Coolier - 新生・東方創想話

東方妖怪小町in紅魔館・後編

2007/06/17 11:22:10
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このお話は東方妖怪小町in紅魔館の続きです。
前編を読んでから読まれる事をお勧めします。































紅魔館・地下室への階段

カツンカツンカツン・・・・・・・・・・・・

渇いた靴の音が三つ、地下へと続く階段に響く。
「うぅぅ・・・・・・・・・妹様のお相手かぁ・・・・・・・・・・・・」
何処からか情報を得ていたのであろう、鈴仙が嘆くように呟く。
「はぁ・・・・・・・・・私も噂には聞いていますが・・・・・・」
無論、良い噂の訳はない。

妹様こと、レミリア・スカーレットの妹、フランドール・スカーレット。
彼女は情緒不安定な精神性から、幼い頃より地下室へ幽閉されていた。
その年月、実に495年。
只でさえ強力な力を持つ吸血鬼が、不安定な精神で表に出ればとんでもない事になる。
しかし、幽閉されるに至った最大の理由は他にある。
それは彼女の能力。

あらゆる物を破壊する程度の能力。

はっきり言って、これは洒落にならない。
かの隙間妖怪や、幻想郷に戻って来たあの鬼であってもこれを喰らえば即死する。
もしかしたら、永遠を生きる蓬莱人達ですら殺しきれてしまうかもしれない。
それくらい危険極まりない能力なのだ。
そして、それを持つのが情緒不安定な精神性を持つ者。
恐ろしい事この上ない。
だから彼女は幽閉され続けた。
495年もの間・・・・・・・・・・・・

「まぁ、でも、罰は罰ですから。それに良い修行になるかもしれませんし」
「良くそう言う風に考えられるわね・・・・・・・・・」
「まぁ・・・あまり悪い方向に考えすぎるとキリが無いので・・・・・・・・・」
困ったように笑いながら妖夢は鈴仙にそう返す。
「・・・・・・・・・貴女、何か変わったわね」
「そうですか?」
「何となく・・・・・・ね」
「そうですかねぇ?」
妖夢は首を傾げる。

「着いたわよ」
重々しい扉の前に辿り着いた。
扉には物凄い数の魔術言語と魔法陣が書き込まれている。
この奥に居るモノの危険性を感じ取らせるのに十分な雰囲気だ。
「な、何ですか、この異常なまでに厳重な結界は・・・・・・・・・」
それを見て鈴仙が尻ごむ。
当然の反応だ。
「そう?これでも少ない方よ?」
「え?」
鈴仙が嘘でしょ?と言った表情をする。
「昨日なんて、パチュリー様がここまで来られて直接結界を張ってたくらいなんだから」
「そ、そうなんですか・・・・・・・・・しかし、今日は大丈夫なんですか?」
「大丈夫だから貴女達を連れてきてるんじゃない」
「は、はぁ・・・・・・・・・」
不安そうに鈴仙が返事をする。
と、それまで黙っていた妖夢がふとある事を思い立った。
「ああ、それで罰が昨日じゃなくて今日になったんですね?」
「あら?気付いたかしら?」
「はい。昨日は満月でしたからね」
妖夢は、寝る前に偶然見かけた月の形を思い出していたのだった。
「満月・・・・・・?・・・・・・・・・ああ!!」
鈴仙も気付いた。
「そうよ。吸血鬼にとって満月は水を得た魚、いえ、それ以上よ」
そんな日に、この二人をフランドールの部屋に放り込めばどうなるか?
決まっている、生きて出て来れる訳が無い。
「妹様も昨日大暴れしてたから、それ程派手にはなさらないでしょう。多分」
多分、と言う部分に鈴仙は不安を覚えるが、どうしようもない。
「それにしても・・・・・・妖夢、貴女随分落ち着いてるのね?」
咲夜が妖夢に尋ねる。
「え?ええ・・・・・・何故か、凄く気持ちが落ち着いてるんですよ」
「てっきり鈴仙みたいに取り乱すかと思ってたのに・・・・・・・・・」
「ははは・・・・・・」
妖夢が乾いた笑いで返す。
「さて、お喋りはここまで。入るわよ」
「はい」
「は、はい!」
「それから、先に言っておくけど・・・・・・」
咲夜が扉に手をかけてから振り向く。
「死にたくなかったら全力で応戦しなさい。どうせ貴女達じゃ妹様を殺す事なんて出来ないのだから」
「お、応戦って?」
「直ぐに解かるわ。さ、行くわよ」
鈴仙の質問にそう返して、咲夜は扉を開く。

ギギギギギィィィィィィ・・・・・・・・・

「妹様?いらっしゃいますか?」
咲夜が声を掛ける。
が、返事が無い。
(うぅ・・・・・・このまま違うお仕置きになれば良いんだけどなぁ・・・・・・・・・)
僅かな希望に賭ける鈴仙。
「呼んだ?」
「わきゃあぁぁ!!!」
フランドールは扉の上から逆さまの状態で顔を出した。
鈴仙は、それに驚いて悲鳴を上げて尻餅を着く。
「あはははは!!わきゃあ!!だって!!!」
フランドールは鈴仙を見て、楽しそうに笑う。
「あ、貴女が妹様・・・・・・フランドール様ですか?私は暫定的にメイドをさせて頂いている魂魄妖夢と申します」
妖夢が控えめに尋ねながら名乗る。
「うん、そうだよ。でも、フランで良いよ」
「いえ、私は今だけとは言え、紅魔館のメイド。主の妹君をそのように呼ぶ訳には参りません」
妖夢はそう返す。
「つまんな~い。まるで咲夜みたい」
フランはプーッと頬を膨らませる。
その様は、本当にただの無邪気な子供の様だ。
「妹様、今宵はこの二人が妹様の遊び相手をお勤めいたします」
咲夜がフランにそう告げる。
「ほんと!?やったー!!!」
フランは本当に嬉しそうに跳ねる。
(あ、あれ?案外普通の女の子?)
鈴仙はそう思った。
「あ、所で貴女は?」
「あ、私は鈴仙・優曇華院・イナバです」
「ふ~ん・・・・・・長い名前。レーセンで良いよね?」
「あ、はい」
「ああ、さっきも言ったけど私はフランで良いよ?」
フランにそう言われ、鈴仙はちらりと咲夜を見る。
咲夜は「お好きなように」と言わんばかりに目をつぶる。
「あ、じゃあフラン。よろしくね」
「うん!よろしくね、レーセン!!」
嬉しそうにそう返すフランは、やはり見た目通りの子供に見える。
(何だ、噂って充てにならないなぁ)
鈴仙はそう思っていた。
「じゃあ、早速アソボ!!」
フランは二人にそう言う。
後ろで咲夜は扉を閉める。
因みに咲夜は室内に残っていた。
「ええ、何して遊ぶ?」
鈴仙が尋ねる。





「弾幕ごっこ」



「え?」
鈴仙の表情が凍る。
「弾幕ごっこ!ねぇ・・・・・・・・・アソボ?」
鈴仙は先程までの考えを撤回した。
そうさせた理由は、フランの目。
顔は笑っているのに目が笑っていない。
言うなれば、狂気の顔。
禁忌の月が、今、真の顔を覗かせた。
「アソボ!アソボ!!」

ドガガガガガガガガガッ!!!!!

「きゃああぁぁぁぁ!!!」
「っく!!」
行き成り降り注ぐ弾雨。
鈴仙も妖夢も当然、避ける。
「あはははははは!!!あんまり早く壊れないでね!?」
そう言いながらも容赦ない弾幕が降り注ぐ。
先程の説明では、破壊の能力のみが危険なように感じるが、それだけではない。
フランは戦闘能力ですらも、姉であるレミリアを大きく上回る。
が、フランは精神性の低さと戦闘経験の未熟さから、総合戦闘能力では現在はレミリアに及ばない。
しかし、もし、それらを補ったとしたら、レミリアですらどう足掻いても勝てない相手となる。
例え真っ向からの戦いであっても。
そんな攻撃力を持った相手の容赦の無い弾幕。
いや、向こうは十分に加減をしている。
が、如何せん計っている物差しの長さが違いすぎる。
向こうの手加減でも、妖夢や鈴仙にとっては十二分に致命傷クラスの攻撃だった。
「うわわわ!!!死ぬ!死ぬぅぅぅぅ!!!」
鈴仙は必死で避けてた。
当たり前だ、避け損なったらタダでは済まない。
しかも、一撃でも貰えば、そのまま動けなくなった所に弾幕の雨。
結果は言うまでも無い。
実質、一発でも貰ったらアウトだ。
一方、妖夢はと言うと

(弾を良く見るんだ・・・・・・そして、安全なルートを見出し、最小の動きで避ける・・・!!)
冷静に弾幕を見切っていた。
その上で必要最小限の動きで無駄なく避ける。
(あの娘・・・・・・・・・)
見ていた咲夜も驚いていた。
昨日までの妖夢とは大違いの動きだった。
「・・・・・・そうか、今までの私は無駄な動きが多かったんだな・・・・・・・・・」
そして、かつての己の未熟さを、そう分析出来るほどになっていた。
何故こうなったか?
それは昨晩の幽々子の激励(慰め?)に他ならない。
幽々子に会い、我慢していた物をぶちまけ、その上でここに来た理由を思い出し、己に喝を入れた。
心機一転。
それが魂魄妖夢に眠っていた物を一気に引き出したのだった。
その効果に、今日まで咲夜に叩き込まれた「瀟洒」な動き。
それが妖夢に新たな道を見せていた。
結果

「貴女凄いね!!こんなに上手く避ける人、霊夢と魔理沙以来だよ!!!」

妖夢の洗練さに火が付いたのか、フランの攻撃が激しくなる。
「うわきゃあぁぁぁぁ!!!」
一方、鈴仙はさらに必死に避ける。
因みに、今はショーツが見えようが何だろうが咲夜も何も言わない。
流石に、フラン相手にそんな余裕が無い事くらいは解かっているのだろう。
「鈴仙さん!上!!」
「へぇ!?うわきゃあぁぁぁぁ!!!!」
妖夢の言葉に顔を上に上げた鈴仙が、思いっきり横っ飛びする。

ズガガガガガガガッ!!!

鈴仙が居た場所に数多の弾幕が降り注いだ。
もし、妖夢の言葉が無ければ直撃してただろう。
鈴仙はゾッとなる。
一方、妖夢は鈴仙に気を配れるまでになっていた。
(動きを小さくする事で、次の弾への対処時間が長くなるのか)
妖夢には余裕が生まれていた。
その余裕が鈴仙への気配りを生んだ。
(気を配れるとはこう言う事か。完全で瀟洒とはそう言う事か・・・・・・・・・)
妖夢は何かを理解しつつあった。
「ちょっと!洒落になんないって!!」
一方、変わってない鈴仙は切羽詰っていた。
そして
「鈴仙さん!そっちはダメ!!!」
「え!?」
妖夢が叫ぶ。
が、遅かった。
ダメな理由は頭上と側面。
頭上からは弾幕で崩れた天井が落ちて来ており、横に避けようにも、横にも弾幕がある。
天井か?弾幕か?
悩んでいる間に鈴仙に瓦礫が降りかかった。
「きゃああぁぁぁぁぁ!!!」
「鈴仙さん!?」

ガラガラガラガラガラッ!!!

鈴仙は瓦礫に埋もれてしまった。
「あれ?もう、一人終わっちゃった。ヨームはまだまだ遊べるよね?」
何処までも無邪気な顔でフランが言う。
「妹様!あの瓦礫を吹き飛ばしてください!!鈴仙さんが!!」
「え?レーセンまだ壊れてないの?」
フランが不思議そうな顔で瓦礫を見る。
「まったく・・・・・・さっきから壊れるだの壊れないだの・・・・・・・・・」
瓦礫から鈴仙の声が聞こえてくる。
「鈴仙さん!?無事だったんですね!!」
「人をオモチャか何かみたいに・・・・・・・・・」
「れ、鈴仙さん?」
鈴仙の様子が少し変だった。
妖夢もフランも動きが止まる。
「だけど残念ね・・・・・・こちとら日頃からオモチャにされまくってんのよ・・・・・・・・・」
どうやら永琳に相当弄られている様だ。
「師匠の新薬実験に比べれば、このくらいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」

バゴオォォォォォンッ!!!

内側からの弾幕に瓦礫が砕け散り、砂煙の中から鈴仙が姿を現す。
「フラン、遊びたいのよね?」
鈴仙が、何かキレた目つきでフランに問いかける。
「レーセンまだ遊べるの!?じゃあアソボ!アソボ!!」
そう言いつつ、フランがまたもや弾幕を仕掛ける。
「ええ、遊んであげるわ。存分にね!!」
鈴仙はそう叫びつつも動こうとしない。
「鈴仙さん!?避けて!!」
妖夢が叫ぶ。
が、やはり鈴仙は動かない。
致死の弾幕が降り注ぎ


ズガガガガガガガガッ!!!!!


「え!?」
「あれ?」
鈴仙をすり抜けた。
かと思うと、そのまま鈴仙の姿が消えた。
「レーセン?何処行ったの?」
フランがキョロキョロと鈴仙を探す。
「何処を見てるのかしら?私はここよ!ここに居るわ!!」
すると、何時の間にか鈴仙はフランの後ろに回っていた。
「凄いねレーセン!でも・・・・・・これでゲームオーバーだよ!!!」
フランは手に杖のような物を出し、その先から炎の剣を生み出す。
「禁忌!レーヴァテイン!!!」
炎の大剣が鈴仙をなぎ払う



「あ、あれ?」
またもや鈴仙をすり抜けた。
「妖夢!!」
咲夜が妖夢を呼びつける。
「あ、はい!」
「戻ってきなさい!死ぬわよ、貴女!!」
「え?あ、はい!!」
咲夜の表情が尋常じゃない。
妖夢は危機を感じて咲夜の下に戻った。
「あ、あの、あれは一体・・・・・・・・・」
「まったくあの兎・・・・・・ここに来て成長したとでも言うの?」
「え?あの・・・・・・・・・」
「貴女、あの兎の能力知らないの?」
「え?確か、鈴仙さんの赤い目をまともに見ると狂ってしまうとか何とか・・・・・・」
まぁ、それは耐性の低い人間などの場合だ。
耐性のある者に対しては、余程力を込めないと効果が無いだろう。
そうでなければ、今頃、永遠亭の者全員が狂いまくっている。
「違うわ。彼女の能力は狂気を操ると言う事」
「狂気?」
「これはお嬢様に聞いた事なのだけれど・・・・・・・・・」
狂気を操るとは気を狂わす事であり、即ち物事に存在する波に干渉できる能力である。
波長を長くすれば暢気に、短くすれば狂気になる。
気の振幅を広げれば遠く離れても意思の疎通が出来、狭めればどんなに近くても声すら届かない。
気の位相をずらせば干渉が出来なくなり、触れる事が不可能になる。
逆位相を取れば、存在を否定し、完全に姿を消す。

「つまり・・・・・・?」
「簡単に言えば幻術ね。それもかなり高等な」
鈴仙の使うマインドシェイカーはこの能力を応用しているものだろう。
弾幕の位相をずらすなどして、惑わしながら攻撃しているのだ。
「でも、今までもそういう事は出来ていたのでは?」
「出来てはいても、恐らくは弾幕と同時だと簡単な事しか出来なかったのよ」
現に、今みたいに相手の攻撃を無効化するなど出来なかった。
「そう言えば、弾幕合戦中にあんな風に無効化されたことなんて無かったですね・・・・・・・・・」
「それが出来るようになったのよ。何がきっかけかは知らないけど・・・・・・・・・」
「しかし、戻ってこないと死ぬと言うのは?」
妖夢がそう聞いた時だった。

「じゃあ、これはどう!?そして誰も居なくなるか!!!」
フランが姿を消し、弾幕のみが辺りにバラ撒かれる。
「甘い!甘いわフラン!!」
一方、鈴仙も逆位相を取り、姿を消す。
お互い姿を消しての弾幕の撃ち合い。
無論、威力はフランの方が圧倒的に上だが、姿を消してる相手に威力も何も無い。
「うわ・・・・・・弾幕の雨霰・・・・・・・・・」
「貴女、これもかわし切れる自信あるかしら?」
「いや・・・これはちょっと・・・・・・」
流石に無理だろう。
何せ、お互い被弾する心配が無いのだから思いっきり撃ちまくっている。
しかも、辺り構わずに。
こんな中に突っ込んでいったら流石に避けきるなど不可能だ。
1分ほど撃ち合って、お互い姿を現す。
「そんなものなの?フラン。そんな事では月の兎の私一人倒せないわよ!!」
「あはははは!!レーセンすっごく面白いよ!!じゃあ・・・・・・・・・本気で行くよ!!!」
フランの魔力が上がっていく。
「くっ!!なんて力・・・・・・!!」
「鈴仙・・・妹様を本気にさせるなんて、正気なの!?」
「壊れちゃえ!!スターボウ・・・・・・」
「どっち見てるの?フラン」
「え!?」
唐突に耳元で鈴仙の声が聞こえて来た為、フランは動きが止まる。
そして、そちらを振り向くが、誰も居ない。
「あ・・・れ?」
フランは呆ける。
そして
「だからどっちを見ているの?」
再び、今度は先程向いていた方から声が聞こえ、再び向き直る。
そこへ

ズガガガガガガガッ!!!

「きゃあっ!!!」
弾幕がフランに叩き込まれた。
鈴仙はフランがスターボウブレイクを撃つ前に己の気の振幅を広げ、フランの耳元から声を聞こえるようにし、
そして、フランが振り向いてから直ぐに急接近して、再び声を掛けてから攻撃した。
「痛たたた・・・・・・・・・やったね!?レーセ・・・・・・・・・あれ?」
フランは見上げたが、鈴仙は居ない。
「こっちよ」
鈴仙の声がし、そちらを振り向くフラン。
しかし、鈴仙は居ない。
有るのは瓦礫のみ。

ズガガガガガッ!!!

「きゃあぁぁ!!」
フランは突如背後から弾幕を受けて吹き飛ぶ。
「い、今のは?」
妖夢が咲夜に尋ねる。
「あんな風に使えるなんてね・・・・・・瓦礫に隠れた状態から自分の振幅を広げて、瓦礫越しなのにあたかも傍から話しかけられたようにし、その後、妹様が呆けている間に逆位相を取って姿を消してから背後に回って攻撃・・・ね」
「なんと・・・・・・」
「まったく・・・・・・一体どれ程の力を隠し持ってたのかしら・・・・・・」
貴女達二人は、と聞こえない程度に呟く咲夜。
「あはははは!!本当に面白いね!レーセンは!!」
「そう?ありがとう。でも、そろそろお終いにしましょ」
鈴仙は姿を現してフランにそう告げる。
「なんで?もっとアソボ・・・・・・・・・あれ?」
フランから高まっていた魔力が抜けていく。
「遊びはお終い。子供はそろそろ寝なさい」
鈴仙は微笑みながらそう言う。
「は~い・・・・・・」
鈴仙の言葉にフランは素直に従う。
今まで暴れてたのが嘘であるかのように、フランは大人しくなっていた。
「何をしたの?」
戻ってきた鈴仙に咲夜が問い掛ける。
「気の波長を弄ったんですよ。波長は長くすれば暢気になりますからね」
「なるほどね・・・・・・そんな手があったなんてね」
咲夜が苦笑いをする。
「さて、お仕置きってこれでお終いで良いんですか?」
鈴仙は咲夜に尋ねる。
「そうね・・・妹様があの状態じゃ、今晩はもう暴れそうになさそうだし。二人とも、もう休んで良いわよ」
「解かりました」
「解かりました~」
妖夢と鈴仙は返事をして階段を上っていった。
「まったく・・・・・・罰のつもりが力を覚醒させてしまうなんて・・・・・・・・・お嬢様に報告した方が良いかしら?」
咲夜はそんな事を考えながら、扉を閉めて階段を上っていった。



そして、その後の二人は今までの動きが嘘のように「瀟洒」になっていた。
ミスもショーツを見せるような事もせず、仕事を完璧にこなしていた。
フランとの戦いで二人とも自信を持ったお陰だろう。
そして最終日


「わきゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」
再び門番の声が館内に響き渡った。
「まったく・・・・・・本当に懲りないわね、あれは」
魔理沙の襲来に咲夜が溜め息を吐く。
「メイド長、私達が迎え撃ちましょうか?」
鈴仙が咲夜にそう申し出る。
「ええ、お願いするわ」
咲夜も今では二人を頼もしく思っていた。

「お邪魔するぜ!!」
暫くして魔理沙がやってきた。
「止まれ」
刀を抜き放って妖夢が魔理沙に呼びかける。
「止まれと言われて止まる奴は居ないぜ!!」
「なら、強制的に止めてあげるわ」
鈴仙も現れて魔理沙にそう告げる
「無駄だぜ!!お前達の弱点はこれだ!!」
そう言って魔理沙は思いっきり加速をつけて突っ込んでくる。
妖夢と鈴仙もそれぞれ構えを取る。
「くらえっ!!」
が、魔理沙は突っ込んでは来ず、思いっきり旋回しながらブレーキをかけた。
そうなると、その余波で強い風が巻き起こる。
魔理沙の狙いは二人のスカートを捲る事。
そして、それに気を取られている隙に突破しようと言う目論見だ。
しかし

フォンッ!!!

「何!?」
妖夢は上段の構えから刀を振り下ろし、風を切り裂く。
「無駄だ」
一方鈴仙は、逆位相を取って既にその場に居ない。
そして驚いている魔理沙の真横から弾幕が襲う。
「なぁ!?」
急いで回避し、寸での所で避けきる。
「避けられた・・・・・・か」
何時の間にか魔理沙の真横に回りこんでいた鈴仙が呟く。

(な、何だこいつら・・・・・・!?以前とは・・・いや、今までとは全然違う!!)
魔理沙は戦慄していた。
かつて異変の時に倒した時とは二人とも明らかに違っていたからだ。
「鈴仙さん、私が先に仕掛けます」
「解かったわ。支援は任せて」
妖夢は鈴仙にそう告げると同時に切り込んでくる。
「ナメるなよ!マジックミサイル!!」
魔理沙の魔法弾が妖夢に襲い掛かる。
だが、妖夢は最小限の動きでそれらを全部、突進しながら回避しきる。
「ナメてるのは貴女じゃない?」
突然、魔理沙の耳元から鈴仙の声が囁き掛けられる。
何時の間に接近したのかと、驚いて魔理沙はそちらを見るが、鈴仙はかなり離れた所に居る。
「何処を見ている!!」
それに気を取られている間に妖夢に接近を許していた。
「うわっ!!」

フォンッ!!

間一髪で斬撃を避ける魔理沙。
「な、何だ今のは・・・・・・・・・」
「呆けてて良いの?」
再び鈴仙の声が、今度は位置的に正常な大きさで聞こえてくる。
そして、その直ぐ後に

「な、なんだと!?」

眼前に突然の弾幕の雨。
今まで一切無かったのに、本当に唐突に現れた。
(咲夜が時を止めた!?いや、しかしこの弾幕はうどんげのだ!!)
例え咲夜が時を止めても、その中で動けるのは咲夜のみ。
鈴仙の弾幕が行き成り飛んでくるのは有り得ない。
マインドシェイカーの強化版とでも言えば良いだろうか?
位相をずらして一時的に触れられなくしていたマインドシェイカーを、位相をずらすのでなく逆位相を取って放ってきた。
だから、途中まで一切弾幕が見えなかったのだ。
しかし、それでも何とか回避する魔理沙。
何度も異変に挑んできた実力は伊達ではない。
「くそ・・・・・・今のこいつらを二人相手になんて出来ないぜ・・・・・・・・・」
魔理沙は状況を分析していた。
(と、なると、隙を見て強行突破だな・・・・・・何も馬鹿正直にこいつらを倒す必要は無い)
「覚悟!!」
「落ちなさい!!」
妖夢が斬りかかり、鈴仙が弾幕で支援する。
「そこだ!!!」
魔理沙はその中で一筋の突破ルートを見極め、スターダストレヴァリエで一気に突破をかける。
「何!?」
「し、しまった!!」
「お前達とは、また今度遊んでやるぜ!!」
悔しがる二人に魔理沙はそう言い残す。





「「なんてね」」


が、二人は同時に笑いながらそう言った。
「何?」




「完全(パーフェクト)よ、二人とも」


「咲夜!?」
魔理沙の前に突然咲夜が現れた。
既に妖夢も鈴仙も魔理沙の性格上、退くよりは強引な突破を試みる事は予想できていた。
だからこそ、わざと「突破しにくい突破ルート」を攻撃の中に用意していた。
それを作る事で気の強い魔理沙をその先の罠へと誘導したのだ。
「くそ!!マスター・・・・・・」
魔理沙の言葉はそこで止まった。
いや
全てが止まっていた。
只一人の少女を除いて。






「幻世・ザ・ワールド。貴女の時間は私のもの」


そして、時間が止まっている間に咲夜は魔理沙の周りにナイフを配置する。
「残念だったわね、魔理沙。私の姿を見た時点でチェックメイトだったのよ」
そう言って時間停止を解除する。


「スパわああぁぁぁぁぁ!!!」

さしもの魔理沙もこれは回避できず、撃沈した。
魔理沙は再び紅魔館の医務室の世話になる事になった。
因みに、魔理沙は医務室の世話になる度に本を数冊返却する事になっていた。
こうして、見事有終の美も飾り、二人のメイド生活は終了した。



「さて、これで貴女達の役目もお終い。良くやってくれたわ」
咲夜は二人にそう言う。
「いえ、こちらこそ良い修行になりました」
妖夢はそう返し
「ええ、色々勉強できましたよ」
鈴仙もそう返す。
「それにしても残念だわ・・・・・・二人とも、ここに残って仕事する気無いかしら?」
これは咲夜の本心だ。
10日の間に見事に「瀟洒」に成り得たこの二人を手放すのは惜しいと思っているのだ。
「いえ、私には幽々子様が居りますので」
「私も師匠や姫達が居ますから」
無論、二人は丁重に断った。
「そう・・・・・・まぁ、仕方ないわね」
自分とて他の所から誘われても同じように断るのだろうから。
「ああ、そうそう。これは持って行ってくれるかしら?」
そう言って咲夜が二人に手渡したのは、二人が10日間使っていたメイド服と下着。
「私はサイズ合わないし、他のは・・・・・・・・・ねぇ?」
妖精は基本的にサイズが小さい。
妖夢も大きい方ではないが、流石に妖精と比べる程ではない。
「はぁ・・・・・・まぁ、構いませんが・・・・・・・・・」
「そうですねぇ・・・・・・一応、貰うだけ貰っておきます」
断って突っ返す訳にも行かず、二人とも紙袋に入っていたそれらを受け取った。
「それじゃ、お疲れ様」
「はい、ありがとう御座いました」
妖夢はお辞儀をする。
「お世話になりました」
鈴仙もお辞儀をし、そして二人とも在るべき所へと帰っていった。



白玉楼

「幽々子様。魂魄妖夢、ただいま帰りました」
妖夢は5日ぶりに会う己の主に礼をする。
「お帰りなさい妖夢~。どう?何か掴めたかしら?」
「はい。色々良い勉強になりました」
「そ~、それは良かったわ~。あら?それは何~?」
幽々子は妖夢の持っている紙袋を指差す。
「え?あ、これは私が紅魔館で着ていた物です。何でも、向こうも使い道が無いので持って行ってくれと・・・・・・・・・」
「そうなの~、じゃあ、これから何日か置きにそれを着て仕事をしてね~」
「えぇ!?何でそうなるんですか!?」
なんだかんだと言って、妖夢はこのメイド服を着るのは恥ずかしい。
紅魔館は周りが皆メイド服だからまだ良かった。
だが、この白玉楼でこの格好は浮きすぎる。
いくら幽霊しか居ないと言っても恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。
「あらあら~、妖夢は今回の事で色々掴めたんでしょ?それを忘れない為にはそれを思い出す事も重要よ~?」
幽々子にそう言われて妖夢はハッとなる。
(そ、そうか。折角掴んだ事も忘れてしまっては意味が無い。幽々子様はその為にそう仰ってるのか!!)
「解かりました。では、三日に一度くらいはこの服を着て仕事を致します」
恥ずかしくは有るが、そう言う理由ならば納得も出来る。
妖夢はそう思い、幽々子の言いつけに従った。
「あらあら~?別に毎日でも良いのよ~?」
「いや、それは流石に・・・・・・・・・」
勘弁してください、と妖夢は告げた。
こうして妖夢の紅魔館での修行は完了となった。



永遠亭

「ただいま帰りました~」
永遠亭の永琳と輝夜の居る部屋に着き、鈴仙は挨拶をした。
「お帰りなさい、うどんげ。お疲れだったわね」
そう言って永琳がお茶を差し出す。
「あ、ありがとう御座います師匠」
そして差し出されたお茶を飲む鈴仙。
「はぁ~・・・・・・大変でしたよ~」
鈴仙は10日間の事を思い返しながらそう言う。
「そうなの?色々聞かせてほしいわね。」
輝夜が鈴仙にそう言った。
「えっとですねぇ・・・・・・」
そして鈴仙がそれを話そうとする。
「あ、その前にうどんげ。」
が、永琳にそれを遮られる。
「あ、はい。何ですか?」
「それは何?」
そして鈴仙が持って帰ってきた紙袋を指差す。
「あ~・・・・・・これは向こうで着てた服です。」
「そうなの?見せてくれる?」
「あ、はい。」
鈴仙は紙袋を永琳に渡す。
そして永琳はそこから服を取り出してかざす。
「まぁ・・・・・・随分短いのね、これ。」
短いとは当然スカートだ。
「まぁ、私の普段履いてるのとあまり変わりませんが・・・・・・」
お茶を飲みながら鈴仙はそう返す。
「ふ~ん・・・・・・・・・・・・ねぇ、永琳」
それを見ていた輝夜が永琳に呼びかける。
「何でしょう、姫」
「イナバがこれを着た所、見てみたくない?」
「あら?私も丁度そう思ってたんですよ」
鈴仙は既に撤退の準備を始めていた。

捕まったらヤヴァイ

本能がそう告げていた。
静かに出ようとしたその時
「!?」
突如、ガクンッと力が抜けた。
「あらあら?どこに行くのかしら?うどんげ。」
後ろから永琳の声が響く。
「師匠!!まさか、さっきのお茶に!?」
「ご名答♪力が抜けるお薬をサラサラッとね。」
どうやら盛られていたようだ。
何故そんな事をしていたのか?
それは文々。新聞にて5日目の時の魔理沙の撃退が新聞に取り上げられており、その時にメイド姿の鈴仙を二人は見たのだ。
そして、帰って来たら服を着させる為に、すでに特注で別のメイド服を作り上げさせていた。
それを着せる予定であったのだが、持って帰ってきてるのならそちらの方が良いとしたようだ。
「ふふふふふ・・・・・・」
「ふふふふふ・・・・・・」
永琳と輝夜が怪しげな笑みを浮かべて近寄ってくる。
「ちょっ!?ま、待ってください!!」
「ダ~メ♪」
「わきゃあああぁぁぁぁぁぁ!!!」
鈴仙はあっという間に捕獲され、あれよあれよと服を脱がされていく。
「や、やめっ!!解かりました!!着ます!!着ますから!!!自分で着替えさせてください!!!」
「何言ってるの、うどんげ」
「そうよ、脱がすのも楽しみの一つじゃない」
が、二人は一切耳を貸さない。
「姫!何て事言ってるんですか!!」
「良いではないか良いではないか~」
「そんなの何処で覚え・・・・・・・・・うひゃああぁぁぁぁぁ!!!」
鈴仙の抗議など輝夜には無意味。
あっという間に服を脱がされてしまった。
「ううぅぅぅ・・・・・・・・・」
「あらあら、こんな事で泣かないの。うどんげ」
「まったく・・・・・・・・・・・・あら?」
その時、輝夜はふと、ある物に目が言った。
「ねぇ、永琳。これ・・・・・・」
「なんですか、姫?・・・・・・・・・これは・・・・・・・・・」
「いぃ!?」
輝夜が見つけた物。
それは例の過激な下着。
鈴仙は凄まじく嫌な予感を感じ取る。
いや、これは予感ではなく確信。
「ふふふふふふふふふ・・・・・・・・・・・・」
「ふふふふふふふふふ・・・・・・・・・・・・」
更に怪しくなった目つきで二人は鈴仙を見る。
「ちょ・・・冗談ですよね!?それは冗談ですよね!?」
鈴仙は必死に訴える。
だが
「良い子にしてなさいね、うどんげ」
「大丈夫よ、痛くしないから」
「痛くしないって何ですか!?いや、本当!それだけは自分でやらせて下さい!!!」
「ここまで来て何言ってるのよ。」
「さぁ・・・・・・覚悟は良いかしら?イナバ」
「ちょっ!!やめ・・・やめ・・・・・・・・・!!!!」
怪しげな二人が過激な物を持ってにじみよる





「いや・・・・・・いやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」




悲痛な鈴仙の叫びを聞き届ける者は誰も居ない。

「ごめんね、鈴仙。入ったら間違いなく私も巻き込まれるから。」
いや、居るには居たが、あっさりと切り捨てた。
彼女の名前は因幡てゐ。
まぁ、その判断は正常なのであるが。



「うぅぅ・・・・・・もうお嫁に行けない・・・・・・・・・」
「女同士で裸見られたくらいで何言ってるのよ。」
「まったく、そんなんだから未だに未通娘なのよ、イナバは。」
「純潔って言ってください!」
「こんな過激な下着で?」
「う・・・・・・・・・うわああぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」

鈴仙・優曇華院・イナバ
この調子では折角目覚めた力も忘却しそうである。


-了-
妖夢&鈴仙in紅魔館、終了しました~

あ~・・・・・・・・・鈴仙の狂気を操る能力がエライ頭使いました。
幻術みたいに居ない位置に自分を見せたり出来るのかと思えば、求聞史記見る限りではそこまでは書いてませんでしたし、逆位置の姿を消すも物理的に出来るのかも不明でしたし・・・・・・作中では物理的に消えちゃってますが。
公式に物理的に姿を消すのは不可能だと書いてあったら遠慮なく突っ込んでください。
そうでなければ、そういう設定なんだと思ってください^^;

後でこの10日間の幽々子達の様子も書いてみようかと考えています。

では、好評不評問わず待ってます。
華月
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コメント



0.1710簡易評価
4.90名前が無い程度の能力削除
期待以上の面白さでした!
鈴仙すげぇw 妖夢のいない白玉楼ってのは、想像できないので楽しみ。
8.100名前が無い程度の能力削除
すごく面白かった
9.80名前が無い程度の能力削除
面白かったです。
19.50椒良徳削除
うーん、なんでしょうなあ。妹様とのバトルは要らなかったような。
もっとえちぃ方向につっぱしって欲しかった気がします。
20.90名前が無い程度の能力削除
弾の逆位相の波長を取るのは物理学的に弾の物体としての消滅を意味するので流石に無理でしょうけど、球に当たって反射する光の逆位相を取れば見えなくなると思います。前編共に面白かったです。
>地価へと続く
地下じゃないですかね。
>魔方陣
魔法陣じゃないですかね。
21.無評価華月削除
>地価へと続く
>魔方陣
誤字修正いたしました。ご指摘ありがとうございます。

>もっとえちぃ方向に~
そっち方面の表現が苦手な物で・・・^^;
フランとのバトルは、後の魔理沙との対決の為の2人のパワーアップみたいな感じで書きました。
が、そう感じられてしまうのは自分の技量不足だと思います。精進いたします。
ご指摘ありがとうございます。

32.100名前が無い程度の能力削除
非常によいテンポのお話で楽しめました