あついあついひるさがり。
青い空に白いせんたくもの。藍さま。
藍さまはぱたぱたと服をはたいて、ものほしざおの上にのっける。
そのくりかえし。
ぱたぱた、ぱたぱた。
きれいな緑色の森がそらにとけていく。
ぱたぱた、ぱたぱた。
その上を白いせんたくものがぬりつぶしていく。
「ふぅ……」
軽くひたいにうでをあてる。
すこしきょろきょろして、私に気づく。
そうしたら藍さま、ひょうじょうが明るくなった。
「お、橙、終わったか?」
「はい、藍さま。おそうじはおわりましたー。」
「そうかそうか、お疲れ、橙。」
なでなでしてくれた。私はうれしくなってにこっと笑う。
藍さまのかおも笑っているみたいだ。
もっとうれしい。
えんがわにすわった藍さまは、私がゆのみに入れたあついお茶を飲んでいる。
私はコップの中に入った冷たいお茶。
「藍さま、そんなあついもの飲んで汗かきませんか?」
「ん……?あぁ、慣れたからねぇ。」
「すごいなぁ……私なんてあついのほとんど飲めない……」
「あはは、まぁ橙は猫だからね……。」
「うー……」
「……大丈夫、きっと橙も飲めるようになる。」
「うー……」
私はコップとにらめっこ。
藍さまができることをできるようになりたい。
でもできない。
わたしはそのまま、コップに水がいっぱいついて、ぬるくなっちゃうまでにらめっこしてた。
藍さまはこまったように笑っていた。
空がオレンジ色にそまる。
私は藍さまのとなりにすわって、足を庭になげだしていた。
藍さまのかおも、すこしオレンジ色になる。
きれいだ。
「……どうした?」
藍さまがきづいた。
こっちを見て、ちょっとしんぱいそうにきいてきた。
「ううん、藍さま、きれいだなぁって……」
私は思ったことをすなおにいった。
「ふふ、そんな素直に言われるとうれしいな。」
また、なでてくれた。藍さまはすごくやさしい。
ぽふっ。
藍さまのひざにかおをうずめる。
さっきまでのせんたくもののせいか、すこしせっけんのかおりのする、藍さまのにおい。
すぅ、っとすいこむ。
きもちいい。
「こらこら、橙……」
「……もっとなでて、ください。」
わたしはすなおにいった。藍さまなら、きっとしてくれる。
「……」
「はぅ……」
「……」
ぼうしをとって、なでてくれた。
しあわせ。
「……」
「なぁ、橙。」
「はぃ……?」
藍さまは私のあたまをなでてくれているまま、つづけた。
「この空の色さ、橙っていうんだ、橙とおなじ漢字、橙。」
「……」
「さっきさ、綺麗って言ってくれただろ?夕焼け色。」
「はぃ……」
「橙は、そのおかげで私の綺麗さの数倍かわいかったぞ。」
「……」
「……さて、もうそろそろ、いいかな?」
藍さまはあたまをなでるのをやめようとする。
「……」
わたしはこたえないで、もっとかおをおしつけた。
「……駄目か?」
「……だめです。」
あきらめたようにふ、とため息をついて
「わかった、あと少しだけだからね。」
私はずーっと、ずーっとなでてもらっていた。
目がさめた。
藍さまのひざの上で、ねてしまっていたらしい。
むしのなきごえがひびく。そとはだいぶ暗くなってしまっていた。
かおのむきをはんたいにして、すぐ上にいるはずの藍さまのほうをむく。
すごく、かおがちかくにあった。
すぅすぅと藍さまはねいきを立てている。
私がねたあと、うごくにうごけなくなってしまったらしい。
すごくちかい、藍さまのねがお。
よるがすぐそこにある、きれいなふかい青にそまった、藍さまのねがお。
さっきよりずっときれいだった。
すごいきれいだったから、私はかおをもっとちかづけた。
そしたら、ちゅ、ってくちびるがあたった。
それといっしょにぱち、と藍さまの目が開いた。
「……?……!?」
「あ……藍さま、おこしちゃいました?」
「……ちょ、ちぇ……!?」
「……藍さま、ねちゃってごめんなさい。もう夜になっちゃいました……。ごめんなさい、私がねたせいで……」
「そ、そんなことより……い、い今……」
ゆうやけのときとと同じくらいまっかになった藍さま。
「?」
「い、いや、なんでもないよ……」
そのあとすこしのあいだ、藍さまは私の方をみて、かおをあかくしたりしていました。
青い空に白いせんたくもの。藍さま。
藍さまはぱたぱたと服をはたいて、ものほしざおの上にのっける。
そのくりかえし。
ぱたぱた、ぱたぱた。
きれいな緑色の森がそらにとけていく。
ぱたぱた、ぱたぱた。
その上を白いせんたくものがぬりつぶしていく。
「ふぅ……」
軽くひたいにうでをあてる。
すこしきょろきょろして、私に気づく。
そうしたら藍さま、ひょうじょうが明るくなった。
「お、橙、終わったか?」
「はい、藍さま。おそうじはおわりましたー。」
「そうかそうか、お疲れ、橙。」
なでなでしてくれた。私はうれしくなってにこっと笑う。
藍さまのかおも笑っているみたいだ。
もっとうれしい。
えんがわにすわった藍さまは、私がゆのみに入れたあついお茶を飲んでいる。
私はコップの中に入った冷たいお茶。
「藍さま、そんなあついもの飲んで汗かきませんか?」
「ん……?あぁ、慣れたからねぇ。」
「すごいなぁ……私なんてあついのほとんど飲めない……」
「あはは、まぁ橙は猫だからね……。」
「うー……」
「……大丈夫、きっと橙も飲めるようになる。」
「うー……」
私はコップとにらめっこ。
藍さまができることをできるようになりたい。
でもできない。
わたしはそのまま、コップに水がいっぱいついて、ぬるくなっちゃうまでにらめっこしてた。
藍さまはこまったように笑っていた。
空がオレンジ色にそまる。
私は藍さまのとなりにすわって、足を庭になげだしていた。
藍さまのかおも、すこしオレンジ色になる。
きれいだ。
「……どうした?」
藍さまがきづいた。
こっちを見て、ちょっとしんぱいそうにきいてきた。
「ううん、藍さま、きれいだなぁって……」
私は思ったことをすなおにいった。
「ふふ、そんな素直に言われるとうれしいな。」
また、なでてくれた。藍さまはすごくやさしい。
ぽふっ。
藍さまのひざにかおをうずめる。
さっきまでのせんたくもののせいか、すこしせっけんのかおりのする、藍さまのにおい。
すぅ、っとすいこむ。
きもちいい。
「こらこら、橙……」
「……もっとなでて、ください。」
わたしはすなおにいった。藍さまなら、きっとしてくれる。
「……」
「はぅ……」
「……」
ぼうしをとって、なでてくれた。
しあわせ。
「……」
「なぁ、橙。」
「はぃ……?」
藍さまは私のあたまをなでてくれているまま、つづけた。
「この空の色さ、橙っていうんだ、橙とおなじ漢字、橙。」
「……」
「さっきさ、綺麗って言ってくれただろ?夕焼け色。」
「はぃ……」
「橙は、そのおかげで私の綺麗さの数倍かわいかったぞ。」
「……」
「……さて、もうそろそろ、いいかな?」
藍さまはあたまをなでるのをやめようとする。
「……」
わたしはこたえないで、もっとかおをおしつけた。
「……駄目か?」
「……だめです。」
あきらめたようにふ、とため息をついて
「わかった、あと少しだけだからね。」
私はずーっと、ずーっとなでてもらっていた。
目がさめた。
藍さまのひざの上で、ねてしまっていたらしい。
むしのなきごえがひびく。そとはだいぶ暗くなってしまっていた。
かおのむきをはんたいにして、すぐ上にいるはずの藍さまのほうをむく。
すごく、かおがちかくにあった。
すぅすぅと藍さまはねいきを立てている。
私がねたあと、うごくにうごけなくなってしまったらしい。
すごくちかい、藍さまのねがお。
よるがすぐそこにある、きれいなふかい青にそまった、藍さまのねがお。
さっきよりずっときれいだった。
すごいきれいだったから、私はかおをもっとちかづけた。
そしたら、ちゅ、ってくちびるがあたった。
それといっしょにぱち、と藍さまの目が開いた。
「……?……!?」
「あ……藍さま、おこしちゃいました?」
「……ちょ、ちぇ……!?」
「……藍さま、ねちゃってごめんなさい。もう夜になっちゃいました……。ごめんなさい、私がねたせいで……」
「そ、そんなことより……い、い今……」
ゆうやけのときとと同じくらいまっかになった藍さま。
「?」
「い、いや、なんでもないよ……」
そのあとすこしのあいだ、藍さまは私の方をみて、かおをあかくしたりしていました。
このお話ではむしろ、ついつい橙を甘やかしてしまったり、変に照れてしまったりする藍の方が、橙よりかわいいのかも知れませんね。
それから最初の方の会話の部分、
>「はい、藍さま。おそうじはお終わりましたー。」
「お」が1つ多いです。まあ、細かい事なんですが、一応。