あの日は、普通だった。
そう、普通だったはずだ・・・。
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私は、割といつものように、博麗神社へ遊びに行った。
まあ、ありがちな日常だ。
で。
神社が見えてきた。
やれやれ、やっとこさ着いたか、思った次の瞬間。
?「ギョエエエエエエエエエ~~~~~~~~!!!!!」
・・・奇声が聞こえた。
何だ、この甲高い声は?
神社の方向か?
もしや霊夢の身に、何かあったんじゃあないか?
私は軽い気持ちで、神社に降り立った。
?「ギィエイヤアアアアアア~~~~~!!!!!」
また、奇声が聞こえた。
やはりこの甲高い声は、神社から聞こえたモノだった。
私の第六感は、正しかったようだな。
私は、神社に異変が起こったと、確信した。
そして、割とどうでもいいぜ、と思いつつ、霊夢を探した。
で、探すこと1分。
私は、見てしまった・・・・。
霊夢「キィィエエエエエエエェェェ~~~~~!!!!!」
・・・私は、言葉を失った。
さらに、一時的に天と地がひっくり返った。
いや、本当に。
天と地が元通りになったあと、私は目の前の出来事を理解しようとした。
だが、アレを一瞬では不可能だ。
まあ、私の力をもってすれば、ものの数分で理解できるけどな。
霊夢「ギェエエエエ~~~~~~~~~~~~~~~~~~イ!!!!
で、数分後。
私の能力で、ある程度状況を把握することが出来た。
霊夢「ウンバラウンバラウンバラウンバラ・・・・・・。」
要は霊夢が、割と普通じゃあないってことだな。
霊夢は、どっかよくわからん方向を向いて、祈祷している。
・・・少女祈祷中?
どっかで聞いたぜ。
いやいや、問題は、霊夢が何をやってるかということだ。
私は、思い切って霊夢に話しかけてみた。
『おい、霊夢。何やってんだ』、ってな。
霊夢「キィィエエエエエエエェェェ~~~~~!!!!」
・・・私の言葉は、奇声にかき消された。
しかし、この程度でしょんぼりする私ではない。
再び、霊夢に話しかけた。
『おい、折角来たんだ。茶ぐらい出せ。』、ってな。
霊夢「パラパラパラパラパラパラパラ・・・・・・・・・・。」
・・・どうも、聞こえてないようだ。
ここは一発、ぶん殴ってやらないといかんようだ。
私は霊夢に近づき、華奢で綺麗な細腕を振り上げた!
霊夢「カァァァァアア~~~~~~~~~~!!!!!!!」
な!?
一体、何が起こった・・・・?
私の体が、浮いたぞ・・・?
む?
さっきまでは、目の前に紅白の物体があったはずだが・・・。
今は、数メートル向こうにいる。
ふん。
どうやら、私のこの手が光って唸っていたのを、感じ取ったらしいな。
私に幻影か何かを見せていたのか、あるいは普通に避けたのかは知らんが・・・。
とりあえず回避行動をとったらしい。
私の拳の威力を、恐れたみたいだな。
それにしても、後頭部が痛いぜ。
霊夢「キィエィヤアアアア~~~~~~~~~~!!!!!!」
霊夢は再び、奇声をあげ始めた。
呪文か?
それとも、何かの儀式か?
霊夢「アラララララララララ・・・・・・・・・。」
新しい呪文か。
一体、何が起きたんだ?
霊夢「ホンジツセイテンナリホンジツセイテンナリ・・・・・・。」
それは、何か違うんじゃあないか?
霊夢「ホ~ヤホヤア~!!ホ~ヤホヤァァ~~~~!!!」
あ~?
猫の亡霊でも憑いたのか?
霊夢「テンコォォ~~~~!!オテンコォ~~~~~~~!!!」
・・・狐憑きか?
霊夢「メェェルポオォォ~~~~~~~~~!!!!!!」
ああ、いわゆる一つの、ポルターガイスト現象ってやつだな。
多分。
つーか、もう。
わけがわからんぜ。
私は再び、霊夢に近づいた。
拳は駄目だ。
気を感じ取られるらしいからな。
なら、武器だ。
私の細腕には重過ぎる、このホウキ。
私はそれを、思いっきり振り上げた!
霊夢「カァァァァアア~~~~~~~~~~!!!!!!!」
ぐ・・・・。
またか。
霊夢はまた、私から数メートル離れた。
こいつめ、逃げる瞬間に、衝撃波を放つのか。
私の病弱な身体に、ドン!、ときたぜ。
どうも、一筋縄ではいかんようだな。
それにしても、後頭部が痛いぜ。
霊夢「ウンバラバラウンバラバラウンバラバラ・・・・・・。」
まあ、それはともかくだ。
私を何度もコケにした罪は重い。
お茶の1杯じゃあ、済まされないぜ。
茶菓子、饅頭でも、つけてもらわんとな。
霊夢「キエェェェェェ~~~~~~イヤアァァァァ~~~~~~~~~!!!!!」
と、その前に、霊夢を懲らしめてやらないとな。
くくく・・・・。
私が魔砲を撃ったら、こんなちんけな神社など跡形も残らん!
だから、恋符でいいか。
喰らえ!
『恋符・マスタースパーク』!!
霊夢「カァァァァアア~~~~~~~~~~!!!!!!!」
む、結界か?
これを防ぐつもりみたいだな。
光が、霊夢を飲み込んでゆく。
・・・いかんな。
今の霊夢は、普通じゃない。
マスタースパークの一発じゃあ、倒せないか?
霊夢「ギャア~・・・・・・・・・・・・・・・・。」
・・・あ~?
何か、聞こえたぜ。
ぎゃあ~、だと?
断末魔の叫びか?
光が収まった。
そしてその跡に、紅白の姿は・・・・・。
無かった。
・・・・・・ああ。
多分恐らく、逃げたんだろう。
きっとそうだ。
ふ・・・。
この勝負、私の勝ちだ。
私は住居に入り、お茶を一杯いただいた。
当然、茶菓子もな。
ついでに、お茶をもう一杯。
それにしても、後頭部が痛いぜ。
・・・ここまでやれば、何をやっても同じだな。
台所を借りて食事を作り、いただくことにするぜ。
一応、霊夢の分も作っておくか。
茶碗にご飯を盛って、箸を垂直に立てて・・・、と。
よし、私の分も出来た。
それじゃあ、いただきます。
手を二回、パンパンと叩いて、南無~・・・・。
あ~?
材料はどうしたのかって?
野暮なことを聞くな。
台所にあったものを使ったに決まってるじゃないか。
それにしても、後頭部が痛いぜ。
あの『カァァァァアア~~~~~~~~~~!!!!!!!』っていうのを聞いてからだな。
まあ、いいか。
私の脳が、このくらいでへこたれるはずが無い。
さて、食事が終わった。
食後のお茶も飲んだ。
帰って寝るか。
早寝早起きは健康の基、寝る子は育つ、だぜ。
ついでに早起きは三文の得だが・・・。
三文程度得するくらいなら、寝たほうがいいな。
次の日。
ああ?
頭にタンコブが出来てるじゃないか!
どういうことだ!?
私は、全て霊夢のせいだと確信し、神社に向かった。
そして、博麗神社上空にさしかかった瞬間。
?「キィィエエエエエエエェェェ~~~~~!!!!!」
奇声が・・・。
・・・どうやら今日は、都合が悪いようだな。
おお。
私も、用事を思い付いたぜ。
帰るか。
?「キエェェェェェ~~~~~~イヤアァァァァ~~~~~~~~~!!!!!」
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結局、私の能力をもってしても、この状況を理解することは出来なかった。
しかし、理解出来んことは、どうにかして理解したくなるものだ。
霊夢の異変については、追って報告するぜ。
気が向いたらな。
一生、向かないかもしれんが。
普通の魔法使い・記