人間の里の近くの森に麦藁帽子を深くかぶった赤髪の少女が降り立った。
少女は自分の服装が気になるのか、何度も何度も麦藁帽子をかぶりなおしたり、背中を触ったりしている。
しばらくして満足したのか服装チェックをやめ、ギクシャクと体を強張らせながら人間の里に向かって行った。
赤髪の少女は、大抵の日用品はそろっていると言われている大手道具屋 霧雨店に来ていた。
彼女の主がロウソクを要求したため、人間の里まで足を運んだのであった。
なんでも同居人の友人に対して秘密裏にとある実験がしたいらしく、その同居人のメイドに頼まずわざわざ彼女に買いに行かせたのであった。
彼女自身とある実験の内容というものは聞いていない。一応、主に対して何をするのか聞いてみたが不気味な微笑みが帰ってくるだけで何も教えてくれなかった。
その時の微笑みを思い出したのか、ぶるりと体を震わせた。さっさと帰らなければ自分もその実験の犠牲者になってしまうと思ったのか、いそいでに店内へと入っていった。
店内を見渡してみれば、本や箒、バケツや炭など様々な商品が並んでいた。
彼女がしばらくきょろきょろと辺りを見渡していると、彼女よりもさらに幼い少女の視線とぶつかった。
幼い少女は辺りをきょろきょろと見渡したのちぺこりとお辞儀をする。
「いらっしゃいませ、なにをおさがしですか」
赤髪の少女はああ、なるほどと思い、少女の頭を見つめる。
この金髪の少女はこの店の子供なのだろう。
いかにも箱入り娘な雰囲気を持つ、金髪の少女は頭をあげてこっちを見つめてきた。
そして二人の瞳がぶつかる。
金髪の少女はすぐに下を向いて恥ずかしそうにしている。
「ロウソクを探しているんですがどこにあるかわかりますか?」
「あ、はい!こちらにございます!」
金髪の少女はおっかなびっくりロウソクのある場所に案内をする。
赤髪の少女はその後ろ頭を見てくすりと笑う。
どうやら接客というものは初めてであるらしい。親の真似をして接客しているのだろう。
「こ、こちらです」
「ああ、ありがとうございます」
かわいい少女を見ているうちにいつの間にか着いたようであった。赤髪の少女はすぐにお礼を言ってあげた。
すると金髪に少女は満面の笑みを見せてきた。
ひまわりのような笑顔である。
案内が終わった少女はピューとどこかへ走って行った。
ちゃんと接客ができたと親に報告にしに行ったのだろう。
赤髪の少女はくすりと笑ってからカウンターに足を運ぶのであった。
「ふぅー、やれやれ」
赤髪の少女は再び人里近くの森にいた。
彼女はそこで麦藁帽子を取り外した。麦藁帽子の下からちょこんと小さな蝙蝠型の羽根が出てきた。
そして今度は大きく伸びをする。それと同時に背中からも大きい羽根を出した。
「うう~、ずっとしまってたから羽根が痛い…」
ぱさぱさと悪魔の象徴である頭と背中の羽を羽ばたかせ、彼女は体中のストレッチを始める。
ひととおりストレッチを終えた後、名もなき子悪魔は空へと飛びあがる。
「速くパチェリーさまの所へ急がなくては」
そう言って彼女は主のもとへ急ぐのであった。
「ん、あれは…」
上白沢 慧音は上空から一人の人間を見つけた。
長い金髪を持ち、箱入り娘な雰囲気を出す少女をだ。
その少女は森の外に向かっているようである。
慧音は少女の近くに下降していった。
「こら!こんなところで何をしている」
「きゃ!」
慧音はすとんと少女に近くに降り立って、彼女に説教を始めようとする。
一方、少女の方は空を飛ぶ者を始めて見たのか、その瞳に好奇心というものを貼り付けて、まじまじと慧音のことを見つめていた。
「確かにここら辺は人間の里に近いし昼の間は安全かもしれない」
聞いていないだろうなと思っていながら、慧音はそのまま説教を続ける。
少女の方は何かに気がついたようで、好奇心を張り付けた瞳を消して、その何かを言いたそうに視線をさまよわせた。
慧音はそれには気づいていないようである。
「だが、子供一人で里の外の出るのは危険だ」
「あの!」
そこで、慧音は少女が何かを言いたそうにしていることに気づく。
少女は慧音を見つめながら言葉を続けようとする。
慧音が少女の方に振り向くと少女は急に下を向いて口を噤んでしまった。
「…どうしたんだ?」
見かねた慧音は少女近づきながらやさしく訳を聞く。
少女はうつむきながら言葉を紡ぐ。
「こ、こーりんに……おしえたくて…こーりんどこにいるの?」
どうやら人と話すのはそう得意ではないらしい。
ただ単に人見知りが激しいだけなのかもしれない。
そんなことは置いといて、どうやら少女は人を探しているようであった。
しかし、慧音はこーりんという人物のことが分からなかった。
歴史を見て調べてみるが、こーりんという人物のことは全く分からなかった。
「…魔理沙!?」
慧音の後ろから声がかかる。
どうやら保護者のようである。
なんともタイミングのいい…などと思ったが口には出さないでおいた。
慧音が振り向くと、そこには一人の男がこちらに駆けて来ていた。
「こーりーん」
少女は慧音の脇を通り抜け、こーりんという男に抱きついた。
慧音は男の歴史を見る。
名前は森近 霖之助、現在は香霖堂という店の店主であるらしかった。
本名が違っていれば歴史で調べてもわかるわけがない。
「すみません、どうやら迷惑をかけたようで」
「こーりん!わたしすごいんだぞ!ちゃんとせっきゃくができたんだぞ!ありがとうっていわれたんだぞ!」
霖之助は少し頭を下げていた。
その足元では金髪の少女 魔理沙は霖之助の服を引っ張って、知らせたいということをはしゃぎながら知らせていた。
慧音はそのほほえましい光景を見て、男に説教をしようという気を失っていた。
くすりと小さく笑う。
「いや、ちゃんと保護者が見つかったのならばそれでいい」
「いや、正確にはもう保護者じゃないですが」
「ん?どういう意味だ?」
「とりあえずお礼も兼ねて里に戻りましょう」
そうして歩いて人間の里に向うのであった。
「なるほど、里の外に住んでいるのか」
「ああ、たまたま里に買い出しに行ったら魔理沙がいて驚いたよ」
ここは霧雨店の客間である。
魔理沙は歩き疲れたのか自分の部屋に戻って眠っていて、ここにはいない。
霖之助は慧音に対して敬語から普段使っている口調になっている。一緒に話している間に仲良くなったのだろう。
「しかし…かわいいものだな」
ふいに慧音は魔理沙の寝室がある方角を向いてそう呟いた。
「ああ…かわいい妹分だからね」
霖之助もやさしい笑みを浮かべてそう呟いた。
その後、他愛のない会話が弾み二人が帰るのが遅くなったりするのであった。
ちなみに、会話の内容は8割が魔理沙についてのことで2割は歴史についてであった。
---------------------------------------
「うう~~~~」
子悪魔はすすをつけたままとある本を読んでいた。
本の題名は『求聞史紀』。見ているページは英雄伝の霧雨 魔理沙の項である。
「魔理沙さんはどうしてああなっちゃったんでしょうか……」
そんなことを言いながら霧雨店の幼い少女のことを思い出した。
「ふぅ…」
上白沢 慧音は過去の新聞を読んで溜息をついた。
ちなみに新聞は文々。新聞の空き巣事件についてだ。
「いったいどうしてああなったんだろうな…」
そんなことを言いながら金髪の幼い少女のことを思い出した。ついでに永夜異変の時のことも思い出して苦虫を噛み潰したような表情になった。
「はぁ…」
森近 霖之助は自分の店の中で頭を抱えていた。
ちらりと棚のぽっかりと空いた、埃がかぶっていない空間を見る。
「どうしてああなってしまったんだ?」
そんなことを言いながら幼い日の自分の妹分のことを思い出した。
「「「時は人を変えるのだろうか……」」」
別々の場所にいる三人は同時にそんなことを呟くのであった。
少女は自分の服装が気になるのか、何度も何度も麦藁帽子をかぶりなおしたり、背中を触ったりしている。
しばらくして満足したのか服装チェックをやめ、ギクシャクと体を強張らせながら人間の里に向かって行った。
赤髪の少女は、大抵の日用品はそろっていると言われている大手道具屋 霧雨店に来ていた。
彼女の主がロウソクを要求したため、人間の里まで足を運んだのであった。
なんでも同居人の友人に対して秘密裏にとある実験がしたいらしく、その同居人のメイドに頼まずわざわざ彼女に買いに行かせたのであった。
彼女自身とある実験の内容というものは聞いていない。一応、主に対して何をするのか聞いてみたが不気味な微笑みが帰ってくるだけで何も教えてくれなかった。
その時の微笑みを思い出したのか、ぶるりと体を震わせた。さっさと帰らなければ自分もその実験の犠牲者になってしまうと思ったのか、いそいでに店内へと入っていった。
店内を見渡してみれば、本や箒、バケツや炭など様々な商品が並んでいた。
彼女がしばらくきょろきょろと辺りを見渡していると、彼女よりもさらに幼い少女の視線とぶつかった。
幼い少女は辺りをきょろきょろと見渡したのちぺこりとお辞儀をする。
「いらっしゃいませ、なにをおさがしですか」
赤髪の少女はああ、なるほどと思い、少女の頭を見つめる。
この金髪の少女はこの店の子供なのだろう。
いかにも箱入り娘な雰囲気を持つ、金髪の少女は頭をあげてこっちを見つめてきた。
そして二人の瞳がぶつかる。
金髪の少女はすぐに下を向いて恥ずかしそうにしている。
「ロウソクを探しているんですがどこにあるかわかりますか?」
「あ、はい!こちらにございます!」
金髪の少女はおっかなびっくりロウソクのある場所に案内をする。
赤髪の少女はその後ろ頭を見てくすりと笑う。
どうやら接客というものは初めてであるらしい。親の真似をして接客しているのだろう。
「こ、こちらです」
「ああ、ありがとうございます」
かわいい少女を見ているうちにいつの間にか着いたようであった。赤髪の少女はすぐにお礼を言ってあげた。
すると金髪に少女は満面の笑みを見せてきた。
ひまわりのような笑顔である。
案内が終わった少女はピューとどこかへ走って行った。
ちゃんと接客ができたと親に報告にしに行ったのだろう。
赤髪の少女はくすりと笑ってからカウンターに足を運ぶのであった。
「ふぅー、やれやれ」
赤髪の少女は再び人里近くの森にいた。
彼女はそこで麦藁帽子を取り外した。麦藁帽子の下からちょこんと小さな蝙蝠型の羽根が出てきた。
そして今度は大きく伸びをする。それと同時に背中からも大きい羽根を出した。
「うう~、ずっとしまってたから羽根が痛い…」
ぱさぱさと悪魔の象徴である頭と背中の羽を羽ばたかせ、彼女は体中のストレッチを始める。
ひととおりストレッチを終えた後、名もなき子悪魔は空へと飛びあがる。
「速くパチェリーさまの所へ急がなくては」
そう言って彼女は主のもとへ急ぐのであった。
「ん、あれは…」
上白沢 慧音は上空から一人の人間を見つけた。
長い金髪を持ち、箱入り娘な雰囲気を出す少女をだ。
その少女は森の外に向かっているようである。
慧音は少女の近くに下降していった。
「こら!こんなところで何をしている」
「きゃ!」
慧音はすとんと少女に近くに降り立って、彼女に説教を始めようとする。
一方、少女の方は空を飛ぶ者を始めて見たのか、その瞳に好奇心というものを貼り付けて、まじまじと慧音のことを見つめていた。
「確かにここら辺は人間の里に近いし昼の間は安全かもしれない」
聞いていないだろうなと思っていながら、慧音はそのまま説教を続ける。
少女の方は何かに気がついたようで、好奇心を張り付けた瞳を消して、その何かを言いたそうに視線をさまよわせた。
慧音はそれには気づいていないようである。
「だが、子供一人で里の外の出るのは危険だ」
「あの!」
そこで、慧音は少女が何かを言いたそうにしていることに気づく。
少女は慧音を見つめながら言葉を続けようとする。
慧音が少女の方に振り向くと少女は急に下を向いて口を噤んでしまった。
「…どうしたんだ?」
見かねた慧音は少女近づきながらやさしく訳を聞く。
少女はうつむきながら言葉を紡ぐ。
「こ、こーりんに……おしえたくて…こーりんどこにいるの?」
どうやら人と話すのはそう得意ではないらしい。
ただ単に人見知りが激しいだけなのかもしれない。
そんなことは置いといて、どうやら少女は人を探しているようであった。
しかし、慧音はこーりんという人物のことが分からなかった。
歴史を見て調べてみるが、こーりんという人物のことは全く分からなかった。
「…魔理沙!?」
慧音の後ろから声がかかる。
どうやら保護者のようである。
なんともタイミングのいい…などと思ったが口には出さないでおいた。
慧音が振り向くと、そこには一人の男がこちらに駆けて来ていた。
「こーりーん」
少女は慧音の脇を通り抜け、こーりんという男に抱きついた。
慧音は男の歴史を見る。
名前は森近 霖之助、現在は香霖堂という店の店主であるらしかった。
本名が違っていれば歴史で調べてもわかるわけがない。
「すみません、どうやら迷惑をかけたようで」
「こーりん!わたしすごいんだぞ!ちゃんとせっきゃくができたんだぞ!ありがとうっていわれたんだぞ!」
霖之助は少し頭を下げていた。
その足元では金髪の少女 魔理沙は霖之助の服を引っ張って、知らせたいということをはしゃぎながら知らせていた。
慧音はそのほほえましい光景を見て、男に説教をしようという気を失っていた。
くすりと小さく笑う。
「いや、ちゃんと保護者が見つかったのならばそれでいい」
「いや、正確にはもう保護者じゃないですが」
「ん?どういう意味だ?」
「とりあえずお礼も兼ねて里に戻りましょう」
そうして歩いて人間の里に向うのであった。
「なるほど、里の外に住んでいるのか」
「ああ、たまたま里に買い出しに行ったら魔理沙がいて驚いたよ」
ここは霧雨店の客間である。
魔理沙は歩き疲れたのか自分の部屋に戻って眠っていて、ここにはいない。
霖之助は慧音に対して敬語から普段使っている口調になっている。一緒に話している間に仲良くなったのだろう。
「しかし…かわいいものだな」
ふいに慧音は魔理沙の寝室がある方角を向いてそう呟いた。
「ああ…かわいい妹分だからね」
霖之助もやさしい笑みを浮かべてそう呟いた。
その後、他愛のない会話が弾み二人が帰るのが遅くなったりするのであった。
ちなみに、会話の内容は8割が魔理沙についてのことで2割は歴史についてであった。
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「うう~~~~」
子悪魔はすすをつけたままとある本を読んでいた。
本の題名は『求聞史紀』。見ているページは英雄伝の霧雨 魔理沙の項である。
「魔理沙さんはどうしてああなっちゃったんでしょうか……」
そんなことを言いながら霧雨店の幼い少女のことを思い出した。
「ふぅ…」
上白沢 慧音は過去の新聞を読んで溜息をついた。
ちなみに新聞は文々。新聞の空き巣事件についてだ。
「いったいどうしてああなったんだろうな…」
そんなことを言いながら金髪の幼い少女のことを思い出した。ついでに永夜異変の時のことも思い出して苦虫を噛み潰したような表情になった。
「はぁ…」
森近 霖之助は自分の店の中で頭を抱えていた。
ちらりと棚のぽっかりと空いた、埃がかぶっていない空間を見る。
「どうしてああなってしまったんだ?」
そんなことを言いながら幼い日の自分の妹分のことを思い出した。
「「「時は人を変えるのだろうか……」」」
別々の場所にいる三人は同時にそんなことを呟くのであった。
それにしても会話の8割が魔理沙の話って香霖・・・・
分岐点はきっとあったはずだ!!!