喧嘩をした。
他愛も無いことで姉さま達と喧嘩をしてしまった。
どうしてこうなったのか、わからない。ただただ喧嘩をしてしまったという後悔のみがココロを支配していた。
結局悪いのは誰だったろう? けど、問題はそこではないはずだ。これからしなくてはいけないのはやっぱり仲直りだと想う。
でも、また喧嘩になってしまうのが怖くて、私はマヨヒガを流れる三途の川、と呼ばれる川を川原で眺めていた。
川の流れは一直線で、私達の感情のように放射状に流れることはない。川は素直だ。素直だから逆らわない。ただ、その流れを流れとして流れているだけ。
ひざを抱えて座り込む。どうしてだろう? ココロがこんなにも寂しくなってしまうのは?
何時までそうしていただろう、ずっとこうしていたいけど、姉さま達と仲直りもしたい。けどそれは怖くて出来ない。
私は迷っていた。迷って、何も見出せないでいた。
「お隣、いいかな?」
そんな憂鬱の中、声を掛けられる。私はどうでも良かったので、何も言わず、ただ頷いた。
「はじめまして。私はレミリア。ところで貴方のお名前は?」
なんだってこのレミリアという人はこんなに私に話しかけてくるのだろう? 誰にも話しかけてほしくないのに。
「リリカ」
でも結局はどうでも良くて、その質問に答えてしまう。
「どうしてリリカちゃんはこんな寂しい所にいるの?」
「喧嘩を、したの」
どうしてだろう、この人の声は優しい。何かやわらかいクッションのように私の心に響いてくる。
「姉さまと、喧嘩をしたの。つまらないことで喧嘩をして、ここまで来てしまったの」
何で私はこんなにしゃべってるのだろう? けどいいや、もうどうでもいいや。だってこの人の声は優しい。
「だったら、仲直りすればいいじゃない」
優しく、慰めるように、肩を叩いた。
「ダメ。怖くて、出来ないの」
声が、次第に小さくなってくるのがわかる。
「でも、仲直りしないとずっとそののままになってしまうよ?」
そう。それも怖い。けど誤ってなた喧嘩になってしまうのはもっと怖い。
どうしてだろう、私の心は堂々巡り。
「このままじゃずっと貴方の心は理解されないのかもしれないわ。ずっとずっと、死んでもなお理解されないのかもしれない。死んで理解されないのはとっても悲しいわ。必ずね、形あるものには終りが来るのよ。だから人は後悔して嘆く。ああ、こうしていたらよかったな、どうしてこうしなかったのだろう。終わってしまってから気付く。でもそれでは遅いのよ。でも人なんてものは器用なもので、後悔したこと自体を忘れてしまうけどね」
この人は難しいことを言う。なんだってこの人は私にこんな話をするのか?
「貴方の寿命は長い。けど、時間がたつごとに問題はやがて大きくなっていわ。時間がたてば立つほど貴方は謝りにくくなる。そして結局貴方は後悔する」
この人が言ってることは確かに正しい。
「貴方は何を怖がっているの? 怖がる必要なんてないのよ。多分貴方のお姐さんも、貴方と理解していって想ってる。でもやっぱり向こうも怖がっているはずだわ。ということは、どっちかが話を切り出さない限りずっとこのまま。ならば貴方が誤ってしまえば話は早いわ」
私は顔を上げてその声主を、見た。その声主の横顔はとても美しかった。ただ、その横顔がとても悲しそうに見えた。
「貴方は失ってはいけないものを失おうとしているわ。だけど、まだ間に合う。大切なものを目の前で無くさないで。自分を見つめることは、世界を見つめると同じ。つまり、己を観、足を歩めば、前に進める。そう、目は前に進むために前についている、足は前に進むためについている」
彼女は、ふっと、笑った。
「行きなさい。貴方はしなければならないことが出来たはず。それに」
言いかけたところで、遠くのほうから、「レミリア様ー、何処ですかー」と声が聞こえた。何処か聞き覚えのある声だが、この際はどうでもいいだろう。
「お迎えも着たしね」
彼女は立ち上がった。
「じゃあね」
そうして私は彼女と別れた。
その頃の私の心の堂々巡りは終わっていた。行き着いたのは真実の答え。そこにあるのはどうあるべきかの答え。そこにあるのはしなくてはいけない行動。そこにあるのは、決意。
私はただ、この心にある決意と真実の答えを実行すればいい。そうすれば、自ずと光は見えてくる。
怖さに震えるのは弱さ。怖さに立ち向かうのは強さ。時には逃げることも必要だけど、逃げてばかりじゃいけない。
「リリカー」
ほら、お迎えが来た。
私は笑顔で返事を返した。ただココロに後悔を残さぬために、私はただそこにいるために、私はただ大切なものを無くさぬように、私はただ大切なものを壊さぬように。
他愛も無いことで姉さま達と喧嘩をしてしまった。
どうしてこうなったのか、わからない。ただただ喧嘩をしてしまったという後悔のみがココロを支配していた。
結局悪いのは誰だったろう? けど、問題はそこではないはずだ。これからしなくてはいけないのはやっぱり仲直りだと想う。
でも、また喧嘩になってしまうのが怖くて、私はマヨヒガを流れる三途の川、と呼ばれる川を川原で眺めていた。
川の流れは一直線で、私達の感情のように放射状に流れることはない。川は素直だ。素直だから逆らわない。ただ、その流れを流れとして流れているだけ。
ひざを抱えて座り込む。どうしてだろう? ココロがこんなにも寂しくなってしまうのは?
何時までそうしていただろう、ずっとこうしていたいけど、姉さま達と仲直りもしたい。けどそれは怖くて出来ない。
私は迷っていた。迷って、何も見出せないでいた。
「お隣、いいかな?」
そんな憂鬱の中、声を掛けられる。私はどうでも良かったので、何も言わず、ただ頷いた。
「はじめまして。私はレミリア。ところで貴方のお名前は?」
なんだってこのレミリアという人はこんなに私に話しかけてくるのだろう? 誰にも話しかけてほしくないのに。
「リリカ」
でも結局はどうでも良くて、その質問に答えてしまう。
「どうしてリリカちゃんはこんな寂しい所にいるの?」
「喧嘩を、したの」
どうしてだろう、この人の声は優しい。何かやわらかいクッションのように私の心に響いてくる。
「姉さまと、喧嘩をしたの。つまらないことで喧嘩をして、ここまで来てしまったの」
何で私はこんなにしゃべってるのだろう? けどいいや、もうどうでもいいや。だってこの人の声は優しい。
「だったら、仲直りすればいいじゃない」
優しく、慰めるように、肩を叩いた。
「ダメ。怖くて、出来ないの」
声が、次第に小さくなってくるのがわかる。
「でも、仲直りしないとずっとそののままになってしまうよ?」
そう。それも怖い。けど誤ってなた喧嘩になってしまうのはもっと怖い。
どうしてだろう、私の心は堂々巡り。
「このままじゃずっと貴方の心は理解されないのかもしれないわ。ずっとずっと、死んでもなお理解されないのかもしれない。死んで理解されないのはとっても悲しいわ。必ずね、形あるものには終りが来るのよ。だから人は後悔して嘆く。ああ、こうしていたらよかったな、どうしてこうしなかったのだろう。終わってしまってから気付く。でもそれでは遅いのよ。でも人なんてものは器用なもので、後悔したこと自体を忘れてしまうけどね」
この人は難しいことを言う。なんだってこの人は私にこんな話をするのか?
「貴方の寿命は長い。けど、時間がたつごとに問題はやがて大きくなっていわ。時間がたてば立つほど貴方は謝りにくくなる。そして結局貴方は後悔する」
この人が言ってることは確かに正しい。
「貴方は何を怖がっているの? 怖がる必要なんてないのよ。多分貴方のお姐さんも、貴方と理解していって想ってる。でもやっぱり向こうも怖がっているはずだわ。ということは、どっちかが話を切り出さない限りずっとこのまま。ならば貴方が誤ってしまえば話は早いわ」
私は顔を上げてその声主を、見た。その声主の横顔はとても美しかった。ただ、その横顔がとても悲しそうに見えた。
「貴方は失ってはいけないものを失おうとしているわ。だけど、まだ間に合う。大切なものを目の前で無くさないで。自分を見つめることは、世界を見つめると同じ。つまり、己を観、足を歩めば、前に進める。そう、目は前に進むために前についている、足は前に進むためについている」
彼女は、ふっと、笑った。
「行きなさい。貴方はしなければならないことが出来たはず。それに」
言いかけたところで、遠くのほうから、「レミリア様ー、何処ですかー」と声が聞こえた。何処か聞き覚えのある声だが、この際はどうでもいいだろう。
「お迎えも着たしね」
彼女は立ち上がった。
「じゃあね」
そうして私は彼女と別れた。
その頃の私の心の堂々巡りは終わっていた。行き着いたのは真実の答え。そこにあるのはどうあるべきかの答え。そこにあるのはしなくてはいけない行動。そこにあるのは、決意。
私はただ、この心にある決意と真実の答えを実行すればいい。そうすれば、自ずと光は見えてくる。
怖さに震えるのは弱さ。怖さに立ち向かうのは強さ。時には逃げることも必要だけど、逃げてばかりじゃいけない。
「リリカー」
ほら、お迎えが来た。
私は笑顔で返事を返した。ただココロに後悔を残さぬために、私はただそこにいるために、私はただ大切なものを無くさぬように、私はただ大切なものを壊さぬように。