ある夏の日、幻想郷中に「文々。新聞」号外が配られた。
博麗神社。
「暑い~あつい~あつくて死ぬぜ。」
今日も霧雨魔理沙は神社にやって来た。
「おーい霊夢。」
ズズーーーー。 パリッパリッ!!
「なんだ、暑いからってまたサボってんのか。」
「のんびりでいいのよ、のんびりで。」
今日もぐうたら巫女は日が暮れない内からお茶を啜ってぐうたら。
いつも通りだな~と思いつつ賽銭箱に目を向ける。
「なんだこれ?」
「ああそれ、さっき、鴉が配って回ってたの号外だってさ。」
「そういえば去年も似たような物があったな、どれどれ‥‥。」
「 文々。新聞 <号外>
~幻想郷1000人ぐらいに聞いた特大アンケート(質問調査のこと)~
九代目阿礼の子 稗田阿求が記した「幻想卿縁起」の普及に伴って生まれた疑問を
幾つかの項目に分けて人々の意見を参考にまとめた物である。
なお私は真実しか記事にしませんので苦情等は一切受け付けません。
・
・
・
・
」
「そういえばなんか色々聞かれた気がしてきたぜ。それにしても皺くちゃだなこの新聞。」
やたら皺くちゃの新聞を手に巫女に疑問の目を向ける。
「きっとここに配る途中水溜りにでも落としたんでしょう。
私は無重力の巫女。何事にも縛られない私にとって人々の評価なんて無に等しいものよ。」
なんか怪しいがまぁいいや。私は新聞の一枚目を見た。
「 <幻想郷でもっとも主人公に相応しいのはだれか?>
一位:霧雨魔理沙
二位:十六夜咲夜
三位:魂魄妖夢
四位:射命丸文
・
・
十三位:博麗霊夢
・
コメント
・なんといっても人気ナンバーワンだぜ(普通の魔法使い)
・今度は二人でタッグを‥‥マチュリー砲‥‥‥(日陰少女)
・ますたーすぱーく!!だぜ。だぜ!!(里の子供達)
・働く女性としてかっこよくて憧れます!!(妖精メイド)
・この前「あなたの時間も私のもの(サボるな)」と言われた。ずきゅーーーーん(門番)
・よく買い物に来る。まだ幼いのに礼儀正しく腕いっぱいの荷物を抱えた姿は応援したくなる(豆腐屋)
・おいしそうよね、あの白いの‥‥早く成長して一人前になってほしい(亡霊姫)
・ミニスカと少女達のパンチラ写真がたまらない、またお願いします(古道具屋店主)
・「博麗」の名が主人公っぽいです。またお越しください(お茶屋)
・主人公or腋役?(匿名)
・スペルもテーマ曲もなんていうか地味(匿名)
文のコラム
やはり一番人気の霧雨魔理沙さんが一位に躍り出た。しかし、なんと言っても十三位の博麗霊夢さんが一番
の注目ポイント。同氏は黒歴史の時代から東方を支え続けた巫女さんである。そんな彼女も相次ぐ新キャラ
の増加に伴ってアイデンティティを失い始め、今では、幾つもの異変を解決してきたなど嘘を吐き目立とう
としている(裏が取れてないが彼女のサボり癖を考える限りこれらが嘘であることは明白である為)。主人
公にあるまじき行為である。この結果の原因を考察した結果、彼女の上位には苦労人が多い事がわかった
(もちろん私も)主人公になりたいなら、彼女はその怠け癖を治すべきである。
」
「あ~なんというか、まぁ気にするな。」
ふるふるっ
霊夢の肩が小刻みに震える。こころなしか涙が見える気がする。もちろん泣いていない。
「お前は無重力がモットーなんだから、こんなだれが言ったのかわからないようなもの本気にするな。
たとえ次回作主人公でなくなっても私のエンディングぐらいには出してやるぜ。」
霊夢が立ち上がる。
「ああああああ!!!なんで私が十三位なのよ!!!
毎回タイトルに出演したし、髪型だって頻繁に変えたりしてオシャレだってしてるのに地味!?
なによ「博麗」が主人公っぽいって、まるで、私が話の都合上出してもらっているみたいじゃない!!」
霊夢が狂ったように叫びながら、あたかも藁人形に五寸釘を打つように地面に頭を叩き付けている。
その光景に圧倒された私はとりあえず地面が血に染まり始めた所で止めといた。
「とりあえず落ち着けって」
私は狂い始めた霊夢を服に付いた砂を払いながら座らせた。
目が尋常じゃないくらいギラギラして、割れた額から止め処なく血が流れ落ちる。
正直びびった。
「お前はしり上がりに調子上がるタイプなんだよ。キャラ人気投票だって2位になっただろう。」
「724」
「はっ?」
「キャラ部門得票+テーマ曲得票の合計においてあんたとの差」
「‥‥‥」
「ああ、あの時代はよかった。あなたがまだ「うふふ」と言っていた時代まさしく私は主人公だった。
こんな改造巫女服をきて腋アピールなんてしなくても良かった。ああ、あの頃に戻りたい。
そう、あんな新参者の鴉に負けて五位なんて‥‥夢よ‥‥‥夢‥夢‥夢‥」
「霊夢、現実から逃げるな。」
私は現実から目を背ける親友に向かって呼びかけた。
「そうね、魔理沙の言うとおり。」
いままで狂い気味だった巫女が不気味なくらいおとなしくなった。
「いままでのことを反省して、対策を考えないとね。」
「そのとおりだ、私にできることなら協力するぜ。」
「じゃあ、あなたの人気の秘密を参考にさせてもらうわ。
とりあえず体の隅々まで調べつくしたあと、従順になってきたところで精神の隅々まで調べてあげる。
とりあえず布団敷いてくるから待ってなさい。」
「全力でお断りするぜ。」
やっぱり狂ってる、正気に戻るまでしばらくパチュリーに匿ってもらおう。
私は魔力を箒に走らせ空に飛び立つ。
はずだった‥‥
魔力が伝わらない。箒に跨ったまま私は硬直する。
紅白から真紅になった巫女がやってくる。
「さぁ、準備できたわ、それと抵抗しても無駄よ。魔力は結界で封じといたし、
神社には奥義:百枚ほど結界を張っといたから紫ぐらいしか入ってこれないわ。」
血まみれの巫女が私の手を掴む。人間の握力とは思えない。
「やだ!!やめてお願い!!!」
「ダメよ。壊れたら壊れたで私が一位になるし、行きましょう。」
私は精一杯抵抗して力をこめるが引きずられる。
人間の力じゃない‥同じ体格にも関わらずピクリとも動かない。
しょうがない眠ってもらうしかない。
「すまん霊夢!!」
持っていた箒をフルスイングで霊夢の後頭部におもいっきり叩きつけてやった。
バキッ!!
良し!!確かな手ごたえ。
まちがいない三途の河に一直線でホームランだぜ。
「その折れた箒でなにかした?」
あれ~箒が真っ二つだ。
なんで!?これ先週買ったばかりのやつなのに。
普通の人間ならほぼ即死なのに、霊夢はまったく動じない。
(※元々霊夢は不思議な力を色々使えるが、それを活用したり自慢したりはしない。)
「さぁ、着いたわよ」
私は薄暗い部屋の中を見る。
注射器、手錠、蝋燭、鞭、とろろ芋、もう言えない。
「いやーたすけてー!!アリスーー!パチュリーー!!フランー!!!」
「ふふっその調子、いい声で鳴いてね。魔・理・沙」
ああ、やめて、えっ、違う違うよ、その道具そんな使い方しない、あああああ、やめてーー
ヤバイ、やばいっって、その、泡立て器、ちがううう、使い方ちがうーーー、しゃもじーーーー
なに、その陰陽玉、どうするの?、うわ、うっわわ、うわーーーーーーーーーーーー。
げんじぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから13時間後、博麗神社の朝
「うふうふふふふふ。」
赤髪の魔法使いが転がっていた。
・
・
・
・
八雲家。
今日も私は惰眠を貪る主人のため家事をこなし続ける。
洗濯物を干していると目の前の空間に裂け目ができた。
「大変よ!!藍!!」
私の主人の紫様が寝巻きのまま目の前にできたスキマにぶら下がっていた。
「おはようございます紫様。この前、盗んできた吸血鬼の絵日記の事なら私は知りませんよ。」
「違うわよ!!あれならバレる前に楽しく読んで霊夢に渡しといたわ。
とりあえずこの新聞を読んで頂戴。」
ああ、あの射命丸文とか言う鴉天狗の新聞か、前に取材にきたな。
私は紫様が指差す記事を読んだ。
「 <幻想郷でもっとも友達にしたくないやつはだれか?>
ダントツ一位:八雲紫
二位:メディスン・メランコリー
三位:アリス・マーガトロイド
四位:ヤマダさん(仮名:本名を書くと危険なので、特に死後)
・
・
コメント
・毎回「幻想郷縁起」の自分の年齢に関わる文章を消していく、やめて欲しい(あっきゅん)
・香霖堂に来たとき、幼女化していた。若作りはいい加減にしてほしいぜ(普通の魔法使い)
・満月の異変解決のお礼として賽銭を入れてもらったけど、全部子供銀行と書いてあった(巫女さん)
・私の傘を間違って持っていった(フラワーマスター)
・この前、風船を取ってもらったら握った部分にガムがくっ付いていた。最低(里の子供)
・冷蔵庫のコーラの中身がめんつゆ(濃)に変わっていた。きつかったが一気飲みした(古道具屋店主)
・私と霊夢のラブ日記(妄想100%)を取られた、紅魔館総出で絞めに行く予定(紅い悪魔)
・この前、歳を聞いたら肥溜めに落ちていた。匂いが落ちなくて豆腐の売上が落ち込んだ(豆腐屋)
・最初、友好的な妖怪と思ったけど、だんだん意識が遠のいて死んだ(不死身の人間)
・本気で人形に話しかけていた(※三月精参照)正直引いた(光の三妖精)、
・会うたび説教される。善行、善行、善行、‥‥五月蠅い(花映塚出演者全員)
文のコラム
投票の結果、八雲紫氏が九割まで及んだ。予想はしていたとはいえ悲惨な結果となった。
あくまで、妖怪と一部の人間しか手を出さないと思われていた彼女は意外にも人間の里でも悪行の数々を
働いていた事がわかり、その行為を書き出すとさすがに一週間の徹夜は覚悟しなければならないので省略
します。彼女の思考はまったく理解できません。たとえ彼女に会って逃げようとしても逃げようがないの
で出会った自分の運命を呪ってください。もし回避したければ、紅魔館に住む運命を操ると言う吸血鬼に
頼んではどうか。
二位のメディスンさんは物理的な意味で危険なので避けてください。
三位のアリスさんは実際に取材しましたが、藁人形を打ち込んでいる姿は大変不気味でした。用事がない
限り避けるのが無難でしょう。
四位のヤマダさんは法に触れるので省きます。
」
「なんというか当然の結果ですね。」
「うう、ひどいわ藍」
スキマからハンカチを取り出してわざとらしい泣き真似をする紫様。
「それで一体どうしたんですか?
紫様がみんなから嫌われているのはご存知かと思っていましたが。」
「最近藍のリアクションが薄くてゆかりん寂しい。記事を間違えたわ、こっちの記事を読んで頂戴。」
「はぁ」
いつもの事とはいえ思わずため息が出た。
「 <幻想郷でもっとも従者に相応しいのはだれか?>
一位:十六夜咲夜
二位:八意永琳
三位:魂魄妖夢
四位:八雲藍
・
・
コメント
・完全で瀟洒なメイド、自慢の犬よ(紅い悪魔)
・あの人結構かわいいとこあるんですよ。今夜も‥ふふふっ(門番)
・うーん、あそこのメイドが淹れた人間用の紅茶は絶品だぜ。(普通の魔法使い)
・最近、暴走気味なレミリアをコントロールしてくれて助かるわ。(巫女さん)
・巨乳最高、毎日通ってます(彦左衛門)
・師匠はいつも姫のことを第一にがんばってます(うどんさん)
・失敗しても許したくなる妹的存在(妄想)(豆腐屋)
・この前、卵を落として困っていたのでサービスしてあげた(八百屋)
・雨の日、家に来た紫様の泥まみれの靴を懐で温めていなかった、従者失格(あっきゅん)
・この前、主人より先にきつねうどんに手をつけた、従者失格(うどん屋)
・紫様に頼まれました、すみません。従者失格(庭師)
・ぶっちゃけ紫に仕えた時点で主人を間違えてる、従者失格(亡霊姫)
文のコラム
主にこのアンケートの答えは里の人間の方が多いので、里の人間の評価が重要になってきます。
十六夜咲夜さんに関してはメイド服が高ポイントでだれもが認める従者として見事一位に選ばれました。
二位の八意永琳さんは里においては一部でファン倶楽部ができるぐらい知名度が高いので、この結果は
それによるものではないかと推測されます。
三位の魂魄妖夢さんはどうやらその幼い外見と働き者であることが幸をそうしたようです。
今回のポイントは四位の八雲藍さんである。古くから人間の里に姿を見せていて、その落ち着
いて礼儀正しい物腰、主人のためと言って一時期、里の畑を借りて<まんごー>を必死に育てる姿はど
う考えても一位を争うほどの従者と考えられたが、票は伸びなかった。
その原因として、最近、里に姿を現し始めた八雲紫氏の行動が結びついていると考えられる。同氏の行
動は最悪であり、最初はあれに仕えるなんてすごい苦労人で最高の従者と里の人々から思われていたが
、あまりにも酷すぎたため、最凶の主従カップルと認識されている模様。票もほとんど同情票と中傷票
である。
」
なにこの理不尽な扱い。
豆腐屋のやつ幻想郷一の従者って言ってたくせに妖夢を支援するとは。
「藍、あなたには失望したわ。得体の知れない紅魔館のメイドや月の民ならまだしも
幽々子のとこの半人前の庭師にまで負けるなんて八雲紫の式神として恥を知りなさい。」
「ちょっと待ってくださいよ紫様、明らかに私だけ評価がシビアじゃないですか。
妖夢殿に関しては卵落としても不問になってるのに、私は主人より先に食事に手をつけただけで
従者失格って言われてるんですよ。最後なんて明らかに紫様のせいじゃないですか。」
紫様がスキマから傘を取り出す。
嫌な予感‥‥‥
「藍。あなたが私に口答えするなんてまだ私の教育が足りてなかったのかしら。」
「も、申し訳ありません!!すべて私の不注意によるものでした。」
「どこがいいかしら藍。現実と虚現の境界の先‥ファイ○ルファンタジーとドラゴン○エスト
は行ってきたでしょう。スーパーマリ○ワールドなんてどうかしら?」
「お願いします紫様それだけはご勘弁を!!」
「ふふふっ冗談よ。」
「お許しありがとうございます紫様。」
「嘘。」
紫様の傘が地面に突き刺さると同時に浮遊感が生まれる。
重力には逆らえない。
「助けてーーーーーーーーちぇーーんー」
「100%になるまで帰れないから頑張ってね。」
その後、ドラゴンに乗りヒゲを生やした藍が動物虐待についての取材を受けていた。
・
・
・
・
紅魔館。
「 <幻想郷で恋人にしたいのはいったいだれか?> 」
一位:霧雨魔理沙
二位:博麗霊夢
三位:紅美鈴
四位:十六夜咲夜
・
・
コメント
・僕に気があるにちがいない(古道具屋店主)
・寺子屋のみんなに内緒で胡蝶蘭(花言葉:君を愛する)をもらった(里の子供)
・満月の異変の時にわかったのよ、私と魔理沙は赤い糸で結ばれてるって(人形遣い)
・霊夢は私のものになる運命にあるのよ(紅い悪魔)
・霊夢は良いわ、人間のくせにいじめがいがあるし(フラワーマスター)
・いいよね~霊夢(鬼)
・腋イイッス(腋愛好会No.3)
・この前、話してみたらすごい良い人だった。しかも巨乳(彦左衛門)
・隊長すごい優しいんですよ。この前怪我したとき一晩中看病してくれました(門番隊副隊長)
・私と美鈴の関係?想像に任せるわ(メイド長)
・この前、隊長の部屋で誰かと抱き合ってるのを見てショックでした(門番隊第五席 )
・「「メイド長サイコーーーー」」(妖精メイド達:十六夜咲夜ファン倶楽部一同)
文のコラム
驚いた事に、霧雨魔理沙さんは里でも人気が高いことが判明した。
特に子供を片っ端から口説きまくり寺子屋では魔理沙異変※と呼ばれる事件も発生していた。
とにかく見境なく手を出すのがこの結果である。魔女と人形遣いもその犠牲になっているらしい。
本人をインタビューした所、「恋の魔法の修行だぜ」と言っていた。魔法と節操なしの関係は理解できない
が元より魔法使いは意味不明な点が多い。
二位の博麗霊夢さんは特に努力することもなく人気が高く、<博麗ファン倶楽部><腋愛好会>などマニア
ックからノーマルまで幅広く浸透している。しかし、賽銭のことがネックで、その貧乏さが票が伸びない結
果である。
今回のポイントは三位の紅美鈴である。紅魔館という辺鄙な所に住みながら里での人気が高い。
先々代の豆腐屋が一度紅魔館に配達に行ったときの体験談から里に彼女の存在が知られるようになり、興味
本位で通う物好き達が伝言役となり、その事から彼女の人間性?が広まって里にファン倶楽部ができた。あ
る時、ファン倶楽部会員No.2が武術を教えてもらえないかと言った。予想外にも快諾してくれて、月一の非
番の日に里で太極拳を教えている。特に、暇なお年寄りや子供たちに大好評で、いまでは里の恒例行事とし
て行われている。月一の非番を人の為に使うものすごくいい人?霧雨魔理沙さんに次いで子供の人気が高く
門番隊や紅魔館の妖精メイドにもファンがいる。
四位の十六夜咲夜さんは、あのクールな目が評判となっている。子供には圧倒的に嫌われているが、その分
里の一部には熱烈なファンが存在する。交流がまったくないので人気は低かったが、最近は犬と戯れていた
り笑顔を見せるようになって、そのギャップとミステリアスな空気で人気が急上昇。紅魔館の妖精メイドに
ものすごい人気がある。付き合ってみるといい人なのかもしれない。
※寺子屋に通う子供の八割が自分だけが魔理沙の恋人の資格を持っていると子供達が暴れた事件である。
死傷者12名の大惨事となったが上白沢慧音さんの力でなかったことになった。
」
「やっぱり魔理沙は最高ね。」
「パチェ、親友として忠告するけどそのセンスはまったくダメね
あんな子供にまで手を出す節操なしの鼠が一位になるなんて理解できないわ。
まったく霊夢が一位にならないなんて」
「レミィ、あなたはもっと現実を見ないとダメよ。
魔理沙が上、霊夢が下、あんな賽銭、賽銭、五月蠅いぐうたら巫女なんて二位でさえ不思議だわ」
「パチェこそ現実をみなさい。本を奪われるだけのただのヒモじゃない。」
「‥‥ギリッ」
「なんだコラァやるかぁ!!本の角で殴りつけるぞこのへタレ野郎ぉ!!!」
「ああぁんっ!!だれがへタレミリアじゃこの紫モヤシの権化がぁ!!」
バタンっ
「お嬢様、パチュリー様、紅茶をお持ちしました。」
咲夜がテラスに紅茶を持って現れる。
二人は紅魔館内での威厳を保つため、何事もなかったように、いつも通りに早変わり。
「ご苦労さま、そこのテーブルに置いて頂戴。」
「なにかおおきな声が聞こえたような気もしたんですがなにか問題でも起こりましたか?、」
「なんでもないわ、いつもより喘息が悪化して心配症のレミィが慌ててしまっただけよ。」
「そうですか、それでは仕事がありますので失礼します。」
バタンっ
「もっと落ち着いて新聞の続きを見ましょう。」
「そうね、大人げなかったわ。」
「 <幻想郷で結婚したいのはいったいだれか?>
一位:蓬莱山輝夜
二位:博麗霊夢
三位:上白沢慧音
四位:紅美鈴
・
・
十四位:霧雨魔理沙
・
コメント
・この前、永遠亭ではじめて見たけど一目惚れした(元野菜一筋)
・竹林で筍を取ろうとしたとき手が触れ合った、キュン キュン(筍取りと翁)
・八意様に病気を診てもらった時に廊下でぶつかった、ドキーン(夢太)
・結婚を申し込んだら八雲紫の靴下(全て遠のく芳香剤)を難題として出された(匿名)
・やっぱりただ飯がうまい(普通の魔法使い)
・魔理沙に結婚相手として紹介してもらった(狂妹)
・一緒にいるとこっちも落ち着くのよねー(化け猫)
・いつも真剣に子供たちに勉強を教える姿に惚れました(匿名)
・乙女チックな所もあるってけーねが言ってた(不死身の人間)
・夜の森で角が生えた慧音様を見たような気がする。それから記憶がない上、尻が痛い(星詠人)
・子供が妖怪に襲われた時、助けていただいてありがとうございます(豆腐屋)
・中華料理うまいんですよ。パーティーの流し冷やし中華最高でした(門番隊第六席)
・僕のために料理を毎日作ってほしい(食べ盛りの太公望)
・毎日スリルがあって楽しそうだな(棟梁)
・浮気は許せない(匿名)
・子供に見境なく手を出すのをやめてほしい(匿名の親)
・べ、別に魔理沙の事なんて好きなわけないんだから(人形遣い)
文のコラム
今回のポイントはいきなり現れた蓬莱山輝夜さんの存在。
彼女にとっては月の民?など謎が多く、なぜこんなに求婚者が現れるのはまったく謎である。
聞いた話によると、難題を吹っかけて結婚を断ってくるらしく、もし彼女と結婚したければ相応の覚悟が
必要である。過去に彼女に結婚を申し込んだものはみな破滅しているらしい。魔性の女かもしれない。
二位の博麗霊夢さんは前記のとおりである。
三位の上白沢慧音さんは里の頼りになる保護者的存在である。
四位の紅美鈴さんは前記のとおりである。
第二の注目のポイントは十四位に霧雨魔理沙さんがいること。浮気癖や、労働意欲のなさが原因である。
恋愛と結婚は別物で、それがわからない子供と、魔女と人形遣いが投票している。
」
「霊夢が二位なのは気にいらないけど、総合で霊夢が上、魔理沙が下って事は決まったようね。
これで何者もあの博麗霊夢を超えられぬ事が証明されたわ。」
「・・・」
「ざけんじゃねぇぇー!!魔理沙を侮辱するのは私が許さん!!」
パチュリーはすばやくレミリアの懐に入る。
百年間、毎日本を持ち続け鍛え上げられた剛腕、右手の握り締めた拳がレミリアの右頬を捕らえる!!
バキッ!!
(このままッ!! 親指を! こいつの! 目の中に………… つっこんで! 殴りぬけるッ!)
メタァっ!!!
書物から得た知識をフル活用しレミリアに痛恨の一撃を入れる。
「ううっ目が目があああぁーーーー私の目がぁぁーーーーー」
レミリアが左目を抑えながら地面にうずくまりながら悶える。
「このパチュリー容赦せん!!」
「なっ! 何をするだァーーーーーッ ゆるさんッ!」
レミリアは痛む左目の痛みを堪えながらかつて親友だった少女を拳を握り睨み付ける。
(な、なんだ!!あの構えは!パチュリーの構え、いままでに見たことのない構えだ)
左腕は体に沿うように折りたたまれている。右腕は肘を直角に曲げて、振り子のように揺れている。
所謂ヒットマンスタイル。
(ふふふ、所詮はモヤシどんな工夫を凝らそうが最高の身体能力を誇る吸血鬼の前には無力)
「猿が人間に追いつけるかーッ
おまえはこのレミリアにとってのモンキーなんだよ パァチュゥゥリィィィィィーーー」
ドゴっ!!
レミリアのたった一度の踏み込みで紅魔館の強靭な床一面にヒビが走る。
「デーモンロードクレイドル !!!」
パチュリーに向かって錐揉み回転をしながら体当たり。
周囲の空気を巻き込みながら、近くに置かれたイスや机が空気圧でボロ雑巾のように変形していく。
その竜巻を思わせる破壊力は、吸血鬼にふさわしい他を圧倒する恐怖の力である。
ヒュッ! ヒュッ!ヒュッ! ヒュッ!ヒュッ! ヒュッ!ヒュッ! ヒュッ!ヒュッ! ヒュッ!ヒュッ!
パチュリーの高速フリッカージャブがレミリアの皮膚を切り裂き瞼から飛び出た血がレミリアの視界を奪う。
(無駄よ、たとえ視力を奪ってもそんな鞭のようなやわいジャブでこの勢いは殺せないわ!!)
パチュリーの折りたたまれた左腕が解き放たれる。
レミリアの勢いを利用したカウンター、最高のタイミングで正中線への高速左ストレート。
視界が赤一色にしかみえないレミリアには回避は不可能。
パチュリーの剛拳がレミリアの眉間に接触する。
(勝った!!これで紅魔館は私のもの!!)
ボキッ!
パチュリーの拳がひしゃげて折れた。
「あぎゃあああああぁぁあーーーぱああぁーー!!!」
ボキぼき!!、パッキン!ぶちっ!ポキペッキン!! グニッ!!!!
パチュリーの伸びきった腕を筋繊維や骨が変形し続け、まるで三級のアートに変貌していく。
「UREEYYYウリイイイイヤアアアッーーーー!!!!」
レミリアの体がパチュリーの体に接触し、パチュリーの体がくの字に折れ曲がる。
ドォゴゴゴォォォォーーーンッッ!!!!!
(一番二番三番四番五番六番七番八番九番‥‥全部逝った!!)
体当たりの衝撃でパチュリーの全肋骨が粉砕骨折する。
レミリアの体に生暖かいものが降り注ぐ。
もはや呻き声すら聞こえない‥‥
「さよなら‥パチュリー‥‥」
レミリアは目を擦り、かつての友の最後の姿を見上げて、
そして驚愕した。
「小悪魔‥‥」
目の前で口からカニのように血泡を吹き出す瀕死のパチュリーの使い魔がいた。
(私は真実を見ているのか‥何かの間違いではないのか)
「気付くのが遅かったわねレミィ、水と光で作り出した残像を小悪魔に被せておいたのよ。」
レミリアの背後からパチュリーの声が聞こえる。
「ばっ馬鹿なっ!!」
「おまえの次のセリフは『いつ、この私のどこにそんな隙があったんだ!!』という」
「いつ、この私のどこにそんな隙があったんだ!!」
「ハッ!!」
「(左目を潰した時よ)詠唱完了!!‥日符『ロイヤルフレア』」
弾幕ごっこの制限を越えた巨大なフレアが小さなレミリアの体を覆いつくす。
イス、机‥テラス‥‥紅魔館‥‥‥辺り一帯を巻き込み、すべてを塵に還し始める。
「このレミリアが!このスカーレットデビルがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! 」
紅魔館一部を完全に破壊し庭におおきなクレーターができた。
一人の魔女が佇む。
「このまま朝日を待てば ちりになる・・・・・・
てめーの敗因は・・・ たったひとつだぜ・・・ ・・・レミィ・・・
たったひとつの 単純(シンプル)な答えだ・・・・・・・・・
『てめーは 魔理沙を 侮辱した』」
レミリア・スカーレット
全身火傷により再起不能
小悪魔
左手、肋骨すべて粉砕骨折で再起不能
紅美鈴
庭の手入れ中、巻き添えで生き埋めになり再起不能
・
・
・
・
幻想郷上空。
「やっぱり号外を出して正解でしたね、記事のネタが自然と増えていきますよ。
さぁ、今日はまだ何か起こりそうですね。もうひと頑張り!!」
ちょっぴりだけ慌しい、そんな幻想郷のいつもどおりの日常。
おまけ
「 <幻想郷でカリスマに相応しいのはいったいだれか?>
一位:神綺
同着二位:レミリア・スカーレット、西行寺幽々子、蓬莱山輝夜
コメント
・アホ毛がカリスマっぽい(匿名)
・聞いた話、魔界の神らしい(匿名)
・神ならはるかに主人と言う種族を超越していると思う(花屋の娘)
・母は偉大である(人形遣い)
・羽が生えていて、マントを羽織ってる神っぽい(里の子供)
・子供に花を買いに来た(花屋)
・私のカリスマに敵うものなんていないわ!!(紅い悪魔)
・幽々子さまが一番の主です(庭師)
・姫にお仕えすることが私の喜びです(薬師)
文のコメント
神綺さんはたまに里に来て魔界ツアーを販売してくる。なんでも金銭的に不自由しているようだ。
このツアーに行った者は、彼女の神の力を知って帰ってくるらしい。それが口コミで広がりこの結果にな
った模様。私も一度取材に行こうと思う。彼女がほぼすべての票を集めた。
ちなみに、二位の三人は投票数がわずかに4票ずつである。
レミリアさんは、魔女、従者、門番、自分である。
西行寺幽々子は、庭師、おじいちゃん、閻魔、自分である。
蓬莱山輝夜は、薬師、兎二人?、自分である。
」
レ「咲夜、魔界に行くから準備しなさい。」
幽「妖夢、まだ見ぬ食材を探しに魔界にいくわよ。」
輝「永琳、魔界に行ってきて神綺を倒してきて、あとお土産よろしく」
紫「らーん!!私の名前がないのよ~~~しくしく。」
二人のラスボスと5面ボスにより魔界は戦火の炎に包まれた。
アンケートと、それに対する反応は面白かった。
苦労人 とかの項目もほしかったなあ。
小悪魔とか藍が入るのは確実でしょう・・・・・・・美鈴?・・・・・はて?
アンケートのコメント欄が特に面白かったです。
楽しませていただきました。