無縁の塚に、紫の桜が舞い踊る。
見渡す限りに続く桜並木と、尽きる事なく散り逝く花吹雪が、視界を朧に霞ませていた。
現世では決してありえぬ幻想的な情景。夢の世界のように手を伸ばせばするりと逃げていくような――そんな在り方。
今年の冬は短かった。
雪も降ったし、寒さも厳しかったが、それでも気が付けば冬は終わっていたような気がする。ついこないだ年が明け、端午の節句を終え、いつの間にか彼岸を過ぎたと思っていたのに、気が付けばもう桜は満開だった。
「慌てても良い事ないのにねぇ」
そんな桜並木の只中、一際立派な枝振りを誇る桜の下で、伊吹萃香は自前の瓢箪に直接口を付けながらぐびりと喉を鳴らした。
季節も、人も、急ぎすぎる。
萃香にとっては、そんな性急さなど笑いの種にしかならない。
鬼が笑うのは、来年の計を練る用心深さではない。先を見通す事に執着するあまり、今を蔑ろにする愚昧さを笑うのだ。
ぷはーと酒臭い息を吐き、頭上を覆う桜の海を見上げながら、萃香はこてりと身体を倒す。
「あー絶景かな、絶景かな」
腕に付けた鎖をじゃらりと鳴らし、瞼に翳した。
花曇の空は陽光を優しく遮っているが、別に萃香は眩しくて手を翳した訳ではない。視界を埋め尽くす桜を見ていると、惹き込まれてしまいそうだったからだ。人を攫う鬼が桜に攫われてしまっては、それこそ笑い話にもならない。
小柄で愛らしい身体。緩く束ねた茶色の髪。
見目麗しい少女である外見が、桜の獲物としてこの上なく相応しいとしても、だ。
頭に揺れる二本の角。巨大な、嫌でも目に付くその特徴さえなければ、誰も彼女が鬼であるなどと信じまい。
だが彼女こそが鬼である。
幻想郷で唯一の、もしかしたらこの世においてすらも、旧き時代を知る最後の鬼。
うっすらと笑みを浮かべたまま、左手を枕に、右手を瞼に。
緩やかな春の風に身を委ね、そのまま寝入ってしまったかのように動かない。
舞い散る花びらが萃香の身体にうっすらと積もっていく。そのまま溶け込むように、ただ静かに。
だけど――
「覗き見とは趣味が悪いねぇ?」
萃香は気楽な調子で、言葉を投げ掛けた。
何もない空間へ。
何もなかった筈の空間へ。
「失礼。余りにも気持ち良さそうなので、思わず見蕩れてしまいました」
一体、いつの間に其処にいたのか。
気が付けば墨のように黒い影が、ぽつんと一つ。
花吹雪に決して染まる事のない鮮烈な黒が、滲む事なく、切り取られたように。
「あんたは誰だい?」
「あら、知っているでしょう?」
黒い影は、それに反する白い貌を持っていた。
高貴ささえ窺わせる、眩き白。
白と黒を併せ持つその在り方は、大極そのもの。自己の世界だけで完結し、世界の干渉を受け付けぬ、絶対的な個。朧に霞む桜吹雪を背にしているだけに、その姿はあらうべからずの異物となっている。
そんな個を前に、桜に埋もれ世界と同化していた萃香は、気圧される事なく鼻で笑った。
「ははっ、知ってるよ。知ってるとも。だけどね、会うのは初めての筈さ。そういうものだろう?」
嘲るように、だのに陰鬱さは欠片もなく。
卑屈さも、敬意も、まるで感じさせない不敵な笑みを浮かべたまま――名を名乗れ、全てはそれからだ――と、倣岸不遜に目で語る。
「人に名を問う時はまず自分から……そう言われませんでしたか?」
「知らないね。私は人じゃないし、あんただってそうだろう?」
「――良いでしょう。私の名は四季映姫。この幻想郷で閻魔をやっている者です」
黒影――閻魔は姿勢を正し、手にした笏を胸の前に翳しながら、そう告げた。
その正礼を前に、萃香もまた身体を起こし、両足で大地を踏み締め大きく胸を張りながら、礼に対し礼で応える。
「私の名は萃香。伊吹の鬼さ」
目を逸らす事なく、真っ直ぐに。
二人の視線が交わり、剣呑な空気が流れて、
――途端、萃香がにかりと破顔した。
再び地面に腰を下ろしながら、閻魔に向かって手招きする。
「まぁ、座りな。まずは一献。話はそれからだ」
先程まで身に纏っていた堂々たる風格を惜しげもなく手放し、十年来の友達に声を掛けるような気安さで閻魔に向かって声を掛ける。
流石の閻魔もその変わりように一瞬目を白黒とさせたが、軽く肩を竦めて招きに応じた。
「まだ仕事中なんですけどね?」
「固い事言わないでよ。酒が不味くなるじゃない」
口調すらも砕けている。これが幻想郷に相応しい遣り取りだという事は熟知していたが、法を司る閻魔にとって未だに馴染みきれずにいた。
萃香の隣に足を揃えて座る。背筋はぴんと伸ばしたまま、今から酒を呑むというのに合戦にでも赴くような面持ちで。
「もっと、こう……気楽にさぁ?」
「これが私の流儀です。お構いなく」
堅物の閻魔を前に、萃香はぽりぽりと頬を掻いたが「ま、いいか」と勝手に納得して、手にした瓢箪を差し出す。
器も杯もなく、たぽたぽと酒の揺れる音がする瓢箪を。
「……直ですか?」
「遠慮しなくていいよ。私は全然気にしないしー」
「いや、私が……」
にこにこと詰め寄る萃香に、閻魔は大きく溜息を吐いた。
「……解りました。頂きます」
「そうこなくっちゃ!」
突き出された瓢箪を受け取り、僅かに逡巡しながらも意を決して口を付けた。波々と満たされた瓢箪は、少し傾けただけで酒が溢れ出す。思いがけず大量に流れ込んだため、閻魔の目が大きく開かれたが、それでも何とか呑み干した。
「くっ、きついです、ね」
胃の奥から熱が込み上げる。濃密な酒気に咽そうになりながらも、閻魔は威厳を保つために再び背筋を伸ばした。
閻魔たる者、酒に弱い筈はなかろうが、早くもその白皙の頬は桜色に染まっている。呑み干した酒量が多かった所為でもあるが、何よりその酒は火がつくほどに強かった。鬼すら殺す神便鬼毒酒ほどではあるまいが、閻魔を潰すには十分である。
「で、では、貴女の番です」
上ずった声が出てしまい、その所為でなおも頬を染めつつ、閻魔は萃香へと瓢箪を差し出した。
萃香もまた、そんな閻魔の様子をにやにやと眺めながら右手で受け取る。
「どうしたの? 宴はまだ始まったばかりだよ?」
けらけらと楽しそうに笑った萃香は、瓢箪に口を付けぐいっと呑み始めた。
瓢箪を直角に近くまで傾け、それこそ浴びるように呑み干していく。閻魔は目を丸くして、それを見ている事しか出来ない。
ぐびぐびと喉を鳴らし、その小さな身体のどこに納まるのかという程に呑み続け、不安になった閻魔が思わず手を伸ばしそうになって、やっと萃香は唇を離した。
「ぷはぁぁーーーーーーっ! あーやっぱ美味いねぇ」
顔を真っ赤に染めて、大きく息を吐く。幼い容姿にそぐわぬ豪快な呑みっぷり。酒呑童子の名に恥じぬ見事な姿であった。
こてんと身体を倒して、大きく両手を伸ばす。手にしたままの瓢箪から酒が零れるが、まるで気にする様子もない。
まるで無防備。まるで野放図。
気負った様子もなく、自然体である萃香の姿に、思わず閻魔の目元も僅かに綻んだ。
萃香は寝転がったままほいっと瓢箪を手渡し、受け取った閻魔は今度は少し慎重に瓢箪を傾ける。
こくん、と。
一度だけその細い喉が鳴った。
「――美味しい」
「でしょう?」
先ほどは一気に流れ込んだ酒を味わう余裕もなかったが、軽く口に含んで噛むように味を確かめると、それは極上の美酒であった。
喉越しのまろやかさ、舌の上に転がる芳醇な味わいは、閉じた瞼の裏に無限に広がる果てなき大地を想起させる。
それは自然そのもの。この世の森羅万象を凝縮した旨みが込められていた。
「これが貴女の酒ですか?」
閻魔は再び萃香へと瓢箪を返しながら、そう問い掛ける。
それは言葉どおりの問い掛けであり、言葉以上の意味を掛けた言葉。
だから萃香は、受け取った瓢箪を傾け、極上の笑みと共に、
「これが私さ」
そう、言い切った――
宴は続く。
互いに何度瓢箪を渡しあったのか、忘れてしまう程に。
「本当は……貴女に言いたい事があったのですよ」
「何だ、説教かい?」
「まぁ、そんなものです」
萃香は寝転がったまま瓢箪を煽り、閻魔は――いや、閻魔の証しである冠を膝に置いた今は、ただの四季映姫に過ぎず――桜の幹に背を預けたまま、舞い散る桜を眩しそうに見上げている。
「構わないよ? 酒の肴になるかもしれないし」
「よしましょう。それは無粋というものですよ」
その言葉に萃香は、にんまりと唇の端を持ち上げて笑う。
もう一度、ぐびりと瓢箪を傾け、熱い息を吐いた。大分酒が回っているのか、その瞳は虚ろに揺れている。
「ふふん、さっすが解ってるじゃない」
嬉しそうに、本当に嬉しそうに笑いながら、さぁ呑めとばかりに映姫に瓢箪を投げ渡す。
映姫もまた酔っているのか、投げられた瓢箪を受け取り損ね、濃紺の上着に酒が飛び散ってしまった。「あー」と気の抜けた声を漏らすも、特に気にした様子もなく瓢箪を拾い上げて口を付ける。乱れた様子こそないものの、とろんと蕩けたような瞳は、彼女を良く知る者なら誰もが一様に驚くであろう。冬の湖を思わせる深い蒼が、今は春の海を思わせる穏やかな色をしていた。白い喉をこくりと鳴らして嚥下する様は、仄かな色気すら醸し出している。
「説教したい事は山ほどあるんですけどねぇ……」
「へぇ、例えばどんな?」
「酒宴を催すなら、ツマミくらい用意しなさいとか、ね」
その言葉に一瞬目を丸くした萃香は、次の瞬間に大爆笑していた。
「あっはっは! あんた最高だ!」
桜を全て吹き散らすような大声で、文字通り腹を抱えて萃香は笑う。そして映姫もまた楽しそうに笑った。
穏やかな風が桜の花びらを舞い上げる。
萃香の茶色い髪も、映姫の翠色の髪も等しく風に乱され、二人は気持ち良さそうに目を閉じた。
視界を封じる事で、一層春の気配を強く感じる。力強い土の匂い、柔らかな風の匂い、そして切なくなるような――桜の匂い。
その匂いに、言葉を失う。
ただ静かに、時が流れる。
「……あんたが居てくれて良かったよ。久々に良い酒が呑めた」
遠くを見つめるような目で、萃香はぽつりと零した。
それは深く深く、吐き出すような声。
口元には笑みを浮かべたまま、だけど瞳は少しだけ寂しそうに。
「いつも宴会ばっかりしていると思っていましたが?」
「ふん、閻魔さまにゃ何でもお見通しか。確かに宴会は良くやってるよ。流石に前みたいに毎晩って訳にはいかないけどね?」
「巫女は怖いし?」
「巫女は怖いねぇ」
そう言って、けたけたと笑いながら。
だけどそれはほんの少しだけ弱々しくて。
映姫から受け取った瓢箪を傾け、酒と一緒に笑みすら飲み込んで、探りながら言葉を紡ぐ。
「だけどさぁ、だけどねぇ……うーん、何て言うのかな? 楽しいけどさ、楽しいんだけどね……」
それは豪快な鬼には似合わない、少しだけ湿った声。酒に酔ったからこそ漏れてしまった、本当の声。
映姫はより深く桜の幹に身体を預け、空を見上げた。
散れども散れども尽きる事のない桜の海を。
「物足りない……ですか?」
「かな? 良く解らないけど……」
再び流れる沈黙の風。
風は桜の花びらを伴って、ひょうと空へと舞い上がる。
映姫はその風を行き着く先を見つめたまま、少しだけ閻魔の――深く深く深い蒼の瞳に戻って
「――それは貴方が、一人だからですよ」
そう、告げた。
冷たく、断ち切るように。
「――だろうね」
萃香は映姫の、いや閻魔の言葉に反論もせず、ただ静かに頷く。
嘘を嫌う鬼は――自分にすらも嘘は吐けない。
「解っちゃいるんだ。此処に鬼なんてもんは、もう私しかいない。いや、此処だけじゃなく何処にも」
映姫は何も言わない。ただ黙って萃香の言葉を聞いている。
蒼い瞳を、空に向けたまま。
「あんた相手に強がっても仕方ないよね? そう、正直私は寂しい。霊夢や魔理沙や紫……みんなで騒ぐのも楽しいけれど……いや、楽しいからこそ昔を思い出してしまう。仲間と一晩中飲み明かした、あの日々を――」
映姫はやっぱり何も言わない。
何も言わないまま、瓢箪を傾ける。
こくり、と。
身体の隅々にまで、深く深く染み込むように。
「此処は夢みたいな場所だよ。鬼が鬼のまま存在を許される――人を攫わずとも、人に退治されなくても、それでも鬼として存在できる。でもさ、それって……」
そこで言葉を切った。その先は鬼である萃香ですら口にする事を憚られる忌まわしい認識。
鬼という肩書きを与えられただけの、薄っぺらな存在。
それを口にした時、幻想が幻想に過ぎないのだと自覚してしまった時、それは――夢の終わりとなる。
「いいのかなーって、うん、ちょっとだけ思う」
我思う故に我在りなどという、形而上学の問題ではない。
幻想である存在は、肉体に拠らず精神に拠って立つ。己の存在を疑った時、それは存在の抹消と同義となろう。
身体を起こし膝を丸めた萃香は、外見相応の小さな女の子にしか見えず、二本の角が頼りなく揺れている。
いつも楽しそうに笑っていた鬼はもう何処にもおらず、そこには取り残された迷子が一人いるだけ――
今更人を攫って何になろう。今更人と争って何になろう。
それで鬼としての自己を取り戻したところで、仲間はもう帰ってこない。彼らはもう、人々の口の端にすら浮かばぬほど、遠い昔に消え去ったのだから。
さわさわと風が鳴る。ざわざわと桜が鳴く。
桜の海は変わらず広がり、小さな子鬼の背中など容易く飲み込んでしまって――
「いいんじゃないですか? 別にどうでも」
ざんっと、強い風が、桜を、薙いだ。
萃香は目を丸くして、映姫の顔を見つめる。
直接会ったのは初めてだが、閻魔の事は良く知っていた。
そのような曖昧を、そのような模糊を――決して許す存在ではなかったのに。
「伊吹萃香――貴女は思い違いをしている。取り残された? 置いていかれた? 違いますよ。貴女はなるべくして生き残ったのです。古き時代を知り、新しい時代で生きる資格を持った者として」
萃香は何も言わず、映姫の顔を見つめている。
その桜色に染まった顔を、風に靡く翠の髪を、深い蒼と柔らかい青の混ざり合った瞳を。
「人を攫う必要も、人を襲う必要も、人に退治される必要もないのです。貴女はただ貴女が鬼である事を誇れば良い。胸を張って、高らかに、己の存在を謳えば良い。それが虚構に過ぎずとも、それが欺瞞であろうとも、貴女が鬼であり続ければ人々はやがて思い出すでしょう。鬼の伝承を、古き時代の約束を――それが貴女に積める善行ですよ?」
萃香は目を見開いたまま、映姫の言葉を噛み締める。
否、それは映姫の言葉なのだろうか。それとも閻魔の言葉なのだろうか。
それは、その言葉は――
「……閻魔の癖に、よりにもよって鬼に向かって嘘を吐き続けろっての?」
萃香の目が僅かに細められる。酒に酔った気配など微塵も感じさせぬ、それはとても、とても、おそろしい目。
山を跨ぎ、大地を割り、天蓋すらも砕く、鬼の本気の眼差し。
だけどそんな瞳を前に、映姫もまた酒気も恐れも感じさせぬ飄々とした声で応じた。
「安心しなさい。貴女が死んだ後には、きっちりと舌を抜いて差し上げます」
その言葉に、ぱちくりと目を瞬かせた萃香は、くくっと背を丸めて含み笑いを漏らす。
可笑しそうに哂い、先程以上に強い力を瞳に宿して顔を上げた。
そこに浮かんでいたのは、不敵で、不遜な、力強い獣の笑み。
「そう簡単に――鬼がくたばるとでも?」
それに対し、閻魔もまた妖艶な笑みを浮かべ、底の知れぬ深い瞳を萃香へと向けた。
触れただけで切れそうな、冷たい笑みを浮かべて、
「お望みなら――いつだって地獄に送って上げますよ?」
そう、返した。
見詰め合う二人。
背中を丸めたまま鬼気を高める鬼と、桜から背中を離し真っ直ぐに背筋を伸ばす閻魔。
空気が帯電したように震え、風が怯えたように鳴りを潜め、桜は散ることすら忘れて凍りつく。
二人の距離は互いに拳が届く位置。弾幕ごっこなどという遊びの余地はなく、どちらかが消し飛ぶ必殺の間合い。
鬼の拳がばきりと鳴り――
閻魔の瞳が細められて――
「よぉっし! 呑み比べだ! どっちかが潰れるまで勝負!」
「受けて立ちましょう!」
そして賑やかな酒宴が再開の幕を上げた。
閻魔と鬼の呑み比べ。互いの意地と全霊を掛けた、掛け値なしの真っ向勝負。
鬼とか閻魔とか、そんな仮面を脱ぎ捨てた、ただ一個の我と我。
閻魔の口に瓢箪が突っ込まれ、鬼の頭に酒がぶっ掛けられる。片方が潰れかければ往復ビンタで叩き起こし、その口に気付けの酒を流し込む。いつしか日は暮れ夜が降りれば、月見て一杯、花見て一杯と肝臓を休める暇もない。余興代わりに萃香が大花火を打ち上げ、映姫のラストジャッジメントが夜を斬る。月が呆れて西の空に沈んでも、宴はまだまだ終わらない。
罪を背負った紫の桜。
花びら一つに、罪を一つ背負って咲く花。
散って散って散り逝く事で、初めて罪を許され大地に還る哀しき花。
咲き誇る罪の下で、罪を受け止める大地の上で、二人の笑い声だけがいつまでも響いていた――
翌日、映姫は二日酔いの頭を抱えたまま法廷に現れた。
映姫は「あーれー? 閻魔さまともあろうものが呑み過ぎて二日酔いなんていーんでーすかー?」とにたにたと笑う小町の顔を睨みながらも屈辱を甘んじて受け、萃香は萃香で神社の境内で寝っ転がってうーうーと唸っていたところを「酒臭い」と霊夢に蹴られていたそうな。
その後も無縁塚の桜の下で、殺気だった酒宴を行う二人の姿は人妖問わず幾度となく目撃され、益々無縁塚に近づく者はいなくなったという事である。どっとはらい。
素晴らしいです
どんなに周りに人がいても、やっぱり孤独を感じてる時が萃香にはあると思っています。
それはまあ、私達もふっと日常で陥るエアポケットではありますけども。
お話、特に萃香の描き方としてはかなり好みでした。
ただちょっと文章の肉付けが厚すぎるきらいが。随所で克明な描写や表現を尽くしているため、場の状況が分かりやすい反面、テンポの悪さも感じられました。丁寧さと足取りの重さと、両方が混在していた感じです。
描写そのものについてはさすがの練達さで、爽やかな読了感でした。
※
>形而学上の問題ではない
形而上学の問題ではない、若しくは形而上学上の問題ではない が適当かと。
存在論の学問は形而下学と形而上学が対になってますが、形而学という学問は無いような。思い違いなら申し訳ない。
お褒めの言葉ありがとうございます。ちなみに私にゃ才能なんざ欠片もありません。映姫への愛だけで書いておりますw
>>反魂さん
orz
賢そうな言葉を使って賢く見せようとする浅はかさ。馬鹿は馬鹿なりに身の程を知れば良いものを――
早速修正しました。ご指摘ありがとうございますw