Coolier - 新生・東方創想話

寺子屋クライシス【2】

2007/06/07 10:27:12
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紅魔館。
咲夜が魔法図書館の一角を整頓し、適当な広さの区画を形成した。

そしてそこには黒板、教卓、掲示板、ロッカー……多少急ごしらえな感は拭えないが、それでも教室と呼ぶには十分だろう。

「いやー助かるわ。バカが多いのが悩みでね」

慧音、永琳、藍、パチュリーの四名が、喋りながらもてきぱきと机を並べる咲夜を黙って眺めている。

(何故こんな大事に……)

慧音は大きな溜め息を吐き、頭を垂れた。
横に並ぶ三人はそんな慧音の様子を無表情で眺めている。

(博麗神社になんか行くんじゃなかった……)



律儀な慧音は、永琳との決闘について明確なルールを定め、その決闘の許可を霊夢にもらいにいった。

しかしそこには慧音と永琳をそれぞれ敵視する、藍とパチュリーが待ち構えていた。

その場でドンパチ始まって神社を破壊されることを警戒した霊夢が、
まずは永琳を押し倒してお払い棒でタコ殴りにしようとしたので、そこで紫とレミリアが仲裁……。
慧音の持ってきた決闘法案を改ざんし、心底どうでもよさそうな様子の霊夢を買収して署名させた。
買収された霊夢の手には蕎麦屋と菓子屋の割引券が握られていた、せこかった。

そうして改ざんされた滅茶苦茶なルールの決闘法案が可決。
慧音と永琳の決闘は、予期せぬ邪魔者の介入によりその様相を大きく変えることになる。
二人だけの教師対決には、八雲一家、紅魔館より二人の知識人が乱入。
四人入り乱れてのバトルロイヤルと化した。

なんの因果か、幻想郷では賢いことで名高い者達がこの決闘の選手として名乗りをあげたのだ。
そうとなればスペルカード戦ではなく、慧音と永琳の作ってきたルールを元に頭脳戦をやらせた方が面白い。
紫やレミリアは自分で参加こそしないものの、自分が勢力として抱える者を決闘に参加させることで、
サイドから眺めて楽しもうという魂胆らしかった。

「おい、私の寺子屋に送った代打というのは誰だ? 本当に大丈夫なのか?」

慧音と永琳の間では、元の寺子屋でどちらが優秀な教師なのか競う予定だったのだが……。
生徒達にもそう約束しておいて、結局こんな厄介なことになってしまった。

「まぁ、それなりに学もあると思うし、面倒見が良い奴だから大丈夫よ」

咲夜は心配する慧音と目を合わせることもなくさらりと答えた。
名前を出したら文句を言われると思ったのか、誰なのかは伏せたが……。

そう、藍やパチュリーを混ぜるとなると、人間の生徒相手ではいろいろやりにくい。
紫やレミリアも人里にまで赴いて様子を見るのは面倒だ、紫はスキマから覗くこともできるだろうが、レミリアはそうもいかない。
そこで自分の腹の中、つまり紅魔館に抱え込み、のんびりと眺めようと紫に提案。
元よりどこからでも覗ける紫にしたら決闘場所がどこだろうと大差は無い、その要求をあっさりと呑んだ。

そして、新たな決闘の舞台として選ばれたのが紅魔館。

決闘前に咲夜が抜き打ちで下っ端のメイド達に学力試験を行い……



下っ端メイド達の学力ワーストテンを相手に、この四名が授業を行うことになったのだった。



言わば紅魔館が誇る屈指のバカ達である。咲夜が行ったのはバカを決める試験だ。
ワーストファイブ辺りになると文字すら書けないような奴まで居た。

「ねえねえジェシカ、私達メイドの中でトップテンの成績らしいわよ」
「なるほど、優秀なメイド達を集めてさらに育成。インテリメイド軍団を作ろうと言う、お嬢様の狙いなのね」

トップはトップでもバカのトップである。
咲夜はちゃんと伝えていなかった。

そうとも知らずにトップテンメイド達はテンションが高い、自分達が優秀だと信じきっている。
ある程度頭のいい者は試験の出来で自分の順位をいくらか絞り込めるものだ。
その辺の空気の読めなさ加減は、性格的にもバカなことの体現である。

とはいえ実際、最低から最高まで眺めてもそれほどの点数の差は無かった。
つまり最高得点者もバカである。そんな中のワーストテンなのだからまさにバカオブバカズ。
蛇足だろうが、もちろん咲夜はその試験を受けていない。受けるまでもないのだ。

ワースト達は普通に魔法図書館の掃除をしにきたメイドを指差して言う。

「見てよイザベラ、あのメイドの面構え。やはりトップテンとは違うわよね……バカっぽいわ!」
「ブフッ!! 言っちゃだめよジェシカ、あいつはこの特別教育を受ける権利を得られなかった、落ちこぼれなんだから!」
「メイド服についてるフリルまでバカっぽいわ!!」

これから四名の教師達は、この一癖も二癖もある者達を二週間かけて育て上げる。
そして最終日に試験を行い、どの科目の平均点が一番高かったかで勝敗が決まるのだ。

内訳はこうである。

史学……上白沢慧音
化学……八意永琳
数学……八雲藍
語学……パチュリー・ノーレッジ

このように得意分野が分かれていたことも、何かの運命のように思えた。
歴史について深い造詣を持つ慧音、卓越した化学知識により良薬を作り出す永琳。
暇つぶしに三途の川幅を計算してしまう藍、数え切れないほどの本に囲まれて暮らすパチュリー。

まさに各科目のスペシャリスト……ワーストメイド達にはもったいなくも思えるラインナップだった。



そして初日一時間目の授業は藍の受け持つ数学。

実際には数学と呼ぶのすらおこがましい、算数、むしろ「さんすう」だ。
九九とか、そういうレベルである。

ちなみに二週間の授業のカリキュラムは紫が作ってきた。そして試験問題の作成も紫が行うルール。
しかし試験だけは咲夜も編集する。それは紫を信用していないレミリアが張った予防線だった。
紅魔館代表としてパチュリーが参加する以上、紫が藍に有利な細工をするのを防ごうという考えである。
自分で編集に入ろうにも学力に自信がなかったので、面倒くさがるふりをして咲夜に任せた。
実はレミリアが結構頭の悪いことは皆知っているのだが、メンツを立てたのだ。

「よし、それじゃ早速授業を始めようか」

何故かメイド達はセーラー服を着せられているのだがそこには触れず、藍は授業を開始することにした。
それほど苦しいカリキュラムではないが、授業時間は無駄にしたくない。

「ちょっとお待ちなさい」
「……ん?」

チョークを手にした藍に待ったが入る。
すると壁代わりに並べられた本棚の間から紫、レミリア、咲夜の三名が顔を出した。

「転入生を連れてきたわ」
「転入生ですって? どういうことです? 紫様」

妖精という種族は全体に子供っぽく、学力もその程度の者が多い。
そして紅魔館のメイド達はそのほとんどが妖精であり、頭が弱いのはそれほど不自然ではなかった。
その中から選りすぐりのワーストテンを出したというのに、転入生とはこれ如何に。
はっきり言ってここにいる十名よりも頭の悪い者なんて、幻想郷広しと言えどもそうは居まい。
そう思うと、藍は表情を歪めざるを得なかった。

「うちのメイド達は私が選んだだけあって、妖精でも結構優秀なのよ。だからハードルを上げようと思ってね」

誇らしげに胸を張るレミリアだが、その背後に立つ咲夜はそうは思わなかった。
どこに出しても恥ずかしい立派なバカである。お嬢様は気付いていないのかしら、咲夜は不安に思った。
あとメイド達の人事に関しては咲夜が管理しており、レミリアは何もしていない。部屋で紅茶飲んでるだけだ。

それは良いとして、三人の後ろには小さな影が三つ。薄暗くて顔はよく見えないが、服はセーラー服だった。
その中の一人が率先して前に出た。知能が高いかどうかは知らないが、やる気はあるらしい。

「藍様~」
「ちぇ、橙!?」

一名は橙……藍に向かって満面の笑みで手を振っている。
そういえば、橙も自分の名前を漢字で書けなかったことがあった……。
かと言ってカタカナで書かせると「チュン」になっていたりした……。
まぁ、そういうところが可愛らしくもあるのだが……ついでにここで学ばせるのもありかもしれない。
藍としても、橙には早く成長して雑務を手伝ってもらいたい。特に異存はなかった。

「待ちなさいよ……」
「あら、何?」
「レミィ、なんでこんな奴の転入を許すの?」
「ん?」

パチュリーがレミリアに突っかかる。しかしそれは当然だろう、慧音や永琳も後ろで頷いていた。
藍の科目だけ真面目に受け、他の科目を適当にやれば、それだけで八雲一家には大きなアドバンテージになる。
ここまでお膳立てしておいて少し詰めが甘いのではないか、とパチュリーは異を唱えたのだ。
藍は夕べ痛みを分かち合った同志だが、今回はバトルロイヤル形式、甘いことは言っていられない。

しかし、そんなパチュリーをよそに橙は紫の袖を掴んで叫んでいる。

「ねえねえ紫様! 百点取ったらでっかいマグロ獲ってきてくれるって本当!?」
「ええ、もちろんよ」
「……」

レミリアはパチュリーを見つめながら、そんなやり取りをしている橙と紫に向かって顎をしゃくった。
確かに、この決闘の真意さえ理解していないようだ。バカだ……。パチュリーはすごすごと戻っていった。

あと、紫がマグロの一本釣りをしている場面を想像した。



そして二人目の転入生。
その転入生の顔を見たとき、四人の教師は凍りつき「そうか、忘れていた……」と、どこか納得した。

「二人目の転入生、チルノよ!!」
「ふん! なんだかよくわからないけど付き合ってやるわ!!」

紹介するレミリアも、チルノも、妙にテンションが高い。
どうでも良いときに無駄にテンションが高いのはバカっぽく見えてしまう。
咲夜はレミリアのことが少し心配になったが、それを口に出すわけにもいかなかった。

「チルノだ……!」
「チルノよ……!」

メイド達もざわめく。
チルノは紅魔館周辺にちょこちょこ顔を出すのでメイド達も知っていた。
妖精にあるまじき魔力を有し、霊夢や魔理沙ともなかなか良い勝負をするらしい。
噂では地獄の手前まで行って、死神や閻魔と戦ったという話まであるではないか。
ある意味妖精達には憧れの存在であり、同時に目の敵でもあった。

「私達は紅魔館最強のインテリメンバーよ……!」
「チルノは頭の悪さには定評があるわ! 頭脳戦で圧倒してやるのよ!!」

メイド達は闘志をむき出しにしているが、チルノが混ざった時点で自分達が同レベルであることに気付くべきだ。
だというのに未だに自分達は優秀だと思っているあたりに、どことなく哀愁が漂う。

「百点取ったら大ガマの弱点を教えてくれるって本当でしょうね!?」
「ええ、もちろんよ」

おそらく、仮にチルノが百点を取っても紫はそんなこと教えないのではなかろうか。
あまり疑わないあたりにもスキが伺える。

でもマグロは本当に獲ってきそうな気がした。



「それでは最後よ」

今度は紫が三人目の転入生の手を引いて前に出る。
しかしながら四人の教師は、チルノが出てきてしまった今、他にどんな奴がいるのだろうと首を傾げた。
その考えも甘かったと、すぐに後悔する羽目になったが……。

「三人目、ルーミアよ」
「ねえ、これ本当にもらっていいの?」
「良いわよ、なんならスペアもつけてあげるわ」
「えー!?」

サングラスをかけたルーミアが出てきた。
三人の転校生に共通するのは、しょうもない物資や情報に踊らされてこの決闘に参加してしまうスキの多さである。
橙のご褒美であるでっかいマグロは確かにそれなりに高価ではあるが……。
何せ調達してくるのが紫である、マグロやサングラスごとき、難なく入手してしまうだろう。

「眩しくなくていいねー。これ」
「素晴らしいでしょう? それにとってもトレンディーだわ」
「似合う?」
「ええ、ファッショナブルよ」

紫の言動はあからさまにいい加減なのだがルーミアは満足げだ。

――ルーミア。

自分の出した暗闇で周囲が見えなくなって木にぶつかったり、特に目的意識も無く飛び回り、
人間を襲うにあたって何の頭も使わない、極上の天然モノ……。
チルノの行動は本人なりに筋道立っている所があり、発想こそバカで子供っぽいが、理解できないほどではない。
それに対してルーミアは何がしたいのかわからないような不審な挙動が多く、それについて問い詰めても、
本人すらちゃんと把握していなかったり、そもそも目的があっての行動でなかったりする。
チルノが正統派なら、ルーミアは個性派……さらに橙も加わって、生徒の層に厚みが増した。
学力もさることながら、性格的にも個性が強く、一筋縄ではいかない。

(これは……誰かを狙い撃ちできる状況ではないぞ……!)

慧音のターゲットは永琳、永琳に打ち勝って寺子屋から追い出すのが目的だ。
対する永琳のターゲットは慧音、今しばらく寺子屋への滞在を認めさせ、同時に不名誉なステータスをデリートさせる。
藍のターゲットも慧音、目的は橙を酷い目に遭わせたことへの報復、優勝した際にはキツいペナルティを与えたい。
パチュリーが狙うは永琳の首、盗られた本の奪還と、それについての罰を与えるのが目的だ。

「うっ……!?」

藍が思わずうめき声をあげる。
ほんの少しの間、紫とレミリアに注意を向けただけなのに、既にメイドの半数が居眠りをこいている。
まだ一時間目なのに早弁をしている奴まで居る……なんだ、この授業態度の悪さは。

転入生だけではない……やはり、このメイド達侮れない。
どれもこれも一騎当千のつわものだ。

(こ、このカリキュラム、簡単すぎると思ったけど……)

藍が紫に渡されたカリキュラム表を開き、冷や汗を流す。
どこが簡単なものか……除算まで教えなければならない、この不真面目で頭の悪いメイド、そして転入生達に。
藍は焦り、黒板に数式を書く……「1+1」初歩中の初歩だ。いやしかし、もしかすると、もしかすると……。

「だ、誰かこの問題を解ける者はいるか!?」

藍が声を張り上げても誰も手を挙げない。
メイドの半数は居眠り、残りの半数はシーソー椅子をやってギッコギッコと楽しそうだ。

「あ、当てたら褒美をあげるわ! 誰か、誰か……!!」

褒美という言葉に反応して、二名ほどシーソー椅子をやめ、黒板をしげしげと眺め始めた。
藍はそのスキを逃さない。即座に位置の近いメイドに問い詰める。

「わかるのか!? 遠慮しなくていい!!」
「……」
「褒美は……そ、そうね……お菓子をあげよう!」
「……黒板に書いてあるそれ、何語?」
「……ッ!?」

――読めてない!?

「な……だ、ダメだ!! 語学のパチュリー先生……ッ! まずこいつらは字が読めないぞ! ぱ、パチュリー先生ェーッ!!」
「そ、そんなの私も知らないわよ……こんなにバカだったの? こいつら……」
「おい咲夜、やりすぎじゃないのか!? こ、こんな奴らに私は……二週間で百年分の歴史を教えないといけないのか!?」
「こ、これでは『教師VSバカ』の構図だわ……八雲紫! やってくれたわね!?」

妖精が義務教育を受けているわけもなし。受けたがるわけもなし。
普段の話し言葉は話せるようだが、読み書きとなると、できる者とそうでない者がいるらしい。

それを傍から眺めていた紫はにんまりと、いやらしい笑顔を浮かべる。

「あたい、文字書けるよ!」
「なにっ!? チルノ、本当か!?」
「うん、書いてあげるわ!」

転入生チルノがツカツカと歩み出る、そしてチョークを手に取り……

『1+1=チルン』

と書いた。

「違う!!」

藍が頭をかきむしる。誰が名前を書けと言った。しかも自分の名前を書き間違っている。
恨めしそうに紫を睨む……なんてハードなカリキュラムだ……加減乗除、除算はおろか、加算まで危ない。
このままでは四科目全て平均点0などというグランドスラムさえありうる。

「る、ルーミア、ルーミアは解けるか!?」

既にメイドは全員夢の世界へ旅立った。もう頼れるのは転入生しかいない。

「うん、わかるわー」
「よ、よし……じゃあ解いてみろ」
「うん」

『1+1=10』

「違う!! ……ん、ん? ちょっと待て……ならルーミア、これは……」
「え? 簡単じゃない」

『1+2=11』

そこまでやらせて藍は思った。

「何故二進数に変換するのだ」と。

しかしルーミアが書いた『10』が二進数における『2』だとすぐに気付いたあたりやはり藍は賢い。
とはいえ、藍だけが賢くてもどうにもならない。
その後いくつかルーミアに問題を解かせてみたところ、4ビットまでの計算はギリギリいけるらしい。
加減乗除問わず、だ……しかし4ビットというのは二進数の四桁のこと。
単純に、計算結果が16以上になるとルーミア脳の計算能力はオーバーフロー(桁あふれ)で機能しなくなる。

「ど、どういう頭の構造だ……」
「人類は十進法を採用しましたー」
「妖怪も採用してるよ……」
「えー」

とんでもない不思議ちゃんだ。藍はこれからのことを思い、力が抜けてくずおれた。

「ちぇ、橙……お、お前は解けるな? 今までずっと、私が勉強を教えていたものね……?」
「任せて藍様!」
「橙……」

ああ、なんて健気な子だろう……。

『1+1=田』

「ゴフッ!!」
「ら、藍様!?」

何故か藍は口から盛大に血を吐いて床に突っ伏した。
九つの尻尾がビクビクと痙攣している。そんな様子でもメイド達は動じずに居眠りしていた。

「う、うぅ……酷い光景だ……」
「文字が書ければ良いってもんじゃないわ、これは……!!」
「この子達が果たして、化学を理解できるのかしら……」

他の三人も青ざめる……ここまで酷いとは予想だにしていなかった。

咲夜も額に流れる冷や汗を腕で拭っている。
咲夜の行った試験は、四科目合計最高400点。内容もこれから二週間行うカリキュラムよりいくらか易しいものだった。
それでも、なんと最高点は81点だったのである。一教科ではない、合計点で、だ。

そう、0点付近でワーストメイド達の凄まじいデッドヒートが繰り広げられていたのだ。

なんとワースト1~5位までは、自分の名前も書けていなかった。言語能力が皆無だったのだ。
全員に受けさせたのに提出してない、それはすなわち名前を書けなかった、ということだ。
だから名前つきの答案が提出されていない者は無条件でワースト5にランクインし、今回の決闘への刺客として選抜された。

そして6~8位までは、自分の名前を書き間違えていた。
何度か名前の出た「イザベラ」「ジェシカ」が「ヘザベラ」になっていたり「チェシカ」になっていたり……。
微妙に惜しいラインにカスるのがまたバカっぽい。

9位が18点、10位が20点……提出された答案用紙は、ヨダレでベッタベタになっていたりした。
答案用紙を裏返せば凄まじい量のラクガキ、問題が解けないからすぐに暇になってしまうのだろう。
「ちくやちん」と添え書きされた妙な似顔絵は特にシュールだったが……「ち」と「さ」の区別がついていないらしかった。

もちろん似顔絵もモンスターだった。

咲夜は思わず「私、こんなにブサイクじゃないわ!!」と、その答案を引き裂きそうになった。

(わ、私、ひどいことをしてしまったのでは……)

血を吐いて痙攣する藍がワースト外の普通の下っ端メイドにより、担架で運び出される。
気を失ったままの藍の目からは、涙がとめどなく溢れ出していた。



二時間目、語学。パチュリー・ノーレッジ。

「レミィ」
「ん? どうしたのよ、パチェ」

さながら授業参観のごとく、後ろから眺めているレミリアと紫。
パチュリーは授業の前にレミリアに質問しておきたいことがあった。

「……カリキュラムの無視はありなのかしら?」
「どうなの紫? 私が作ったカリキュラムじゃないからよくわからないんだけど」
「ん、別に構わないわ、お好きにどうぞ」
「……随分あっさりと承諾するのね」

転入生が増えて合計十三名、その生徒達を挟んでパチュリーが紫を睨み付ける。
レミリアだけだったならどれほど楽なルールになっていただろう。自分以外には苦しいルールになっていたかもしれないが。

「その代わり……」
「その代わり?」

やはり、何かしらハンディは背負わなければいけなくなるらしい。
紫は腕組みをして本棚に寄りかかったまま、パチュリーに不敵な微笑を向けている。

「試験問題はそのカリキュラムを元に作るわ。何をしたいのか知らないけど、あとで遅延をリカバリーできるの?」
「……してみせるわよ」
「まぁ、すてき」
「こいつらにはまず、読み書きをできるようになってもらわなければ始まらないわ」

パチュリーは教室を一周し、寝ているメイドの頭を一つ一つ本の角でどついて起こしていく。

「一つ良いか?」

突如慧音が割って入る。
基本的に教科担当以外も授業を見ていて良いことになっている。もちろん余裕ならば授業を観察しなくてもいい。
そしてその場の全員が予想していなかった、突然の提案。慧音に視線が集まる。

「自分の担当科目以外の勉強を教えても構わないのか?」
「あら……そんなことして何になるの?」

紫は、わかっているような表情をしながらもあえて慧音にそう問いかけた。
そんな態度に多少の不快感を覚えた慧音だが、紫を目の敵にしても何の得にもならない。拳を握り締めて耐えた。

「私も前半一週間は語学を教える。これでは話にならん。歴史は言葉によって紡がれる、言語能力無くして成り立たない」
「あら、しびれるわぁ」
「なら私もね」

永琳も賛同する。
史学だけではない、化学だって同じことだ。
敵に塩を送るつもりはないが、自分でやりやすくするためにも今は協力し合った方が良い。

「ま、お好きにやりなさいな。ただ、試験問題はカリキュラムを元に作る。ここだけは絶対に譲らないの」
「勝手に言っていろ、与太郎め。お前なんかにこの決闘を滅茶苦茶にされてなるものか。組み立てなおしてやる」
「うふふ……」

紫に鋭い視線を向けた直後に、永琳にも鋭い視線を向ける。
永琳はそんな慧音の視線を受けて、胸を張り、顎を突き出して強気に見下した。



しかしそんな教師達の対抗意識も、規格外の知能を持つ生徒達の前にあっさりと崩れ去ることになる。



「これが『あいうえお』よ……さ、手元の紙に十回、書き取りしなさい」
「めんどくさ」
「ぐー……」
「ちょっと前さー、外壁周りの警備してたときに釣りしてたら、湖にすっごい大きな魚がいたわ」
「あ、あの……『あいうえお』を……」
「うるさいなぁ、もう」
「学校って楽しいねー」
「『あいうえお』をっ……!! ケホケホ……ゴホッ、ゴホッ!!」

パチュリーが胸元を押さえて膝をつく。
喘息の発作が……ただでさえ普段口数が少ないのに、一定時間話し続けなければならない。
大きな声も出さなければならない分、その負担はひとしおだった。うつろな目で生徒達をにらみつける。
なんとしても読み書きの勉強をさせたいが、体力が……汗ばむ顔、パチュリーは悔しそうに歯を食いしばった。

「パチュリー! 受け取りなさい!」
「……っ?」

苦しむパチュリー、しかしそこに永琳から援護射撃が入った。
パチュリーの胸元に向かって飛んできた物は、永琳特製の喘息薬……。
霧状の薬を吸い込み、発作を抑えるものだ。永琳の手製だけあって相当に効果が高いだろう。

「……何故こんなことを? ゴホッ」
「語学担当に潰れられては話にならないのよ……前半一週間は貴女が軸になる。責任を持ちなさい」
「……後悔しても知らないわよ」

マスクを口に当てて何度か薬を吸い込むと、苦しそうだったパチュリーの顔が徐々に穏やかになっていく。
青かった顔色も即座に赤みを取り戻し、健康的な少女の顔つきになった。
そして生徒達をキッと睨む……そう、まず共通の敵はこの生徒達。
こいつらの授業態度の改善と言語能力の強化。そこに失敗すれば皆揃って地獄行きだ。

「流石は月が誇る天才。こんなに体調が良いのは久々だわ!」

珍しく覇気のこもったパチュリーの、雄叫びとも言える大声が教室に響き渡った。
思わず驚いたのはレミリア。長年連れ添ってきたが、ここまで元気なパチュリーは見たことが無い。

「さぁ、あいうえお、よ……さっさと十回書き取りなさい」
「めんどくさ」
「書き取りなさい」
「ねむ……ふあぁぁ」
「イザベラだっけ……あんた、メイドのくせに生意気ね。私はレミィの友人、あんたのご主人様も同然なのよ?」
「う……」
「レミィに言ってクビにしても良いんだから」

パチュリー超強気。なんとパワーハラスメントでメイドを脅しにかかった。
元々人付き合いが嫌いで引きこもりがち、つっけんどんなところがある。容赦はしない。
すでに萎縮しているイザベラ、しかしパチュリーは机に拳を叩きつけ、追い討ちをかける。

「紅魔館は悪魔の館! ここには絶対の封建主義が存在する! 私に逆らったらクビよ!!」
「ヒ……ヒッ!?」
「パチェ、やりすぎじゃ……」

確かに、バカをクビにしていたらキリがない。紅魔館のメイドが根こそぎ居なくなって、咲夜だけになってしまう。
しかしパチュリーは眉を吊り上げて一喝する。

「レミィが甘いからこんなにバカが増える! 咲夜と美鈴がザルだから魔理沙に本を盗まれる! わかってるの!?」
「は、はいっ!」
「す、すいませんパチュリー様!!」
「わかれば良いわ」

しっかりと地に足をつけて教壇へと戻るパチュリー。いつものようにふらふらよたよたしていない。
「こんな積極的なパチェは初めてよ」レミリアはどこか胸のときめきを覚えた。

でも怖い、怖すぎ、何があったんだ。

体調の良い日でもあそこまで荒っぽくはなかったはずなのだが……。

「ああ、あの薬、興奮剤も入っているから」
「……」

永琳のせいだった。



経緯はどうあれ、これで生徒達はいくらか大人しくなった。
唯我独尊なチルノ、傍若無人なルーミアあたりは大して堪えなかったようだが、橙は耳を寝かせて震えている。
文字の書き取りも順調に進め、パチュリーの授業は終了……次は永琳の授業だ、興奮状態のEXパチュリーが元気に走ってくる。

「永琳! 薬、役に立ったわ! 次は貴女の番よ!」
「え、ええ……」

元気すぎてキモかった。なんだこれ、ほんとにパチュリーか? 永琳は冷や汗を流す。
パチュリーは腕を振り上げて永琳とハイタッチを交わそうとしている、永琳はしぶしぶ手を振り上げたのだが……。

「ブッ!!」

何故かパチュリーは拳を握り締め、腕を直角に曲げて駆けてきた。
腕を「がしっ!」と組み合わせたかったようなのだが、合わせられなかった永琳の顔面にパチュリーの腕が直撃、そのままアックスボンバーになってしまった。
不意を衝かれた永琳は受身を取ることもできず、教室の床に強かに後頭部を打ちつけた。

「ぐ、ぐぅっ!?」
「あ、ごめんなさいね……でも、貴女がどんくさいからよ」

永琳だって別に自分の運動神経が良いとは思わないが、普段どんくささの塊のようなパチュリーにそんなこと言われたくない。
しばらくは後頭部を抑えて涙目で転げ回っていた永琳は、もう興味本位で興奮剤入りの薬なんて渡さないと心に誓った。



永琳が教壇に立つと、教室は静まり返ってしまっていた。
本来望ましいのだが、これはEXパチュリーへの恐怖からである。表情が硬い。
必要以上の緊張を与えるとかえって効率が悪くなる。

「皆、もちろん自分の名前はあるわよね」
「?」

永琳が突然不思議なことを言い出す、生徒達は思わずその声に聞き入った。

――流石は永琳、できるな。

思わず慧音が感心する。そう、これは慧音の寺子屋でも見せた永琳のテクニック。
一見関係無さそうな話題から、授業内容へとつなげるコンビネーションだ。
そして経験豊富な慧音には、このあと永琳がどういう話題展開をしていくのかが見えている。

「自分の名前、どう書くか気にならない? 文字ってね、ちゃんと書けるとかっこいいのよ」
「……私の名前……」
「貴女達妖精には普通に生きてても言語能力は身につかないかもしれない、でも、自分の名前は気になるわよね?」

あの不真面目な生徒達が永琳の話に集中している……。
パチュリーのスパルタ方式も効果テキメンだったが、永琳に紅魔館での地位は無い。
だとすれば剛ではなく柔、柔らかな物腰で生徒達のガードを崩すのだ。

永琳は、先ほど藍の書いた数式を読めなかったメイドに歩み寄る。

「貴女の名前は?」
「私? 私の名前は……」
「うん、うん」

メイドが名乗ると、永琳は柔らかな微笑を浮かべ、紙に綺麗な字でそのメイドの名前を書いていく。
そしてサラッと書き上げると、その紙をメイドに手渡しした。

「これが貴女の名前、素敵ね」
「お、おぉ……私の名前……私の名前よー!!」

メイドは紙を強く握り締め、立ち上がって両腕を振り上げた。
周りのメイド達もそれにつられて歓声を上げ、思わず拍手をする。

「せ、せんせえ! 私の名前も書いてよ!」
「私も!」
「私もーっ!!」
「ふふふ、ちょっと待ってね」

パチュリーが北風なら永琳は太陽、北風と太陽作戦、ここに成功。
即座にパチュリーのやり方に合わせ、メイド達の急所を衝く永琳の見事な判断。
思わず慧音も拍手せずにはいられなかった。

しかし……。

「あたいは自分で書けるもん!」

そう言って、チルノは自分の机に置いてあった紙に「チルン」と書いた。

バッチリ、書けてなかった。

「私も書けるよ」

橙は「チュン」と書いた。やはり書けていなかった。
ルーミアはサングラスで目元が隠れるのを良い事に居眠りをしていた。

見事な永琳の手腕だったが、転入生の牙城は崩せず……。
パチュリーが道を拓き、永琳がそこに切り込んだ。
果たして次の慧音は……永琳のアシストを受けて、最初の難関、転入生を落とすことができるのか。
橙は散々繰り返された頭突きにより慧音に対する警戒心が強い、それも問題になる。

本日ラストの四時間目はベテラン、慧音先生だ。



ここまでハードルを上げられたことにより、教師同士の敵対心は徐々に忘れられつつあった。
これは決闘どころではない。いくら妖精とはいえ、紅魔館で働いているのに文字の読み書きすらできないのは哀れである。
三人の心には決闘のことよりも、そのことが引っかかっていた。
そしてそれこそ、教師としての使命感でもあった。

あと、高見の見物をしている紫が腹立つので、引きずり出して痛い目を見せてやらなければいけない。

「……頼むわよ、上白沢先生……」

勝負は一週間後、メイド達が言語能力を備えてからだ。
それまでは共同戦線、慧音と永琳は目を合わさず、不敵な笑顔ですれ違う。
そして永琳と入れ替わり、慧音が教壇に立った。

(味方になればこれほど頼もしい者もいないな、八意先生)

転入生は相変わらず不真面目な様子だが、メイドは永琳によってきっちりとまとめられた。
初めの頃はほとんど居眠りしていたというのに、今は全員目をぱっちりと開けて慧音の動向に気を配っている。
バカとはいえ一応はメイドとして働いているから、それなりに切り替えができるのかもしれない。

「さて諸君」

慧音は腕を組み、眉をしかめて話し始めた。
慧音の声はよく通る。ほんの少し厳しさを含んだ声は生徒達の気持ちを良い具合に引き締めるのだ。

「今は改装したとはいえ、ここは図書館だ」
「わかってるわよそんなの!」
「……」

先陣切って突っかかってくるのはチルノ……チルノはああ見えて結構プライドが高い。
あからさまに上からの言い方をすると反発する。とはいえここはまずこの雰囲気を維持したいところ。
今はチルノに目を瞑り、メイド達に文字を教えてやらなければならない。
完全ではないものの、転入生三名はそこそこの言語能力は備えているようだし。

「お腹すいたー、給食はー?」

ルーミアは集中力が無い。ふわふわした性格、これもまた扱いが難しい。

橙はすごい形相で慧音を睨みつけている。
頭が変形するぐらい頭突きされたのだから仕方ないが、ここも切り崩すのは難しそうだ。

よって、とりあえず転入生は保留、特に橙に関しては藍の力無くして攻略は難しいだろう。
しかし慧音は藍にも目の敵にされている、この状況の厳しさは藍が一番よく思い知っただろうが……。

「本というのは面白いものだ。諸君らはここ紅魔館に住んでいながら、これだけの本を読めないのが残念ではないか?」

慧音は辺りを見回し、その後再び視線をメイド達に戻す。
しかしメイド達は「うーん」とうなり、眉をひそめた。
文章に慣れるどころか読むことすら満足にできないのでは、ほとんど興味も湧かないだろう。どこか納得いかない表情だった。

(ちょっと、上白沢先生……)

永琳が焦る、生徒達は徐々に集中力を失いつつあった。そろそろ終業時間が近いこともあるだろうが……。

「まあ、今はあまり興味を持てないかもしれないな。だが文章を読めるようになったら是非読んでもらいたい。
 今日は導入として、私が少し本を読み聞かせてやろう」

慧音が永琳に目配せする。慧音も柔の姿勢で攻めるようだ。

(ひやひやさせないでよ、まったく……)

「ノーレッジ先生、短編集のようなものはあるかな。内容もできるだけ簡単なものが良いんだが」
「あるわよ、少し待ってて」

パチュリーをも上手に使い始めた慧音。永琳の表情が曇る。
これが本気の慧音先生……なんだ、やればできるのではないか。これは後々脅威になってくるだろう。
共同戦線を張って、まずあの生徒達をなんとかしなければいけないのだが、永琳は心中でまだ決闘を捨てきれない。

悩みどころであった。



初日終了後……教師三人は人里の居酒屋で酒を飲みつつ、作戦会議を行っていた。
紅魔館でやっても良いのだが、どさくさにまぎれて紫が滞在しており鬱陶しい。ということで場所を移した。

そしてもっとも中心的な議題はやはり転入生の攻略、特に、遠慮なく反発してくるチルノが曲者だ。

パチュリーは野菜スティックをかじりながら呟く……ちなみにテンションはもう元に戻っている。

「メイドを黙らせるには今回の方式で良いけど、転入生にはやはり通用しないわね」
「かといって、ユルめに押しても言うことを聞かないわ、どうしましょう」

冷奴を上品に食べる永琳も、今のところ突破口を開けていないように見える。
熱燗を喉に流し込み、慧音に、視線と共に議題を送った。

「ああいう手合いは、外堀を埋めるのが一番効く」
「……?」
「外堀を埋めるとは……?」

慧音の杯に酒を注ぎながら永琳は首を傾げる。慧音は随分なペースで飲んでいる、酒に強いらしい。

「メイドは既にパチュリーの手中だ、再び逆らうことがあっても一喝すれば黙るだろう」
「……どうかしら、何度も通用する手ではないかもしれない。あいつらは並外れたバカよ……バカは屈強、すぐ慣れるわ」
「ありえなくはないわね」
「だとしてもあと二~三度は通用するだろう。しばらくはメイドに視線を向けて、モチベーションの維持を優先しよう」
「そうね……今日は黙らせられたけど、これからどうなるわからないし」
「議題がずれているわ。チルノはどうするの? 外堀を埋めるってどういうことよ?」
「なに、言葉の通りだよ」

慧音はおもむろに焼き鳥を串から外し、肉を十三個に分け、その中の一つを囲うように残りの十二個を並べた。

「……どういうこと?」
「まず他の二人を懐柔する、チルノを孤立させるんだ」
「……意外と残酷なのね、貴女」

パチュリーには言われたくなかった、慧音は思わず眉をひそめる。

「私だって、好きでこんなことをするわけじゃない……」
「とはいえ目的のためには手段は選んでられないわね」

パチュリーは焼き鳥をいくつか箸でつまみ上げ、口の中に放り込んだ。

「最終的には生徒達のためを思ってのことでしょう? 上白沢先生」
「……八意先生……」

寺子屋で散々やりあったのだ、慧音が生徒思いであることなどわかっている。
永琳もいくつか焼き鳥を口へ運んでから、大皿には三つだけ残して、それ以外を慧音の取り皿に移した。

「……目的のために残酷な手段をとらなければいけないことはあるわ……」

パチュリーは、三つ残った焼き鳥の一つを箸でつまみ上げた。

「……ルーミアは私に任せなさい」

そして口の中に放り込み、咀嚼する……肉はあと二つだ。
そしてパチュリーは、真剣に悩んでいる様子の慧音の肩をぽんぽんと叩く。

「手段が残酷でも、残る結果は残酷じゃないわ……あいつらの学力向上のため。貴女の思いやりでしょ?
 ま、私は魔女。そんなことはどうでも良いんだけどね……もぐもぐ」
「パチュリー……」
「貴女が汚れたくないのなら、私が泥をかぶる……一週間後をまともにするためなら、文句は無いわ」

パチュリーはもう一つの肉にも箸を伸ばす……。
しかしそれを聞いた永琳が「仕方ないな……」とばかりに小さくため息をついてから、肉を一つ指でつまんだ。
パチュリーと目を合わせて目だけで微笑んでから、肉を目の前に持ってきて真顔で呟く。

「八雲藍と橙は貴女をかなり強烈に仇敵視しているわ」
「……そうだな」
「……だから私が八雲藍を懐柔し、橙の説得に当たらせる」

永琳は手づかみながらも、楚々とした動作で肉を口に運び、指先をなめた。

「……数日前の状況が嘘のようだな」
「別に……貴女が手入れしていた寺子屋とは状況が違いすぎるだけよ」
「……」

永琳は慧音と目を合わせようとはしない。
その目の奥には迷いがあった。寺子屋に居た頃はいらないプライドに執着し、みっともなかった慧音……。
しかし今の慧音は、今日一日教えただけの生徒を気遣う、まさに教師の鑑。
一週間経って状況が落ち着いたからと言って、再び汚い手段で貶めることには若干の抵抗がある。
かえって自分が惨めになってしまう。

「紅魔館のメイドも転入生も相当クセが強いわ。それに、言語能力ぐらい備えてくれないと授業にもならない」
「そうだな」
「そこからが勝負の続き……容赦しないわよ、上白沢先生」
「望むところだ」

しかし蚊帳の外から眺めるパチュリーの目は死んでいない。
今は目的が同じだから協力し合ってはいるが、永琳には借りがある。
一週間が済んだら多少卑怯な手段ででも永琳を貶め、その首級を獲ってやろうと輝いている。

教師達にもそれぞれ個性があった。

飽くまで生徒思いな慧音。
全体のバランスを重視する永琳。
共同歩調は取りつつも虎視眈々、貪欲に優勝を狙うパチュリー。

一つだけ気がかりなのは藍のことだ。

藍は運が悪かった。一番最初の授業で、生徒達の頭の悪さを目の当たりにした。
藍以外が初めに授業を行ったとして、あの衝撃に耐えられたかどうかはわからない。
逆に、藍が最初に犠牲になったおかげで残り三人は活路を見出したとも言える。

――八雲藍。まだ立てるの? 貴女は……――

永琳の表情は優れない。
懐柔するとは言ってみたものの、それ以前に藍は復帰できるのだろうか。
あの授業がトラウマになってリタイアしたりはしないだろうか。
そうなれば橙には手がつけられない……慧音にだけ不利に働く時限爆弾となる。

「みっともない戦いはもう嫌ねぇ」
「ん?」
「なんでもないわ、ふふ」

今のこの上白沢先生と真っ向からぶつかり、完膚なきまでに叩きのめしたい。
永琳の心の中には、徐々にそんな感情が湧きつつあった。

そのためにはなんとしても八雲藍を復活させなければいけない。



一方学生寮……とはいえこれも臨時に咲夜が拡張したメイド達の寄宿舎なのだが……。
本当にパーフェクトメイドである、一日でこの建物を作ってしまったのだ。
臨時だし、二週間経ったら物置になるか、潰されてしまう。しかし簡素ではあるものの、大工もビックリの十分な作り込みだった。
隙間風の通る余地もなければ、隣の部屋に物音も響かない。家具も必要なものだけ揃えてある。

そこに寝泊りするのは三人の転校生。
それぞれに部屋は用意してあるが、三人は今チルノの部屋に集まって会議をしていた。

「なんなのこれ? ずっと座らされて退屈だし、二週間もこれをやるの?」

チルノは不満たらたら……紫との大ガマ云々という約束はすでに頭から抜け落ちていた。
三人はベッドに寝転がり、輪を作って話し合っている。

「つまんないよねー」
「でも、藍様が……」
「なんで血吐いてたの? あの狐」
「わ、わかんない……」

橙だけは藍を心配しているようだが、チルノとルーミアはそんなことつゆ知らず。
スペアがどうこうと言われていたルーミアのサングラスも、別に一つあれば良いと思っているようだ。

「つまんないから、あいつらやっつけちゃおうよ!」
「スペルカードで?」
「うん」
「で、でも藍様は……」
「スペルカード戦の方が楽しいじゃん!」
「私、藍様と戦うのは嫌だよ!」
「血吐いてたから戻ってこないんじゃないのー?」
「う、うぅ……」

ルーミアは間延びした口調で残酷なことを言う。
橙の耳が寝そべり、目に涙が浮かんだ。

「も、もうちょっと待とうよ……チルノ、大ガマは……」
「あっ! そうだった!」
「私は別にもういいけど。眩しくなくても肌荒れはしちゃうしー」
「まぁ、おいしい料理もでるし、しばらくは良いかー」
「うん」

教師の中に藍が居るから……それを理由になんとかこの場は橙が治めた。
しかし不穏、これでは転入生達がいつ反乱を起こすかわからない。
奇しくも、三人の教師が『チルノ包囲網』を敷くことを決めた夜のことだった。
果たしてこの一触即発の状況で上手にやれるのだろうか……。



二日目の一時間目は慧音。
パチュリーは再びサイドから教室の様子を観察、特にルーミアに目を見張り、対策を練る。
藍はまだ目を覚まさない、そして永琳はそんな藍の様子を見に行っていた。

「さて、今日も引き続き語学の授業だ。あ、から、ん、まで順に、一緒に書き取りしていこうか」
「えー、本読んでよー」
「つまんねー」
「ねむ……」
「……」

昨日は言うことを聞いたのに、早速ダメになっている。
なんというもの覚えの悪さ、未だに自分達の置かれている状況がわかっていないらしい。
今日は昨日と違って紫だけが見物に来ている、レミリアはまだおねんね、咲夜は仕事だ。

(頼むからあまり刺激しないでくれ……)

満月が近い。慧音は日に日に自分が神経質になっていくのを感じていた。
流石にこの決闘中に生徒達を血祭りにあげるのはまずいだろう。しかしメイド達の生意気な態度が神経を逆撫でする。

(落ち着こう……)

教卓の横にあった椅子に腰掛けて、とりあえず気持ちを落ち着かせようとした。
昨日はこんな椅子無かったと思うのだが、咲夜が用意してくれたのだろうか?
木製の椅子でゴツゴツしてそうだが、座布団が敷いてあるので座り心地に問題は無さそうだ。
慧音は深呼吸しつつ、その椅子にゆっくりと腰掛けた。

ブーッ!!

「はぁっ!?」

慧音が椅子に座った瞬間に鳴り響く奇妙な音……驚きのあまり慧音は椅子から転げ落ちた。

「ブフッ!! 『はぁっ!?』 だってよ!!」
「まんまとひっかかってやんの!! ブフッ!!」
「な、な……お、お前ら……」

――ブーブークッション。

ダメだ。教師達がどんなに真剣な姿勢でも生徒達はバカ、これは揺ぎない。
慧音は夕べあれだけ悩んだのがバカらしくなってきた。こいつらほんと腹立つ。

「おぉぉぉぉぉお前らぁぁぁぁ!! 前に出ろぉぉぉぉおぉ!!」

帽子を投げ捨て、真っ赤な顔で教卓をバシバシ叩く。
昨日あれだけベテランの余裕を見せつけた慧音先生のイメージは、ブーブークッション一発で崩壊した。

「はぁ……」

パチュリーがため息をつく……前途多難だった。



一方、永琳は藍の様子を見に行っていた。

紅魔館には窓が少ないのだが、一応レミリアの部屋にも窓はある。
満月が出れば部屋から眺めたいし、吸血鬼だからと言って徹底して太陽を避けるのはかっこ悪い、とのことだった。
もちろん、藍がいるのはレミリアの部屋ではないが、この部屋には随分と窓が多い。
精神的なショックの大きい藍を癒すために、咲夜が少しでも明るい部屋を選んでやったのかもしれない。

しかし永琳が部屋に入っても藍は振り向きもしなかった。

部屋にはベッドが三つほどあり、それ以外には簡素な机と、大きな柱時計があるのみだった。
よく掃除されてはいるが、置いてあるものが全体的に質素で、どことなく寂しい印象を受ける部屋だった。
綺麗に洗濯されているカーテンも無地で味気ない。

そんな部屋で一人、藍は寝巻き姿。カーテンに手をかけて窓の外をじっと眺めていた。

「藍……」

永琳が名前を呼んでも応えない。
ほんの少し九尾が左右に揺れただけ、しかし藍はそれもすぐに動かすのをやめた。

「そんなに綺麗な景色なのかしら?」

さりげなく藍の腰に手を当て、並んで外を眺める。
まぁそれなりに綺麗な景色だろう。外はよく晴れているが、湖が霧でよく見えないのが残念ではある。

(余程ショックだったのね……)

まったく口を利いてくれないとは……別に永琳が悪いわけではないだろうが、一人にしてほしいのだろうか。
しかしそう簡単に退くわけにはいかない。永琳は窓を開け、窓枠に腰掛けて無理矢理藍の正面に位置取った。

「貴女が出てこないと、数学の授業に穴が空いてしまうのよ。でも今は皆で語学を教えているわ。
 一週間……一週間で言葉をしっかりと教えて、それから本当の勝負をしようということになったの。協力して?」
「……?」
「貴女……一体どうしたの?」
「??」

怒っているようでもないし、沈み込んでいるようでもない。
なんだか様子がおかしい、言葉を理解していないように見える。
表情もおかしい、藍は目をぱちくりさせて永琳の全身をじろじろと観察していた。

「無駄よ」

突然部屋の入り口の方から声がした。止まった時が急に流れ出すような感覚だった。
永琳が振り向くと、そこにはいなり寿司の乗ったお盆を手に持つ咲夜が立っていた。

「記憶喪失かなんか知らないけど、言葉すら覚えてないみたいよ」
「えっ!?」

永琳は「え~……」と思った。

いくらなんでもナイーブすぎる。あのぐらいで……。
橙が予想以上にバカだったのがショックだったのだろうか。
それとも普段から溜め込んでたストレスもあるのか……こちらはありえる。

そんな永琳をよそに藍は目を瞑って何度か鼻をヒクヒクさせた後、元気よく咲夜のお盆を取り上げた。
そして心底嬉しそうな表情でいなり寿司を頬張り始める。
食べ散らかすし、箸があるのに素手で食べるし……とてもじゃないが、これがかの気高き妖獣、八雲藍だとは信じられない。

(幼児退行っていうか……記憶が戻りすぎて、野生の狐みたいになってるんじゃ……)

あっという間にいなり寿司を食べ終わってしまった藍は、物欲しげな顔で咲夜を見つめ始めた。
咲夜は「もうないわよ」とばかりに、ひらひらと両手を広げて見せている。
野生にしては人懐っこすぎるな、と余計なことを考えつつ、永琳はこれからのことを思案する。
そしていなり寿司がもう無いことに気付いた藍は、永琳の全身を興味津々で触り始めた。

(狐の赤ちゃん……)

藍は永琳にしがみつき、そのまま寝息を立て始める。

「懐かれたみたいじゃない、良かったわね」

時を止めて、文字通り瞬時に消え去った咲夜。

(ひ、他人事だと思って……)

二時間目は自分の授業だと言うのに……。

三時間目の藍の授業を四時間目に繰り上げるとしても……。
自分の授業が終わったら、パチュリーの授業の間に藍をなんとかしなければいけないのか。
まだ語学しかやっていないわけだし、他の誰かが埋めても良いのだが……。



(遅い……もう授業が始まってしまうぞ、八意先生……!!)

慧音とパチュリーはやきもきしていた、もうじき休み時間が終わると言うのに永琳が未だに姿を現さない。
いざとなればパチュリーを代打で出すという手もあるが……いや、逆にその方が良いのではなかろうか。
パチュリーに先ほどのブーブークッションのようなブーブートラップ、もといブービートラップを仕掛けようものなら、即座に雷が落ちる。

(だが、あれは興奮剤のせいだったか……)

怒ることには怒るだろうが……このバカメイド達を見よ。
慧音の頭突きを食らっておでこから湯気を上げながらも飄々としている。
なるほど、これではパチュリーのパワーハラスメントからすぐに立ち直るわけだ。
時折邪悪の片鱗を覗かせる寺子屋の生徒もかなりの曲者ではあったが、再生力の面では比較にならない。

――あいつらは並外れたバカよ……バカは屈強、すぐ慣れるわ――

夕べのパチュリーの言葉が脳内に蘇る……それにしても耐性が付くのが少し早すぎやしないか。慧音は頭を抱えた。

「待たせたわね……ゼェ、ゼェ……」

思考を取りまとめる暇も無く響いた永琳の声に、二人が振り返る。
そして絶句……一体何があったというのか……。

「お、重いわ……」

永琳の背中には、おんぶ紐で無理矢理くくりつけられた藍の姿があった。
永琳に背負われて安心しきり、スースーと寝息を立てている。

「な、何があったというんだ!?」
「ショックで記憶が吹き飛んだのよこいつ……安静になんてさせないわ。教育現場を見せて、無理矢理復帰させる」

荒療治。今取れる手段はそれしかない。永琳含め三人の教師には時間が無いのだ。
そして永琳は教室の隅でニヤニヤしている紫を睨み付ける、紫を見せることでも記憶が戻るかもしれない。

「藍ったら、あの程度で……修行が足りないのね」
「その言い方はあんまりじゃないかしら? 転入生をけしかけたのはあんたでしょうに」
「あんたこそ、可愛い教え子に対してその言葉はあんまりじゃないの? 転入生をまるで腫れ物みたいに」
「……今に見てなさい」

余裕の紫、そして言葉すら出ないのが橙……藍がああなってしまったのは自分のせいなのだろうかと、心の中で自責していた。
他の生徒達も、あんまりな光景を目にして呆気にとられている。

「赤ちゃんプレイ……ブフッ!!」
「くっ……このっ!!」

紫が永琳をからかって笑う。
こいつはここまで見越して藍を追い詰めたのではないか、と疑ってしまうほど残酷な態度だ。
もしかすると、紫がその気になればこの藍をすぐに元に戻せるのかもしれない、が……。



――後で絶対にほえ面かかせてやるわよ!!



こんなやつの力など借りるものか。永琳は紫にそっぽを向いて教卓へと向かう。



そして時計台が鳴り響き、二時間目の開始を知らせた。



~続く~
最初は寺子屋で決戦のはずで、学級委員の四季映姫さんとかも乱入する予定でした。
しかし登場キャラが多くなりすぎて、名無しの生徒達が皆大人しくなってしまって……。

なので構成を変えて舞台を紅魔館に。
一応イザベラとかジェシカとか、名前出てるメイドがいますが、こいつらはレミ豆の流用です。
ジェシカが幽々子に埋められたやつで、イザベラが輝夜隊のイナバに豆ランチャーで撃たれたやつだったと思います。

しかしながら、

「無闇やたらに名前ありのオリキャラ出すのもなー」

ということで再びご登場願った程度で、特に思い入れがあるわけでもないんですよ。
ちなみに名前は某ゲームからそのまま持ってきただけで、何のひねりもないです。


頭の良い奴が活躍する話なら、その逆も出した方がいいかなーと思いました。
代表格のチルノはともかく、ルーミアや橙については人それぞれの解釈があるかもしれないんですが。
これまでの作品も読んでくださってる方なら気付くかもしれませんが、私は彼女らをトリオで出す傾向があるようです。
ルーミアについては名前しか出したこと無かったと思いますけど。

『バカ』という単語が頻繁に出るので少しトゲがある文章になってしまいましたが、そういう部分も含めて可愛いと思ってます。決して悪意があってのことでは……言い訳がましいですけど(汗


高校生の頃に赤点を取りすぎ、クリスマスに親と共に学校に呼び出されたことを思い出しつつ書きました。
あれは、これからも一生忘れることのできないデビルクリスマスだと思います。


学年でワースト3でした。キャッ、恥ずかしい!(ほんとに恥ずかしいな
VENI
http://www.geocities.jp/hurkai732/index.html#
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コメント



0.3130簡易評価
2.80名前が無い程度の能力削除
何と言う混沌。
3.80七氏削除
カオスでも笑えるのが幻想クオリティー
5.70名前が無い程度の能力削除
藍様脆すぎるwww
8.90名前が無い程度の能力削除
続きが楽しみで仕方ないよ畜生!
10.100名前が無い程度の能力削除
ルーミアの二進法で限界が来た…!
あれは不意打ちだよ!
11.80名前が無い程度の能力削除
ゆかりんがマグロ漁船で出航する姿を幻視しましたww
12.100名前が無い程度の能力削除
バカの恐ろしさを思い知りました!!w
13.100ルエ削除
リグルとみすちーが除外されてるのが私の救い。よかった・・・
それにしてもゆかりんはマジでマグロ釣ってきそう
17.100名前が無い程度の能力削除
これが紅魔館アカデミー発足の切欠か……。
にしても藍様哀れすぎ……鬼だよ漁師ゆかりん!
あれ?もしかして寺子屋に行ってるのはめーりん?
18.90名前が無い程度の能力削除
チルン可愛いよチルン
本当の勝負は満月の時ですねけーね先生!
20.90名前が無い程度の能力削除
ゆかりんとバカども、より上はどっちだ!
23.90名前が無い程度の能力削除
甘えん坊藍様かわいいっ!!この先どうなるのか楽しみです!!
24.100華月削除
笑いましたw
マグロは紫が取ってきても捌くのはきっと藍なんでしょうねww
27.100名前が無い程度の能力削除
紅魔館がこのレベルって事は……幻想郷はまさに春ですね!
28.50名前が無い程度の能力削除
VENIさんのSSは完結してから読むッ!それが俺のジャスティスッ!
でもとりあえず50点先払いです、偉大なるVENI卿が俺的判断50点以下のSSを書く筈が無いッ!そしてそれは毎回当たるッ!
29.90名前が無い程度の能力削除
なにこのスクールウォーズ(誤
こんな教師陣がいたら俺の学校生活はどれだけ楽しかったかっ…

>寺子屋の代打
個人的には霊夢か魔理沙と予想。美鈴はパッチュさんが文句言ったときに
居たような描写に見えたんで
30.80削除
まだ導入編なのにこのカオスw
…残機が!残機が必要だ!!
31.100名前が無い程度の能力削除
多分代打は山田さんじゃないかと思うんですがね、割とヒマしてるそうですし(^^;
あと、アリスあたりでも面白そうですが。

……とにもかくにも、本編の刺激が強すぎるッ!
32.100名前が無い程度の能力削除
メイドよりも文字が書ける転入生のほうがよりバカに見えr
33.100名前が無い程度の能力削除
まぁ、あれだね。バカに大学教授クラスの教師をつけるという時点で遊ばれてることに気づけないあたりがこの人たちの不幸だなw

>寺子屋の代打
やっぱり本命は美鈴かな。おっぱいキャラだし。次点に小悪魔。
パチュに怒鳴られてたのは、れみりゃと咲夜じゃね?
36.100名前が無い程度の能力削除
すごすぎる…
この段階でこの面白さは異常だ

ジェシカとイザベラというと聖剣3しか思いつかない…
40.100時空や空間を翔る程度の能力削除
無事に授業が再開するか・・・・・
先生と生徒の真剣勝負
最後まで付き合いましょ~見届けましょ~。
41.100名前が無い程度の能力削除
「こ、これでは『教師VSバカ』の構図だわ……八雲紫! やってくれたわね!?」
食べながら読んでいたらご飯噴いちゃったじゃないかっ!!w
久しぶりのお肉を返せっ!!!w
42.無評価VENI削除
読んでくださってありがとうございます(例

>ジェシカ&イザベラ
聖剣3は小学6年のときにやりましたが、流石に覚えてなかったです。
調べてみたら、確かにいるみたいですね。ジェシカとイザベラ。

別に隠すことでもないので言ってしまいますと、元ネタはデッドライジングでした。
レミ豆当時丁度やってたので、これでいいや、って(適当すぎ

>代打
あんまり予想しちゃいやん!(キモッ
44.100名前が無い程度の能力削除
バカばっか。

……それでも。
ミマー先生なら……
魔理沙を一人前の魔法使いに育ててくれたミマー先生なら。
きっとなんとかしてくれる。

気がする。
45.90削除
まったく…筆者様はいったいどこまで邪悪なのか!w
47.80赤灯篭削除
前回とは随分話の方向性が違っていて驚きましたが、これはこれで……
54.100エリス・ブライト削除
もうどうにもならないでしょう。各先生方の冥福をお祈りします。(一人死なないけど)
56.70思想の狼削除
なんか、レミリアよりも妹様の方が賢い様な気が…w

>寺子屋の代打
…皆さんあっきゅんの存在を忘れていません?
57.100名前が無い程度の能力削除
なんだこりゃ、なんだこりゃあw
元気なパチュリーなんかいいなwww
61.90名前が無い程度の能力削除
チルノを筆頭に妖精ほど腹が立つ存在はいませんねw
まあ良い意味で腹が立つ、ですかね。
チルノの扱いに期待。
93.無評価名前が無い程度の能力削除
3時間目を4時間目に変えるのは、繰り下げではないかなと。
間違えてたらすみません。