Coolier - 新生・東方創想話

Pop'n おてんば恋通信!

2007/06/04 05:05:57
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 写真を撮る。それは世界を切り取るに等しい行為だ。
 シャッターを押せば写真は写せる。だけど、ありのままの真実を映し出すには熟練の技術
と天性の才覚が必要だ。彼女が欲していたのは後者で、それを可能とするためなら如何なる
辛苦も負うつもりだった。天狗道に堕ちた身なれど、記者であるこの瞬間だけは修羅に徹
しよう。強い覚悟が彼女の総身を震わせた。シャッターチャンスは最接近中だ。
 
 射命丸文が張り込みをしているのは、人里を遠く離れた山奥。知られざる秘境の池。
 人間はおろか妖怪にすら馴染みがないため、名はない。透き通った水面に点々と浮かぶ
蓮の花が鮮やかな彩りを風景に与えていた。
 木々のせせらぎすら騒がしく聞こえる静謐に隠れて、伝統の幻想ブン屋は待ち続ける。
「真実」の果実が食べ頃にまで熟す、その瞬間を。

 肌にぴりぴりと重圧を覚えた。始まる。そう判断した文(あや)は、カメラを構える―
――より前に、「真実」を最適のカタチで撮影するための計測を始めた。
 木々の葉がそよぐ方向や、池を揺らす水紋の流れから風向きを計る。
 ターゲットとその他の自然物――むき出しの岩石や佇立する大樹の幹など――を比較して、
正確な距離を目算で割り出した。ターゲットの身長は1ミリ単位で頭に叩き込んでいる。
彼女が何センチに見える時は何十メートル離れているか。狂いのない式が射命丸文の正確
無比な目視術を支えていた。
 光の射し具合も重要だ。逆光など言語道断だし、太陽の光がレンズに反射してターゲット
に自分の位置を気取られたら元も子もない。被写体がもっとも栄える角度で、尚かつ自分を
完全に殺せるポジションをキープする必要があった。
 風向き。距離。位置。―――その三点をしっかりと抑えてから、ようやく文はカメラを
構えた。片膝を地面に打ち込み身体を固定する。左手でカメラを保持して、右手でピント
を操作した。曖昧な世界が輪郭を取り戻し、真実を形作る。瞳とレンズと被写体が完全に
一直線で結ばれていることを確かめて、文は息を殺した。
 筋肉を操作して心拍数を生命維持できるギリギリまで落とし込む。筋肉に負担をかけない
保持姿勢は指先の震えを無くし、シャッターミスを回避させた。「遊び」を殺すため限界
まで絞り込まれたシャッターボタン。あと一ミリグラム負担がかかっただけでも、シャッ
ターは落ちるだろう。微動すら許されない状況。「瞬間」を切り抜くためには、己を殺し
続けなくてはならないのだ。
 カメラと自分。強力な一体感を覚える。この瞬間、彼女は射命丸文でも鴉天狗でも新聞
記者でもなく、一個の「もの」に過ぎなかった。被写体を写す、という究極の目的のため
のみに生きる一個の写真機だ。
 レンズ越しに伺う世界。―――文は確かに、視た。ターゲットの全身から、強力なオーラ
が発せられるのを。彼女だけが目視することのできる「瞬間」の予兆だ。
 
 いまだ!
 
「思い付いたわ。これしかない!」
 
 シャッターは正確に四度、落とされた。



            *  *  *  *



「思い付いたわ。これしかない!」
 
 腰掛けていた岩石から飛び降りると、チルノは青空に向けて両手を大きく突き出した。
 口元に浮かんだ笑みは無限に湧き出る自信の象徴。彼女の表情が晴れれば晴れるほど、
揺るぎなき自分に確信を抱いているということになる。

「これであたいも最強よ!」
 
 山彦よ、我が声を谺せろとばかりに叫ぶ。
 だが、反応したのは同じ山の妖怪でも幽谷響(やまびこ)ではなく天狗だった。
 
「すばらしいわ。最高のポーズよこれは。『湖上の氷精、新たな閃き。太陽への挑戦。突き
立つ拳!』―――煽り文句はこれで決まりですね。他には考えられません」
 
 森の木陰から独り言を呟きながら黒白の少女が姿を見せる。頭にちょこんと乗っかった
ワンポイントの赤い山伏頭巾。黒白+一点の紅―――高速回転するチルノの頭脳が、少女
の固有名詞を紡ぎ出す。

「あー! ぶんぶん記者!」
「それは固有名詞じゃありません。変な略し方もやめてください」
 きっぱりと斬り捨てる。
「そんなことどうでも良いー! あんた、またあたいを勝手に付け回して……どういう
つもり!? 今度はどんな嫌がらせをしようってぇのよ!」

「心外ですね」
 にこにこと上機嫌に笑いながら文は口を開いた。
「私はただ、可憐な氷精のお姫さまが次はどんな楽しいことをしてくれるのか楽しみに
しているだけです。何か素敵なことを閃いたんですよね? その瞬間、ばっちり撮っちゃ
いましたよ。あとは中味を聞くだけです。インタビューです。ということでチルノさん、
今度はどんな悪戯をして返り討ちにあうつもりですか?」

「ふざけんなー! なんで返り討ちにあうってあんたに分かんのよ」
「記者としての経験です。……で、何を閃いたんですか?」
「じょーっだんじゃないわ! ぜぇーったいに教えない。あんたにはもうウンザリしてい
るんだから。いっつもいっつもあたいをバカにしてー!」
 
 幻想ブン屋はこのところ良くチルノのネタを記事に取り上げる。水無月に「文々。新聞」
で掲載した「湖上の氷精vs大ガマ蛙」が予想以上に好評だったため、彼女が巻き起こす
事件(と呼ぶにはあまりに粗末な失敗談だが)に強い興味を抱いているのだ。
 ネタにされる当人からすればたまったものではない。今までチルノは一人ぼっちだった。
一人だからこそ、自由に動けた。失敗だって怖くなかった。なのに、文を通して「大衆の
目」とやらに監視されるようになってからは、動きにくくてしかたない。失敗や惨敗は
恥ずかしくなるし、人里ではすっかりアイドル扱いされるようになるし、で散々だ。
 最近は悪戯をすると逆に喜ばれる始末で、こんなのはまったく妖精らしくない。
 
「あたいに構うなー!」
「おや? せっかくお姫さま扱いしているのに、喜んでくれないんですか」
「そういつまでもあんたの言葉に喜んだり怒ったりしてらんないわよ!」
「私は新聞記者ですよ? 本当のことしか言いませんったら。当然、記事にも同じように
あなたのことを書くつもりです」
 チルノの動きがぴたりと止まった。
「……ほんと?」
「天狗は妖精と違って嘘を吐きませんよ」

 むぅ……とチルノは目線を下げて考え込んだ。
 
「でもあんた、あたいを何度もバカにしているじゃない」
「私は真実を報じただけですよ。事件をありのままの形で記事にしています」
「それがバカにしているってぇことでしょ!」
 困ったな。苦笑いで文は頭をかいた。
「それだと身から出た錆ってことになってしまいますよ。私を責めてもしようがないじゃ
ないですか。あなたの行いが、人からバカにされているってことなんですから」
「きーっ! やっぱりバカにしている!」
「してませんってば」

 チルノの憤りは高まる一方だ。このままではいつまで経ってもきーきーと喚かれるばかり
で、埒が明かない。文は嘆息をするとポケットからチョコバーを取り出した。
 途端にチルノの口が動きを止めた。食い入るようにチョコバーを凝視する。

「前の謝礼を渡していませんでしたね」
「……」
「私なりに、あなたへの謝礼を色々と考えているつもりなんですよ。あなたに礼金を支払
ったところで、何の意味もありませんからね。だったら、もっと喜んでもらえるものを
用意したいと思うのが人情です。私は天狗ですが」
「そ、それは……」
 これですか? とわざとらしくチョコバーを掲げた。光沢のある包装紙に包まれた棒状
の菓子。幻想郷では馴染みの薄い嗜好品だ。
「この前、謝礼としてお支払いした氷菓子(ポプシクル)は、チルノさんが頑張れば自分
で作れないことも無いんです。でも、これはちょっと不可能でしょうね。原材料を用意
する手段がありません。人里に降りても無駄ですよ? これを食べたことがある人間なん
て、紅魔館のメイド長か香霖堂の店主ぐらいです」
「……あ、あたいは食べたことあるもん」
 身構えながら氷精はじりじりと接近する。
「私が前々回の謝礼であげた奴ですね。豆粒のように小さなチョコボール。確かに、あなた
はとても感激していましたね。よほどに美味しかったのでしょう。……だけど! 何と今回
はこんなにおっきいんですよ? 比較すれば20倍はあります。つまり、あなたはあの時の
20倍の感動を得られるというわけです。すごいですねー」
「に、にじゅう倍……お月さまよりおっきい……」
 ごくりとチルノは唾を鳴らした。
「ちょっと! さっさとよこしなさいよ。お礼なのに、なんで勿体ぶっているのよ!」
「それは迷いますよ。希少品ですからね」
 手の中でくるくると回しながら、天狗の少女は言う。
「これは先日、幻想郷に迷い込んだ外来人が携帯していたものなんです。四つしか持って
いませんでした。つまり、幻想郷でこのチョコバーはいま現在四つしか存在しないという
ことになります。我々天狗は真実を求めて必死で原料の確認をし、量産体制を敷こうと
考えていますが、実際に気軽に食べられるようになるのはまだまだ先の話でしょう。今すぐ
にチョコバーを食べる手段は皆無です」

「そ、そんなの簡単じゃない。最強のあたいが、あ、あんたから奪えば―――」
「……奪えば?」
 鴉天狗の紅緋の瞳が爛と燃え上がった。
「うぅ……」
 鋭い眼光に射抜かれてチルノはたちまち萎縮する。まったくそうは見えないが、この
天狗女は実はむちゃくちゃ強いのだ。弾幕ごっこで勝負すれば三回に一回の割合で勝てた
が、もし本気でやられたら太刀打ちできないだろう。天狗というのは卑怯な連中で、力を
出し惜しみするから普段は弱そうに見えるだけだった。

「……やっぱりチョコバーはもったいないので、謝礼はこの『文々。新聞ロゴ入り特製
万年筆』を差し上げます。文ちゃんマークが彫られているんですよ」
 差し出された万年筆をはたき落とす。
「いらないわよ、そんなの!」
「そうかですか? ……残念です。これも希少なのに」
 良いからよこせ、とチルノは小さな腕を突き出す。
「交換条件です」
「お礼って言ったのはあんたでしょ!」
「だから、急にもったいなくなったんですってば」
「だったら見せるな、ばかー!」

 このままだと、怒った氷精は文を置いてさっさとどこかへ飛び立ってしまう。それでは
せっかくの取材の予定が台無しだ。文はチルノをなだめる。元からチョコバーはあげる
つもりで持ってきたのだから、これ以上焦らしてもしかたがない。

「分かりました、分かりましたってば。冗談ですよ。好きなだけ食べてください」

 どうぞ、とチョコバーを渡す。チルノは荒々しく引ったくると、その場で包装紙を破って
かぶりついた。奪い返される前に喰い尽くしてやるという心づもりか。ものの数秒で氷精の
少女はチョコバーを平らげる。そんな慌てて食べたら、味なんて分からないだろうにと文は
嘆息した。紅魔館の主ですら滅多に口にすることができない希少品も、妖精の前では「うま
くて甘い食べ物」程度の価値しか持てないようだ。

「満足しましたか?」
 口の周りに生えた褐色の髭―――チョコの汚れをハンカチで拭ってやる。
「んん……満足? するわけないじゃない。一瞬で食べ終えちゃったわ。大したことない奴
ね。やっぱりあたいったら最強だわ。それでもうないの? あたいはまだいけるわよ!」
「ありませんよ。ほんとに貴重なんですからね? また珍しいお菓子を手に入れたら持っ
てきますから、その時まで我慢してください。というか、あなたは氷精なんだからアイス
キャンディぐらいは自分で作ってください」
 
 で―――と話を切り替える。文化帖と万年筆を取り出して、取材姿勢を取った。
 
「さあ。謝礼は先払いしたんですから、今度はあなたの番よ。何を閃いて、これから何を
するつもりなのか教えてください。大ガマとの決着は諦めたと言っていましたよね。だと
したら今度は何なのでしょう。……そう、紅魔館にメイドとして潜入するなんてどうです
か? 『湖上の氷精、紅魔館に挑戦。レヴァンテインvsアイシクルフォール』あそこの
メイドは妖精ばかりですから、うまく潜り込めると思いますよ。面白いと思いません?」
「ぜんっぜん面白くないわよ! あたいの遊びをあんたが決めるなー!」
「だったら教えてくださいよぅ」
「イヤ!」
 あ、ずるいです―――と文は口を尖らせた。あれだけチョコバーを楽しんでおきながら、
取材に協力してくれないとはどういうことか。もう二度とお菓子を持ってきませんよ、
と文は万年筆を振りながら言った。「う……」とチルノは言葉に詰まる。
 だが、氷精は強情だった。お菓子を秤に掛けても口を開こうとしないなんて。今までなら
とっくに折れている。よっぽど他人に言えない内容なのか、それとも私にだけ言いたくない
のか―――後者なら癪よね、と胸裏でぼやきつつ文は取材協力を求めた。いや、これはもう
取材というよりも尋問だ。文が垂らす餌に食い付かないよう必死で自制するチルノの姿が、
愛らしくもあり、滑稽でもあった。
「絶対に教えないって言ってるでしょう。絶対は絶対なんだから! あんたもいい加減、
諦めなさいよっ」
 チルノの剣幕は激しくなる一方だ。さすがの文もたじろぐ。
「そ、そんなに重大な何かを閃いたのですか。だったら尚更、真実の探求者として私も
見過ごすわけにはいきません。強情を張らずに教えてくださいよ」
「イヤ! ぜぇーったいにイヤ!」
 そんなけちくさい―――開きかけた口に氷塊を突っ込まれた。
「がふ?!」
「帰れーーーーっっ!」
 
 

            *  *  *  *



 満月を背に負って、幻想郷の夜空を飛行する。いつもなら空気を切り裂くスピードで飛び
抜ける文だが、今日は風に乗れず、当て所なくへろへろと飛んでいた。
 先日のチルノのことをまだ引き摺っているのだ。
 あの日は結局退散するしかなかった。射命丸文ともあろうものがネタの一つも勝ち取れず
に手ぶらで帰るなんて。屈辱だった。お陰で最新号の内容が決められないではないか。
 だけど、それはいい。むしろ気になるのはチルノの態度だ。
 割り切るべきです。妖精の気紛れな強情に付き合っていたら、身体が保たないわ―――
そう考えるようにしているのだが、どうにも釈然としない。いつもは文句を良いながら、
何だかんだで喜んで協力してくれているように見えたのに。どうして昨日に限って、あんな
に頑なに拒まれたのだろうか。
 はぁ、と深く溜息を吐く。
 
「……もしかして、私が気付かないだけで本当に嫌われていたのかもしれませんね。思い
当たる節が無いとは言い切れませんし」
 むしろありすぎた。あれとかこれとかそれとか。
「喧嘩……になってしまうのかしら。あんま、そういう気分でもないんだけど」

「おや、鴉天狗の憂鬱かい」
 頭上から声が降りた。
「今夜は月がきれいなせいか、色々と珍しいものが見れるぜ」

 見上げると、視線の先には箒に跨ったエプロンドレスの魔女が浮かんでいた。霧雨魔理沙
―――「文々。新聞」ではチルノと並ぶ常連だ。彼女の後を尾ければまずネタには困らない
というほどの問題児。ただ彼女の場合、氷精の30倍は事件が悪質だが。

「魔理沙……なんですか、私は暇ですよ」
「私はそうでもないんだな。今から神社に行くという立派な予定があるんだ」
「こんな夜中にですか? 行ってどうするつもりですか」
「決まってるだろう? 暇をするんだよ」

 ししし、と金髪の魔女は笑う。他人のことは言えないが、こういう人を喰った女なんだ。
それでいて魔女らしからぬ義理堅さや、人間らしからぬ割り切りの良さがあるから、恰好
のネタとして強く活きる。
 
「要するに暇ってことですよね? だったら、ちょっとだけ付き合ってくださいよ。神社
で暇をせず、私と一緒に暇をしましょう」
 高度を落とす。針葉樹のてっぺんに腰掛けた。月まで届きそうな高い身長を誇る樹だ。
「私はお茶が出ないところで暇ができない身体なんだけどな」
 と言いつつ魔理沙も箒を傾けて高度を落とし、文の隣に並んだ。そういう奴なんだ。

「―――で、何をして暇をするつもりなんだい?」
「何か記事に使えそうなネタはありませんか」
 月を見上げたまま文は言った。
「結局それかい」呆れ混じりの声。「暇をしているんじゃなかったのか」
「暇ですよ。掲載予定だったネタが一個潰れてしまいましてね。このままだと明日の新聞
を落としてしまいます。だから困っているんですよ」
「落とすって……お前の新聞、不定期じゃんか」
「それでも困っているんです」
 そうだなぁ、と魔理沙は頭を傾ける。
「ま、無いこともないぜ」
「本当ですか」
「……あんまり喜んでいるように見えないな。何かあったんじゃないのか? せっかく暇
をするなら、私はそっちの話に興味があるぜ」
「私の話はどうでもいいです。記事に使えませんから。それで、どんなネタなんですか?
あんまり期待していませんけど、一応聞きますよ」

 文の言葉に人間の魔法使いはがくりうなだれる。お前がネタを欲しいって言ったんだろ、
と一通りの文句を連ねてから本題を切り出した。

「さっき湖でチルノを見たぜ」
「へー、そうですか」
 それのどこがネタになるんだろうか。
「他の天狗と話していたぜ」
「―――なんですって?!」体裁すら忘れて食い付いた。「それは本当ですか」
「ああ、間違いない。必死に氷精から話を聞き出そうとしていたぜ」
 
 妖怪は普通、妖精となんて接触しない。面白いもの好きの天狗なら尚更だ。妖精から新鮮
で面白いネタを見出すなんて不可能なのだから。そこに目を付けたのが文だった。チルノ
は妖精らしくない妖精だ。彼女のネタを記事に載せるようになってから発行部数も増えた。
 なんと言ってもチルノは歩いているだけで文の「わくわく」が止まらなくなるほど面白い
少女だ。他の天狗も文に倣って彼女を使おうと企んでも不思議じゃない。
 先日の諍いを思い出す。
 チルノは文の取材要請に応じてくれなかった。何もしゃべってはくれなかった。他の
天狗なら、彼女も口を割るのだろうか。あれは自分だったから、強情に語らなかったの
だろうか。幻想ブン屋はしつこいほど月を見上げる。明日が怖かった。もし、明日発行
される新聞の中に、チルノの記事があったら―――私はどうすればいいのだろうか。

「……感謝するわ魔理沙。記事には使えないけど、確かに飛び切りのネタです」
「ん? 相変わらずせわしない天狗だな。まだ話はこれからだぜ」
「十分ですよ。これ以上何を……」
「あー、何か勘違いしているな。天狗は確かにチルノに取材をしようと、色々手を尽く
していたみたいだけれど―――あのおてんば娘、何て返したと思う?」

 さあ、知りませんよ。
 魔理沙の話にすっかり興味を失せていた文は、月を見上げながら呟いた。
 そんな天狗の様子に気付かないのか、魔法使いは構わず言葉を続ける。 
 
「あいつはな、『ぶんぶん記者以外があたいをネタに使うなんて許せない! あたいは
あいつの新聞で最強になりたいのよ』―――って、そう言って氷柱を投げ付けたんだぜ」

 がくん、と世界が揺れた。危うく針葉樹から落ちそうになる。慌てて幹に縋り付いた。
墜落死なんて天狗の恥だ。弾ける鼓動を抑え込んで、落ち着きを取り戻す。
 そんなのはおかしい。まったく理性的じゃない。態度がまるで矛盾している。

「どうだ、面白いだろう?」
 人(天狗だけど)の気も知らずに、魔理沙はさも愉快そうに笑う。
「え、ええ……」取りあえず同意しておいた。「確かに面白いわ」
 
 でも納得はできない。だっておかしいじゃないか。
 
「私……彼女に取材を断られたんですよ」
「おっと魔理沙ちゃんのお悩み相談室の出番かい?」
 にやりと魔女は口端を持ち上げた。
「だったら、こんなのはどうだい」
 人差し指を突き立てる。
「あいつは自分じゃ新聞も満足に読めないんだが、ある日、誰かさんに丁寧に読み聞かせて
もらった。あいつは自分の記事を楽しみにしていただけなんだけど……そこで一つの事実
を知っちまう。新聞っていうのは残酷なもんだよな。あいつは今までずっと、自分だけが
『文々。新聞』のアイドルだって思っていたんだ。あの新聞の記者の眼鏡にかなう唯一の
インタビュイーなんだってな。でも、当然のように現実は違ったわけだ。『文々。新聞』
は一号につき一記事が基本だから気付きにくかったんだろうが……他の号を読めば、当然
チルノ以外のネタもあるさ。『文々。新聞』は自分のためだけの新聞じゃなかったんだ。
だからってあいつに怒る道理なんてないんだが……気に入らないものは気に入らない。
むすっと苛立ちながら、考えるのには絶好な『人気のない静かな池』でらしくもなく悩み
抜いていたってわけだ。どうやったらあの鴉天狗を見返してやれるのか、ってな。そこに
何も知らない脳天気なブン屋がへらへらと―――」

「ちょ、ちょっと待ってください!」
 頭がこんがらがる一方だ。
「ど、どうしてあなたがそんなコトまで知っているんですか」

「さてな、天狗の仕業じゃないのかい」

 すっとぼける魔理沙。彼女の衣装を観察する。スカートの裾が引き裂かれてスリットの
ように切り込みが入っていた。よく見れば、服が濡れている。水気を帯びた金髪が月光に
当たって銀に輝いていた。まるで先刻まで誰かさんと弾幕ごっこをしていたみたいだ。

「あなたって……」
「どっかの森に住んでいるキノコ好きな天狗が、新聞を書いてみようとでも思ったんだろ
う? 惨めな結果に終わったらしいけど、私には関係ない話だぜ」

 お節介な天狗はにっかりと笑った。文も微笑みで返す。

「……突然ですが、私は暇じゃなくなりました。月光浴は一人で続けてください」

 ふわりと夜空に浮かび上がる。天狗が呼び起こした風が針葉樹の葉をざわつかせた。
「最高のネタでしたよ、魔理沙。今からその裏を取ってこようと思います」
 おいおい、と帽子を抑えながら魔理沙は言う。
「ぜんぶ聞いていかなくていいのかよ」
「それは私の仕事ですから」
 片眼をつむると、幻想郷最速の風神少女は一気に加速を始めた。
 突風が巻き起こった次の瞬間には、彼女の姿は夜空の彼方へ吸い込まれている。背中を
見送る暇すらない神速だ。
 やれやれ、と魔理沙は苦笑する。

「やっぱり、せわしない奴だぜ」 



            *  *  *  *



「―――また、駄目だったわ」

 お気に入りのワンピースが汚れるのも構わず、地面に寝転んだ。水気を含んだ土がぱき
ぱきと音を立てて凍り始める。心地よい冷気がチルノの傷を徐々に癒した。
 沼の畔で仰向けに横たわる妖精。まん丸のお月さまが見下ろしていた。何よ、と顔を
しかめる。あたいは見せ物なんかじゃない。誰にも見られたくなんてない。今まで通り、
自分ひとりで気ままに遊んで生きるんだ。だから、見るな。見るな。
「見るなーっ!」
 この叫び、月まで届くのかしら。もし届いたなら、今すぐに沈んでしまえ。
 
「山彦だって寝こけているようなこんな時間に、」
 仰向けのチルノ。頭上から声が掛かった。
「何を騒いでいるのですか、あなたは」
 
 視界に飛び込む白い素足―――目線を上げる。肩にかかったちょっと癖のある黒髪。好奇
に満ちた紅緋の双眸。見慣れた鴉天狗が腰を屈めてチルノを覗き込んでいた。

「わあ!」跳ねるように立ち上がる。「な、なによ。なんでまた来るのよ」
 幻想ブン屋はいつものように聞こえないふりをした。
「真夜中に妖精が動き回っていたら危ないですよ。いくらあなたでもそれぐらいは分かる
でしょう。……おや? その怪我はどうしたんです。服もだいぶ汚れていますけど」
「なんでもない!」
 ははあ、文は頷いた。「さてはまた、沼の主に喧嘩をふっかけましたね」
 推理の必要すらない。妖精が悪戯をして、人間に懲らしめられるのは幻想郷の秩序の
一つだ。だけど、氷精チルノは並の妖精とは一線を画した存在だから、そうそう人間に
報復されたりはしない。抑止するには妖怪を引っ張り出す必要があった。
 チルノと絡むような幻想郷の妖怪。「文々。新聞」の記者を除けば、沼の主―――
大ガマ蛙ぐらいのものだ。
「……結局、またやり合ったのね」
 無茶をします。文は屈んだ姿勢のまま、半眼で氷精を見つめた。
「妖精が妖怪に敵うわけがないじゃないですか。いい加減諦めたらどうですか? 沼の主
だって暇じゃないんです。いつかウンザリした大ガマに食べられてしまいますよ」
「何を! ……何を言うのよ」
 いつもは大スクープだと言って焚き付ける癖に、こんな夜にだけお説教されるなんて、
まったく気に入らなかった。
「あいつはいつかあたいが倒す! そう決めたんだから」
「最強だからですか?」
「当然!」
 氷精は薄い胸を反り返らせた。
 あの大ガマを倒す。それはチルノにとって初めての、自分の力で勝ち取った栄誉になる
に違いない。誰にバカにされるわけでもない。笑いの餌になるわけでもない。妖怪からも
人間からも尊敬される、本当の大スクープになるはずだった。
 チルノはそういうネタを「文々。新聞」に載せて欲しかった。文が嘘は書けないという
のなら、真実にしてやればいい。あたいがあの大ガマを倒せば文はもう二度とあたいを
バカにしないはずだ。最強だって認めるはずだ。そうに決まっている。

「チルノさん」
 そんな彼女の気持ちを知ってか知らずか、天狗少女は立ち上がると、いつになく真剣な
表情でチルノを見つめた。「な、なによ」と思わず戸惑ってしまう。
「私は新聞記者です」
「そんなの知ってるってば」
 文は無言で頷くと言葉を続けた。
 
「新聞記者は真実を伝える義務があります。幻想郷の住人がまだ知らない情報を紙面に
載せる。そのために私は読者の目となり耳とならなければいけないの。ここの妖怪はみんな
呑気なもので、自分以外にはまったく興味を持ちません。お陰で神秘が神秘のまま、誰に
暴かれるでもなく眠り続けている。私はそれが我慢ならないんです。私は面白いものが
大好きだから、幻想郷のあらゆる愉快なネタを記事にしてみんなに共感して欲しい」

 知識欲に蝕まれるがあまり、仏の道から外れた知者の業火。人はそれを「天狗道」と
呼ぶ。仏教の六道にすら属さない外道。輪廻からも見放された救いのない道だ。

「……だから私はこのカメラが写す被写体のことを、記事として扱われる住民たち―――
あらゆる情報、真実の立場を考慮はしません。彼等の所作の一つ一つが記事になるかも
しれないのですからね。相手の都合に合わせていたら真実なんて追究できません。大前提
として新聞ありきなんです。……お陰で、一部の住人から天狗はだいぶ嫌われています。
私なりに気を付けているつもりなんですけどね。一人で新聞は作れない。皆さんの協力を
得ることで情報も集まるんです。まぁなかなかうまくはいかないものですよ」

 チルノさん―――改めて、氷精の名を呼んだ。

「でも、あなたが……」
 もし、本当にイヤだと言うのなら。
 ネタとして扱われることに嫌気を覚えているのなら。
 私のせいで不愉快な思いをしているのなら。
 私の記事に載るのが嫌いだって言うなら。
 私の取材なんてぜんぜん好きじゃないと言うのなら。
「―――もう、やめです。あなたを、ネタに使うのは」
 
 沈黙が緊張をもたらした。本当に、この池は静かだ。静かすぎる。口を閉ざしたら、虫
の羽音一つ響かない。風がないため葉の揺らめきすら聴き取れなかった。お陰で、氷精が
緊張に耐えかねて唾を飲み下す音まで確認できてしまう。
「な……」
 唖然としながらも、チルノは何とか言葉を紡ぎ出す。
「―――なにを言ってるかさっぱり分かんない。もっと簡単に言いなさいよ! 新聞記者
の真実が何なの。難しいことを言えば恰好がつくって思っているんでしょう!」 
 文は苦笑して頭をかいた。
「だから、あなたがイヤなら……」
「ふざけんなーっ!」
 氷塊が文の顔面に殺到した。今度は軽々と避ける。さらに二つ、三つとチルノの頭ぐらい
はある氷の塊がひょいひょい投げ込まれた。氷精の興奮―――いつものことだが、理由が
分からない。文は氷を団扇で弾きながら首を傾げた。自分は何かおかしなことを言った
だろうか。
「それはなに? あんた、勝ち逃げするつもりね!」
「か、勝ち逃げ?」
「そうでしょう! 今まで好き勝手散々に書いておいて、あたいが実はやばいんだって
分かると途端に逃げる! どう考えたって勝ち逃げじゃない!」

 なんでそうなるんですか。まったく理解できない。どんな思考回路をしているんだろう。
やはり妖精の考えることは分からない。文はしみじみと言葉の難しさを痛感した。

「あんたってほんとっにバカね」
「私が馬鹿?!」
 まさか彼女に言われるなんて。
「最強のあたいはあたいの力で、あんたをねじ伏せてやるんだから。あんたがあたいの
格好良い活躍を新聞に載せるためには、ほんとうにすっごいことをやってやらなくちゃ
いけないんだってあたいは分かったのよ!」
 それはまぁ当然ですね。それ以外にどんな手段があると言うのでしょうか。
「でも、私はあなただけをネタに扱うなんてできませんよ?」
 しれっと言い放つ。チルノのサイン。魔理沙の助言。自分だけを見ろ―――あまりにも
甘美な誘惑。だけど、ブン屋としてとても許容できなかった。
 それ以前に新聞として成り立たない。
「な……!」
 駆け引きなんて言葉すら知らないチルノは、動揺を隠そうともしない。
「な、なにを言ってるのよ。そんな馬鹿な話、誰から聞いたってぇのよ!」
 はぁ、と文は頷く。
「先程、お節介な天狗から」
「天狗はあんたでしょう!」
 それに勘違いもするな―――びしっと人差し指を文に向ける。
「あんたにどうこうしてもらおうなんて、あたいが考えるわけがないじゃない! あたい
が大ガマを倒したり弾幕ごっこで勝ったり神社で巫女への悪戯に成功したり―――と、
とにかく記事に使えるような活躍ばかりすれば、あんたはあたいをネタにするしかなく
なるでしょう? そうすれば、あんたがどう思おうとあんたはあたいだけを取材するしか
無くなるのよ!」
 どうだ、と氷精はやはり薄い胸を反らした。
「やっぱりあたいったら最強ね」
 
 老獪な天狗が、まずは作らない表情―――目を丸くして、呆けたままチルノを
見つめた。これだったのか、と胸裏で納得する。彼女は先日、ない頭を捻ってこんな
くだらないこと考えていたのか。頑張って、自分を見返す手段を思考していたのか。
 なんて馬鹿なんだろう。
 これは。
 これは負けたな、と文は思った。
「―――ま、まぁ、期待せずに期待しておきます」
 天狗少女のポーカーフェイス。所々に罅が入っているが、博麗の巫女や黒白の魔女なら
ともかく、チルノに見破られるほどには傷んではない。
「では、これからもいつも通りということで良いんですか?」
「当然!」
 氷精はどんと胸を張る。
「それは助かります」
 紛れもない本音。だが、そうとは覚られないように笑みだけは隠した。散々彼女のこと
を不器用だと言ってきたが―――喜びを素直に表現できない自分のほうが、よほどにひねて
いるんではないだろうか。胸をかき乱す自己への懐疑。だけど、素直な天狗というのは
あまり格好良いものでは無い。むしろそんなの天狗じゃない。やっぱりこのままでいよう
と文は心に決めた。それに、こっちのほうが面白い。

「明日の文々。新聞の見出しは『氷精からの挑戦状』で決まりですね。湖上の氷精が送り
つけた当誌への挑戦状。読者を見返してやるために画策するおてんば娘の陰謀とは―――
おお、これはいけそうですよ」
「ちょっと、それまでネタに使うつもり?!」
「イヤなんですか?」
「そんなの格好悪いじゃない! もうちょっとまともな扱いにできないの?!」
「私には頼らないって言ったばかりじゃないですか。私があなたの素敵なところばかりを
書けるようなネタを、あなたが自分で作るんでしょう? 期待していますよ」

 言い返せないチルノは悔しげに拳を固める。自分の宣言の重みに今更気付いたようだ。
だからと言って、負けず嫌いな彼女が言葉を撤回するわけがない。不名誉なネタで記事に
されるのを、黙って見守るしないのだ。まったく割にあわない賭けを仕掛けてしまった―
――そのことにこの氷精が気付くのは、いったいいつだろう。彼女はいつだって自分に
不利な条件で勝負に挑む。まったく妖精らしくなかった。
 だけど。
 文は思う。
 この勝負も結局、勝つのは彼女なんだろう。
 
 
 そう言えば最近、香霖堂の陳列棚に不思議な本が並べられた。中味はまだ何も書き込ま
れておらずノートのようなのだけれど、装丁はしっかりしていて簡易の鍵までついている。
 香霖堂の店主はその奇妙な書籍を「交換日記」と呼んでいた。情報媒体の一つらしい。
外の世界では廃れてしまい、幻想扱いのためこっちに流れてきたようだ。
 次にチルノに渡す取材協力の謝礼は、桃色の装丁がかわいいあの本でも良いかもしれな
い。文化帖とも「文々。新聞」とも違う、彼女のためだけの記事を書いてみるんだ。
 これはけっこういい考えじゃないだろうか。早速、明日買い付けに行こう。
 彼女が喜んでくれるといいのだが。
 チョコバーのほうが良かったと言われたらどうしよう。
 
 まったく、らしくないことを考えさせられる。
 伝統の幻想ブン屋は、苦笑してチルノに向かい合った。
 妖精が夜更かしを希望しているなら、付き合ってみるのも良かった。
 何せ、月はまだ沈む気配を見せないのだから。
 
 

                  ―了―
 初投稿です。
 花でチルノのED以来、文とチルノの絡みが大好きになってしまったので、
 ちょっと書いてみました。この二人、良いですよね。
 これからも機会があれば書いてみたいと思います。
 
 改行や空行など、いまいち勝手が掴めていないため、
 読みにくいところもあるでしょうが、お付き合いして頂けたらと思います。
 
 因みに冒頭の撮影シーンはまったくの適当です。
 何せ、私が一眼レフなんて障ったことがないもので……。
 
 読んでくださったかたには、ひたすらの感謝を。
小笠原星人
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コメント



0.1470簡易評価
7.70名前が無い程度の能力削除
誤字:博霊→博麗

チルノ×文はありそうでなくてそれなりに新鮮でした。
チルノが突き抜けた⑨っぷりを発揮しているのが良いです。
ここまで馬鹿だと本当に逆に面白いですよね。
最近はここまで突き抜けた⑨をみないので好感は高いです。
9.80七氏削除
こういう馬鹿は嫌いじゃないんだぜ?
13.無評価sasa削除
チルノと文の掛け合いが微笑ましくて良い感じ
18.80削除
ひとつ言えることは…可愛いは正義。チルノも、そして文もね。
19.無評価小笠原星人削除
>名前が無い程度の能力氏
指摘してくださった誤字を修正致しました。
……なんというか。
やってはいけない誤字をしていましました、という感じですね。
気を付けないと。
文チルは自分の中では鉄板でして、色気のある関係……とはまでは言わず、
傍から見ていると「微笑ましい」の理想かなと思っています。
チルノは少し幼く書きすぎたかなと後悔していたのですが、
そう言ってくれると助かります。私もお馬鹿で迷いのない⑨が好きですし。

>七氏
どっちを指して馬鹿だと言っているのでしょうかw
まぁ二人とも馬鹿ですね。私もそんな馬鹿な二人が大好きです。

>sasa氏
「文とチルノの日常会話を書きたい!」と思ったのが、
本作を書く切っ掛けでした。
私の中で「文はネタに困ると取りあえずチルノのところに行く」
みたいな設定が出来上がっていまして、それを形にしてみたかったんです。
だから、掛け合いを褒めてくれたのはとても嬉しいです。

>翼氏
文って自分が思っているほどにはクールじゃなさそうですよね。
そこらへんをうまく表現できていたら成功だな、と思っています。
花映塚のチルノEDがほんと好きなんです。
追い駆けっこ追い駆けっこ。


その他、採点をしてくださった方にも感謝します。
次も機会(とネタ)があれば文チルものを書きたいなと考えています。
29.80浜村ゆのつ削除
なるほどなるほど。
くすりとできて、和めて、そしていい気持ちで終われる。読み終わったときに、ちょっと頬がゆるみましたww
終わってみれば、予想できそうな結末のはずなのに、文に感情移入してしまったせいか次が気になって気になって…
とてもよいお話でした。
31.90卯月由羽削除
セリフとか、行動とかがなんともチルノらしくて素敵でした。
さて、チルノはこの賭けに勝てるのか?
41.903削除
会話のかけあいが、小気味良くて、よいですね。
このSSも幻想郷の一瞬を切り取ったものですが、
この世界が連続写真のように、続いていくことを願います。