマったのよ!!」
そう言って幽々子は




爪楊枝を口に咥え、唾液を付けて湿らせてから料理に投げつけた。
まぁ、所謂「唾付け」だ。



「このっ!!」

バシシィッ!!

投げ付けられたのは二本。
それは何とか防ぐ事が出来た。

「五秒前」

幽々子はそう告げる。
恐らく、五秒後にありったけの楊枝を投げるつもりだろう。
既に次の三本を口に咥えている。

「四秒前!」

バシシシィ!!

次の三本も何とか防ぐ。
が、危うく料理に当たるところだった。

「三秒前!!今の内に思案をめぐらせて置かないと大変な事になるわよ?」

今度は五本

バシシシシシィ!!!

妖夢は片手で箸を一本ずつに分けてどうにか防いだ。
しかし、それが限界だった。
「二秒前……ふふふ…その程度かしら?やはり読めているのは一手先までと言うのが証明されたみたいね。」
今回は幽々子は投げなかった。
妖夢は依然、冷や汗を垂らしながら真剣な表情だ。
「残り一秒………」
そう言って幽々子は何本もの爪楊枝を口に咥えて先を湿らせる。
「零………」
そして一斉に投げつけた。



楊枝の雨が妖夢のおかずを狙う。

「このこのこのこのこのこのこのこのこのこのこのこのっ!!!」

懸命に妖夢は防ぐ。
しかし

ドスッ!!ドドスッ!!

「う……ぐぅ………」

玉子焼き一切れと沢庵一切れ、そして野菜炒めに防ぎ損ねた楊枝が突き刺さった。
「ダメ押しにもう一本」
そう言って更に幽々子は楊枝を投げた。
「…っく!!」
おかずに楊枝が刺さってしまったショックで妖夢は反応が遅れた。

ガッ!

何とか箸は間に合ったが、しかし、弾かれた楊枝は軌道を変えてメインディッシュとも言える鯛に突き刺さってしまった。
「ふぅ……早めに鯛に手を付けられてホッとしているわ………まったく魂魄一族と言うのは(食卓では)厄介ねぇ……まさか私の狙いまで読んでくるとは………」
妖夢は箸を持つ手を空中で止めたまま動かない。
「さて、それじゃ戦利品を頂くとしましょうかね~」
そう言って幽々子が動いた刹那


ジャウッ!!


「な、何ですって!?」
いきなり妖夢が動き出して玉子焼きを二切れ、まとめて奪っていった。
「やっと裏をかく事が出来ましたよ………まさか、鯛まで手を付けられるとは思っていませんでしたがね」
突然、息を吹き返したかのように妖夢が言う。
「奪い返して……やるわ………」
そう言って幽々子は再び楊枝を取ろうとする。


スカッ……

手が空を切った
「な、何ですって!?一体……こんな…事が………楊枝が!?」
爪楊枝は何時の間にか妖夢の手により食卓から遠のかされていた。
「楊枝がない……奪い返せない………!!」
妖夢は、幽々子がうろたえている間に、鯛の爪楊枝が刺さっている周囲を綺麗に取り除く。
「手数が足りない…時間もよ!!…この私が……妖夢におかずを奪われ、取り返す事が出来ないなんて…………!!」
あまり時間をかけると料理が冷めてしまう。
余談だが、「いただきます」からここまでものの数分程度だ。
「く……仕方が無いわ………」
幽々子はそう呟くと、自分の分の料理をちゃぶ台から退かした。
(諦めた………か?)
妖夢はそう思った。
が、幽々子は鯛を野菜炒めの皿に移して、空皿を一つ作り、そして








「ちゃぶ台返しよ!!!」




「みょん!?」

幽々子の突飛な行動に、みょんな声を上げる妖夢。
ちゃぶ台がひっくり返ると同時に、当然、ちゃぶ台に乗っていた妖夢のおかずも飛散する。
そして、すかさず幽々子が飛散したおかずを空中で奪い始める。
「く……!!このこのこのこのこのこのこのこのこのこのっ!!!」
「もう遅いわ!!防御不可能よ!!無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!!!!」
確かに、妖夢も自分の分を回収しなければいけないので防いでる場合ではない。
結果、半数近くを幽々子に奪われた。
因みに、汁物である味噌汁とご飯だけは無残に畳に飛散していた。

ガンッ!ガララララ………

ちゃぶ台が畳に逆さまに落ち、そして静止した。
「やった…終わったわ……魂魄家はついに私の食欲の前に敗れ去ったのよ!!」
空にした皿の上に戦利品を乗せ、幽々子は言う。
「沢庵!玉子焼き!鯛の塩焼き!!ふふふふふふ………これで何者も私の食欲を妨げる者は居ないわ!!!」
元から妨げられるレベルで無かった気もするが。
「数多に存在する食材達よ!!食べてあげましょう!!この私の「飢え」と「胃」の前にひれ伏すがいいわ!!!」
高々と叫ぶ幽々子。
「さて、それじゃあ、私のも合わせて美味しく頂くとしましょうかね~」
そう言って幽々子は自分の料理を置いてあった位置を手でまさぐる。




「な、何?お皿の手ごたえが無い………?」

まさぐる手は空を切るばかり。
ゆっくりと振り返る幽々子。
「ち、違うわ……手ごたえが無いんじゃない…………私のおかずが無い!?そ、そんな!!」
幽々子が確かに置いたはずの料理は、全て消え失せていた。
「回収完了……気を抜き過ぎましたね、幽々子様」
「よ、妖夢!?」
幽々子が振り向いた先には、幽々子の料理を回収し終えた妖夢が居た。
が、しかし、元の場所にもちゃんと妖夢は居る。
「幽々子様がちゃぶ台を返した瞬間、半霊を回り込ませ、そして実体化して奪い返せた。やれやれでしたよ………」
妖夢のスペルカード「二重の苦輪」
一時的に己の半霊を、己と同じ姿に実体化させる物だ。
「どうですか?幽々子様。自分のおかずを奪い取られる心境と言う物は」
「く………」
幽々子は歯噛みする。
「大切に取っておいたショートケーキの苺を、横から「パクッ」と食べられる気分に似ていると言うのはどうでしょうか?」
妖夢は表情を変えずに言う。
「ですが、幽々子様の場合、少しは反省していただきます。」
そう言って、メインディッシュの鯛をパクッと食べる妖夢。
「うぐぅっ!!」
幽々子は呻いた。
「このまま全部没収してしまっても良いのですが……このまま不意打ちまがいで勝利を掴んでも私の心に良くない物を残してしまいます」
そう言って、一旦分離した半霊を料理と一緒に自分の元に戻し、
そして、コトッと幽々子と妖夢の丁度間くらいに鯛の皿を置く。
「勝負しましょう。魔理沙で言うところの「どっちが速いか勝負だぜ!!」と言う奴です」
この台詞は、魔理沙が幻想郷最速をかけて文と勝負した時の台詞だと伝えられている。
(ば、馬鹿にして……!!でも…でも、妖夢。この土壇場に来てやはり貴女は半霊だわ………)
幽々子はショックから立ち直りつつあった。
(ごく短い時の中でしか生きられない人間と似た考えをする………心に良くない物を残すとか…人生に悔いを残すとか……)
幽々子の箸を掴む手に力がこもる。
(この私にはそれは無い。あるのはシンプルなたった一つの思想だけよ。食らい尽くす!それだけよ!!それだけが満足よ!!!)
食に関してだけとは言え、なんと強欲な事か。
(過程や………方法なんて……)
「どうでも良いのよ!!!」

ブワァッ!!

幽々子は叫ぶと同時に、やはり食卓に置いてあった塩を掴んで投げた。
「あうっ!!」
「どうかしら!?この塩の目潰しは!!勝った!!いただきよ!!!」



「このぉっ!!!」



ガシィッ!!!!

幽々子と妖夢の箸が鯛の上でぶつかった。


ビギィッ!!

妖夢の箸に亀裂が入る。
その様子を見て幽々子がニヤリとする。



ビシッ……ビシビシィ!!

「なっ!?」
今度は逆に幽々子の箸に亀裂が入り始めた。



バキッ!バキバギバギッ!!!

そして幽々子の箸は崩壊を始めた。
「そ…そんな……この私が………この私がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
幽々子の箸は無残にも砕け散り、同時に幽々子も畳に突っ伏した。
「幽々子様、貴女の敗因はたった一つです。たった一つのシンプルな答えです」
そして妖夢は続ける。









「貴女は食い意地が張り過ぎた」






その後

「おかわりぃ!!」
幽々子は幸せそうな顔でご飯を食べていた。
「本当、良く食べるわね、幽々子」
幽々子は今マヨヒガに居た。
偶々白玉楼に現れた紫が、突っ伏したままの幽々子を見つけて、事情を聞いて連れて来たのだ。
因みに、およそ3時間、幽々子は突っ伏したままだった。
「だって妖夢がお昼取り上げるんだも~ん!!まだまだ食べれるわよ~!!」
そう言いながらも凄い勢いで食べる幽々子。
「藍~、追加お願いね~」
紫が台所に居る藍に声をかける。
「えぇぇ!?もう殆ど食材ありませんよ!?」
藍の悲鳴が台所から聞こえてくる。
「大丈夫よ。さっき橙にお使い行かせたから」
「橙を巻き込まないでくださいよ!!」
今度は抗議が聞こえてくる。
「ただいま~!!」
と、ちょうどその橙が帰ってきた。
「紫様~、買って来ました~!」
橙が元気良く戻ってくる。
「あら?おかえりなさい、橙。どれどれ………うん、ちゃんと買えたわね」
そう言って紫は橙の頭を撫でる。
「えへへ………」
「どれどれ……?あらあらぁ、皆美味しそうねぇ」
橙の買い物袋の中身を見て幽々子が言う。
「じゃあ、それを藍に渡して来てちょうだい」
「はいっ」
紫に言われて、橙は台所へ向かう。
「藍様~、持って来ました~」
「ああ、すまないな、橙。」
「大丈夫ですよ!あ、それから良さそうな油揚げも買ってきましたよ」
油揚げの部分は聞こえないように小声で言う橙。
「ありがとう、橙」
藍は目を細めながら橙の頭を撫でる。
「え~っと…………あれ?」
橙は買い物袋をまさぐるが、その油揚げが無い。
「無い……どこかで落としちゃった?」
橙が悲しげな顔になる。

「ちょっと、幽々子。幾らお腹空いてるからって、それを生で食べる事無いでしょ」
「え~?だってお腹空いたんだもの~」
橙は、まさかと思って居間を覗く。
「あ~~~!!!」
案の定、食べられていたのはその油揚げだった。
先ほど買い物袋を覗いた際に抜き取っていたようだ。
「ふふふ……口にしょっぱい物が入ったな………これが私のおやつ代わりと言う事ですか?幽々子様、紫様………」
さめざめと泣きながらも藍は料理を作り続けていた。



おしまい



思いつきと勢いだけで書きました。
つまらなかったらごめんなさい。
あと、もし過去に被っている作品があったら直ちにこの作品を削除いたします。

少しでも笑っていただけたら幸いです。
それでは、好評不評問わず待ってます。

一部、「ば、馬鹿な」という部分を「そ、そんな」に変更しました。
意識的に変えてないところもありますが。
ゆゆ様に「馬鹿な」は似合いそうに無いので^^;
華月
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コメント



0.930簡易評価
1.90名前が無い程度の能力削除
何というDIOなゆゆさまwww
2.80柊一削除
これはいいYUYU様w
それにしてもジョジョは何にでも合うなあw
3.無評価うみうし削除
全藍が泣いた!
7.90削除
妖太郎強ぇよ!w
10.90名前が無い程度の能力削除
たったひとつのシンプルな答だ…てめーは俺を笑わせた
14.100名前が無い程度の能力削除
さすがゆゆさま、俺達にできないことを平然とやってのける
そこに痺れるっ憧れるぅっ!
15.90名前が無い程度の能力削除
大食いだとか早食いだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ
もっと恐ろしい食の片鱗を味わったぜ…
20.100時空や空間を翔る程度の能力削除
賑やかなお食事は良いですよね~~・・・・

普通ならば・・・・・(汗
21.100削除
ゆゆ様に今まで無かったカリスマが目覚めてるwwww
22.100名前が無い程度の能力削除
最高でした!!