Coolier - 新生・東方創想話

本当にあった悲しい話。 第3話目

2007/04/10 00:38:44
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各話はまったくつながってません。
最後は少しグロいかもしれません。



<小話> 巫女と吸血鬼の話



ある日の神社、吸血鬼には悪い快晴の日、今日も吸血鬼と従者と巫女がいた。

レ「結婚してっ!!」

霊「性別考えろ。」

レ「悪魔に性別は関係ないわ。」

霊「でも、ヤダ」

咲「なら、私が‥‥」

レ「霊夢じゃなきゃヤダ!!」

咲「しくしく。」



ある日の神社、吸血鬼は外に出かけれない大雨の日、今日も吸血鬼と従者と巫女がいた。

レ「結婚してっ!!」
 
霊「ヤダ、庭にテント張るな!!」

咲「お嬢様、なら私と結婚‥‥」

霊「おめでとう、今からあなた達の結婚式を上げてあげるから。二度と来んな。」

咲「(ポっ!!)お嬢様‥‥。」

レ「イヤよ‥こんなのと‥‥。」

咲「しくしく。」



ある日の神社の宴会、吸血鬼は、酔った巫女を見てチャンスと近くに寄る。

レ「ねぇ~結婚しよ??」

霊「え~!?どうしよっかな~~。」

咲「(ガーーーーーーーン。)」 

レ「目つぶっているから、OKだったら霊夢からして頂戴。」

霊「わかったわ。しっかりつぶっててね。」

咲「(ズーーーーーーーン)」

霊「えいっ!!」

ブスぅ!!

レ「(額に針が刺さって)痛い~~!!」

霊「結婚?あんたと?寝言は寝てから言え。」

咲「やった(ボソっ)!!」

レ「咲夜‥‥‥ウザイ‥‥。」

咲「しくしく。」



ある冬の日、コタツの中で、お土産のみかんを食べながら今日も巫女と吸血鬼と従者はいた。

レ「もぐもぐっ、結婚してっ!!」

霊「もぐもぐっ、ヤダ、ちなみにそれ言ったのちょうど600回目ね」

咲「もぐもぐっもぐもぐっもぐもぐっ、みかん取って」

霊「そろそろ、やけ食いやめないとまた太るわよ。」

咲「しくしく。」

レ「結婚してっ!!」

霊「ヤダ、一日で601回は新記録ね。おめでとう、みかん置いて帰って。」

咲「そうですね、帰りましょうお嬢様。」

レ「咲夜‥パッド忘れてるわよ。」

咲「(時止めて)しくしく(スポッ!!)」



ある新月の日、巫女と幼い吸血鬼と従者がいた。

れ「れいむーけっこんしてっ!!」

霊「ダメよ、れみりぁ。(か、かわいいかも)」

咲「は、反則ぅー(ぼたぼた)」

れ「どうしてっ!!どうしてだめなの(うるうる)。」

霊「れみりぁがまだ子供だから結婚できないの。もうちょっとしたらね。(かわいい)」

咲「やべぇ止まんね(ぶしゅーーー)」

れ「わかったわ、れいむ。わたし、れでぃーだから我慢する。…さくやー……」

咲「(時止めて瀟洒に変身)なんでしょうかお嬢様。」

れ「きもい。」

子供は残酷なほど正直で純粋である。



ある日の神社、いい感じの曇り空、巫女と吸血鬼と従者と魔法使い。

レ「結婚してっ!!」

霊「いいわよ。婚姻届に私のは書いてあるからあなたの書いて出して頂戴ね。」

咲・魔「えっ!!」

レ「ほ、本当にいいの霊夢!!」

霊「ええ、結婚式は早いほうがいいわね、そうねー3日後やりましょうか。」

咲・魔「ええっっ!!!」

レ「わ、わかったわ。これからすぐに館に行って準備させるわ!!」

霊「ちょっと待ちなさいレミリア。」

レ「えっ」


ちゅっ!
頬っぺたにキスをした。


霊「私のファーストキスは結婚式でね(ポッ!)。」

レ「れ、れいむ~(ポッ!)。霊夢のウエディングドレス姿楽しみにしてるわっ!!!!」

従者も忘れて神社を飛び出す顔が真っ赤な吸血鬼。

咲「おぜうさまぁっっーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」

従者も涙でびしょびしょになって後を追って飛び立つ。




魔「なぁ、本気なのか霊夢?」

霊「ねぇ知ってる?妖怪って人間の二倍なんだって。」

パンフレットを渡された。

魔「せいめい…ほけん?」

霊「最近、新聞に永遠亭のやつらが新しく始めた商売らしいのよ。
  ところで紅魔館の土地の資産価値って知ってる。」

魔「ま、まさか……」

霊「あら、失踪でもいいのね。手間が省けていいわね。
  魔理沙、ちょっと咲夜の所に行ってくるから留守番よろしく。」

巫女が飛び立つ。




魔「そういえば、パチュリーって体弱かったよな……。新しい蒐集物ほしいし……」




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結局、レミリアが結婚式に出ることはなかった。

結婚式当日に従者と姿をくらましたのだった。

紅魔館に集まったもの達はレミリアと咲夜が駆け落ちをしたという結論になった。

ウエディングドレスを前に泣きじゃくる霊夢を見てみんなは心から同情した。

ただ、スキマ妖怪と鬼と魔法使いだけは違った。



数日後、


紅魔館の元レミリアお嬢様の部屋において、

土地の権利書を握り締め、部屋に溢れる金を見て狂ったように笑い続ける巫女がいたという。


                                                    END



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<後日話>  紅美鈴の任務。


3ヶ月ほど立ったある日。

博麗の巫女は圧倒的な財力と、フランドールという凶悪兵器を手なずけて幻想卿の支配者となっていた。
永遠亭は永琳が居れば、払う事はほとんどないと思っていたので、
あまりの高額な保険金のため土地の権利書を奪われ巫女の配下となっていた。
そんな巫女を警戒した組織 八雲 紫 をリーダーとしたレジスタンスが誕生した。

そんな紅魔館に嫌気が差し、内部でお嬢様の失踪の事を調べていると、
すべてが巫女の計画だったことがわかり、事実を知る私は門番をクビになった。
レジスタンスのスパイ:パチュリー様(一度死にかけた)と相談した結果、
かつての主と従者を探し旧紅魔館の復興とレジスタンスの強化を考えた。


去り際、巫女の直属:現紅魔館メイド長の 伊吹 萃香 が人間の里で似た人を見かけたと言う。
人間の里で聞き込みを続けた。
調査の結果、一人の銀髪のコートを着込んだ女が人間の里一番の大工たちに依頼をしにきたらしい。

喋りたがらない大工達を脅して話を聞いたところ。


その女は、誰も訪れないような魔法の森の奥に家を建ててほしい。と言ったらしい。
危険だと言ったら、いつのまにか顔の横にナイフが刺さっていたという。
私が居れば大丈夫よ。と言った。

すると、目の前に金貨の詰まった袋を置いて、これでもダメかしら。と言った。
金貨三枚で家が建つ価値があったので、大工達は喜んで引き受けた。
大工達はもしや狐に化かされているかと怪しんだが、慧音さまに聞いたところ、
お金は本物らしいので安心したらしい。

二ヶ月ほど泊りがけで家を完成させる。
その間、毒キノコ対策の複数の解毒剤や、用意される食事、妖怪を圧倒する戦闘力など
すべてにおいて完璧。さらに、見張りなどで一回も睡眠を取らなかったらしい。
最後に、そいつは私のことは誰にもしゃべるな。と言って去っていったそうだ。


大工達の歯切れの悪さやそわそわした雰囲気。
何か隠してないか?と一人の大工を締め上げると他の大工がしゃべって来た。

河童と一緒に工事したらしい。

大工達の目は、ものすごくほっとした様子。
適当な事実を思い出して、本当に隠したいことを隠したがっているそんな様子。
私が蹴りでその辺の丸太を真っ二つに割って殺すぞ。と脅した。


大工達はビビッて話し始めた。

帰り際、大工達は、法外な報酬に大きな声で「ありがとよ。」と言うと。
その女が終始手放さなかった純銀で出来ているらしいトランクがガタガタゆれ始めたらしい。
声が聞こえた気がしたので、不信に思った大工達は思い切って「その中に誰か?」と聞いたらしい。

直後、その女の目が真紅に染まり、女の背後にナイフが無数に浮かんでいた。
大工達は恐怖で動けなくなり、数人は失禁してしまったらしい。
「このトランクのことを喋ったら切り刻んで妖怪の餌にするわ。」と言って消えたそうだ。

まちがいなく咲夜さんだ。
おそらく、銀のトランクの中にお嬢様が閉じ込められている。
もしかして咲夜さんがお嬢様を攫ったのかもしれない……。

大工達から地図と家の見取り図を書いてもらって受け取ると
大工達にすみませんでした。と土下座して足早に魔法の森に向かった。


私は飛ぶより走ったほうがはやいので、目的地を確認して一気に走りだした。
いきなり毒キノコの群生地帯に突っ込んでしまった。幻覚で方向を見失ったので、飛ぼうとしたら、
毒で空を飛ぶだけの体力が無くなっていた。人間なら死んでいただろう。
毒キノコの群生地がわからなかったので、
体を気で覆って、森の瘴気から身を守りながら、木に登って目的地にまっすぐ向かった。

朝に出てきて良かった……日も暮れて、地図に記された場所に来た。

そこには空き地しかなかった。

私は魔法の森を舐めていた。
私は結局8回も群生地に突っ込んだせいで、目に映る風景が色彩を失っていた。
おまけに辺りは暗く、飛べない私は帰れそうにない。持って来た食料もすでに毒に変わっていた。

紅魔館を守ってきた私がこんな情けない最後を遂げるなんて思いもよらなかった。
私はそのまま倒れこむと意識を失った。

…さよなら……お嬢様さま………咲夜さ…ん………



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私はベッドで目を覚ました。

「おはよう。美鈴」

咲夜さんが隣で水で湿ったタオルを握ってくれていた。

「‥咲夜さん‥‥‥私‥死んだんです‥か‥‥?‥」

「何言ってんのよ。家の前でいきなり倒れているから、驚いてこっちが死ぬかと思ったわよ、
 あなたはわかってないかもしれないけど、4日間も寝ているから疲れたわ。」

私は生きてたんだ。
本当は、この家を発見したらパチュリー様に報告するつもりだったのに中に入ってしまった。

「…そうなんですか。でも家なんてありませんでしたよ?」と私。

「あなた‥家の見取り図持ってて気付かなかったの?
 この家はね、全部、地面の下……地下に作ってあるのよ。」

「えっ!!そういえば見てなかった。!!」

咲夜さんが呆れたように笑いながら、

「まぁ、驚いてもしょうがないわよ。そのために、里一番の大工や河童に頼んだのだから。
 ところで、お腹空いてないの?」

ぐぅ~~~~~~~~~!!!

「ううっ」

「話はあとでね、ご飯作ってくるから、一階上の風呂場で、
 使った毛布とあなたの服を洗濯籠に入れてシャワー浴びてきなさい。」

咲夜さんが部屋を出て行く。
私は思考する。もし咲夜さんが私の推理通りなら危険である。
なぜ、ここの存在を知った私をすぐに始末しなかったのかはわからないが。
とりあえず、警戒しつつおとなしく言う事を聞こう。

布団から出ると、なぜか私の服は倒れたときのままでドロだらけだった。
私を包んでいた毛布もぐっしょり。
探しても、部屋には1/1スケールれみぃー人形だけしかなく、私の持ち物はどこにもなかった。


ガチャッ、しゃーーーーーーーーーー


シャワーを浴びながら、状況を把握し、分析し、これからの対策を考える。
大切なのは、情報をできるだけ得る事。
特に、1:お嬢様の居場所、2:失踪と隠れる理由、3:出口の場所、4:咲夜さんの真意、5:その目的。
切り札は帽子の裏に仕込んである魔法の筒。
これは、パチュリー様の賢者の石の欠片が埋め込んであり、発動させれば、空に虹を描き、
10秒で、ここと紅魔館の図書館を転移魔法で数日間つなげることができる。
ただ運の悪いことに、これは、野内での使用が不可能であることが欠点。

とにかく、外にでてパチュリー様にこの場所を報告するのがベスト。
その過程で、1~4の項目を調べればよい。とにかく脱出。


勝負です咲夜さん。



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風呂場の脱衣所には用意された洋服がハンガーで吊るしてあった。
細部まで確認するが、怪しい点は存在しない…ただの洋服のようだ。
私は洋服を着ると、不気味なくらいぴったりだった。
帽子の中も確認してから行こう。帽子を被る。


私が風呂場から出ると、咲夜さんが立っていた。

いつから居たのか、時を止めて確認動作が見られたてたらまずい……
…しょうがない……これは私のミスだ。
警戒されるかも知れないが、私が疑っている事を絶対に悟られてはいけない。

「あなたいつもその帽子被ってるのね、こっちよ。」

咲夜さんが呆れたように言って、背を向けて歩き出す。
あまりに無防備だが、武術の達人である私でも、時間を止められる咲夜さんの前に、
近接戦闘では、殺すことも、気絶させる事も、取り押さえる事も、すべてが不可能である。

しかし、その能力の弱点は射程距離にある。
プライベートスクウェアで止められる時間は約7秒(*:妖々夢)
時間を止めているのに秒数があるのは変だが、だいたいそれぐらいだ。

門番で普段から気配を消している私が足音をなく後ろに走れば距離を取って逃げることはできる。
出口もわからないのに逃げ出しても、捕まるのは目に見えている。
せめて出口がわからないと…………。

廊下を歩いてると、なぜか窓があり光が見える。
光覗く窓を見ると、太陽が降り注ぐ手入れの行き届いた花壇があった。
もちろんその先は壁が広がっているが、なぜ太陽の光が地下に来ているんだろう……。

「咲夜さん。なんで太陽の光が地下にあるんですか?」

「それはね………」

聞いた話をまとめると、河童の技術によるものらしい。
外には、目を凝らさないと見分けがつかない人工の木が数本あり、その葉っぱに光が当たることにより
取り込まれた光が人工樹の中を乱反射して地下に降り注ぐらしい。
年中薄暗い魔法の森において、その木の発見は不可能だろう。

最後に、私は人間だから日光がないと健康を保てないのよ。と付け加えた。
それは、多分本当だと思うが、外に出れば済むことをそんな大掛かりな事をするとは……
本当の理由はお嬢様の監禁のためではないだろうか……。

「ここがリビングよ。」

その部屋は、見事な装飾が行き届いたアンティークで統一された9畳もある広い部屋だった。。
もちろん窓は一切なく、ドアは多く4っある。
上質な皮のソファや、見事なガラス細工の置物、壁にかざられた虎の毛皮。
私のような下っ端がみると、その高級感に思わず萎縮してしまう。

「何をしているの早く座りなさい。」

「えっ!!あ、……あいっ!…。」

私はテンパッて急いで座った。
テーブルには、中華を中心とした私の大好物がたくさん並んでいた。

「あなたのために作ったからいっぱい食べなさい。」

咲夜さんは笑顔で私に言ってきた。

おかしい‥‥おかし過ぎる、いくらなんでも優しすぎる。
何か裏があるとしか思えない。私が怪我をしても、冷めた顔で、使えない門番ね。の第一声の人だ。


まず、第一段階。

「いただきまーーす!!」

私は普段の自分を演じながら嬉しそうに炒飯を一口を入れる。

私が咲夜さんより優れる点は 経験 と 高い身体能力 と 気 である。

紅魔館に来るもっともっと昔、ある方に仕えた時、毒味役として活躍をしていた時期もあった。
一口で生死が決まる世界、私の同僚は全員殉職してしまった。
即効性、遅効性、体に溜まる毒、病を誘発する毒。
その料理の味を限りなく分析し、不純物を判断する能力。
妖怪なのが良かったのか、最後には無味無臭の毒まで見分け生き延びることができた。

もぐもぐっ

口と言う空間で思考する。
構成するのは、米、人参、豚肉、グリンピース、玉子、鶏がら。
人参とグリンピースと玉子は安物だが、米と豚肉は高級品に違いない。
鶏がらは‥‥違うな‥これは上湯だ。
毒素のような不純物はないようだ。言い切って良い。

「ゥンまあぁーいっ!」

これをするとおいしいもまずいも感じなくなるが。
嘘でもおいしいと言っておく。普段の私ならそうするからだ。

咲夜さんが時を止めながら、私の様子を注意深く見ているのは気付いていた。
本人はわからないだろうが、一瞬で体が小数単位で動いていたからだ。

相手が出した料理を相手より先に躊躇なく口に入れ、普段どおりに食べる。、
これによって、相手は私が警戒している事など絶対にないと判断する。

私がいつもどおりにバクバク食べてると、咲夜さんが監視をやめるを確認できた。
よって、咲夜さんが毒を入れずに私の警戒心を試しているのが判断していることが判明。
これで相手の警戒を解くことが出来た。



第二段階に移る。

「咲夜さんってパッド入れてますよね?」

咲夜さんのこめかみに青筋が走る。

「入れてるわけないでしょ!!」

「す、すいません!!前にパチュリー様が言ってて気になってました。」

咲夜さんは、あの根暗~殺してやる。となんか言っていた。
もちろん、私の言葉は嘘だ。実はパッドを入れていることなどすでに知っている。

「ところで、どうしてお嬢様は結婚式に行かなかったんですか?」

「落ち着いて聞いて頂戴‥‥美鈴。
 どうやらお嬢様はあの紅白の巫女に騙されていたらしいのよ。」

「えっ!!そうなんですか!!」

「ええっ‥どうやら永遠亭で生命保険と言う商売を始めたらしいのよ。
 これは、家族関係のある者が、もし不運にも死んだもしくは失踪した場合、
 それが事故と認められた時、払ったときのお金が何十倍となって支払われるらしいのよ。」

「まっ、まさか‥‥!!」

もちろん知っているが、驚く振りをする。次の言葉が重要。

「結婚式前日に、お嬢様にそのことを話した所、
 優しいお嬢様は、保険に全財産をつぎ込んだ巫女が破産するのが可愛そうだから、
 自分は魔法の森に落ち着くまで身を隠すから咲夜はその準備をして頂戴。と仰って。」


嘘だ!!お嬢様ならどんなに殺されかけても結婚式に行くに違いない。
その証拠が銀のトランクだ、年中、地面まで日が届かない魔法の森ならただ身を隠すだけでいいのに。
銀のトランクなんて狭い所に家ができる2ヶ月以上入っているなんて、あの我侭なお嬢様に限って絶対にない。
咲夜さんは私が銀のトランクや計画のことを知らないと思っている。

そして、もっとも重要なのは私を騙そうと言う悪意を感じる。
これで項目4に関してわかった。

十六夜 咲夜 は、まぎれもない私の敵である。
お嬢様を欺いた紅魔館の裏切り者。
信じていたのに!!!!


私のとるべき行動は決まった。仲間に知らせるため、ここからの脱出である。

もう一つわかったことがある。
咲夜には嘘をつくとき、わずかだがある動作をする。
それは二回の質問で寸分違わず同じ動作を行っていた。

それは嘘を言う直前、下唇がピクッと本当にわずか少し下がる。

万人には嘘をつく時何らかの反応をする、それは脳波のように判断できないものもあるが
普段嘘をつかない人間は、体に癖として表れる場合が多い。
実直なメイド長のように‥‥

この事実が功をそうして、食事が終わる前には、
項目1、3についてはわかった。だが、項目2、5は遠回しに聞くしかなかったのでわからなかった。、

お嬢様はこの家の最下層にいること、出口はリビングを出てすぐにあるハシゴの上にあること。


食後のお茶を飲み終わる。



項目5については重要だがわからない。
何度か咲夜に質問はされたが、そこから目的を判断することはできなかった。
ここに来るまでに誰かに会わなかった?と聞かれたのが一番怪しいが決め付けは危険である。
話はすべて曖昧に答えておいた。
おそらく、信頼と言う前提を元に何かの情報を聞き出そうとしている。

咲夜は知っている。
私がどんな拷問にあっても、けっしてしゃべる事がない事を‥‥。

紅魔館の門番として絶対の信頼のもとに雇われている、もう一つの理由が存在する。
門番は敵に捕まって、主の弱点などをしゃべる恐れがある。
私には特技がある‥‥自殺の特技である‥‥

気とは命の流れを操ること。
自身の気を自由自在に操れる私が流れを壊せば、妖怪の核である心臓が破裂して即死する。
つまり、意識さえあれば死ぬことができる。

拷問は、相手が苦痛を与えるために、意識が必要となる。
たとえ、薬を打たれようともお嬢様のためなら、効くまでのわずかな時間で死を選ぶ。
私は命を捧げることでお嬢様の絶対の信頼を頂いているのだから。

だから、それを知っている咲夜は私を捕えずに生かしている‥‥


第三段階に入る。


「咲夜さん。実は私、紅魔館クビになりました。
 今は、里の中華料理店で新しく働く事が決まっているんですが‥‥」

咲夜は驚いていた。

「仕込みをしに今日中に帰らないと行けないんですよ。」

真っ赤な嘘だが、帰る口実を作らなければならない。
一回でも外にでれば私の勝ちである。

「あら、せっかく来たんだからお嬢様に会っていきなさい。
 お嬢様がお目覚めになる夜まで待ってもらうことになるけど。」

予想通りだが、これで帰ることができればもっと良かった‥‥。
普段の私なら絶対に断ることはないので、了承するしかない。
もし、断り帰ろうとして、強行手段に出られたら、もうどうしようもない。


おそらく、夜までに何らかの準備をしてくるだろう。
もっともこの4日間ですでに終えているかもしれないが‥‥。

唯一の望みは、私がある程度の真実を知っていること。咲夜を敵と認識していること。
それを咲夜はまったく気がつかず私を騙して、いつも通り上の立場にいると思っていること。
その罠を切り返し、脱出して筒を使用するしかない。





私は気付いてる、部屋のゴミ箱が満杯なのに、食器を片付けていた。
そして、普段の咲夜なら、見つけたら優先して片付けに行くのを知ってる。
来客のときも、食事のときも、ティータイムのときも、掃除のときも、料理の時も、
お嬢様のこと以外のときは絶対に片付けに行くことを知っている。

おそらく、キッチンは近くにあるので時間を止めても行けるが、ゴミ捨て場は遠いらしい。
つまり、お嬢様に関することで、私を逃がすのを警戒している。
内心それはないと思っても、念を入れて私を見張ろうとしていると推理する。


咲夜が私から目を離す気がないならしかたがない。

「咲夜さん。せっかくですから家の中を案内してくれませんか?」

「ええ、いいわよ。」

「ついでにゴミを捨てるわね。」とゴミ箱を手に取る。
やっぱり気にしていたのか。


いい方法を思いついた。常に大気に流れる気の流れを探知する。
こうすることで、気の乱れ方で時間が止められた時はだいたい判断できる。


最下層以外は全部回ったが、怪しい動きも時を止めることもなかった。
私は家の見取り図をゴミ箱に見つけたので、気付かれないように回収しておいた。
逃げ出す隙もなく、ゴミ捨て場は遠かった。



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辺りが真っ暗になった。

「さぁ、いきましょうか。」
咲夜は読んでいた本を閉じると、立ち上がった。

「そうですね。行きましょう。」
私も読んでいた本(隠した家の見取り図を見ていた)を閉じると、立ち上がった。



家の構造は把握した。
信じられないが地中にドーム状の空間を作り、家をその中に作っているらしい。
その空間は咲夜さんの能力によるもので、庭も含め、屋敷並の広さを誇っている。
(地中において)第二層は地面に接地していて、第一層の一部は天井に接地している
よって、第三層は本当の意味で地下に存在する。
河童の技術は恐ろしい‥‥。

第一層は生活に使うキッチンや風呂場やリビングなどが在る。
第二層は居住区で、部屋が並んでいて、娯楽施設や庭を眺めるテラスが在る。
第三層は用途不明だが広い空間が在る。
すべての層は一本の階段で繋がっている。唯一つの出口の位置も絶対に間違いがない。




私達は今、石作りの螺旋階段を下りている。明かりはランプだけで薄暗い。
なぜか私が前で咲夜さんが後ろを歩いてる。これでは音鳴く走っても逃げられそうにない。
最下層は特に深く、第二層から10メートルは下にある。

咲夜は、何も聞けなかった私をより確実に始末するために罠にはめて殺しにくるだろう。
私は探りを入れる。

「なんか中世の城みたいで、罠がありそうですね。」
振り返りながら、

「ふふふっ、家の中に罠なんて置かないわよ。」
笑いながら言う。だが、その下唇は確かに動いた

やっぱり嘘か‥‥しょうがない、咲夜がこちらに背を向けるときを待つ。

頑丈な鍵のかかったドアが見えてきた。

あまり上策ではないが、咲夜が鍵開ける時と開けるため私の前に出る空白(おそらく5秒)の隙に、
全速力で音もなく出口まで走る。

出口までは第一層まで16メートルくらいの階段を上り、リビングを抜けて、ハシゴを上って、筒を使用して帰還する。
私の身体能力ならちょうど5秒でハシゴまで行ける。
たとえ7秒時間を止められても、人間じゃ間に合わない、外に出て筒を発動させることができる。

咲夜が横を通り過ぎ、私が死角に入る‥‥。


今だっ!!


脚に溜め込んだ気を開放する。私の視界がめまぐるしく変化する。

階段を上り抜け‥リビングを抜け‥ハシゴを上り抜け‥

ジャスト5秒 出口の扉の取っ手に手をかけて押す‥‥‥。




‥‥開かない‥‥。

‥‥開かない‥‥‥‥‥‥開かない‥‥‥‥‥開かない‥‥‥開かない‥‥‥

‥馬‥馬鹿な‥‥どうして‥‥‥


ガンガンっ!!

私は殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、‥‥‥

歪んだ扉の隙間から茶色いものが見える。

樹の根だった。

‥ま‥まさか‥‥‥

「そんなところで何をしているのかしら?」

咲夜が現れた。

「‥野郎‥‥咲夜‥‥‥扉の上に樹を‥‥」

「その通りよ、あなたがそんなに頭が回るなんて思わなかった。
 もうちょっと、ほんとにもうちょっとで、逃げられるところだったわ。
 この私がほんのちょっぴりだけ本気で焦ったわ。」

「たった一つの出口を塞ぐなんて正気かお前!!」

「ふふっ。大工に内緒で河童達に作らせた隠し通路が100以上はあるのよ。
 本当の出口はその中に一つだけ、それは河童達が死んだいま、私だけが知っている。」

「まさか、それだけのために河童を殺したのか‥外道め!!」

「質問はそこまで」

ザシュッ!! 
突然私の両脚の腱が切れていた。

「あっ‥‥ぐぅっ‥‥」

力が入らなくなった足でハシゴから落ちる。
受身も取れずに地面に叩きつけられる、

「ダメ押しにもう一本!!」

普段、気を使う私は、致命傷となる体の点穴を気功でガードしている。
もし、突かれれば気を使用できなくなるからだ。しかし、思わぬ事にガードを緩めてしまった。
私の体の点穴にナイフが深く突き刺さる。
激痛と共に経脈を遮断され気の循環も止まり、指一本動かなくなる。

「さぁ、お嬢様の所にいくわよ。苦しい?苦しいって言ったらナイフを抜いてあげる。
 まぁ、もっとも喋ることもできないでしょうけど、これで愚かな自殺もできないでしょう。」

私は絶望感を感じながら、無様に第三層まで引きづられて行った。



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                    ・
                    ・
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第三層。
辺り一面に日常で使うことがないような道具が並んでいた。

「どう、すごいでしょ。今お嬢様を連れてくるから待ってなさい。」

足跡が遠くなる‥‥
私はうつ伏せで床に突っ伏していた。

妖怪であるため、急所を突かれても、もう口を動かすぐらいは回復した。

カラカラー

車輪の音が近づいてくる。

私は痛みを堪えながら音のした方は向いた。

そこにはお嬢様がいた‥‥。

十字架を模った板に、お嬢様は張り付けられていた。
いつも通り病的に白いが、さらに白くグッタリしていて意識がないのか俯いたままである。

「‥おじょうさ‥ま‥」

「あら、もう喋れるようになったの。急所を突いたのに相変わらず頑丈ね貴方。」

「貴様ーーっ!!!」

ぐにゅっ!!

刺さったナイフを捻られた

「ああああああああああぁぁぁあxaーーーー」


「てめーーー口の聞き方に気をつけやがれーーー!!!お前は私との知恵比べに負けたのだ!!!
 さっきからよぉーー呼び捨てにしやがってぇーーーこのビチグソがっ!!ああムカつくぜぇ、クソ!!!
 よく聞け、私がちょっと手を加えるだけで、お嬢様の命は、いつでも消せるんだぞ!!!!」

咲夜の様子が豹変する。私は少し怯んだが言い返した。

「お前がお嬢様に危害を加えるはずがない。」

ボキッ!!

右腕が蹴られた勢いで折れてしまった。

「ああああ‥‥ぐうううぅうっぅう‥‥!!!」

「もう一遍言うぞ!!!このド低脳がッ!!!
 お嬢様の命は私が預かってんだ!次舐めた口聞いたら二人ともぶっ殺すからな!!!」

こいつには、やると言ったらやるスゴみがある。
逆らえない。不意に涙が出てきた‥‥

「どうして‥‥紅魔館の‥‥‥家族だと‥思って‥たのに‥‥」

「あははははははっはははhっはははははははっはあはははは!!!!!
 かぞくぅぅ‥‥おばーーかさんっ!!私は生まれ変わったのよ。
 あの博霊霊夢様の力によってね!!!あははははあははははははははははははっはは!!」

‥あいつか‥‥あいつがすべての元凶だったのか‥‥‥
心の中にふつふつと怒りが沸いてくる。

「聞きなさい。ここに来る前に誰かに喋ったかしら?
 嘘言っても、黙っても、お嬢様の命を奪っちゃうから。ちゃんと敬語で喋りなさい。」

咲夜さんが正気でないとわかった、今、逆うことはできない。

「いいえ。誰にも会いませんでした。」

「そう、良かったわ。また一人殺さなきゃいけないとこだったわ。
 ところで、どうして脱出が失敗したのかわかる?」

「わかりません。」

「ふふふっあなたが眠っている4日間にお嬢様から聞き出したのよ。
 私の計画を100パーセント成功させるため。あなたは本来ここから脱出する運命にあったのにね。」

運命を読まれてたのか‥‥

「貴方の様子を見ていてもまったく普段通り、お嬢様の能力を疑いそうになったわ。
 でも、そのおかげで家の上に木を生やすなんて完璧なカモフラージュができた。
 大工もすでに始末したし、もう誰もこの家を発見する事はできないわ。」

なんてことを!!

「貴方の目的はなんですか‥‥?」

「私の目的は貴方を生け捕りにすること。」

「えっ!!」

予想外だ‥‥‥。

「お嬢様が一人じゃ寂しいって言って騒ぐから、探していたら貴方を思い出してね。
 霊夢様にお願いしてこっちに送ってくれるよう頼んだの。
 あなたには明日からこの家のペットとして飼いならしてあげる!!」

くそっ、クビになったのも、大工を生かしてたのも、巫女の計画によるものだったのか。

「あなた、点穴を突いて気を止めないと自殺する可能性があったから苦労したわ
 お嬢様の命を私が握っていることをしっかりとわからせる時間がほしかったからね。」

「お嬢様は、あなたを助けることはできないわ。
 吸血鬼としての力を奪うため、この家には教会としての機能を持たせているわ。
 はじめは暴れたけど、もう子供並みの力しかないわ。」


ずにゅっ‥‥

血まみれの私からナイフが抜かれた。

血を流し過ぎた事で満足に動けないが腕ぐらいは動かすことはできる。

ドシャっ!!

目の前に首輪が置かれる。

「その首輪はあなたの能力をすべて人間以下の能力にする呪いの首輪よ。鍵は私が持っているわ。
 腕は動かせるでしょう、お嬢様を死なせたくなかったら早くつけなさい。」

しょうがない‥‥
首輪に手を伸ばす。


「んんっ」

私は手を止めてお嬢様を見る。

「あら、お嬢様お目覚めですか。」

お嬢様が顔を上げる。

「美鈴‥‥‥、咲夜‥もう‥やめなさい‥‥」

「お嬢様が言い出したんですよ。
 今の咲夜はただの操り人形だって、美鈴の方がよっぽど人間らしいって、
 今の咲夜といても全然面白くないって、美鈴の方が私を喜ばせてくれるって、
 可笑しいわよね、うん、可笑しいわ、私がお嬢様を毎日可愛がってあげてるのに、
 お嬢様は、私を認めてくれないもの。あろうことか美鈴の方がいいですって、
 あははhっは、可笑しい、そんなのオカシイ、お嬢様は私のもので私はお嬢様のもの
 二人居れば何もいらないのに、お嬢様は他のやつのことを考えるなんて‥‥
 あはっははははっはhっはははっははhっはあ可笑しいおかしいいいオカシイ犯しいいオカシーーー
 
 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 だから、お嬢様に教えてあげます。美鈴はその辺に転がる石のように必要がないものであることを。」


お嬢様‥‥今の咲夜さんには何をしても無意味ですよ‥‥‥
私は首輪を手に取って、首に‥‥



ガシャンッ!!!


お嬢様が鎖を引き千切る。
「なっ!!‥ぐうっ!!」

咲夜さんが地面に叩きつけられる。

「美鈴逃げなさい!!!」

0秒で、咲夜さんがお嬢様を地面に叩きつけている。

「まだそんな力を持ってたなんて、いままで騙してましたね‥‥お嬢様。
 ですが、そんな足掻きはこれで最後です」

咲夜さんの目は真紅に輝き。怪しい輝きを放つ指輪を持っている。

「美鈴逃げなさいっ!!!」




私の思考は時間から切り離されたように回る。

何を言っているんだろう?逃げ場がないのに逃げたところで狂った咲夜さんに私が殺されるだけだ
なんて無駄なことを‥‥‥
お嬢様がそんな無駄なことをするなんて正直失望‥‥

‥‥‥

ちょっと待て!!命を賭して私が尊敬してきたお嬢様がそんな無駄な事を‥‥
違う!!意味が存在する。
お嬢様が最後に残した力で私に命令している。
レミリア様の能力‥運命が私に味方をしてくれているのか‥‥
私には役目があるのか、何かすることがあるんじゃないか。

「美鈴!!次に繋げなさい!!!」
お嬢様が叫ぶ。


やっぱり、私には何かするべき運命にある。
お嬢様がその運命に私を導こうとしている。

私は頭の中で考える。
もちろん、この状況、脱出以外に考えられない。
私はこの脚では、遠くに行く事はできない、第一層に行くなんて不可能だ。
河童が作った隠し通路を見つけるのもほぼ不可能だ。
なにがあるんだ一体‥‥


私は唐突に気付いた。
ここは地下なのに、空気を取り入れる場所が存在しない‥‥
いや、あるのは間違いない。お嬢様ならまだしも人間が酸素なしに生きていくのは不可能だ。
見取り図を思い出す。
穴が地下深くにあることはまずない。

そうだ。
さっき大気の気を探知して気付いたことがある。
地上では動き続ける気の流れが、生物が少ない地下において、気はほとんど変化なく停滞している。
気が変化する場所を探しだせば穴にたどり着く。

私は考え終わると、
左腕だけで、ほふく前進の姿勢で体を起こす。
腱が切れているので走る事はできないけど、まだ気を扱うことはできる。
左手に気を集め爆発させる。
私の体は推進力を得て、引きずられながら前に吹っ飛ばされる。
これを繰り返し移動する。

咲夜さんは時間を止めた直後の上、お嬢様が食い止めてくれるからしばらくはもつ。

わたしは第二層にたどり着くと、大気の気を探知する。

あった!!

わたしは力を振り絞ってその部屋に移動して入った。

ぐずぐずしてられない、血の跡で場所がばれてしまう。



その部屋は、私が最初に寝ていた部屋だった。
私は感覚のない脚を気合だけで動かして、気が入ってくるその場所に近づく‥‥



その場所には1/1れみぃー人形があった。
その人形をどかすと大きな穴があり、中から風が入ってくるのを感じる。

私は帽子から魔法の筒を取り出し、穴に突っ込んで発動させると中に放り投げる。

私は‥‥‥‥‥人形を戻し倒れた‥。

右腕は折れ、両足の腱は切れ、左腕は焦げて黒くなって、体に大きな刺し傷がある。
引きずってボロボロの体はもう感覚がほとんどない。
ただ、‥‥満足している‥‥

「どうやって知ったかわからないけど、その穴から脱出する気だったの、残念ね。」

扉の方から咲夜さんの声がした。
しかし、私に顔を上げる体力はもうない。

「まぁ、これ以上やったら死んじゃうから許してあげるわ。」

近づいてくる。

「さぁ、着けるわよ。」

首に圧迫を感じる。
脱力感を感じる。もう、指一本動かない‥‥

「その傷が治るのは大体明後日ね、治ったら地下の道具を一通り使って調教してあげる。」

咲夜さんが笑いながら、私を背負う。

私は薄れていく中で、咲夜さんの首に禍々しい霊力を感じ見ると、首に一本の針が刺さっていた。

私は口を伸ばして抜こうとしたが意識を失った。


‥あとはお願いします‥‥‥パチュリー様‥‥‥‥小悪魔‥‥‥‥‥‥‥



                    ・
                    ・
                    ・
                    ・



数日後、レジスタンス幹部:魂魄 妖夢とパチュリーは薄暗い穴に転移した。

塞ぐものを退かすと、部屋の灯りが穴の中を照らした。

すると、二人は壁に書かれた紅い文字に気付いた。


「   私は  紅 美鈴  です。
    
    もし、私のことを知っているならどうかお願いします。

    こんな事を言うのは変かもしれませんが家族を助けてください。

    紅魔館は私のたった一つの住処であり、私の好きな人達が居る場所です。

    我侭な悪魔、寂しがりな悪魔、瀟洒なメイド、本好きの魔女、悪戯ずきの小さな悪魔。

    すべては、あの巫女が元凶で、咲夜さんは操られているだけです。

    私はあの幸せを、幸福を、まだ感じられる状態であることを祈ります。

    後は頼みます。                         紅魔館の門番   」
                                  


「美鈴‥‥‥」

「急ぎましょう!!パチュリーさん。」

第三層に降りた二人が見たものは‥‥‥



笑い続けるメイドと‥‥空腹のため自分の○○を食べる犬と‥‥‥その光景に涙を流す吸血鬼がいた。

半分人間である妖夢は吐き気を堪えながら言った。


「あの時の決着をつけさせていただきます。御免!!」

「あの時の死にぞこないか‥‥、今度こそ殺してあげるわ。」

刀とナイフが交差する。


その隙に、パチュリーは吸血鬼の拘束を解いた。

「レミィ‥‥」

「大丈夫よパチェ‥‥戦いは始まったばかりよ‥‥‥一人‥‥たった一人よ‥‥‥
 私の運命の先には‥‥まだまだ‥‥‥消えていく‥‥‥‥輝きが‥見えるから‥‥‥。」



その日のうちにレジスタンスには、吸血鬼とその従者が参加した。

 乱世の世 戦いは始まったばかりである。

                                                TO BE CONTINUED

















以上が「夢と現の呪」の境界を操作して手に入れたレミリア・スカーレットの夢の内容のごく一部である。

これが未来に起こりうる運命なのか、それとも、紅い悪魔によってもたらされる未来なのか‥‥

いまだ、突然、幻想郷に現れた運命を操る悪魔の危険性は未知数です。

引き続き、調査を続行します。                              
                                            八雲 紫 



全部含めて、大変長い文、読んでくださった方も読んでない方も
ありがとうございます。お疲れ様でした。

<前半>霊夢とレミリアと咲夜の日常の話です。
なんか漫才っぽい。この空気は気に入り。

<後半>シリアスな美鈴の話です。
圧倒的な能力を持つ咲夜vsただの人妖の美鈴を描きました。
後日談にも関わらず、話が90度ぐらい変わっているので、続きを期待した人すいませんでした。
当初500字でしたが、幻想卿のカリスマ:博麗霊夢によって増えました。
文中の元ネタがわかると、なお良し。
色々、穴があると思うんで指摘してもらえると参考になります。穴だらけ‥
可愛そうなので美鈴の最後は突っ込まないでください。

ほんとは全部もっともっと短くて一つにする予定でした。
人形遣いの話が以上に長くなったせいで‥‥‥

評価はわかりませんが、好みは、第1話、第3話、第2話の順です。

最後まで読んでくれてホントありがとう。
カリスマなき幻想の旅人
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コメント



0.540簡易評価
6.80名前が無い程度の能力削除
ちょっ…!? 続きは!?
凄く読みたいんですけど!!
7.90SETH削除
あの・・・犬は・・・何を・・・食べていたのですか・・・・w
8.無評価カリスマなき幻想の旅人削除
ご感想、ご指摘ありがとうございます。
重要なので早めに本文の追記として書き残しておきます。

>名前が無い程度の能力さま
続きは書く気はありませんでしたが、元軍人のレイセンが主役の続編
、このおまけに負けない深い構想と表現を本気で考えておきます。

>SETHさま
あの「犬」が食べていたのは自分の○○です。
ここに文字で書いても修正がかかるぐらい、このSSが消されるくらい、
ヤバイので想像にお任せします。
可愛そうな彼女は助かりましたが壊れました。
12.30名前が無い程度の能力削除
1話は面白かったです。
ですが、2話、3話から表現や文体が稚拙になっていった感じがしました。
ので、この点数。

個人的には点穴という名前が某忍者漫画そのままだったのが微妙でした。
名前を変える、もしくは別の表現にして名前を出さないようにする、といいかな、と。
乱文失礼しました。
15.-10名前が無い程度の能力削除
こういう表現は自分も含め気分を害する人がいるのであまりしない方がいいと思います。
18.無評価名前が無い程度の能力削除
つまらん