Coolier - 新生・東方創想話

パーティー、夜も更けて

2007/03/09 11:21:04
最終更新
サイズ
5.74KB
ページ数
1
閲覧数
833
評価数
4/17
POINT
730
Rate
8.39
 アリス=マーガトロイドは薄暗い我が家でたった一人で座っていた。
目の前には大きな丸いケーキと美味しそうな料理。
全てアリスのお手製だ。
しかしロウソクの明かりだけの暗い部屋の中には
アリスがたった一人。
「あははは…魔理沙…そんなに急がなくても大丈夫…。料理は…一杯あるから…。」
アリスが微笑みながら、隣の椅子にちょこんと座った魔理沙の人形の頭を撫でる。
さてテーブルの周りを囲む椅子の上にはどこかで見たような巫女人形から
何やら乳臭い吸血鬼の人形までコンプリートされている。
アリスはふと我に返った。自分は一体何をしているのだろうか?
ここ1週間誰とも会話していない。その間も宴会はあっただろう。
しかしアリスは誘われていない。私だけ仲間はずれ。
そして仲間はずれの私は一人悲しく人形遊び。
なんと滑稽だろうか。

プツッ…

「…。あはははっ…きゃはははは。」
ついにアリスの心にとって一番大事なモノが崩れ去った。


それから10分後目の前に置かれているのは大量の練炭の入った火鉢。
家の隙間と言う隙間は全て塞いだ。これで数時間もしたら私は小町と一緒に船に乗っているだろう。
アリスはベッドに寝転び、両手を祈るように組み、目を閉じ

キュイイイイン!ドッカ~~~~~ン!プシュー!
ガン!ゴン!いてて!ガラガラ!うわあああああ!ガッチャーン!プシュー!へる~ぷへる~ぷ!

「一体何よーーーーー!」
アリスはベッドから跳ね起き、音の発生源に向った。そしてアリスが目にした物は、
「う~~~~。アリスー助けてくれ~」
瓦礫に頭からつっこんで両足をばたばたしている魔理沙だった。スカートがめくれてパンツ丸見えで、
アリス的には写真にとっておきたいシーンだ。とりあえず冷静に上海にカメラを持って来させ、数枚ベストショットを撮ったアリスは、
魔理沙を瓦礫から引きずり出した。
魔理沙はパンパンと服の汚れを叩いて落とすと、にっこりと笑って右手の親指を突きたてた。
「お客様だぜ!」
「どこの世の中に壁をぶち抜いた後、棚に頭をぶつけて下敷きなるようなお客様がいるわけ?」
呆れた表情でそう言ったアリスに魔理沙は困ったように笑うと、用件を切り出した。
「ちょいと魔導書を借りたいんだが…」
アリスは頭を抑えて本棚を指差した。折角華々しくこの世からおさばらしようとしたのに、これか…。
「好きな本持って行くが良いわ。今忙しいからさっさと帰って…。」
突き放すようなアリスの言葉に、魔理沙は一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに苦笑いをした。
「そっか。私はちょっとお邪魔みたいだな。じゃあさっさと帰るとしよう。」
魔理沙は本を一冊スカートの中に入れると飛び去って行った。
アリスはその姿を両手を腰に当てながら眺めていた。

さて1時間後、家の修復も終わり。アリスは天井から吊るしたロープの先の大き目の輪に首を突っ込んでいた。
あとは今立っている椅子を蹴ればすぐに小町の船だ。
「ごめんね上海蓬莱……えっと…その他諸々。私…もう疲れちゃった…」
アリスは大きく溜息を吐き、遠くの世界に旅立とうと椅子を蹴っ

ドンガラガッシャーン!あぁあロイヤルフレア誤爆してどうするんですかパチュリー様!えっと…今ならばれていません逃げましょう!
ええそうね…このまま逃げれば証拠は…

アリスは輪から首を抜き椅子から飛び降り、音の発生源の部屋の扉を開け。
「バレバレだぁあああああああああああああ!」
ドグシャ!ボグォ!
慌てて逃げようとするパチュリーの顔面に見事な蹴りを入れ、その隙に逃げようとしていた咲夜にシャイニングウィザードを決めた。

アリスは二人を正座させ、両手を腰に当てて大きく溜息を吐いた。
「あんた達人の家をロイヤルフレアで破壊しといて逃げようだなんて良い度胸してるわね。」
「全ては咲夜が悪い。」
「えぇ!私ですか?ちょっとそれ酷くないですかパチュリー様!」
涙を浮かべて抗議をする咲夜、パチュリーはその視線を受け流すように、咲夜とは別方向を向いている。
「とにかく!私は今忙しいからとっと修理をして帰って頂戴。」
「あら…そう…。」
パチュリーはチロリとアリスを見ると意味ありげな言葉を発した。
「貴方は本当に忙しいのかしらね?」
「どういう意味よ?」
アリスの凍て付く様な瞳を真正面から受けながら、パチュリーは一言だけ言った。コレが最後の忠告だといわんばかりに。
「自分を不幸だと思っている自称悲劇のヒロインは、意外と自分が恵まれている事に気付けないものなのね。」
パチュリーは立ち上がると咲夜に一言だけ声をかけた。
「帰るわよ。今この家の主と話をしても意味が無いわ。」
「え?あの…パチュリー様?でも…アレは…如何致すのですか?」
「必要無くなったわ。」
パチュリーは咲夜を連れてさっさと帰ってしまった。家も直さずに。
「はぁ…片付けよ…。」
アリスは瓦礫を片付け始めた。なんで私だけこんな目に。やっぱり私は不幸で友達が居なくて…
もし生まれ変わったら…魔理沙みたいに…大好きな魔理沙みたいに、人気者で、明るくて…素敵な人になりたい…。
ポタッ…
涙が溢れてきた。なんでこんなに自分は不幸なんだろうか。そんなアリスの目の前に尖った鉄の剣が映った。
これで心臓でも一突きすれば…。その剣に魅入られたようにアリスは、それを持ち上げ、自分の胸に突き刺そうとそっと切っ先を当てた。
「今度こそ…」
アリスが自分を突き刺そうと力をこめようとした瞬間。

ひゅーーーーーーん
スゴオオオオオオオオオオオン!

目の前の地面にチルノが見事に突き刺さった。
「あ…あは…あはははは」
もう笑うしかない。アリスは思わず剣を取り落とした。チルノはフラフラと立ち上がるとビシっとアリスを指差した。
「アンタ1週間も宴会に顔も見せないで何やってんのよ!みんな心配してるんだからね!」
「え?…だって…誰も誘ってくれなかった…」
アリスはペタリと座り込んだままポツリとそう言った。チルノはガリガリと頭を掻くと面倒くさそうに言った。
「誘えなかったの!皆アリスは研究が忙しくて誘えないって言ってたの!この1週間アンタが来なかったおかげでどれだけ皆が…」
そこでチルノは忌々しげに背中を向けると一言だけ吐き捨てるように言った。
「今日!夜!巫女の神社!お酒用意してきなさいよね!」
「あ…うん。」
チルノはそのまま飛び去って行った。アリスはぶち抜かれた天井を見た。そしてふと気になって窓の外を見る。
すると木々の陰に魔理沙や霊夢が心配そうな表情でこちらを伺っていた。帰ったはずのパチュリーも迷彩のメイクをして木に隠れている。
「あ、はははそりゃ死ねないはずだわ…。」
アリスは泣いた。悲劇のヒロインだと思ってた自分の何と恵まれている事だろうか。
彼女の涙はずっとずっと止まらなかった。


そしてその夜は空は満月。いい天気。絶好の宴会日和だった。その宴会の中心で、嬉しそうに皆と戯れる人形遣いのとっても素敵な笑顔が、
次の日の天狗の新聞の一面を飾った。

「皆に愛される七色の人形遣い」と言う題名と共に。
さて、アリスは幸せ者ですエンドです。

久々なのでまずはギャグを一発と言うわけで今回のお話です。
あんまり暗い話ばかり書いていても心が荒むので
本当に楽しい戯曲のようなお話しを意識してかいてみました。

ご感想などありましたらよろしくお願いします。




フリーレスでご意見に対してお礼を言おうと思ったら投稿パスとかがわからずに
投稿できなかったのでここで。

展開が速いと言われるのは毎度の事で、言い訳のしようもございません。
私の技術の未熟さです。次回はもっと努力を重ねていきたいと思います。
基本的な技術に関しても、今回ご指摘された事を踏まえてより一層、
良い作品を書いていけるようにしていきたいと思います。

ありがとうございました。
腐姫
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.450簡易評価
1.50名前が無い程度の能力削除
少し展開が早すぎるように感じました。
3.30名前が無い程度の能力削除
いい話だと思いました。ただ、少し気になる点が。
まず、括弧つきのの最後「」←これの最後に句読点はいりません。というか最後に丸をつけてはいけません。地の文の書き出しは1スペース空けましょう。感嘆符や疑問符(!や?)の後ろは1スペース空けましょう。その他多々ありますがまずこれは基本中の基本なので。

中身について。
ギャグなので、ある程度展開の早さや心情説明は省いて読めますが、チルノのセリフにある、『研究が忙しい』に違和感がありました。冒頭に『研究中』の一言でも入れると、すんなり入ってきたんですが。私には取って付けた感を覚えました。
次回作を期待しています。
12.100名前が無い程度の能力削除
アリス好きとしては彼女には幸せであって欲しい。というわけで有り難う!
15.100名前が無い程度の能力削除
いいね~
深い、、、、、深いよ、このシチュは妄想をかきたてる。