Coolier - 新生・東方創想話

ありがとうの気持ち

2004/06/17 11:03:00
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前作の瀟洒なメイド長と見習い庭師、を読んでないと多分理解不能に。
なので前作も読んでいただければ幸いです。
では…






             
咲夜が桜の枝を持ってきてくれたあの日から数日後。
今日の散歩は妹と一緒。
咲夜は屋敷でお留守番。
私と妹が散歩に行くと言ったときの咲夜の顔を思い出してくすりと笑う。
本当、咲夜ってば心配性よね。
あなたもそう思うでしょう?
ねぇ、庭師見習さん?
…え、私達がどうやってここにきたか?
そんなの簡単よ。咲夜の持ってきた桜の運命をさかのぼって覗き込んだだけ。
ふふ。私達を侵入者として排除してみる?
言っておくけど私と妹のコンビネーションは最凶よ。日傘というハンデがあって尚あなたは私達を傷つけることは出来ない。
そうそう。人間は何事も諦めが肝心よ。
あなたは半分人間じゃないけどね。
――姉様っ!
少し遠のくほうから妹のはしゃぐ声が聞こえる。
何か面白い花でも見つけたのかしら?そう思って妹のそばに駆け寄る。
――あぁ、アネモネか。
庭師見習いが妹の指差す花を見て呟く。
アネモ…風、か。
それは時を操り、いつも颯爽としている咲夜を連想させる言葉だった。
――ねぇ庭師見習さん、この花を数本いただけないかしら。
そう言ったのは私。
ここの桜を持ってきて妹と一緒にお花見をさせてくれた咲夜。
そんな咲夜に渡すのにこれほどぴったりなものはないと思ったから。
妹はここの桜の木の苗がほしいと言った。
きっとみんなで騒いだことが楽しかったのだろう。
だからその記念に、ということらしい。
庭師見習いは最初は戸惑っていたが、私が咲夜にお礼がしたいのだと説明したら、その年相応の笑顔で笑ってアネモネ数本と質のいい桜の木の苗を探してきてくれた。
ふふ、やさしいのね。きっとあと数年もすればいい庭師になれるわよ。
ところどころ剪定の失敗した木々を見ながらそんなことを言う。
さ、フラン。そろそろ帰るわよ。
咲夜、きっと心配のしすぎで仕事がはかどってないだろうし。
えぇ、そうね。二人でプレゼントして、咲夜を驚かせてあげなくちゃね。
咲夜、喜んでくれるかしら。
えっ、きっと感激のあまり泣いちゃうだろうって?
…うん、そうかもね。
ありがとうね庭師見習いさん。それじゃあ。
咲夜、待っててね。
今…すぐに、あなたの場所に戻ってあげるから。
これを渡したら少しは私も素直になれるかしら?
うん…そうよね。少しくらいなら、素直に甘えられる気がする。
――お嬢様~!
遠くのほうから咲夜の声が聞こえる。
どうやら仕事をサボって私達を探しにきてしまったらしい。
……前言撤回。やっぱり素直になんてなってやらない。
言うことを聞かないメイド長にはお仕置きしてあげなくちゃ。
え?なんだか顔が楽しそうだって?
……気のせいよ、きっと。
それにそう言うお前だってなにか悪戯を企んでる顔じゃないか。
う~ん。本当、こういうところだけ私達は姉妹なんだなって思い知らされるわね。
顔を見合わせながら二人でくすくすと笑う。
二人の間を風が通り抜ける。
あぁ、まったく。なんて気持ちいい風なのかしら。
思わずいじめたくなってしまうじゃない。
あなたもそう思うわよね?
ね、咲夜?
ふふ、本当にあなたは楽しいわね。
だから…もう二度と、放してやらないんだから。
こちらに向かってくる咲夜に向かってぽそりと呟く。
…今日の幻想郷もおおむね平和。
もっとも、それにだって例外はあるわけで…
咲夜の困った表情が、浮かんだ気がした。
終わりが微妙になってしまった…。
ひねくれたお嬢様が大好きです。そしてそんなお嬢様に尽くす咲夜さんはもっと大好きです。
…紅魔館。行きたいなぁ…。(ぉ
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コメント



0.750簡易評価
1.無評価いち読者削除
>…紅魔館。行きたいなぁ…。(ぉ
こうして司さんは紅魔館にて食材にされましたとさ。

……嘘です冗談ですごめんなさい私が悪うございました無かった事にして下さいごにょごにょ...

ふざけてないで感想を書かねば(ォィ)
話としてはシンプルですが、こういう風に、小さな幸せをそつなく描く作品って案外見ないんですよね。
ちょっと意地悪な思考をしたレミリアも、場面や雰囲気にうまくマッチしていると思います。
17.80名前が無い程度の能力削除
こんな紅魔館が好き。