雪が降っていた。吹雪とは言えないぐらい遅く流れる雪が。
雪が降っていた。 けれど森の中は真っ白な空間で。
雪が降っていた。そんな白一色の雪の中、黒白のエプロンドレスを真っ赤に染めた魔理沙が仰向けに倒れているなんて
誰が考えられる――――――?
「・・・・・・」
最初に眼に入ってきたのは天井、横を見渡せば陳列した本棚が。
「目が覚めた?」
後ろから声をかけられ、そちらに振り向いてみればこの部屋の主、パチュリーが本を片手に立っていた。
「・・・どれぐらい私寝てしまったかしら?」
自分の身体にかけられてあった毛布をどかす。魔法書を読みふけっている間にどうやら私はその場で意識を失くすなんて失態をしてしまったらしい。
「およそ三時間・・・って所かしら」
「そう・・・毛布ありがとう、気になることが出来たから行くわ」
本当なら魔法書をもう何冊か読んでいきたかった所だったが、さっきの夢がどうしても頭から離れない。
「アリス」
部屋から出て行こうとしたところにパチュリーに呼び止められる。
「なに――――」
振り返ると同時にパチュリーは金髪の人形を投げて私に寄越した。
「人形遣いが人形を忘れるのはどうかと思うわよ」
ため息混じりにそう言われ、むっとしつつも今の私は反論出来ず、結局小さくごめんと言って紅魔館を足早に出ることを優先とした。
何故かはわからないが、一刻も早く魔理沙を見ないといけない感情にかられた。
あえて言うならさっきの夢のせいだろう。夢見が悪いなんてものじゃない。あれは、あの光景は、今の私にとって最悪の光景だからだ。
霧生魔理沙は私にとって憎らしい程にかけがえのない存在、私の心に深く入り込んだ毒みたいなものだ。
太刀が悪いのは、毒は毒でも苦痛にならない毒であって・・・・・・。
自問自答しつつまるで私が魔理沙に恋しているみたいじゃないのと雪一色の中を歩きながらぼやく。
数刻程経っただろうか。紅魔館を出たときに昇っていた日はとっくに傾き、月が真上に照らし出されている時間になろうとしている。
「・・・・・・・・・」
アリスは森の入り口に着き、そこで足を止めた。
何がとは言わない。ただ単純にさっきの夢の最後の光景が脳裏に浮かんで消えて、足が止まってしまったのだ。
一刻も早く魔理沙を見て安堵したいのに、もし・・・もしさっきの光景が現実に起こっていたら・・・。
「・・・だからなんなのよ」
どれだけ自分は臆病になっているのだと叱咤し、森の中を入っていく。
魔理沙が死んでしまうなんてありえない。
何の根拠もないがそう断言できる。
遅く流れていく雪の中を歩いていき、数刻もしないうちに魔理沙の家が見えてくる。
ドアの前に立ち、少し強くドアを数回ノックする。 返事がない。
「・・・・・・・・・」
時間が時間なだけに寝てしまっているか、留守かも?と思ったが、このまま引き下がるのだけはどうしてか頭の中になかった。
再び強めにノックする。
だが、やはり返事がない。
どうしたものかとドアノブを捻ってみると。
――――――――――ガチャ。
「・・・・・・無用心にも程があるわよ・・・魔理沙」
だがその無用心に今は助けられた。ドアを開けて家の中へと入る。
魔理沙の家に足を運ぶのは初めてではない。一階の居間にいないとすると二階の寝室だろう。
ギシギシと音の鳴る木製の階段を上りきり、寝室に繋がるドアの前で少し深呼吸する。
心臓がいくぶんか早く鼓動している。
ドアノブを音を立てないように慎重に回し、ゆっくりと開けた。
そこには、身体を毛布にくるんだ金髪の少女があどけない寝顔でベッドに寝ていた。
「・・・・・・・・・ハァー」
それを見て一気に溜め込んでいた息を吐き出す。
今までの焦燥感は何処から来ていたのか、魔理沙の寝顔を見て途端に安堵してしまった。
「あれ・・・?」
だからだろうか、意識せずに目から涙がこぼれたのは。
拭っても止まらない。何度目を擦っても止まらない。
「どうして・・・・・・?」
わかりきっている答えを疑問にして自身に飛ばす。
そう、わかりきっている事のはずだ。
あの夢のように、私を置いて死ぬなんて事がなかったのがとても安心出来た事だから。
強く流れていた涙を拭い、私はもう一度魔理沙の寝顔をみる。
あどけない寝顔。深い眠りなのか、規則正しい寝息しか聞こえてこない。
「・・・」
だからだろう、私が取った次の行動もおよそ考えられる行動だ。
眠る魔女に私は浅い口付けをした。
「いい夢を、魔理沙」
私みたいな悪夢を見ないように――――――。
雪が降っていた。 けれど森の中は真っ白な空間で。
雪が降っていた。そんな白一色の雪の中、黒白のエプロンドレスを真っ赤に染めた魔理沙が仰向けに倒れているなんて
誰が考えられる――――――?
「・・・・・・」
最初に眼に入ってきたのは天井、横を見渡せば陳列した本棚が。
「目が覚めた?」
後ろから声をかけられ、そちらに振り向いてみればこの部屋の主、パチュリーが本を片手に立っていた。
「・・・どれぐらい私寝てしまったかしら?」
自分の身体にかけられてあった毛布をどかす。魔法書を読みふけっている間にどうやら私はその場で意識を失くすなんて失態をしてしまったらしい。
「およそ三時間・・・って所かしら」
「そう・・・毛布ありがとう、気になることが出来たから行くわ」
本当なら魔法書をもう何冊か読んでいきたかった所だったが、さっきの夢がどうしても頭から離れない。
「アリス」
部屋から出て行こうとしたところにパチュリーに呼び止められる。
「なに――――」
振り返ると同時にパチュリーは金髪の人形を投げて私に寄越した。
「人形遣いが人形を忘れるのはどうかと思うわよ」
ため息混じりにそう言われ、むっとしつつも今の私は反論出来ず、結局小さくごめんと言って紅魔館を足早に出ることを優先とした。
何故かはわからないが、一刻も早く魔理沙を見ないといけない感情にかられた。
あえて言うならさっきの夢のせいだろう。夢見が悪いなんてものじゃない。あれは、あの光景は、今の私にとって最悪の光景だからだ。
霧生魔理沙は私にとって憎らしい程にかけがえのない存在、私の心に深く入り込んだ毒みたいなものだ。
太刀が悪いのは、毒は毒でも苦痛にならない毒であって・・・・・・。
自問自答しつつまるで私が魔理沙に恋しているみたいじゃないのと雪一色の中を歩きながらぼやく。
数刻程経っただろうか。紅魔館を出たときに昇っていた日はとっくに傾き、月が真上に照らし出されている時間になろうとしている。
「・・・・・・・・・」
アリスは森の入り口に着き、そこで足を止めた。
何がとは言わない。ただ単純にさっきの夢の最後の光景が脳裏に浮かんで消えて、足が止まってしまったのだ。
一刻も早く魔理沙を見て安堵したいのに、もし・・・もしさっきの光景が現実に起こっていたら・・・。
「・・・だからなんなのよ」
どれだけ自分は臆病になっているのだと叱咤し、森の中を入っていく。
魔理沙が死んでしまうなんてありえない。
何の根拠もないがそう断言できる。
遅く流れていく雪の中を歩いていき、数刻もしないうちに魔理沙の家が見えてくる。
ドアの前に立ち、少し強くドアを数回ノックする。 返事がない。
「・・・・・・・・・」
時間が時間なだけに寝てしまっているか、留守かも?と思ったが、このまま引き下がるのだけはどうしてか頭の中になかった。
再び強めにノックする。
だが、やはり返事がない。
どうしたものかとドアノブを捻ってみると。
――――――――――ガチャ。
「・・・・・・無用心にも程があるわよ・・・魔理沙」
だがその無用心に今は助けられた。ドアを開けて家の中へと入る。
魔理沙の家に足を運ぶのは初めてではない。一階の居間にいないとすると二階の寝室だろう。
ギシギシと音の鳴る木製の階段を上りきり、寝室に繋がるドアの前で少し深呼吸する。
心臓がいくぶんか早く鼓動している。
ドアノブを音を立てないように慎重に回し、ゆっくりと開けた。
そこには、身体を毛布にくるんだ金髪の少女があどけない寝顔でベッドに寝ていた。
「・・・・・・・・・ハァー」
それを見て一気に溜め込んでいた息を吐き出す。
今までの焦燥感は何処から来ていたのか、魔理沙の寝顔を見て途端に安堵してしまった。
「あれ・・・?」
だからだろうか、意識せずに目から涙がこぼれたのは。
拭っても止まらない。何度目を擦っても止まらない。
「どうして・・・・・・?」
わかりきっている答えを疑問にして自身に飛ばす。
そう、わかりきっている事のはずだ。
あの夢のように、私を置いて死ぬなんて事がなかったのがとても安心出来た事だから。
強く流れていた涙を拭い、私はもう一度魔理沙の寝顔をみる。
あどけない寝顔。深い眠りなのか、規則正しい寝息しか聞こえてこない。
「・・・」
だからだろう、私が取った次の行動もおよそ考えられる行動だ。
眠る魔女に私は浅い口付けをした。
「いい夢を、魔理沙」
私みたいな悪夢を見ないように――――――。
誤字
×霧生魔理沙
○霧雨魔理沙
貴方の書く小説の雰囲気が好きです。
誤字
太刀→性質
ただ、・・・ではなく……を使いましょう。
まあそんなことは置いておいてよいアリマリであったと思います。
雰囲気が良い。
この雰囲気を大切にして欲しいですね。
キャラの設定も違和感ないですし、短いですがアリスの気持ちが良く伝わってくると思います。
次の作品にも期待しています。