輝夜と妹紅は今日も殺しあいます。
血が飛び散ります。
皮膚が剥がれます。
肉がえぐれます。
指が千切れます。
腕がもがれます。
足が吹き飛びます。
ハラワタが飛び出します。
目が潰されます。
耳がそぎ落とされます。
鼻が削られます。
頭が砕かれます。
首が刈られます。
それでも二人は死にません。
何度殺しても、何度死んでも、幾度となく蘇ります。
そしてまた、殺しあいを続けます。
殺せない殺しあいを続けます。
殺されない殺されあいを続けます。
死ねない死にあいを続けます。
死なない死なせあいを続けます。
あるとき慧音が言いました。
「妹紅、お前はどうしてそうも殺しあうんだ」
慧音は心配だったのです。
いつもいつも服を血まみれにして、時には体の一部が足りないまま、ボロボロになって帰ってくる妹紅が心配だったのです。
妹紅は答えます。
「さあ……どうしてだったかな」
妹紅の口ぶりは、それが何でもないかのようでした。
「妹紅、ふざけないでくれないか」
「あはは、怒らないでくれる?……ああ、そうだ。思い出したよ。一つあった」
そして妹紅は慧音に言いました。
あるとき鈴仙が言いました。
「姫様、姫様はどうしてそうも殺しあうんですか」
鈴仙は心配だったのです。
いつもいつも服を血まみれにして、時には体の一部が足りないまま、ボロボロになって帰ってくる輝夜が、心配だったのです。
輝夜は答えます。
「さあ……何でだったかしら」
輝夜の口ぶりは、それが何でもないかのようでした。
「もう、姫様。ふざけないでくれますか」
「ふふ、冗談よ。……そうそう、たしか一つあったわ」
そして輝夜は鈴仙に言いました。
二人の答えは同じでした。
「そうでもしないと、生きていられないから」
輝夜と妹紅は今日も殺しあいます。
いつまでも殺しあいを続けます。
終わらない殺しあいを。
変わらない殺しあいを。
無限の死にあいを。
永遠の死にあいを。
いつまでも、いつまでも。