この話は求聞史紀のネタばれあります。
各話はまったく繋がってません。
設定も何もかもが別物です、飽きたら次の話を読んでください。
<小話> ある人形遣いの話。
日の光でさえ行き届かない ふかいふかい湿気をたずさえた森の中
そんな森の一角こじんまりとした洋館に一人の人形遣いが住んでいました。
彼女は魔法使いでした。
魔法使いはヒトを避けます、ヒトは魔法使いを避けようとします。
魔法使いのイメージは良くありません、人の姿をしてヒトではない、あらゆる現象を操る魔術。
ヒトは恐れ、妖怪は敵視し、魔法使いは孤独です。
人間は孤独に耐えられません、ですが大半の魔法使いは孤独を苦にしません。
彼女はその少数‥‥孤独がたまらなく苦しかったのです。
なぜなら彼女はヒトを捨てて魔法使いになったため、いまだヒトを捨てられません。
棚に並ぶ人形も、工房に並ぶ人形も、寝室に並ぶ人形も、リビングに並ぶ人形も、倉庫に眠る人形も、
彼女の寂しさを満たすことは出来ませんでした。
魔法使いの日常は研究です。
少女の夢は自立して動く人形でした
少女は工房の中、唐突に来る寂しさを、その夢を考えながら人形を作ることで忘れようとします。
そんなとき、外の方何やら懐かしい力を感じました。
窓に目をやると、5月になったとゆうのにいまだこんこんと雪が降っています。
大変な異変でしたが、少女は自分は特に不便を感じないので何もしませんでした。
今こっち側に力を持った誰かが近づいています、前に感じた事のある力です。
少女はふと思い立ったように作りかけの人形を置くと、玄関に向かいます
彼女がつぶやくと、命を与えられたようにたくさん人形たちもあとを追います。
少女と人形たちはしんしんと降る雪の中に消えていきました。
そして、紅白の巫女と黒白の魔法使いに出会いました。
少女は 「久しぶりね。」 懐かしさの中に感じる嬉しさを隠しながら言いました。
二人の少女達は少女のことを覚えてませんでした。
バタンッ!とドアが閉まる。
弾幕ごっこでボロボロになった服や人形も気に止めず、ベッドで朝まで泣きました。
起きたら昼でした。鏡を見たら目は真っ赤、髪はぼっさぼさ、
調和のとれた部屋は散らかった人形と落とさなかった雪でぐっしょぐっしょ。
少女はためいきを吐くと、魔法の糸を紡ぎ人形を操りました。
数週間後‥‥
この数週間、何もやる気にならなかった。布団の中でずっと不貞寝。
このまま死んだら‥‥‥「怪奇っ!!辺境の森の館で白骨死体 上海人形は見ていた!!」
くだらない妄想を考えながらまた布団を被った。
「おーい」
うるさい
「おおーーーい」
うるさい うるさい
「おーい!」
五月蠅い 五月蠅い 五月蠅い
「おーい!! 七色魔法馬鹿ーー。」
えっ 私に言ってんの
「おおーいッ!!! いい加減にしないと私の魔砲が火を噴くぜっ!!」
こんな辺鄙なところに人!? ほんとに私に言ってるのね そうなのね
「三秒待つぜ留守だったら返事しろよ!!‥サンーー!!‥‥‥‥」
えっそれ無理じゃん それにあんなの食らったら大事な蒐集物ごと家吹っ飛ぶし。
「‥ニィーーーー!!‥」
布団を足で蹴り飛ばし、ガターンと窓を開け放ち、大きく体を乗り出す。
「うるさーーーーーいッ!!」「‥イィーーーチッ!!!‥」
文句言って、見れば今まさに八卦炉に魔力が集まって‥‥
「マスタースパー‥‥」
私は咄嗟に庭の簡易なトラップを発動させる。
地面から飛び出した人形たちが八卦炉を奪い取った。
「居るなら早く返事しろよ。危うく魔法の森の地形が変わるとこだったぜ。」
「五月蠅い。あなたと違って私は都会派なの、ちゃんと玄関をノックしなさい。」
「ノックしたんだが反応がなかったんでな。はっきり確かめようと思ってな。」
「まぁいいわ。立ち話もなんだから入りなさい。」
「おうっ!」
数年ぶりに人が家に入った。
リビングに招き入れると人形の多さに驚いたようだったが勝手に部屋を歩き回った。
紅茶を入れてくるわ。と立ち去ろうとすると、グリモワールが詰まった本棚の前で「読んでいい?」と聞いてきた。
断る理由もなかったので 別にいいわよ。と言おうとした時にはもうすでに本を開き始めていた。
厄介なやつ入れたもんだと思ったが紅茶を入れにいった。
寂しいことは寂しいがさっきの事も含めてこんな迷惑なやつはさっさと帰ってほしいと思った。
さっさと追い返すことにしよう。
紅茶を持ってくるとソファに寝そべって本を読んでいた。
まったくずうずうしい。用は何?と冷たく聞くと「落し物を届けに来たんだ。」といって
本を読みながら真っ黒な三角帽子の中からツギハギだらけの仏人形を取り出した。
「あの時ボロボロな人形を拾ったんで頑張って直したんだ。」
人形を見ると、左右の手の中の綿の量が違うのか右の手はぷらーんとなってるが右はピーンとなってる
両目に入れて置いたガラス球は、右だけシャツのボタンがぬいつけてあった
破れた箇所は布と合ってない黒い糸で全部縫い付けてあったせいでどこか痛痛しい
昔読んだ本のフランケンシュタインの挿絵にどこかそっくりと思った。
私はクスッと笑った。
「やっと笑ってくれたな。」
前を見ると本を読んでいたはずの黒白の魔法使いは私の顔を下からのぞきこんでニヤニヤしてた。
なんてやつ!!嵌められた。!
どことなく恥ずかしかったので照れ隠しに人形の背中を見ると小さな紅い染みを見つけた。
血のようだった。裁縫中に指を刺したのだろうか。
だから思った。多分さっきの挨拶も私が布団から出てこないのを知っててやったんだ。
ひねくれてはいるが根はいいやつだ。
そう思った。結局、私はそいつと日が暮れるまで一緒にいた。
友達が一人出来た。
どうやら人間の魔法使いだったらしい。
私と同じ魔法の森に住んでいて蒐集家、私と違って行動的でやることがないときは出かけているらしい。
魔法は役に立たないものが多い。あれから、たまに家にくる。
来ると、ただ飯、物がなくて寝やすいと寝るか、私の本を読んでいるか、蒐集物を自慢してくる。
あるとき、神社に連れて行かれて紅白の巫女に出会った。
私は人見知りするほうだったが、気付けば三人は前からの友達だったように私は打ち解けていた。
その日、友達が一人増えた。
あるとき、紅い館に連れて行かれて図書館でメイド長と魔女に出会った。
魔女は最後まで本から目を離さなかったが私を認めてくれたらしく本を勝手に持って行かないことを条件に
図書館の出入りを自由にしてくれた。当然だと思ったが隣の黒白が「贔屓だぜーー」と言っていた。
私の家の本も蒐集物も目に見えて無くなっていた。彼女とは気が合いそう。
メイドは紅茶を持ってきたときに一度見かけたが、なぜか頭に「瀟洒」と言う単語が浮かんだ。
作りかけの人形があったので先に帰ろうとしたときに玄関まで見送ってもらった。
歩けば玄関まで数十分かかるであろう長い長い廊下を一緒に歩きながら
唐突に、メイドは「あなたは孤独を知ってる?」と聞いてきた。
「さぁ、どうかしら。」
私はドキッとしたがはぐらかした。
「そぅ‥私は本当の孤独を知っているわ‥‥‥」
心臓が止まるかのような感情のない声。
感情が籠もってないんじゃない……生きてきた人生で際限なく削られ磨耗しきった感情の敷きつめられた声。
際限なく削られたものはどこまでも鋭い刃になる…その感情のナイフを……生の存在の意味に突き立ててくる‥
ソイツの目を見てはいけない…目にはその人の内面が映し出される……ソイツの紅い目にはアル
ヤダ‥やめて………みない…で…ソノ目で見ないで……ヤメテ…自分が…生きて…イキテる意ミがズタずタ……
「それ…は‥‥何?」
‥‥‥コワ‥い‥
「さぁ、どうかしら。今、少なくとも孤独を感じないでしょう‥私達‥‥。」
そこに居た殺人鬼は消えた。
そこに居るただの完璧で瀟洒な従者は親しみを込めて冗談っぽく言う。
「そうね。」
どうやら彼女は私を心配してくれていたらしい。すごい目利き。
前を向くといつのまにか玄関についていた。
「着きました。それでは帰りの道中お気をつけくださいまたのお越しをお待ちしております。」
メイドはお辞儀をする。
私は飛び立つ。振り返ると、来た時に立ちながら寝ていた赤い髪の中国人に土下座されるメイド長。
仲間が一人、知り合いが一人できた。
あるとき、神社の宴会に呼ばれた。そこには、
新曲「わたしの思い うふうふふ☆」を歌い始める。酔って本性ちょっと出てる魔法使い。
陰陽玉の上に陰陽玉を置いていく(7段目)、頭の中がさらに春満開の酔った紅白の巫女。
そんな紅白の巫女を熱っぽく見つめてうっとりする酔った幼い吸血鬼。
傍らにはそんな紅白を羨ましそうに見ながら玉子焼きにブラッドソースをかけるメイド。
木によりかかりながら「宴会の盛り上げ方-モノマネ編-」と書かれた本を黙々と読む七曜の魔女。
誰も見てないのに、泥酔した状態で指一本倒立を披露する中国人。
「それは食べないでくださいよ~」と情けない声を出す泣きそうな顔の半霊の庭師。
「鮮度が大事よね」と言って白く透き通った細長いものに醤油をかけ始める亡霊姫。
神社の屋根でそれを見つめる仲間はずれの祟り神。
知り合いがたくさんできた。
3日置きに続く宴会を不審に思ったので、調べると小さな鬼に出会った。
人のことを知ったようにしゃべるので、懲らしめてやろうと思ったが負けてしまった。
あとで巫女にチクッてやったら、次の宴会のときに包帯巻いて参加していた。
謝ってくれたので許してやったけど、
その代わり私のすべての人形をキン消しにすり替えたスキマ妖怪から人形を奪い返してくるように言った。
戻ってきた人形はすべて額に油性マジックで肉と書いてあった。
鬼にインクだけ集めてもらった。便利。
・
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・
・
満月が無くなった夜、黒白の魔法使いと調べに行った。
途中、巫女と加齢臭のする年増スマキ妖怪、半人半霊と亡霊、吸血鬼とメイドに会った。
異変を解決すると白沢と月と地上のウサギ、蓬莱人三人が知り合いになった。
月のウサギは「弾丸」と言っていたが知らなかったので座薬としておこう。
姫はどこか危険な魅力を持っていた、関わりたくない。
薬師は1から100を知る天才だった。思考に関してはスキマ妖怪と同じでまったく意味不明。
もんぺは、弾幕ごっこにもかかわらず何回も死んでいた。
・
・
・
・
花の異変の時、私の自立人形の研究は大きく進んでいた。
ヴワル図書館の膨大な本、自立人形に関するものはなかったがヒントとなる本は見つけた。
とりあえず試して見ることにした。
数千億にもなる魔術の式や困難な暗号の解読はどうしようもなかったのでスキマ妖怪と薬師に頼んだ。
薬師は私の鉱石のすべての蒐集物を交換に問題なくやってくれた。
スキマ妖怪は絶対に断ると思ったが面白そうだと言って引き受けてくれた。
異変が終わる頃には、信じられないが依頼したことは終わっていた。
私はびっしりと文字で埋め尽くされた数万に及ぶ紙を受け取って、二人に ありがとう。と言った。
最後にスキマ妖怪は手伝っておいて「やめたほうがいいわ。」と忠告した。
私が なんで?と聞くと 後悔するわ。と言って隙間の中に消えていった。
私は家にこもって準備を始めた。
一ヶ月ほどで家の地下室ですべての用意が済んだ。
たまに黒白が家に来たけど忙しかったのであいずちを打っていたら帰った。
また来たけど、最後に来たとき「それが終わってから来るぜ。」と言って帰った。
少し心が痛んだがすぐに没頭した。
私は地下室で10年間ほど溜め込んだ魔力を開放する。
壁、床、天井、数メートルに及ぶ文字で埋め尽くされた魔法陣に魔力が行き渡り。
埋め尽くす光にと共に限りなく精巧に作った人形に魔法が発現した。
「‥私‥‥ダレ‥‥‥?」
自立人形が完成した。
・
・
・
人形遣いが作った自立人形は完璧ではなかった。
その仕組みは人形に最高純度の魔石を埋め込み、体中を魔法の糸を幾重にも幾重にも張り巡らせたもの。
その魔法は、世界から引き出すためのもの。
運命という決められた事象が存在するなら、その逆に決められていた事象も存在すると思った。
ある一人の人物のすべての事象‥思考、物の価値観、喜怒哀楽の感情、仕草、表情の作り方‥‥‥‥‥‥‥‥
食事や記憶など人形に不要な物を除いて世界に残った記憶からすべてコピーした。
あの図書館には運命に関するグリモワールが何冊も眠っていた。
運命に関する本は封印された禁書であったが無視した。
魔石にはただ一つの行動を術式で書き込んだ。
「必要なものを記録して、不必要な物は忘れる事」
だからその人形は、与えられたことにその人がしたであろう反応をし、
その人が必要と思ったことを記録し、不必要と思ったことを忘れ、
それを踏まえた上で、その人がやったであろう未来の行動を取り始める。
それを「自立している」と言うのかわからない。
魔石を脳に見立て、魔法の糸を神経にした人のコピー。だけど確実に心は存在しない人形。
ただ、ビデオテープの続きを見ているにすぎない。
魔石に魔力を入れれば動き、魔石の容量に限界が来れば壊れる。
人形遣いはそれが自分の求めるものと違うとわかっていた。
人形の少女と話した。
表情、仕草、口調、どれを見ても人間にそっくりだった。
生きてないとわかっていても、赤ん坊のように無知な人形の少女に色々教えると、
まだ教えてない鍋を持って、フライパンと同じね。と言った。
記憶し、思い返し、思考し、行動する。まるで自我をもっているような錯覚。
人形遣いは嬉しくなって、その日ずっと少女に物を教えていた。
次の日、人形遣いは家の外を教えてあげた。神社や人間の里、湖や紅い館、竹林に古屋敷。
冥界はやめておいた、少女が混乱するだろうから。
次の日、人形遣いは一日中、人形の少女と話続けた。
次の日、人形遣いは一日中、人形の少女と話続けた。
次の日、人形遣いは一日中、人形の少女と話続けた。
次の日、人形遣いは一日中、人形の少女と話続けた。
次の日、黒白の魔法使いがやってきたので、少女を里の迷い人だと紹介した。
久しぶりだったので、紅茶はいつもより高級なやつを出してあげた。
人形遣いは、最後まで気付かなかった魔法使いに少女が人形だと言うと驚いてコケた。
次の日、巫女と魔法使いがやって来た。
魔法遣いと人形遣いは巫女を騙そうとしていたが、巫女は目の前の少女に向かって
「よく出来ているわね。」
「えっ!?どうしてこの子が人形だってわかったの?」と人形遣いは驚いて聞いた。
「そうなの?私はその子の服の事を言ったのよ。
あなたのいつも持ってる人形の服と一緒だったから。」
人形遣いは急いでいたために、近くの人形のデザインと同じにした事を思い出した。
「すごいわね。近くで見ていても人間と変わらないわ。」
魔法使いは失敗して残念そうだったが、人形遣いはとても喜んだ。
次の日、人形遣いは一日中、少女と話続けた。
次の日、黒白の魔法使いがやってきた。
いつも来客のために入れる紅茶は出さなかった、少女が不憫に思うといけないから‥‥
人形遣いは魔法使いに少女の事について話してあげた。
魔石を中心に動いている事や、魔法の糸を幾重にも張り巡らしてあること、その仕組み……。
帰り際、宴会に来ないかと誘われた。私は少女が寂しがると思って断った。
次の日、人形遣いは一日中、少女と話続けた。
次の日、人形遣いは一日中、少女と話続けた。
次の日、前に一度来たカラスを連れた天狗が取材させてくださいと家にやって来た。
今日は気分が良かったので快く応じた。少女は寝ていたので起こしてくるわ。と言って、
少女の部屋まで行くと中から鍵がかけてあったので入れなかった。
そのことを天狗に言うと、残念そうに「じゃあいいです。」と呟いた。
あまり聞く事がないのか2、3聞くとメモを書き続けていた。
終わったのかメモをしまうとさっさと帰ってしまった。
次の日、人形遣いは一日中、少女と話続けた。
次の日、いたる所に人形遣いの事を書いた新聞が配られた。
人形遣いの所には配られなかったが一日中、少女と話続けた。
次の日、人形遣いは一日中、少女と話続けた。
次の日、人形遣いは久しぶりに食事を取ろうと人間の里に買い物に行くと、
白沢ともんぺに出会ったので挨拶をした。
二人はよそよそしい感じで挨拶を返してきた、特に白沢の方は少し警戒した様子だった。
人形遣いは家に帰ると、少女と話続けた。
次の日、人形遣いは一日中、少女と話続けた。
次の日、黒白の魔法使いがやって来た。
怒った様子だったので、どうしたの?と聞いた。
すると、手に持っていた新聞を渡してきた。どうやら私の記事が書いてあるらしい。
記事を見ると、ああ、なるほど。道理で周りが避けると思った。
「みんなの誤解を早く解きに行こうぜ。」と言ったけど、人形遣いは「別にいいわ。」と言った。
それから魔法使いと人形遣いは言い争いになった。
2時間ぐらいして、魔法使いは猛烈に怒ってドアを蹴飛ばすと空に消えていった。
人形遣いは、少女に慰めてもらった。
知り合いがたくさん減っていたのを知った。
次の日、人形遣いは一日中、少女と話続けた。
次の日、魔法使いがキノコを手土産に仲直りをしにきた。
どうでも良かったので適当に聞き流していると、
いきなり怒り出して、「真面目に聞いてるのか!!」と聞いてきた。
人形遣いは「聞いてなかったんじゃない。」と他人行儀に言った。
「お前から泣きついてくるまで、絶対に仲直りしないからな!!絶交だぜっ!!」
と言って窓をぶち破って飛び出していった。
心が少し痛んだ気がしたが、どうでも良かった。
私には私のためだけに存在する無二の親友がいるのだから‥‥‥。
友達が一人減った。
次の日、人形遣いは眠らずに少女と話続けた。
次の日、人形遣いは眠らずに少女と話続けた。
次の日、人形遣いは眠らずに少女と話続けた。
・
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ある日、ふと神社に寄ってみた。そこには境内を掃除する一人の巫女がいた。
「久しぶりね。」
「あら、ずいぶん久しぶりね。あなたの家で会ったので最後かしら?」
「そうね。それが最後かしら。」
「まぁ、今お茶を入れてあげるから入りなさい。」
人形遣いは神社の中に入った。
「それで、何の用かしら?」
「近くに来たから寄ったんだけど、別に用はないわ。
ところで、あなたはあの新聞を読んでないのかしら。」
「ああ、あれね。読んだけど、私は実物を見ているから一発で嘘だってわかったんだけどね。
あの日、私は行かなかったんだけど紅魔館でパーティーがあったらしくて、
あの万年酔っ払いがあなたのことをなんか中途半端に言っちゃって何か真実味が出てきたらしくて。」
ああ、なるほど。誤解ってのはそのことか‥鬼は嘘をつかないことで有名だから‥‥。
その後、巫女と黒白の魔法使いの魔法使いの事を話した。
この巫女は不思議な力を持っている。
年中暢気にしているが、自覚してか、しないでか、だれよりも物事を理解して、
この楽園において在るべき方向に導いてくれる。
恐怖を意する紅い悪魔、周りに猛毒をもたらす蓬莱人、その毒に汚染された蓬莱人達。
この巫女に会うと本来の在り方を失い、この楽園においての在り方を見つける。
だから、いままでの在り方を失い始めた人形遣いは気がついた。
目の前の巫女はすべてを在るがままに生きて、そのあり方に憧れを抱かせる巫女。
本当は、この楽園がありのままに存在していくために、この巫女は存在している。
巫女はこの楽園のために回され続ける歯車‥‥大結界のシステムの一っ‥‥
人の形をしているが、その中身は空虚で同類は存在しない。
たとえ、あの黒白の魔法使いが楽園を滅ぼそうとすれば、彼女なら躊躇いなく殺せてしまうだろう。
はじめから、この巫女は仲間などいなかったんだ‥‥
人形遣いは さよなら。と言って神社を後にした。
願わくば、紅い悪魔が孤独も感じることのできない空虚な人形の運命を変えてくれますように‥‥‥。
そこには、友達など初めからいなかった。
次の日、人形遣いは眠らずに少女と話続けた。
次の日、家で少女と話していると、少女が不思議そうな顔をしたので後ろを見てみると、
メイドが紅茶を入れていた。時を止めて入ったらしい。
「悪い事は言わないわ、その人形を放棄しなさい。」
おびただしいナイフが少女を取り囲む。
人形遣いは咄嗟にナイフを背にして少女を庇いながら、「やめてっ!」と叫んだ。
ナイフは一瞬で消えたので、人形遣いは不思議そうにメイドを見た。
メイドは一瞬悲しそうな目をして、紅茶を残して消えてしまった。
残された紅茶は‥‥とてもあたたかかった‥‥‥。
その日、友達が一人減った。
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・
少女と二人で半年ほど暮らした。
少女は人間と違う人形の体と人間の精神の摩擦のせいで発狂してしまった。
人形遣いは、泣きながら魔力を抜いて死んだように固まった少女を湖の近くに埋めた。
一人になった人形遣いはとり憑かれたように三体の人形を作った。
かぎりなく精巧に、食事や排泄などを行う擬似的な器官のような中身も作った。
髪が伸びる呪いなどあらゆる魔法も使って、どこまでも限りなく見た目には完璧に人間の人形を作った。
眠る事も食事する事もなかったので2年ほどで完成させることができた。
巫女、魔法使い、メイド、三体の自立人形ができた。
人形遣いは旧友に会ったのが、とても嬉しくて、思い出話をしゃべり続けました。
・
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それからしばらくして、4人で人間の里に出かけると
よくわからないけど里の人たちに不思議な目でじろじろ見られたので嫌な気持ちになりました。
人形遣いは4人では家が狭かったので引っ越す事に決めて。
里の事を思い出すと、だれも知らないひっそりしたとこに住みたいと思った。
マヨイガのことを思い出して、一人でスキマ妖怪に会いに行った。
スキマ妖怪にマヨイガに住みたいと言ったら、「別にいいわよ。」と言った。
最後に付け加えるように言いました。
「‥霊夢も‥魔理沙も‥もう‥死んでしまったわ‥‥。」
やっぱり、この妖怪はおかしなことを言う。
今、二人とは一緒に暮らしていると言うのに‥‥‥‥。
無視して引越しのために家に飛んで帰った。
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私達がマヨイガに引っ越してからずいぶん経った。
今、マヨイガの住人はずいぶんと増えた。
吸血鬼の姉妹、本好きの魔女、赤い髪の武術家、能天気な亡霊、半人前の庭師、妖精たち、
長い黒髪を持った高貴な人間、いつも研究室で実験をしているその従者、それに仕える兎が二人、
商いを行う人間達、農業をする人間達、走り回る子供達、それを見守る白沢と人間、‥‥‥‥‥。
「妖怪」と「人間」の共存する村はどこよりも楽しそう。
そこに住む人形遣いは幸せだった。
人形遣いの母は、そんな人形遣いを大変悲しそうに思っていました。
人形遣いの母は一つの世界を作った神でした。
彼女は、結果的に自分と同じ道を進んで、自分以上に孤独な娘を救ってあげたかった。
人形遣いの母はこっちに帰ってくるように娘に言いました。
娘はけっして帰ってこようとしませんでした。
人形遣いの母は力づくで連れ帰そうと、力の強い神は直接行くことができないので迎えを送りました。
しかし、誰一人として帰って来ませんでした。
人形遣いの母は何度目かに子供たちの殺しあうことに耐えられなくなりました。
人形遣いの母は深い悲しみを持って人形遣いと永遠に縁を切りました。
人形遣いは、親を捨てて本当の「一人ぼっち」になりました。
・
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何百年もその村はあり続けました。
だけど、その村に住んでいるのはたった一人の魔法使いだけでした。
人形遣いは、いつの間にか睡眠も食事もとることもなくなり、
「孤独」のなかで苦を感じない‥本当の魔法使いになりました。
少女は気付きませんでした。そこには、
永遠に幼い紅き月も、悪魔の妹も、完全で瀟洒な従者も、知識と日陰の少女も、華人小娘も、
楽園の素敵な巫女も、普通の魔法使いも、幽冥楼閣の亡霊少女も、半分幻の庭師も、知識と歴史の半獣も、
幸運の素兎も、狂気の月の兎も、月の頭脳も、永遠と須臾の罪人も、蓬莱の人の形も、すべてのものが‥‥‥、
何も最初からなかったことに‥‥‥‥
その魔法使いは気付きませんでした。
自分はもう人形遣いではなく、人形に遣われている存在であることに‥‥‥。
自分は何百年もずっと、ただ一人だったと言うことを‥‥‥‥。
魔法使いは本当は気付き始めていました。
それは、人形を作るたび魔法を行使するたび違和感を感じ続けて。
それはもうぎりぎりの所で、きっかけがあれば気付くところまで来ていました。
魔法使いは、ふと棚に置いてあるツギハギの仏人形を見つけました。
そして魔法使いは 「 本当の孤独 」 を知りました。
それは、運命の禁書に手を出した報いだったのか、魔法使いでありながら孤独を嫌ったことか。
少女はツギハギの仏人形と消えました。
そして誰もいなくなりました。
END
各話はまったく繋がってません。
設定も何もかもが別物です、飽きたら次の話を読んでください。
<小話> ある人形遣いの話。
日の光でさえ行き届かない ふかいふかい湿気をたずさえた森の中
そんな森の一角こじんまりとした洋館に一人の人形遣いが住んでいました。
彼女は魔法使いでした。
魔法使いはヒトを避けます、ヒトは魔法使いを避けようとします。
魔法使いのイメージは良くありません、人の姿をしてヒトではない、あらゆる現象を操る魔術。
ヒトは恐れ、妖怪は敵視し、魔法使いは孤独です。
人間は孤独に耐えられません、ですが大半の魔法使いは孤独を苦にしません。
彼女はその少数‥‥孤独がたまらなく苦しかったのです。
なぜなら彼女はヒトを捨てて魔法使いになったため、いまだヒトを捨てられません。
棚に並ぶ人形も、工房に並ぶ人形も、寝室に並ぶ人形も、リビングに並ぶ人形も、倉庫に眠る人形も、
彼女の寂しさを満たすことは出来ませんでした。
魔法使いの日常は研究です。
少女の夢は自立して動く人形でした
少女は工房の中、唐突に来る寂しさを、その夢を考えながら人形を作ることで忘れようとします。
そんなとき、外の方何やら懐かしい力を感じました。
窓に目をやると、5月になったとゆうのにいまだこんこんと雪が降っています。
大変な異変でしたが、少女は自分は特に不便を感じないので何もしませんでした。
今こっち側に力を持った誰かが近づいています、前に感じた事のある力です。
少女はふと思い立ったように作りかけの人形を置くと、玄関に向かいます
彼女がつぶやくと、命を与えられたようにたくさん人形たちもあとを追います。
少女と人形たちはしんしんと降る雪の中に消えていきました。
そして、紅白の巫女と黒白の魔法使いに出会いました。
少女は 「久しぶりね。」 懐かしさの中に感じる嬉しさを隠しながら言いました。
二人の少女達は少女のことを覚えてませんでした。
バタンッ!とドアが閉まる。
弾幕ごっこでボロボロになった服や人形も気に止めず、ベッドで朝まで泣きました。
起きたら昼でした。鏡を見たら目は真っ赤、髪はぼっさぼさ、
調和のとれた部屋は散らかった人形と落とさなかった雪でぐっしょぐっしょ。
少女はためいきを吐くと、魔法の糸を紡ぎ人形を操りました。
数週間後‥‥
この数週間、何もやる気にならなかった。布団の中でずっと不貞寝。
このまま死んだら‥‥‥「怪奇っ!!辺境の森の館で白骨死体 上海人形は見ていた!!」
くだらない妄想を考えながらまた布団を被った。
「おーい」
うるさい
「おおーーーい」
うるさい うるさい
「おーい!」
五月蠅い 五月蠅い 五月蠅い
「おーい!! 七色魔法馬鹿ーー。」
えっ 私に言ってんの
「おおーいッ!!! いい加減にしないと私の魔砲が火を噴くぜっ!!」
こんな辺鄙なところに人!? ほんとに私に言ってるのね そうなのね
「三秒待つぜ留守だったら返事しろよ!!‥サンーー!!‥‥‥‥」
えっそれ無理じゃん それにあんなの食らったら大事な蒐集物ごと家吹っ飛ぶし。
「‥ニィーーーー!!‥」
布団を足で蹴り飛ばし、ガターンと窓を開け放ち、大きく体を乗り出す。
「うるさーーーーーいッ!!」「‥イィーーーチッ!!!‥」
文句言って、見れば今まさに八卦炉に魔力が集まって‥‥
「マスタースパー‥‥」
私は咄嗟に庭の簡易なトラップを発動させる。
地面から飛び出した人形たちが八卦炉を奪い取った。
「居るなら早く返事しろよ。危うく魔法の森の地形が変わるとこだったぜ。」
「五月蠅い。あなたと違って私は都会派なの、ちゃんと玄関をノックしなさい。」
「ノックしたんだが反応がなかったんでな。はっきり確かめようと思ってな。」
「まぁいいわ。立ち話もなんだから入りなさい。」
「おうっ!」
数年ぶりに人が家に入った。
リビングに招き入れると人形の多さに驚いたようだったが勝手に部屋を歩き回った。
紅茶を入れてくるわ。と立ち去ろうとすると、グリモワールが詰まった本棚の前で「読んでいい?」と聞いてきた。
断る理由もなかったので 別にいいわよ。と言おうとした時にはもうすでに本を開き始めていた。
厄介なやつ入れたもんだと思ったが紅茶を入れにいった。
寂しいことは寂しいがさっきの事も含めてこんな迷惑なやつはさっさと帰ってほしいと思った。
さっさと追い返すことにしよう。
紅茶を持ってくるとソファに寝そべって本を読んでいた。
まったくずうずうしい。用は何?と冷たく聞くと「落し物を届けに来たんだ。」といって
本を読みながら真っ黒な三角帽子の中からツギハギだらけの仏人形を取り出した。
「あの時ボロボロな人形を拾ったんで頑張って直したんだ。」
人形を見ると、左右の手の中の綿の量が違うのか右の手はぷらーんとなってるが右はピーンとなってる
両目に入れて置いたガラス球は、右だけシャツのボタンがぬいつけてあった
破れた箇所は布と合ってない黒い糸で全部縫い付けてあったせいでどこか痛痛しい
昔読んだ本のフランケンシュタインの挿絵にどこかそっくりと思った。
私はクスッと笑った。
「やっと笑ってくれたな。」
前を見ると本を読んでいたはずの黒白の魔法使いは私の顔を下からのぞきこんでニヤニヤしてた。
なんてやつ!!嵌められた。!
どことなく恥ずかしかったので照れ隠しに人形の背中を見ると小さな紅い染みを見つけた。
血のようだった。裁縫中に指を刺したのだろうか。
だから思った。多分さっきの挨拶も私が布団から出てこないのを知っててやったんだ。
ひねくれてはいるが根はいいやつだ。
そう思った。結局、私はそいつと日が暮れるまで一緒にいた。
友達が一人出来た。
どうやら人間の魔法使いだったらしい。
私と同じ魔法の森に住んでいて蒐集家、私と違って行動的でやることがないときは出かけているらしい。
魔法は役に立たないものが多い。あれから、たまに家にくる。
来ると、ただ飯、物がなくて寝やすいと寝るか、私の本を読んでいるか、蒐集物を自慢してくる。
あるとき、神社に連れて行かれて紅白の巫女に出会った。
私は人見知りするほうだったが、気付けば三人は前からの友達だったように私は打ち解けていた。
その日、友達が一人増えた。
あるとき、紅い館に連れて行かれて図書館でメイド長と魔女に出会った。
魔女は最後まで本から目を離さなかったが私を認めてくれたらしく本を勝手に持って行かないことを条件に
図書館の出入りを自由にしてくれた。当然だと思ったが隣の黒白が「贔屓だぜーー」と言っていた。
私の家の本も蒐集物も目に見えて無くなっていた。彼女とは気が合いそう。
メイドは紅茶を持ってきたときに一度見かけたが、なぜか頭に「瀟洒」と言う単語が浮かんだ。
作りかけの人形があったので先に帰ろうとしたときに玄関まで見送ってもらった。
歩けば玄関まで数十分かかるであろう長い長い廊下を一緒に歩きながら
唐突に、メイドは「あなたは孤独を知ってる?」と聞いてきた。
「さぁ、どうかしら。」
私はドキッとしたがはぐらかした。
「そぅ‥私は本当の孤独を知っているわ‥‥‥」
心臓が止まるかのような感情のない声。
感情が籠もってないんじゃない……生きてきた人生で際限なく削られ磨耗しきった感情の敷きつめられた声。
際限なく削られたものはどこまでも鋭い刃になる…その感情のナイフを……生の存在の意味に突き立ててくる‥
ソイツの目を見てはいけない…目にはその人の内面が映し出される……ソイツの紅い目にはアル
ヤダ‥やめて………みない…で…ソノ目で見ないで……ヤメテ…自分が…生きて…イキテる意ミがズタずタ……
「それ…は‥‥何?」
‥‥‥コワ‥い‥
「さぁ、どうかしら。今、少なくとも孤独を感じないでしょう‥私達‥‥。」
そこに居た殺人鬼は消えた。
そこに居るただの完璧で瀟洒な従者は親しみを込めて冗談っぽく言う。
「そうね。」
どうやら彼女は私を心配してくれていたらしい。すごい目利き。
前を向くといつのまにか玄関についていた。
「着きました。それでは帰りの道中お気をつけくださいまたのお越しをお待ちしております。」
メイドはお辞儀をする。
私は飛び立つ。振り返ると、来た時に立ちながら寝ていた赤い髪の中国人に土下座されるメイド長。
仲間が一人、知り合いが一人できた。
あるとき、神社の宴会に呼ばれた。そこには、
新曲「わたしの思い うふうふふ☆」を歌い始める。酔って本性ちょっと出てる魔法使い。
陰陽玉の上に陰陽玉を置いていく(7段目)、頭の中がさらに春満開の酔った紅白の巫女。
そんな紅白の巫女を熱っぽく見つめてうっとりする酔った幼い吸血鬼。
傍らにはそんな紅白を羨ましそうに見ながら玉子焼きにブラッドソースをかけるメイド。
木によりかかりながら「宴会の盛り上げ方-モノマネ編-」と書かれた本を黙々と読む七曜の魔女。
誰も見てないのに、泥酔した状態で指一本倒立を披露する中国人。
「それは食べないでくださいよ~」と情けない声を出す泣きそうな顔の半霊の庭師。
「鮮度が大事よね」と言って白く透き通った細長いものに醤油をかけ始める亡霊姫。
神社の屋根でそれを見つめる仲間はずれの祟り神。
知り合いがたくさんできた。
3日置きに続く宴会を不審に思ったので、調べると小さな鬼に出会った。
人のことを知ったようにしゃべるので、懲らしめてやろうと思ったが負けてしまった。
あとで巫女にチクッてやったら、次の宴会のときに包帯巻いて参加していた。
謝ってくれたので許してやったけど、
その代わり私のすべての人形をキン消しにすり替えたスキマ妖怪から人形を奪い返してくるように言った。
戻ってきた人形はすべて額に油性マジックで肉と書いてあった。
鬼にインクだけ集めてもらった。便利。
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満月が無くなった夜、黒白の魔法使いと調べに行った。
途中、巫女と加齢臭のする年増スマキ妖怪、半人半霊と亡霊、吸血鬼とメイドに会った。
異変を解決すると白沢と月と地上のウサギ、蓬莱人三人が知り合いになった。
月のウサギは「弾丸」と言っていたが知らなかったので座薬としておこう。
姫はどこか危険な魅力を持っていた、関わりたくない。
薬師は1から100を知る天才だった。思考に関してはスキマ妖怪と同じでまったく意味不明。
もんぺは、弾幕ごっこにもかかわらず何回も死んでいた。
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花の異変の時、私の自立人形の研究は大きく進んでいた。
ヴワル図書館の膨大な本、自立人形に関するものはなかったがヒントとなる本は見つけた。
とりあえず試して見ることにした。
数千億にもなる魔術の式や困難な暗号の解読はどうしようもなかったのでスキマ妖怪と薬師に頼んだ。
薬師は私の鉱石のすべての蒐集物を交換に問題なくやってくれた。
スキマ妖怪は絶対に断ると思ったが面白そうだと言って引き受けてくれた。
異変が終わる頃には、信じられないが依頼したことは終わっていた。
私はびっしりと文字で埋め尽くされた数万に及ぶ紙を受け取って、二人に ありがとう。と言った。
最後にスキマ妖怪は手伝っておいて「やめたほうがいいわ。」と忠告した。
私が なんで?と聞くと 後悔するわ。と言って隙間の中に消えていった。
私は家にこもって準備を始めた。
一ヶ月ほどで家の地下室ですべての用意が済んだ。
たまに黒白が家に来たけど忙しかったのであいずちを打っていたら帰った。
また来たけど、最後に来たとき「それが終わってから来るぜ。」と言って帰った。
少し心が痛んだがすぐに没頭した。
私は地下室で10年間ほど溜め込んだ魔力を開放する。
壁、床、天井、数メートルに及ぶ文字で埋め尽くされた魔法陣に魔力が行き渡り。
埋め尽くす光にと共に限りなく精巧に作った人形に魔法が発現した。
「‥私‥‥ダレ‥‥‥?」
自立人形が完成した。
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人形遣いが作った自立人形は完璧ではなかった。
その仕組みは人形に最高純度の魔石を埋め込み、体中を魔法の糸を幾重にも幾重にも張り巡らせたもの。
その魔法は、世界から引き出すためのもの。
運命という決められた事象が存在するなら、その逆に決められていた事象も存在すると思った。
ある一人の人物のすべての事象‥思考、物の価値観、喜怒哀楽の感情、仕草、表情の作り方‥‥‥‥‥‥‥‥
食事や記憶など人形に不要な物を除いて世界に残った記憶からすべてコピーした。
あの図書館には運命に関するグリモワールが何冊も眠っていた。
運命に関する本は封印された禁書であったが無視した。
魔石にはただ一つの行動を術式で書き込んだ。
「必要なものを記録して、不必要な物は忘れる事」
だからその人形は、与えられたことにその人がしたであろう反応をし、
その人が必要と思ったことを記録し、不必要と思ったことを忘れ、
それを踏まえた上で、その人がやったであろう未来の行動を取り始める。
それを「自立している」と言うのかわからない。
魔石を脳に見立て、魔法の糸を神経にした人のコピー。だけど確実に心は存在しない人形。
ただ、ビデオテープの続きを見ているにすぎない。
魔石に魔力を入れれば動き、魔石の容量に限界が来れば壊れる。
人形遣いはそれが自分の求めるものと違うとわかっていた。
人形の少女と話した。
表情、仕草、口調、どれを見ても人間にそっくりだった。
生きてないとわかっていても、赤ん坊のように無知な人形の少女に色々教えると、
まだ教えてない鍋を持って、フライパンと同じね。と言った。
記憶し、思い返し、思考し、行動する。まるで自我をもっているような錯覚。
人形遣いは嬉しくなって、その日ずっと少女に物を教えていた。
次の日、人形遣いは家の外を教えてあげた。神社や人間の里、湖や紅い館、竹林に古屋敷。
冥界はやめておいた、少女が混乱するだろうから。
次の日、人形遣いは一日中、人形の少女と話続けた。
次の日、人形遣いは一日中、人形の少女と話続けた。
次の日、人形遣いは一日中、人形の少女と話続けた。
次の日、人形遣いは一日中、人形の少女と話続けた。
次の日、黒白の魔法使いがやってきたので、少女を里の迷い人だと紹介した。
久しぶりだったので、紅茶はいつもより高級なやつを出してあげた。
人形遣いは、最後まで気付かなかった魔法使いに少女が人形だと言うと驚いてコケた。
次の日、巫女と魔法使いがやって来た。
魔法遣いと人形遣いは巫女を騙そうとしていたが、巫女は目の前の少女に向かって
「よく出来ているわね。」
「えっ!?どうしてこの子が人形だってわかったの?」と人形遣いは驚いて聞いた。
「そうなの?私はその子の服の事を言ったのよ。
あなたのいつも持ってる人形の服と一緒だったから。」
人形遣いは急いでいたために、近くの人形のデザインと同じにした事を思い出した。
「すごいわね。近くで見ていても人間と変わらないわ。」
魔法使いは失敗して残念そうだったが、人形遣いはとても喜んだ。
次の日、人形遣いは一日中、少女と話続けた。
次の日、黒白の魔法使いがやってきた。
いつも来客のために入れる紅茶は出さなかった、少女が不憫に思うといけないから‥‥
人形遣いは魔法使いに少女の事について話してあげた。
魔石を中心に動いている事や、魔法の糸を幾重にも張り巡らしてあること、その仕組み……。
帰り際、宴会に来ないかと誘われた。私は少女が寂しがると思って断った。
次の日、人形遣いは一日中、少女と話続けた。
次の日、人形遣いは一日中、少女と話続けた。
次の日、前に一度来たカラスを連れた天狗が取材させてくださいと家にやって来た。
今日は気分が良かったので快く応じた。少女は寝ていたので起こしてくるわ。と言って、
少女の部屋まで行くと中から鍵がかけてあったので入れなかった。
そのことを天狗に言うと、残念そうに「じゃあいいです。」と呟いた。
あまり聞く事がないのか2、3聞くとメモを書き続けていた。
終わったのかメモをしまうとさっさと帰ってしまった。
次の日、人形遣いは一日中、少女と話続けた。
次の日、いたる所に人形遣いの事を書いた新聞が配られた。
人形遣いの所には配られなかったが一日中、少女と話続けた。
次の日、人形遣いは一日中、少女と話続けた。
次の日、人形遣いは久しぶりに食事を取ろうと人間の里に買い物に行くと、
白沢ともんぺに出会ったので挨拶をした。
二人はよそよそしい感じで挨拶を返してきた、特に白沢の方は少し警戒した様子だった。
人形遣いは家に帰ると、少女と話続けた。
次の日、人形遣いは一日中、少女と話続けた。
次の日、黒白の魔法使いがやって来た。
怒った様子だったので、どうしたの?と聞いた。
すると、手に持っていた新聞を渡してきた。どうやら私の記事が書いてあるらしい。
記事を見ると、ああ、なるほど。道理で周りが避けると思った。
「みんなの誤解を早く解きに行こうぜ。」と言ったけど、人形遣いは「別にいいわ。」と言った。
それから魔法使いと人形遣いは言い争いになった。
2時間ぐらいして、魔法使いは猛烈に怒ってドアを蹴飛ばすと空に消えていった。
人形遣いは、少女に慰めてもらった。
知り合いがたくさん減っていたのを知った。
次の日、人形遣いは一日中、少女と話続けた。
次の日、魔法使いがキノコを手土産に仲直りをしにきた。
どうでも良かったので適当に聞き流していると、
いきなり怒り出して、「真面目に聞いてるのか!!」と聞いてきた。
人形遣いは「聞いてなかったんじゃない。」と他人行儀に言った。
「お前から泣きついてくるまで、絶対に仲直りしないからな!!絶交だぜっ!!」
と言って窓をぶち破って飛び出していった。
心が少し痛んだ気がしたが、どうでも良かった。
私には私のためだけに存在する無二の親友がいるのだから‥‥‥。
友達が一人減った。
次の日、人形遣いは眠らずに少女と話続けた。
次の日、人形遣いは眠らずに少女と話続けた。
次の日、人形遣いは眠らずに少女と話続けた。
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ある日、ふと神社に寄ってみた。そこには境内を掃除する一人の巫女がいた。
「久しぶりね。」
「あら、ずいぶん久しぶりね。あなたの家で会ったので最後かしら?」
「そうね。それが最後かしら。」
「まぁ、今お茶を入れてあげるから入りなさい。」
人形遣いは神社の中に入った。
「それで、何の用かしら?」
「近くに来たから寄ったんだけど、別に用はないわ。
ところで、あなたはあの新聞を読んでないのかしら。」
「ああ、あれね。読んだけど、私は実物を見ているから一発で嘘だってわかったんだけどね。
あの日、私は行かなかったんだけど紅魔館でパーティーがあったらしくて、
あの万年酔っ払いがあなたのことをなんか中途半端に言っちゃって何か真実味が出てきたらしくて。」
ああ、なるほど。誤解ってのはそのことか‥鬼は嘘をつかないことで有名だから‥‥。
その後、巫女と黒白の魔法使いの魔法使いの事を話した。
この巫女は不思議な力を持っている。
年中暢気にしているが、自覚してか、しないでか、だれよりも物事を理解して、
この楽園において在るべき方向に導いてくれる。
恐怖を意する紅い悪魔、周りに猛毒をもたらす蓬莱人、その毒に汚染された蓬莱人達。
この巫女に会うと本来の在り方を失い、この楽園においての在り方を見つける。
だから、いままでの在り方を失い始めた人形遣いは気がついた。
目の前の巫女はすべてを在るがままに生きて、そのあり方に憧れを抱かせる巫女。
本当は、この楽園がありのままに存在していくために、この巫女は存在している。
巫女はこの楽園のために回され続ける歯車‥‥大結界のシステムの一っ‥‥
人の形をしているが、その中身は空虚で同類は存在しない。
たとえ、あの黒白の魔法使いが楽園を滅ぼそうとすれば、彼女なら躊躇いなく殺せてしまうだろう。
はじめから、この巫女は仲間などいなかったんだ‥‥
人形遣いは さよなら。と言って神社を後にした。
願わくば、紅い悪魔が孤独も感じることのできない空虚な人形の運命を変えてくれますように‥‥‥。
そこには、友達など初めからいなかった。
次の日、人形遣いは眠らずに少女と話続けた。
次の日、家で少女と話していると、少女が不思議そうな顔をしたので後ろを見てみると、
メイドが紅茶を入れていた。時を止めて入ったらしい。
「悪い事は言わないわ、その人形を放棄しなさい。」
おびただしいナイフが少女を取り囲む。
人形遣いは咄嗟にナイフを背にして少女を庇いながら、「やめてっ!」と叫んだ。
ナイフは一瞬で消えたので、人形遣いは不思議そうにメイドを見た。
メイドは一瞬悲しそうな目をして、紅茶を残して消えてしまった。
残された紅茶は‥‥とてもあたたかかった‥‥‥。
その日、友達が一人減った。
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少女と二人で半年ほど暮らした。
少女は人間と違う人形の体と人間の精神の摩擦のせいで発狂してしまった。
人形遣いは、泣きながら魔力を抜いて死んだように固まった少女を湖の近くに埋めた。
一人になった人形遣いはとり憑かれたように三体の人形を作った。
かぎりなく精巧に、食事や排泄などを行う擬似的な器官のような中身も作った。
髪が伸びる呪いなどあらゆる魔法も使って、どこまでも限りなく見た目には完璧に人間の人形を作った。
眠る事も食事する事もなかったので2年ほどで完成させることができた。
巫女、魔法使い、メイド、三体の自立人形ができた。
人形遣いは旧友に会ったのが、とても嬉しくて、思い出話をしゃべり続けました。
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それからしばらくして、4人で人間の里に出かけると
よくわからないけど里の人たちに不思議な目でじろじろ見られたので嫌な気持ちになりました。
人形遣いは4人では家が狭かったので引っ越す事に決めて。
里の事を思い出すと、だれも知らないひっそりしたとこに住みたいと思った。
マヨイガのことを思い出して、一人でスキマ妖怪に会いに行った。
スキマ妖怪にマヨイガに住みたいと言ったら、「別にいいわよ。」と言った。
最後に付け加えるように言いました。
「‥霊夢も‥魔理沙も‥もう‥死んでしまったわ‥‥。」
やっぱり、この妖怪はおかしなことを言う。
今、二人とは一緒に暮らしていると言うのに‥‥‥‥。
無視して引越しのために家に飛んで帰った。
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私達がマヨイガに引っ越してからずいぶん経った。
今、マヨイガの住人はずいぶんと増えた。
吸血鬼の姉妹、本好きの魔女、赤い髪の武術家、能天気な亡霊、半人前の庭師、妖精たち、
長い黒髪を持った高貴な人間、いつも研究室で実験をしているその従者、それに仕える兎が二人、
商いを行う人間達、農業をする人間達、走り回る子供達、それを見守る白沢と人間、‥‥‥‥‥。
「妖怪」と「人間」の共存する村はどこよりも楽しそう。
そこに住む人形遣いは幸せだった。
人形遣いの母は、そんな人形遣いを大変悲しそうに思っていました。
人形遣いの母は一つの世界を作った神でした。
彼女は、結果的に自分と同じ道を進んで、自分以上に孤独な娘を救ってあげたかった。
人形遣いの母はこっちに帰ってくるように娘に言いました。
娘はけっして帰ってこようとしませんでした。
人形遣いの母は力づくで連れ帰そうと、力の強い神は直接行くことができないので迎えを送りました。
しかし、誰一人として帰って来ませんでした。
人形遣いの母は何度目かに子供たちの殺しあうことに耐えられなくなりました。
人形遣いの母は深い悲しみを持って人形遣いと永遠に縁を切りました。
人形遣いは、親を捨てて本当の「一人ぼっち」になりました。
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何百年もその村はあり続けました。
だけど、その村に住んでいるのはたった一人の魔法使いだけでした。
人形遣いは、いつの間にか睡眠も食事もとることもなくなり、
「孤独」のなかで苦を感じない‥本当の魔法使いになりました。
少女は気付きませんでした。そこには、
永遠に幼い紅き月も、悪魔の妹も、完全で瀟洒な従者も、知識と日陰の少女も、華人小娘も、
楽園の素敵な巫女も、普通の魔法使いも、幽冥楼閣の亡霊少女も、半分幻の庭師も、知識と歴史の半獣も、
幸運の素兎も、狂気の月の兎も、月の頭脳も、永遠と須臾の罪人も、蓬莱の人の形も、すべてのものが‥‥‥、
何も最初からなかったことに‥‥‥‥
その魔法使いは気付きませんでした。
自分はもう人形遣いではなく、人形に遣われている存在であることに‥‥‥。
自分は何百年もずっと、ただ一人だったと言うことを‥‥‥‥。
魔法使いは本当は気付き始めていました。
それは、人形を作るたび魔法を行使するたび違和感を感じ続けて。
それはもうぎりぎりの所で、きっかけがあれば気付くところまで来ていました。
魔法使いは、ふと棚に置いてあるツギハギの仏人形を見つけました。
そして魔法使いは 「 本当の孤独 」 を知りました。
それは、運命の禁書に手を出した報いだったのか、魔法使いでありながら孤独を嫌ったことか。
少女はツギハギの仏人形と消えました。
そして誰もいなくなりました。
END