紅魔館はこの紅美鈴が乗っ取った。
今の状況を考えれば、あながちその言葉も嘘ではない。
奇跡と偶然がジェンガのように積み重なった結果ではあったが文句などない。
誰の姿も気配もない紅魔館の中心で興奮しながら叫ぶ。
私はいま、紅魔館を支配しているのだ!
話は二時間ほど前に遡る。
長く降り続いた雨の影響で博麗神社に入り浸れなかったお嬢様は、雨の切れ間を狙って紅魔館を飛び出していった。
傘をさせば雨の中でも神社へは行けるはずだが、咲夜さんは傘が壊れたとか何かと理由をつけてはお嬢様の足止めをしていた。よほど博麗の巫女に会わせたくないらしい。
しかし、その努力も空しくお嬢様は神社に行ってしまったのだから、もはや咲夜さんにはどうすることもできなかった。せめて、何か間違いがないようにと後のことを私に任せてお嬢様の後を追っていく。
後に、二人は再び降り始めた雨により、片方は歓喜の、片方は悲哀の悲鳴をあげることになる。なんにせよ、雨が止むまで二人が帰ってくることはない。
そして、まるでその後を追うかのようにパチュリー様も館から出て行かれた。なんでも、魔理沙の家に泊まらなくてはいけない用事ができたらしい。顔色は悪かったが、とても嬉しそうだった。
無論、そんなイベントを妹様が見逃すわけはない。強制的に一緒についていった。
ちなみに、その後をこっそりと尾けていく小悪魔を見かけたが、眩しい笑顔で頑張れよと励ましてやった。お前もなと、サムズアップしてくるあたり、やっぱりノリの良い奴だ。
「さて……」
お嬢様に咲夜さんがいなくなると、途端に紅魔館のメイド達は仕事をしなくなる。もっとも、普段から大してしているわけではないが、それが目に見えて酷くなる。
終いには、雨も降っているというのにどこかへ消えていってしまった。おかげで、紅魔館にいるのは私こと紅美鈴ただ一人である。
とはいえ、門番の私が掃除や料理を作るわけにはいかない。以前、咲夜さんとひょんなことから料理対決をする羽目になり、調子の悪かった咲夜さんに勝って以来、私が門番以外の仕事をすると咲夜さんはひどく怒るようになった。
運が悪かったとはいえ、自尊心を傷つけられたのだろう。もう一度勝負すれば確実に私が負けるだろうに、咲夜さんはそんなことを言い出したりはしない。
まぁ、そういう意地っ張りな所も可愛いんだけどね。
「なんてなこと、咲夜さんには言えないよなぁ。言ったら絶対に半殺しにされるだろうし」
門の前に突っ立ちながら、ナイフ片手に襲いかかってくる咲夜さんの姿を想像して身震いした。ココにいないとはいえ、やはり咲夜さんは恐ろしい。
「まぁ、いないといえばお嬢様もパチュリー様も小悪魔もいないんだけどね……待てよ。てことは、実質上いまの紅魔館のトップは私!?」
そんなわけはないのだが、舞い上がった私には己の背中に自由という翼がついているのだと錯覚してしまった。
館の方を振り返る。威圧感漂う紅い館が、まるで自分の物のように思えた。
「皆さんが帰ってくるまで時間があるし、ちょっとぐらい羽目を外したってバレないよね」
自分に言い聞かせるように大丈夫だと何度も繰り返し、決意を胸に紅魔館の中へと入っていく。
こうして私の暴走は始まったのだ。
今にして思う。止めときゃよかった。
館に誰もいないからといって、できる事などタカがしれている。なにせ、本当に誰もいなくなったわけではないのだ。
うっかり咲夜さんが月に一度の楽しみとして取っているお酒を飲もうものなら、確実にバレて賢者の石責め(水・火・土・木・金責め)をくらいかねない。
あれはキツイ。お嬢様の血の気がひくぐらい、あれはキツイ。
だから、私にできる事といえば、精々が人の部屋にこっそりと忍び込むぐらいだ。
というわけで咲夜さんのベッドにダイブ。
鍵? 一分もあれば無いようなものです。
「うふふ~、咲夜さんの匂い~」
第三者から見れば、これほど気持ち悪い光景もあるまいて。私はそんなこと気にせずに、白いシーツの中に身体を埋めた。
湿気で少しじんわりしているとはいえ、このベッドに咲夜さんが身体を投げ出して寝ているのかと思うと、いけない気持ちになってしまう。
ひょっとしたら、咲夜さんもいけない事をしているのかもしれない。目をつむって、その光景を想像してみる。
……………………………
………………………
………………
…………
………
…
「……危なっ! 寝るところだった」
このところ夜警も兼任していただけに、このフカフカ具合は死神の鎌以上に危険だ。危うくこのまま寝てしまい、目が覚めたら咲夜さんの般若顔というBADENDを迎えるところだった。
緩んだ頬を思い切り叩き、気持ちを今一度引き締める。
ベッドで油断していてはいけない。まだ私はクローゼットを物色していないのだから。
私を黄泉へと誘ったベッドがサラダとするなら、さしずめクローゼットはステーキ。もはやサラダでご満悦の私だ。このうえステーキを食べてしまえば、喜びのあまり気が狂うかもしれない。
だが、そんなことで私は止められない。いや、止まらない。
登山家になぜ山に登るのか訊いてみた。そこに山があるからさ。
射命丸文になぜ写真を撮るのか訊いてみた。ここにカメラがあるからさ。
紅美鈴になぜクローゼットを開けるのか訊いてみた。
「いま、ここにいるのが私一人だからさ!」
ちょっと情けない答えを口にだしながら、私は禁断の扉を開いた。
もったいつけるように重々しく開いたクローゼットの扉。湿った木の香りの中に、香霖堂で購入してきた除湿剤の香りが混ざる。
「お、おぉ…………」
見る人が見れば、単なる布の集合体。ただ服がしまわれているだけの、なんてことない普通の光景。
しかし、私にとってクローゼットの中に広がっていたのは、まさしくエデン。楽園。パライソ。
囓ってはいけない禁断の果実が、クローゼットの中に所狭しと並べられていた。これだけ魅力的な果実、囓るなという方が無理だ。そりゃアダムとイブだって囓るさ。
「いつものメイド服に……こ、これは咲夜さんの私服!!」
外出する時もメイド服を着ている咲夜さんが、私服を着る事は滅多にない。だからこそ、その存在は幻とされてきた。
魔理沙率いる十六夜咲夜は私服を持っていないんだよ派の猛攻にあいつつも、必死になって抵抗してきた甲斐があるというものだ。
そう、咲夜さんは私服を持っていたのだ!
歴史的大発見に、私は声にならない雄叫びをあげた。この瞬間、十六夜咲夜の私服論争に価値ある決着がついたのだった。
「うぅ~、ただいま戻りました……なに着てるんですか、美鈴さん」
涙目で帰ってきた小悪魔は、私の服を見て怪訝そうに眉をひそめた。
「ふっふっふっ、聞いて驚け。この服は、何を隠そう咲夜さんの私服なんです!」
「ば、馬鹿な! 咲夜さんの私服なんて存在するはずありません!」
信じられないといった顔で驚く小悪魔。無理もない。証拠となるこの服を見つけるまでは、私にもかなりの不安があったのだ。
しかし、ここは幻想郷。幻想的なアイテムの一つや二つ、考えてみれば存在しないはずがなかった。
私は小悪魔に服を入手した経緯を話した。
「信じられませんが、確かに服を手にいれられる時間はありました。逆に、その服を手に入れる時間はない。とすると、やはりその服は本物!」
ようやく小悪魔は信じてくれた。
「だとしたら、美鈴さんはなんという剛胆! そんな貴重な代物を持ち出しただけでは飽きたらず、これ見よがしに着るなんて!」
白いフレアスカートは、穢れなき純白の雪のように。星柄のブラウスは、湖面に映し出された夜空のように美しい。
まるで咲夜さんに抱き締められているかのような気持ちになり、ときおり顔がだらしなく緩む。
「えへへ、いいでしょう」
「幸せそうですね。こっちはパチュリー様に追い払われてブルーだというのに」
落ち込む小悪魔を尻目に、私は回転なんぞをして、より服を華麗に見せようとした。結果として、これがいけなかった。
運悪く壁に刺さっていた釘に服が引っかかり、私の回転に合わせてビリッという嫌な音が聞こえてきた。
「…………………………」
私の顔から一瞬にして笑顔が消える。恐る恐る、音のした方を見てみる。
絶句。
貴重で華麗で持ち出したことすら知られてはいけない咲夜さんの私服は、見るも無惨に破れていた。
「……さてと、私は仕事に戻ります。あぁ、今日は蔵書の整理をする日だった」
「ちょっと待って!」
棒読みな言葉を残して去ろうとする小悪魔のスカートの裾を、必死な形相で掴む。
「は、放してください! 咲夜さんに私まで関わっていると思われたらどうするんですか! ていうか、あなた誰ですか?」
「ひどっ、なにも存在ごと関わりを断たなくてもいいじゃないですか。一緒に対策を考えましょう!」
「嫌です! 怒った時の咲夜さんに会うくらいなら、神社から賽銭を盗んできたほうがマシです!」
あそこの神社に賽銭なんて無いと思うが、論点はそこではない。まるでこの手を放されたら人生が終わるかのように、私は必死で小悪魔のスカートを掴んでいた。
「大体、対策も何も待ってる結末は一つじゃないですか! でも忘れません。だって、紅美鈴という門番はいつまでも私たちの胸の中で生き続けているんですから」
「まだ目の前で生き続けています!」
「おっと、塾の時間がきたので失礼します」
「行ってないでしょ! 絶対に行ってないでしょ!」
半ば怒鳴りあうように、白熱したやり取り。だから気づかなかった。
「随分と楽しそうね。よければ私も混ぜてもらえないかしら?」
「さ、咲夜さん!」
小悪魔の悲鳴。油の切れた人形のように、首を後に向ける。
考えてみれば、咲夜さんが神社に行ったのはあくまでお嬢様のお目付役として。別に雨の中を帰ってこれないわけではない。
私の衣装に気が付いているのか、咲夜さんの頬は引きつっていた。
「それで、どうして門番が私の大切な服を着ているのかしら? 弁明があるなら、喋られるうちに聞いてあげる。勿論、聞くだけね」
笑顔だった。壮絶な笑顔だった。
人はここまで他人を圧倒する笑顔を浮かべられるのかと恐怖するぐらい、凄惨な笑顔だった。
「でもその前に、服が汚れると嫌だから脱ぎなさい。万一、破れでもしたら……」
そんな警告を口にだしているうちに、ようやく咲夜さんも気が付いたらしい。その警告は少し遅かったのだと。
引きつった笑顔が顔から消え、まるで両親が死んだ事を知らされた子供のように絶句している。その顔を見ていると、本当に自分がとんでもない事をしてしまったんだと改めて感じさせられた。
「うわっ、美鈴さん」
「って、あれ!?」
一瞬も時が経つことなく、気が付けば私が全裸だった。今の今まで来ていた服は、いつのまにか咲夜さんの腕の中にある。
時を止めて、その間に脱がされたらしい。
咲夜さんは我が子を抱くように服を持ち、逃げるように去っていった。
「…………どうするんですか、これから」
怒るでもなく、許すわけでもない咲夜さんの態度に、小悪魔が尋ねる。
私はカーテンで身体を隠しながら、小さな声で答えた。
「どうしよう」
雨はまだ、降り止まない。
申し訳ない気持ちになった私は、謝る為に咲夜さんの部屋へと向かった。多分、咲夜さんはこの中にいるんだろう。
扉の前に立つ。
「あの、咲夜さん」
返事はない。
「その、本当にごめんなさい! 大切にしていた服を持ち出すだけでなく、破っちゃうなんて。なんて言ったらいいかわからないけど、とにかくごめんなさい!」
罪の意識が覆い被さっているように、謝罪の礼をする。
それは私に出来る精一杯。そして唯一のことだった。
こんなことしかできないけれど、咲夜さんは部屋から出てきてくれた。でも、顔色はまだ優れない。
「さ、咲夜さん……」
「ごめんなさい。ちょっと気分が悪くなって」
口元を押さえながら、咲夜さんはそう言った。誰が考えても、あの服が破れたのが原因なのに。
「それと、あの服のことだけど、もう別に気にしなくてもいいわ」
「えっ?」
思いがけない一言に、私は言葉を返せなかった。
「ちょうど処分しようと思ってたところだから、破れてむしろ捨てる踏ん切りがついたわ。そう言った意味では、ありがとう美鈴」
なんて、痛々しい笑顔。同時に、自分に対してぶつけようのない怒りが込み上げてくる。
この顔をさせてしまったのは私。
だって、咲夜さんにとってあの服は絶対に大事な物なのだから。言ってたじゃないか、どうして門番が私の大切な服を着ているのかしらって。
「でも、咲夜さん……」
「いいの!」
まるで自分に言い聞かせるように、咲夜さんは声を荒げた。
目を伏せて、震える声を抑えるように、咲夜さんは呟く。
「もう、いいの」
私は何も言うことができず、何もすることができず、去っていく咲夜さんの背中を見ることすらできなかった。
「そう、咲夜はまだあの服を持っていたのね」
感慨深そうに、お嬢様は肘杖をついて雨の止まぬ境内に目を向けた。遠くを見るような目は、おそらく過去に向けられているのだろう。
ひょっとしたらお嬢様なら咲夜さんの服について何か知っているのではないかと思い、私は傘も差さずに神社へとやってきた。
ずぶ濡れだったので霊夢は畳にあげることを渋ったが、強引に入らせて貰った。お説教なら、後で好きなだけ受けてやる。だから、今はなによりあの服のことについて知りたい。
「あなたは覚えていないかしら、咲夜が紅魔館に来たときのことを」
行き倒れていた咲夜さんを見つけたのはお嬢様。治療したのはパチュリー様。考えてみれば、私が咲夜さんと初めて出会ったのは、治療が終わった頃になる。
「あの服はね、咲夜がその時に着ていた服よ」
「あ……」
記憶の片隅、ちらりと咲夜さんがいた部屋を覗いたことがある。その時、部屋にあの服があったような気がした。
「身体は傷だらけだったっていうのに、どうしてかあの服だけは傷一つなかったのよね。看病しようにも服を脱ぎたがらないし、苦労したものよ。主にパチェが」
だとすれば、あの服は咲夜さんと過去を繋ぐ大切な服。
私自身は過去など振り返らずにココまで来たけど、咲夜さんにはお嬢様と出会うまでの記憶がない。取り戻したいと言ったことこそ無いものの、唯一の手がかりとも言える大切な服だったのだ。
――ああ、なんていうことを。
今更にして、私は自分のしでかした罪の重さを理解した。
「あの服が破けたねぇ。私からしてみれば、咲夜は過去から遠ざかった方がいい。その意味では大手柄と言えるのだけどね、あなたの罪も」
お嬢様は楽しそうに笑いながら、緑茶をすすった。
だけど、私は笑えそうにない。咲夜さんの、あんな顔を見てしまったのだから。
「助言するつもりはないけど、あの服を直そうなんて考えない方がいいわ。いくら形を取り繕っても、その物に対する思いは直せないのだから。もし私があなただとしたら……あら、少し喋りすぎたようね」
お嬢様が空っぽになった湯飲みを差し出す。霊夢は仕方ないなと肩を落としながら、急須を傾けた。
「それにしても随分と門番の肩を持つじゃない」
「だから助言しているつもりはないわ。ここで私がこういうことも、既に運命で決まっているの」
茶化すようなお嬢様の言葉。
今一度、私は私に問う。
咲夜さんの為に、何ができるのか。何をすればいいのか。
はっきりとした答えはでない。だけど、何をしたいかは理解した。
私は咲夜さんに叱ってほしかったのだ。
いつものように。
ボロボロの身体を引きずりながら、私はようやく咲夜さんの元へとたどり着いた。
目的の人物を見つけて気が抜けた私は、思わずその場に倒れ込んでしまう。さすがの咲夜さんもこれには驚き、慌てて駆け寄ってきてくれた。
「ど、どうしたのよ?」
「手持ちのお金じゃ足りなくて、色々と無茶しちゃいました。あはは」
咲夜さんを怒らせるくらいなら、神社から賽銭を盗んできた方がマシだと小悪魔は言った。でも、私はその逆の事をやっている。
咲夜さんを怒らせる為に、神社から賽銭を盗んできたのだ。意外にも入っていたので、永遠亭まで足を運ぶ必要はなくなった。
「笑い事じゃないわよ、その身体で門番なんかやってたら死ぬわよ。まぁ、治療が終わったらやらせるけど」
厳しいときは厳しいけど、優しいときはちょっと厳しい。
咲夜さんはそういう人だ。だからこそ、私は咲夜さんが大好きなんだけど。
「ってて……治療の前に、咲夜さんにコレを」
「なに?」
差し出したのは香霖堂という名前が描かれた紙袋。咲夜さんは紙袋の中を覗き込み、目を見開いた。
「こ、これは……」
似たような服は見つからなかった。当然だ、そんな偶然あるはずがない。
だけど、それでよかったんだと思う。
お嬢様も言っていたように、全く同じ物を買ってきても仕方がないのだ。だから、私は全く違う、別の服を咲夜さんの為に買ってきた。
西行寺の幽霊が好んできそうな、鶯色の着物。高額だったが、神社の賽銭と必死の値切りで何とかなった。
着方なんて知らないだろうし、私だって着たことすらない。着れない服など意味はないけど、それでも私にできる精一杯がこれだった。
罪を許して欲しいとは言わない。
過ちを無くして欲しいなんて思わない。
だけど、咲夜さんには笑っていて欲しいと願う。
それは叱られたいという目的からは外れている。だけど、人の感情なんてすぐに変わるもの。だから、笑ったあとで、怒ればいい。
心の準備はとうに出来ている。
後は、私の思いがどれだけ咲夜さんに通じるかで……
「……これは、あなたが買ったきたものなの?」
「そうです。破いてしまった服の代わりにはなりませんけど、咲夜さんには過去だけじゃなくて今も見てもらいたいから。だから、これは私から咲夜さんへのプレゼントなんです!」
だけど、咲夜さんは私から顔を背けてしまう。伝わらなかったのか。
失意と絶望が私の胸を支配しかけたそのとき、いきなり私の目の前にナイフが突き刺さった。
「うわっ!」
咄嗟に後退する私を追うように、ナイフは次から次へと床に刺さっていく。ヘンゼルとグレーテルのパンのように。
咲夜さんとの距離が数メートルも離れてしまったところで、ようやくナイフは現れなくなった。言うまでもなく、咲夜さんの仕業だろう。
「こんなもので私の機嫌をとろうだなんて、私が和服を着られないことを知っているでしょ。まったく」
口ではそう言っているが、私は確かに見た。咲夜さんが大事そうに、香霖堂の紙袋を抱き締める姿を。
「あなたも早く仕事に戻りなさい。お嬢さまがいないとはいえ、門を空にしておくわけにはいかないわ」
そう言って、咲夜さんは足早に歩いていく。だけど、ほんの一瞬だけ足を止めて、少しだけ振り向きながら、数文字の言葉を口にした。
それはここまで届かなかったけど、唇の動きから何を言っているのかはわかった。
「ありがとう」
原因が私にあったとしても、一度は咲夜さんを悲しましてしまったとしても。
その言葉は、私を心の底から嬉しくさせる。
誰もいなくなった廊下で、私は言った。
「どういたしまして」
GJです
>追い払われた
追い払われてでは?
>ベット(4箇所)
ベッドでは?
美鈴可愛いよ美鈴。
肩を持つ かなーなんて思っちゃったりして
小悪魔と美鈴の会話がおもしろかったですw
小悪魔は本当にノリがいいですね。
以下誤字っぽいもの
入れ浸れなかったお嬢様 →入り浸れ
可愛いいんだけどね。 →可愛いんだけどね
油断していけはいけない →いてはいけない
私とってクローゼット →私にとって
服を手にいられる時間 →手にいれられる
部屋から出てきたくれた。→出てきてくれた
お説教から、後で →お説教なら
意外にも入ってので →入っていたので
悲しましてしまったと →悲しませて(これは誤字ではないかも)
ご指摘ありがとうございます。
・・・ん?こんな時間に客k
咲夜さんにぴったりかも・・・・・・
だね。
ほっとする話
めーりんの前半のはっちゃけ具合と後半のひたむきさのギャップにぐっときました