永遠に赤き幼い月は夢を見る。
パチュリーが魔理沙に連行される前日
懐かしい夢を見た。
「ん・・・・」
なにやら外が騒がしい。
普段ならもう少し寝ている時間だ。
仕方ない、起きよう。
二度寝する気にもならなかった。
「ふぁ・・・」
あくびをする。
やっぱり眠たい。
でもこの騒がしさの方が気になる
「誰かいないの?」
すぐさまメイドが寝室に入る。
清掃道具が見える。
どうやら清掃中だったらしい。
「し、失礼します」
「何事かしら?」
「す、すぐに始末されると思いますので・・・」
「私は、何が起きたのかを聞いているのよ」
赤い弾丸がメイドの胸を穿つ。
「まったく、役に立たないメイドは要らないわ」
床に崩れたメイドに呟くと着替えて部屋を出る。
寝起きは不機嫌である。
自分でも困った性格だと思う。
さっきのメイドも入ったばっかりだったと記憶している。
部屋を出て直ぐに「レミリア様」と声が聞こえた。
メイド長だ。
「何者かが侵入したようです。」
「そうなの、現状は?」
「門番と配下の警備部隊が全滅、只今庭で戦闘中です。」
「そう、貴女が行って来なさい。
侵入を防ぐのが門番の役目、でも侵入されたのでしょ。
今度は貴女が阻む番でしょ?」
「は、はい。
・・・それでは失礼します。」
急いで庭に向うメイド長を見送って一人になる。
「来たのね・・・・・・見学でもしようかしら。」
ゆっくりとした、散歩にでも行く様な足取りで庭に向う。
今日も幼い悪魔は夜空を舞う。
最近のお楽しみは夜を散歩すること。
430年生きてきた今、不満だらけだ。
力だけ強い無能なメイド長
それなりに有能だが、私には報告以外口を開かない門番
いつも怯えているメイド達
管理不十分な図書館
そんな事を忘れる為にメイド長の制止を振り切って外に出た。
気持ちよく夜空を漂っていると、灯が見える。
「こんな時間に・・・」
気になったので覗きにいく。
コンコン
「ん?」
部屋の中で読書していた少女はめんどくさそうに窓を見る。
「こんばんわ」
「こんばんわ」
なんだ?この娘は
こんな夜中に窓から挨拶するなんて
「邪魔しないで頂戴」
「邪魔はしないわ、何をしているのかしら?」
「・・・・読書よ。」
「本が好きなのね、貴女。」
「・・・・えぇ」
「そう・・・そろそろ行くわ。」
と窓から離れるレミリア。
「もう来なくていいわ」
去ってゆく少女に向けてそう呟いた。
次の夜
コンコン
「こんばんわ」
「また来たの?」
「あら、今日はいいものを持ってきたのに」
と魔術書を見せる。
「・・・・その程度のグリモワール、既に読破しているわ。」
「あら、残念ね。」
「そういえば、貴女の名前は?」
「(ふむ・・・)レミィよ。」
「私はノーレッジ。パチュリー=ノーレッジよ。まぁ、覚えなくていいけど。」
と言うと読んでいた本に目を戻す。
その日の夜の出会いはこれで終了した。
何日か経った夜
コンコン
「こんばんわ」
「遅かったわね、どうでもいいけど。」
いつものように窓から挨拶をし、そっけなく返される。
「今日は気分もいいから、お茶でも出すわ。」
と部屋の奥に消え、お茶とお茶菓子を持ってくる。
「・・・・・」
「どうしたの?いらないのかしら?」
「うぅん、いただくわ。」
今までこんな風に対応された事が無かったので一瞬止まってしまった。
その後、本を返してもらい、静かにお茶を楽しんだ。
館に帰る途中、レミリアはふと思った。
出会ってから今まで結構楽しかった夜だが
今日の夜はいつももより少し長い時間だったが、
今までとは比べ物にならない程楽しく感じた。
「・・・・・・そっか・・・これが・・・・」
それから3日後の朝
遅く目覚めたパチュリーは、机の上に手紙があることに気づいた。
昨日の夜には無かったはずだが・・・・
「なにかしら?」
「ふぅ、まるで烏合の衆ね・・・まだ門前の方が張り合いあったわ」
侵入者である彼女は、そう呟いた。
手紙に書かれたとおりに、紅魔館に来たのはいいが、門番は手紙の事等知らないといって攻撃をしかけてきた。
せっかく来たのに無駄足になるのは癪だったので、蹴散らして侵入したのだ。
弾幕を張るメイド部隊に魔力弾を放つ。
奥の方から飛び抜けて大きい魔力を感知した。
「・・・・メイド達の動きが良くなった?」
「そこの侵入者!止まりなさい。」
「・・・・メイド長って所ね。ここの主に呼ばれて来たんだけど?」
「そんな話は、聞いていない。」
「・・・・・」
「ここで帰るか、死んでもらいます。」
「せっかく来たのだから、スカーレット氏に直接聞いてみるわ。」
ふっとメイド長が手を振る。
すぐさま、メイド部隊が包囲しに掛かる。
「無駄ね。」
と全方位に向かってレーザーを放つ。
一瞬にして半数以上のメイドが落ちる。
「くっ・・・ならば!」
と魔力を集中するメイド長。
手の中にカード状に魔力が形成され、それを握り潰す!
「縛符・戒めの鎖!!」
ジャララララッ!!
メイド長の前方から無数の鎖が螺旋を描きながら、3方向から伸びてパチュリーを捕らえようとする。
「スペルカードが使えたのね。」
回避するまでもない、とまったく動かずに手を差し出し
符に魔力を流して術式を起動させ、差し出した掌に起動した符の魔力でスペルカードを形成する。
「火符・アグニシャイン!!」
一瞬でスペルカードを組み立てて迫り来る鎖を焼き溶かす。
「何!?」
「五行相生、火剋金。金属は炎によって溶かされる。」
「これなら!!」
と新たなスペルカードを行使する。
「消符・ニルヴァーナ!!」
迫る炎の渦を一瞬でかき消してしまう。
「「吹き消す」か、確かに火符では克てないわね。」
「どんなスペルカードの効果でも消せるスペルよ!」
「貴女にはもったいないスペルね。」
「ふん、これでどうだ!」
消符につづいて、さらに
「従符・殺人メイド劇場!!」
スペルカードを発動する。
周囲に無数の刃物が出現する。
が
「焦るのは良くないわ」
とスペルカードを発動する。
「土&金符・エメラルドメガリス!!」
正面からは無数の刃が、地面からは隆起した大地がメイド長を襲う。
出現した刃の全てが打ち壊されるのを代償に隆起する大地を回避するも、
迫り来る刃の乱舞に串刺しにされてしまう。
「ぐぁ・・・」
それでも致命傷だけは避けていた。
「お終いね」
そして、止まった瞬間に
左右から隆起した大地に潰される。
グシャッと血を噴出す大地。
「なかなかの使い手だったけど、相手が悪かったわね。」
顔に飛んだ血をふき取る。
「そこのコウモリ、出てきなさい。」
一部始終みていたレミリアにパチュリーは気がついていた。
それにしても、パチュリーの実力がこれ程とは・・・まだ30前後の魔女なのにと思いながら
フッと姿を現すレミリア。
「貴女も邪魔するの?・・・ってレミィ!?」
「さ、案内するわ。館の主人の部屋に。」
そして、とある一室に連れてこられた。
「ここなの?」
「えぇ。さ、入って。」
コンコン、失礼します。
と中に入るが、誰もいない。
無人の椅子とテーブルだけがある部屋だった。
「どういう事?館の主、スカーレット氏に依頼されて来たのに不在だなんて・・・」
となりでクスクス笑う少女。
「何が可笑しいの?」
と笑う少女に言う。
少女はそれには答えずに部屋の奥、上座の椅子に腰掛け口を開く。
「ようこそ、知識の魔女、パチュリー・ノーレッジ」
「なんのじょ・・」
冗談と言おうとして、遮られる。
「私が、紅魔館の主のスカーレット。レミリア=スカーレットよ。」
「・・・・・ふざけているの?レミィ」
「ふざけてないわ、パチェ」
パチェと言われ、少し動揺する。
「あ、貴女が吸血鬼なのは解かっているのよ、水による光の乱反射でも披露しましょうか?」
「貴女の喘息が偶然再発するかもね。もしくは偶然光が当たらないかも。つまり、「必然的に」私は殺せないって事よ。」
ふふッとパチュリーが突然笑う。
「どうやら、本物のようね。」
「信じてもらえたのかしら?」
「私は外の情報には疎いけど、現在の当主が運命操作の能力を持つ「吸血鬼」って事位知ってるわ。」
「ふふ、そう・・・試してたのが試された訳ね。」
「で、私の仕事は?」
「図書館の管理と、家庭教師ね。」
「判ったわ、レミィ」
そのとき「失礼します」とメイドが入ってきた。
「お食事の時間です。後、現在庭の整備中です。明日の夜までには終了します。」
「そう、パチェも一緒にどうかしら?」
「図書館管理の為に小悪魔召喚準備に取り掛かりたいと思いますが、宜しいですか?お嬢様」
「残念ね、判ったわ。」
公私混同しないという意思表示だろう。
今来たメイドに図書館の場所を案内させるように言って送り出してやった。
「そういえば、パチェって呼んじゃった・・・」
誰も居ない部屋で一人微笑んでいた。
この日を境に、レミリアはメイド達に少しだけ優しくなったような気がした。
今まで怯えるような顔をしたメイド達が明るくなったような気がした。
今までは、従う者、邪魔な者の2種類しか彼女の周りにはいなかった。
今は、3種類目が周りに居る。
友人という存在が。
初めての友達・・・そんな昔の事を夢で見た。
コンコン
ノックの音だ。
咲夜かな?
「ん・・・・入りなさい・・・」
「失礼します。・・・起こしてしまったかしら?」
「そんな事無いけど・・・パチェ、どうしたの?」
「よ!」
「ま、魔理沙・・・パチェをどうするつもりかしら?」
「あぁ、今日は出かけるから、その報告よ」
「そういう事。たまには連れ出さないとな」
「珍しいわね・・・行ってらっしゃいな」
そして、次の夜に、封印が解ける。
余談だが
パチュリーの図書館管理人就任の30年後に、門番に先代に仕えた紅家の者が抜擢される。
メイド長については、暫くは代理でメイド長を立てていたが、(紅家の者が門番に就任した)60年後、若い人間の少女が正式にメイド長に就任する事になる。
同年、門番が紅家の娘に交代する。
そして、レミリア500歳の時、紅白の巫女と運命的な出会いをする事になる。
パチュリーが魔理沙に連行される前日
懐かしい夢を見た。
「ん・・・・」
なにやら外が騒がしい。
普段ならもう少し寝ている時間だ。
仕方ない、起きよう。
二度寝する気にもならなかった。
「ふぁ・・・」
あくびをする。
やっぱり眠たい。
でもこの騒がしさの方が気になる
「誰かいないの?」
すぐさまメイドが寝室に入る。
清掃道具が見える。
どうやら清掃中だったらしい。
「し、失礼します」
「何事かしら?」
「す、すぐに始末されると思いますので・・・」
「私は、何が起きたのかを聞いているのよ」
赤い弾丸がメイドの胸を穿つ。
「まったく、役に立たないメイドは要らないわ」
床に崩れたメイドに呟くと着替えて部屋を出る。
寝起きは不機嫌である。
自分でも困った性格だと思う。
さっきのメイドも入ったばっかりだったと記憶している。
部屋を出て直ぐに「レミリア様」と声が聞こえた。
メイド長だ。
「何者かが侵入したようです。」
「そうなの、現状は?」
「門番と配下の警備部隊が全滅、只今庭で戦闘中です。」
「そう、貴女が行って来なさい。
侵入を防ぐのが門番の役目、でも侵入されたのでしょ。
今度は貴女が阻む番でしょ?」
「は、はい。
・・・それでは失礼します。」
急いで庭に向うメイド長を見送って一人になる。
「来たのね・・・・・・見学でもしようかしら。」
ゆっくりとした、散歩にでも行く様な足取りで庭に向う。
今日も幼い悪魔は夜空を舞う。
最近のお楽しみは夜を散歩すること。
430年生きてきた今、不満だらけだ。
力だけ強い無能なメイド長
それなりに有能だが、私には報告以外口を開かない門番
いつも怯えているメイド達
管理不十分な図書館
そんな事を忘れる為にメイド長の制止を振り切って外に出た。
気持ちよく夜空を漂っていると、灯が見える。
「こんな時間に・・・」
気になったので覗きにいく。
コンコン
「ん?」
部屋の中で読書していた少女はめんどくさそうに窓を見る。
「こんばんわ」
「こんばんわ」
なんだ?この娘は
こんな夜中に窓から挨拶するなんて
「邪魔しないで頂戴」
「邪魔はしないわ、何をしているのかしら?」
「・・・・読書よ。」
「本が好きなのね、貴女。」
「・・・・えぇ」
「そう・・・そろそろ行くわ。」
と窓から離れるレミリア。
「もう来なくていいわ」
去ってゆく少女に向けてそう呟いた。
次の夜
コンコン
「こんばんわ」
「また来たの?」
「あら、今日はいいものを持ってきたのに」
と魔術書を見せる。
「・・・・その程度のグリモワール、既に読破しているわ。」
「あら、残念ね。」
「そういえば、貴女の名前は?」
「(ふむ・・・)レミィよ。」
「私はノーレッジ。パチュリー=ノーレッジよ。まぁ、覚えなくていいけど。」
と言うと読んでいた本に目を戻す。
その日の夜の出会いはこれで終了した。
何日か経った夜
コンコン
「こんばんわ」
「遅かったわね、どうでもいいけど。」
いつものように窓から挨拶をし、そっけなく返される。
「今日は気分もいいから、お茶でも出すわ。」
と部屋の奥に消え、お茶とお茶菓子を持ってくる。
「・・・・・」
「どうしたの?いらないのかしら?」
「うぅん、いただくわ。」
今までこんな風に対応された事が無かったので一瞬止まってしまった。
その後、本を返してもらい、静かにお茶を楽しんだ。
館に帰る途中、レミリアはふと思った。
出会ってから今まで結構楽しかった夜だが
今日の夜はいつももより少し長い時間だったが、
今までとは比べ物にならない程楽しく感じた。
「・・・・・・そっか・・・これが・・・・」
それから3日後の朝
遅く目覚めたパチュリーは、机の上に手紙があることに気づいた。
昨日の夜には無かったはずだが・・・・
「なにかしら?」
「ふぅ、まるで烏合の衆ね・・・まだ門前の方が張り合いあったわ」
侵入者である彼女は、そう呟いた。
手紙に書かれたとおりに、紅魔館に来たのはいいが、門番は手紙の事等知らないといって攻撃をしかけてきた。
せっかく来たのに無駄足になるのは癪だったので、蹴散らして侵入したのだ。
弾幕を張るメイド部隊に魔力弾を放つ。
奥の方から飛び抜けて大きい魔力を感知した。
「・・・・メイド達の動きが良くなった?」
「そこの侵入者!止まりなさい。」
「・・・・メイド長って所ね。ここの主に呼ばれて来たんだけど?」
「そんな話は、聞いていない。」
「・・・・・」
「ここで帰るか、死んでもらいます。」
「せっかく来たのだから、スカーレット氏に直接聞いてみるわ。」
ふっとメイド長が手を振る。
すぐさま、メイド部隊が包囲しに掛かる。
「無駄ね。」
と全方位に向かってレーザーを放つ。
一瞬にして半数以上のメイドが落ちる。
「くっ・・・ならば!」
と魔力を集中するメイド長。
手の中にカード状に魔力が形成され、それを握り潰す!
「縛符・戒めの鎖!!」
ジャララララッ!!
メイド長の前方から無数の鎖が螺旋を描きながら、3方向から伸びてパチュリーを捕らえようとする。
「スペルカードが使えたのね。」
回避するまでもない、とまったく動かずに手を差し出し
符に魔力を流して術式を起動させ、差し出した掌に起動した符の魔力でスペルカードを形成する。
「火符・アグニシャイン!!」
一瞬でスペルカードを組み立てて迫り来る鎖を焼き溶かす。
「何!?」
「五行相生、火剋金。金属は炎によって溶かされる。」
「これなら!!」
と新たなスペルカードを行使する。
「消符・ニルヴァーナ!!」
迫る炎の渦を一瞬でかき消してしまう。
「「吹き消す」か、確かに火符では克てないわね。」
「どんなスペルカードの効果でも消せるスペルよ!」
「貴女にはもったいないスペルね。」
「ふん、これでどうだ!」
消符につづいて、さらに
「従符・殺人メイド劇場!!」
スペルカードを発動する。
周囲に無数の刃物が出現する。
が
「焦るのは良くないわ」
とスペルカードを発動する。
「土&金符・エメラルドメガリス!!」
正面からは無数の刃が、地面からは隆起した大地がメイド長を襲う。
出現した刃の全てが打ち壊されるのを代償に隆起する大地を回避するも、
迫り来る刃の乱舞に串刺しにされてしまう。
「ぐぁ・・・」
それでも致命傷だけは避けていた。
「お終いね」
そして、止まった瞬間に
左右から隆起した大地に潰される。
グシャッと血を噴出す大地。
「なかなかの使い手だったけど、相手が悪かったわね。」
顔に飛んだ血をふき取る。
「そこのコウモリ、出てきなさい。」
一部始終みていたレミリアにパチュリーは気がついていた。
それにしても、パチュリーの実力がこれ程とは・・・まだ30前後の魔女なのにと思いながら
フッと姿を現すレミリア。
「貴女も邪魔するの?・・・ってレミィ!?」
「さ、案内するわ。館の主人の部屋に。」
そして、とある一室に連れてこられた。
「ここなの?」
「えぇ。さ、入って。」
コンコン、失礼します。
と中に入るが、誰もいない。
無人の椅子とテーブルだけがある部屋だった。
「どういう事?館の主、スカーレット氏に依頼されて来たのに不在だなんて・・・」
となりでクスクス笑う少女。
「何が可笑しいの?」
と笑う少女に言う。
少女はそれには答えずに部屋の奥、上座の椅子に腰掛け口を開く。
「ようこそ、知識の魔女、パチュリー・ノーレッジ」
「なんのじょ・・」
冗談と言おうとして、遮られる。
「私が、紅魔館の主のスカーレット。レミリア=スカーレットよ。」
「・・・・・ふざけているの?レミィ」
「ふざけてないわ、パチェ」
パチェと言われ、少し動揺する。
「あ、貴女が吸血鬼なのは解かっているのよ、水による光の乱反射でも披露しましょうか?」
「貴女の喘息が偶然再発するかもね。もしくは偶然光が当たらないかも。つまり、「必然的に」私は殺せないって事よ。」
ふふッとパチュリーが突然笑う。
「どうやら、本物のようね。」
「信じてもらえたのかしら?」
「私は外の情報には疎いけど、現在の当主が運命操作の能力を持つ「吸血鬼」って事位知ってるわ。」
「ふふ、そう・・・試してたのが試された訳ね。」
「で、私の仕事は?」
「図書館の管理と、家庭教師ね。」
「判ったわ、レミィ」
そのとき「失礼します」とメイドが入ってきた。
「お食事の時間です。後、現在庭の整備中です。明日の夜までには終了します。」
「そう、パチェも一緒にどうかしら?」
「図書館管理の為に小悪魔召喚準備に取り掛かりたいと思いますが、宜しいですか?お嬢様」
「残念ね、判ったわ。」
公私混同しないという意思表示だろう。
今来たメイドに図書館の場所を案内させるように言って送り出してやった。
「そういえば、パチェって呼んじゃった・・・」
誰も居ない部屋で一人微笑んでいた。
この日を境に、レミリアはメイド達に少しだけ優しくなったような気がした。
今まで怯えるような顔をしたメイド達が明るくなったような気がした。
今までは、従う者、邪魔な者の2種類しか彼女の周りにはいなかった。
今は、3種類目が周りに居る。
友人という存在が。
初めての友達・・・そんな昔の事を夢で見た。
コンコン
ノックの音だ。
咲夜かな?
「ん・・・・入りなさい・・・」
「失礼します。・・・起こしてしまったかしら?」
「そんな事無いけど・・・パチェ、どうしたの?」
「よ!」
「ま、魔理沙・・・パチェをどうするつもりかしら?」
「あぁ、今日は出かけるから、その報告よ」
「そういう事。たまには連れ出さないとな」
「珍しいわね・・・行ってらっしゃいな」
そして、次の夜に、封印が解ける。
余談だが
パチュリーの図書館管理人就任の30年後に、門番に先代に仕えた紅家の者が抜擢される。
メイド長については、暫くは代理でメイド長を立てていたが、(紅家の者が門番に就任した)60年後、若い人間の少女が正式にメイド長に就任する事になる。
同年、門番が紅家の娘に交代する。
そして、レミリア500歳の時、紅白の巫女と運命的な出会いをする事になる。
話の後半の、レミリアとパチュリーとの会話に、この2人の「らしさ」が出てますね。
そういう、話の「ネタ」の部分は良かったと思うんですが、書かれ方に少し分かりにくさがありました。例えば、
>ゆっくりとした、散歩に向うかのような足取りで庭に向う。
>今日も幼い悪魔は夜空を舞う。
この2行、間に空行があったものの、時間が逆戻りしている事に気付かず、初読の時に混乱がありました。時間軸を前後させる際には、それを示すような何かが欲しかったですね。
…まあ、読ませて貰ってる立場でアレコレ言うのは心苦しいのですが、そういう感想も抱いたので、一応。
んー、
>永遠に赤き幼い月は夢を見る。
>パチュリーが魔理沙に連行される前日
>懐かしい夢を見た。
が「現在」で
それ以降が「思い出した過去=現在見ている夢」です。
そして、
>今日も幼い悪魔は夜空を舞う。
>最近のお楽しみは夜を散歩すること。
>430年生きてきた今、不満だらけだ。
からは
「夢で見ている思い出した過去」のさらに十数日程の過去です。
で、順々に時間が過ぎていって
>「ふぅ、まるで烏合の衆ね・・・まだ門前の方が張り合いあったわ」
>侵入者である彼女は、そう呟いた。
の所で最初の「侵入者が来た時間」まで進んでいきます。
>コンコン
>ノックの音だ。
で「夢」から醒めて「現実」に戻ります。
ちっと判りにくいですね^^;
微妙にですが、修正しておきます。