新月の夜。
魂魄妖夢、冥界を発つ。
供の者ども、曰く、
ルナサ「眠い・・・・・・。」
メルラン「こんな時間に呼び出すなんて、どうかしてるわ。」
リリカ「で、用件はなんだっけ?」
此度の任務、霧雨魔理沙に貸し出した古書、道具などを取り戻すことである。
三姉妹、この者を驚かすため、西行寺幽々子に呼び出され、妖夢の供をしている次第。
リリカ「そういえば、そうだったような気がする。」
ルナサ「西行寺のお嬢様も、悪戯がお好きな様子で。」
少しして、妖夢、愛用の刀を抜く。
妖夢「・・・・・・・・・・。」
斬れぬもの無しと謳われる楼観剣。
されど、今宵の闇のためか、刀身に煌きはなかった。
妖夢はしばし、その刀を見る。
リリカ「あれ?どうしたの~?」
メルラン「早く行きましょ。」
ルナサ「待って。様子がおかしい・・・・・・。」
無言で刀を見つめる妖夢。
三姉妹、その表情を窺い知ること出来ず。
妖夢、刀を納める。
妖夢「・・・・・・・・引き返す。」
来た方を向きて、引き返す妖夢。
メルラン「唐突ね。」
リリカ「忘れ物かな~?」
三姉妹、後を追う。
道中、妖夢、命令を発す。
妖夢「長女、戦闘準備。」
ルナサ「ん?もう?」
リリカ「敵は何処~?」
妖夢「三女、騒がない。」
リリカ「お口チャック~。」
妖夢「次女、暴走は禁止する。」
メルラン「大丈夫。修正パッチあてたから。」
令に従う三姉妹、まこと従順也。
妖夢が続ける。
妖夢「聞いて。私は、西行寺に仕えて何年になるかは忘れたけど、とにかく幽々子様のために、働いてきた。」
ルナサ「あなたも、苦労人だからね。」
妖夢「しかし、此度の仕打ちは、いかに幽々子様と言えど・・・・・・。」
メルラン「まさか、これから『どひゃ~』って感じのことが起こるの?」
リリカ「・・・・・・。」
妖夢がさらに続ける。
妖夢「・・・・・・敵は。」
一呼吸置く妖夢。
妖夢「敵は・・・・・・。」
そして、
妖夢「敵は、西行寺に在り!!」
三人「どひゃ~。」
・
・
・
幽々子「う~ん・・・・・。むにゃむにゃ・・・・。」
西行寺の屋敷、夜は静か。
されど、今宵は・・・。
パフ~!
ドンドンドン!
パフ~!
幽々子「・・・何~?」
外の騒ぎ、迷惑千万也。
西行寺幽々子、眠り目をこすりながら、起床す。
幽々子「どこの暴走族が騒いでるのかしら?」
騒ぎを収めにと、外へと向かう幽々子。
そこへやって来る、騒がしき何か。
藍「い、一大事でございます!」
すぱ~ん!!
幽々子、やって来た何かを、扇子で叩く。
藍「痛い・・・・。」
幽々子「我が眠りを妨げる者よ、未来永劫呪われるがいい!」
藍「私じゃないぞ。濡れ衣だ、濡れ衣!」
幽々子「冗談よ。で、どうしたの?この騒ぎは、何事?」
幽々子の元へ参上した八雲藍、曰く、
藍「は!軍勢が、屋敷の周りで騒いでおります!」
幽々子「軍勢?何処の?」
藍「魂魄妖夢が手勢に候!」
幽々子「・・・・妖夢の、か。」
妖夢が謀反。
されど幽々子、驚いた様子もなし。
幽々子「お藍!槍を持てぃ!」
藍「は!」
その場を去る藍。
少しして、戻ってくる。
藍「ありません!」
幽々子「ならば、弓を持てぃ!」
藍「ははっ!」
再びその場を去る藍。
少しして、戻ってくる。
藍「ありません!」
幽々子「まあ、無いから仕方ないけど。」
藍「初めっから無いのか・・・・。」
幽々子は続ける。
幽々子「ならばお藍!西行妖を持てぃ!」
藍「無理でございます!」
幽々子「ぬうぅ・・・。ならばお藍!」
藍「はッ!」
幽々子「敵勢に特攻して、華々しく散れぃ!!」
藍「絶対にノゥ!!」
パフ~!
ドンドンドン!
パフ~!
騒ぎは大きくなる一方。
幽々子「是非も、なし。」
幽々子、屋敷の奥へと去る。
藍「っていうか、私がここにいる理由って、『お藍!』の部分だけ?」
・
・
・
幽々子「ゆう~れい~、うん百年~~。げてんのちを~・・・・。」
ガタ・・・・
幽々子の舞。
そして、それを止める音。
妖夢「・・・・・・・幽々子様。」
姿を現すは、魂魄妖夢。
幽々子「妖夢・・・・・、か。」
抑揚の無い声で、幽々子が答える。
シャ・・・・
妖夢「・・・・・・。」
静かに、刀を抜く妖夢。
幽々子「・・・・・・ふふふ。」
不適に笑う幽々子。
幽々子「妖夢、斬れるのか?この、私を・・・・・・。」
妖夢「・・・・・・・・。」
挑発。
そして、
ぱこ~ん!!
軽い打撃音。
幽々子「いった~い!」
痛みで、顔が苦痛に歪む。
頭を抑えつつ、幽々子は抗議する。
幽々子「も~、いきなり何するのよ?」
妖夢「『斬れるか?』って聞かれたから、ぶっ叩いてみただけです。」
冷静に答える妖夢。
幽々子「ふっ・・・。さすがの妖夢も、主たる私は斬れぬ・・・・。」
ぱこ~ん!
再び打撃音。
空箱でも打ったような音である。
幽々子「いった~い!!」
だが、痛いようだ。
幽々子「だ~か~ら~、何で叩くのよ?」
妖夢「ご自分の胸に聞いてみてください。」
涙目になりつつ、抗議する幽々子。
それでもやはり、妖夢は冷静。
幽々子「・・・・・・・㌢。」
妖夢「はい?」
幽々子「・・・・じゅう・・・・センチ。」
妖夢「あの~、その、胸のサイズを聞いてるんじゃなくて・・・・・。」
幽々子「冗談よ。」
幽々子、上を見上げ、考える素振りを見せる。
幽々子「覚えが、無い。」
妖夢「しっかりしてください、ボケるにはまだ早いですよ。」
幽々子「失礼ね、誰がボケよ。私はツッコミのほうがむいてるわ。」
妖夢「(絶対うそだ・・・。)あ~もう、何と申してよいやら・・・。」
幽々子「この際だから、洗いざらい白状しなさい。」
いつの間にか、尋問する側とされる側、立場が入れ替わっている。
されど、気付いてか気付かずか、妖夢は語り始める。
妖夢「率直に言いますけど、幽々子様・・・・・・。」
幽々子「はい?」
妖夢「私の楼観剣、何処にやりましたか?」
幽々子「え~、知らないわよ。」
妖夢「嘘つきは、閻魔様に舌抜かれますよ?」
幽々子「私は閻魔様より強いから。」
妖夢「脱線する前に元に戻しますけど、何処にやりましたか?」
幽々子「さあ~?」
妖夢「知らない、とは言わせませんよ。」
幽々子「さっき言った。」
妖夢「う・・・・・。」
妖夢、揚げ足を取られる。
妖夢「と、とにかく!これを見てください!」
と、妖夢は抜いた刀を見せる。
それは、立派な木刀。
長刀楼観剣に匹敵する長さ也。
妖夢「こんな木刀で、ど~しろって言うんですか?」
幽々子「あ、バレた?」
妖夢「バレバレです。これじゃ、仕事にもなりませんよ。」
幽々子「でも、それ持って出て行ったじゃない。」
妖夢「む・・・・・。」
幽々子「つまり、さっきまでは全く気づいていなかったってことよね~?」
妖夢「む~~~~~~!」
攻守逆転。
拗ねた顔をし、妖夢が訴える。
妖夢「いいですから、返してください!このままじゃ仕事になりません!」
幽々子「わかったわかった。ちょっと待っててね。」
幽々子は部屋を出る。
少しして、戻ってきた。
幽々子「はい、持ってきたわよ。」
妖夢「まったく・・・。悪戯が過ぎますよ、幽々子様。」
幽々子「あら、もっとすごいの考えてるけど?」
妖夢「遠慮させてください。」
幽々子「遠慮しなくてもいいのに。」
妖夢「もう・・・・・。今日は、寝ていいですか?」
幽々子「いいわよ。お休みなさい。」
後ろを振り向く妖夢。
妖夢「ついでに聞きますけど。」
幽々子「何?」
妖夢「こんな長い木刀、どこから調達したんですか?」
幽々子「西行妖。」
妖夢「・・・・・・削ったんですか。」
幽々子「その辺の妖刀なんか、目じゃない代物よ。」
妖夢「裸足・・・、もとい、抜き身で逃げますね。」
それだけを聞くと、妖夢は去った。
そして何事も無かったかのように、夜は更けていった・・・。
パフ~!
ドンドンドン!
パフ~!
リリカ「で、私たちは何時まで騒いでたらいいの~?」
ルナサ「知らない。」
メルラン「きっと、忘れられたのね。」
ルナサ「所詮、私たちは脇役か・・・。」
しばらくは騒がしかったようだが・・・・。
魂魄妖夢、冥界を発つ。
供の者ども、曰く、
ルナサ「眠い・・・・・・。」
メルラン「こんな時間に呼び出すなんて、どうかしてるわ。」
リリカ「で、用件はなんだっけ?」
此度の任務、霧雨魔理沙に貸し出した古書、道具などを取り戻すことである。
三姉妹、この者を驚かすため、西行寺幽々子に呼び出され、妖夢の供をしている次第。
リリカ「そういえば、そうだったような気がする。」
ルナサ「西行寺のお嬢様も、悪戯がお好きな様子で。」
少しして、妖夢、愛用の刀を抜く。
妖夢「・・・・・・・・・・。」
斬れぬもの無しと謳われる楼観剣。
されど、今宵の闇のためか、刀身に煌きはなかった。
妖夢はしばし、その刀を見る。
リリカ「あれ?どうしたの~?」
メルラン「早く行きましょ。」
ルナサ「待って。様子がおかしい・・・・・・。」
無言で刀を見つめる妖夢。
三姉妹、その表情を窺い知ること出来ず。
妖夢、刀を納める。
妖夢「・・・・・・・・引き返す。」
来た方を向きて、引き返す妖夢。
メルラン「唐突ね。」
リリカ「忘れ物かな~?」
三姉妹、後を追う。
道中、妖夢、命令を発す。
妖夢「長女、戦闘準備。」
ルナサ「ん?もう?」
リリカ「敵は何処~?」
妖夢「三女、騒がない。」
リリカ「お口チャック~。」
妖夢「次女、暴走は禁止する。」
メルラン「大丈夫。修正パッチあてたから。」
令に従う三姉妹、まこと従順也。
妖夢が続ける。
妖夢「聞いて。私は、西行寺に仕えて何年になるかは忘れたけど、とにかく幽々子様のために、働いてきた。」
ルナサ「あなたも、苦労人だからね。」
妖夢「しかし、此度の仕打ちは、いかに幽々子様と言えど・・・・・・。」
メルラン「まさか、これから『どひゃ~』って感じのことが起こるの?」
リリカ「・・・・・・。」
妖夢がさらに続ける。
妖夢「・・・・・・敵は。」
一呼吸置く妖夢。
妖夢「敵は・・・・・・。」
そして、
妖夢「敵は、西行寺に在り!!」
三人「どひゃ~。」
・
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幽々子「う~ん・・・・・。むにゃむにゃ・・・・。」
西行寺の屋敷、夜は静か。
されど、今宵は・・・。
パフ~!
ドンドンドン!
パフ~!
幽々子「・・・何~?」
外の騒ぎ、迷惑千万也。
西行寺幽々子、眠り目をこすりながら、起床す。
幽々子「どこの暴走族が騒いでるのかしら?」
騒ぎを収めにと、外へと向かう幽々子。
そこへやって来る、騒がしき何か。
藍「い、一大事でございます!」
すぱ~ん!!
幽々子、やって来た何かを、扇子で叩く。
藍「痛い・・・・。」
幽々子「我が眠りを妨げる者よ、未来永劫呪われるがいい!」
藍「私じゃないぞ。濡れ衣だ、濡れ衣!」
幽々子「冗談よ。で、どうしたの?この騒ぎは、何事?」
幽々子の元へ参上した八雲藍、曰く、
藍「は!軍勢が、屋敷の周りで騒いでおります!」
幽々子「軍勢?何処の?」
藍「魂魄妖夢が手勢に候!」
幽々子「・・・・妖夢の、か。」
妖夢が謀反。
されど幽々子、驚いた様子もなし。
幽々子「お藍!槍を持てぃ!」
藍「は!」
その場を去る藍。
少しして、戻ってくる。
藍「ありません!」
幽々子「ならば、弓を持てぃ!」
藍「ははっ!」
再びその場を去る藍。
少しして、戻ってくる。
藍「ありません!」
幽々子「まあ、無いから仕方ないけど。」
藍「初めっから無いのか・・・・。」
幽々子は続ける。
幽々子「ならばお藍!西行妖を持てぃ!」
藍「無理でございます!」
幽々子「ぬうぅ・・・。ならばお藍!」
藍「はッ!」
幽々子「敵勢に特攻して、華々しく散れぃ!!」
藍「絶対にノゥ!!」
パフ~!
ドンドンドン!
パフ~!
騒ぎは大きくなる一方。
幽々子「是非も、なし。」
幽々子、屋敷の奥へと去る。
藍「っていうか、私がここにいる理由って、『お藍!』の部分だけ?」
・
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幽々子「ゆう~れい~、うん百年~~。げてんのちを~・・・・。」
ガタ・・・・
幽々子の舞。
そして、それを止める音。
妖夢「・・・・・・・幽々子様。」
姿を現すは、魂魄妖夢。
幽々子「妖夢・・・・・、か。」
抑揚の無い声で、幽々子が答える。
シャ・・・・
妖夢「・・・・・・。」
静かに、刀を抜く妖夢。
幽々子「・・・・・・ふふふ。」
不適に笑う幽々子。
幽々子「妖夢、斬れるのか?この、私を・・・・・・。」
妖夢「・・・・・・・・。」
挑発。
そして、
ぱこ~ん!!
軽い打撃音。
幽々子「いった~い!」
痛みで、顔が苦痛に歪む。
頭を抑えつつ、幽々子は抗議する。
幽々子「も~、いきなり何するのよ?」
妖夢「『斬れるか?』って聞かれたから、ぶっ叩いてみただけです。」
冷静に答える妖夢。
幽々子「ふっ・・・。さすがの妖夢も、主たる私は斬れぬ・・・・。」
ぱこ~ん!
再び打撃音。
空箱でも打ったような音である。
幽々子「いった~い!!」
だが、痛いようだ。
幽々子「だ~か~ら~、何で叩くのよ?」
妖夢「ご自分の胸に聞いてみてください。」
涙目になりつつ、抗議する幽々子。
それでもやはり、妖夢は冷静。
幽々子「・・・・・・・㌢。」
妖夢「はい?」
幽々子「・・・・じゅう・・・・センチ。」
妖夢「あの~、その、胸のサイズを聞いてるんじゃなくて・・・・・。」
幽々子「冗談よ。」
幽々子、上を見上げ、考える素振りを見せる。
幽々子「覚えが、無い。」
妖夢「しっかりしてください、ボケるにはまだ早いですよ。」
幽々子「失礼ね、誰がボケよ。私はツッコミのほうがむいてるわ。」
妖夢「(絶対うそだ・・・。)あ~もう、何と申してよいやら・・・。」
幽々子「この際だから、洗いざらい白状しなさい。」
いつの間にか、尋問する側とされる側、立場が入れ替わっている。
されど、気付いてか気付かずか、妖夢は語り始める。
妖夢「率直に言いますけど、幽々子様・・・・・・。」
幽々子「はい?」
妖夢「私の楼観剣、何処にやりましたか?」
幽々子「え~、知らないわよ。」
妖夢「嘘つきは、閻魔様に舌抜かれますよ?」
幽々子「私は閻魔様より強いから。」
妖夢「脱線する前に元に戻しますけど、何処にやりましたか?」
幽々子「さあ~?」
妖夢「知らない、とは言わせませんよ。」
幽々子「さっき言った。」
妖夢「う・・・・・。」
妖夢、揚げ足を取られる。
妖夢「と、とにかく!これを見てください!」
と、妖夢は抜いた刀を見せる。
それは、立派な木刀。
長刀楼観剣に匹敵する長さ也。
妖夢「こんな木刀で、ど~しろって言うんですか?」
幽々子「あ、バレた?」
妖夢「バレバレです。これじゃ、仕事にもなりませんよ。」
幽々子「でも、それ持って出て行ったじゃない。」
妖夢「む・・・・・。」
幽々子「つまり、さっきまでは全く気づいていなかったってことよね~?」
妖夢「む~~~~~~!」
攻守逆転。
拗ねた顔をし、妖夢が訴える。
妖夢「いいですから、返してください!このままじゃ仕事になりません!」
幽々子「わかったわかった。ちょっと待っててね。」
幽々子は部屋を出る。
少しして、戻ってきた。
幽々子「はい、持ってきたわよ。」
妖夢「まったく・・・。悪戯が過ぎますよ、幽々子様。」
幽々子「あら、もっとすごいの考えてるけど?」
妖夢「遠慮させてください。」
幽々子「遠慮しなくてもいいのに。」
妖夢「もう・・・・・。今日は、寝ていいですか?」
幽々子「いいわよ。お休みなさい。」
後ろを振り向く妖夢。
妖夢「ついでに聞きますけど。」
幽々子「何?」
妖夢「こんな長い木刀、どこから調達したんですか?」
幽々子「西行妖。」
妖夢「・・・・・・削ったんですか。」
幽々子「その辺の妖刀なんか、目じゃない代物よ。」
妖夢「裸足・・・、もとい、抜き身で逃げますね。」
それだけを聞くと、妖夢は去った。
そして何事も無かったかのように、夜は更けていった・・・。
パフ~!
ドンドンドン!
パフ~!
リリカ「で、私たちは何時まで騒いでたらいいの~?」
ルナサ「知らない。」
メルラン「きっと、忘れられたのね。」
ルナサ「所詮、私たちは脇役か・・・。」
しばらくは騒がしかったようだが・・・・。
不覚にも爆笑してしまった。いやおもろかった。