この話は紫の思いつきシリーズの続きですが、読んでいなくても楽しめるよう書いております。
参考までにあらすじは
料理対決にて、賞品として紅魔館に10日間貸し出されてしまった鈴仙。
そして、料理対決で大敗した事で幽々子に紅魔館に行くよう任務を命じられた妖夢。
奇しくも、二人は同時期に紅魔館で働く事になった。
ちなみにこの話はちょっと内容がえちぃかも知れません。
具体的に言うとショーツと言う単語がかなり出てきます。
それでも構わないと言う人はご覧下さい。
紅魔館・門前
「はぁ・・・・・・・・・何でこんな事になっちゃったんだろう?」
鈴仙は紅魔館を前にして溜め息を吐く。
「あれ?貴女は・・・・・・」
「ん?」
聞き覚えのある声に、鈴仙は振り向く。
「あれ?何で貴女がここに居るの?」
それは白玉楼の庭師、妖夢だった。
「いえ、それが・・・・・・・・・」
妖夢は事のあらましを鈴仙に話した。
「なるほどねぇ・・・・・・貴女も大変ねぇ」
「いえ、自分の不甲斐なさが招いた事です」
(生真面目ねぇ・・・・・・・・・)
鈴仙は口には出さずそう思った。
「じゃあ、貴女も今日からここで働くんだ?」
「ええ、そう言う事になりました。」
「そっか、それじゃお互い10日間の辛抱だけど、よろしく」
「ええ、こちらこそよろしく」
二人とも軽く笑いながらそう交わす。
「こんにちわ~」
そうしていると二人とも声を掛けられた。
「あら、優勝者のお出ましね」
「あはは~、ありがとうございます」
話しかけて来たのは眼前にある紅魔館の門番、紅美鈴だった。
「昨日はお見事でした。完敗でしたよ」
妖夢が美鈴にそう言う。
「ありがとうございます。でも、誰が勝ってもおかしくなかったですよ」
美鈴は軽く笑いながらそう返す。
「いえ、私など幽々子様の言うとおり気配りが足らず・・・・・・恥ずかしい限りです」
悔しそうな表情を浮かべる妖夢。
「まぁ、過ぎた事言ってもしょうがないか・・・・・・私達の事って聞いてます?」
鈴仙が美鈴に尋ねる。
「ええ。何でも二人とも咲夜さんの下で働くとか・・・・・・・・・」
「はい、そう言う手筈だと聞いております」
「え?そうなの?私は初耳だけど・・・・・・まぁ、私に拒否権なんて無いんだけどね」
案外鈴仙は割り切っていた。
「頑張ってくださいね~。咲夜さんはとても厳しいですから。まぁ、優しい所もあるんですけどね」
では、こちらへ・・・と言って美鈴が二人を案内した。
紅魔館・館内
「良く来たわね。魂魄妖夢。鈴仙・優曇華院・イナバ」
美鈴に案内された二人は今、メイド長の十六夜咲夜の前に立っている。
「はい。幽々子様の命によりこちらに参りました」
「私は賞品なのでやってきました」
「よろしい。では、まずは二人とも着替えて貰うわ」
「え?着替えですか?」
「このままじゃダメなんですか?」
二人が咲夜に問う。
「貴女達は今から只のメイド。そして私はメイド長。その意味が解かるかしら?」
口答えするな、と表情と雰囲気がそう語っている。
「解かりました」
「それで、着替えは何処で?」
二人とも素早く従い、まずは着替える場所を尋ねる。
「案内させるわ。そこの貴女!!」
咲夜は近くにいた妖精メイドを呼び付ける。
「この二人を用意しておいた部屋に案内してあげて」
「は~い」
間の抜けた返事を返して妖精メイドは答えた。
「単純な道の筈だから、着替えたら直ぐに戻ってきなさい」
咲夜にそう言われ、そして二人は妖精メイドの後について行った。
妖精メイドに案内された二人は個室に辿り着く。
「こちらが兎さんの、こちらが剣士さんの部屋です~。あ、着替えはそのクローゼットの中ですから~」
そう告げると妖精メイドは去ってしまった。
「個室は貰えるんですね」
「そのようですね」
妖夢と鈴仙はそれぞれの部屋に入って行き、そして着替えて咲夜の元へと戻った。
「戻ってきたわね、それじゃ仕事の説明をするわ」
「あ、あの!その前に・・・・・・・・・」
妖夢が控えがちに手を上げる。
「何かしら?」
「な、なんでこんなに丈が短いんですか?それに・・・・・・下がスースーするんですが・・・・・・・・・」
妖夢と鈴仙が来ているのは咲夜が着ているのと同じメイド服。
なので、当然咲夜同様スカートの丈が短い。
加えて、二人のクローゼットの中には一枚の紙が添えられていた。
その紙に書いてあった内容は
「これから10日間、服はここにある3着を着まわす事。下着は支給された10着を1日1着ずつ変える事。ドロワーズは不許可」
だった。
因みにメイド服は全部同じ物である。
が、下着・・・・・・所謂、ショーツは何故か全部違う種類だった。
妖夢が落ち着かない理由はまさにそれだった。
今にも見えそうな丈のスカートの下に、ドロワーズではなくショーツを履いているのだから。
「何言ってるの。完全で瀟洒な者になるには当然の事でしょう」
しれっと咲夜は返す。
「そ、そうなんですか?」
妖夢が疑わしげに返す。
「信じていないようね。貴女、今から私が蹴りを繰り出すからちゃんと避けなさいね」
「え?」
突然、妖夢は咲夜にそんな事を言われた。
「そしてその攻撃の合間に私のショーツが見えるか試して御覧なさい。鈴仙、貴女もよく見てるのよ」
「あ、はい!」
不意に名前を呼ばれてビクッとなって返す鈴仙。
雰囲気が永琳に似ているからだろうか?既に服従しているように見える。
そして咲夜が妖夢への間合いを詰める。
シュンッ!!
素早い前蹴りが妖夢の顔面目掛けて繰り出された。
妖夢は咄嗟にそれを避ける。
今のは行き成りだったのでショーツを見る暇がなかった。
と、思ってると矢継ぎ早に蹴りが跳んできた。
懸命に避ける妖夢。
そして、その合間に言われた通りショーツを覗き見ようとする。
が、見えない。
脚の動きが早く、攻撃が激しい所為もあるが、それにしたって全く見えない。
(ま、まるで見えない!?そんな馬鹿な!!)
妖夢は驚愕していた。
あの短いスカートで足を上げれば、どうやったって見えると思うのが普通だ。
が、まるで見えない。
何か見えない力が作用しているかのように、少ない布地、脚などが絶妙に隠すのだ。
(時間を止めてる!?いや、そんな不自然な動きは見受けられない!!)
やがて咲夜の攻撃が止む。
「どう?見えたかしら?」
「い、いえ・・・・・・・・・」
(だが、鈴仙さんなら・・・・・・・・・)
攻撃をされる事無く傍観していた鈴仙なら見えてた筈だ。
妖夢はそう思った。
しかし
「わ、私も全然見えませんでした・・・・・・・・・」
「そ、そんな馬鹿な・・・・・・・・・・・・」
鈴仙のその言葉に愕然となる妖夢。
「言っておくけど、時間は止めてないわよ?」
それは妖夢も解かっていた。
あの速度で時間を止めれば動きが何コマか「飛ぶ」からだ。
妖夢程の剣の使い手ならば動体視力も一級品だ。
その動体視力の持ち主がそれを見逃す事など有り得ない。
「解かったかしら?完全で瀟洒とはこう言う事でもあるのよ」
さも当然とばかりに咲夜は言う。
「え?しかしそれが何故・・・・・・・・・?」
確かに凄かったとは思うが、それが「完全で瀟洒」とどう関係しているか今一解からなかった。
「解かってないわね・・・・・・・・・ドロワーズは見せ下着。とは言っても下着は下着。見せびらかすなんて、はしたないわ」
「いえ、でも私のスカートは丈が長いので・・・・・・・・・」
「貴女の今来ている服は?」
それはとても短い。
「う・・・・・・とても短いです」
「その服でドロワーズなんて履いたらどうなるかしら?」
はみ出しどころか殆ど丸出し状態だ。
「そ、それは・・・・・・・・・」
「殆ど丸出し状態。はしたない事この上ないわ」
「う・・・・・・・・・」
実際そう思ったのだろう、妖夢は黙り込む。
「そして、ドロワーズを履いているからって堂々と見せながら戦う様は、私から見たらとてもはしたないわね」
頬に手を当て、やれやれと言った感じで咲夜は言う。
「下着を見せびらかしながら戦う事が貴女には「完全で瀟洒」だと思うのかしら?」
「いえ、そう言うわけでは・・・・・・・・・」
「それに引き換え、私はどう?こんな短いスカートでも決して相手に見せない」
確かにドロワーズとは言え、下着を頻繁に見せてるのはお世辞にも「瀟洒」とは言えない。
しかし、まぁ、男からすれば、咲夜のように短いスカートで激しく動かれると、所謂「チラリズム」を刺激され、そちらの方が余計にけしからんと感じる物である。
まぁ、女性である咲夜がそれを知る訳はなし。
「完全で瀟洒な動きだからこそ貴女達に見られる事がなかったのよ。解かったかしら?」
「わ、解かりました・・・・・・・・・」
まるで「痴女」だと言わんばかりの事を言われ、妖夢は凹む。
「これは貴女の修行にもなるんじゃないかしらね?」
「私の・・・・・・・・・?」
(まさか、幽々子様は私を瀟洒にする為に!?)
妖夢はそう思い至る。
「解かりました。本日より10日間、この姿で仕事をさせていただきます。」
「それでいいわ。鈴仙は?文句はないわね?」
「え?ええ、まぁ・・・・・・・・・私に拒否権はありませんし・・・・・・・・・」
「ああ、それからこれから10日間私の事はメイド長と呼ぶように。くれぶれも名前で呼ばない事。解かったかしら?」
「「解かりましたメイド長」」
二人は声を揃えて返事をした。
「それからもう一つ。貴女達がミスするたびに減点させて貰うわ。」
「減点?」
妖夢が聞き返す。
「ええ、そうよ。仕事をミスするたび、瀟洒に反する行動を取ったたびに減点されるわ」
「瀟洒って具体的にはどんなです?」
鈴仙が尋ねる。
「瀟洒は洗練されたと言う意味よ。要するに、無駄なく動きなさいと言う事。ショーツを見せるなんて言語道断よ?無駄なく動けばそうはならない筈だわ」
「き、厳しいなぁ・・・・・・・・・」
鈴仙が呟く。
「因みに、減点が50ポイントに到達したらお仕置きだから、覚悟なさい」
「お、お仕置きですか?・・・・・・どんな?」
恐る恐る妖夢が尋ねる。
「それはなってみてからのお楽しみね」
((全然楽しくない))
奇しくも二人ともそう思っていた。
「さぁ、始めるわよ」
こうして二人のメイド生活が始まったのだった。
「そこっ!ショーツを見えてるわよ!!」
ヒュオンッ!!
「す、すみません!!!」
短いスカートから僅かにショーツをのぞかせてしまった妖夢にナイフが飛んでくる。
現在、妖夢と鈴仙は廊下のモップ掛けをしていた。
「うぅ・・・・・・鈴仙さんは何で大丈夫なんですか?」
「え?私?まぁ、普段から短いしね、私のスカートも」
言われてみればそうだった。
「口を動かす暇があったら手を動かしなさい!!」
ヒュオンッ!!
「は、はい!!」
再びナイフ。
そして、早く終わらせる為に走り出す妖夢。
「だからショーツを見せるなと言ってるでしょ!!」
ヒュヒュオンッ!!
「す、すみません!!!」
今度は二本飛んできた。
「鈴仙!貴女は少し遅いわよ!!」
「は、はい!!」
短いスカートには慣れている筈の鈴仙。
しかし、何処か動きがぎこちない。
慣れない服の為であろうか?
「静かに!素早く!完璧にこなしなさい!!」
中々に難しい事を注文する咲夜だった。
しかし、それでも二人とも普通の者よりは遥かに手際が良い。
普段から掃除慣れしている所為であろう、妖精メイドと比べれば雲泥の差である。
それくらいは咲夜だって解かっている。
それでも
「スカートが捲り上がらない様に早く動きなさい!!」
ヒュヒュオンッ!!
妥協は許さないようだ。
今度は一本ずつナイフが飛んでいった。
「は、はい!」
「すみません!!」
初日、二日目は激しくナイフが飛び交っていた。
因みに二日目終了時点で減点は既に妖夢は31、鈴仙は28だった。
減点理由は妖夢は上記の通り。
鈴仙は何故か細々とミスをしていた。
三日目
鈴仙は窓拭きをしていると
「あら?」
聞き覚えのある声が聞こえて来た。
「あれ?貴女は確か・・・・・・・・・アリスさんだっけ?」
「ええ、お久しぶりね」
振り向いてみると、そこにはアリスが居た。
「何で貴女が・・・・・・・・・ああ、本を借りに来たの?」
前回の料理対決中に、紫の口よりアリスがここの図書館で本を借りている事を説明されたのを思い出したようだ。
「ええ、そうなんだけど・・・・・・・・・」
鈴仙の姿を見て何か言いたそうにするアリス。
「あ~・・・・・・なんとなく言いたい事解かるけど、聞かないで」
先にそう釘を刺す鈴仙。
「解かったわ。と言うか、さっき妖夢に会って大体の事は聞いたのだけれどね」
「そう・・・・・・」
「大変ねぇ、貴女も」
「本当よ・・・・・・・・・」
がっくりとうな垂れて鈴仙は言う。
「あれ?」
ふと、視線がアリスが持っている本に行く。
「その本は・・・・・・ああ、それが例の外の料理の本ね」
「ええ、返すついでに新しいのでも借りていこうかと思ってね」
「へぇ・・・・・・料理が趣味なの?」
「趣味と言えなくもないけど・・・・・・今回のは違うわ」
やれやれと言った感じで首を振るアリス。
「前の対決の時にちょっと賭けしちゃってね」
「賭け?」
「そう、優勝できるかどうか」
言わずもがな、アリスは自身の優勝にかけたのだ。
「ま、結果はご覧の通りって奴でね」
「誰と賭けたの?」
「魔理沙と霊夢」
「ああ、やりそうね。あの二人は」
「で、負けたからあの二人の料理をご馳走する事になっちゃったのよ」
「なるほど」
「しかも、向こうの要望でフランス料理を・・・・・・・・・ね」
「あ~・・・・・・・・・それで幻想郷の食材でも作れそうな奴を探しに来の?」
「そう言う事よ。一応、別のが良いって言われちゃったからね」
「そちらも大変ねぇ」
「貴女ほどじゃないわよ」
「ごもっとも」
と、話し込んでいると
「鈴仙、貴女仕事は進んでるのかしら?」
咲夜が現れた。
手にナイフをかざしながら。
「つ、次の窓に行って来ます~!!」
そう言って鈴仙は駆けて行った。
因みにスカートは捲れて居ない。
やはり慣れなのだろう。
紅魔館の廊下は窓が少ないので、鈴仙はあっという間に離れた場所まで行った。
窓が少ない理由は日光が入り辛くするため。
その理由は吸血鬼の住処なら言わずもがなだ。
「全く・・・・・・・・・」
「あの格好は貴女の趣味?」
「冗談でしょ?」
アリスの問いに咲夜はそう返した。
「あら?違ったの?てっきり趣味で着させてるのかと思ったわ。」
「慣れない人間にあんなの着せたら仕事効率落ちるに決まってるわ。全く・・・誰が好き好んで・・・・・・・・・」
咲夜本人は今回来る二人には能率を期待していた。
二人ともそれぞれ大きな住処で家事全般をやらされている。
その者達が来れば、10日とは言え楽が出来るからだ。
だが・・・・・・・・・
「あら?じゃあ、お嬢様?」
「だったら、お嬢様が見に来てるわよ」
「それもそうね・・・・・・・・・」
無論、レミリアは居ない。
今は昼の為、寝ているのだ。
「じゃあ、まさか、他の誰かの指示で?十六夜咲夜ともあろう者が弱みでも握・・・ら・・・・・・れ・・・・・・」
アリスの語尾が小さくなる。
咲夜は右手を眉間に当てる。
それでアリスは察した。
己の推察が当たった事に。
「・・・・・・・・・そう・・・そうなのね・・・・・・・・・・・・」
「ええ・・・そうよ」
咲夜もあえて隠す事はしなかった。
「お気の毒に・・・・・・・・・」
「貴女にそんな事言われるなんてね・・・でも、貴女も気をつけた方が良いわよ。気を付けてもどうにもならないでしょうけどね」
「・・・・・・・・・そうね」
事は4日前に遡る
4日前
料理対決が終わった晩。
咲夜はそろそろ就寝しようと、自分の部屋で準備を整えていた。
因みにレミリアは昼間起きていたので、今日は夜だが寝ている。
そこへ
「お邪魔するわよ~」
悪気など欠片もなく現れた存在が一人。
こんな神出鬼没な現れ方が出来るのは、咲夜の知っている限り二人のみ。
そして、この特徴的な喋り方は確かめるまでもない。
「何の用かしら?隙間妖怪」
幻想郷最強の妖怪、八雲紫だ。
「もう、ごあいさつねぇ」
「こんな夜中に尋ねてきて、まともな対応する訳ないでしょ?」
「それもそうね。それじゃ手短に用を済ませましょうか。」
「用?」
まぁ、何らかの用があって来たのであろう事は咲夜にも予想は付いていた。
でなくばこの妖怪も寝ている時間だ。
「そう。本当はもう寝ようかと思ったんだけど、ちょっと幽々子に御呼ばれしちゃってねぇ」
紫はそう切り出す。
「で?それと何の関係が?」
ただでさえ寝たいのに、こんな不法侵入をされて咲夜も機嫌が悪い。
「もう、せっかちねぇ・・・・・・で、聞く所によると、妖夢が明日から来るそうじゃない?」
「それが何か?」
咲夜は、さっさと話を切り上げたいので必要最低限の返事のみをする。
「で、あのうどん娘(こ)も明日から来るって話を聞いてね」
「だから何?さっさと用件を言いなさい。」
声に苛つきが混じっている。
「本当、せっかちねぇ・・・・・・まぁいいわ。それじゃ、本題。妖夢達この服を着させて仕事させて」
それは咲夜が着ているのと全く同じメイド服だった。
「!?貴女、それをどこで!?」
咲夜は何時の間に盗まれたのかと思った。
「ああ、違うわよ?これは私が作ってもらった物よ。貴女のじゃないわ」
紫が咲夜の思考を読んでそう言う。
「それがどうであろうと、貴女に従う義理はないわ。」
こんな言葉で引き下がる妖怪とは思っていないが、咲夜はそう返す。
「そう・・・・・・・・・それじゃ仕方ないわね。じゃあ、私は帰るわね」
が、存外、あっさりと引き上げてくれようとしていた。
「ええ、二度と来ないでくれると嬉しいわ。」
咲夜はそう返す。
「イケズね~。ま、いいわ。それじゃ、おやすみなさい」
そう言って、自分の背後に隙間を開いて踵を返す。
と、その時
ヒラッ・・・・・・・・・
紫から何かが落ちた。
「あら?いけないいけない。」
そして紫はそれを拾おうとする。
「・・・・・・・・・!?そ、それは!?」
そして紫が拾う瞬間、それが何であるか咲夜は気付く。
「さて、それじゃ・・・・・・」
「待ちなさい!」
帰ろうとする紫を咲夜が止める。
「あら?どうかしたのかしら?」
わざとらしく返す紫。
「今の・・・・・・・・・今の写真、見せなさい」
「あら?何の事かしら?ゆかりん解かんな~い♪」
思いっきりわざとらしくすっとぼける紫。
「良いから見せなさい!」
思わず怒鳴る咲夜。
「ふっふっふっふっふ~・・・・・・・・・これかしら?」
ピラッ
そう言って先程落した写真を咲夜に見せる紫。
「っ!!貴女・・・・・・・・・それを何処で・・・・・・!?」
「ふふふ・・・私は自由に外の世界に行ける。そして隙間を通じて好きな所へも行ける。と言う事は?」
「くっ・・・・・・・・・!!どこまで良い趣味してるのよ、貴女は・・・!!」
騒いで人に来られると困るので、どうにか声を抑える咲夜。
「あら、お褒めに預かり光栄ね♪」
「それを褒めてると取れる貴女の頭の中身を知りたいわ・・・!!」
「あら?見ても貴女じゃ理解できなくてよ?」
「したくもないわね」
精一杯の虚勢を返す咲夜。
だが、どう足掻いても咲夜の方が状況が悪い。
無論、その理由はその写真。
その写真とは
「良く撮れてるでしょ~?貴女のお嬢様の生着替え♪」
何て事をしているのか、この隙間妖怪は。
そこには下着一枚で映っているレミリアの姿があった。
「・・・・・・・・・二人にそのメイド服を着させれば良いのね?」
「あら?良いの?悪いわね~♪」
にこやかに言う紫。
「解かったからさっさとその写真を寄越しなさい・・・!!」
「はいはい、それじゃお願いね」
そう言って紫は写真と同時に服も渡す。
「ああ、後それから・・・・・・・・・」
「これ以上は聞かないわよ。写真は1枚。聞くのも一つだけだわ」
咲夜はそう返す。
「あら?そう?」
そう言ってニンマリ笑う紫。
その笑顔は、誰でもいやな予感を感じさせられる。
「ま、まさか・・・・・・・・・」
「その、ま・さ・か、よ。」
そう言って更に二枚の写真を取り出す紫。
「っっっっっっっ!!!!!」
咲夜の表情が引きつる。
「んっふっふ~♪」
勝ち誇ったように笑う紫。
「こ、この・・・・・・・・・!!!」
「別に良いのよ?言う事聞かなくても。天狗に渡すだけだから、これを」
その写真は一枚はまだマシ。
マシな方はレミリアの寝顔。
天使の寝顔と称せるような写真だった。
だが、もう一枚は大いに問題ありだ。
なぜなら、レミリアの入浴写真。
しかも、湯気やタオルなどで隠れている場所が一切なく、その上危険な場所が思いっきり映っている。
「くっ・・・・・・!!だけど、あの天狗はそんな物を載せるとは思えないわ」
咲夜の言っている天狗とは文の事だ。
文は、事件なら相手の事を考えず新聞に載せたりするが、こんなピンク色剥き出しの写真を記事にしようとはしない。
だが、
「あら?新聞を作っている天狗があの娘だけとでも?」
そう、新聞を作っている天狗は沢山居るのだ。
中には当然真実よりも面白おかしさを追求する者も居る。
「その中には喜んでこれをネタにする者も居るかもしれないわね~」
楽しそうに紫は言う。
「そしてその写真は当然、人の里に配られる。あぁ・・・・・・お嬢様の玉のお肌が幾人もの人間の晒し物に!!そして、醜い男の妄想で、あんな目やこんな目にあって汚されるんだわ・・・・・・・・・」
紫がいやんいやんと両頬に手を当てて体を揺する。
だが、その表情はどこまでも楽しそうだ。
「~~~~~~~っっっっっっ!!!!!!」
妄想で汚されると言う言葉に咲夜は身の毛がよだつ。
(お嬢様が汚される!?下賤の者どもに!?そんな事あってはならないわ!!!!!!)
「・・・・・・・・・で、他に何を要求するのかしら・・・!?」
お嬢様が汚されてはならない。
咲夜は紫の条件を飲む事にした。
「あら?なんか悪いわねぇ♪」
(そう思うなら盗撮などするな!!!)
叫びたい咲夜だが、ここで相手の機嫌を損ねるとどうなるか解かったものではない。
屈辱だが、今は下手に出るしかないのだ。
「まぁ、そんなに酷い事は言わないわ。と言うか、簡単な事よ」
そう言って紫は新たに二つの袋を隙間から出す。
「こっちが妖夢用。こっちがうどん娘用の下着ね。これを着用させて。理由は貴女の好きにして良いから」
そう言って写真と共に咲夜に渡す。
「解かったわ・・・・・・」
渋々承諾するしかない咲夜。
(下手に断ったり騙したりしたら、また盗撮されてお嬢様が・・・・・・・・・)
そう考えると最早逆らえない咲夜だった。
「それじゃ、お願いね~♪」
そう言って紫は隙間に消えた。
だが、咲夜は知らなかった。
外の世界には「ネガ」と言う写真を何枚も複製できる元がある事を。
時間は戻る
「はぁ・・・・・・・・・」
咲夜は思い出して再び軽い頭痛を起こす。
因みに、その3枚の写真は咲夜の机に大切にしまわれている。
その使用用途は本人のみぞ知る。
「じゃあ、私も用事が有るから行くわね。」
「ええ・・・・・・」
そうしてアリスと別れていった。
五日目
五日目にもなると、妖夢も鈴仙も慣れてきたのかナイフを飛ばされる事がなくなっていた。
減点も二人とも40まで行ってしまってはいたが、妖夢は三日目では7点だが、四日目に2点と、確実に抑えていた。
鈴仙の方も最近になって漸く細々としたミスも減り、三日目では9点、四日目は3点だった。
「はぁ・・・・・・・・・やっと感覚が掴めて来たかな?」
妖夢がそう思った時だった。
「うきゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」
外から叫び声が聞こえて来た。
「また来たわね・・・・・・黒い悪魔め!!」
咲夜が忌々しげに言う。
妖夢も鈴仙もその言葉で全て察した。
紅魔館を、正確にはヴワル魔法図書館を度々襲撃する白と黒の魔法使い。
霧雨魔理沙の襲来だ。
「妖夢、鈴仙。緊急指令よ。言わなくても解かるわね?」
「はいっ!!」
「解かりました!!」
二人ともそう返事して臨戦態勢に入る。
程なくして魔理沙が見えてきた。
「お?今日は珍しいのが珍しい格好で居るな」
「うるさい!」
「仕方なくよ!」
妖夢と鈴仙が怒鳴り返す。
「おお、怖いぜ。それじゃさっさと頂く物頂いて帰るとするかな」
そう言って魔理沙は通過しようとする。
「生憎と、貴女を通さないように命令が出てるんです」
「そう言う事。大人しく引き返しなさい」
「成る程な・・・・・・・・・だが、はい、そうですかって訳にも行かないぜ」
案の定魔理沙は引き返さない。
二人は少し不安だった。
ここでの日常生活レベルなら、何とかこのスカートでも「瀟洒」に振舞う事が出来る。
が、こと戦闘となると話は別だ。
動きの激しさが段違いな上に、日常生活とは体の動かし方が全然違うのだから。
「先手必勝!ミルキーウェイ!!」
魔理沙から多数の星が放たれる。
「こんなもの!」
「なめるな!!」
二人とも悠々と回避する・・・・・・・・・が
「ショーツを見せるな!!!」
ヒュヒュオゥンッ!!
「うひゃあ!?」
「うわぁ!?」
咲夜の厳しいチェックが入って来た。
どうやら魔理沙を通すよりも「瀟洒」で在れない事の方が許せないらしい。
「ちょっ!?咲夜・・・・・・じゃなかった、メイド長!!何するんですか!?」
妖夢が咲夜に向かって叫ぶ。
「貴女こそ何をしているのかしら?そんなはしたない戦い方をするなんて・・・・・・・・・」
やはり彼女の中では、 魔理沙の阻止<瀟洒 らしい。
まぁ、図書館は彼女の直接の管轄じゃないからかも知れない。
「いや、でも侵入者が・・・・・・・・・」
鈴仙も反論する。
「口答えしない!!!」
「「は、はい!!!」」
二人揃って敬礼する。
「最初に私が見せたのを忘れたのかしら?戦いの中でも瀟洒でありなさい!!」
「は、はい!!」
妖夢は初日の事を思い出して返答する。
一方鈴仙は
(別に私は瀟洒になりたい訳じゃないんだけどなぁ・・・・・・・・・)
まぁ、賞品として来させられてるだけだから、そう思う方が自然だ。
「鈴仙!返事は!?」
「は、はい!!」
が、日頃から上から物を言われるのが多い所為か、強い言い方をされると条件反射をしてしまう鈴仙だった。
「な、何かおかしな事になってるな・・・・・・・・・・・・」
流石の魔理沙も一連の行動に見入ってしまっていた。
「っとぉ、今の内に・・・・・・・・・・・・・・・」
魔理沙はこっそり通り過ぎようとする。
が、
「マインドシェイカー!!」
幻覚を伴った弾幕が展開された。
「ちぃ!バレたか!!」
「セコイ事するな!!」
鈴仙は叫びながらも弾幕を打ち続ける。
妖夢はというと、ここで一気に飛び込みたい所だが、それをやれば間違いなくスカートがめくれ上がる。
またしても減点と共にナイフが飛んでくる事だろう。
が、妖夢はふと思いついた。
(あ、そうか。そうすれば良いのか)
そしてそれを実践に移す。
「ったく、これは苦手だぜ!!」
根っからのパワータイプの魔理沙は小手先が余り得意ではない。
なので、こういったトリッキーなタイプの攻撃とはあまり相性が宜しくない。
まぁ、その代わりパワーは凄いのでマスタースパークで吹っ飛ばせない事もないが、
今は妖夢も一緒に居る。
下手にマスタースパークを撃って自分の動きを止めたらやられる。
あれは高威力の為、反動も大きく、撃ってる間は満足に動けない。
一対一ならともかく、多対一では得策とは言えない。
そう考えながら弾幕を避けていると、案の定妖夢が来た。
「でやあぁぁぁぁぁぁ!!!」
妖夢が刀を抜き放って走ってきていた。
右手には刀を持ち、左手は逆手で鞘を持ち、スカートの後ろを押さえていた。
これなら極端に前傾姿勢にならなければショーツが見える心配はない。
無論、角度にも寄るが・・・・・・
そして間合いを詰めて切り払う、
「当たってやれないぜ!!」
魔理沙は空へと浮上し、回避する。
素早く跳躍して追う妖夢。
この時、脚の配置などでちゃんと見えなくしているのは修練の賜である。
「しつこい!」
「私も居るわよ!!」
妖夢に攻撃しようとした瞬間、妖夢の斜め後ろに鈴仙も現れる。
「面倒だ!通して貰うぜ!!スターダストレヴァリエ!!!」
「くっ!?わわっ!?」
「しまっ・・・・・・きゃあ!!」
魔理沙が攻撃を止めてスターダストレヴァリエで二人の間を強引にすり抜ける。
すり抜けた後、鈴仙の悲鳴で何事かと魔理沙が振り向く。
そして
「白と桃・・・・・・・・・か」
突然の突進からの突風で当然スカートは思いっきりめくれ上がる。
咄嗟に前は押さえるが後ろは押さえられない。
振り向いた魔理沙に思いっきり見られた。
因みに白が妖夢で桃が鈴仙である。
何が?と聞くのは当然野暮である。
「しっかし、うどんげ・・・・・・・・・お前凄いの履いてるんだな・・・・・・・・・・・・」
その言葉に鈴仙は真っ赤になる。
妖夢も既に耳まで真っ赤だ。
因みに鈴仙の凄いのとは、後ろがT字になっているショーツだ。
鈴仙が妙に動きにぎこちなかったのはこう言う理由だ。
細々としたミスが多かったのも、これが見られやしないかと気になっていたからだ。
更に言うなら、鈴仙のは全部過激な物ばかりだったりする。
「い・・・・・・」
「い・・・・・・・・・」
「い?」
二人の呟きに魔理沙が聞き返す。
「いやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
物凄い悲鳴と共に物凄い攻撃が魔理沙を襲う
「え!?な!?うわああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
理性を失った猛攻の前に、普通の魔法使い、撃沈。
「ううぅぅぅ・・・・・・・・・思いっきり見られた・・・・・・・・・・・・」
「は、恥ずかしい・・・・・・いっそ死にたい・・・・・・・・・」
二人とも思いっきり凹んでる。
因みに魔理沙は妖精メイド達に医務室へと搬送された。
「貴女達。」
二人揃ってビクッとなる。
「霧雨魔理沙を撃退したのは大したものだわ。だけど・・・・・・・・・」
その先は言われなくても二人とも何となくわかっている。
「さっきのは余りに瀟洒じゃなさ過ぎるわ。」
「うぅ・・・・・・・・・」
「返す言葉もありません・・・・・・・・・」
「ショーツを丸見せにする+理性を失っての見苦しい行動・・・・・・・・・減点10ね」
「え!?」
「そんな!?」
一気に罰にまで達してしまった。
「お黙りなさい!戦闘だから仕方なかったとでも?貴女達の私生活に戦闘が全く無いと言えるのかしら?」
それは言えないだろう。
と、言うより弾幕合戦ではあるが、結構頻繁にあったりする物だ。
「私生活の延長での失態。それも度を越えた。ならば、この減点は当然じゃないかしら?」
「う・・・・・・・・・」
「は、はい・・・・・・・・・・・・」
どの道反論しても無駄だろう。
そう判断した二人は大人しく罰を受ける事にした。
「それで、その罰と言うのは?」
妖夢が尋ねる。
「明日教えるわ。今日はこの後、いつも通りに仕事をしてなさい。」
「は、はい・・・・・・・・・」
その後は何事もなく1日が終了した。
その晩・妖夢の部屋
「うぅ・・・・・・死ぬほど恥ずかしかった・・・・・・・・・」
妖夢は昼間の事を思い出して頭を抱える。
「いくら何でもこんな短いスカートで・・・いや、でも、だからこそ・・・・・・いや、しかし・・・・・・・・・」
妖夢は着替えもせずに悩んでいた。
そこへ
「妖夢~頑張ってる~?」
聞きなれた声が響いた。
「幽々子様!?」
何故か幽々子が目の前に居た。
「あら~?どうしたの妖夢~。元気がないわよ~?」
「う・・・・・・幽々子様・・・・・・・・・ゆゆござまぁぁぁぁぁぁ!!!」
妖夢は泣きながら幽々子に抱きついた。
「あらあら、どうしたの~?妖夢」
幽々子は妖夢の頭を撫でながら尋ねる。
「うぅぅ・・・・・・メイド長が・・・スカートが・・・・・・ナイフが・・・スカートが・・・・・・黒い悪魔が・・・スカートがぁぁぁ・・・・・・・・・」
どうやら、本当は相当嫌らしい。
「あらあらあら、顔を上げなさい妖夢」
幽々子に言われて妖夢は顔を上げる。
「ゆゆござまぁぁぁぁ・・・・・・」
「あらあら、ダメよ妖夢。そんな顔しちゃ」
幽々子は微笑みながら妖夢の頭を撫でる。
「辛い思いをしてるのね~・・・でも、それを乗り越えた時、貴女は一回り大きくなれるのよ」
幽々子は子供を諭すように話す。
「じがじ・・・・・・・・・」
妖夢は泣いている所為で上手く発音できていない。
「私は信じてるわよ~妖夢。貴女が成長して帰ってきてくれる事を」
幽々子にそう言われ、漸く妖夢も泣き止んだ。
「ぐずっ・・・・・・すみません、みっともない所を・・・・・・・・・」
ひとしきり泣いた所為か、妖夢は少し立ち直った。
「良いのよ~、偶には甘えても~」
のほほんとした口調で幽々子は言う。
「いえ、もう大丈夫です。」
その言葉どおり、妖夢はもう大丈夫そうだった。
「そぉ~?じゃあ、そろそろ私は帰るわね~」
そう言うと幽々子の背後に隙間が開いた。
来た時もこうして来たのだろう。
(紫様・・・・・・気を使って下さったのですね)
妖夢はそう理解する。
(でも・・・・・・・・・見られた・・・だろうなぁ・・・・・・・・・)
そう思うとちょっと凹む妖夢だった。
「本当に大丈夫~?妖夢~」
「あ、はい。もう大丈夫です。」
その顔はもうすっかり立ち直っていた。
「そう~?じゃあ、残り半分だけど頑張ってね~」
ヒラヒラ~と手を振りながら幽々子は隙間の中へと消えていった。
「幽々子様に心配されてるんじゃ本末転倒じゃないか・・・・・・・・・!!」
妖夢はここへ来た事を思い出した。
他人への気配り。
だと言うのに自分が逆に気を配られてどうするのか。
「この程度で・・・・・・・・・魂魄妖夢は挫けるものか!!!」
そう気合を入れて、しかし、もう夜も遅いので着替えて寝た。
因みに鈴仙はと言うと、別段普通に寝ていた。
もしかしたら、普段からてゐ辺りにスカート捲りとかされているのかもしれない。
普通に有り得そうな話である。
6日目
その日の仕事もそろそろ終わろうかと言う頃。
「二人とも、いらっしゃい」
妖夢と鈴仙は咲夜に呼ばれた。
二人とも理由は察していた。
「なんでしょうか?」
妖夢は形式上、尋ねる。
「解かってると思うけど、これから貴女達に減点に対する罰を与えるわ」
二人とも無言でうなずく。
「では、これから貴女達に罰を言い渡します」
そう言って咲夜はバンッ!と自分の後ろに有る扉を叩く。
「貴女達には今から妹様の「遊び相手」をして頂くわ」
続く
参考までにあらすじは
料理対決にて、賞品として紅魔館に10日間貸し出されてしまった鈴仙。
そして、料理対決で大敗した事で幽々子に紅魔館に行くよう任務を命じられた妖夢。
奇しくも、二人は同時期に紅魔館で働く事になった。
ちなみにこの話はちょっと内容がえちぃかも知れません。
具体的に言うとショーツと言う単語がかなり出てきます。
それでも構わないと言う人はご覧下さい。
紅魔館・門前
「はぁ・・・・・・・・・何でこんな事になっちゃったんだろう?」
鈴仙は紅魔館を前にして溜め息を吐く。
「あれ?貴女は・・・・・・」
「ん?」
聞き覚えのある声に、鈴仙は振り向く。
「あれ?何で貴女がここに居るの?」
それは白玉楼の庭師、妖夢だった。
「いえ、それが・・・・・・・・・」
妖夢は事のあらましを鈴仙に話した。
「なるほどねぇ・・・・・・貴女も大変ねぇ」
「いえ、自分の不甲斐なさが招いた事です」
(生真面目ねぇ・・・・・・・・・)
鈴仙は口には出さずそう思った。
「じゃあ、貴女も今日からここで働くんだ?」
「ええ、そう言う事になりました。」
「そっか、それじゃお互い10日間の辛抱だけど、よろしく」
「ええ、こちらこそよろしく」
二人とも軽く笑いながらそう交わす。
「こんにちわ~」
そうしていると二人とも声を掛けられた。
「あら、優勝者のお出ましね」
「あはは~、ありがとうございます」
話しかけて来たのは眼前にある紅魔館の門番、紅美鈴だった。
「昨日はお見事でした。完敗でしたよ」
妖夢が美鈴にそう言う。
「ありがとうございます。でも、誰が勝ってもおかしくなかったですよ」
美鈴は軽く笑いながらそう返す。
「いえ、私など幽々子様の言うとおり気配りが足らず・・・・・・恥ずかしい限りです」
悔しそうな表情を浮かべる妖夢。
「まぁ、過ぎた事言ってもしょうがないか・・・・・・私達の事って聞いてます?」
鈴仙が美鈴に尋ねる。
「ええ。何でも二人とも咲夜さんの下で働くとか・・・・・・・・・」
「はい、そう言う手筈だと聞いております」
「え?そうなの?私は初耳だけど・・・・・・まぁ、私に拒否権なんて無いんだけどね」
案外鈴仙は割り切っていた。
「頑張ってくださいね~。咲夜さんはとても厳しいですから。まぁ、優しい所もあるんですけどね」
では、こちらへ・・・と言って美鈴が二人を案内した。
紅魔館・館内
「良く来たわね。魂魄妖夢。鈴仙・優曇華院・イナバ」
美鈴に案内された二人は今、メイド長の十六夜咲夜の前に立っている。
「はい。幽々子様の命によりこちらに参りました」
「私は賞品なのでやってきました」
「よろしい。では、まずは二人とも着替えて貰うわ」
「え?着替えですか?」
「このままじゃダメなんですか?」
二人が咲夜に問う。
「貴女達は今から只のメイド。そして私はメイド長。その意味が解かるかしら?」
口答えするな、と表情と雰囲気がそう語っている。
「解かりました」
「それで、着替えは何処で?」
二人とも素早く従い、まずは着替える場所を尋ねる。
「案内させるわ。そこの貴女!!」
咲夜は近くにいた妖精メイドを呼び付ける。
「この二人を用意しておいた部屋に案内してあげて」
「は~い」
間の抜けた返事を返して妖精メイドは答えた。
「単純な道の筈だから、着替えたら直ぐに戻ってきなさい」
咲夜にそう言われ、そして二人は妖精メイドの後について行った。
妖精メイドに案内された二人は個室に辿り着く。
「こちらが兎さんの、こちらが剣士さんの部屋です~。あ、着替えはそのクローゼットの中ですから~」
そう告げると妖精メイドは去ってしまった。
「個室は貰えるんですね」
「そのようですね」
妖夢と鈴仙はそれぞれの部屋に入って行き、そして着替えて咲夜の元へと戻った。
「戻ってきたわね、それじゃ仕事の説明をするわ」
「あ、あの!その前に・・・・・・・・・」
妖夢が控えがちに手を上げる。
「何かしら?」
「な、なんでこんなに丈が短いんですか?それに・・・・・・下がスースーするんですが・・・・・・・・・」
妖夢と鈴仙が来ているのは咲夜が着ているのと同じメイド服。
なので、当然咲夜同様スカートの丈が短い。
加えて、二人のクローゼットの中には一枚の紙が添えられていた。
その紙に書いてあった内容は
「これから10日間、服はここにある3着を着まわす事。下着は支給された10着を1日1着ずつ変える事。ドロワーズは不許可」
だった。
因みにメイド服は全部同じ物である。
が、下着・・・・・・所謂、ショーツは何故か全部違う種類だった。
妖夢が落ち着かない理由はまさにそれだった。
今にも見えそうな丈のスカートの下に、ドロワーズではなくショーツを履いているのだから。
「何言ってるの。完全で瀟洒な者になるには当然の事でしょう」
しれっと咲夜は返す。
「そ、そうなんですか?」
妖夢が疑わしげに返す。
「信じていないようね。貴女、今から私が蹴りを繰り出すからちゃんと避けなさいね」
「え?」
突然、妖夢は咲夜にそんな事を言われた。
「そしてその攻撃の合間に私のショーツが見えるか試して御覧なさい。鈴仙、貴女もよく見てるのよ」
「あ、はい!」
不意に名前を呼ばれてビクッとなって返す鈴仙。
雰囲気が永琳に似ているからだろうか?既に服従しているように見える。
そして咲夜が妖夢への間合いを詰める。
シュンッ!!
素早い前蹴りが妖夢の顔面目掛けて繰り出された。
妖夢は咄嗟にそれを避ける。
今のは行き成りだったのでショーツを見る暇がなかった。
と、思ってると矢継ぎ早に蹴りが跳んできた。
懸命に避ける妖夢。
そして、その合間に言われた通りショーツを覗き見ようとする。
が、見えない。
脚の動きが早く、攻撃が激しい所為もあるが、それにしたって全く見えない。
(ま、まるで見えない!?そんな馬鹿な!!)
妖夢は驚愕していた。
あの短いスカートで足を上げれば、どうやったって見えると思うのが普通だ。
が、まるで見えない。
何か見えない力が作用しているかのように、少ない布地、脚などが絶妙に隠すのだ。
(時間を止めてる!?いや、そんな不自然な動きは見受けられない!!)
やがて咲夜の攻撃が止む。
「どう?見えたかしら?」
「い、いえ・・・・・・・・・」
(だが、鈴仙さんなら・・・・・・・・・)
攻撃をされる事無く傍観していた鈴仙なら見えてた筈だ。
妖夢はそう思った。
しかし
「わ、私も全然見えませんでした・・・・・・・・・」
「そ、そんな馬鹿な・・・・・・・・・・・・」
鈴仙のその言葉に愕然となる妖夢。
「言っておくけど、時間は止めてないわよ?」
それは妖夢も解かっていた。
あの速度で時間を止めれば動きが何コマか「飛ぶ」からだ。
妖夢程の剣の使い手ならば動体視力も一級品だ。
その動体視力の持ち主がそれを見逃す事など有り得ない。
「解かったかしら?完全で瀟洒とはこう言う事でもあるのよ」
さも当然とばかりに咲夜は言う。
「え?しかしそれが何故・・・・・・・・・?」
確かに凄かったとは思うが、それが「完全で瀟洒」とどう関係しているか今一解からなかった。
「解かってないわね・・・・・・・・・ドロワーズは見せ下着。とは言っても下着は下着。見せびらかすなんて、はしたないわ」
「いえ、でも私のスカートは丈が長いので・・・・・・・・・」
「貴女の今来ている服は?」
それはとても短い。
「う・・・・・・とても短いです」
「その服でドロワーズなんて履いたらどうなるかしら?」
はみ出しどころか殆ど丸出し状態だ。
「そ、それは・・・・・・・・・」
「殆ど丸出し状態。はしたない事この上ないわ」
「う・・・・・・・・・」
実際そう思ったのだろう、妖夢は黙り込む。
「そして、ドロワーズを履いているからって堂々と見せながら戦う様は、私から見たらとてもはしたないわね」
頬に手を当て、やれやれと言った感じで咲夜は言う。
「下着を見せびらかしながら戦う事が貴女には「完全で瀟洒」だと思うのかしら?」
「いえ、そう言うわけでは・・・・・・・・・」
「それに引き換え、私はどう?こんな短いスカートでも決して相手に見せない」
確かにドロワーズとは言え、下着を頻繁に見せてるのはお世辞にも「瀟洒」とは言えない。
しかし、まぁ、男からすれば、咲夜のように短いスカートで激しく動かれると、所謂「チラリズム」を刺激され、そちらの方が余計にけしからんと感じる物である。
まぁ、女性である咲夜がそれを知る訳はなし。
「完全で瀟洒な動きだからこそ貴女達に見られる事がなかったのよ。解かったかしら?」
「わ、解かりました・・・・・・・・・」
まるで「痴女」だと言わんばかりの事を言われ、妖夢は凹む。
「これは貴女の修行にもなるんじゃないかしらね?」
「私の・・・・・・・・・?」
(まさか、幽々子様は私を瀟洒にする為に!?)
妖夢はそう思い至る。
「解かりました。本日より10日間、この姿で仕事をさせていただきます。」
「それでいいわ。鈴仙は?文句はないわね?」
「え?ええ、まぁ・・・・・・・・・私に拒否権はありませんし・・・・・・・・・」
「ああ、それからこれから10日間私の事はメイド長と呼ぶように。くれぶれも名前で呼ばない事。解かったかしら?」
「「解かりましたメイド長」」
二人は声を揃えて返事をした。
「それからもう一つ。貴女達がミスするたびに減点させて貰うわ。」
「減点?」
妖夢が聞き返す。
「ええ、そうよ。仕事をミスするたび、瀟洒に反する行動を取ったたびに減点されるわ」
「瀟洒って具体的にはどんなです?」
鈴仙が尋ねる。
「瀟洒は洗練されたと言う意味よ。要するに、無駄なく動きなさいと言う事。ショーツを見せるなんて言語道断よ?無駄なく動けばそうはならない筈だわ」
「き、厳しいなぁ・・・・・・・・・」
鈴仙が呟く。
「因みに、減点が50ポイントに到達したらお仕置きだから、覚悟なさい」
「お、お仕置きですか?・・・・・・どんな?」
恐る恐る妖夢が尋ねる。
「それはなってみてからのお楽しみね」
((全然楽しくない))
奇しくも二人ともそう思っていた。
「さぁ、始めるわよ」
こうして二人のメイド生活が始まったのだった。
「そこっ!ショーツを見えてるわよ!!」
ヒュオンッ!!
「す、すみません!!!」
短いスカートから僅かにショーツをのぞかせてしまった妖夢にナイフが飛んでくる。
現在、妖夢と鈴仙は廊下のモップ掛けをしていた。
「うぅ・・・・・・鈴仙さんは何で大丈夫なんですか?」
「え?私?まぁ、普段から短いしね、私のスカートも」
言われてみればそうだった。
「口を動かす暇があったら手を動かしなさい!!」
ヒュオンッ!!
「は、はい!!」
再びナイフ。
そして、早く終わらせる為に走り出す妖夢。
「だからショーツを見せるなと言ってるでしょ!!」
ヒュヒュオンッ!!
「す、すみません!!!」
今度は二本飛んできた。
「鈴仙!貴女は少し遅いわよ!!」
「は、はい!!」
短いスカートには慣れている筈の鈴仙。
しかし、何処か動きがぎこちない。
慣れない服の為であろうか?
「静かに!素早く!完璧にこなしなさい!!」
中々に難しい事を注文する咲夜だった。
しかし、それでも二人とも普通の者よりは遥かに手際が良い。
普段から掃除慣れしている所為であろう、妖精メイドと比べれば雲泥の差である。
それくらいは咲夜だって解かっている。
それでも
「スカートが捲り上がらない様に早く動きなさい!!」
ヒュヒュオンッ!!
妥協は許さないようだ。
今度は一本ずつナイフが飛んでいった。
「は、はい!」
「すみません!!」
初日、二日目は激しくナイフが飛び交っていた。
因みに二日目終了時点で減点は既に妖夢は31、鈴仙は28だった。
減点理由は妖夢は上記の通り。
鈴仙は何故か細々とミスをしていた。
三日目
鈴仙は窓拭きをしていると
「あら?」
聞き覚えのある声が聞こえて来た。
「あれ?貴女は確か・・・・・・・・・アリスさんだっけ?」
「ええ、お久しぶりね」
振り向いてみると、そこにはアリスが居た。
「何で貴女が・・・・・・・・・ああ、本を借りに来たの?」
前回の料理対決中に、紫の口よりアリスがここの図書館で本を借りている事を説明されたのを思い出したようだ。
「ええ、そうなんだけど・・・・・・・・・」
鈴仙の姿を見て何か言いたそうにするアリス。
「あ~・・・・・・なんとなく言いたい事解かるけど、聞かないで」
先にそう釘を刺す鈴仙。
「解かったわ。と言うか、さっき妖夢に会って大体の事は聞いたのだけれどね」
「そう・・・・・・」
「大変ねぇ、貴女も」
「本当よ・・・・・・・・・」
がっくりとうな垂れて鈴仙は言う。
「あれ?」
ふと、視線がアリスが持っている本に行く。
「その本は・・・・・・ああ、それが例の外の料理の本ね」
「ええ、返すついでに新しいのでも借りていこうかと思ってね」
「へぇ・・・・・・料理が趣味なの?」
「趣味と言えなくもないけど・・・・・・今回のは違うわ」
やれやれと言った感じで首を振るアリス。
「前の対決の時にちょっと賭けしちゃってね」
「賭け?」
「そう、優勝できるかどうか」
言わずもがな、アリスは自身の優勝にかけたのだ。
「ま、結果はご覧の通りって奴でね」
「誰と賭けたの?」
「魔理沙と霊夢」
「ああ、やりそうね。あの二人は」
「で、負けたからあの二人の料理をご馳走する事になっちゃったのよ」
「なるほど」
「しかも、向こうの要望でフランス料理を・・・・・・・・・ね」
「あ~・・・・・・・・・それで幻想郷の食材でも作れそうな奴を探しに来の?」
「そう言う事よ。一応、別のが良いって言われちゃったからね」
「そちらも大変ねぇ」
「貴女ほどじゃないわよ」
「ごもっとも」
と、話し込んでいると
「鈴仙、貴女仕事は進んでるのかしら?」
咲夜が現れた。
手にナイフをかざしながら。
「つ、次の窓に行って来ます~!!」
そう言って鈴仙は駆けて行った。
因みにスカートは捲れて居ない。
やはり慣れなのだろう。
紅魔館の廊下は窓が少ないので、鈴仙はあっという間に離れた場所まで行った。
窓が少ない理由は日光が入り辛くするため。
その理由は吸血鬼の住処なら言わずもがなだ。
「全く・・・・・・・・・」
「あの格好は貴女の趣味?」
「冗談でしょ?」
アリスの問いに咲夜はそう返した。
「あら?違ったの?てっきり趣味で着させてるのかと思ったわ。」
「慣れない人間にあんなの着せたら仕事効率落ちるに決まってるわ。全く・・・誰が好き好んで・・・・・・・・・」
咲夜本人は今回来る二人には能率を期待していた。
二人ともそれぞれ大きな住処で家事全般をやらされている。
その者達が来れば、10日とは言え楽が出来るからだ。
だが・・・・・・・・・
「あら?じゃあ、お嬢様?」
「だったら、お嬢様が見に来てるわよ」
「それもそうね・・・・・・・・・」
無論、レミリアは居ない。
今は昼の為、寝ているのだ。
「じゃあ、まさか、他の誰かの指示で?十六夜咲夜ともあろう者が弱みでも握・・・ら・・・・・・れ・・・・・・」
アリスの語尾が小さくなる。
咲夜は右手を眉間に当てる。
それでアリスは察した。
己の推察が当たった事に。
「・・・・・・・・・そう・・・そうなのね・・・・・・・・・・・・」
「ええ・・・そうよ」
咲夜もあえて隠す事はしなかった。
「お気の毒に・・・・・・・・・」
「貴女にそんな事言われるなんてね・・・でも、貴女も気をつけた方が良いわよ。気を付けてもどうにもならないでしょうけどね」
「・・・・・・・・・そうね」
事は4日前に遡る
4日前
料理対決が終わった晩。
咲夜はそろそろ就寝しようと、自分の部屋で準備を整えていた。
因みにレミリアは昼間起きていたので、今日は夜だが寝ている。
そこへ
「お邪魔するわよ~」
悪気など欠片もなく現れた存在が一人。
こんな神出鬼没な現れ方が出来るのは、咲夜の知っている限り二人のみ。
そして、この特徴的な喋り方は確かめるまでもない。
「何の用かしら?隙間妖怪」
幻想郷最強の妖怪、八雲紫だ。
「もう、ごあいさつねぇ」
「こんな夜中に尋ねてきて、まともな対応する訳ないでしょ?」
「それもそうね。それじゃ手短に用を済ませましょうか。」
「用?」
まぁ、何らかの用があって来たのであろう事は咲夜にも予想は付いていた。
でなくばこの妖怪も寝ている時間だ。
「そう。本当はもう寝ようかと思ったんだけど、ちょっと幽々子に御呼ばれしちゃってねぇ」
紫はそう切り出す。
「で?それと何の関係が?」
ただでさえ寝たいのに、こんな不法侵入をされて咲夜も機嫌が悪い。
「もう、せっかちねぇ・・・・・・で、聞く所によると、妖夢が明日から来るそうじゃない?」
「それが何か?」
咲夜は、さっさと話を切り上げたいので必要最低限の返事のみをする。
「で、あのうどん娘(こ)も明日から来るって話を聞いてね」
「だから何?さっさと用件を言いなさい。」
声に苛つきが混じっている。
「本当、せっかちねぇ・・・・・・まぁいいわ。それじゃ、本題。妖夢達この服を着させて仕事させて」
それは咲夜が着ているのと全く同じメイド服だった。
「!?貴女、それをどこで!?」
咲夜は何時の間に盗まれたのかと思った。
「ああ、違うわよ?これは私が作ってもらった物よ。貴女のじゃないわ」
紫が咲夜の思考を読んでそう言う。
「それがどうであろうと、貴女に従う義理はないわ。」
こんな言葉で引き下がる妖怪とは思っていないが、咲夜はそう返す。
「そう・・・・・・・・・それじゃ仕方ないわね。じゃあ、私は帰るわね」
が、存外、あっさりと引き上げてくれようとしていた。
「ええ、二度と来ないでくれると嬉しいわ。」
咲夜はそう返す。
「イケズね~。ま、いいわ。それじゃ、おやすみなさい」
そう言って、自分の背後に隙間を開いて踵を返す。
と、その時
ヒラッ・・・・・・・・・
紫から何かが落ちた。
「あら?いけないいけない。」
そして紫はそれを拾おうとする。
「・・・・・・・・・!?そ、それは!?」
そして紫が拾う瞬間、それが何であるか咲夜は気付く。
「さて、それじゃ・・・・・・」
「待ちなさい!」
帰ろうとする紫を咲夜が止める。
「あら?どうかしたのかしら?」
わざとらしく返す紫。
「今の・・・・・・・・・今の写真、見せなさい」
「あら?何の事かしら?ゆかりん解かんな~い♪」
思いっきりわざとらしくすっとぼける紫。
「良いから見せなさい!」
思わず怒鳴る咲夜。
「ふっふっふっふっふ~・・・・・・・・・これかしら?」
ピラッ
そう言って先程落した写真を咲夜に見せる紫。
「っ!!貴女・・・・・・・・・それを何処で・・・・・・!?」
「ふふふ・・・私は自由に外の世界に行ける。そして隙間を通じて好きな所へも行ける。と言う事は?」
「くっ・・・・・・・・・!!どこまで良い趣味してるのよ、貴女は・・・!!」
騒いで人に来られると困るので、どうにか声を抑える咲夜。
「あら、お褒めに預かり光栄ね♪」
「それを褒めてると取れる貴女の頭の中身を知りたいわ・・・!!」
「あら?見ても貴女じゃ理解できなくてよ?」
「したくもないわね」
精一杯の虚勢を返す咲夜。
だが、どう足掻いても咲夜の方が状況が悪い。
無論、その理由はその写真。
その写真とは
「良く撮れてるでしょ~?貴女のお嬢様の生着替え♪」
何て事をしているのか、この隙間妖怪は。
そこには下着一枚で映っているレミリアの姿があった。
「・・・・・・・・・二人にそのメイド服を着させれば良いのね?」
「あら?良いの?悪いわね~♪」
にこやかに言う紫。
「解かったからさっさとその写真を寄越しなさい・・・!!」
「はいはい、それじゃお願いね」
そう言って紫は写真と同時に服も渡す。
「ああ、後それから・・・・・・・・・」
「これ以上は聞かないわよ。写真は1枚。聞くのも一つだけだわ」
咲夜はそう返す。
「あら?そう?」
そう言ってニンマリ笑う紫。
その笑顔は、誰でもいやな予感を感じさせられる。
「ま、まさか・・・・・・・・・」
「その、ま・さ・か、よ。」
そう言って更に二枚の写真を取り出す紫。
「っっっっっっっ!!!!!」
咲夜の表情が引きつる。
「んっふっふ~♪」
勝ち誇ったように笑う紫。
「こ、この・・・・・・・・・!!!」
「別に良いのよ?言う事聞かなくても。天狗に渡すだけだから、これを」
その写真は一枚はまだマシ。
マシな方はレミリアの寝顔。
天使の寝顔と称せるような写真だった。
だが、もう一枚は大いに問題ありだ。
なぜなら、レミリアの入浴写真。
しかも、湯気やタオルなどで隠れている場所が一切なく、その上危険な場所が思いっきり映っている。
「くっ・・・・・・!!だけど、あの天狗はそんな物を載せるとは思えないわ」
咲夜の言っている天狗とは文の事だ。
文は、事件なら相手の事を考えず新聞に載せたりするが、こんなピンク色剥き出しの写真を記事にしようとはしない。
だが、
「あら?新聞を作っている天狗があの娘だけとでも?」
そう、新聞を作っている天狗は沢山居るのだ。
中には当然真実よりも面白おかしさを追求する者も居る。
「その中には喜んでこれをネタにする者も居るかもしれないわね~」
楽しそうに紫は言う。
「そしてその写真は当然、人の里に配られる。あぁ・・・・・・お嬢様の玉のお肌が幾人もの人間の晒し物に!!そして、醜い男の妄想で、あんな目やこんな目にあって汚されるんだわ・・・・・・・・・」
紫がいやんいやんと両頬に手を当てて体を揺する。
だが、その表情はどこまでも楽しそうだ。
「~~~~~~~っっっっっっ!!!!!!」
妄想で汚されると言う言葉に咲夜は身の毛がよだつ。
(お嬢様が汚される!?下賤の者どもに!?そんな事あってはならないわ!!!!!!)
「・・・・・・・・・で、他に何を要求するのかしら・・・!?」
お嬢様が汚されてはならない。
咲夜は紫の条件を飲む事にした。
「あら?なんか悪いわねぇ♪」
(そう思うなら盗撮などするな!!!)
叫びたい咲夜だが、ここで相手の機嫌を損ねるとどうなるか解かったものではない。
屈辱だが、今は下手に出るしかないのだ。
「まぁ、そんなに酷い事は言わないわ。と言うか、簡単な事よ」
そう言って紫は新たに二つの袋を隙間から出す。
「こっちが妖夢用。こっちがうどん娘用の下着ね。これを着用させて。理由は貴女の好きにして良いから」
そう言って写真と共に咲夜に渡す。
「解かったわ・・・・・・」
渋々承諾するしかない咲夜。
(下手に断ったり騙したりしたら、また盗撮されてお嬢様が・・・・・・・・・)
そう考えると最早逆らえない咲夜だった。
「それじゃ、お願いね~♪」
そう言って紫は隙間に消えた。
だが、咲夜は知らなかった。
外の世界には「ネガ」と言う写真を何枚も複製できる元がある事を。
時間は戻る
「はぁ・・・・・・・・・」
咲夜は思い出して再び軽い頭痛を起こす。
因みに、その3枚の写真は咲夜の机に大切にしまわれている。
その使用用途は本人のみぞ知る。
「じゃあ、私も用事が有るから行くわね。」
「ええ・・・・・・」
そうしてアリスと別れていった。
五日目
五日目にもなると、妖夢も鈴仙も慣れてきたのかナイフを飛ばされる事がなくなっていた。
減点も二人とも40まで行ってしまってはいたが、妖夢は三日目では7点だが、四日目に2点と、確実に抑えていた。
鈴仙の方も最近になって漸く細々としたミスも減り、三日目では9点、四日目は3点だった。
「はぁ・・・・・・・・・やっと感覚が掴めて来たかな?」
妖夢がそう思った時だった。
「うきゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」
外から叫び声が聞こえて来た。
「また来たわね・・・・・・黒い悪魔め!!」
咲夜が忌々しげに言う。
妖夢も鈴仙もその言葉で全て察した。
紅魔館を、正確にはヴワル魔法図書館を度々襲撃する白と黒の魔法使い。
霧雨魔理沙の襲来だ。
「妖夢、鈴仙。緊急指令よ。言わなくても解かるわね?」
「はいっ!!」
「解かりました!!」
二人ともそう返事して臨戦態勢に入る。
程なくして魔理沙が見えてきた。
「お?今日は珍しいのが珍しい格好で居るな」
「うるさい!」
「仕方なくよ!」
妖夢と鈴仙が怒鳴り返す。
「おお、怖いぜ。それじゃさっさと頂く物頂いて帰るとするかな」
そう言って魔理沙は通過しようとする。
「生憎と、貴女を通さないように命令が出てるんです」
「そう言う事。大人しく引き返しなさい」
「成る程な・・・・・・・・・だが、はい、そうですかって訳にも行かないぜ」
案の定魔理沙は引き返さない。
二人は少し不安だった。
ここでの日常生活レベルなら、何とかこのスカートでも「瀟洒」に振舞う事が出来る。
が、こと戦闘となると話は別だ。
動きの激しさが段違いな上に、日常生活とは体の動かし方が全然違うのだから。
「先手必勝!ミルキーウェイ!!」
魔理沙から多数の星が放たれる。
「こんなもの!」
「なめるな!!」
二人とも悠々と回避する・・・・・・・・・が
「ショーツを見せるな!!!」
ヒュヒュオゥンッ!!
「うひゃあ!?」
「うわぁ!?」
咲夜の厳しいチェックが入って来た。
どうやら魔理沙を通すよりも「瀟洒」で在れない事の方が許せないらしい。
「ちょっ!?咲夜・・・・・・じゃなかった、メイド長!!何するんですか!?」
妖夢が咲夜に向かって叫ぶ。
「貴女こそ何をしているのかしら?そんなはしたない戦い方をするなんて・・・・・・・・・」
やはり彼女の中では、 魔理沙の阻止<瀟洒 らしい。
まぁ、図書館は彼女の直接の管轄じゃないからかも知れない。
「いや、でも侵入者が・・・・・・・・・」
鈴仙も反論する。
「口答えしない!!!」
「「は、はい!!!」」
二人揃って敬礼する。
「最初に私が見せたのを忘れたのかしら?戦いの中でも瀟洒でありなさい!!」
「は、はい!!」
妖夢は初日の事を思い出して返答する。
一方鈴仙は
(別に私は瀟洒になりたい訳じゃないんだけどなぁ・・・・・・・・・)
まぁ、賞品として来させられてるだけだから、そう思う方が自然だ。
「鈴仙!返事は!?」
「は、はい!!」
が、日頃から上から物を言われるのが多い所為か、強い言い方をされると条件反射をしてしまう鈴仙だった。
「な、何かおかしな事になってるな・・・・・・・・・・・・」
流石の魔理沙も一連の行動に見入ってしまっていた。
「っとぉ、今の内に・・・・・・・・・・・・・・・」
魔理沙はこっそり通り過ぎようとする。
が、
「マインドシェイカー!!」
幻覚を伴った弾幕が展開された。
「ちぃ!バレたか!!」
「セコイ事するな!!」
鈴仙は叫びながらも弾幕を打ち続ける。
妖夢はというと、ここで一気に飛び込みたい所だが、それをやれば間違いなくスカートがめくれ上がる。
またしても減点と共にナイフが飛んでくる事だろう。
が、妖夢はふと思いついた。
(あ、そうか。そうすれば良いのか)
そしてそれを実践に移す。
「ったく、これは苦手だぜ!!」
根っからのパワータイプの魔理沙は小手先が余り得意ではない。
なので、こういったトリッキーなタイプの攻撃とはあまり相性が宜しくない。
まぁ、その代わりパワーは凄いのでマスタースパークで吹っ飛ばせない事もないが、
今は妖夢も一緒に居る。
下手にマスタースパークを撃って自分の動きを止めたらやられる。
あれは高威力の為、反動も大きく、撃ってる間は満足に動けない。
一対一ならともかく、多対一では得策とは言えない。
そう考えながら弾幕を避けていると、案の定妖夢が来た。
「でやあぁぁぁぁぁぁ!!!」
妖夢が刀を抜き放って走ってきていた。
右手には刀を持ち、左手は逆手で鞘を持ち、スカートの後ろを押さえていた。
これなら極端に前傾姿勢にならなければショーツが見える心配はない。
無論、角度にも寄るが・・・・・・
そして間合いを詰めて切り払う、
「当たってやれないぜ!!」
魔理沙は空へと浮上し、回避する。
素早く跳躍して追う妖夢。
この時、脚の配置などでちゃんと見えなくしているのは修練の賜である。
「しつこい!」
「私も居るわよ!!」
妖夢に攻撃しようとした瞬間、妖夢の斜め後ろに鈴仙も現れる。
「面倒だ!通して貰うぜ!!スターダストレヴァリエ!!!」
「くっ!?わわっ!?」
「しまっ・・・・・・きゃあ!!」
魔理沙が攻撃を止めてスターダストレヴァリエで二人の間を強引にすり抜ける。
すり抜けた後、鈴仙の悲鳴で何事かと魔理沙が振り向く。
そして
「白と桃・・・・・・・・・か」
突然の突進からの突風で当然スカートは思いっきりめくれ上がる。
咄嗟に前は押さえるが後ろは押さえられない。
振り向いた魔理沙に思いっきり見られた。
因みに白が妖夢で桃が鈴仙である。
何が?と聞くのは当然野暮である。
「しっかし、うどんげ・・・・・・・・・お前凄いの履いてるんだな・・・・・・・・・・・・」
その言葉に鈴仙は真っ赤になる。
妖夢も既に耳まで真っ赤だ。
因みに鈴仙の凄いのとは、後ろがT字になっているショーツだ。
鈴仙が妙に動きにぎこちなかったのはこう言う理由だ。
細々としたミスが多かったのも、これが見られやしないかと気になっていたからだ。
更に言うなら、鈴仙のは全部過激な物ばかりだったりする。
「い・・・・・・」
「い・・・・・・・・・」
「い?」
二人の呟きに魔理沙が聞き返す。
「いやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
物凄い悲鳴と共に物凄い攻撃が魔理沙を襲う
「え!?な!?うわああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
理性を失った猛攻の前に、普通の魔法使い、撃沈。
「ううぅぅぅ・・・・・・・・・思いっきり見られた・・・・・・・・・・・・」
「は、恥ずかしい・・・・・・いっそ死にたい・・・・・・・・・」
二人とも思いっきり凹んでる。
因みに魔理沙は妖精メイド達に医務室へと搬送された。
「貴女達。」
二人揃ってビクッとなる。
「霧雨魔理沙を撃退したのは大したものだわ。だけど・・・・・・・・・」
その先は言われなくても二人とも何となくわかっている。
「さっきのは余りに瀟洒じゃなさ過ぎるわ。」
「うぅ・・・・・・・・・」
「返す言葉もありません・・・・・・・・・」
「ショーツを丸見せにする+理性を失っての見苦しい行動・・・・・・・・・減点10ね」
「え!?」
「そんな!?」
一気に罰にまで達してしまった。
「お黙りなさい!戦闘だから仕方なかったとでも?貴女達の私生活に戦闘が全く無いと言えるのかしら?」
それは言えないだろう。
と、言うより弾幕合戦ではあるが、結構頻繁にあったりする物だ。
「私生活の延長での失態。それも度を越えた。ならば、この減点は当然じゃないかしら?」
「う・・・・・・・・・」
「は、はい・・・・・・・・・・・・」
どの道反論しても無駄だろう。
そう判断した二人は大人しく罰を受ける事にした。
「それで、その罰と言うのは?」
妖夢が尋ねる。
「明日教えるわ。今日はこの後、いつも通りに仕事をしてなさい。」
「は、はい・・・・・・・・・」
その後は何事もなく1日が終了した。
その晩・妖夢の部屋
「うぅ・・・・・・死ぬほど恥ずかしかった・・・・・・・・・」
妖夢は昼間の事を思い出して頭を抱える。
「いくら何でもこんな短いスカートで・・・いや、でも、だからこそ・・・・・・いや、しかし・・・・・・・・・」
妖夢は着替えもせずに悩んでいた。
そこへ
「妖夢~頑張ってる~?」
聞きなれた声が響いた。
「幽々子様!?」
何故か幽々子が目の前に居た。
「あら~?どうしたの妖夢~。元気がないわよ~?」
「う・・・・・・幽々子様・・・・・・・・・ゆゆござまぁぁぁぁぁぁ!!!」
妖夢は泣きながら幽々子に抱きついた。
「あらあら、どうしたの~?妖夢」
幽々子は妖夢の頭を撫でながら尋ねる。
「うぅぅ・・・・・・メイド長が・・・スカートが・・・・・・ナイフが・・・スカートが・・・・・・黒い悪魔が・・・スカートがぁぁぁ・・・・・・・・・」
どうやら、本当は相当嫌らしい。
「あらあらあら、顔を上げなさい妖夢」
幽々子に言われて妖夢は顔を上げる。
「ゆゆござまぁぁぁぁ・・・・・・」
「あらあら、ダメよ妖夢。そんな顔しちゃ」
幽々子は微笑みながら妖夢の頭を撫でる。
「辛い思いをしてるのね~・・・でも、それを乗り越えた時、貴女は一回り大きくなれるのよ」
幽々子は子供を諭すように話す。
「じがじ・・・・・・・・・」
妖夢は泣いている所為で上手く発音できていない。
「私は信じてるわよ~妖夢。貴女が成長して帰ってきてくれる事を」
幽々子にそう言われ、漸く妖夢も泣き止んだ。
「ぐずっ・・・・・・すみません、みっともない所を・・・・・・・・・」
ひとしきり泣いた所為か、妖夢は少し立ち直った。
「良いのよ~、偶には甘えても~」
のほほんとした口調で幽々子は言う。
「いえ、もう大丈夫です。」
その言葉どおり、妖夢はもう大丈夫そうだった。
「そぉ~?じゃあ、そろそろ私は帰るわね~」
そう言うと幽々子の背後に隙間が開いた。
来た時もこうして来たのだろう。
(紫様・・・・・・気を使って下さったのですね)
妖夢はそう理解する。
(でも・・・・・・・・・見られた・・・だろうなぁ・・・・・・・・・)
そう思うとちょっと凹む妖夢だった。
「本当に大丈夫~?妖夢~」
「あ、はい。もう大丈夫です。」
その顔はもうすっかり立ち直っていた。
「そう~?じゃあ、残り半分だけど頑張ってね~」
ヒラヒラ~と手を振りながら幽々子は隙間の中へと消えていった。
「幽々子様に心配されてるんじゃ本末転倒じゃないか・・・・・・・・・!!」
妖夢はここへ来た事を思い出した。
他人への気配り。
だと言うのに自分が逆に気を配られてどうするのか。
「この程度で・・・・・・・・・魂魄妖夢は挫けるものか!!!」
そう気合を入れて、しかし、もう夜も遅いので着替えて寝た。
因みに鈴仙はと言うと、別段普通に寝ていた。
もしかしたら、普段からてゐ辺りにスカート捲りとかされているのかもしれない。
普通に有り得そうな話である。
6日目
その日の仕事もそろそろ終わろうかと言う頃。
「二人とも、いらっしゃい」
妖夢と鈴仙は咲夜に呼ばれた。
二人とも理由は察していた。
「なんでしょうか?」
妖夢は形式上、尋ねる。
「解かってると思うけど、これから貴女達に減点に対する罰を与えるわ」
二人とも無言でうなずく。
「では、これから貴女達に罰を言い渡します」
そう言って咲夜はバンッ!と自分の後ろに有る扉を叩く。
「貴女達には今から妹様の「遊び相手」をして頂くわ」
続く
すっげぇ面白かった。下品な単語~とありますが、不快じゃなかった。
続きが楽しみですなwwww
続きが楽しみですなwww
妖夢と鈴仙は…頑張れ♪
「!」と「?」の後ろに文章が続くときには後ろにスペースを入れるものです。
>そして二人は要請メイドの後について行った。
ダウト、妖精です。
まあ、そんな瑣末な事は置いておいて。春度の高い作品ですね。だが、そんな所が嫌いじゃない。
要請→妖精に修正いたしました。
ご指摘ありがとうございます。
ハッチャッケぷりが良いです
紫に脅された~、とか無しで、強引に話を展開しても面白かったかも?