Coolier - 新生・東方創想話

哀愁の女吸血鬼 情熱の女従者

2007/01/06 07:09:24
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各キャラが壊れてます。 あまり教育に良くない表現もあります。


「パチェ、この図書館にはどんな本があるの?」
「哲学書に漫画、官能から絵本まで一通りはあるわ」
「なんでもいいから・・あなたの面白いと思うものを全部貸しなさい」
「・・・・明日までには見繕っておくわ」
ニヤリと笑って彼女は答えた。


次の日の朝。
「お嬢様。先ほどパチュリー様からご連絡がありました。本をまとめたから大至急とりに来るように、と」
「・・・・気になるわ」
「と、申しますと?」
「最後に見せたあの笑いが」
レミリアは気付いていた。あの笑い方は必ず何かある。あの悪戯を思いついた子供のような笑いの裏には必ず何かが・・!
「・・・!そうか・・そういうことだったのね・・」
「と・・いうことは」
「ええ・・・謎はすべて解けたわ!」

レミリアが某名探偵の孫がでてくる作品を見て影響をうけてから読書に興味を持ち、その後冒頭の会話につながっているのは言うまでもない。あと探偵は普通事件の調査とかしないのも言うまでも無い。
また、咲夜はその事実を知っていたため、次にやるべきこともわかっていた。
「一体、彼女の狙いとは何なのですか!?」
のった。主の小さい推理ごっこに。もうこうなったらこの二人は止められない。


また、同時刻に門の前では門番と侵入者が対峙しており、
「お嬢様の安息のためッ!例えッ!この命尽きようともッッ!ここからさきに進むことは許可しないィィィ―――ッッ!!」というやりとりがあったがこの話とは一切関係ないため特に触れない。


「犯人の狙い・・それを指し示すヒントは既に揃っていたのよ、ワトソン君」
ワトソンなのか私は、と咲夜は思ったがあえて口には出さなかった。
それにしてもこの二人、ノリノリである。
「彼女は『大至急』と言ったのね?」
咲夜は肯定する。
「そして昨日彼女は言ったわ・・この図書館には・・『絵本がある』と」
「その二つが・・どう繋がるというのですか?」
「今この時間帯、館には多くのメイドでひしめいているわ・・・今何か起きればそれは全メイドに知れ渡るでしょうね・・・」
「・・・つまり?」
「つまり彼女は・・『私に大量の絵本を貸して図書館から大量の絵本を抱えて自室に戻るところを全従者達に見せて皆に『お嬢様もやっぱり子供ねぇ』みたいに思わせること』だったのよ!」
「な、なんだってー!」
一応のった。それにしても(以下略)
「と、いう訳で。とってきなさい」
「はい」
パチュリー敗れたり。優越感に浸りながらレミリアは咲夜を見送った。
ちなみに敗れたりと言っても戦国武将ごっこが始まらないことは言うまでも無い。



「遅い・・・」
咲夜が発ってからすでに30分が経過していた。普通の人間ならいざしらず、あの咲夜がここまで時間をかけるなど考えられなかった。既に紅茶は飲み干され、カップと喉は二杯目を欲していた。
だがレミリアは自分で紅茶を淹れたことなどなく、方法など見当もつかなかった。
(でもまだ飲みたい)
レミリアはポットに手を伸ばした。たった一杯の紅茶を淹れることなど児戯に等し―――
「っ!」
失敗した。今までポットに触れたこともなかったレミリアはお湯の重みなど知らなかったのだ。
紅茶の入ったポットは横に倒れ、中身を盛大にぶちまけ、その欠片がレミリアの靴へと跳んだ。
「・・・しくじったわ・・・なんて言い訳しよう・・・」
紅茶よりも床よりも自分の体裁を考えるあたりにどう育ってきたかが伺える。
しかし言い訳を考えるより早く、咲夜が帰ってきてしまった。
だがどこか様子がおかしい。足元がおぼつかず、目もさっきから泳ぎっぱなしである。
「咲夜。貴方が早く仕事を終えないから・・・どうしたの?」
「いえ・・・何も問題は・・・あら、お嬢様。靴が汚れていますわ・・」
「ええ・・だから、お願いね」
そう言ってレミリアは自分の足を咲夜の方へ差し出した。
「では・・・」


「舐めさせていただきます」


「パァァチェェエエエ!!」
レミリアは全力ダッシュで図書館へ突っ走った。
「まあ落ち着きなさいな。どうかしたの?」
首を傾げて問いかける魔女。だがその表情は全てを知っていることを物語っていた。
「・・・何をしたのか・・正直に言いなさい。お上にだって情けはあるのよ・・」
「何があったのかしらねぇ?」
「咲夜のキャラが変わったのよ!!」
「ああ、あれ?別にたいしたことはしてないわ。ただこれを読ませただけ」
彼女はあっさりと白状した。
そして彼女がとりだしたのは一冊の本。魔力も仕掛けも無い、普通の本・・・・表紙と題名以外は。
桃色の背景、露出度の高い服を着て艶かしい表情をした美女、下劣なキャッチコピーが堂々と並ぶ・・・
そう、それはまさに、タイトル通り、「エッチな本」

「ドラクエ3(SFC版)!?」

「ええ。まあ、性格が変わっちゃっただけよ。パッチュッチュ(笑い声)」
「いや、『変わっちゃっただけ』じゃないよ!そしてその笑い方は何!?何とかしなさいよ!」
こんな時でも冷静に対処する(つっこみをいれる)レミリア。しかし内心では荒れに荒れていた。
思い切り怒りを込めて睨んでみるも、相手はまったく怯まない。
「まあ、安心なさいな。これは紛い物なのよ。永続的なものじゃないわ。精々もって一日ね」
それを聞いてレミリアは安堵した。明日になればいつもの日常が帰ってくるのだ。
しかし、それと同時にいつもの愛しい日々は、今日は手に入らないことも意味していた。



「ちなみに『ゆうき100ばい』とか『かなしいものがたり』とかならあるけど」
「いらない」
「ちなみに私のドラクエ3の記録では『くろうにん』の勇者パチェと『ちからじまん』の魔法使いマリサの二人旅だったわ」
「聞いてない」
「あまりに弱くて最後には賢者の石要員になってたけど」
「聞いてない」
ちなみに実話デス。

「・・・ところで、咲夜は何の性格になったの?」
「『むっつりスケベ』じゃない?」
「あれって男しかならないんじゃ・・・?」
「・・・・紛い物だからじゃないかしら?」
「・・・・・」



これ以上有益な情報は手に入らないと判断したレミリアは図書館を後にした。
とりあえず、時間が経てば元通りになる、という情報が手に入ったので、待つことに決めたのだ。
「一日待つ」。それだけでいい。

レミリアはいつも通りに生活することに決めた。
いくら性格が変わったからと言っても、あの彼女が本当に越えてはいけない一線を越えることは無いだろうと踏んだのだ。先ほどの発言は十二分に一線を越えている気がするが。


レミリアは部屋に戻って咲夜に言い聞かせた。
「いい?咲夜。今日一日何もしなければいいのよ」
「しかし、それでは・・・」
「いいのよ、一日くらい。今日は貴方のやりたいことをしなさい」
「・・わかりました。では先ほどの続きを」
「続き?・・探偵のやつ?」
冷静になって考えてみると若干恥ずかしい。いや若干どころではない。
「あれはちょっと・・」
「いえ。靴を舐める方です」
そっちか。
「いやそっちも嫌」
「何が不満だったのでしょうか?」
「いやいや咲夜」
そうじゃない。不満とかじゃない。だがレミリアは慎重に言葉を選ばなければいけなかった。
彼女がおかしいのはあの本のせいで、彼女自身は何の落ち度も無いのだ。
頬がひきつるのを感じながら、レミリアはそう自分に言い聞かせた。
「・・・ああ!」
突然咲夜が声をあげた。何事かと見守っていると彼女はそのまま地に伏せ、
「なっ・・なめさせてください!お嬢様!」
「いや、言い方の問題じゃない!舐めるなっていうことよ!」
またも不満そうな顔をする咲夜。まるで『おかしいのはそっちだろう』とでも言いたげである。
「しかしお嬢様は先ほど足を私の方へお向けになりましたが、あれはどういった意向だったのでしょうか?
「脱がせなさいって事よ」
「承知しました」
「あ、ちょっと待って。なんかイヤな予感が」

もう遅かった。あ、時間止めたな、と思った次の瞬間には既に一糸纏わぬ姿に。全裸である。俗に言うスッパである。
「いぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
全力ダッシュで椅子の陰に隠れるレミリア。
「何を!?いや言ってからちょっと予想できたけど!」
「お嬢様が脱がせて、とおっしゃいましたので。迅速に行いました」
「いや話の流れからして靴でしょう!?」
「そうでしょうか?」
「何故疑問に思うの・・・ん?」
耳をすませると、廊下の方から足音が聞こえてきた。
先ほど大声をあげてしまったので、その声を聞きつけてメイド達が駆けつけたのだろう。
「お嬢様!何か・・ござい・・ました・・か・・・」
メイド達の表情が凍りつく。それはそうだろう。なにせ自分たちの主が全裸なのだから。
「あー、いや・・・別に何もないわ。はやく持ち場に・・・」
しどろもどろで答えるがそれも無駄に終わった。しかも悲しい形で。
「おじょーさまぜんらだ――!?」
「叫ぶな―――!!」
ドドドドドド・・・・
「「「「「どうなさいましたか!!!???」」」」」
メイドの群れがあらわれた!
「大丈夫ですか!?」「ご無事ですか!?」「何故全裸ですか!?」「えろい!」「写真撮っていいですか!?」「押さないで!写真撮りづらいから!」「ポーズとってください!」「是非女豹のポーズで!」

「待て待て!途中から発言おかしい!見るな!撮るな!近づくな息が荒い離れろ出てけ持ち場にもどれ!」


メイドA「す、すみません。つい興奮してしまって・・」
(するなよ)
B「いや 自分は何も見てませんよ¬_¬)」
(いや見てる見てる)
C「クス。ちっせぇの・・」
(オーケー。今のは私に看取ってほしいってことよね?)
D「は、はい。今すぐ出て行きます・・・」
(何故前屈み・・?)
E「あの子も成長したわねぇ」
(お前は何者だ!)
F「そうねぇ。昔は恥ずかしげもなく全裸を晒してたのに」
(お前達はホントに何者だ!?何を知っている!?)


「早く服返しなさい!」
「・・・はい。どうぞ」
「自分で着替えるから手伝わなくていいわ。」
「何故ですか!?」
「いや、何故って・・・」
「そんな、お嬢様!お願いします!何でもいたしますから!」
「じゃあ少し黙ってなさい」
「SMプレイでもレズビアンプレイでもいたします!」
「しなくていい!さりげなく自分の要望を述べるな!」
「まあ!私の希望をご理解いただいていたのですね?」
「うっさいわ!」


「はぁ・・・・」
叫び続けた身体の疲れと、いつもと違う咲夜への戸惑いから来る心労。
レミリアの疲れはピークに達していた。
「お嬢様・・・」
だが疲れを顔に出すことだけは避けたかった。
一番困惑しているのは本人なのだ。
レミリアの想いが伝わったのか、咲夜は優しげに語りだした。
「こうして二人きりでいると・・・思い出しますね・・」
「・・・何を?」
「私がここに就いたばかりのことです」
「ああ・・・そんなこともあったわね・・」
そう、あれは彼女がこの館に来たばかりのころ・・・レミリアは彼女を一人でここに呼び出し、そして
「私はお嬢様の前で全てをさらけだし惜しみなく欲情を」
「違うっ!勝手に歴史を創るな!!」
ちょっとだけとはいえしんみりした空気からの空気を一切読まない台詞に、さすがのレミリアの心も揺れてしまった。正直な話、一瞬「良い話」を期待してしまったのだ。それを裏切られるとはさすがに思ってなかったのだ。というか普通誰も思わない。
そのせいで、心のタガが少し外れてしまった。
「あなたみたいな人はいらないのよ!私に必要なのは役にたつメイド長の咲夜よ!あなたみたいな・・・・あ・・・・」
思わず本音をぶちまけてしまったレミリア。
自責の念が押し寄せる。・・・悪いのが咲夜じゃないなんてわかっていたのに・・・
場を沈黙と静寂が支配する。
その空気を打破するように咲夜が明るく言った。

「そうですわ、お嬢様!私のオ○○―をご覧になりません?」
「明るく何言ってんのよ!?」
それを聞くと咲夜はハッとして目を伏せ、頬を赤らめながら、
「あ、あの・・・わ、私の、お・・・オ○○―を・・み、見ますか・・?」
「だから!言い方の問題じゃない!」
「わかりました。オ○○―します。見てください。」
「断固とした態度で言うな!そして見ない!」
「わかりました。言いません。黙ってやります!」
「違う!分かってない!やるな脱ぐな見せるなやめろ!!」



「ふふ・・・」
限界だった。ふざけた発言の連発に耐えられなくなったのではない。
「あなたなんて・・・咲夜じゃないわ・・・」
自分の中の咲夜という人間がいなくなってしまったこと、それだけが耐えられなかった。
「ふふふ・・・もういいわ・・」
・・・・この感情の元を断とう。『原因が彼女じゃない』?『一日だけの我慢』?
知ったことか。
もうこれ以上自分の中の咲夜が消えて無くなる前に・・・
「殺すわ」

「どうぞ」

「・・・え?」


一瞬で空気が変わった。双眸を閉じ、咲夜は決意を語る。
「一度でもお嬢様に不快な思いをさせてしまいましたから。そう思われるのは当然のことでございます」
「そんな・・・」
「私はお嬢様のために存在しております。魔術道具に心を操られたとはいえ、お嬢様の心に関係はございません。お嬢様が望むのでしたら、私には止める権利どころか、理由さえございません」
「・・あ・・・」
「ただ、もうお嬢様にお仕えできないことが心残りです」
「・・・」
「それと・・殺されてもいいと、言っておきながら、涙が止まらない・・こんな未熟な自分を恥じるばかりでございます」
「・・・・・・・・」

・・・なんてことだ・・・なんてことを考えてしまったのだ、私は・・・・!!
レミリアは後悔した。
咲夜の全てを懸けた忠誠を知らなかったことを。
そして後悔している自分に戸惑った。
自分はいつから、何故こんな考えをするようになったのか。
そんなものは決まっている。目の前の人間に会ってから、彼女に心奪われたからだ。
そして気付いた。自分には、こんな弱い自分には彼女が必要だと。

「きいて咲夜、私は・・・」
だが、咲夜はまぶたを閉じたまま、動かない。
もう彼女の心は動かないのか。死別という結末しかないのか。
そんなものは望んでいないのに。
こんなときにはどうすればいいのか?
何かの本にあった気がする。誰かから聞いた気がする。
(こんなときは・・・)
レミリアは意を決して立ち上がり、彼女に歩み寄る。プライドと緊張のせいで、ぎくしゃくした動きになってしまった。右手と右足が一緒に動いた。
「・・黙ってしゃがみなさい」
「お嬢様・・?」
彼女の顔がすぐ傍に近づく。お互いの吐く息が感じられる。
「貴方のことを試すわ。合格したら許す。失格なら殺すわ」
「・・・はい」
「私がやることに対して・・下品な事を言ったら失格。欲情してると思うようなことをしても失格。胸とかに触っても失格。それから・・・」

「舌をいれても失格」

黙ったまま、キスをした。

彼女は、いいつけを守った。



「・・うん。合格。我慢できるじゃない。・・おいといてあげるわ。これからも。」
咲夜は目に涙を浮かべ、レミリアを見つめた。
その視線に耐え切れず、レミリアは足早に部屋を後にした。
背中越しだったが、咲夜が泣いているのが分かった。



部屋の外へと出たレミリアは、ぶらぶらと館の中を歩き回っているうちに、大きな扉の前にたどり着いた。
たった一人の妹、フランドールが幽閉されている部屋の前に。


・・・・あの子に会おう。自然とそんな考えが浮かんだ。
レミリアの中で、何かが変わり始めていた。
少し躊躇いがちに扉に手をかけ、少しずつ、ゆっくりと開いていく。
会ってどうするのか、何を話すのか。そんな迷いがあったのだ。
(けど・・・迷っていたら始まらない)
今のレミリアは迷わなかった。

そしてその扉の向こう側。



そこにいたのは、鞭とか縄とか蝋燭とかを持って優しく微笑む妹。
再び閉じられる扉。今度は躊躇わず全力で。
しかし彼女の足が扉の隙間にねじ込まれ、扉の隙間から伸びてきた手がレミリアの手を強く掴んだ。
「ふふふ・・・おねぇさま・・」
「私に妹なんていないわ!?」
現実から逃れるために嘘をつくが、状況は変わらなかった。
「あなたいつからそんなキャラになったのよ・・・?」
少しでも冷静になるために時間を稼ぐレミリア。
「さっきパチュリーに貰った本を読んでから頭が変なのよ・・・」
(あいつ絶対あとで殴る!いやむしろ死なす!)
「それから『あとで絶対レミィがくるから姉妹でなかよくね』って言ってたわ・・・」
(絶対後で地獄に流す!)

だんだんとフランの力が強くなり、二人の姿が扉に吸い込まれていく。

完全に扉が閉じた。

「アッ――!!」



はじめまして。
このたびは森奈津子様の小説「哀愁の女主人 情熱の女奴隷」を元にした小説を書かせていただきました。
稚拙な作品ではありますが、お楽しみいただければ幸いです。
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コメント



0.1120簡易評価
15.70名前が無い程度の能力削除
元の作品を読んだことないのでどこまでが元の作品の面白さでどこからがアレンジの面白さなのか判りませんが、取り敢えず全体としては面白かったです。
22.80名前が無い程度の能力削除
最後の妹様に全てがつめられてる気がw
23.90名前が無い程度の能力削除
原作を所有する自分は腹がよじれるかと思いました。職場では読めないよ!(家に帰れ
27.90名前が無い程度の能力削除
アッ――!!
フランちゃんうふふ。