森近 霖之助のこの一言が、始まりであった。
「久々に、魚が食べたいなぁ」
ちょうど店に来ていた、巫女と魔法使いは口をそろえて、
「「なら」」
「釣りに行こうぜ」「釣りにいきましょ」
そして、紅魔館周辺の管理釣り場に、向かうこととなった。
「はぁ~~~、痛い出費だ・・」
お釣りの銅貨を、財布に入れつつ、霖之助は三本の釣り竿と釣り許可書を持って、二人の陣取っているポイントに向かった。
払わされた理由としては、『言いだしっぺ』というやつである。
「香霖、遅いぜ」
「別に魚は逃げたりしないよ」
「いいえ、あんまり騒がしくすると逃げちゃうわよ」
ここは、紅魔館周辺の湖である。
よく、⑨な氷精が、カエルを凍らせるために、カエルを探すのに奮闘しているのを、緑髪の妖精がそれをほほえましく見ながら、カエルを逃がしている光景がよくみられる所である。
普段は、釣りを禁止しているところだが、紅魔館前の門番に金さえ払えば、管理釣り場として、利用できるのであった。
なんでも、一時期極度の財政難に陥ったときに、苦肉の策として出した案の一つらしい。
当初は、かなりの人込みであったのだが、今は人っ子ひとりいない。
祝日になると、ちらほらと人が増えるらしいのだが、今はそれがありがたい。
自由に釣りができるからだ。
「よし、釣るぜ!」
魔理沙が、勢いよく竿を振って釣りを始める。
「あんまり騒ぐと魚が逃げるじゃないの」
そう言って、霊夢はそぉっと糸を垂らす。
「あ、言い忘れてたけど、ここはキャッチ&リリースは禁止だってさ」
そして、霖之助はふわりと竿を振って、釣りを始める。
一時間後
「・・・・釣れないぜ・・・」
魔理沙がついに、我慢の限界にきたようだ。
きっとこのあと、やれ餌が悪いだの、やれ竿が悪いのだというのだろう。
「きっと場所が悪いんだ」
おっとそうきたかと、霖之助は驚きつつも、釣りを続ける。
「んじゃ、行ってくるぜ!」
そう言い残したあと、魔理沙は風のように去って行った。
「さて、真面目に釣りを始めましょうか」
「そうだね、がんばろうか」
本人は騒いでいないつもりだろうが、実際、魔理沙は騒がしい。
と、急に糸が硬くなる。
「おっと」
「霖之助さん、かかった?」
「ああ、かかったみたいだ」
竿を引っ張りながら、ため息をつく。
「地球がね」
「なぁんだ」
根がかりをおこしたようだ。
いくら竿を引っ張っても、一向に外れない。
無理をしたら竿が折れそうだ。
「もう、切った方が早いんじゃないの?」
「そうだな・・いや、いけそうだ」
切ろうかと考えていた時、急に竿が幾分か軽くなる。
が、それでもまだ重い。
おそらく、ゴミが引っ掛かっているのだろう。
もしかしたら、価値のあるゴミかもしれない。
勢いよく、一気に引っ張る。
「っであ~~~~~」
ザッパ~~~ン
霖之助は、ゆかりんを釣り上げた。
「って、ええええええええ~~~~~~」
「・・・最近見ないと思ったら、こんなとこに沈んでいたのね・・」
なぜか、ロープでぐるぐる巻きになっていて、足の方に途中でちぎれた鎖が巻きつけてある紫を、二人は見つめる。
しばしの沈黙。
「キャッチ&リリースって、禁止だったんだっけ?」
「って、早く助けなくていいのかい!?」
「いいんじゃない?紫だし」
ひどい評価である。
霖之助としては、数少ない客の一人、助けてほしいのが実情だ。
「もし、彼女が死んだら・・・・結界を修復するのに時間がかかるじゃないか!」
「・・・・それもそうね・・・」
今、紫を助けるめんどくささより、結界修復の時にかかるめんどくささが、勝ったようだ。
結局、彼女が動く理由は、面倒くさいか面倒くさくないかだ。
「よし!なら、さっそく『マウストゥーマウス』だ!」
「パス!霖之助さんに!」
即答!霖之助は困ってしまった。
「な、どうしてだい?同性だろ!」
「もし、私がやって、そこで紫が目を覚ましたら、」
そこでいったん区切る。
区切って、二・三拍置いてから続けた。
「最初に襲われるのは私よ・・・」
「襲われるって・・・」
沈黙が走る。
その間に、霖之助はゆっくりとした動作で、腰についている小物入れから鋏を取り出して、紫に巻きついていたロープを切って、足についている鎖を解いてから、また霊夢の方へ向いた。
まだ沈黙が続く・・
先に口を開いたのは、霊夢であった。
「んじゃ、私は心臓マッサージをするわ!霖之助さんは言いだしっぺということで、人工呼吸お願いね」
「・・・・・・・・」
霖之助は黙ったままだ。
「霖之助さん・・・・・」
霊夢は声をかける。
「・・・・勝手に始めちゃうわよ」
「って、ちょっと待った」
霊夢の渾身の一撃は、紫の鳩尾を見事に貫いた。
紫の身体がくの字に曲がる。
霖之助は、あわてて紫を引き寄せた。
そして、奇跡が起こった。
「ごほ、がは、ごほ・・・」
「!・・・息を吹き返した!」
「見た?霖之助さん!これが博麗に伝わる蘇生法、『博麗突き』よ!」
霖之助は、それは本当に蘇生法なのか?などの突っ込みは後回しにしておいて、先に紫の容体を調べることにした。
ぺちぺちと、紫の頬を叩きながら、霖之助は何度も、大丈夫ですか~?と、呼びかける。
この間拾った、『誰でもできる!人工呼吸百選』どうりに。
ちなみに、百選と書いてあるのに、百個も項目がなかったり、それどころか百ページすらなかったという物である。
「・・・ううん・・・」
「よかった・・目を覚ましたぞ」
「私のおかげね!手柄は霖之助さんに譲るわ、むしろ貰って、私だとわかったらありがとうとか言いながら抱きついてきたりしそうだもの・・・あ、でもお茶缶一個もらっていくわね」
霖之助は聞こえないふりをした。
「紫さん、大丈夫ですか~?紫さん」
そして本通りに、さん付けで呼ぶ。
紫はゆっくりと目をあける。
そして一言・・・
「・・・あの・・あなたたちは誰?」
少女状況整理中・・・・
少女状況説明中・・・・・
「えと、つまり霖之助さんが助けていただいたんですね」
「ええ、まぁ、ほとんど釣り上げただけですけどね」
とりあえず、現状の一部始終を説明した。
心臓マッサージについては、結局、霖之助がやったということになっているが。
「助けていただきありがとうございました」
「い、いえいえ」
気づいてる人は過半数だろうが、一応説明すると、紫は記憶喪失になった。
「霊夢さんもありがとうございました」
「い、いいわよ、霊夢で、その方がしっくりくるし」
「で、ですが・・・」
「いいのよ!前の私とあんたは、呼び捨てで呼び合うほど仲のいい友人だったんだから!」
「・・・!そ、そうだったんですか・・」
霊夢も微妙に混乱しているようだ。
霊夢自身の口から、友達という言葉が出たことで、霖之助は驚いた。
どうせなら、どこぞの人形遣いに言ってあげればいいのに、などと思ってもいた。
ガサリ
と、突如草むらから急にキツネが飛び出してきた。
「きゃあああぁぁぁぁぁぁ~~~!!!」
紫は絹を裂くような悲鳴をあげて、あわてて霖之助の背中に隠れた。
冷静な人ならすぐにわかるだろう、そして二人もすぐに気がついた。
紫は、ついに切れた藍によって、ぐるぐる巻きにされて、さらに鉄球を括り付けられて、東京湾ならぬ紅魔湾に沈められたのであった。
そして、ついでに記憶もなくした。
「ええ~とキツネが怖いのかい?」
「ぐす・・は、はい・・よ、よく覚えていませんが・・とても怖いんです・・ぐす」
二人は『泣くほど怖いことされたのか・・』などと思ってみたりした。
二人は狐を追い払ったあと、何とか紫をなだめるのに成功した。
「・・・・私・・・どうすればいいんでしょうか・・・」
「どうすればいいって言ってもねぇ・・・」
「僕に聞かないでくれよ・・」
もはや魚釣りどころではない・・・
「・・・とりあえず霖之助さん家に泊めさせてあげたら?」
「なんでだ!普通、家にまで届けるんじゃないかい?」
「・・・霖之助さん・・マヨイガへの道・・わかる」
「・・・なら、神社でもいいと思うんだが」
「鬼がいるからいっぱいいっぱいなのよ」
「この前、『萃香はいっつもいるようでいない』と言ってなかったかな?」
「あら、覚えがないわ?」
あーだこーだと、いつの間にか紫を放置して、喧嘩になってきている。
紫の方はというと、自分のせいで二人が喧嘩し始めているのを理解しているため、おろおろと右往左往するばかりであった。
そしてしまいには・・・
「う、うう・・うう・・ぐす・・」
泣き出してしまった。
さて、それに慌てたのはこういう場面に弱い霖之助。
そして、つい、よくある言葉を口走る。
「わ、わかったわかった!僕の家に泊めるよ!霊夢もそれでいいね!だから泣きやんでくれ!」
後で後悔するのはわかっているのにもかかわらず、こう言ってしまう、それが霖之助という男であった。
「け、喧嘩しませんか?・・ぐす・・な、仲良くなりましたか?」
「ええ、喧嘩はもうしないわ、ほら仲良し仲良し!」
さすがの霊夢も、居心地が悪くなったのか、霖之助の手を握って、ぶんぶんと振り回す。
それを見た紫は、パァっと顔を輝かせて笑った。
それは、もし紫がレミリアぐらいの幼さでやったのならば、そのメイドが鼻血を出して、空高く吹っ飛んでいるほどに、かわいらしかった。
二人は思わず顔を逸らした。
この笑顔を見ていると、自分たちがひどく汚れているように感じるほど、無垢であったからだ。
「・・・・とりあえず釣りは・・・」
「お開きね・・・」
二人は、そのまま香霖堂へ帰ることにするのであった。
「はい、どうぞ」
そう言って、霖之助はゆかりにお茶を渡す。
「あ、ありがとうございます」
紫は、受け取ったお茶をふぅふぅと少し冷ましてから飲み始めた。
お茶は、少しさめるような淹れ方をしたため、そう熱くない。
霖之助はそれを見届けてから、自分も飲み始める。
ふと、霊夢の方を見ると、ちょうど巫女服の中に一番高いお茶を、忍ばせている最中であった。
霖之助は、言っても無駄だと悟ったため、見なかったことにした。
そして、カウンターの下にあるツケ手帳にメモをしてから、紫に確認を取る。
「で、本当にうちに泊まるのかい?」
紫はそれを聞いて、一瞬あわてた後、顔を赤らめながら、こくりと首を動かす。
「はい、帰る家がどこにあるのかわからないですから・・・迷惑ですか?」
霖之助は迷惑とは言わなかった、しかし迷惑とは思った。
だが一度言った手前、取り消すことなどできそうになかった。
「まぁ、仕方ないよ、しばらく泊まっていくといい、その代わり家事とかの手伝いはして貰うよ」
「はい、ありがとうございます!」
再び無垢な笑顔、霖之助と霊夢は、再び顔を逸らした。
「じゃ、一件落着したみたいだから、私はもう帰るわね」
そう言って、逃げ出すように、霊夢は去って行った。
「あ、あの、よろしくおねがいします!」
紫がそう言って、頭を下げてきた。
霖之助は苦笑しつつ、記憶を失った大妖怪に向って。
「ようこそ香霖堂へ」
と言って、彼女を迎えいれた。
これから起こる、たくさんの大変を後回しにしておいて・・・
紅魔館前・・・・
「香霖~~~~、霊夢~~~~、どこ行ったんだ~~~~」
地引網でもやったのだろう、大量の魚の入った網を抱えた魔理沙が、湖の前で右往左往していたのであった。
そう、大変はもうすぐそこだ・・・・
「久々に、魚が食べたいなぁ」
ちょうど店に来ていた、巫女と魔法使いは口をそろえて、
「「なら」」
「釣りに行こうぜ」「釣りにいきましょ」
そして、紅魔館周辺の管理釣り場に、向かうこととなった。
「はぁ~~~、痛い出費だ・・」
お釣りの銅貨を、財布に入れつつ、霖之助は三本の釣り竿と釣り許可書を持って、二人の陣取っているポイントに向かった。
払わされた理由としては、『言いだしっぺ』というやつである。
「香霖、遅いぜ」
「別に魚は逃げたりしないよ」
「いいえ、あんまり騒がしくすると逃げちゃうわよ」
ここは、紅魔館周辺の湖である。
よく、⑨な氷精が、カエルを凍らせるために、カエルを探すのに奮闘しているのを、緑髪の妖精がそれをほほえましく見ながら、カエルを逃がしている光景がよくみられる所である。
普段は、釣りを禁止しているところだが、紅魔館前の門番に金さえ払えば、管理釣り場として、利用できるのであった。
なんでも、一時期極度の財政難に陥ったときに、苦肉の策として出した案の一つらしい。
当初は、かなりの人込みであったのだが、今は人っ子ひとりいない。
祝日になると、ちらほらと人が増えるらしいのだが、今はそれがありがたい。
自由に釣りができるからだ。
「よし、釣るぜ!」
魔理沙が、勢いよく竿を振って釣りを始める。
「あんまり騒ぐと魚が逃げるじゃないの」
そう言って、霊夢はそぉっと糸を垂らす。
「あ、言い忘れてたけど、ここはキャッチ&リリースは禁止だってさ」
そして、霖之助はふわりと竿を振って、釣りを始める。
一時間後
「・・・・釣れないぜ・・・」
魔理沙がついに、我慢の限界にきたようだ。
きっとこのあと、やれ餌が悪いだの、やれ竿が悪いのだというのだろう。
「きっと場所が悪いんだ」
おっとそうきたかと、霖之助は驚きつつも、釣りを続ける。
「んじゃ、行ってくるぜ!」
そう言い残したあと、魔理沙は風のように去って行った。
「さて、真面目に釣りを始めましょうか」
「そうだね、がんばろうか」
本人は騒いでいないつもりだろうが、実際、魔理沙は騒がしい。
と、急に糸が硬くなる。
「おっと」
「霖之助さん、かかった?」
「ああ、かかったみたいだ」
竿を引っ張りながら、ため息をつく。
「地球がね」
「なぁんだ」
根がかりをおこしたようだ。
いくら竿を引っ張っても、一向に外れない。
無理をしたら竿が折れそうだ。
「もう、切った方が早いんじゃないの?」
「そうだな・・いや、いけそうだ」
切ろうかと考えていた時、急に竿が幾分か軽くなる。
が、それでもまだ重い。
おそらく、ゴミが引っ掛かっているのだろう。
もしかしたら、価値のあるゴミかもしれない。
勢いよく、一気に引っ張る。
「っであ~~~~~」
ザッパ~~~ン
霖之助は、ゆかりんを釣り上げた。
「って、ええええええええ~~~~~~」
「・・・最近見ないと思ったら、こんなとこに沈んでいたのね・・」
なぜか、ロープでぐるぐる巻きになっていて、足の方に途中でちぎれた鎖が巻きつけてある紫を、二人は見つめる。
しばしの沈黙。
「キャッチ&リリースって、禁止だったんだっけ?」
「って、早く助けなくていいのかい!?」
「いいんじゃない?紫だし」
ひどい評価である。
霖之助としては、数少ない客の一人、助けてほしいのが実情だ。
「もし、彼女が死んだら・・・・結界を修復するのに時間がかかるじゃないか!」
「・・・・それもそうね・・・」
今、紫を助けるめんどくささより、結界修復の時にかかるめんどくささが、勝ったようだ。
結局、彼女が動く理由は、面倒くさいか面倒くさくないかだ。
「よし!なら、さっそく『マウストゥーマウス』だ!」
「パス!霖之助さんに!」
即答!霖之助は困ってしまった。
「な、どうしてだい?同性だろ!」
「もし、私がやって、そこで紫が目を覚ましたら、」
そこでいったん区切る。
区切って、二・三拍置いてから続けた。
「最初に襲われるのは私よ・・・」
「襲われるって・・・」
沈黙が走る。
その間に、霖之助はゆっくりとした動作で、腰についている小物入れから鋏を取り出して、紫に巻きついていたロープを切って、足についている鎖を解いてから、また霊夢の方へ向いた。
まだ沈黙が続く・・
先に口を開いたのは、霊夢であった。
「んじゃ、私は心臓マッサージをするわ!霖之助さんは言いだしっぺということで、人工呼吸お願いね」
「・・・・・・・・」
霖之助は黙ったままだ。
「霖之助さん・・・・・」
霊夢は声をかける。
「・・・・勝手に始めちゃうわよ」
「って、ちょっと待った」
霊夢の渾身の一撃は、紫の鳩尾を見事に貫いた。
紫の身体がくの字に曲がる。
霖之助は、あわてて紫を引き寄せた。
そして、奇跡が起こった。
「ごほ、がは、ごほ・・・」
「!・・・息を吹き返した!」
「見た?霖之助さん!これが博麗に伝わる蘇生法、『博麗突き』よ!」
霖之助は、それは本当に蘇生法なのか?などの突っ込みは後回しにしておいて、先に紫の容体を調べることにした。
ぺちぺちと、紫の頬を叩きながら、霖之助は何度も、大丈夫ですか~?と、呼びかける。
この間拾った、『誰でもできる!人工呼吸百選』どうりに。
ちなみに、百選と書いてあるのに、百個も項目がなかったり、それどころか百ページすらなかったという物である。
「・・・ううん・・・」
「よかった・・目を覚ましたぞ」
「私のおかげね!手柄は霖之助さんに譲るわ、むしろ貰って、私だとわかったらありがとうとか言いながら抱きついてきたりしそうだもの・・・あ、でもお茶缶一個もらっていくわね」
霖之助は聞こえないふりをした。
「紫さん、大丈夫ですか~?紫さん」
そして本通りに、さん付けで呼ぶ。
紫はゆっくりと目をあける。
そして一言・・・
「・・・あの・・あなたたちは誰?」
少女状況整理中・・・・
少女状況説明中・・・・・
「えと、つまり霖之助さんが助けていただいたんですね」
「ええ、まぁ、ほとんど釣り上げただけですけどね」
とりあえず、現状の一部始終を説明した。
心臓マッサージについては、結局、霖之助がやったということになっているが。
「助けていただきありがとうございました」
「い、いえいえ」
気づいてる人は過半数だろうが、一応説明すると、紫は記憶喪失になった。
「霊夢さんもありがとうございました」
「い、いいわよ、霊夢で、その方がしっくりくるし」
「で、ですが・・・」
「いいのよ!前の私とあんたは、呼び捨てで呼び合うほど仲のいい友人だったんだから!」
「・・・!そ、そうだったんですか・・」
霊夢も微妙に混乱しているようだ。
霊夢自身の口から、友達という言葉が出たことで、霖之助は驚いた。
どうせなら、どこぞの人形遣いに言ってあげればいいのに、などと思ってもいた。
ガサリ
と、突如草むらから急にキツネが飛び出してきた。
「きゃあああぁぁぁぁぁぁ~~~!!!」
紫は絹を裂くような悲鳴をあげて、あわてて霖之助の背中に隠れた。
冷静な人ならすぐにわかるだろう、そして二人もすぐに気がついた。
紫は、ついに切れた藍によって、ぐるぐる巻きにされて、さらに鉄球を括り付けられて、東京湾ならぬ紅魔湾に沈められたのであった。
そして、ついでに記憶もなくした。
「ええ~とキツネが怖いのかい?」
「ぐす・・は、はい・・よ、よく覚えていませんが・・とても怖いんです・・ぐす」
二人は『泣くほど怖いことされたのか・・』などと思ってみたりした。
二人は狐を追い払ったあと、何とか紫をなだめるのに成功した。
「・・・・私・・・どうすればいいんでしょうか・・・」
「どうすればいいって言ってもねぇ・・・」
「僕に聞かないでくれよ・・」
もはや魚釣りどころではない・・・
「・・・とりあえず霖之助さん家に泊めさせてあげたら?」
「なんでだ!普通、家にまで届けるんじゃないかい?」
「・・・霖之助さん・・マヨイガへの道・・わかる」
「・・・なら、神社でもいいと思うんだが」
「鬼がいるからいっぱいいっぱいなのよ」
「この前、『萃香はいっつもいるようでいない』と言ってなかったかな?」
「あら、覚えがないわ?」
あーだこーだと、いつの間にか紫を放置して、喧嘩になってきている。
紫の方はというと、自分のせいで二人が喧嘩し始めているのを理解しているため、おろおろと右往左往するばかりであった。
そしてしまいには・・・
「う、うう・・うう・・ぐす・・」
泣き出してしまった。
さて、それに慌てたのはこういう場面に弱い霖之助。
そして、つい、よくある言葉を口走る。
「わ、わかったわかった!僕の家に泊めるよ!霊夢もそれでいいね!だから泣きやんでくれ!」
後で後悔するのはわかっているのにもかかわらず、こう言ってしまう、それが霖之助という男であった。
「け、喧嘩しませんか?・・ぐす・・な、仲良くなりましたか?」
「ええ、喧嘩はもうしないわ、ほら仲良し仲良し!」
さすがの霊夢も、居心地が悪くなったのか、霖之助の手を握って、ぶんぶんと振り回す。
それを見た紫は、パァっと顔を輝かせて笑った。
それは、もし紫がレミリアぐらいの幼さでやったのならば、そのメイドが鼻血を出して、空高く吹っ飛んでいるほどに、かわいらしかった。
二人は思わず顔を逸らした。
この笑顔を見ていると、自分たちがひどく汚れているように感じるほど、無垢であったからだ。
「・・・・とりあえず釣りは・・・」
「お開きね・・・」
二人は、そのまま香霖堂へ帰ることにするのであった。
「はい、どうぞ」
そう言って、霖之助はゆかりにお茶を渡す。
「あ、ありがとうございます」
紫は、受け取ったお茶をふぅふぅと少し冷ましてから飲み始めた。
お茶は、少しさめるような淹れ方をしたため、そう熱くない。
霖之助はそれを見届けてから、自分も飲み始める。
ふと、霊夢の方を見ると、ちょうど巫女服の中に一番高いお茶を、忍ばせている最中であった。
霖之助は、言っても無駄だと悟ったため、見なかったことにした。
そして、カウンターの下にあるツケ手帳にメモをしてから、紫に確認を取る。
「で、本当にうちに泊まるのかい?」
紫はそれを聞いて、一瞬あわてた後、顔を赤らめながら、こくりと首を動かす。
「はい、帰る家がどこにあるのかわからないですから・・・迷惑ですか?」
霖之助は迷惑とは言わなかった、しかし迷惑とは思った。
だが一度言った手前、取り消すことなどできそうになかった。
「まぁ、仕方ないよ、しばらく泊まっていくといい、その代わり家事とかの手伝いはして貰うよ」
「はい、ありがとうございます!」
再び無垢な笑顔、霖之助と霊夢は、再び顔を逸らした。
「じゃ、一件落着したみたいだから、私はもう帰るわね」
そう言って、逃げ出すように、霊夢は去って行った。
「あ、あの、よろしくおねがいします!」
紫がそう言って、頭を下げてきた。
霖之助は苦笑しつつ、記憶を失った大妖怪に向って。
「ようこそ香霖堂へ」
と言って、彼女を迎えいれた。
これから起こる、たくさんの大変を後回しにしておいて・・・
紅魔館前・・・・
「香霖~~~~、霊夢~~~~、どこ行ったんだ~~~~」
地引網でもやったのだろう、大量の魚の入った網を抱えた魔理沙が、湖の前で右往左往していたのであった。
そう、大変はもうすぐそこだ・・・・
>氷霊
チルノ死んでないよチルノ!霊じゃなくて精です。
>禁止だったさ
静岡弁……?
>・・・・
これ(中黒点)は二つの外来カタカナ語を繋げる時などに使う記号で、沈黙などを表す用途には用いるべきでないという事になっているようです。「…(三点リーダー)」や「‥(二点リーダー)」などを使った方が良いと思います。
>めんどくささより~めんどうくささが~面倒くさいか面倒くさくないか
漢字か平仮名か、「う」を入れるか入れないかなど、同じ単語の表記は(台詞内を除いて)統一して欲しいです。
>霖之助はゆかりに
これも。
>霖之助は、あわてて紫をかばった。
何からかばったのでしょうか?博麗突きは既に当たっていると思うのですが……。
>お茶館
「缶」の変換ミスかと。
>向かいいれた
「むかい」ではなく「むかえ(迎え)」です。
>、(読点)
台詞内は丁度良いと思うのですが、地の文では多すぎです。これは音読するときの息継ぎの目安でもあるので、多すぎると音読で息が上がってしまいますし、黙読でも文章のテンポが途切れてしまって読みにくくなってしまいます。
にしてもこのゆかりん可愛すぎなので本当、是非続きを読みたいです。自分で書いて自分で萌えてそれを吐露するのって一般的にキモいとされてると思うんですが、正直このゆかりんならそうなっても仕方ないかとw
・・・の数を統一しましょう。
「紫」と「ゆかり」も統一しましょう。
!と?の後ろに文章が続くときには後ろにスペースを入れましょう。
例えばこんな風に
「パス!霖之助さんに!」
→「パス! 霖之助さんに!」
瑣末な事ですが、指摘させていただきます。
なんというか貴方の書く文章が私のバイオリズムに合わず、妙に読み辛い。
そのせいで辛めの評価となりますが、ご了承ください。
いうほどゆかりんの可愛らしさを感じることができず、残念です。