この話は「紫の思いつき1」の続きです。
視点が違うため、1を読まなくても良いかもしれません。
でも、読んでくれるとうれしいです^^;
では、宜しければ最後までお付き合いください。
紫Side
「藍、ちょっとお使い行って来て。」
ある事を思いついた私は藍にそう言う
「何処へ何をしにですか?」
私は頭に思い描いた4つの場所の内から藍に頼めそうな場所を選択する。
「白玉楼と人の里よ。」
この二つなら藍でも大丈夫ね。
「して、ご用件は?」
「三日後に博麗神社で料理対決を行うから、それぞれの場所で代表者を招集して頂戴。」
予想としては白玉楼は妖夢で、人の里ならワーハクタクね。
まぁ、白玉楼は妖夢以外に料理作れそうなの居ないしねぇ。
それにしても、理由を聞いてこないなんて藍も解かってるわね。
「ああ、それから各代表者に当日には汎用性のある宝物を持って来るように言ってね。」
それが無いと面白くないものね。
「汎用性のある宝物とは?」
もう、一々言わなくちゃ解からないの?
「そのまんまの意味よ。解かるでしょ?」
「ええ、まぁ・・・・・・」
流石私の式。
それ位は解かるわよね。
まぁ、確認の為に聞こうとしたんでしょうけど。
私は余計な手間は嫌いなの。
「じゃあ任せたわね。私は私で行く所があるから。」
あっと、言い忘れてた事があったわ。
「橙にもお使いに行ってもらってるから、橙の事は気にしなくて良いわよ。」
ちゃんと橙の所在を伝えておかないと心配するのよね、あの娘。
ちょっと過保護過ぎやしないかしら?
さて、それじゃまずはあそこね。
紅魔館
隙間を抜けて紅魔館へ到着っと。
「うわ!?びっくりしたぁ・・・・・・」
驚いて声を上げたのは紅魔館の門番。
名前は・・・・・・忘れたわ。
中国人っぽい格好してるから中国で良いわね。
「こんにちは。ちょっと良いかしら?」
今は昼だけど、最近あの吸血鬼は霊夢の所に遊びに言ってる所為か、昼夜が逆転してるらしいわね。
なら、恐らく今も起きてる事でしょう。
だからと言って私を招き入れるかどうかは・・・・・・
まぁ、予想は出来てるけど、これも大事な伏線ね。
「貴女は確か・・・・・」
「八雲紫よ。名前くらいは聞いた事あるでしょ?」
紅魔館の門番まで務めて知らないとは言わせないわよ?
「ええ、貴女の事は覚えてますよ。流石に。」
それもそうよね。
私は忘れてたけど♪
それにしてもこの娘・・・・・・腕を上げたわね。
動き一つとっても隙が少ないわ。
たとえ不意打ち仕掛けても反応くらいはするでしょうね。
そこらの妖怪なら私の不意打ちに反応すら出来ずに眠るというのに。
今度、藍に体術だけで戦わせてみようかしら?
中々面白そうだわ。
「そう?なら話は早いわ。ここの主人に用があるの。取り次いで貰えないかしら?」
まぁ、十中八九無理ね。
「え~っと・・・少々お待ちください。」
そう言って門番中国は近くの妖精メイドに何か告げている。
恐らくは私に来訪を中の重臣、さしずめあのメイドにでも伝えようとしてるのね。
「暫くお待ちください。今、メイド長に確認を取りますので。」
五分後、同じ妖精メイドが中国の所に帰ってきた。
話を聞いて何度か頷く中国。
「申し訳ございませんが、お会い出来ないそうです。」
予想通りね。
「差し支えなければ理由をお尋ねしても良いかしら?」
予想はつくけどね。
「何でも昔日の事もあり、まだ貴女に会う気はないとの事でして・・・・・・」
本当、予想通りの回答ね。
予想通り過ぎてつまらないわ。
「そう・・・・・・そうね。そう簡単には忘れられないわね。」
まぁ、原因はそっちなんだけどね。
「あ、じゃあせめてこれだけでも受け取って頂けるかしら?せめてもの友好の印よ。」
そう言って私は隙間からケーキと紅茶の茶葉の入った缶を取り出して渡す。
「あ、はい。ありがとうございます。」
この娘は結構素直ね。
弄ると面白そうだわ。
「じゃあ、失礼するわね。あのお嬢さんによろしく。」
そうとだけ言って私は隙間に入る。
さて・・・・・・
「美鈴。」
隙間から覗いていると、門番中国に声を掛けるメイドが現れた。
あの娘、美鈴って言う名前だったのね。
まぁ、めんどくさいから中国で良いわ。
「あ、咲夜さん。」
案の定、私を警戒して待機してたわね、あのメイド。
「それは何?」
メイドは私の贈り物を見て尋ねる。
「あ、これは先ほどの紫さんが友好の印にと・・・・・・」
「捨てなさい。」
あらあら・・・どこまで予想通りの行動をしてくれるの、貴女は♪
「え?しかし・・・・・・」
「あの妖怪はかなり性質が悪いのよ。その贈り物にも絶対何か仕掛けてあるに決まってるわ。」
残念、それには何にも仕掛けてないのよ。
「そ、そうなんですか?」
「大方その中に巧妙ににんにく辺りでも仕込んでるに違いないわ。本当、性悪なんだから。」
疑いすぎは良くないわねぇ・・・・・
でも、それを読まれるの解かってるから敢えて何も入れてない物を持ってきたのよ。
「はぁ・・・・・・」
「まぁ、貴女が食べたいと言うなら好きになさい。お腹壊しても責任持たないけど。」
「はぁ・・・まぁ、私はにんにくが入っていても大丈夫なので、取り敢えず頂いておきます。」
それが良いわよ中国ちゃん。
それ、掛け値なしのとびっきりの物だから♪
ああ、人を信じないって悲しいわね。
私、人じゃないけど。
「まったく・・・あのスキマも何考えてるのやら・・・・・・」
それは貴女じゃ到底及びも付かない事よ♪
それだけ言うとメイドは去っていったわ。
「本当に何か仕掛けてるのかなぁ?」
中国ちゃんがケーキの箱を開ける。
あの中には既に6等分にカットされたケーキが入っているわ。
「うわ、すっごい美味しそう・・・・・・まぁ、内臓には自信あるし・・・・・・頂きます。」
そう言って食べる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
よ~く咀嚼してるわね。
「うわ!すっごい美味しい!!」
そうでしょう?
だって、本当に良いものだもの、それ。
「本当に良いのかな~?」
良いのよ、勝手に拒んだのあっちだし、それは貴女が食べる権利を有するわ。
「ま、いっか。咲夜さん勝手にしろって言ったし。儲けちゃった♪」
私を信じると良い事あるわよ?中国ちゃん。
少なくともどこぞの腋巫女よりはずっとね。
さて、そろそろ私も次の行動に移ろうかしらね。
紅魔館・レミリアの部屋
「失礼します、お嬢様。」
「遅いわよ、咲夜。」
部屋に入ってきたメイドにレミリアは文句を言う。
「申し訳御座いません。珍しい来訪者が来ていましたので・・・・・・」
「珍しい来訪者?誰?」
「八雲紫です。」
「あのスキマか・・・・・・当然追い返したんでしょうね?」
「はい。」
「そう、当然よね。」
まったく、メイドといいレミリアといい、スキマスキマって・・・・・・
私には八雲紫という素敵で美しい名前があるのよ?
「何やら友好の品を持って来ていたそうですが・・・・・・」
「冗談。何仕掛けられてるか解かったもんじゃないわ。にんくとか。」
思考が似てるわねぇ。
「そう思い処分を美鈴に任せました。」
「中国に?まぁ、あいつなら毒食っても平気そうだけど。」
ああ、確かにそんな感じはするわね。
「まぁいいわ。お茶にして頂戴。」
「はい。」
メイドはそう言うと、もっと来ていたティーセットをテーブルに並べる。
8等分されたケーキも付いている。
「今日のは特別製ですよ。」
紅茶を注ぎつつメイドが言う。
「へぇ、何が特別製なの?」
「お口に入れていただければ解かりますわ。」
「ふぅん・・・・・・自信あるじゃない。」
そうね、あれは確かに特別製ね。
「じゃあ、まずはケーキから頂きましょうか。」
レミリアはフォークでケーキを口に入れやすいサイズに切って口に運ぶ。
そして口に入れて咀嚼し
「~~~~~~~~~~っ!!!!!!!」
ものすんごい顔になる。
うわ、本当に凄い顔だわ。
「お、お嬢様!?どうなさいました!?」
事情を知らないメイドは突然の主の異変に驚いてるわ。
まぁ、いきなりあんな顔になれば当然ね。
本当に凄い顔だったわ♪
「さ・・・さ・・・・・・咲夜ぁぁぁぁ・・・・・・!!」
声に怒りが篭っているわ。
「大した「特別製」じゃない・・・・・・貴女がこんな事するとは思わなかったわよ・・・!!」
メイドを睨みつつレミリアは言う。
「ど、どういう事ですか?」
やはり事情が解からないメイドは慌てふためいてるわね。
「どうもこうも・・・!!っく!まずは口直ししないと・・・・・・」
そう言ってレミリアは紅茶に口を付け
「ぶはぁぁぁぁ!!!!」
盛大に噴いた
「お、お嬢様!?」
再びの主の奇行にまたまた驚くメイド。
やばい・・・・・・面白すぎるわ、この吸血娘。
「・・・まさか!?」
あら?漸く気付いたようね。
「!?こ、これは・・・・・・!!!!」
紅茶を一口飲んでメイドは忌々しげにカップを睨む。
そう、ケーキ及び紅茶には私がいたずらを仕掛けていたのよ。
ケーキには小さくしたにんにくを生のまま。
紅茶には外の世界で手に入れたおろしにんにくのチューブの中身をポットに入れてかき混ぜて。
それぞれ仕掛けてたのよ。
当然、メイド長が見てないホンのわずかな隙に「隙間からこんにちは」してね。
それにしてもあの娘の顔・・・・・・
まずいわ、思い出しただけでも、わ、笑いが・・・・・・・
隙間爆笑中・・・・・・・・・
・・・・・・・あ~、面白かった。
ひっさびさに思いっきり笑ったわ♪
「お嬢様、これは・・・・・・」
メイドがレミリアに弁解しようとする。
「言わなくても解かってるわ。疑って悪かったわね・・・・・・」
あら?流石に気付いたようね。
「あんのスキマめぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「お呼びかしら?」
「わひゃぁぁ!!!」
目の前に、本当に顔の目の前に顔だけ出してあげたらすんごい驚いたわ。
なんか、この娘がやけに可愛く見えてきたわね・・・・・・
瞬間、背後から殺気を感じる。
予想済みなので直ぐに隙間に引っ込む。
ィィィンッ!!!
案の定、私が居た場所を銀のナイフが通り過ぎる
「あらあら、物騒ね~。」
今度は壁から顔を出す。
客観的に観たら、まるで鹿の頭とかのオブジェみたいね。
「八雲紫・・・・・・入館を許可した覚えは無いわよ・・・・・!!」
メイドが私を睨みつけながら告げる。
「ええ、そうね。でも、あれは入り口からでしょ?だから私は勝手口から入らせてもらったの。」
隙間と言う名の勝手口からね♪
「私の館に忍び込むなんて良い度胸じゃない、貴女。」
レミリアが体勢を立て直して睨んでくる。
まぁ、あれだけの事をすれば当然ね。
「ごめんなさいね。門前払いなんてされちゃったから、つい・・・・・・」
そう、つい
「つい、いたずらを・・・・・・・ぷ・・・くくくく・・・・・・」
いけないわ、思い出したらまた笑いが・・・・・・
「こ、このスキマババァ!!!」
スキマババァとは失礼千万ね。
私はまだピチピチよ。
それにしてもレミリアったら、顔を真っ赤にして突進してきたわ。
あの爪で私の顔を引き裂くつもりかしら?
お馬鹿ねぇ・・・・・・
私は再び隙間の中に身を隠す。
当然、レミリアは空振り。
そして、私が居た場所は壁。
レミリアは慣性の法則の体験真っ最中。
と、なると当然・・・・・・・・・・
ドガンッ!!!
「へぷちっ!!!」
あらあら・・・顔面から突っ込んだわ、あの娘。
「お嬢様!?」
あんな状態で攻撃してくるなんて・・・・・・本当、お馬鹿ねぇ。
レミリアが崩れ落ちてる間に、私は部屋の中に姿を現した。
「お嬢様!しっかり!!」
「うぅ・・・ざぐやぁぁぁ・・・・・・・」
したたか鼻を打ったみたいね。
発音が怪しい上に、目に涙が浮かんでるわよ。
「よくもお嬢様を!!!」
あら、メイドがマジギレモードだわ。
時間止める気ね。
けど、生憎と私は貴女達と遊びに来たんじゃないのよ。
「待ちなさい。」
手を前にかざしてそれを静止する。
「何?命乞いなら聞かないわよ!?」
なんで私が貴女如きに命乞いしなきゃならないのよ。
身の程教えてあげようかしら?
まぁ、これ以上こじれても面倒なだけだから止めておこうかしらね。
「まずは落ち着きなさい。これでお相子の筈よ?」
「お相子ですって?」
私の言葉にメイドは止まる。
「そうよ。私が真正面から筋を通して、土産まで持って来たと言うのに門前払いしたじゃない。」
「ふん・・・・・・私達の関係を考えれば当然じゃないの?」
漸く持ち直したレミリアが言う。
けど、まだ痛いようね。
鼻の頭さすってるわ。
というか、あれは貴女達が原因でしょうに。
「解かってないわね。」
「何がよ?」
メイドが返す。
やれやれ、本当にわかってないのね。
「貴女、私が誰だか解からないの?」
「知ってるわよ。八雲紫。境界を操る隙間の妖怪。迷い家の主。幻想郷一うさんくさい女。」
最後のは余計よ。
ああ、そう言えばマヨヒガは今だと迷い家って読まれてるようね。
まぁ、私はマヨヒガの方が馴染みがあるからこっちを使うけど。
「最後のはともかく、よく知ってるじゃない。」
「だから何?」
「貴女、本当に完全で瀟洒なのかしら?」
こんなことも解からないなんて、完全で瀟洒が聞いて呆れるわ。
「私は八雲紫。マヨヒガの主。貴女達の立場で言えばレミリアに相当する位置にいるのよ?」
「・・・・・・」
この言葉でメイドも解かったようだ。
「仮にも主と同じ立場に立っているような者を相手に門前払いって何事かしら?」
「それは・・・」
「私が問題を起こしたなんて理由にならないわよ?貴女達だってやった事あるでしょう?棚に上げるつもりかしら?」
「う・・・・・・」
「それとも以前対立してたから?残念だけど、あれは完全にそちらが原因よ?」
反論できないわよねぇ?
「しかも私が持ってきたお土産。あれ、言って置くけど本当にちゃんとした、しかも高級な物だったのよ?」
まぁ、受け取らないと解かっていたからこそそうしたんだけどね。
「嘘だと思うならあの門番の娘に後で聞いてみたら?」
「で?一体何の用よ。」
流石にレミリアもこれ以上反論する気にならなかったようね。。
「まぁ、そう怒らないで。お土産なら他にもちゃんと持ってきてるから。」
私は隙間を開いて一本の瓶を取り出す。
「何よ?それ。」
「外の世界のワインよ。40年もののね。」
しかも結構名の知れたワインだから値段もべらぼうに高い。
ま、私はお金なんて払わないけどね。
「お口直しに如何?」
キュポンッ!
小気味良い音を立てて栓を抜く
良い香りだわ。
「ふぅん・・・・・・どうやらそれは本物のようね。」
「そう言ってるじゃない。」
「信じて欲しいなら普段から余計な事はしない事よ。」
「考えておくわ。」
「考えるだけ、でしょ?」
あら?解かってるじゃない。
「咲夜、注いで。」
椅子に座りなおしてレミリアがメイドに命じる。
私がメイドにワインを渡すと、メイドは命じられたとおりにワインを注ぐ。
「ついでにそのスキマにも注いであげなさい。」
レミリアがそう言って私にグラスを渡してきた。
「あら?悪いわね。」
グラスを傾けると、メイドが丁寧に注いでくれた。
このメイド、年の割りにかなり手慣れた手つきね。
「へぇ・・・良いわね、これ。」
レミリアが一口飲んで言う。
「でしょう?結構高級なのよ、これ。」
私も一口飲む。
ん、流石に良いわね。
「で?何の用よ?」
もうちょっとこの娘で遊びたい気もするけど、下手に機嫌を損ねると計画に支障をきたすから止めておきましょ。
「ちょっとねぇ、暇潰しにお祭りでもやろうと思ってね。」
「へぇ?貴女が動くなんて珍しいじゃない。」
そうね。
これは「特別」なお祭りなのよ。
「その内容なんだけどね、料理対決をしようと思うのよ。三日後に博麗神社で。」
「はぁ?料理対決?」
すっごい呆れた顔。
「そ。紅魔館、永遠亭、白玉楼、人の里、そして我がマヨヒガより一人ずつ選出してね。」
「ふぅん・・・・・・」
まだあまり興味はなさそうね。
「勿論、ただの勝負じゃないわ。お互い宝を持ち寄ってそれを掛けて勝負するのよ。」
「宝?」
「そう。でも、普通に本当の宝出されても人によっては価値が無い物ってあるでしょ?」
仮にこの館に住む魔女の賢者の石など出されても私には只の石に等しい。
「なるほどね。誰が貰っても困らないような、それでいて高級な物って事ね?」
「理解が早くて助かるわ。」
「ふん・・・・・・良いわ、参加してあげようじゃないの。」
あら?随分あっさりね。
「随分とあっさりと決めたわね。」
「最近退屈してたのよ。面白いかどうかはともかく、暇潰しにはなりそうだからよ。」
「成る程、納得したわ。」
事実、そう言う理由で行動を決める妖怪は多いわ。
まぁ、この娘は悪魔だけどね。
「それに貴女には煮え湯を飲まされた事があるからね。その借りをこんな形とは言え、返しておきたいのよ。」
「随分昔の事を根に持つのねぇ。」
レミリアが幻想郷に来て間もない頃の話ねぇ・・・・・・
懐かしいわねぇ。
あの時は私も久しく暴れたものね。
藍の限界解除した時なんてあれ時くらいのものだものね~
まぁ、大した暴れっぷりだったわ、このお嬢様とその一行は。
「貴女と貴女の式には大きな借りがあるのよ。返さないとどうにも夢見が悪いわ。」
「ふふふ・・・・・・でも、悪いけどこんな勝負でも負ける気はないわよ?」
「上等じゃない。吠え面かかせてあげるわ。」
「それは楽しみね。」
本当に楽しみだわ。
ここまで乗ってくれるとは思ってなかったしね。
「さて、それじゃあ私は他にも行く所があるから、そろそろ失礼するわ。」
「じゃあ、当日を楽しみにさせて貰うわ。」
「あ、そうそう。素材は各自持ち込みだから忘れないでね。料理は自由よ。」
この事は藍に伝え忘れたわね・・・後で代表者を聞いて教えておかないと。
「OK。了解したわ。」
さて、次の場所に行きましょうかね。
「まったく・・・あのスキマババァめ・・・・・・やってくれるわね。」
「申し訳御座いません・・・私の配慮が足りないばかりに・・・・・・」
「あれは規定外だから気にしなくて良いわよ、咲夜。」
「はい。ですが、以後細心の注意を払うようにいたします。」
「気を使いすぎて倒れないでよ?貴女が居ないと私が困るのよ。」
「はい、気をつけます。」
「さて・・・・・・今度こそ見てなさいよ・・・スキアババァ。」
だ~れがスキマババァよ。
まったく、その可愛いお尻に牙○かましてヒギィヒギィ言わせるわよ?
まぁ、話がこじれても厄介だから今回は許してあげるわ。
それじゃあ次の場所に前に、橙の様子でも見ておこうかしら?
博麗神社
橙はっと・・・・・・居た居た。
博麗神社から出て来たって事は用件は済んだようね。
「それにしてもやっぱり紫様は凄いなぁ。」
ええ、私は凄いわよ。
でも、どうしてそう思うのかしら?
「あの巫女があっさり神社貸すんだもん。あれだけ妖怪来るの嫌がってたのになぁ。」
ああ、その事ね。
簡単な事よ。
あの巫女はすっごい「釣り」易いんだもの♪
「結局、紫様の渡した袋と手紙の内容って何だったんだろう?あれ見た瞬間に顔色変わったし。」
ちょっと考えれば解かる事よ、橙。
まぁ、内容は
「三日後に博麗神社でお祭り事やるから場所貸してね。
使用料として付属の品と、後、お賽銭が入るようにしてあげるから♪」
と言った内容ね。
因みに付属の品は、いつか上げた高級羊羹3本と玉露の茶葉缶を3つ。
これだけ渡して釣れない訳が無いわ。
さて、橙も大丈夫なようね。
「お使い終わったら好きにして良いって言ってたから遊んでこようっと!」
水には気を付けなさいね。
貴女から式が剥がれると藍が大変なんだから。
あと、場所へ急行する為に私に隙間開かせるし、あの娘。
まぁいいわ。
じゃあ次は永遠亭ね。
さて・・・・・・あの二人はどう楽しませてくれるかしら?
永遠亭
さて、きちんと入り口から入りましょうかね。
「きゃっ!!」
あら?また驚かれちゃったわ。
ん~・・・・・・この娘、誰だったかしら?
「わ、隙間の妖怪だ・・・・・・」
もう、ちゃんと名前で覚えなさい。
ああ、思い出したわ。
この娘の名前は、てゐね。
「八雲紫、よ。お嬢ちゃん。」
ちゃんと名乗ってあげる事にする。
「あ、そうだった。で、その紫さんが何の用?」
口では平静を装ってるけど・・・・・・ちょっと怯えてるわね、この娘。
別に危害加える気なんてないんだけど。
「ここの主に用があるのよ。通してくれないかしら?」
「姫様に?」
「そう。そのお姫様に。」
「ふ~ん・・・・・・ちょっと待ってて。」
そう言っててゐちゃんは館の中へと入って行った。
このまま侵入しちゃっても良いけど、それじゃ態々門の前に出た意味が無いわ。
一応、礼節は通さないとね。
暫くしててゐちゃんが戻ってきた。
「会ってくれるって~。どうぞ~。」
そう言って私を案内する。
まぁ、確かにここの屋敷は少し通路が特殊だから一人だとちょっと面倒ね。
暫く歩いて一つの部屋の前に通される。
「ここだよ。」
とだけ言うと、てゐちゃんはトタトタと駆けて行った。
駆ける、と言うよりは逃げる、ね。
まぁ、私の力が少しでも解かるとやっぱり怖いものかしらね?
「入らないのかしら?」
てゐちゃんを見送っていると中から声がした。
「失礼するわ。」
今度機会があったらあの娘も弄ってみようかしら?
何はともあれ、私は部屋の中に入る。
「また珍しい顔が来たわね。」
中にはこの屋敷の主、蓬莱山輝夜とその側近の薬師、八意永琳が居た。
輝夜は座っており、永琳はその横に立っていた。
「あら?この美人を捕まえて珍しい顔とは失礼ね。」
「はいはい、それで何の用?ついでに、まずは座ったら?」
あら?流されたわ。
流石に長生きしてると私みたいなのへの対応が解かってるようね。
言葉に従って、机を挟んで輝夜の対面に座る。
「突然悪いわね。」
「悪いなんて思ってないくせに、良く言うわ。」
あらあら・・・・・・なかなか話し甲斐のある相手じゃない。
屋敷に閉じこもってるお姫様だから、もっと詰まらない相手かと思ってたわ。
以前会った時じゃあまり解からなかったしね。
「まずは、お久しぶり、と言っておきましょうか。」
永夜異変以来だものね。
「そうね。お久しぶりね。あの時の借りでも返しに来たのかしら?」
借りとは、この蓬莱山輝夜に乗せられて藤原妹紅と闘わされた時の事。
まぁ、私なりに楽しめたからそんな気はさらさら無いわ。
「半分はそうかしらね。ああ、まずはお土産をどうぞ。」
私は隙間から20cm程の瓶を出して手渡す。
「何これ?」
「外の世界のお酒よ。ウォッカって言って凄いアルコール濃度が高いの。」
何せ90%を平気で超えるのだから。
「へぇ・・・・・・」
興味深そうに瓶を眺める輝夜。
「それを真に味わうなら、当然氷だけ。割るなんて論外よ。」
「良いわね。永琳、イナバ達にコップ2つと氷用意させて。」
「はい。」
「それとも貴女も飲む?」
「いえ、私は遠慮しておきます。」
あら?飲めば良いのに。
暫くしてイナバ・・・兎達がコップと氷を持ってきた。
永琳が輝夜と私にウォッカを注ぐ。
「ありがとう。」
一応、常識として礼は言うわ。
「~~~~っ!!・・・・・・っはぁ!!・・・効くわね、これ。」
輝夜が一口飲んで言う。
「ふふ・・・でも、結構良いでしょ?」
「ええ、気に入ったわ。」
本当に気に入ったみたいね、機嫌が良さそうだわ。
「それで、何の用?いえ、なんの「頼み」があって来たのかしら?」
あらあら、バレてるわ。
「頼み?何時私が頼みなんて言ったかしら?」
「惚けても無駄よ。」
そのようね。
「境界を操れる貴女が一々礼儀正しく正門から、しかも土産まで持ってくるなんて、そうとしか考えられないじゃない?」
貴女には借りもあるのに、と最後に付け足した。
驚いたわね・・・前に会った程度の筈なのにそこまで解かられてるとは。
まぁ、表情には出さないけどね。
「まぁ、一応礼節はわきまえないとね。」
必要以上に下手に出る気はないけどね。
「で、どう言った内容かしら?貴女ほどの妖怪が「頼み」なんて。」
この娘、嬉しそうね。
でも優越感と言うよりは、期待ね。
永遠を生きる身なれば、暇も持て余すでしょうし。
その暇を潰せそうな出来事が出向いてきたのなら嬉しくもなるわね。
「大した事じゃないわ。三日後に博麗神社で料理対決を開こうと思ってね。」
「私達にも参加しろと?」
「そう言う事よ。」
この娘に回りくどい事は必要ないわ。
まぁ、手間が掛からないのは嬉しいわね。
「ふぅん・・・・・・」
「まぁ、只の暇潰しだから別に無理強いする気はないわ。」
「一応、聞いておくわ。何で突然そんな事を?」
「あら?言ったでしょう。暇潰しよ。」
ま、少しは頭が切れるみたいだけど私の真意までは気付くわけが無いわ。
「紅魔館、白玉楼、人の里、我がマヨヒガ。それから可能なら貴女達永遠亭から一人ずつ代表者を選出してね。」
「成る程ね~」
「でも、普通じゃ面白く無いからちょっと賭け事も兼ねてるのよ。」
「賭け事?どんな?」
「各々が汎用性のある宝を持ち寄ってそれを掛けるのよ。」
「へぇ・・・・・・中々面白そうじゃない。」
あら、食いついて来てくれたわ。
「面白くなくちゃ暇潰しにならないでしょ?」
「それもそうね。」
お互い薄く笑いあう。
「まぁ、貴女達には借りがあるしね。」
「ええ。今度はこっちの余興に乗ってくれても良いんじゃない?」
だから最初に半分は、と言ったのよ。
「そうね。丁度退屈してた事だし、私達も参加てあげるわ。」
「それは良かったわ。これで「もっと」面白くなるわね。」
「あら?おだてるのが上手ね。」
「本心を言ったまでよ。」
「ふふ・・・そう言う事にしておいてあげるわ。」
本当、藍達とは違った意味で面白い娘だわ。
「宜しいのですか?姫様。」
永琳が輝夜に尋ねる。
「ええ、もう決めたわ。」
「解かりました。」
「それにね・・・・・・」
「はい?」
輝夜の呟きに永琳が不思議そうな顔をする。
「ずっと屋敷に篭りがちだったから・・・・・・」
カランッと氷を鳴らしながら、私にコップに入った酒を見せつけ
「偶には「外の刺激」も悪くないわ。そうでしょ?」
そう言った。
「ええ。」
ふふ・・・本当に良いわ、貴女。
私がそれを持ってきた意味も介してくれるなんてね。
「決まりね。それじゃあ三日後までに選手と汎用性のある宝を選出しておいて頂戴。」
「良いわ。それで、料理は?決まってるのかしら?」
「いいえ、料理、素材ともに自由だわ。好きな物を持ち込んできて結構よ。」
「解かったわ。」
さて、これで役者は揃ったわね。
後は「主賓」を迎えにいって「情報」を提示するだけだわ。
っと、その前にもう一箇所あったわね。
「さて、そうと決まったなら私もやる事があるからお暇するわね。」
「あら?もう帰っちゃうの?」
「ええ。こう言う時は暇じゃないのよ、私は。」
「ふふ・・・解かるわ。」
貴女とはいつかじっくり話してみたいわね。
「それじゃ、失礼するわね。」
私は隙間を開ける。
「ああ、八雲紫。」
入る直前に呼び止められる。
「これ、ありがとう。大切に飲ませて貰うわ。」
瓶を見せて輝夜は言う。
「大切になんて飲まなくて良いわ。美味しく飲んでくれればそれが一番よ。」
「それもそうね。そうするわ。」
「それじゃ、失礼するわ。」
「ええ、それじゃあ当日に。」
そう言って今度こそ隙間へと入って行った。
そう言えば、結局薬師とはあまり話さなかったわね。
あっちも興味があったのだけれど・・・・・・ま、次の機会にしましょうかね。
お互い永く生きる身。
会う機会くらいいくらでもあるでしょ。
隙間
さて、それじゃ次の場所の隙間を開きましょうか。
・・・・・・・・・・・寝てるわ。
まったく、なってないわねこの娘。
起こしても良いけど、その前にちょっと藍の様子でも確認しておきましょうかね。
さてと・・・・・・藍の方はどうなったのかしら?
まぁ、あの二つならあの娘が失敗する訳は無いわね。
ん~・・・・・・っと・・・あら?橙と一緒に居るわね。
それじゃあ帰り道かしら?
あらあら、手なんて繋いじゃって・・・・・・
本当、微笑ましいんだから。
「えへへへへ・・・・・・藍様がお母さんみたい。」
あらあら、橙ったら・・・・・・可愛いわね、本当に。
それにしても藍がお母さん・・・ねぇ・・・・・・
だとしたら、私はどうなるのかしらねぇ?まさか・・・・・・ねぇ?
「私が?ふふ・・・それでは紫様はおばあちゃんだな。」
あんですって?藍。
おばあちゃん?今、おばあちゃんと言ったのかしら?貴女。
ふふ・・・ふふふふふ・・・・・・・・・・・・
ふふふふふふふふふふふふふ・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!
ちょ~っと、お仕置きが必要なようねぇ?
丁度良いわ。
最近お気に入りの漫画から会得した技を貴女にぶちかましてあげるわ。
隙間を開いて準備オッケー。
喰らいなさい!!牙・・・・・・
「紫様の式になれて・・・そして橙を式神に出来て良かったと思っているよ。」
ちょっと藍。
貴女何て事言うのよ。
いきなりそんな事言うなんて・・・・・・
感動が止まらないじゃない。
ついでに私の慣性も止まらないじゃない。
まずい、まずいわ。
このまま行くと間違いなく藍の背中に傘が直撃するわ。
この場面で藍を吹っ飛ばしたらギャグ以外の何者でもないわ。
いくら私でも、そこまで空気読まない真似は出来ないわ。
っていうか、橙も一緒に吹っ飛んじゃうわ。
でも、今ならギリギリ隙間を閉じるのが間に合いそうね。
ふぅ、間に合ったわ。(牙○発動からここまで約0.5秒)
って、あら?何でもう一つ隙間が開いてるのかしら?
ああ、そう言えばさっき次の場所の確認の為に開いていたの忘れてたわ。
まずいわね・・・・・・ホッとして油断した分、こっちは間に合いそうに無いわ。
私の慣性も絶好調で物理法則に則ってるし。
これは止まれないわ。
と言うか止まらないわ。
無理に止まろうとしたら私が痛いわ。
それは嫌よ。
だから、そこで寝ている娘。
私は悪くないわ。
そう、私は悪くない。
悪いのは・・・・・・・
ええ、悪いのは寝てた貴女よ。
貴女が寝てなければ私はこんな行動を取る事にならなかったわ。
何より仕事中に寝てる貴女に責められる覚えは無いわ。
だから私が、閻魔様に代わってお仕置きよ♪(ここまでで更に0.5秒)
そう言うわけだから・・・・・・・
牙○!!!
ドゴッ!!!
「ふぎゃあぁ!!!!」
ドンッ!!ザンッ!!ゴロゴロゴロゴロ・・・・・・・・・・・・
っとぉ・・・・・慣性付いてたから結構滑ったわね。
さて、あの娘はっと・・・・・・
う~ん・・・見事に気絶してるわ。
あらあら、白目剥いちゃってるわ。
ま、死神だから死ぬ事はないでしょ。
でも、流石に白目剥いたままじゃ可愛そうだから瞼くらい閉じてあげましょ。
けど、これじゃ今日の訪問は無理ね・・・・・・
日を改めてきましょうかね。
まだ行かなきゃいけない所もあるし。
それじゃあね、アディオス、死神。
紫Side End
翌日
幻想郷中に文々。新聞の号外がばら撒かれ、その内容が話題を呼んだ。
内容は
『明後日、博麗神社にて料理対決を開催!
紅魔館、白玉楼、マヨヒガ、永遠亭、人の里より代表選手一人を選出し、対決!!
現在では誰が出場するのかはまだ決まっては居ないが、これは注目である。
なお、今大会の発案者であると同時に主催者である八雲紫氏は
「人の里の人間は、妖怪が来るから行けないと思うかもしれないけど、
今大会開催中に、会場及び人の里から会場までの経路中に喧騒を起こした者は
人妖問わず私の隙間空間にご招待するわ。
たった半日程度、争い事しないなんてそんなに難しい事じゃないでしょ?
結果的に期間中は人を守ってあげるようなものよ。
勿論、人が喧騒起こしても容赦なく隙間に送り込むけど。
そう言う訳だから、興味があったら来て見なさいな。
退屈はしないわよ?」
との事だ。
因みに、隙間空間に送られた者の生命の保証はしないとの事。
これだけ聞くと恐ろしそうだが、八雲氏の言うとおり、争い事さえ起こさなければ良いのだ。
それほど難しいことではないだろう。
恐らく大会にはそれぞれの集落のトップクラスも来ると思われる。
滅多に会う事は出来ない為、是非、一度お目にかかってはどうだろうか?
各代表者が作る料理にも興味が絶えない。
尚、当日来る場合は、入場料兼会場貸し出しの感謝を込めて博麗神社にお賽銭を入れて欲しいとの事。
強制ではないが、お賽銭程度の入場料なら安いものだろう。払ってあげては如何だろうか?』
そして、当日
博麗神社は大勢の人妖が溢れていた。
あれを飲める人(割るにしても)は凄い。なんせ、96%。
スピリッツ
珍しく、中国が恵まれてますな。
新撰組三組隊長必殺剣
さぞ痛かろうに・・・・・
コレは続きが楽しみですぞ!!
まぁ、不幸な役柄多いので、たまにはこう言うのも良いかと^^
>新撰組三組隊長必殺剣
小町が喰らったのは壱式ですねぇ。ノーマルな奴です。
まぁ、あまり出しすぎるのもあれなんで、控えていくつもりですが・・・・・・機会があったらまた出ると思います。
その時は温かい目で見てやってください^^;
宴会芸で火を噴いた人は、若干火傷しました。誰とはいいませんが(鬱)