この作品は作品集その39の
『月が丸い夜の日は、慧音ごっこ』
と、若干・・・少しだけ関わりがある部分があります。
全体的には続編でも何でもないので、
この話だけでも十分読んでいただけるかと思われます。
ただ慧音ごっこを読んでいただいた方には、より深く読むことができる・・・程度の能力がつきます。
本編はお手数ですが少し下のほうにスクロールしていただければ始まります。
永遠亭
竹林の中に、それはある。
月のお姫様が住んでいるのだが・・・それはあまり知られていない。
大抵の人は、薬屋として永遠亭の名を知っていた。
「さぁ、それじゃあそろそろ開店だけど、店番はあなたたちに任せたわよ」
永琳はうどんげとてゐにそう告げると、永遠亭の奥へと入っていく。
どことなく急ぎ足のようだった。
「永琳様、今日も急がしそう・・・。薬の調合とかしないといけないんだろうなぁ」
てゐは急ぎ足の永琳を見ながらつぶやいていた。
「それもあるけど・・・輝夜様のお相手もしないといけないみたいだからね。ほら、昨日も泣きながら帰ってきたじゃない」
それは昨晩の話。
以前した鬼ごっこは心臓に悪いとうどんげが猛反対したので、
輝夜はいつもどおり妹紅のところへ殺し合いに行っていたのだが、
背中に火傷を負って帰ってきたのだ。
死なない身体とはいえ、痛いものは痛いらしい。
なので永琳は輝夜の看病に手を焼いていたのだ。
「永琳様も大変だね~・・・」
「師匠・・・」
てゐとうどんげは永琳のことを思ってはため息ばかり吐いていた。
「ゴホゴホッ、すいません~・・・」
と、そこへアリスがやってくる。
どうやら風邪を引いている様子であった。
「いらっしゃいませー」
てゐがアリスに応じ、うどんげはアリスを見るなり風邪薬を探していた。
「風邪を引いちゃったみたいで・・・。ゴホゴホッ、風邪に効く薬はないかしら・・・?」
「はいはい、薬ならなんでもありますよ~」
うどんげが棚の奥から、薬らしき箱を持ってくる。
てゐがそれを手に取り、アリスに薦める。
「一般的な風邪でしたら、これが一番効きますよー。寝る前に飲んで朝起きればスッキリです」
「あ、ありがとう・・じゃあそれを頂こうかしら・・・」
「あっ!今なら3つセットでこのお値段ですよ!」
「え・・?でもそんなに薬があっても・・・」
「普通に3個買うよりも格段に安いですよ~」
「え・・?え・・・?うーん・・そうね、それじゃあ3つ頂いていくわ」
「ありがとうございましたー。お大事に~」
てゐは終始笑みを絶やさずにアリスを送っていた。
もちろん、てゐとアリスのやりとりをうどんげはずっと見ていた。
「てゐ・・・あんたね・・・」
「幻想郷って風邪引く人なんて滅多に居ないし、風邪薬は余っちゃうから・・・つい・・・」
「ついって・・・」
「でもアリスだしいいんじゃないかな?アリスもあんなに喜んでいたし」
「それもそうね」
うどんげが言うには、てゐには詐欺に関して天賦の才があるだとか。
何も知らない客を哀れむうどんげだが、てゐの口車にいつも乗せられてしまう。
それでもなんだかんだ言って、てゐのお陰で財政的には大助かりのようだ。
アリスが帰っていって、落ち着くや否や次の客がやってくる。
「失礼します!」
「いらっしゃいませ~」
やってきたのは妖夢。
それも、結構急いでる様子だった。
「亡霊に効く腹痛止めとかはないでしょうか?」
「えっ、霊に効く腹痛止めですか・・・ちょっと調べてみます」
うどんげはいまいちピンとこない様子で、薬を調べる。
その間、てゐが妖夢の相手をする。
「何かあったんですかー?」
「幽々子様がお昼のご飯を頂いてから腹痛を催していて・・・」
「うーん・・・食中毒か何かかなぁ?」
「私も庭に居たので、よくはわからないのですが、気づいたらお米が一升近く無くなっていました」
「あー・・ただの食べすぎですね」
お米の一升というのは軽く10人分の量はある。
それを一人で食したというのだから、腹痛になるのも無理はない。
何よりも亡霊がすることではないと思われる。
それでも原因が食べすぎだと分かったので、一応うどんげは腹痛止めの薬を探し続ける。
しばらくすると、亡霊にも効くのかはわからないがうどんげが薬を見つける。
うどんげから薬を受け取り、てゐが妖夢に渡す。
「はい、ありましたよ。万能って書いてあるからたぶん亡霊にも効くと思います」
「かたじけない・・・。すぐ幽々子様のもとへもっていくとします」
「食べすぎには注意って言っておいた方がいいですよ」
「・・・幽々子様は腹痛にうなされながら、後1杯、後1杯と言っていたので、たぶん聞いてくれません」
「それは・・・。胃薬もつけておきましょうか?」
「うーん、腹痛になること自体珍しいことなので。たぶん大丈夫ですよ」
「そうですか、また腹痛で倒れたりしたときに来てもらえれば、薬は出しますよ~」
「そのときはお願いします。それじゃあ長くならないうちに幽々子様のところへ戻るとしますね」
「お大事にどうぞー」
妖夢は急ぎ足で薬をもち帰って行った。
「妖夢も大変みたいねぇ・・・」
うどんげは妖夢を見ながらそう思っていた。
「なんだか永琳様みたい。輝夜様のために四苦八苦してるあたりが・・・」
てゐがそう言うとうどんげもそれに同意する。
永琳と妖夢だと似ても似つかないが、主人のためにがんばっているところは同じなのだろう。
と、そこへ新たに客がやってくる。
「失礼する」
やってきたのは慧音のようだ。
「いらっしゃ・・・ひっ!」
慧音を見るや否や思わず足がすくむうどんげ。
うどんげにとってはそれは無理も無い話である。
以前、慧音等と鬼ごっこをしたときの記憶がうどんげの頭をよぎったのである。
「やれやれ、まだ気にしていたのか。ほら、今はハクタクじゃない。ただの人間だ」
「あ、すいません・・・。大丈夫です」
うどんげは慧音が軽いトラウマになってしまっているが、それでも客には変わりないので応じ続ける。
「今日はどうしたんです?」
うどんげに話を切り替えされ、目的を思い出す慧音。
「ああ、実は妹紅が昨晩から腰を痛めてるらしくてな。何かないだろうか?」
輝夜同様に、妹紅も無事ではなかったようだ。
いつも殺し合いをしていれば、腰でもどこでも痛くなるのは当たり前のようだ。
不老不死も不老不死なりの苦労があるのだろう。
てゐが薬を探してる間に、うどんげは慧音と話を続けていた。
「そちらもですか・・・。輝夜様もなんですよ。辛いのなら殺し合いなんてしなければいいのに・・・」
「まったくだ」
うどんげも慧音も半ば呆れ気味につぶやく。
その時、奥から輝夜の声が聞こえてくる。
「妹紅もいい様ね~!・・あっ!いたたたたっ、永琳、もうちょっと優しく看病してもらえないかしら」
「そうしたいのは山々ですが、火傷治しを塗っている時はじっとしててください」
そして再び奥が静かになる。
「そっちも大変だな・・・」
「はは・・は・・」
慧音の哀れみに、笑うしかないうどんげだった。
「ありましたよ~。塗り薬と湿布がありますがどうします?」
てゐがそれらしい物を持って、慧音のもとへ戻る。
「そうだな、両方頂いておこう」
「はいはいー」
てゐが薬を包み慧音に手渡す。
そんな時また奥のほうから輝夜の声が聞こえてくる。
「あははは、湿布って・・・、妹紅が湿布・・・あははは」
何がそんなに面白いのかはわからない。が、うれしそうだ。
「まったく、姫様も人のこと言えませんよ・・」
まったくもって永琳の言うとおりであった。
「ま、私はそろそろ行くとしよう。薬を早速妹紅のところへもっていくよ」
「またどうぞー」
慧音を見送ると、てゐとうどんげは一息つくことにした。
永琳も輝夜の看病がひと段落したのか、奥から出てくる。
輝夜も、奥で今はゆっくり休んでいるらしい。
「二人とも、悪いわね。店のほうをまかせっきりで」
「そんなことないですよ、師匠。師匠のほうこそお疲れさまです」
うどんげとてゐにお礼を言うなり、永琳は薬の減りに気づく。
「今日もお客さんがそこそこ来ていったみたいね」
「あ、そういえば。万能と書いてあった腹痛止めって亡霊にも効きますよね?」
「え?ええ、効くと思うけど。亡霊が腹痛になること自体、聞かない話だから何とも言えないわね」
「そうですよねぇ・・・。例によって白玉楼の幽々子が食べすぎで、遂に腹痛で倒れたみたいですよ」
「そうなの・・・。亡霊も腹痛になる。いい資料が手に入ったわ」
永琳はあらゆる薬を作る程度の能力を持っている。
なので、彼女の手にかかれば恐らくどんな薬も作り出せるだろう。
その気になれば、その症状を完全に治す薬とかも作れるのだろうけども、
どんな薬にも悪い効果をもたらす副作用があるので、
副作用が少なく効率の良い薬を彼女は作ってるのだろう。
輝夜はそれを理解せずに、永琳の薬は効き辛いと騒ぐときがあるらしい。
「さて、そろそろ店を閉じましょうか」
「えっ、もうですか?」
永琳が店をしまうといい、時間を見てうどんげが驚く。
時計の針はちょうど夕刻を指していた。
「もうって、そろそろ晩御飯の支度しないと晩御飯が遅くなってしまうでしょ。そうなると姫様がまた・・・」
「あ、そうですね。晩御飯の支度なら手伝いますよ。ねぇ、てゐ?・・・あれ?」
そこにてゐの姿は無かった。
面倒なことが嫌いだったてゐは、恐らく晩御飯になるまで出てこないであろう。
まさに脱兎という名がふさわしいのだろうか。
「あの子ったら・・・、まったくもう」
「今日はがんばってくれたんだし、別にいいわよ。じゃあうどんげ、手伝いお願いね」
「はい、師匠」
竹林の奥に、永遠亭はある。
知る人ぞ知る薬屋さん。
そこへ行けば良心的な兎たちが、よく効く薬を紹介してくれるだろう。
ただ、口車に乗せられて思わず薬を買いすぎないようには注意しよう。
「お一人様2錠まで服用してください・・・」
家へ帰っていたアリスは、買ってきた薬を見ていた。
「1つの箱に8錠ぐらい入ってるわね・・それを3箱も買ってしまったけど・・・」
「明らかに多すぎよね・・・」
「ま、いっぱいあるんだし少し多めに服用しちゃってもいいわよね」
薬は指示された分量を正しく服用するようにしましょう・・・・・
『月が丸い夜の日は、慧音ごっこ』
と、若干・・・少しだけ関わりがある部分があります。
全体的には続編でも何でもないので、
この話だけでも十分読んでいただけるかと思われます。
ただ慧音ごっこを読んでいただいた方には、より深く読むことができる・・・程度の能力がつきます。
本編はお手数ですが少し下のほうにスクロールしていただければ始まります。
永遠亭
竹林の中に、それはある。
月のお姫様が住んでいるのだが・・・それはあまり知られていない。
大抵の人は、薬屋として永遠亭の名を知っていた。
「さぁ、それじゃあそろそろ開店だけど、店番はあなたたちに任せたわよ」
永琳はうどんげとてゐにそう告げると、永遠亭の奥へと入っていく。
どことなく急ぎ足のようだった。
「永琳様、今日も急がしそう・・・。薬の調合とかしないといけないんだろうなぁ」
てゐは急ぎ足の永琳を見ながらつぶやいていた。
「それもあるけど・・・輝夜様のお相手もしないといけないみたいだからね。ほら、昨日も泣きながら帰ってきたじゃない」
それは昨晩の話。
以前した鬼ごっこは心臓に悪いとうどんげが猛反対したので、
輝夜はいつもどおり妹紅のところへ殺し合いに行っていたのだが、
背中に火傷を負って帰ってきたのだ。
死なない身体とはいえ、痛いものは痛いらしい。
なので永琳は輝夜の看病に手を焼いていたのだ。
「永琳様も大変だね~・・・」
「師匠・・・」
てゐとうどんげは永琳のことを思ってはため息ばかり吐いていた。
「ゴホゴホッ、すいません~・・・」
と、そこへアリスがやってくる。
どうやら風邪を引いている様子であった。
「いらっしゃいませー」
てゐがアリスに応じ、うどんげはアリスを見るなり風邪薬を探していた。
「風邪を引いちゃったみたいで・・・。ゴホゴホッ、風邪に効く薬はないかしら・・・?」
「はいはい、薬ならなんでもありますよ~」
うどんげが棚の奥から、薬らしき箱を持ってくる。
てゐがそれを手に取り、アリスに薦める。
「一般的な風邪でしたら、これが一番効きますよー。寝る前に飲んで朝起きればスッキリです」
「あ、ありがとう・・じゃあそれを頂こうかしら・・・」
「あっ!今なら3つセットでこのお値段ですよ!」
「え・・?でもそんなに薬があっても・・・」
「普通に3個買うよりも格段に安いですよ~」
「え・・?え・・・?うーん・・そうね、それじゃあ3つ頂いていくわ」
「ありがとうございましたー。お大事に~」
てゐは終始笑みを絶やさずにアリスを送っていた。
もちろん、てゐとアリスのやりとりをうどんげはずっと見ていた。
「てゐ・・・あんたね・・・」
「幻想郷って風邪引く人なんて滅多に居ないし、風邪薬は余っちゃうから・・・つい・・・」
「ついって・・・」
「でもアリスだしいいんじゃないかな?アリスもあんなに喜んでいたし」
「それもそうね」
うどんげが言うには、てゐには詐欺に関して天賦の才があるだとか。
何も知らない客を哀れむうどんげだが、てゐの口車にいつも乗せられてしまう。
それでもなんだかんだ言って、てゐのお陰で財政的には大助かりのようだ。
アリスが帰っていって、落ち着くや否や次の客がやってくる。
「失礼します!」
「いらっしゃいませ~」
やってきたのは妖夢。
それも、結構急いでる様子だった。
「亡霊に効く腹痛止めとかはないでしょうか?」
「えっ、霊に効く腹痛止めですか・・・ちょっと調べてみます」
うどんげはいまいちピンとこない様子で、薬を調べる。
その間、てゐが妖夢の相手をする。
「何かあったんですかー?」
「幽々子様がお昼のご飯を頂いてから腹痛を催していて・・・」
「うーん・・・食中毒か何かかなぁ?」
「私も庭に居たので、よくはわからないのですが、気づいたらお米が一升近く無くなっていました」
「あー・・ただの食べすぎですね」
お米の一升というのは軽く10人分の量はある。
それを一人で食したというのだから、腹痛になるのも無理はない。
何よりも亡霊がすることではないと思われる。
それでも原因が食べすぎだと分かったので、一応うどんげは腹痛止めの薬を探し続ける。
しばらくすると、亡霊にも効くのかはわからないがうどんげが薬を見つける。
うどんげから薬を受け取り、てゐが妖夢に渡す。
「はい、ありましたよ。万能って書いてあるからたぶん亡霊にも効くと思います」
「かたじけない・・・。すぐ幽々子様のもとへもっていくとします」
「食べすぎには注意って言っておいた方がいいですよ」
「・・・幽々子様は腹痛にうなされながら、後1杯、後1杯と言っていたので、たぶん聞いてくれません」
「それは・・・。胃薬もつけておきましょうか?」
「うーん、腹痛になること自体珍しいことなので。たぶん大丈夫ですよ」
「そうですか、また腹痛で倒れたりしたときに来てもらえれば、薬は出しますよ~」
「そのときはお願いします。それじゃあ長くならないうちに幽々子様のところへ戻るとしますね」
「お大事にどうぞー」
妖夢は急ぎ足で薬をもち帰って行った。
「妖夢も大変みたいねぇ・・・」
うどんげは妖夢を見ながらそう思っていた。
「なんだか永琳様みたい。輝夜様のために四苦八苦してるあたりが・・・」
てゐがそう言うとうどんげもそれに同意する。
永琳と妖夢だと似ても似つかないが、主人のためにがんばっているところは同じなのだろう。
と、そこへ新たに客がやってくる。
「失礼する」
やってきたのは慧音のようだ。
「いらっしゃ・・・ひっ!」
慧音を見るや否や思わず足がすくむうどんげ。
うどんげにとってはそれは無理も無い話である。
以前、慧音等と鬼ごっこをしたときの記憶がうどんげの頭をよぎったのである。
「やれやれ、まだ気にしていたのか。ほら、今はハクタクじゃない。ただの人間だ」
「あ、すいません・・・。大丈夫です」
うどんげは慧音が軽いトラウマになってしまっているが、それでも客には変わりないので応じ続ける。
「今日はどうしたんです?」
うどんげに話を切り替えされ、目的を思い出す慧音。
「ああ、実は妹紅が昨晩から腰を痛めてるらしくてな。何かないだろうか?」
輝夜同様に、妹紅も無事ではなかったようだ。
いつも殺し合いをしていれば、腰でもどこでも痛くなるのは当たり前のようだ。
不老不死も不老不死なりの苦労があるのだろう。
てゐが薬を探してる間に、うどんげは慧音と話を続けていた。
「そちらもですか・・・。輝夜様もなんですよ。辛いのなら殺し合いなんてしなければいいのに・・・」
「まったくだ」
うどんげも慧音も半ば呆れ気味につぶやく。
その時、奥から輝夜の声が聞こえてくる。
「妹紅もいい様ね~!・・あっ!いたたたたっ、永琳、もうちょっと優しく看病してもらえないかしら」
「そうしたいのは山々ですが、火傷治しを塗っている時はじっとしててください」
そして再び奥が静かになる。
「そっちも大変だな・・・」
「はは・・は・・」
慧音の哀れみに、笑うしかないうどんげだった。
「ありましたよ~。塗り薬と湿布がありますがどうします?」
てゐがそれらしい物を持って、慧音のもとへ戻る。
「そうだな、両方頂いておこう」
「はいはいー」
てゐが薬を包み慧音に手渡す。
そんな時また奥のほうから輝夜の声が聞こえてくる。
「あははは、湿布って・・・、妹紅が湿布・・・あははは」
何がそんなに面白いのかはわからない。が、うれしそうだ。
「まったく、姫様も人のこと言えませんよ・・」
まったくもって永琳の言うとおりであった。
「ま、私はそろそろ行くとしよう。薬を早速妹紅のところへもっていくよ」
「またどうぞー」
慧音を見送ると、てゐとうどんげは一息つくことにした。
永琳も輝夜の看病がひと段落したのか、奥から出てくる。
輝夜も、奥で今はゆっくり休んでいるらしい。
「二人とも、悪いわね。店のほうをまかせっきりで」
「そんなことないですよ、師匠。師匠のほうこそお疲れさまです」
うどんげとてゐにお礼を言うなり、永琳は薬の減りに気づく。
「今日もお客さんがそこそこ来ていったみたいね」
「あ、そういえば。万能と書いてあった腹痛止めって亡霊にも効きますよね?」
「え?ええ、効くと思うけど。亡霊が腹痛になること自体、聞かない話だから何とも言えないわね」
「そうですよねぇ・・・。例によって白玉楼の幽々子が食べすぎで、遂に腹痛で倒れたみたいですよ」
「そうなの・・・。亡霊も腹痛になる。いい資料が手に入ったわ」
永琳はあらゆる薬を作る程度の能力を持っている。
なので、彼女の手にかかれば恐らくどんな薬も作り出せるだろう。
その気になれば、その症状を完全に治す薬とかも作れるのだろうけども、
どんな薬にも悪い効果をもたらす副作用があるので、
副作用が少なく効率の良い薬を彼女は作ってるのだろう。
輝夜はそれを理解せずに、永琳の薬は効き辛いと騒ぐときがあるらしい。
「さて、そろそろ店を閉じましょうか」
「えっ、もうですか?」
永琳が店をしまうといい、時間を見てうどんげが驚く。
時計の針はちょうど夕刻を指していた。
「もうって、そろそろ晩御飯の支度しないと晩御飯が遅くなってしまうでしょ。そうなると姫様がまた・・・」
「あ、そうですね。晩御飯の支度なら手伝いますよ。ねぇ、てゐ?・・・あれ?」
そこにてゐの姿は無かった。
面倒なことが嫌いだったてゐは、恐らく晩御飯になるまで出てこないであろう。
まさに脱兎という名がふさわしいのだろうか。
「あの子ったら・・・、まったくもう」
「今日はがんばってくれたんだし、別にいいわよ。じゃあうどんげ、手伝いお願いね」
「はい、師匠」
竹林の奥に、永遠亭はある。
知る人ぞ知る薬屋さん。
そこへ行けば良心的な兎たちが、よく効く薬を紹介してくれるだろう。
ただ、口車に乗せられて思わず薬を買いすぎないようには注意しよう。
「お一人様2錠まで服用してください・・・」
家へ帰っていたアリスは、買ってきた薬を見ていた。
「1つの箱に8錠ぐらい入ってるわね・・それを3箱も買ってしまったけど・・・」
「明らかに多すぎよね・・・」
「ま、いっぱいあるんだし少し多めに服用しちゃってもいいわよね」
薬は指示された分量を正しく服用するようにしましょう・・・・・
とっても頼りになる薬屋さんって感じがしました。
アリスだけかわいそうでしたがw
あと
>幻想卿って風邪引く人なんて滅多に居ないし
よくある誤字発見ですです
感想ありがとうございます。
一升はやりすぎかなと思いつつ、
幽々子様ならやりかねないかなぁと思いました(ぇ
>SETHさん
感想と誤字の指定ありがとうございます。
またやってしまった・・・、郷と卿を間違えたのは何度目だろう・・・。
幽々子様はお腹を壊さなければもう1升ぐらい食べたかもしれませんw
細かい事ですがきになったものでー
誤りの指摘ありがとうございます。
確かに薬屋さんで「またどうぞ」は不謹慎すぎますよね・・・
状況などを把握した作品にできるよう以後心得ていきたいと思います(汗