「はいカーット!!そこまでーっ」
「「ありがとーございましたー」」
撮影終了。これで第七話は収録完了だ。
全く、ここまで来るのに紆余曲折一杯経たよ。大変だったね。
でももうすぐそれも終わる。
次の連話で終わりだ。
僕の名前は森近 霖之助。
今は『どらま』の撮影なんかやってるが、
本業は香霖堂という魔法の森近くで道具屋を開いている。
最初は真面目に仕事をしていたのだけれど、
中々人気が出ない。
お客さんが来なくて商売にならないと困り果て、
なら知名度を上げればいいんじゃないかと思いつき、
今幻想郷でとれんでぃに流行っている『どらま』という物の監督をやってみることにした。
役者は知り合いの子達に頼んでやってもらったりしたのだけれど、
これが中々個性的でまとめていくのが大変だ。
だけど、最初はばらばらだった子達が、
徐々に息の合った演技をしていくようになるのを見て、
僕自身も「ああ、これが皆で一つになるという事か」と思うようになった。
「ふぅ・・・久しぶりに家に帰れたよ」
撮影中は缶詰だ。
役者の子達は家に帰れるが、監督の僕は様々な点をチェックしなければいけない。
もう七話話まで一般に公開しているので、
そろそろ感想とかファンレターが来ているかもしれない。
心持楽しみにしながら郵便受けを見ると、
思ったとおり色々と封筒や手紙がきていた。
「うーん・・・一話~六話まで色々とあるみたいだなぁ」
どれも表に『~話の感想』とか書かれているので、
区分けは難しくなかった。
「とりあえず、一話から読んでみようか」
記念すべき僕の処女話だ。
どのような感想なのか気にもなろう。
アリスのママさん――
台詞は棒読みだし表情も素のまま。
こんな茶番を見るために来たわけではない。
「むむ、そうなのか・・・確かに最初はそんな感じだったな。
これは改善されたからよしとして・・・」
ちるぬ――
あたしのでばんもつとふやせーっ!!
「せめて名前くらいは書ける様にしような・・・」
「一話はこんなものか、比較的否定的なのが多かったのはまぁ、仕方ないかな。」
二話は・・・と次の群を手に取る。
アリスのママさん――
一話に続いて各話で何をしたいのか今一意図が読み取れない。
これでは見てくれた私に対して失礼だ。
「そういわれてもなぁ」
匿名メイド長24時――
私は瀟洒なメイドなのにっ、こんなギャグキャラみたいな扱い納得行かないわっ!!
「そんな事言われても・・・」
二話も、主にアリスと魔理沙の会話を中心に、
段々と登場キャラの幅を広めていった話だから、
あんまり面白みがなかったのかもしれないな。
うん、次行こうか。
アリスのママさん――
未成年が見るに耐えない表現が有る気がする。
女の子同士でああいう風な体勢を取らせるのはダメだと思った。
それから今度から二人を描くときは私も混ぜてください。
「うーん・・・ちょっと過激すぎたかな?
でもこれが前半のストーリー展開に重要なシーンなんだよなぁ」
匿名メイド長24時――
是非とも次はお嬢様のラフ画を、ええ勿論描くのは私の役でお願いします。
「これで瀟洒なのかぁ」
みょんみょん――
私の出番、まだですか?
「もうすぐなんだよね」
みょん爺――
ワシの出番はまだかのぅ?
「もうこないよ」
三話は序盤のダメなところを結構改善したから、
そこは良かったというお便りが結構ある気がする。
それにしても、役者自身が出す手紙多いなぁ。
えっと・・・次は四話のか。
アリスのママさん――
ところで最近私の出番が少ないと思うんですがどうなんでしょうか?
「そんな世間話されても・・・」
だからメイリンですって!!――
なんでこんな役ばかりなんですか?
「実名出したらPNの意味ないよね」
四話は・・・まぁいいや、次々。
アリスのママさん――
スペルカード使えないから出番ないんですか?
「何時までも魔界にいるからじゃないかな」
寺小屋の先生――
な、なんか私が主役だなんて照れるな・・・
「いや、君は脇役」
不良もこたん――
べ、別に私主役になりたいなんて一言も・・・
いや、べ、別にいやっていうわけじゃないんだぞ?
ただ、ただそのえっとごにょごにょ・・・
「君も僕的には脇役だよ?」
月野うどん――
姫に代わっておしおきよっ!!
「・・・痛いなぁ」
五話は・・・話的には今までとスタンスの全然違うものをっていう事で作ったけど、
やっぱり二人がこの役目じゃちょっと荷が重かったかな?
はは、まぁ仕方ないよね。
「収拾つかないんじゃないか?」
っていう感想も結構あった。
うん、反省はしてるよ。次は・・・六話だね。どんなかな。
アリスのママさん――
出番の為なら私、身体でも・・・
「僕、こう見えても幼女には興味ないんだよね」
素敵な巫女さん――
正直読んでいて単調に感じたわ。
もう少しひねれないものかしら?
「むむ、耳が痛いな。単調・・・か」
グレート・ONI――
一話一話完結させずに流すのはやめたほうがいいよー?
正直見てて
「なんだまだ続くの?引き伸ばし必死だね?」
みたいに思えるよ?
後宴会やりたいから明後日着なさい。
「宴会はともかく・・・そうか、引き伸ばしだと思われてるのか。
気をつけないと・・・」
あきゅきゅん――
文体や内容はともかく、
今一学園モノの設定を活かせていない気がします。
この辺りで運動会とか遠足とかやってみてはどうですか?
「ふっ、実は僕もそれを考えていたのさ」
六話は、それまで以上に否定的な意見が多かった。
マンネリ化というのは恐ろしい。
色々と工夫してみたつもりだけど、
もっと色々と考えないとだめだと思った。
「ゆうびんでーーーっす!!」
丁度読み終わった所で、かわいい女の子の声でそんな言葉が聞こえた。
ブォンッ
「うぉっ・・・っと、あぶないなぁ」
超高速で飛んでくるはがきに鼻先を切られる。
当たり所が悪かったら命もとられていたかもしれない。
「・・・手紙受け取るのに命がけってどんな環境なんだ」
ため息をつきながら、飛び込んできた何枚もの手紙を見る。
「ふむふむ・・・もう七話の感想がきたんだ。皆仕事早いなぁ」
視聴率は結構高いんじゃないかな?
これで僕のお店も大繁盛になるといいんだけど。
「どれどれ・・・」
アリスのママさん――
最近アリスが帰省してくれません。
「もうこれ感想でもファンレターでもないよね?」
素敵な巫女さん――
だからテーマとかつけたほうがいいってこれ。
私が大成功収めて大金持ちになる話とか。
「テーマ・・・うーん、テーマかぁ・・・
それはあるにはあるんだけど、
まだ前面に出せないと言うか・・・うーん」
寺子屋の先生――
あれ?私と妹紅の楽しい日常の話はどこに・・・
「ヒント:予算の都合」
あきゅきゅきゅきゅん――
何話までやるつもりなんですか?
見ていて何話くらいで終わるのか予想が付きません。
面白い面白くないの以前で。
というか私を出さないってどういう事ですか?
「ああもう皆なんで出番出番言うのかなっ」
七話を流し終わって感想を見、今後の方針は決定した。
それまでただどうしようかとその場その場で話を作り、
ただただ迷走していただけだったけど、ある意味踏ん切りがついた。
感想を寄せてくれた彼女達には感謝しないといけない。
「さて・・・やるかっ」
そして僕はまた、舞台へと向かう。
「よし・・・それじゃ皆、僕の今の気持ちを・・・
全て演じてもらうよっ」
役者達に様々な指示を出し、
どらまは完成していく。
そう、この奇想天外な、見る者誰もが想像だにしなかった話だ。
これこそが、僕の作り上げた話なんだ!!
この話を流し終えて、一体どんな感想が届くだろうか?
「予想外でした。最後までどうなるかハラハラしてました」
とか
「香霖監督すてきーっ
私とつきあってーっ」
とか言われてしまうかもしれない。
そうなればもう、僕の魅力で香霖堂は大繁盛だ。
僕が見た、というだけで数々の謎の多い道具達は飛ぶように売れるだろう。
「ふ・・・ふふふ、楽しみだな。幻想郷全体が僕の色で染まる時代がきたんだっ」
明日からが楽しみだ。
そう思い、くたくたの身体を休めるため、床に就く。
どうやら幻想郷に一つの異変が起きたようだ。
森の入り口にある変な道具屋が突如として消滅し、
道具屋の店主だった男は行方不明になった。
誰の仕業かは不明だが、
店主は前日まで流されていた『どらま』なるものの監督を兼任しており、
その撮影に関する事で何か揉め事があったのではないかと推測されている。
異変解決の専門家である博麗の巫女・霊夢女史は
「これでツケがチャラになったわね」
と冷静に対処し、
多少の異変で一々動ずる事のないように里の人間達に注意を呼びかけている。
また、比較的親しい友人らしい森の魔法使い・霧雨 魔理沙は
「え?あ、あー、こ、香霖か?
あいつならそのなんというか・・・うん、きっと旅に出たんだろっ」
等と、言葉を濁されてしまった。
言動だけでなく動向もやや挙動不審な部分があり、
もしかしたらこの一件に何らかの関与をしているのでは?
との声も若干出てきているが、本人は当然の様に否定している。
尚、この前後で以前幻想郷を騒がせた紅魔館の住民、
レミリア=スカーレットを始めとする四名が旅行に出かけており、
一部では異変の最重要参考人と考えられているが、
それは事実無根であるとの説もあり、
当社の社説の中だけではいかんとも決めがたい。
どちらかというと、
館の外にフランドール=スカーレットが出てくるようになって、
そちらの方が大変よと霊夢女史は嘆いていた。
異変そのものに関しては被害人数もそんな多くないし、
もう記事に取り上げることは無いかもしれない。
(毎曰新聞記者・射命丸 文)
―――ただ香霖をオチに使って笑いを取りたかった。
(本当に完)
頂いたコメントを文章中でキャラに言わせたりしている点など、正直疑問です。
他にも書きたいことはありますが、相応しく無い文章になりそうなので割愛させていただきます。
その事を書くのを完全に忘れていました。
感想を勝手に転用したことに関しては、
感想は真摯に受け取った上で、だけれど構成上必要だと思い、
キャラの名を使わせてもらい転用させてもらいました。
叱咤を受けたことへの嫌味やひねくれた考えた末ではなく、
本当にこれらの事はありがたいと思っています。
そこは理解していただけると助かります。
転用に関しては勿論無許可ですので、迷惑だと思った方、
大変嫌な思いをさせてしまったかもしれませんが、申し訳ありませんでした。
一話の後書きで学園物をやりたいと言ったのですから学園物として終わらせるべきでしょう。
あんたの作品に使ってもらうためにコメント書いたんじゃねえんだよクソが。
前回から一週間も経たない内に完結させましたか。早いですね。でも中身が最悪です。夢オチ以下の楽屋オチとは、確かに意表は突かれた。だが感心も感動もしない。しようがない。
何故、何故一週間、二週間、あるいは一ヶ月以上でも時間を掛けて、自分に書ける最上を求めようとしないのか。あんたはただ逃げてるだけだ。否、逃げてすらいないな。
あんた、読者と向き合ったことがあるのかい?
読者のために作品を書いたことがあるのかい?
目に見えない読者の存在を意識して、彼ら彼女らを楽しませるために書くのが小説家だよ。プロもアマも関係無ェ。あんた、「少しでも笑わせられたら」みたいなこと書いてたが、読者を笑わせるための文章を書いてきたのか? 自分が面白いと思っただけの文章を、そのまま創想話に投稿していたんじゃねえか? あぁ? 自己満足の作品しか書けないなら、二度と自分のサイトから出てくるな。好き好んであんたのサイトを訪れる人間は、誰もあんたに文句を言わない。だがここは創想話だ。不特定多数、数百人の読者が存在する場だ。数百人の読者の内、一人でも多くの読者が感動する文章を書けよ。書けなくても、書こうとしてみろよ。
ただの凡作ならこんな長文は書きません。まさか自分のコメントに対して、こんな馬鹿らしい使い道を思いつかれるとは夢想だにしませんでしたので。
最後に一言。心底失望しました。
とりあえず、お茶でも飲んでのんびりしてから投稿しましょうよ。
色々言われすぎると混乱するのも分かります。はやる気持ちも十分理解できますが、
まだ前回の投稿から1週間もたっていないのですし、その場の思い付きをそのまま文章にしても成功するとは限りません。
もう少し間を置いて推敲を繰り返し、自分の作った者が界隈の人間にどのような感情を与えるかを熟考してもよかったんじゃないですか?
感想転用に関しては、悪気はなかったと信じていますが、物凄く危うい橋を渡ったことを認識して下さい。
感想を書いて下さった当事者ならば、一読しただけだとまず嫌味だと判断してしまうと思います。
そして人によっては逆上しその後もう冷静な分析をしなくなることは、十分に予想できることです。
それから、連載形式に関してですが、やっぱり私は創想話では連載という形式はなかなかに難しいのではないかと思っています。
例えば少年漫画誌や文芸誌などの連載欄は、通常大きな賞や読みきりで何度か結果を出した実績のある作者にのみ初めて許される枠で、雲霞のごとくいる作家候補達は数少ないこの枠をめぐってしのぎを削っているわけです。
ところが、創想話は有志の方のご好意による同人のためのスペースですから、そのような選別制度自体がそもそも存在しません。
ですから、多くの人は世間一般に流通している前述の連載形式に対する先入観から、連載というものは、それなりに実績がありまた実力をそなえていて、充分大勢の読者の期待を得ている者だけに許されるのだ、という固定観念を持っていてもおかしくないのではないですか?
そしてあなたは連載形式をとった理由として、後書きで「こういうオチをやりたかったから」と書かれました。
それを読んだ人たちは、この楽屋オチをやりたいがためだけに、作品を何話にも分割し、その都度読者の感想を拾い、最終話のネタ集めをしていたのか、と考える人がいないと言い切れるでしょうか。
つまり、真摯な態度であなたの向上心に答えようとしていた我々をダシに使ったのか、と。
それは読むものの邪推に過ぎないのかもしれないですが、一人にでもそう思われてしまったら、結局のところ、その人はそう思うのです。作家は内容ですべてを判断されてしまうのですから。
一連の成り行きから、おそらくはあなたはかなり若い方なのではないかと勝手に想像しています。
あなたが純粋に東方好きな方だということも、リンクからサイトなど拝見させていただいたので良く分かりました。
そして偉そうに取り繕わずに言わせてもらえば、文章力も発想力もそれほど捨てたもんじゃないと思います。
率直で、テンポが良く、読んでいて気持ちよくなる部分があります。
だから私はあなたの次回作に期待しています。あなたの素直さが良い方向に向くことを信じています。
(長々と駄文を書き連ねて本当に申し訳ありません。今書いたことはほとんど作品に関する感想ではありませんので、削除されるかどうかは管理人の方の判断にゆだねます)
ごめんね、おじさんにはとても状況判断が得意そうには見えない