「と言う訳で明日から文化祭よ~ん」
「「「はぁ!?」」」
朝のホームルーム。
何時もの様に入り口以外の場所から入ってきた八雲先生は、
こんなトンでもない事を言ってくれた。
「が、学園祭とは違うんですか?」
「違うみたいね~
なんかやれることの自由度が学園祭よりもあるみたいよ?」
因みにうちの学校は学園祭なる行事もある。
というかこの間やったばかりだ。
だから余計に混乱してしまう。
「ちょ・・・何だそれっ」
「全然聞いてないですよ!?」
当然、クラス中がざわめく。
「えーだって仕方ないじゃない。
伝える暇ない位決まったのが最近の話なんだもの」
言い出した本人もぶーぶーと子供みたいな事を言う。
ていうか大丈夫なのかこの学校。
「夕べ一緒にお酒飲んでたらいきなり閻魔校長が
『勉学とは学問を修めるだけにあらずっ
共に触れ合ってなんたら~』
とか言い出して、そのままずーっと熱く熱く語りまくってたのよ?
ほんと勘弁して欲しいわ。妖怪でも徹夜は疲れるっていうのに」
先生、夕べから付き合わされてたのか。
今までよく起きてられたなぁ。
「しかも居眠りしたら棒で叩かれてお説教されるし」
長引いたの、それが原因じゃないのか?
「ふぁ・・・私は一日に12時間睡眠なのー
とにかく、そんな訳だから、後は藍に任せるわよ。
も、適当にやって・・・ぁふ・・・おやすみなさぃ」
なんて、ろくに指示も出さずに自分の世界へと引きこもっていった。
第7話[東方式文化祭]
「・・・どーするんだ」
先生の代わりに現れた藍は、
特にやる気もなさそうにさっきから何かの本を読んでいる。
一家揃って役立たずだぜ・・・
「ていうか文化祭って何?」
アリスの質問に、だが皆ふるふると首を横に振る。
全く誰も見知らぬ言葉だったらしい。
そういえば学園祭の時も同じ反応があったな~
あの時は担任が説明してくれたからわかったけど。
「祭っていう位だから何か祭るんだろ?
学園祭と同じに考えたらダメだよなやっぱ」
誰かが言い出す。
「でもそういうのって良く解らないよね」
確かにそうだ、と皆頷く。
「面倒だから狐でも祭るか?
そこに丁度良いのが居るし」
じ、と見る先は教卓。
本人は全く気づいていない。
「な、なぁ藍、ちょっといいか?」
「ん?何だ。何にするか決めたのか」
話しかけて初めて反応があった。
読んでいた本をそのままに、顔だけこちらを見る藍。
「ああ、私達はその、祭っていう事らしいし、
ならその通りに何かを祭ろうかと思ったんだけど」
「は、何だそれは。ああそうか、文化祭そのものを知らないのか。
なら丁度良い―――」
「そう、丁度いいんだ」
「?」
「お前を・・・・・・祭らせてもらうっ!!」
「シャンハ~イ」
「ホウラ~イ」
言うと同時にアリスの人形が藍の腕を両脇から掴む。
「コインいっこじゃ貞操も守れないのさっ」
「は!?何言ってるんだこらっ、
おい離せっ、
お前らやめっ、うわっ、あぁぁぁぁぁっ!!!!!???」
「・・・・・・ふぅ、思いのほか手間取ったぜ」
暴れる藍にブレイジングスターをかまし、
倒れたところをなんとか拘束する。
きゅ~、と気を失っている藍に、
少し悪い事をした気分になるけど気にしない。
「それで、祭るってどうやるんだ?」
「・・・さぁ?」
え・・・気絶させ損なのか?
「・・・どうするんだこれ」
「「「どうしよう」」」
うーん、と唸る。
そりゃないぜ。
―――文化祭当日―――
「うわ・・・すごいなぁ・・・学園祭のときとは大違いだ」
学園祭の時なんて外部の客こないし、
皆やる気なさげ~にゆるい事ばっかやってたけど、
外部の客が来るってなると皆元気だなぁ、と思わされる。
朝着てみれば門には巨大なアーチが。
庭には凄まじい数の屋台が。
そして何より幻想郷ってこんなに人居たのか?
っていう位に人から妖怪から色々と集まっている。
こんなに人が集まっているのは見たこともない。
すごいなぁ文化祭。
「うちの神社でもやらないかしら・・・
これだけ人が着たら、きっとお賽銭もどっちゃり・・・
はぁ・・・いいわ、祭。うふ・・・うふふふふふ・・・」
霊夢、それは夢を見すぎだ。というか不気味だ。
「ところで、あんたは何でこんなところでぼーっとしてるのよ。
クラス単位で何やるか決めたんじゃないの?
まぁほとんどはあんな風に屋台ばっかり出してるみたいだけど」
ああ、どのクラスもやる事他に無くて屋台になったのか・・・
それにしても色々とある。
「へ~、だからか。
でもすごいな、カキ氷屋に八目鰻屋は良いとして・・・
うわ、おいあれ見ろよ霊夢」
「ん~?あら、あれは・・・咲夜じゃない」
見れば必至の形相で焼き蕎麦を焼いている。
「・・・台無しだな」
「・・・台無しね」
――見なかったことにしてやった方が良いのかもしれない。
「それで?」
「うん?」
「質問に答えてない」
「ああ、うちのクラスね。うちは・・・祭りさ」
「はぁ?」
「ま、見てのお楽しみ。乞うご期待、だぜ。
それでさっきから宣伝して回ってたんだ」
「ふーん、なるほどね。
まぁ、良く解らないけど気が向いたら行くわ。それじゃね」
「ああ、またなー」
遠ざかっていく霊夢。
私はそれを見送り、また別の方角へと向かって
「二年一面白い出し物は2Fの突き当たりの教室だぜーっ
是非とも皆きてくれーっ」
宣伝を始めた。
「む・・・むぅ」
他の屋台より少し小さめの屋台の前に、
見慣れた羽をつけた後姿があった。
近寄ってみていると、うんうんと唸っている。
「あらレミリア、どうしたの?」
気になったので声を掛けてみる。
「あら博麗先生・・・ちょっと、これを・・・ね」
「ん?金魚すくい?」
「手が・・・手が触れると危険で」
なるほど、流水はタブーなのね。
「それにしても・・・吸血鬼に金魚すくいって変な組み合わせね」
「わ、私にも意地がありますっ
紅魔館500年の歴史の中に、
金魚如きに敗北するなんて事象は認められないわっ」
そう言ってすくい紙を入れるも、かすりもせず紙は破れてしまう。
金魚一匹に翻弄される悪魔・・・滑稽を通り越して不憫に見えるわ。
「くぅっ・・・店主、も、もう一枚よっ」
「はぁ、仕方ないわ、ほら、貸してみなさい」
「え?あ・・・」
近くに置かれていた皿を片手に、
レミリアから奪ったすくい紙を持ち水面を見つめる。
「んー、どれが欲しい?」
「あ、いえ、そんな、私が自分でやらなければ意味がありませんっ」
「まぁそう言わずに」
「で、ですが・・・」
「いらないの?」
「・・・そこの血の様に赤くて小さいのを」
「これ?」
パチィッ
水面に上がってきたその小さな赤い金魚を、
力をこめず、誘導するように水を扇ぎ、そ・・・と皿に入れる。
「はい。たまには熱くなるのもいいけど、程ほどにしなさいよー」
「え・・・あ・・・・・・」
ぼーっとしているレミリアに、とりあえず金魚の入っている皿を渡し、
その場を去った。
「はぁ・・・はぁ・・・
お、お嬢様っ、ご所望の焼き蕎麦を焼いてまいりましたっ
十六夜 咲夜、渾身の出来ですっ」
「咲夜・・・」
「え?はい?」
「・・・焼き蕎麦、いらないわ」
「そ、そんな・・・がーん・・・がーん・・・がーん・・・がーん・・・・・・」
「私は・・・あの先生が欲しいわ」
「そ、そんなお嬢様、お気を確かに!?」
「お黙りなさい。あ、あとこの子を屋敷に。
大切に扱うのよ。私の妹だわ」
「こ、この金魚がですかっ!?」
「そうよ。そうね・・・フランドールとでも名づけようかしら。
ふふふ・・・」
「ふぁ・・・あ~、良く寝たわ~
ってえぇぇぇぇ!?
藍?何やってるの!?」
何故か巫女装束を着せられ、十字架に貼り付けられているMy式神。
そしてその前にはお賽銭箱らしき物体と跪いている沢山の人達が。
・・・何この光景。
「うぅぅぅ・・・・・・紫様・・・助けてください」
とにかく、寝起きでぼーっとしている私の頭に、
その姿は目覚ましどころじゃない衝撃を呼んだ。
「・・・藍。あなたそういう趣味が」
とりあえず自分で納得できる理由で片付けることに。
「ちょっ、紫様までなんてことを!?」
「そういうのが好きならそう言ってくれれば・・・
そうね、私ばかりフリフリした格好してたけれど、
あなたも着たかったのね。
悪い主人だったわ・・・許してね藍」
「ちがっ、ていうか何ですかそれっ
助けてくださいっ、
なんか変な人達が私の事『救世主様~』
とか言ってさっきから崇めてきて減らないんですっ」
「そう、ならきっとあなたが北斗の者なのよ」
「なっ、で、ですからっ」
「ほんと主人として鼻高々だわ~
それじゃね」
「なっ、紫様っ、まっ、待ってくだ・・・あああもう離れてっ、
いやっ、近寄るなぁぁぁぁぁっ!??」
挙句にはお地蔵様みたいにありがたげに触られてたけれど、
ご利益なんてあるのかしら?
とりあえず関わりたくないのでその場から離れようっと。
その頃、他の人達は―――
「う、うぅぅぅぅ・・・・」
「ひっ・・・パチュリー様どうしたんですか?」
「ああ小悪魔・・・最悪よ。最悪だわ」
「ええ?」
「折角頑張ったのに・・・夏休みも宿題無視してがんばったのに・・・
上白沢に頭突きされても頑張ったのに・・・」
「あの・・・何が・・・?」
「発禁・・・」
「へ?」
「18禁はダメってどういう事なのよぉぉぉぉげふっ、こふっ――」
「ああっ、パチュリー様がっ、だ、誰かお医者様をーーっ」
「ふふふ・・・あーっはっはっはっはっ
きたわっ、とうとう『アトリエ輝夜』の勝ち鬨がきたわっ
れーせんイナバっ、早くっ、早く早く早く私の可愛い売り物達を並べなさいっ」
「あの・・・」
「何?どうしたの?早くしなさいな」
「本・・・全部燃えたんですが」
「・・・・・・え?」
「昨日・・・姫が藤原様と弾幕ごっこをなさっていた時にその・・・
倉庫に飛び火して・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「もう学校なんてこない・・・」
「ああっ!?ししょーっ、姫がまた引きこもりにっ」
「手遅れね」
「見捨てたし!?」
「はぁ・・・
いいなぁ、こんなに人が一杯でどうしようって思ったけど、でも面白い。
お祭ってこんなに楽しい事なんだ・・・」
魔界には祭らしきものはなかった。
文化祭っていうのがどんなものなのかわからなくて戸惑ったけれど、
でも、クラスでやってる事も楽しいし、
魔理沙と一緒に他のクラスの出し物を見て回ったのも楽しかった。
何より、来た人も、居る人も、
皆笑っていたのが、自分で笑わせたわけでもないのに、とても嬉しい。
これが祭だというのなら、こういうのも良いかも知れない―――
「あのっ」
ぽーっと、一人屋上で人形達と一緒に人ごみを眺めていると、
突然そんな声が聞こえて、はっと現実に戻される。
「・・・・・・私?」
「そう、あなた」
「あなたは・・・?何か用なの?」
とても背の低い女の子だった。
下級生みたいだけれど、
もしかしたらまた上級生なのかもしれないし、
外見だけでは判断がつけられない。
「私、中等部二年のメディスン。
メディスン=メランコリー」
「そう、私はアリス=マーガトロイト」
「知ってるわ。正確にはあなたじゃなくて・・・
その、そっちのかたに・・・用が・・・」
「・・・・・・?」
メディスンと言う子が指差す方向に居るのは・・・
「・・・上海?」
「エ・・・?ワタシ?」
「そ、そうですっ、あのっ、ですねっ、そのっ・・・」
「は~疲れた~
アリスどこに行っちゃったんだろうなー」
もうすぐ文化祭も終盤だと言う。
最後には校庭でチークダンスだか盆踊りだか・・・
とりあえず踊るらしい。
どんな祭なんだこれ、といった感じだけど、
とりあえず相手が必要な踊りなら、
友達としてアリスと一緒がいいかなぁなんて思って探していた。
べ、別にアリスじゃないとダメっていうわけじゃないけどなっ
霊夢も居るしっ
「屋上・・・か」
なんとなく色々と探し回っても見つからず、
ふと、アリスなら皆と騒ぐのより、
人目のつかない所で皆が楽しんでるのを見て楽しんでるかな、
なんて思った。
「そこはかとなく失礼な勘だよな・・・まぁ行ってみるか」
居ないだろう。
そう思って軽い気持ちで扉に手を掛け、開ける―――
「付き合ってください!!」
「・・・・・・え?」
そこには、予想外にも勘の通りに居るアリスと、
誰なのか解らない、なんかちっこいのが居た。
まて、今何て言った?
付き合ってください?
誰とだ?
言ったのはこのちっこいのだよな?
なら、相手は・・・
相手はアリスしかいないじゃないかっ!?
「あ、魔理沙・・・」
アリスはこちら側を向いていたのですぐに気づいたのだろう。
だけど、私は―――
「は・・・ははは・・・わ、悪い、邪魔したなっ」
「え?あ、待ってっ!!」
バンッ
その顔を見ることが出来ずに、ドアを強く締めそこから走り出してしまった。
(続かせる)
やめておけばよかったといまさらながら後悔しております。
というのも、あなたがまさかそのままの物を投稿してくるとは思いもよらなかったものですから、
実はそのあたりについて曖昧な表現をしてしまったこともあり、大変申し訳なく思っております。
前回私は学園物の設定を活かしきれていないという内容のことを書きましたが、
それよりもおそらく創想話の読者の方々は作品の内容よりも、
分割連載という形式の方を不満に思っているのではないでしょうか。
完結していない話を何話も投入されること自体が気に食わないという方が結構いるのではないかと思います。
連載形式にすると、作品集のスペースをそれだけ余計に食いますし、例えばこの作品にしても、
全部書き溜めてから一度に投稿した方がもっとまともな評価を得られたのではないでしょうか。
この点数については、内容については時間をかけた分、良くなったと思いますし結構楽しめました。
フラン金魚扱いかよwってところでクスリときたのでそれについてということで。
長文な感想の上、失礼極まりないことばかり書き連ねてしまい、大変申し訳ありませんが、
何かの足しになればと思い書かせていただきました。
とにかくまずはテーマをはっきりとさせておくことが重要と私は考えます。
マリアリの恋愛がテーマならばとにかくそれを中心においた話のつくりにすべきだと思います。なぜならSSは現実的に短くきれいにまとめないとグダグダになるし、第一書いていて飽きるからです。もこたん話は収拾をつけるのが難しいのではないかと思いました。全体的に大雑把なあらすじを意識すべきでしょう。多分既に意識してはいらっしゃると思います。
例えば私だったら…
1)アリスと魔理沙出会う。友達として仲良くなる。恋の予感
2)時間が経過、二人の仲が深まる。お互い恋人としては意識せず。
1と2はプロローグなので時間をかけずあっさり書きます。
3)いつの間にか二人のうちどちらかがもう一方を好きなってしまう。私だったらたぶん魔理沙が惚れてしまう役になると思います。なぜならアリスの方が立場が下なので、アリスから惚れてしまうと唯でさえ低い立場がより低くなって卑屈なかんじを受けるように思うからです。魔理沙なら「カッコつけて居たいんだけど、なりふりかまっちゃ居られないくらい好きなんだッ!」って情けない感じがして、いい味出してくれそうです。東方ではレズは当たり前ですが、あえて「同じ女の子なのに好きになっちゃって、私は変態だったの?」てな感じで悩む魔理沙とかいいかも…この時期が話の中心で、一番長く時間をかけて書きます。臆病な魔理沙と、性的にも常識人で鈍すぎるアリスと、じりじりした関係で読者を悶死させます。
4)何かの弾みで急展開、一挙にパッピーエンドへ!恋人同士にはあえてしなくとも良いかもしれない「まだ友達同士、その続きは二人の今後の課題です」みたいな感じで終わらせても良いかも。
とまあこんな感じで大筋を決めてから、ここに肉付けする感じで二人以外の登場人物のエピソードを入れてみるとかどうでしょうか。これだけでも結構長くなりそうですね…途中で書くのが面倒になりそうかも…。外野から色々すみませんでした。
内容的に成長していないというのではなく、姿勢として成長が見受けられないように感じました。前回、『連載形式に甘えるな』と書いたものです。以下、作品内容の感想ではない文章を書くことを御容赦下さい。
斎田さんは、この『魔理沙幻想曲』を何話まで書くのか考えておられるのでしょうか? 作品を読む限り、こち亀やサザエさんのような、気分次第で半永久的に続くようなものにしか見えません(前回もこんなこと書きました)。その姿勢が、創想話において好ましいものではないということを伝えておきたいのです(こんなこと言う権利は私になく、また、斎田さん以外にもそういう人はいるのだけれども)。
一番伝えたいことを、一言だけ。――完結している話を読ませてくれ。以上です。
(このコメント消されるんかなー……)
何度も書かせてしまって申し訳なかとです。
学園っぽいの書くのばかり考えてて一話一話終わらせるのを盲失してました。
そしてありがとうございます。
あんまり成長見られない奴の為にここまで書いていただけるのは、
文章書きとしては至れり尽くせりだと思います。
「こんな事言っててもうわべで言ってるようにしか見えないよ」
と言われないように次のは完結した話を書きます。
ある程度全体の構造はできてきました。
唐突に全く違う話が浮かんだのでそれはとりあえず別の話という事にして一応無視しました。
なんとかもう少しかけて綺麗にまとまるようにしたいと思います。
感想どうもありがとうございました。
創想話的にあれってなら氏のページとかでだらーんとおいてほしいようなw