※注意1 『昔話~カタチ無き物に終わりなし』の続編になります
※注意2 主役はフランと美鈴。シリアス傾向です。
あなたたちには心のそこから恨み、心のそこから嫌った人っている?
私にはいるよ。あ、そこ、笑った奴出てきなさい。壊してあげるから。
話を戻すけど、今日はそんな私のことを話そうと思うの。
突然だけど私は彼女が嫌いだった。
『ありとあらゆる物を破壊する程度の能力』
たぶん幻想郷のなかでもトップクラスに入る能力だと思う。
ただその能力の危険性故、たくさんの過ちを私は犯してきた。
理由はやはり幼かったからだと思う。私はその力を理解できなく、本当に、たくさんの物を破壊したの。
そう……お母様でさえ。
ありとあらゆる物を破壊するというのなら、その能力は私自身も壊したわ。
私に狂気が宿っているというのなら……それは間違いなくこの能力が私の自我を壊したから。
私が最初に壊した物……それは間違いなくこの私自身。
皆が私を気がふれているという。原因はその能力。私は気が振れ『狂気』を宿しているの。
昔は大変だったわ。今私が居る紅魔館に魔理沙がやってきて私をコテンパンに叩きのめさねば
おそらく私はずっと完全に壊れた人形になっていたと思う。
魔理沙のお陰でようやく、少しずつ私は私という自我を修復している。
それでも完全に元に戻る事はないと思う。
壊れた物を100%同じものに戻す事はできないのは私が最もよく知っているから。
そんな狂気を宿した私に対しお父様が行った私を幽閉した事は納得している。
まぁそれが500年近く生きた人生の中の大半をしめれば
外に出たいと思う気持ちが出るのは仕方ないと思うの。許して欲しい。
とはいえ今はその話をしたいわけではないの。外に出ようと思えばいつでも出れるから。
昔と違い狂気100%から脱し多少なりとも自我が戻っているのだから。
その分能力の使い方も分かってきた。だからこの程度の結界なら難なく破壊できるのよ。
今回話すのはそんな私が嫌いな女のこと。
お姉さまの事じゃないよ。勿論一時期ずっと幽閉し、自身はのらりくらりと生きているのを見て
軽く殺意が湧いたが今ではそんなことどうでもいいの。あの人はあの人なりに頑張っているのだから。
簡単に言えば好きということ。咲夜も、パチュリーも好き。紅魔館内の者は基本的に好き。
何しろ私を楽しませてくれる、面白いと思うから。
けどあの女だけは違う。あいつと戦ったときは面白いとも楽しいとも思ったことはないわ。
あったのは唯の恐怖。あそこまでの恐怖は未だに味わった事がないと思う。
もちろん私が嫌いになった理由はそれだけじゃないけどね。
私はあの女が嫌い。
私からお姉さまを奪い取って言ったあの女が嫌い。
私はあの女の全てを知ったような態度が嫌い。
私はあの女の何かを隠している上っ面の笑顔が嫌い。
たかが使用人でしかないくせに、まるで私を子ども扱いする。いや、確かに私は子供よ?
だが過保護とも言えるべき接し方だった。むかついた。
私はあの女が嫌い。
私の居場所を奪っていったあの女が嫌い。
私から私という存在を奪い、壊したあの女が嫌い。
嫌い、嫌い、大っ嫌い!
私は……紅美鈴が大嫌いだ。
◆ ◆
突然だが紅美鈴の評価を述べよう。以前にも述べたが、ここで再確認してもらいたい。
紅魔館外での評価は以前述べたように『居ていないようなもの』。
先日の件で多少の修正はされたのだが、それはあくまでも肉弾戦ということで
弾幕戦での評価は低い。最もそんな彼女も下手ではあるが弾幕戦での実力もある。
ただ単に周りが強すぎるだけの事。これでも一介の妖怪共は止めてきているのである。
そもそも紅魔館内に侵入できるのがほんの一握り程度なのだから、
その倍以上の侵入者を防いでいる美鈴は立派といえよう。
とはいえそんな事を外部の人間は分かるまでもなくついには
名前まで忘れられ、『中国』としか呼ばれなくなったという事態までに到ったのだった。
では紅魔館内ではどうだろうか?
彼女と特に付き合いの長く、ある程度実力を知っているレミリア、フランドール、パチュリー、小悪魔、
更に最近その本来の実力を目の当たりにし、評価を以前よりも高めた咲夜は彼女の事を認めている。
他にも彼女の下で部下となり長いこと付き合ってきた同僚も認めている。
無論、彼女の上司は弾幕戦で負けている事に関してそれ相応の罰を出している。
だがそれも彼女を奮い立たせる物だと思えばいい。
ただそれも度を過ぎる事がある。メイド長のSとも言える制裁、そしてそれを涙ながらに受ける気弱な門番。
どのような図式が成り上がるだろうか? そう、頼りない門番である。
そのため平のメイド、特に新人には舐められている感がある。
とはいえそんなメイドたちも次第に彼女の凄さに気付くのだが……。
まぁ概ね彼女の評価は一部のメイド以外の平のメイドからは『優しい門番、ただ微妙』という非常に悲しいもの。
一部のメイドとは彼女の部下。その部下たちは彼女の強さをよく知っているため
強い信頼と尊敬を抱いている。『お姉さま』と呼ぶものまで出る始末だ。
多少脱却してしまったが、ここまでを総括してしまえば紅美鈴は内外問わず、
対人関係では非常に微妙な均衡のもとで成り立っているといえる。
そんな彼女だがただ一つ、外からも中からも言われている事がある。
曰く『紅美鈴は底が見えない。幻想郷内で紫に次ぐよく分からない人物』だということだ。
話を戻そう。そんな美鈴は今、暗闇の中に立っていた。何もない、真っ暗な空間。そこに突如人影が現れる。
横たわるは少女の死体。そこにまるで墓標のように胸に剣が突きたてられている。少女は言う。
「痛いよぉ、痛いよぉ」
死んでいるはずなのに、必死にその手を自分に向け少女は言う。ただ痛い……と。
次々に新たな死体たちが現れる。そしてそれら全員が手を美鈴に向け必死に捕まえようとする。
何で自分たちを助けなかったのかと。何故おめおめ今も生きているのか……と。
「いや……」
頭を抱えて美鈴はしゃがむ。だが声は終わるどころか更に多くなっていく。
「いや……」
彼女の口からは弱気な声が吐き出される。
だが声は彼女をあざ笑うかのように多くなっていく。
「いやぁ!!」
するとフッと死体は消え、声も消えた。恐る恐る顔を上げるとそこにはもう一人の自分が立っていた。
『ふん……まだ恐れているのか?』
見分けをつけるためこちらを黒美鈴とする。黒美鈴は腕を組み不適な表情で美鈴を見下ろした。
『結局は人間ということか。だから吸血鬼にはなりきれてない節がある』
「………」
へたり込んでいる美鈴の頬に手を添える黒美鈴。
彼女は先代『白昼の吸血鬼』と言っても過言ではない。
今では美鈴の一部となっているが、その彼が持っていた『狂気』は美鈴に受け継がれている。
『その悪夢の正体を教えてやろうか?
結局お前も同じなんだよ。自分の村を襲った連中とな。だから今のような夢を見る』
「私は奴等とは違う!!」
『違わないさ! だったら何故あの時無理をしてでも戻らなかった!?
『気』を操る事ができたお前なら微妙な変化を察知する事ができただろうに。
戻って村人たちを守る事ができたはずだ』
「それは……」
『いい加減気づけよ紅。村人たちはお前を許す事はないだろうな。
特にお前の妹なんて傑作だったぞ? 息を引き取るその時まで『お姉ちゃん』って言ってたんだからな』
黒美鈴の血は先代の記憶を引き継いでいた。
だから美鈴が見ていない光景でも、まるで見ていたかのように映し出させる。
「やめて……」
『他の村人もお前が戻ってくる事を信じて戦ってたなぁ。
『紅が戻ってくるまで頑張るんだ』『きっと紅が助けてくれる』ってなぁ。
結局お前は戻ってこなかった。皆失意のまま死んだのさ』
「やめろ……」
『皆恨んでるだろうなぁ、お前の事を。皆が殺されているときお前は何をしていた?
だまされているとも知らずにのほほんと過ごしてたんだぞ?』
「やめろ…」
『くくく…その恐怖を背負い何故まだ生きようとする? 何故まだ紅として生きようとする?
なぁ紅、もう一人の私……解放されたいだろう? そんな過去から』
そういいながら両手を頬に沿えゆっくりと唇を近づけてくる。
『所詮お前は人間でもなければ妖怪の中でも異端の存在の吸血鬼。
いや、吸血鬼というのもおかしいなぁ。何しろ本来たくさんあるべき弱点がお前には一つしかないのだから。
お前は一人ぼっちだ。半端な吸血鬼、半端な妖怪……お前が向かう場所は何処にもない』
「そ、それは……」
『いい加減いいだろう? さあ……私と一緒になろう。『白昼の吸血鬼』紅美鈴になろうじゃないか』
ゆっくりと…ゆっくりと唇が近づく。そしてもう間もなく触れるというところで
「やめろぉおおおおお!!」
美鈴は力の限りつき飛ばした。
「はっ!!」
ガバッと布団を払い美鈴は起き上がる。
「はぁっ…はあっ…はあっ」
自身を抱かかえるように腕を両肩に交差して抱く。
「はあっ…はあっ…はあっ」
震えが止まらない。
「ゆ……め……?」
ここは美鈴の部屋、間違いない。自分は? 紅美鈴だ間違いない。
「はあっ…はあっ…」
ようやく動悸と震えが収まり始め、息が整ってきたのかゆっくり手を肩から外すと前髪をかき上げる。
ベットリと汗がつく。気付けば全身が汗ビッショリだった。寝巻きが肌に張り付いて気持ち悪い。
「シャワー……浴びよう」
ヨロヨロと狭い浴室に向かう。
シャアアアアアア
熱いシャワーが体を流れ汗を流していく。先ほどの夢を思い出す。
「私は一人ぼっち……か。確かにそうね」
美鈴は吸血鬼だ。だがはっきり言ってそれさえも疑わしい。
吸血鬼は妖怪の部類の中でも異端中の異端、一部では別枠として考えられている。
つまり吸血鬼は妖怪であって妖怪でないものと考えればよい。
そして美鈴はその中でも『白昼の吸血鬼』と呼ばれ異端中の異端とされた。
言ってしまえば吸血鬼の中からも除外されたに等しい扱いを受けていた。
無理もない。彼女には吸血鬼の最大の特徴が抜けていたのだ。
吸血鬼の弱点、一番有名なのは太陽だ。レミリアもフランドールも太陽は苦手だ。外出する際は日傘が必要になる。
だが美鈴はそれがない。太陽の下でも存分に動く事が可能なのだ。
それが『白昼の吸血鬼』と呼ばれる所以なのだが。
他は基本的に同じだ。太陽は大丈夫でも、白木の杭は今の彼女にとって最大の弱点だ。
そして当然『渇き』もある。
「『渇き』……か」
ここでもまた他の吸血鬼と彼女は違う。
普通の吸血鬼は常時血の『渇き』に苦しめられているのだが、美鈴の場合は定期的な形で現れる。
前回の話で述べられていた『アレ』とはこの『渇き』のこと。
ちなみに美鈴の場合は『発作』と呼んでいる。
だがその渇きが幾らなんでも幻想郷を揺るがすほどの物ではないのは考えるまでもない。
つまり美鈴の『発作』には血を求めるのとは別の何かがあるということ。
それはまた後に語ろう。
キュッ
シャワーを止める。美しい裸体に湯が滴る。
「もう寝付けないだろうし、外に出て空気でも吸ってこよう」
バスタオルで体を拭き、服を着ると外に出る。
「明日は満月……」
外には満月一歩手前の月が輝いていた。吸血鬼は満月に近づけば近づくほど強くなる。
ここも美鈴とは相違ない。気分が多少高まったりするのはいつもの事だ。
「となるとお嬢様も絶好調なのよね。はぁ…少なくとも明日から数日は仕事ミスできないわ」
勤務所に向かうため、階段を下りる。そよ風が火照った体を程よく覚ましてくれた。
勤務所に入るのは久しぶりだった。最後に入ったのは妖夢と決闘をした前の日。
仕事に復帰した後もなんだかんだあり、中に入ることはなかった。
同僚とは外、勤務時間中に言葉を交わすくらいだった。なので中に入るのには少し緊張した。
普段はそれなりに賑わう勤務所でも今日は鳴りを潜め、中には数人の隊員しかいなかった。おかしい。
最も少ない時間帯のの待機時間でもこの倍は居るはずなのだが。
そんな彼女に門番隊の1人が声を掛けてくる。ユイという名を持つ妖怪。
彼女は普段は門番隊の副隊長を務めており、ついこの間まで臨時の隊長を勤めていた。
「あ、隊長。どうしたんです?」
「ちょっと寝つきが悪くて」
「最近多いですね」
「そうですね……仕事の邪魔しちゃって御免なさい」
「いえいえ…お茶入れますから適当なところでくつろいでいてください」
美鈴は言われるがままに近くの椅子に座った。程なくしてユイはアイスティーを入れてやってくる。
汗をかき、喉が渇いていたので丁度良かった。冷たい感触と共に喉が潤う。
何故部下に対しても美鈴は敬語なのかという件について軽く説明しよう。基本彼女は礼儀正しい女性だ。
ただし、全てにおいて彼女にとって『敵』となった者に対しては容赦ない。
魔理沙は敵ではないが、立派な侵入者のためもろタメ口だ。それでも最近は少しずつ敬語が混ざっている。
害がないと判断した者に対しては必ず敬語を使っている。
それがたとえ自分の部下だとしても。それが彼女の株を上げる原因となると同時に、
喜怒哀楽の全てで同じ行動を起こすため、彼女の本性を隠す原因ともなっているのだ。
言ってしまえば、部下たちの間でも彼女がタメ口オンリーで一日喋っている所を余り見た事がないということ。
閑話休題、話を戻そう。
「それよりも他の皆は?」
「忘れたんですか? 今日の昼、魔理沙さんが来たじゃないですか」
そうだった、今日の昼いつもの如く魔理沙がやってきた。
結果は美鈴の負け。前回と違い何時も通りに相手をしたのだ、負けるのは分かっていた。
が、美鈴にとってみればこの状態でも勝てなければならない。
ということで今後の訓練を更に厳しい物にしよう、と決断したばかりだった。
まぁ魔理沙は例外といえる。火力が高すぎるのだ。マスタースパーク3連発は鬼畜過ぎる。問答無用すぎだ。
なお他の隊員も奮闘したのだが、結局のところ撃墜されシフトから外れ待機していた隊員までも参戦。
そのため必要以上に損害が出てしまった。今彼女たちは治療中のため自室に居る。
「それでもかなり数が少ないですよね?」
「はい……実は以前メイド長から異動命令通達がありまして、数名内部メイド部隊勤務に異動させました」
「それって私が任から外されていた時のこと?」
「はい。ですから臨時の隊長を勤めてた私が異動させました。今伝えたことに関しては謝罪します」
「いいですよ、メイド長の命令なら仕方ありませんし」
門番隊は内部メイド部隊、図書館直属特殊管理部隊と大元では同じだが、そのメイドたちの中でも曲者がそろっている。
群では内部メイド隊のほうに利があるが、個別の戦闘力では門番隊の方が上だ。
それを打ち破ってくれる魔理沙や霊夢はと聞かれれば、彼女たちが異常に強いとしかいえない。
また曲者というのには無論性格も含まれているため、メイド長が余りレミリアに近づけさせようとはしない。
そのため主人のレミリアから見れば美鈴以外の隊員は忘れられている事も多いのだが……。
「何かあったんですか?」
「いえ……ただの人員補充のようです。ほら、魔理沙さんの侵入でかなり被害でてますし。
後は妹様の暴走を止めるのに大量に消費されてますから」
「ああ……なるほど」
確かに内部メイド部隊の被害は相当なものだと聞いている。
人員募集で集めて入るらしいが、門番隊から連れてこないといけない位危機的状況とは思わなかった。
何しろ普段の人員不足の場合、小悪魔率いる図書館直属特殊管理部隊から引っ張ってくるのだから。
「多分、戦闘技術を叩き込むための教官として入れたんだと思いますよ?」
「確かに戦闘に関しては私たちの方が上。…まぁ普段はそう見られてないけど」
「ははは…仕方ありませんよ、魔理沙さんは特別です。それに他の人たちも。
彼女たちが現れるまでは一度もこの門から先を侵入者たちに通した事ないんですよ?」
「まぁ…ねえ。はぁ、どうしてお嬢様のお知り合いにはああも滅茶苦茶な人がたくさん居るのかしら」
「あのぉ…それを隊長が言いますか?」
ユイの見立てでは美鈴の方が少なくとも滅茶苦茶の化け物と踏んでいる。
ちなみにユイは門番隊発足時からずっと美鈴の元で副隊長の座についてきた。
部隊の中でも特に彼女の強さはよく知っているし、おそらく紅魔館にレミリアが移り住んだ後では
レミリアの次によく付き合っていた人材である。だから美鈴の発言に呆れて言った。
「隊長。近いうちに一度演習しましょう」
「そうですねぇ……連携練習も含めましょう」
「はい。日程のほうはこちらで調整しておきます」
「おねがいね」
「隊長はこれからどうなさいます? あ、言っておきますけど仕事は禁止ですよ。
気まぐれで仕事を取っていったら部下からも文句が出ますから」
「はいはい。おとなしく本でも読んでますね」
「お願いします」
その後も暫くユイと軽くお茶をすると、副隊長の任についているユイは書類作業に戻った。
門番隊も何も戦闘だけが任務ではない。デスクワークだってあるのだ。
美鈴は図書館に向かった。一見体育派の彼女だが、実は文学もたしなんでいる。
何しろ昔(ランドの下で働く前)は時折軍師としての仕事もやっていたくらいなのだから
文学の大切さというものを良く知っている。普段の彼女からは伺えない重要なファクターだ。
特に美鈴は文字を読む、文字を書くということは非常に重要だと思っている。
書くという動作にはその人物の真髄が現れるといっても過言ではないと彼女は断言する位だ。
フヨフヨと飛んでいくと数人のメイドたちに会った。彼女たちは咲夜率いるメイド部隊ではない。
紅魔館にはレミリア及びフランドールを頂点とし、その下でたくさんの従者たちが働いている。
その従者たちには3つの勢力がある。一つは内部メイド部隊、二つ目は門番隊、
そして三つ目がこの図書館直属特殊管理部隊、いわゆる図書館管理部隊だ。
更にこの3つの中に様々な部署があるのだが、今回は省略させていただく。
内部メイド部隊には主に家事の能力が優先され、また一定の戦闘技術も必要とされる。
この3つの中では一番平均的に能力が高い者たちが集まっている。
門番部隊は先ほども言ったように戦闘技術が主体とされている。
そして図書館管理部隊には戦闘、家事以外にも特殊能力が極めて高い者が配置されている。
この図書館ではかなり魔力が強い本が扱われたりするため普通のメイドだと役に立たないのだ。
そこでそういったものに耐性があるメイドたちがここに配属されるのである。
最初は小悪魔1人で管理を行っていたのだが、その仕事の多忙さを見かねたパチュリーがレミリアに進言、
発足されたのが始まりとされている。
なお大まかに3つに勢力が分かれてはいるが、最高意思決定権は内部メイド部隊長、つまり今で言う咲夜にある。
図書館管理部隊のメイドたちはせわしなく動いている。何しろこの図書館は広い。
全体を管理するのには一苦労するだろう。
美鈴はそのうちの一人を捕まえ隊長の小悪魔を連れてくるように伝えた。
パチュリーは体が弱く動けないため、代わりに小悪魔がその任を担っているのである。
「あ、美鈴さんいらっしゃい。今日もですか?」
「はい。お邪魔にならないようにしますので」
「いいんですよ」
「いつもの物も持って来ますね」
「お願いします」
美鈴は呼ばれてきた小悪魔に用件を言うと別れ1人図書館に無尽蔵におかれている棚の一つに向かう。
別に魔法を学ぶために魔道書を読むわけではない。
彼女は本を読むという行為そのものに価値があると思っている。
特に本人が書いた字ならば尚更良い。
その者の字からその者の真髄を読み取り、その者が歩んできた人生を頭の中で描き、
自分に重ね合わせて頭の中で生きて行き、真髄を吸収する。
「真の武とは、肉体を鍛える以外にも書から学ぶとはこういうことも含まれる。若い人はこれが分からんのですよ……」
と、1人愚痴る。本人が書いた字、つまりオリジナルの本を求め彼女が向かったのは古書のコーナー。
浮いたままその本棚の一つから本を一つ抜き取り、読んで行く。
ここでまた必要なのはその本が伝えたい核となる部分を読み解く事。
核を見つけ、理解し、想像し、吸収する。本を読む上で一番重要な部分だ。
途中まで読み、その本をパタンと閉じると、他にも良い物は無いか、と探す。
その後も何冊か棚から抜き取ると近くにある美鈴専用ともいえるべきデスクに向かう。
両脇には今まで置いておきながらまだ読んでいない本がたくさんあった。
彼女はその中に今取ってきた本も混ぜ、とりあえずまだ消化していない本から読んで行く事にした。
彼女の本を読むスピードは早い。長年生きていることもあり早読みというスキルを得ているからだ。
それから30分もしないうちに一冊読み終わった。まぁ既に以前半分読んでいたのだが。
「持って来ました。うわっ、また増えてます~」
紅茶の入ったポットとカップが二つ載ったお盆を右手に、
左手には何やら道具が入っているらしきバッグを持っている小悪魔。
「ありがとうございます」
美鈴はそれを受取ると小悪魔が紅茶の用意をしている間に開いているスペースにそれを展開する。
バッグの中に入っていたのは書道の道具だった。
先の細い筆に、大きな筆。様々な種類の固形墨などなど多種多様の道具。
そして今度バッグの中からケースを取り出し、中から一冊の本と縦書きの紙を取り出した。
どうやら自身の本を書いているらしい。
筆も使い慣れているのかスラスラと昔ながらの書体で書いて行く。
「かなりの冊数書いてますよね、何冊目ですか?」
紅茶を飲みながら横目で書いている姿を眺める。
「10冊は超えてると思いますよ。まぁ何せ私の人生を綴ってるんですから当たり前といえば当たり前です」
「そうですよねぇ。何時から書かれてるんですか?」
「妖夢さんの祖父、妖忌さんが来られた後辺りからです」
そう、その頃から彼女はまた『武人』としていきようと考えていた。
そこではじめたのがこの本作りである。
「なるほど。それにしても長いこと書いてらっしゃるんですね?」
「まぁ、千年以上生きてますから。書く分には十分すぎるほど内容がありますし」
「多分そうそう居ないんじゃないですか? それだけ生きている妖怪って」
「そうですね。妖怪にも寿命というのは存在しますから」
「もしかして美鈴さんって幻想郷の中でも外でも相当長生きしているグループに入るかもしれませんね」
「まぁ…封印されてた約1500年差し引いてもそれ以上生きている事になりますからね。
けどもっと生きている人もいますよ。何せ世界は広いですから」
一度筆を止めて紅茶を飲む。ユイが淹れたのとはまた違い、
砂糖が適量入っていた。小悪魔なりの気の遣い方なのだろう。
「とはいえ、これだけ長生きしてると時間に対して麻痺してきますよ。
何時死ぬのか本当に分からないんですから」
「死ぬのが怖いって事ですか?」
「ん~ちょっと違います。人によっては怖いのかもしれないですけど、
私にとっては『死』なんてどうでもいいんです。問題は如何にその時間を使うかということ」
また筆を取り書いていく。
「始まりあるものには必ず終わりがあります。例外はありません。
例え不老不死の妹紅さんたちであったとしても何かしらの形で終わりはやってくるはずです。
人間に寿命という終わりがあるというのなら、妖怪にも終わりはあります」
美鈴には別段『死』に対し恐怖感を抱いていない。
何しろ自分は一度人間として『死』に、吸血鬼として生まれ変わったのだ。
別にまた死んだとしてもそれを恐怖する必要はないし、せいぜい思ったとしても
『ああ、やっと終わりなんだ』程度のもの。
「時間というのは非常に重要なものです。私たちがこの世界で動くために非常に重要なファクターです。
その生きている時間の間に私たちは何かしらの『物』を後世に残します。
ですから人間や大抵の妖怪はその時間を各々のやり方で生きていくのです」
本人たちには自覚はないのかもしれない。だが必ず何かしらの影響は残す。
「ですが私のような莫大な時間を生きている者たちは時間の大切さを忘れてしまいます。
ただただボーっと生きていき、気付けば終わりを迎えこの世界から消滅している例も多いです。
ですからただ長い時間を生きることが良いと言う訳ではないんです」
時間は大事なものだ。だがずっと生きているとその時間を軽く思うようになるのは世の必定。
根拠のない自信によって生き続け、気付いたときには死んでいる。
莫大な時間があるのに非常に無駄な生き方をしている事になる。
「なるほど。時間を軽く思うが故の破滅。美鈴さんはその時間が有限であると実感するため、
忘れぬために己の人生をこうやって本にしているんですね?」
「そういうことです。また、こうしている意味は他にもあります」
周りの本を見回し続ける。
「私は何かしらの方法で後世に伝えたい。自分の存在を」
「美鈴さんの存在なんて誰も忘れませんよ。たとえあなたが死んだところで私たちが覚えています」
「記憶というのには限界があります。覚えていても必ず風化する。
もし小悪魔さんたちが覚えていたとしても、小悪魔さんたちが死ねばそれで終わりです。
そこで私という存在は消滅します」
「それなら私たちも同じですよねぇ」
「いいえ、あなた方は少々違います。人間には子を、妖怪にはその弟子、子孫に能力を受け継がせる事で、
悪魔なら……まぁ悪魔なりの方法で伝えていきます。自身の歩んできた結晶を知識、能力として。
一番良い例が妖夢さんと妖忌さんです」
「ああ…なるほど」
「もし私に自身の経験から来る能力を受け継がせるに足る人物が現れればそれで私という存在は確立するでしょう。
ですがそれはあくまでも確率の話。『もしかしたら』現れないかもしれません。
その為に私は別の方法で後世に伝える事にしました」
「それが…本ですか?」
「はい。正確には字と、それから構成される文です」
筆に新たに墨を含ませ、また書いて行く。
「先ほどの発言を少し訂正します。存在を伝えるため…と言いましたね。
少し違いました。正確には私の生き方を残すため、といった方がいいと思います。
存在は口で語り伝える事が出来るでしょう。ですが生き方はそうはいきません。
1から10までを口で語り伝える事は不可能です。
私がこうして字を書いているのはそれが理由といえると思います」
「生き方を後世に伝えるため……ですか」
「はい。それにこれは妖忌さんと戦ったときに思い出した『武人』としての考えですが……」
筆は動かし続けながら、大陸で過ごした長い年月を思い出す。
「『武人』が望む最高境地、つまり終わりのない高みでも最も到達する事が困難とも言える領域、
それは悟りと呼ばれるもの。本を書き、偉人となった『武人』は少なからずその悟りを開いています。
私が本を読むのはその『武人』が書いた悟り、その者の真髄を身につけるためです。
言ってしまえば本の中に最高境地があるといっても過言ではありません」
「…………」
「昔から文学と武芸は表と裏の関係と言われて来ましたが、行き着くところは実のところ同じなんです。
戦うことだけが『武人』ではありません。本を読み、学ぶ事こそ真の『武人』なのです」
「真の『武人』……」
「それを字にして具現化する。字こそ私の生き方の表れです。
過去の偉人たちの本を読みその内容を昇華し、自身に還元しその内容も踏まえて文を書く。
そして創り出された本は決して消えません。例えオリジナルが消えても複製されて後の世に残ります。
もちろんオリジナルに比べば多少の質は落ちますが、それでも私の伝えたい事は伝える事ができます」
「…………」
「私としては妖夢さんのような志が高い『武人』に読んで欲しいですね。
そして私の生き方を読み取ってそれを糧とし、更なる精進をしてくれれば、私としても本望ですよ」
そこでニッコリと笑った。
「では美鈴さんはもう『武人』としての最高境地、悟りに辿り着いたと?」
「一応は。ですが『武人』としての高みは終わってません。
私の高みは私にとって本当の終わりが来るまで決して終わりません。
たとえ最高境地に辿り着いてもまだまだその上に昇っていきます」
悟りはその長い長い高みの中の一つの中間点に過ぎない。
妖忌もまたその新たなる高みのために悟りを開き、高みを得るために白玉楼から姿を消した。
「あの……美鈴さん、じゃあ美鈴さんも何時かはお嬢様の元から消えるということですか?」
高みを望むのであればいずれはそうなるだろう。一つの所で得られるものには限界があるのだ。
「まだまだお2人とも甘いですから、当分はいる事になるでしょう。
それに例えお2人が成人したとしてもランド様が雇用契約を切らない限り、
おそらくここにとどまる事になるでしょうね」
「それを聞くとまだまだ先になりそうですね。私もパチュリー様が契約をきらない限り魔界に帰ることはないですから」
「ま、お互い契約が切れるまでは頑張りましょう」
「はい。じゃあごゆっくりどうぞ。私は仕事に戻ります」
「頑張ってください」
はい、と笑顔で答えると小悪魔は去って行った。
それからも美鈴は黙々と書いて行く。気付けば10ページほど進んでいた。
時間で言えばもう3時間、夜明けまでもう少しというところ。
読むのは得意だが書くのはそこまで得意じゃなかったようだ。
これならば朝の勤務時間、夜明けまでに後6枚は書けるだろう……と思ったそのときだった。
ドクン
体内を駆け巡る大きな鼓動の音と共にバキッと筆が折れた。
「あ……」
続いて頭痛が襲う。美鈴は頭を抑えながら何とかこれ以上書くのは無理だと悟り、
道具を片付けると小悪魔に気付かれないように部屋を出た。
体の調子は治っていなかった。むしろ酷くなっていた。
相変わらず力の入り具合はおかしいし、気分も変になっていた。変な高騰感があるのだ。
だが『渇き』が起こっていない。大抵この症状がでるのは『渇き』がでたときなのだが、
まだそれが表れていない。そしてそれが表れなければ対処法がないのだ。
「やっぱり……明日にでも一度永琳さんのところにいこう」
彼女なら何かしらの方法を考案できるだろう。それまでは自室で待機しなくては。
このままだと何をするか分からない。おとなしく自室へと向かう事にした。
だが、この日は少々事情が異なった。
ドオオオオオン
突如盛大な音と共に地鳴りがする。
「また妹様か……」
レミリアの妹、フランドールが地下室から抜け出したのだろう。
拙いな……美鈴は思う。フランドールはどうも自身を嫌っている節がある。
理由は……わかっている。だが今日はその矛先を向けられては困るのだ。
今の自分では下手な衝撃を与えられた場合、間違ってフランドールを殺す可能性もある。
「異端であり中途半端な存在であるが故の弱点……か」
どうせ今日もレミリアか咲夜が止めに入るはずである。
でなければ騒ぎを聞きつけた霊夢や魔理沙が止めるはずだ。早い話、自分の出番はない。
はぁ、とため息をつくと出来るだけ早く部屋に戻ろうと動き出した。
◆ ◆
その日もフランドールは地下室から抜け出した。
ただし今回はやることがあった。明日は満月。月は見えなくとも力は倍増する。
万全な状態で行いたかったのだが、それでは色々と問題がでるためあえてこの日を選んだ。
「夜明けまで時間がないから、さっさと済ませよ~っと♪」
ケラケラ笑いながら紅魔館内を回る。
「メイドは本当に弱いなぁ、直ぐに壊れちゃう。せめて一度にたくさん襲い掛かってきてくれれば楽しいんだけど」
今の彼女がメイドに望んでいるのは質より量。その方が壊し甲斐があるというものだという考え。
そのため何処か物足りなさを感じながら先に進んでいた。
「妹様……今夜もですか?」
大分メイドたちを片付け、飽きてきた頃……そんな彼女の前に咲夜が現れた。
「うん、だってこんなに月が綺麗なんだもの。遊ばなかったら罪だよ?」
「だというなら少しは私たちのことも気に掛けてくれると嬉しいのですが」
「アレ? 気にかけてたよ? だから遊んだんじゃない」
「それで壊されるほうはたまった物ではありません」
咲夜は両手にナイフを持ち、フランドールも戦闘体勢に移行する。
「パチュリー様はどうなさったんです?」
「ああ、寝てもらってるよ」
「なるほど。ですから今も図書館の方角から出てきたんですね?」
「そういうこと。雨を降らされると非常に厄介だから。私も馬鹿じゃないよ。
前に本で読んだんだけどね? 手刀って便利だね。簡単に気絶しちゃった」
「まさか……」
「大丈夫、壊してないから。お姉様のお友達だし、怒られるのはやだもん」
「既に十分すぎるほどのことをしていると思いますが」
「なら怒られる要素を減らしたというべきかな?」
ケラケラケラ、とまた笑う。少なくともパチュリーの援護は期待できそうに無いらしい。
殺していないとはいえ、病弱な体に手刀だ。起きてくることはないだろう。
「あはは、咲夜と遊ぶのも久しぶりだね♪」
「そうですね。……ですが1つだけ解せない事があります」
「何かな? 何かな?」
「誰か……探してるんですか? ここは玄関とも地下室とも離れてますが」
「あはは、こういうときも冷静だね。その態度は好きだな、私」
「答えてください」
「ああ怖い怖い。いいよ、教えてあげる。今日はね、あの女を壊したくて出て来たの。魔理沙は二の次」
「あの女……? お嬢様ですか?」
「違う違う、中国だよ」
「美鈴?」
ケラケラケラと狂気の笑みを浮かべるフランドールに咲夜は疑問符を浮かべた。
何故フランドールが一介の門番でしかない美鈴に興味を抱くのか分からない。
「で…教えてくれるかな? 中国が何処にいるのか」
教えなければ殺す、と彼女の目は言っていた。
咲夜は考えた。確かにここで彼女の居場所を教えれば間違いなく美鈴は殺される。
だがその見返りにレミリアの安全とメイドたちの安全は守られる。
メイド長たるもの、損害を考えれば……ここで教えるべきなのだろう。だが……。
「断ります。教えるわけにはいきません」
そう、教えるわけにはいかなかった。1人の友人を見殺しにするわけにはいかない。
レミリアも美鈴を重宝している事は知っていた。尚更殺させるわけにはいかない。
「そっか…残念。じゃあまずは咲夜、あなたと遊ぼうっと。まぁ壊れないように頑張って」
「参ります」
2人してスペルカードを掲げる。
「幻符『殺人ドール』」
「禁忌『クランベリートラップ』」
2人の高らかな声と共にスペルカードは発動される。紅魔館の一角で破滅的な弾幕戦が行われた。
◆ ◆
紅魔館でフランドールが暴れるといった異変は以前からあったが、今回は少しばかり勝手が違った。
そのため霊夢は神社から出て紅魔館に向かっていた。
「何か嫌な予感がするのよね」
彼女の場合、その微妙な変化をお得意の勘で掴んだらしい。念のため友人の魔理沙を連れて来ていた。
「嫌な予感だけで私を呼んだのか……」
箒にまたがる魔理沙は眠気眼で言う。みれば服の所々が汚れている。
彼女は家で寝ていたところを霊夢にたたき起こされたのだ。
慌てておきてみれば『ごきげんよう』と笑顔で霊夢に言われたため、
少しムカッとし、軽く弾幕ごっこをやって今に到る。
ちなみに魔理沙が負けた。起きた直後に弾幕ごっこをしたため頭が上手く働かず惨敗。
結果いやいや紅魔館に向かっていたのだ。
「全く、寝不足はお肌の大敵なんだぞ?」
「何時も研究で寝不足な人間が言う事じゃあないでしょうに。
一日二日増えたところで関係ないわよ」
「ひどいぜ」
そうこうしている内に紅魔館が見えてきた。爆音と振動が遠く離れていても聞こえてくる。
「あーこりゃあまたフランだな」
「…………」
「どうする? あいつの相手なんてもう真っ平御免だぞ私は」
「…………」
「霊夢?」
返事がない。ただジッと紅魔館を睨みつけていた。
「おい霊夢!」
「っ! な、何?」
ようやく声を掛けられた事に気付いたのだろう。慌てて魔理沙に顔を向ける。
「どうしたんだ? 滅茶苦茶怖い顔してたぞ?」
「……私が感じた嫌な予感って、フランの事かしら……」
「じゃないか? どうせ紅魔館の奴等が始末をつけるだろうよ。
つきあわされるのも嫌だし、私は帰るぜ」
「ちょっと待って、気になるから一緒に来て」
「何で私が……」
「お願い」
「うっ……」
上目遣いのお願い攻撃。霊夢の場合ウルウル眼で見つめてくるその表情は、
同姓の魔理沙でさえ見とれてしまった。そしてこれを断ると酷い罪悪感に見舞われそうなした。
そのため暫くその眼を見ているうちにガクッとうな垂れると了承した。
「わかったよ、今回だけだぞ?」
「いいわよそれで」
ケロッとした表情になると紅魔館に向け加速した。
続く
美鈴=吸血鬼(特殊)設定は珍しいですね
ワクワクしながら読ませて頂いてます