12月15日、クリスマスの約一週間前。
レミリア=スカーレットは良く晴れた空を見上げながら一人つぶやいた……。
「今年は雪が降らないわね……」と。
「そう言えば、今年はいつになく暖かく、雪なんて全く降る気配がありませんね」
いつの間にかそばに来ていた彼女の忠実なる従者、十六夜咲夜が答える。
「この調子で行くとクリスマスの日に雪が降ることもなさそうね」
「聖なる夜は純白の雪を見てローストチキンを食べながら過ごすのが毎年の行事ですけれど、今年はどうやら無理そうです」
「そうね。咲夜、原因を調べて私に報告に来なさい。しかる後対策を立ててクリスマスの雪をなんとしても確保しなさい」
「わかりました」
声と同時に、傍らに居た従者の姿が無くなった。
12月18日
「レミリア様。捜査、終わりました」
レミリアがいつもどうり就寝する時刻。
紅魔館の空が明るくなり魔族の力が薄まり始める頃、咲夜が部屋の扉を叩く。
「入ってきなさい。それで、雪の降らない原因はわかったの?」
「大体わかりました。どうやら、この暖かい空気のせいでレティの力が弱くなり、雪を降らせる事が出来ないようです」
「つまりレティの魔力を強くしてやればクリスマスに雪を降らせる事が出来るわけね」
「はい。レティの力の源になる冷気を集めてレティにプレゼントするだけです。昔、春を集めたように冬を集めていくのが宜しいかと」
「ふふ、懐かしい。冥界の幽々子達と戦ったのはつい最近のことなのに、もう何十年も前のことのよう」
目を瞑り、昔のことを回想していくレミリア。
「それでは、早急に冬を集めてまいります」
「待ちなさい」
制止の声と共に傍らの咲夜の動きが止まる。
「ちょっと、面白そうなことを考え付きました。クリスマスの前夜祭として、冬符集めを行います」
「冬符は私に任せて貰えれば問題なく集めてまいります」
「咲夜、折角のこういったイベントはライバルを交えてイベントとして盛り上がった方が楽しいと思うわ」
「……ですけれど、こんなめんどくさそうなことを幻想郷の住人達がやるとは思えませんが」
「まず、この冬に雪が降らないという大異変として文々。新聞でスクープとしてとりあげてもらうの。これで霊夢は動きだす」
「文なら確かに飛びついてきそうなネタ、それに霊夢は動かないわけには行かないでしょうね」
「そうして、文々。新聞のスクープ記事の後に異変を解決するため紅魔館総出で動いていること、冬を一番多く集めた者には褒賞が出る事を書いておけば魔理沙達も動くと思うわ」
「流石はお嬢様。こういった計略には長けておられます」
「伊達に長生きはしてないわ」
「それでは、早速射命丸を探して」
「多分探す必要は無いわ、そこに居るんでしょう?」
レミリアの声と共に、紅魔館の窓ガラスの前に見知った顔が現れる。
「ばれちゃってるとは思いませんでした」
てへっ……とばかりに真っ赤な舌を出す射命丸
「あなたがここの様子を見ているであろう事は大体予測できていました。まぁ、人間である咲夜やちょっと職務怠慢気味の門番の目は誤魔化せてもその魔力は隠すことが出来ないわ」
「まぁ、ばれちゃってたんだったら仕方ありませんね。今度からもう少し気をつけて偵察することにしましょう」
「で……先ほどの話をスクープ記事にしてばら撒けば良いんですね」
「咲夜、今まで見てきたことを文に細かく説明して。私は眠いんで後のことは全て任せるわ」
「わかりました、お嬢様。よい睡眠を」
言葉と共に大きなあくびをひとつして、レミリアは寝室にむかって歩いていく。
レミリアと咲夜がそんなやり取りをしている中で、文はメモ帳を用意して構えていた。
「さ~って、それじゃあ咲夜さんには今回のことについて色々聞かなきゃいけませんね~」
「ええ、何でも聞いてください」
12月19日
「号外~号外~」
朝早くから文の新聞を配る声が幻想郷に響き渡る。
その新聞を見た幻想郷の住人達は思い思いに行動を開始した。
博霊神社 博麗霊夢
「冬に雪が降らないのはレティの調子が悪いせい……と、確かに雪が降らないのは問題よね」
配られた新聞を手にとってゆっくりと眺めていた霊夢はいつものように戦闘準備を整えると、この新聞の調査をしたであろう紅魔館に向かっった。
霧雨亭 霧雨魔理沙
「ふむふむ……まぁ、要するに冬ってのをたくさん集めれば良いんだな。じゃ、手っ取り早く周りの奴らを叩いて集めるか」
魔理沙はいつものように黒い魔法使いの帽子をクイッとあげると、楽しそうな顔をして魔法使いの箒にまたがった。
紅魔館 十六夜咲夜
「レミリア様はああ言っておられたけれど、この事件は私が請け負った物。競技に参加して勝利をつかめばレミリア様も喜んでくれるはず」
咲夜は真夜中からある程度用意しておいたナイフの数々を持って紅魔館を後にする。
紅魔湖 チルノ
「レティ、私頑張ってくる。頑張ってレティが元気になるようたくさん冬を集めてくるね」
この新聞を読むまでずっとレティの傍に居たチルノは、大妖精に見送られながら紅魔湖から飛び去った。
冥界 幽々子&妖夢
「妖夢、この競技に参加してたくさん冬符を集めて消滅させなさい。これだけ暖かければ西行妖が咲くかもしれない。その為にはここで冬を集めさせるわけにはいかないのよ」
「わかりました、それでは行って参ります」
妖夢は二つの剣を腰に差し、決意を新たに幽々子の元から出て行く。
舞台が整い、参加者も集った。
さあ、ゲームを始めよう。
レミリア=スカーレットは良く晴れた空を見上げながら一人つぶやいた……。
「今年は雪が降らないわね……」と。
「そう言えば、今年はいつになく暖かく、雪なんて全く降る気配がありませんね」
いつの間にかそばに来ていた彼女の忠実なる従者、十六夜咲夜が答える。
「この調子で行くとクリスマスの日に雪が降ることもなさそうね」
「聖なる夜は純白の雪を見てローストチキンを食べながら過ごすのが毎年の行事ですけれど、今年はどうやら無理そうです」
「そうね。咲夜、原因を調べて私に報告に来なさい。しかる後対策を立ててクリスマスの雪をなんとしても確保しなさい」
「わかりました」
声と同時に、傍らに居た従者の姿が無くなった。
12月18日
「レミリア様。捜査、終わりました」
レミリアがいつもどうり就寝する時刻。
紅魔館の空が明るくなり魔族の力が薄まり始める頃、咲夜が部屋の扉を叩く。
「入ってきなさい。それで、雪の降らない原因はわかったの?」
「大体わかりました。どうやら、この暖かい空気のせいでレティの力が弱くなり、雪を降らせる事が出来ないようです」
「つまりレティの魔力を強くしてやればクリスマスに雪を降らせる事が出来るわけね」
「はい。レティの力の源になる冷気を集めてレティにプレゼントするだけです。昔、春を集めたように冬を集めていくのが宜しいかと」
「ふふ、懐かしい。冥界の幽々子達と戦ったのはつい最近のことなのに、もう何十年も前のことのよう」
目を瞑り、昔のことを回想していくレミリア。
「それでは、早急に冬を集めてまいります」
「待ちなさい」
制止の声と共に傍らの咲夜の動きが止まる。
「ちょっと、面白そうなことを考え付きました。クリスマスの前夜祭として、冬符集めを行います」
「冬符は私に任せて貰えれば問題なく集めてまいります」
「咲夜、折角のこういったイベントはライバルを交えてイベントとして盛り上がった方が楽しいと思うわ」
「……ですけれど、こんなめんどくさそうなことを幻想郷の住人達がやるとは思えませんが」
「まず、この冬に雪が降らないという大異変として文々。新聞でスクープとしてとりあげてもらうの。これで霊夢は動きだす」
「文なら確かに飛びついてきそうなネタ、それに霊夢は動かないわけには行かないでしょうね」
「そうして、文々。新聞のスクープ記事の後に異変を解決するため紅魔館総出で動いていること、冬を一番多く集めた者には褒賞が出る事を書いておけば魔理沙達も動くと思うわ」
「流石はお嬢様。こういった計略には長けておられます」
「伊達に長生きはしてないわ」
「それでは、早速射命丸を探して」
「多分探す必要は無いわ、そこに居るんでしょう?」
レミリアの声と共に、紅魔館の窓ガラスの前に見知った顔が現れる。
「ばれちゃってるとは思いませんでした」
てへっ……とばかりに真っ赤な舌を出す射命丸
「あなたがここの様子を見ているであろう事は大体予測できていました。まぁ、人間である咲夜やちょっと職務怠慢気味の門番の目は誤魔化せてもその魔力は隠すことが出来ないわ」
「まぁ、ばれちゃってたんだったら仕方ありませんね。今度からもう少し気をつけて偵察することにしましょう」
「で……先ほどの話をスクープ記事にしてばら撒けば良いんですね」
「咲夜、今まで見てきたことを文に細かく説明して。私は眠いんで後のことは全て任せるわ」
「わかりました、お嬢様。よい睡眠を」
言葉と共に大きなあくびをひとつして、レミリアは寝室にむかって歩いていく。
レミリアと咲夜がそんなやり取りをしている中で、文はメモ帳を用意して構えていた。
「さ~って、それじゃあ咲夜さんには今回のことについて色々聞かなきゃいけませんね~」
「ええ、何でも聞いてください」
12月19日
「号外~号外~」
朝早くから文の新聞を配る声が幻想郷に響き渡る。
その新聞を見た幻想郷の住人達は思い思いに行動を開始した。
博霊神社 博麗霊夢
「冬に雪が降らないのはレティの調子が悪いせい……と、確かに雪が降らないのは問題よね」
配られた新聞を手にとってゆっくりと眺めていた霊夢はいつものように戦闘準備を整えると、この新聞の調査をしたであろう紅魔館に向かっった。
霧雨亭 霧雨魔理沙
「ふむふむ……まぁ、要するに冬ってのをたくさん集めれば良いんだな。じゃ、手っ取り早く周りの奴らを叩いて集めるか」
魔理沙はいつものように黒い魔法使いの帽子をクイッとあげると、楽しそうな顔をして魔法使いの箒にまたがった。
紅魔館 十六夜咲夜
「レミリア様はああ言っておられたけれど、この事件は私が請け負った物。競技に参加して勝利をつかめばレミリア様も喜んでくれるはず」
咲夜は真夜中からある程度用意しておいたナイフの数々を持って紅魔館を後にする。
紅魔湖 チルノ
「レティ、私頑張ってくる。頑張ってレティが元気になるようたくさん冬を集めてくるね」
この新聞を読むまでずっとレティの傍に居たチルノは、大妖精に見送られながら紅魔湖から飛び去った。
冥界 幽々子&妖夢
「妖夢、この競技に参加してたくさん冬符を集めて消滅させなさい。これだけ暖かければ西行妖が咲くかもしれない。その為にはここで冬を集めさせるわけにはいかないのよ」
「わかりました、それでは行って参ります」
妖夢は二つの剣を腰に差し、決意を新たに幽々子の元から出て行く。
舞台が整い、参加者も集った。
さあ、ゲームを始めよう。
>目を瞑り、昔のことを回想していくレミリア
戦いに行ったのは咲夜で、レミリア本人は赴いてもいないのに
まるでレミリアが赴いたかのような言い回しが引っかかりました