Coolier - 新生・東方創想話

壊れた世界(前編)

2007/01/16 03:33:51
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あらすじ
「……平和ねぇ~」
「このままじゃ、暇だ、暇だぜ、暇すぎて死ぬぜ…なぁ、霊夢y」
「弾幕ごっこは嫌よ、神社がメチャクチャになるじゃない」
「ちぇっ……つれないな」
それは幻想郷に妖しい霧が発生して数ヶ月、何時ものように霊夢は魔理沙とお茶を啜っていた時の事だった。
「ごきげんよう…二人とも、そしてさようなら」
突如咲夜が白麗神社に現れ、そして霊夢は咲夜と共に突如消えてしまったのである!!
「あれ……霊夢、霊夢!?」
咲夜に霊夢が連れ去られた、後に言う「霊夢強奪事件」である。
「そこをどきやがれ、ヘタレ中国!」
「今回ばかりは……(私の命が危ないから)負けられない!」
魔理沙は至急紅魔館に向かうが門番である通称”中国”こと紅 美鈴に叩き落され、惨敗を喫する。
「う、嘘…だろ……」
中国の強さ(というよりも必死さ)が尋常で無かったため、霊夢タソハァハァ(;´Д`) という意味では同士であるであるアリスの家、萃香のいる白麗神社、そして紫のいるマヨイガを訪れる。
「霊夢が…誘拐されたですって!?」
「そんな……それじゃ、アタシは誰にハァハァすればいいのさ!?」
「……あの貧弱門番が貴女を倒したとなると、ここは一旦、手を組むのはどうかしら?」
彼女達はこのままでは霊夢にハァハァできなくなるという非常事態に対し、敵同士ではあったが一時同盟を組む。
「霊夢……待っててね、今すぐ貴女を助け出すわ」
「たかが”吸血鬼”如きに、アタシ達を止められると思うな!」
「今回ばかりは選択ミスね、吸血鬼さん……すぐに私の怒り、思い知ってもらうわ」
「必ずお前を助け出すからな……霊夢!」
一方レミリアは、自身の妄想を全開して霊夢をキモがらせるという極悪非道な真似をしていた。
「あぁ霊夢、やっと私達は本当に一つになれるのね……」
「何ふざけた事言ってんのよ鼻血を流さないでやめてよってこないでいやぁぁぁぁああぁぁ!!」
はたしてどちらが霊夢を我が物にするのだろうか、そして霊夢は誰を伴侶に選ぶのか、
今ここに一人の少女を廻って(非情に傍迷惑な)戦いが始まる……
































いや、今の本編に何の関係もないよ?







「――ん」
今日は藍の手を借りずに目が覚めたみたいね……これじゃあの子を弄れないじゃない。
「んーっ…ふぅ……」
眠れない、流石に冬眠前に22時間も寝たのが不味かったのかしら、
仕方ないわね、起きてあげるわ……
「藍ちゃーん、今日ははやくおきたわよー、あさごはんちょうだーい」
返事がない、意地悪かしら、いい度胸してるわね。
「らーん、いいかげんにしないと橙の前で服ひんむくわよ~」
……返事がない、あれ?
いつももなら橙に醜態を晒すのが怖くてすぐにご飯を用意するのに……
「……藍?どうしたの」
二人は何所?いない、どこにもいない、なんで――
「らーーーん!!ちぇーーーーーん!!どこにいるのーーーーー!!??」
まさか、家出?そんな……
「――ハッ、まさか…」
とりあえず支度をしないと……白玉楼に居るかもしれないわ、
急がないと私(のお腹)が危ない!



 ―――――



「ここで、よし……ってあら?」
隙間を開いていざ中庭へ、と思ったらそこは空中でした。
「ぇ?えええぇぇぇぇぇ………」
こ、このままじゃ――って、あ
「――よいしょ」
すかさず姿勢制御して……と、まぁ空は何時も飛んでる訳だし。
「到着、と」
何事もなかったかのように中庭到着。
「ゆゆこ~、桜餅持ってきたんだけどどこかしら~?」
幽々子を呼ぶのに大声いらぬ、食い物の名前を出せばいい。
「桜餅!?」
ほら来た来た――って、え?
「あ、あれ?桜餅どこ?どこ?」
「……妖夢?あ、あれ……?」
この子ってこんなに食い意地張ってたかしら
それよりもそのヨダレ流さないで、目つき鋭くしないでお願い怖いから。
「……あれ…ゆ、ゆゆゆ紫様ど、どどどどうしたのですか、何か御用で」
焦る様は何時もと変わらないけれど、どうも違和感を感じる……まぁ、もし藍が幻術をかけたとしても私よりも上位の術を行使できる訳じゃないし。
「妖夢、藍と橙を見なかったかしら?」
「?いえ、見かけませんでしたが……」
「そう……」
嘘はついてはいない、あらかじめこの子の「正直者とタン・オブ・ウルフな境界」を弄っていたから問題は無いはず。
「まぁいいわ、それより妖夢」
「何でしょうか?」
内容を言う前にお腹がなってしまう、あぁもう恥ずかしい――
「ご飯、作ってくれないかしら」
とりあえずここで頂くことにした。


 ―――――


「できましたよ、紫様」
妖夢が食事を持ってきてくれた、幽々子はいつもこんなに美味しそうな料理を食べているのかと思うとなんか頭にくるわね、
藍を見つけたら少しの間満干全席でも作って貰おうかしら。
「あらあら紫、貴方もいたの?」
「ええ、うちの式が何所か行ったものだから」
「……そう」
「冷めないうちに食べてしまいましょうか」
「…そうですね」
「紫の言う通り、難しい話は後にしましょうか」
「「「いただきます」」」
幽々子がなにやら難しい顔をしたわね、まぁ今はご飯を楽しむとしましょ、
お腹が空いて仕方がないし、腹が減っては何とやらとも言う訳だし。
「……相変らずよく食べるわね、妖夢」
「あれだけの量の掃除、稽古なら仕方ありませんよ」
「…それより幽々子、貴方あまり食べてないじゃない」
「元からそうだけど……」
「そうだったかしら……」
様々な疑問が浮かぶけれど今はそんな事を気にしている場合じゃない、
今はこの料理の山を制圧しなければ……あ、美味しそうなt――
「ってあぁ!!私の天ぷら!!!」
「紫様には申し訳ありませんが、今だけは負けるわけにはいかないのです」
「二人ともはしたないわねぇ……あ、これは貰うわ」
「わ、私の卵焼きがぁぁぁ!!」
必死に守らなければ……この戦い、負ける!!
そう、戦いはこれからだ!!!



 ―――――



食事を終えて、ただ今少女一服中……
「あの……紫様」
「ねぇ、紫」
「どうしたの、二人とも?」
「あ、幽々子様からどうぞ」
「いいの、妖夢?じゃあ言うけど……貴方って何時式を持ったのかしら?」
「え?……」
え、何、今何て言ったの?
「いや、だから私の式の……」
「私もそれを言おうと思ったんですが」
「い、今の幽々子と会う前には既に持っていたわよ」
「紫様には悪いのですが、聞いた試しがありません」
おかしい、ならば……
「ごめんなさい、二人とも」
「現実と虚構の境界」を操れば今の夢みたいな状態は消えてなくなる、あの子もかなり質の悪い悪戯をしてくれたけどこれでお終いよ……
「あの、紫様?」
あれ、何も起きない?
「ねぇ、紫」
「何かしら、幽々子?」
一体どうし……あぁ、そうだ、こういう時の幽々子の助言は役に立つ、
今までの経験からして間違いないはず……
「今までの貴方の行動を顧みたらどうかしら?」
行動?そんなこといっても……あの子達を呼んでも来ないものだから部屋中を探し回った、これは至って普通、
二人がここにいると思って訪れた、それも不自然じゃないし……あ、幽々子を呼ぶのに食べ物の名前を挙げたけれど何時もはそれで飛んで来たから……
「違うわ紫、もう少し前の事よ」
幽々子、私でもないのに他人の考えを読まないで頂戴、それに前?前と言われても……あ。
「……早起き?」
「普段の貴方から見ればそうなるのでしょうね」
「……え、そうなんですか幽々子様?」
「そうよ、確かに”本来の紫”ならごく自然のこと、でももしそうでなかったら……」
「……確かに、いつもならあれほど早く起きることなんて無かったわ」
「きっとそのせいで本来居ないはずの貴方が今ここにいるのよ」
「あの……幽々子様?話が良く分からないのですが」
「かいつまんで言うと、”本来ここにはいないはずの私”が、万に一つもしない事をしたから世界の法則が崩れて、
 ”本来ここにいるはずの私”に取って代わって存在するという事よ」
「はぁ……」
妖夢は呆れた顔をしたが、とりあえず無視、私だって内心呆れてるわけだし、
それよりも今は元の世界に戻る事が先決、異分子が長い間留まり続けたら何が起こるかわからない、
そう、私の幽々子が何時ものように幸せそうに食事をする様を死ぬまで拝み続けたいからではないわ、決して。
「それじゃ、私はここいらでお暇させてもらうわ」
「アテはあるのですか」
「当然じゃない、私を誰だと思っているの」
「……そうですね」
矢張り笑みを浮かべているわね、わざとにしてもバレバレよ、
まぁともかく、隙間を広げて、と。
「二人とも、こちらの世界でも仲睦まじく、ね」
「ええ、もちろんよ紫」
「ど、道中お気をつけて」
相も変わらず弄れれっぱなしね、
さて、あるかどうかわからない「永遠の幼い紅き月」のいる館へいきましょうか――



 ―――――



「さて、着いたわね」
この館が健在という事は有難い、隙間を使って玉座にすぐに行けないのは少し面倒だけれど、
この世界の境界が私のいた世界といささか違うのならまぁ仕方ない。
「!誰ですか!!」
突然何を紅 美鈴、ってあら?門番の名前がすんなりと思い出せたわね、
まぁこの世界で本名で呼ばれても弱さは相変らずだろうし。
「あれ、紫さんじゃないですか、何の御用ですか?」
「貴方の主に用があるのよ」
「何時ものように不法侵入はしないんですね」
失礼な事を言うわね、そんな真似をするのは9割9分9厘ぐらいの確率よ。
「少しお待ちくださいね、話を通してきます」
「助かるわ」
こういう時にあの子のえーと、確か「気を使うと役に立つ程度の能力」だったかしら……
敵意さえ出さなければ、話は通じるから便利ねホント。
「お待たせしましたー」
「お邪魔するわ」
館の中はあまり違わないみたいね、まぁたかが早起き如きで劇的に変わるわけがないだろうし……
「お客様をお連れしました」
「通しなさい」
「はい」
……あれ?この声、どう考えてもここのお嬢様の声じゃないわね、
まさか、また幽々子達の時のように――
「何の用かしら、八雲紫?」
思ったとおりだ、そこに座っていたのはここの使用人「であった」女、
確か十六夜……
「咲夜様、それでは私はこれで」
「ご苦労様、美鈴」
成程、思っていた以上に私がしでかした事の影響は大きいらしい、
そうでなければここまで違う世界に私が来れた訳がない、まぁ用件は果さないとね……
「ああそうそう、レミリア……だったかしら、あの吸血鬼の」
「あれに?構わないけれど……」
どうも彼女はこの世界では仕えているみたいね、元の世界に戻ったらいい与太話になるかしら。
「失礼します、咲夜様」
「やっぱり」
思っていた通りだ、彼女は一使用人としてここで働いているみたいだ
メイド服だったかが結構似合っているわね、可愛いわ
「……レミィ、お客様を待たせるなんてどういう了見かしら」
「あ、その、ご、ごめ……」
あらまナイフが眉間にヒット、「何時もの世界」の門番と彼女のやりとりを見ているようね、
でも吸血鬼に銀のナイフは不味いんじゃないかしら。
「レミィ、後で私の元へ来るように」
「は、はひ……」
この世界での二人の関係はどうも違うみた……あれ?
「ウフフ、本当に駄目な子ねああでも駄目な子ほど可愛いというしむしろそこが萌え~というかなんというか、
 ああ駄目よ私レミィを駄目な子のままにしたらお客様に失礼だわ、でも客なんざ下らねぇぜ私の萌えを見れぇぇ!!なのもいいかもウフフフフフ………」
「咲夜様のお仕置き………ハァ、ハァ……」
前言撤回、私のいた世界より遥かに強く歪な関係だったわね。
それよりいくら何でも私が「妄想と垂れ流しの領域」をほんの少し弄ったのにも関わらず、
お客がいるのに妄想と鼻血あとついでに耳血(とでもいうのかしら)を流すのはよくないと思うわ。
「さて、そろそろ本題に入りたいのだけれど」
「え、ああ、そうね………チッ」
妄想と鼻血と耳血を垂れ流した上に舌打ちするのはどうかと思うわ、まぁ後で隙間の中に放り込むだけで許すわ。
「実はこういう事があってね……」
とりあえずこれまでの経緯を話すことにした、これでなんとかなるでしょ。
「ふ~ん、そこらへんどうなのレミィ?」
彼女は目を瞑ってブツブツ言っている、まぁ運命を見ようと見まいと私の言う事に間違いは無いわ。
「はい、確かに八雲様の仰る事に間違いは無いと思われますが……」
「で、元の世界に戻る手助けをして欲しいのだけれど」
「それは……その………」
「煮え切らない答えね、どういうことかしら?」
「はい、実は……紫様がこの世界に元からいた、みたいなんです」
「「……え?」」
「八雲様がこの幻想郷に何らかの形で干渉した際、様々な運命のゆらぎやうねり、因果の崩壊が小規模ですが起こります、
 それがこの世界規模で起きてしかも何もかもがない交ぜになっているみたいなんです」
「もしかして……この世界そのものが」
「安定するために世界の過去やら何やらが書き換えられた、と見るのが正しいのでしょう」
待った、という事は『別の世界の私』と『元居た世界の私』が入れ替わったんじゃなくて、『元居た世界』が変貌を遂げた、と。
……何にせよ呆れた、たかが私の早起き如きで世界が崩壊しかけたなんて、これはあれか嫌がらせか、
こんな美しい少女を虐めて一体誰が得するというのだ、ならこちらだって考えがある、この世界の境界何もかも弄りまわして……
「ストップ、そこまでにしなさい」
ヒュン、とナイフが頬を掠めた、
危ない危ない、今のGrazeでスコアに500点追加ね。
「今、とてつもなく危険な事を考えていたでしょ」
「あらあら、私には何のことやら」
「あ、あの、お二方、よろしいでしょうか」
「あ、まだ続いていたのね、いいわ、続けなさい」
「ええ、構わないわ」
「それで、八雲様が元の世界に戻る方法なんですが」
「どうすればいいのかしらね」
流石に意識的にここを弄ったわけじゃないから迂闊な真似はできない、それじゃああの子はどういう判断を下すのかしら。
「長期間眠る事です」
「……それだけ?」
「はい、ただし生半可な時間では無理でしょう」
「具体的にはどれくらいかしら?」
「ざっと、半年かと……」
「ブーーーーーーッ!!!」
噴いた、それも盛大に、
おい待て、たった十数時間眠って起きただけで世界が変わって、半年眠らないと元の世界に戻れないと、
もうね、アホかと、バカかと。
「驚いたわね」
「当たり前じゃない、なんでそんなに長く眠らなきゃならないのよ」
「元の世界では最長でどれくらいかしら?」
「せいぜい1、2ヶ月程度よ、無茶言わないで頂戴」
「なら諦めなさい、貴方と付き合ってメリットが得られるとは思えないし」
「そこをなんとかお願いできないかしら?」
「レミィ、この妖怪を私の前から消してくれないかしら」
「かしこまりました」
「仕方ないわねぇ……」
隙間を展開、荒っぽいのは嫌だけど今回ばかりは仕方ないわね、
勝って言う事を聞いてもらいましょうか……この面子だと賭けが必要になりそうね。
「うわぁぁ!?」
「な…あれは?」
「え?え?え?」
何時ものように隙間からズルリ…と出てきたわね、ほとんど期待はしていなかったけど”この子”がいたのは嬉しい誤算、多分何とかなる筈。
「ボウヤ、以前教えてあげた遊びを憶えているかしら?」
「はーい、おぼえてるよー。ゆかりおねえさーん」
「結構、あの二人が遊んでくれるって言ってたわよ」
「わかったー、やろやろーふたりともー」
……この様子なら何とかなりそうね、じゃあ高みの見物といきましょうか。
「ふざけないでほしいものね…こんな緑の塊如きが私達に勝てるはずが無いわ」
「咲夜様、ここは私が」
「任せるわ」
無理ね、私の能力を最大限に活用して、やっとの思いで隙間に入れた”この子”がそう簡単に負けるはずが無い。
「失せなさい」

  獄符「千本の針の山」

爪が剥けて針へと形作る、そして瞬く間に針の数が増えた……ネーミングセンスは大事だと思うのよ。
「逝け」
それぞれが意思を持った様に動くみたいだけど、この程度じゃ当たる筈がないわね。
「あ、かんたんかんたん」
しかもチョン避けするとは…元の世界よりも鍛えてあるわね、戻ったらもっとしごいてみようかしら。
「その程度で終わると思ったのかしら?」
あら、何時の間に距離を詰めたのかしら?ま、私が戦りあっている訳じゃないから構わないけど、
一気に勝負でもつける気なのかしらね、まぁ、無理だと思うけど。

  紅符「不夜城レッド」

あの吸血鬼を中心にできた紅い十字架が”あの子”を襲った、流石にこれ程の妖力だと無傷じゃ済まなさそうね……あらま。
「いたた……よけそこなっちゃった」
「嘘……」
ほぼ無傷…おもいっきり面食らっているわね、まぁ、私も以前四重結界を打ち込んだのにも関わらず、軽い火傷で済ましたのに驚いたけど。
「ねぇねぇ、つぎはなにだすのー?」
「何故!?多少の手加減をしただけだというのに何故!?」
「……仕方ないわね、私も手伝うわレミリア」
「咲夜様!?分かりました、では」
「終わりにしましょう…」

「咲夜の世界」

あら、何時の間に”あの子”の後ろ側にナイフが……って、元メイド(でいいのかしらね)の「時を操る程度の能力」だったかしら、
それなら出来て当然か、でもこんな見え見えな策なんかで大丈夫かしら、二人とも。
「え…?うわわわ!?」
後のナイフ襖(と言ったほうがいいのかしら)を避けようと慌てて前に…あ、矢張り待ち構えていたわね。

  神槍「スピア・ザ・グングニル」

「これで…終わりよ」
かなりの妖力が込められてる…これで終わらせたいみたいね吸血鬼さんは、でも終わらせられるかしら、
実際殺す気で撃った私のスペルカードを耐えるなり避けるなりして全て破ったし、しかも六割がた耐えたわけだから。
「え……うわぁあぁああぁ!?」
物凄い妖力の爆発、中々に凄まじいわねこれは…でも余裕なんかな―
「呆気ないものね……レミィ」
「はい…」
なんか二人だけの世界に逝っちゃてるわね、鼻血垂らしてるし、
…で、あの子は……思ったとおり大丈夫みたいね。
「びっくりしたー、ねぇねぇゆかりおねえさん、ぼくもスペルカードつかっていいかな?」
「……?いいわよ、好きになさい」
こっちの世界じゃ既にスペルカード習得までこぎつけていたのね、一体どんなものを―
「いくよー、ふたりともー」
「「え?」」

  恐竜「○チャピン」

あれーなんかものすごいおにのようなだんまくがはられてるよーよけるのむりくさいよーガ○ャピンくんすごーい。
「さ、さくやさばぁぁ!?」
「きゃぁあぁぁ!?」
…やっぱ鍛えるの止めとこう、謀反起こされたら勝てる気がしないわ。
「…それじゃ、お願いするわね」
「は、はい、わかりました……」
「……それより何かしら、あの緑色の物体は?」
「隙間を弄っていたら偶然拾いこんだのよ、まぁ、ここでも存在するとは思わなかったけど」
「一体何者なの?」
「なんでも恐竜の子供らしいわ、年は5歳なんだと」
「そうじゃなくて……どこをどうしたらあそこまで化け物じみた硬さ・弾幕・弾道の正確さを発揮できるの!?」
「ん~、私もあまりよくわからないのだけれどね、適応能力は本当に化け物、となら」
「……もういいわ」
さて、これで説得は完了したし後は眠気をどうにかするだけね。
「さて、それじゃあ私はこれでお暇させてもらおうかしら」
「何所に行く気?」
「ちょっとお散歩にでも」
「……貴方が元の世界に戻れる確率が低くなってもいいのかしら」
「問題ないわ、私がどういう存在か解っている筈よね」
「勝手に境界を弄るから問題は無い、と?」
「そういう事よ、出来る事ならそちら側からの手助けがあると嬉しいわね」
「どうせ無理にでもさせる気なんでしょう、仕方ないわね……」
「ふふ、貴方達が理解のある人物で助かったわ」
さて、隙間に入って、と……
なんか嬌声らしい音が聞こえるけれどとりあえず無視、何所へ行こうかしら―――
後編に続きます。
等品 骸
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