Coolier - 新生・東方創想話

ぷれいぼぉる

2007/06/14 08:41:00
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「だからね、阿求ちゃんがこのまま死んでいくのはもったいないわけなのよ」
「そうですか」
「ええ、せめてあなたの短い人生を満足させるような出来事を、ね?」
「では一つご質問をして宜しいでしょうか?」
「なーに? きゅーちゃん」
「野球ってなんです?」



野球、それはベースボゥ、一つのボールに自らの全てを尽くして戦う死闘遊戯

曰く、バッターはその手足でボールを打ち返すべし
曰く、ピッチャーは気力を込めたボールでバッターを粉砕すべし、
曰く、ランナーは全身全霊にて一つでも先のベースを目指すべし

そしてこの日、幻想郷史上最大の死闘が幕を開ける―――。



「で、紫様、野球をするには十八人必要とのことなのですが」
「そうね」
「紫様と私と橙を含めて三人しかいない場合はどうすれば良いのでしょうか?」
「あ、私はのんびり観戦するから」
「つまり私と橙の二人だけですか」
「そうね」

紫は微笑んでいる、藍は溜息をついている。

「大丈夫よ~、ハッパかけておいたから向こうから来てくれるわ」
「ハッパ?」
「例えば仲の悪そうな吸血鬼と月の姫とか」
「うわぁ、極悪ですね」

そしてスタジアム中央で待ちぼうけすること十五分、
本当に吸血鬼と月の姫がやってきたのだからどうしようもない。

「誰が乳臭い餓鬼だ! 一塁ベース投げつけてやろうか!!」
「誰が大年増よ! 体当たりで肋骨へし折るわよ!?」
「一体どんなハッパかけたんですか」
「そりゃもう色々よ、色々……うふふふ」

三人の目の前では吸血鬼と月の姫が醜い罵りあいの真っ最中、
また藍が溜息をついた、橙は心配そうにそれを見ている。

「まあいい……今日こそは正々堂々と貴様を叩き潰してくれる!」
「今日限りで紅魔館も廃業よ! そして永遠亭が幻想郷に君臨せし時!」

ようやく罵りあいも終わったのか、互いに指差しあって睨みあいである、
両者のかぶる帽子に描かれた兎と蝙蝠がオーラとなって浮かび上がり、なんと緊張感の無いことか、
ちなみにレミリアは帽子によって気化を免れている、日光を遮ればなんでもいいのか。

「来なさい! 我が従者達よ! 永遠の姫を掲げる戦士達よ!!」

輝夜が右手を上げて指を高らかに鳴らす、
途端、空から、地から、あるいは何処からともなく現れる従者達。

「頭脳野球の申し子! 八意永琳!!」
「既に私の頭の中には勝利の方程式が三万七千八百二十二種類!!」
「その足は雷光の如し! 永遠亭のエスケープスター! 因幡てゐ!!」
「二盗三盗当たり前ウサ!」
「変態! 縞パン! 座薬マスター! うどんげ!!」
「その紹介はあんまりです!!」
「そして我が永遠亭が頭脳、永琳の地道なスカウトによって手に入れた助っ人外国人……」

輝夜が説明を始めた時、その者は既にそこにいた、いつの間にか立っていた、
飄々とした顔を浮かべながら、まるで最初からそこにいたかのように。

「十六夜咲夜!!」
「よろしくお願いします」
「咲夜ぁ!?」

試合を開始する前から従者に裏切られました。

「何であなたがそっちにいるのよ!!」
「ああ、お嬢様に紹介が遅れました」
「紹介?」
「私の姉の八意永琳です」
「いつも妹がお世話になっています」
「これはこれはご丁寧にどうも、私のほうも咲夜には……ってちがぁぁぁぁぁう!!」

それだけで一筆かけそうなネタをあっさりと一言で、従者長はかくも恐ろしき。

「姉!? 妹!? 姉妹!? シスター!?」
「妹が切り裂き魔として患者を量産」
「そして姉が薬を売りさばいて患者を治療」
「いともたやすく大金持ちに!」
「名前どおりの黄金コンビ!」
『策・略・姉・妹!!』
「なんという悪徳……!」

幻想郷ではやっていません、月でも本当はやっていない事を祈りましょう。

「あれ? それじゃ咲夜って意外と年を……」
「永遠の十七歳の咲夜でーす」
「永久の十八歳の永琳でーす」
『…………』
「ああ! 周りのみんなの視線が痛いですわお姉様!」
「任せなさい! この私の胸は万能薬! ここに飛び込んでくればあらゆる痛みから解放されるわ!!」
「お姉様ー!!」
「咲夜ー!!」

その時のレミリアと永遠亭他ご一行の心境はこうである、
駄目だこいつら、早く何とかしないと……!

「あー、こっちの紹介終わったからそっちのメンバー出してくれる?」
「そーねそーね」

とりあえずスルーすることにしたようだ。

「我が下に集え! 紅魔館に潜む屈強なる者よ! 夜の王に仕える猛者達よ!」

腕を組み、仁王立ちをし、空に向かって高らかに叫ぶ、しかし誰もやってこない、
冷や汗をかくぐらいやってこない、程なくして息を上げながら従者が一人走ってきた。

「すみませーん、遅れましたー!!」
「役立たずの門番、紅美鈴」
「一生懸命走ってきたのにぃ……あ、でも初めてお嬢様にフルネームで読んでもらえた気がします」
「それで、過去の記録から未来を切り開く軍師、パチュリーは?」
「凄く調子が悪いとかで、今ベンチで横になっています」
「じゃああらゆる球を砕き無の彼方へ打ち返す、紅魔の主砲……」
「フランドール様は現在睡眠中です、とても起こせません」
「……トリックプレーマスター、こぁ」
「パチュリー様の看病をしています」

ほぼ壊滅である、さすがは紅魔館、期待も予想も裏切らない。

「あれ? なんで咲夜さんがそっちに?」
「聞くな、言うな、見るな、あいつは裏切り者だ」
「お姉様ぁ~」
「咲夜ぁ~」

現在の状況は永遠亭が五人、対する紅魔館は二人、いきなり戦力差が二.五倍である。

「藍様~、こうなると私達は紅魔館の側に入るんですか?」
「いや、危険だからどちらにも入らないほうがいい」
「ほえ~」
「どうせあいつらの事だ、一人でも九人分は働くだろう、主に片方が」

つまり美鈴は戦力外。

「うふふふ、さてどうするの? 二人じゃまともに野球なんて出来っこないわよ?」
「ふん、そっちも五人しかいないだろうに、野球は九人でやるものだぞ?」
「永琳をなめてもらっては困るわね、既に助っ人は後四人揃い済みよ!」
「なんだとっ?!」
「カァァァァァァムヒァァァァァァ!!」

輝夜の呼びかけに応じてダイターンに土ぼこりを上げながら現れる助っ人達、
多分その中の一人が盛大に巻き上げたのだろう、非常に煙たそうである。

「幻想郷とベースを守る巫女! 博麗霊夢!!」
「けほっけほっ、魔理沙! ランディングは静かにっていつも言ってるでしょ!」
「本! 心! ホームベース! 何でも盗むぜ霧雨魔理沙!」
「こういうのは盛大にやるのがマナーだぜ」
「人形を自在に操りその守備範囲は内野全域!? 心のガードも固いぞアリス・マーガトロイド!!」
「(魔理沙のドロワーズ……ウフフ)」
「巧打俊足強肩! 白玉楼のイチロー! 魂魄妖夢!!」
「野球って刀で打ってもいいんですよね?」
「あと勝手についてきた神出鬼没のプレーヤー、西行寺幽々子!」
「えーとね……バットぽければよいって書いてあるわ、だからいいんじゃない?」

輝夜の横にゾロゾロと並ぶ人間と半霊と亡霊、
九人どころか十人目まで参上である、戦力比は一気に倍上がりだ。

「さて、野球は九人必要だけど、たった二人でどうするのかしら? レ・ミ・リ・ア・ちゃん?」
「ぐぬぬぬぬぬ……」

レミリアにとってこの状況は想定外であった、何故なら咲夜にメンバー集めを頼んでいたからである、
それが当日を迎えてみれば咲夜は敵であり、味方は門番ただ一人、妹や友の救援も見込めない、
これなら自分でスカウトしてればよかったと今更後悔する。

「どうしたの? お得意の運命操作とやらで集めてみたら? かんらかんらかんら!」
「くっ、私の崇高な力をこんな戯言に使えるか!!」
「なら二人で頑張ることね、かーんらかんらかんらかんら!!」
「くぅぅぅ……紫!」

球場に響く輝夜の高笑い、呻きながら拳を握り締めるレミリア、
これだけなら普通に見えるが両者の間に生首状態で出現した紫のせいで不思議全開である。

「なーにー?」
「試合開始はいつだ?」
「十二時からよ、今が十時だから丁度二時間後ね」
「二時間か……美鈴!」
「はいっ!!」
「二時間以内に七人連れてこい!」
「了解! 必ずや精鋭を集めてご覧にみせます!!」

ビシッと綺麗な敬礼を決めた後にどどどどどと走り去っていく門番、
それを見届けるとレミリアは軽く溜息をついた。

「さて……紫、適当に八人ほど寄越せ」
「え? 元気よく走り去っていった門番はどうするの?」
「はなからあいつに期待などしてはいない」
「酷いわね」

美鈴が浮かばれない。

「お前の事だ、あらかじめ声をかけてた奴がいるだろう?」
「うーん、確かに居るんだけど、演出というか、そのね~」
「出し惜しみするつもりか?」
「まあまあ、少しは落ち着きなさいな、あの娘が戻ってきてからでも遅くはないでしょう?」
「ふん、門の前でいつも昼寝しているような奴が連れてくるわけが」
「藤原妹紅さんを連れてきましたーっ!!!」
「おいすー! もこたんインしたおー!!」
『エクストラボスッ!?』

捜索を初めて三分の早業である、それにしても美鈴が入り口から必死に走ってきているのに、
なぜかそれよりも早くレミリア傍の地面下から出てくるのは距離的にも内容的にもどういう原理か。

「今のは恐らく自らの名前を媒体にして外界の幻を引きこみ……」
「解析できるんですか師匠!?」
「はぁはぁ……そ、それでは次を探してきます!!」
「あらあら、役に立つ門番ねぇ」
「ふ、ふんっ、あと六人連れてきたら見直してやらんことも無い」
「全く、素直じゃないわねぇ」
「輝夜ぁ! もっこもこにしてやるからな!」
「こっちだってかっぐかぐにしてやるわよ!」
「いや、それ意味わかんないから」
「それはあなたもでしょ」

そして時間が過ぎること一時間弱、三塁側ベンチで作戦会議をしている永遠亭のメンバー達を横目に、
地味にキャッチボールをしながら時間を潰すレミリアと妹紅。

「あと一時間だねぇ、よっと」
「……やっぱり役に立たない門番ね」
「どうするんだ? このままじゃあいつを含めて三人ですることになるぞ?」
「そこは任せなさい、こっちが増えないなら相手を減らせばいいのよ」
「ん?」
「おおっと! つい手が滑ってマイハートブレイクゥ!!」

そして一塁側ベンチが爆発した。

「ごめんなさ~い、わざとなの~(はぁと」
「なあレミリア」
「何よ?」
「手が滑るのはいいんだけどさ……よしんば一人仕留めても、九対二で勝ち目あんの?」
「……あ」

そして巻き上がった砂煙の中からぞろぞろと人影が現れる、
ラスボスが三人に五面ボスが二人、咲夜を引いても凶暴な人間が二人半、あと兎が一匹、
満塁ホームランを二発叩き込んでようやく逆転である、しかも残機設定は二、どこのぼすぶっちか。

「この面子に真っ向勝負を挑むなんて、随分といい度胸ね」
「……妹紅、あなた八人ぐらい一晩で相手してたでしょう、私は二人が限度だから任せたわよ」
「待て待て、私は初月クリアの八人が限度だ、三日月でしか会えないお前と比べたらとてもとても」
「エクストラボスであろうお方が何を仰りますか、さあさあ頑張ってくださいな」
「あなたこそ自機まで務めたほどのお方でしょう、ささっ、ここは前に前に」
「で、そろそろ攻撃してもいいかしら?」

返答を待たずにふりそそぐ弾幕、結界によって逃げ場は阻まれ、上海人形がぽこぽこと叩いてくる、
永琳と鈴仙はいつの間にか観客席でいちゃついていた、ついでだが魔理沙がミニ八卦炉チャージ中。

「妹紅!」
「レミリア!」
『私達の戦いは――これからだ!!』

二人の新たなる人生にご期待ください。


 ―――――


「永琳、もうそろそろお昼かしら?」
「そうですね、正午まであと五分といった所でしょうか」

誰も居ない一塁側ベンチを見つめながらお茶をすする月の姫、
もうすぐ試合開始時間の十二時なのだが、相手に集まる気配が微塵も無い。

「このままじゃ不戦勝ね」
「なんとも張り合いのないことです」
「あらあら、そう考えるのは早計よ」

何処からか響く紫の声、ふと首を傾ければ、湯飲みの中に浮かぶ紫の生首、
突如現れるにしても場所を考えろと輝夜は突っ込みたかったが、何とか堪える。

「レミリアちゃんの方はもう準備が整っているわ、そろそろ整列なさいな」
「なんですって?」

そういわれてもう一度一塁側ベンチを見る、しかし先程と変わらず誰も居ない、
だがそこで気づくべきだったのだ、ベンチに放り込んでおいたレミリアと妹紅も居ない事に。

「まさか……やられたと思わせてその間にスカウトを!?」
「さて、その辺はどうかしらね……ま、早く出て出て」

紫に誘われてぞろぞろと威勢悪くベンチから飛び出す輝夜ご一行、
そしてホームベースの位置でその一行を出迎えたのはあのお方。

「今回主審を務めさせていただきます、四季映姫・ヤマザナドゥです」
「仕事はどうしたのよ」
「十二時間は暇なんです、それよりもあなた方は少々元気が無さ過ぎる、野球というのは……」
「それはわかったから、相手はどこよ?」

閻魔の説教を聞き流しながら、正面に居るはずのレミリアチームを探す、
するとその時、七色の煙が輝夜達の眼前で舞い上がる。

「どうやら、来た模様ですね」
「ふん、趣向を凝らしてるじゃない……面白くなってきたわ!」
「ふははははは! しかと目を開け! そして聞け!」
「この声はレミリアッ?!」

やがて七色の煙が徐々に薄れ、一人ずつ、一人ずつとその姿を輝夜たちの前に現した。

「まず一番手は夜となり!」
―レミリア・スカーレット―

「生は溢れど死には無し!」
―藤原妹紅―

「静かなれども酒飲めば!」
―伊吹萃香―

「十重に二十重に夢を美る!」
―岡崎夢美―

「四季の花びら!」
―風見幽香―

「久遠の夢に映り散る!」
―魅魔―

「動くとあらば目に物見せよう!」
―北白川ちゆり―

「我がアホ毛の大あばれ!」
―神綺―

「最萌の竜が天を貫く!」
―紅美鈴―

『東方新旧連合――九大幻王!!』

どどーん

「な、なんか無駄にかっこいいじゃない……!」
「それでしたら姫、こちらも十傑集ということで」
「それよ! 幻惑のうどんげおじさんレッツゴー!!」
「九人相手は無理です!!」

そしてついに両雄が退治する、各々が自分のライバルとなる存在ををどことなく感じ取ったのか、
正面に立ち、睨みあい、牽制する、そして四季様は誰にも聞かれない説教をまだ続けている。

「見ただけで分かるわ、あふれ出る知性、そのカリスマ……あなた、天才ね」
「そういうあなたも天才みたいね、幻想郷に私と渡り合える天才が居るなんて」
『……勝負!!』

謎の天才、岡崎夢見、そして月の頭脳、八意永琳、頂上はどちらか。

「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」
「生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ」

生きれぬ亡霊と死ねぬ生者は存在その物が合わないのだろうか、まるで子供の争いだ。

「さあて、久々に弟子がどれだけ成長したか、測ってやるとするかね」
「(それよりも風神録で自分の出番があるかどうかを計るべきじゃないか?)」
「ふ、わたしゃいつでもどこかにいるさね」
「おおう、人の心を読むのはお師匠様といえども反則だぜ……」

相変わらずこの二人はマイペース。

「アホ毛の宿命からは逃れられない……あの頃に戻りなさいアリス、アホ毛の似合っていたロリスに!」
「嫌よ! 例えエクストラボスでなくても私は五寸釘を打ち続ける! 打ち続けなければならないの!」

宿命、それは変えられぬ運命、アリスの立ち向かう相手は魔界の神、そして自身。

「動くな、こいつは小さくても必殺の武器だ、動かないほうが身のためだぜ?」
「やってみなさい、こっちはあなたより早くざや……銃弾を撃ち込む自信があるわ」
「(ざや? ざやってなんだ!?)」

ざーやえーんどぅー。

「皆ぴりぴりしてるねぇ~、一杯やって落ち着かない?」
「一番大暴れしてたあんたが言うか」
「うわーん、霊夢も苛める~」
「やっぱこういう時はお茶よお茶、はやく瓢箪から出しなさい」
「酒しか出ないって」

マイペース組その2。

「私の自慢の向日葵を一瞬で全部掻っ攫った悪党がいるのだけれど……あなた知らない?」
「チルノね、間違いなく彼女の仕業よ」
「犯人は胸に敷物を詰め込んだ瀟洒な従者って聞いたんだけど」
「妖夢、駄目よそんなことしたら」
「みょんっ!?」

もう解説する気にもなれない。

「以上、リポーターの小野塚小町の解説でした」
『ちょっと待てぇぇぇぇぇぇ!』

美鈴はともかくてゐを忘れるのって酷いよね、
そんなこんなで閻魔の長ったらしい説教もいつの間にか終わり、一同礼。

「それでは先攻後攻を決めます、互いの代表者は前へ!」
「今日こそ決着をつけてやるわよ、レミリア!」
「幻想郷にカリスマ王は一人で十分よ、輝夜!」

カリスマの無いもの同士のカリスマ争いはともかく、
この先攻後攻はこの先の物語の展開を決める上でも重要な所。

「それでは互いに右手を出してください、さーいしょーはグー!!」
「じゃぁぁぁん!」
「けぇぇぇぇん!」

閻魔の声に合わせ、右手をリズミカルに一振り二振り、
そして三振り目が互いの運命を決するラストジャッジメント。

「ぐぅぅぅぅぅぅ!!」
「ぱーほぶぁぁぁぁっ!!」

レミリアの てっけんが てるよをふっとばした。

「……勝った!」
「それではレミリアさん、先攻か後攻のどちらかを……」
『ちょっと待てぇ!!』
「おや、どうかしましたか?」

とりあえず全員で突っかかりたい永遠亭組を代表して鈴仙が。

「どうかしましたかじゃないでしょう! いきなり姫を殴り飛ばしておいて勝利って何なんですか!」
「おや、カリスマジャンケンを知らないとでも?」
「か、かりすまじゃんけん?」
「カリスマジャンケン、それは互いが己の拳にカリスマを込めて一撃で勝敗を決する戦い」
「聞いた事ねぇ!!」
「それに蓬莱山輝夜は負け、レミリア・スカーレットは勝った、それだけの事です」
「うう……」

閻魔が言えば納得せざるを得ない。

「それじゃ、後攻を選ばせてもらうわ」
「グッドパンチスマッシャーでは絶対的に不利と言われるパーフェクトイレイザーに勝利、見事でした」
「何なのその無駄にかっこいい名前!?」

そして両選手がベンチへと引き上げていく、何せ紅魔館側に打ち合わせの時間が無かったのだ、
なので作戦タイムはこれからである、決して話の展開上とかそういう意味合いはほとんど無い!



「セオリーとして、二遊間は俊足、捕手に強肩、外野手はその両方ね、一三塁は気にしなくていいわ」

紅魔館側はろくに動けないパチュリーを監督に据えて作戦を練るようだ。

「ピッチャーは一番投げるのに慣れているレミィ、あなたよ」
「当然よ、四番でエース、それこそがカリスマの証」
「そしてレミィの球を唯一受け止めれるキャッチャーは、萃香、あなただけよ、任せたわ」
「ひーっく、任せなさーい」
「セカンド、ショートには夢時空最速コンビの岡崎夢見&ちゆり、しっかりとお願いね」
「あ、色々と準備するの忘れてたわ」
「マント羽織るだけだ『バキッ』
「外野はスピードと肩を兼ね備える魅魔と美鈴、それに加えて妹紅よ」
「配置はどうするんだい?」
「センターに美鈴、ライトに魅魔、一番球の来ないレフトに妹紅よ」
「まー、それが一番だね」
「私頑張「後はサードに幽香、ファーストに神綺、以上よ」……しくしく」

対する永遠亭が監督にすえたのは、なんと妖夢についてきただけの幽々子だった。

「投手は一番球の扱いに慣れている霊夢、あなたよ」
「確かに陰陽玉なら慣れてるけど……」
「捕手は永琳、天才のあなたに任せるわ」
「あらためて天才と言われるのも何時ぶりかしら?」
「外野は妖夢、魔理沙、てゐ、あなた達スーパーカートリオで守るのよ」
「なんだそれ?」
「またえらい古いものをもってきたウサね……」
「頑張ります!」
「二遊間は鈴仙、咲夜の俊敏コンビ」
「お任せください、一球も後ろへは通しませんわ」
「とりあえず頑張ります」
「役立たずのぐやは一塁、あと確かもう一人いたわよね、その人は三塁をお願い」
「どうせどうせ私はじゃんけんで負けた役立たずですよーだ」
「上海、蓬莱、皆がいじめるの……」

そしてオーダーは以下の通り。

     永遠亭    紅魔館

一番    妖夢     ちゆり
二番    てゐ     夢見
三番   魔理沙     魅魔
四番    永琳    レミリア
五番    霊夢     萃香
六番    咲夜     幽香
七番    鈴仙     神綺
八番    輝夜     妹紅
九番   アリス     中国


 ―――――


「さて、いよいよ始まります永遠亭ホウライズ対紅魔館スカーレッツ、実況は文々。新聞でおなじみの
 射命丸文、解説は風神録でおなじみですが今は紹介できないこのお方に来ていただいております」
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします、さてこの先はネタバレになるのでセリフの欠片もない『ピー』さんとお伝え
 するわけですが、この勝負、見ごたえがあるとすればどこでしょうか? ふむふむ、ほほぅ、成る程!
 やはり霊夢や魔理沙達主人公グループと新旧歴代ボスとの争いが注目となるわけですね」

そんな解説席はさておき、すでに何処からか連れてきた数万人の観客に見守られて、
紅魔館スカーレッツが守備につく、そして永遠亭ホウライズもトップバッターの妖夢を送り出した。

「ほう、最初の生贄は貴様か」
「あなたの神槍……両断してみせる!!」
「いや~、斬るんじゃなくて飛ばさないと駄目だよ~、ひっく」
「……はい」

酔っ払いに的確に突っ込まれると何か悲しいよね。

「それでは……プレイボーーール!!」

そして主審の映姫の手が上がり、高らかに開始が宣言された。

「唸れ! 我が右腕! 薙ぎ払え!! 我が槍!! 究極のストレートを味わうがいい!!」
「くっ、初球から全力か!」
「あーあー、九回まで体力持つのかな? かな?」

レミリアの左足がマウンドを踏み抜く、そして右腕を豪快に振り抜いて、グングニルは放たれた。

「(速い――が、やや高い!)」
「ひっく……あれ? 二つに見えるや、上と下どっちを取れば……下だ!」










「審判にボールが直撃したぞーーー!!」
「閻魔様っ! しっかりしてください閻魔様!!」
「うわっ! やばいよこれやばい! 白目向いてるどころか息してない!!」
「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか!? メディーック! メディィィィック!!」
「というか師匠、あなたが医者でしょうに」


 ――続くっ!!
少し前はこういう考えが頭にあったんです、
小説を八本同時に書けば四倍速ぐらいで書ける! と
実際にやってみたら四分の一倍速になりました。


そんな私はサッカー好きです。
幻想と空想の混ぜ人
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コメント



0.1750簡易評価
1.80時空や空間を翔る程度の能力削除
ふむ、
コレは面白そうだ。
しかし・・・・・・
野球ルール全員知っているのかな~・・・
7.90名前が無い程度の能力削除
これは面白いな。こぁと妹様の活躍も見たかったけど。
13.80SETH削除
いつ死人がでてもおかしくない!

いやYuYuさまは死んでるけど
14.90名前が無い程度の能力削除
これは酷いw
早く続き読みたいですな。
旧作面子は美鈴が集めたんでしょうか?恐るべし。
16.100名前が無い程度の能力削除
続くのか!?

楽しみだww 山田ーーーーーーーーーーー!
18.90名前が無い程度の能力削除
小悪魔とフランも出して欲しかった。
・・・てかさ、現地にパチュリー来れたんなら小悪魔は参加できるんちゃうん?フランのお目覚めまで留守番??

妖忌と妖夢の対決も見たかもって両方打者系か
19.90名前が無い程度の能力削除
新ジャンル「策略姉妹」吹いた。こんなところで見かけようとは……。
幻惑のうどんげおじさんはコミックス版が出れば大活躍ですね!
「新旧ボス連合など……2分で充分!」
20.80名前が無い程度の能力削除
でも魅魔様の活躍なら、ちょっと見たいかも(AA略
22.90詩所削除
試合終了時に何人立っていられるんだ?
下手に観戦もできないw
23.60名前が無い程度の能力削除
美鈴はどこまで走っていったんだwww
25.90名前が無い程度の能力削除
観客の皆様ぁ~、ファウルボールは命に関わります。お気をつけ下さい って感じだなw 
27.70名前が無い程度の能力削除
なんという策略姉妹・・。
28.90名前が無い程度の能力削除
……あっきゅんはいづこへ?
31.50翔菜削除
屋鋪さん! 屋鋪さんじゃないですかっ!

いや、スーパーカートリオと聞いて真っ先に浮かんだのがこの人だったので。
35.70蝦蟇口咬平削除
ダイター○などのねたが面白かったです
45.80名前が無い程度の能力削除
続きあるのか?
47.100名前が無い程度の能力削除
九大天王の口上が、見事にマッチしているっ!
カッコいい!
55.803削除
実に馬鹿馬鹿しくてくだらない素晴らしいSSでした。
続編はあるのかな?
あと冒頭に名前だけ出てきた阿求の出番があるかどうかに目が離せません。
59.80ミスターX削除
>「審判にボールが直撃したぞーーー!!」
くそボールやん
これ、永遠亭ホウライズがバット振らなければ、押し出しコールドゲームじゃね?