幻想郷の朝は、早くに訪れるようになってきた。
しかし森の木々に遮られる香霖堂に日が届くのは、まだ半刻は先だ。
道楽の店の主は、日の光が射し込むころに起きる予定。
その店の前に、降り立つ者があった。
魔理沙だ。
魔理沙は服の乱れを直し、扉を叩く。
店内に響く軽い音は、しかし主の霖之助には届かない。
「おーい、朝だぜー」
二度目はだるそうな声とともに、先ほどより強いノック音が響く。
それでも起きる気配のない主の姿を悟ったのか、今度は打撃に近い音に変わる。
何秒か続いたそれに、ようやく上半身を起こした。
「……魔理沙かい?」
枕元の眼鏡をかけつつ、ぼやけた声で呼んでみる。
しかしその声は打撃音にかき消され、ここでようやく脳が活動し始めた。
……おかしい。
魔理沙がここに来るということは、すでに約束していた時刻になっているということだ。
しかし確かに昨日、目覚まし時計の時刻を合わせたはずだ。
眼鏡と同じ位置に置いておいた目覚まし時計に目をやる。
時計は変わらず、時を刻んでいた。
「電池切れ……じゃないか」
珍しく新品らしき電池が入っていたので使えると思って使ったのだが、なぜだろうか。
時計はこうして動いているし、上部の凸部もちゃんと押したから、スイッチも入っている。
……おかしい。
ふと気がつくと打撃音が消えていた。
もはや鳥のさえずりのように打撃音が当たり前だったので、つい放って置いてしまった。
たぶん、疲れたから休んだのだろう。
そう前向きに考え、打撃音が破砕音にならないうちに玄関の扉を開けた。
開けた瞬間、目の前には八卦炉を構え、スペルカードを構えた魔理沙が立っているのが見えた。
反射的に扉を閉める。
無駄な抵抗と知りつつ身構える。
――が、予想された光の暴流に巻き込まれることはなかった。
不思議に思い、思い切って扉を少し開けた。
半開きになった扉に、ふいに入ってくるものがあった。
「……手?」
五指が開かれた手は、ちょうど霖之助の額あたりにかざされ、なおかつ緑色の光を帯びていた。
瞬間、額に魔法の星が当たった。
だが痛いというほどの衝撃もなく、むず痒い程度だ。
額をさすりつつ、扉をさらに開ける。
「――よう、香霖。お・は・よ・う」
そこには笑顔ながら、怒気をまとっていることが分かるほど怒っている魔理沙がいた。
「や……やあ、早いね」
手に持っているスペルカードを見つつ、香霖は覚悟を決めた。
「ああ、私は約束はきっちり守るんでね」
この会話が最期になるかもしれないと。
「……あ、実は目覚まし時計が鳴らなくて――」
無駄であると悟りつつ、一分の望みにかけてみる。だが――
「そうか、目覚まし時計はまだ鳴っていないのか」
見るからに力を放ち始めた八卦炉。
「じゃあ――」
一枚の紙と、一つの魔道具が視界正面に入り、
「鳴るまで眠らせといてやるぜ――ッ!?」
視界は光に包まれた。
しかし森の木々に遮られる香霖堂に日が届くのは、まだ半刻は先だ。
道楽の店の主は、日の光が射し込むころに起きる予定。
その店の前に、降り立つ者があった。
魔理沙だ。
魔理沙は服の乱れを直し、扉を叩く。
店内に響く軽い音は、しかし主の霖之助には届かない。
「おーい、朝だぜー」
二度目はだるそうな声とともに、先ほどより強いノック音が響く。
それでも起きる気配のない主の姿を悟ったのか、今度は打撃に近い音に変わる。
何秒か続いたそれに、ようやく上半身を起こした。
「……魔理沙かい?」
枕元の眼鏡をかけつつ、ぼやけた声で呼んでみる。
しかしその声は打撃音にかき消され、ここでようやく脳が活動し始めた。
……おかしい。
魔理沙がここに来るということは、すでに約束していた時刻になっているということだ。
しかし確かに昨日、目覚まし時計の時刻を合わせたはずだ。
眼鏡と同じ位置に置いておいた目覚まし時計に目をやる。
時計は変わらず、時を刻んでいた。
「電池切れ……じゃないか」
珍しく新品らしき電池が入っていたので使えると思って使ったのだが、なぜだろうか。
時計はこうして動いているし、上部の凸部もちゃんと押したから、スイッチも入っている。
……おかしい。
ふと気がつくと打撃音が消えていた。
もはや鳥のさえずりのように打撃音が当たり前だったので、つい放って置いてしまった。
たぶん、疲れたから休んだのだろう。
そう前向きに考え、打撃音が破砕音にならないうちに玄関の扉を開けた。
開けた瞬間、目の前には八卦炉を構え、スペルカードを構えた魔理沙が立っているのが見えた。
反射的に扉を閉める。
無駄な抵抗と知りつつ身構える。
――が、予想された光の暴流に巻き込まれることはなかった。
不思議に思い、思い切って扉を少し開けた。
半開きになった扉に、ふいに入ってくるものがあった。
「……手?」
五指が開かれた手は、ちょうど霖之助の額あたりにかざされ、なおかつ緑色の光を帯びていた。
瞬間、額に魔法の星が当たった。
だが痛いというほどの衝撃もなく、むず痒い程度だ。
額をさすりつつ、扉をさらに開ける。
「――よう、香霖。お・は・よ・う」
そこには笑顔ながら、怒気をまとっていることが分かるほど怒っている魔理沙がいた。
「や……やあ、早いね」
手に持っているスペルカードを見つつ、香霖は覚悟を決めた。
「ああ、私は約束はきっちり守るんでね」
この会話が最期になるかもしれないと。
「……あ、実は目覚まし時計が鳴らなくて――」
無駄であると悟りつつ、一分の望みにかけてみる。だが――
「そうか、目覚まし時計はまだ鳴っていないのか」
見るからに力を放ち始めた八卦炉。
「じゃあ――」
一枚の紙と、一つの魔道具が視界正面に入り、
「鳴るまで眠らせといてやるぜ――ッ!?」
視界は光に包まれた。
あと、文の繋がりに不自然な所が目立ち、どうも読みながら違和感を感じてしまいます。
最初は客観視点だったのに、途中から主語も無しに一人称視点に移動してる辺りも、でしょうか。
頑張ってくださいね。
こういう私が最近学んだ受け売りですがw
てっきりまだ導入かと…
細かい描写はさておき、導入と(勘違い)して見る限り結構スマーリ読めました。
次はここからヤマとオチをつけてもらえるとよさげです。
>怒気をまとっていることが分かるほど怒っている魔理沙がいた。
は『怒気』と『怒っている』が被っているので表現がおかしいですね。
あと地の文の始まりはスペースをひとつ空けましょう。
目に付いたのはその辺りかな。
全体的に拙いですが、初投稿ということで、あまり書きなれていないと推測してアドバイスを。下の人も言ってますが、投稿前に友人に見せたほうがいいですよ。素直に指摘を受け止められれば文章力は上達します。
次回作に期待します。
率直な感想はそんなところです。
できれば話を収拾させてほしかった。
どちらが時間を間違えたのか。そのくらいの種明かしはあってもいいのでは?
本当に約束すっぽかして魔理沙が怒ったのか、何かを勘違いした魔理沙に霖之助が付き合わされただけなのか。
その上でないと「理不尽に吹き飛ばされる霖之助」という部分が生きてこないと思います。
あと最近原稿用紙での文章の作法をネットでも適用しろと注意している人が多いようですが、気になさらなくて結構だと思います。等幅フォントならともかく、プロポーショナルフォントでそれをやっても完全に逆効果ですから。