Coolier - 新生・東方創想話

The Big C

2006/12/25 12:50:04
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「蓮子、今日はクリスマスよ」
「そうね、メリー、メリー・クリスマス」
「私ね、蓮子のそういう所、大好きよ」


以下、本編




























 穏やかな陽だまりの中での午睡。
 主婦の幸せ。
 柔らかなソファの上で眼を覚ました神綺は可愛い欠伸と共に起き上がった。
「んぅー、ちょっと寝すぎたかしらぁ」
 もうそろそろ夕方という時刻だろう。
 小腹が空いたので神綺はキッチンへと向かった。最近増えてきた体重の事を思えば、ここでグッと我慢し、夕食を待つのが賢明だ。しかしそもそも、ここで我慢できるほどの強い意志を持っていればダイエットをしないといけないような羽目に陥ったりしないのも事実だった。
「あーっ、しまった!」
 神綺は冷蔵庫に張ってあるメモ用紙に書かれた『お歳暮』を発見して思い出す。
「太田さんにお歳暮送らなきゃ!!夢子ちゃん、デパートのお歳暮コーナーは五時までだっけ!?」
 今から向かえばギリギリだ。毎月二十四日、二十五日はカードで安い。今日中に買えばお得なのだ。
「夢子ちゃーん?夢子ー、どこー!?」
 返事が無い。気配も無い。そういえば、今日はパンデモニウムは静か過ぎるではないか。何かおかしい。
「ルイズ!ユキ!マイ!サラ!いたら返事しなさい!!」
 声は空しく木霊する。呻きと共にふとテーブルの上に目を落とすと、そこには見知らぬ書置きがあった。
 
 
 お母さんへ  
 
   今日は皆で博麗神社で鍋パーティーをします。
   この書置きに気付いたら神社までお越し下さい。  
    
    
                         可愛い娘達より


                         
「えぇえーーーーーーーーーッ!?」
 神の聲が万魔殿に木霊した。












    THE ビッグ・シー













 紅魔館死屍累々。
 玄関から最奥にある大広間に至るまで、不届きな侵入者を迎撃せんと出動したメイド達が変わり果てた姿で伸びていた。ある者は半裸に引ん剥かれ、またある者はネコミミと尻尾を無理やり付けられた姿で。それは言うも憚れるセクハラの嵐が吹き荒れた爪痕だった。
 その下手人、災厄の元凶である少女はそんな光景を睥睨し、口元を釣り上げるとクックックッとステロタイプな悪人笑いを漏らす。
「最近のメイドはたるんどるねぇ」
 その言葉を吐いた少女自身も、成る程、メイドの格好をしている。
 赤いスカート、白いエプロン、頭には輝くヘッドドレス。軽くウェーブを描いた豊かな金髪が背まで伸び、これまた豊かな胸が窮屈そうに服を内から押し上げている。
「――咲夜!」
 館の騒ぎを聞きつけ、ようやく館の主が姿を現した時には、もう何もかもが終わった後だった。
 紅魔館の鬼のメイド長、十六夜咲夜その人は無残にも侵入者の足元に倒れ伏している。咲夜は最後まで責務を果たさんと全身全霊を以って侵入者と火花散る激しいナイフ投げ合戦と、それに続く紅魔湖横断ウルトラクイズの早押し勝負で互角の力を見せ付けたが、無念、第二十三問目『オーストラリアの首都は?』という問題で「シドニー!」と答えて散華したのだった。
 ちなみに既に書痴と司書は共に捉えられ、スッパに引ん剥かれた挙句、ぱっちゅんプリンなるお菓子の材料にされ、今は冷蔵庫の中で震えている。下手人の恐るべき高ランク料理スキルの為せる業と言った所だろう。
「貴方、何者よ」
 気色ばむ幼い吸血鬼に対し、侵入者である赤いメイドは手を後ろで組み、余裕の表情で答えた。
「ふふふ、私の名は――素晴らしきメイドの夢子。BC団六傑衆が一人」
「六傑衆!?」
 夢子は不敵な笑みと共にスカートのポケットから何物かを取り出し、レミリアの足元へと放り投げた。コロコロと転がり、レミリアの足元で止まる。それは石の鉢だった。
「永遠亭は既に強襲済み。それは蓬莱山輝夜の『C』よ」
「C?」
「『C』とは我々を構成する記号の中でも特に重要な物。私達は幻想郷中を廻り、それを集めている――『C計画』の為に」
「何その一昔前のSFアニメに出てきそうな怪しげな計画はッ!?」
 その時、ガシャーンと窓ガラスを割って大広間に飛び込んでくる別口の少女の姿があった。夢子は艶然と微笑みながらやたらと説明臭い口調で喋った。
「いやいや、実に貴方は運が良い。今日は特別でして。実はもう一人呼んであるのでぃ・・・イタッ・・・です」
「今、セリフ噛んだ?噛んだよね?」
 お嬢様の必死のツッコミは軽く流され、飛び込んできた少女がゆっくりと立ち上がる――と、見せかけてまたすぐにしゃがみ込んだ。どうやら飛び込んできた時に足を挫いてしまったようだ。暫くして半泣きになりながらようやく少女は立ち上がった。その間、レミリアと夢子は生まれたての仔馬が足を震わせながら立ち上がる様を見守るような神妙な心境でいた事は説明するまでも無い。
「ぐすっ、はじめましてー。門番のサラです」
 派手な登場の割りに弱そうだった。
「彼女も六傑衆の一人。サラ・ザ・ゲートキーパーよ」
「半泣き?全泣かしにするよ?」
 お嬢様、牙を剥いて威嚇する。
「うっ」
 後ずさるゲートキーパー。
「何怖気づいてるのよサラ!それでも六傑衆なの!?」
 発破をかけるメイド。
「わ、分かってます、夢子さん。全ては我等の偉大な――」
「そう!全ては我等のビッグシンキの為に!!」
 グッと腕を突合せ、自信を漲らせる二人。
 夢子は広げたスカートの中からマイクに繋がったラジカセを取り出した。
「これはね、魔界で毎週日曜日に開かれてるフリマで10マッカで手に入れたものよ」
「知らないよ!?」
「これで貴方の『C』を頂く――サラ、そいつを捕まえてッ」
 気力マックスのせいか、レミリアを上回る機動性を見せつけ、一瞬にして背後を取ったサラ。まさかまさか1面ボスに羽交い絞めにされて身動きの取れないレミリア。
「やめろショッカー、ぶっとばすわよぉーッ――ごふっ」
 叫ぶレミリアの可憐な口に、問答無用でマイクを突っ込む夢子。
「さぁ言いなさいレミリア・スカーレット!貴方のアノ科白を!!」




 ****




 同刻、冥界。白玉楼。
 陽も傾かぬ内から夕餉の支度に取り掛かる妖夢。
 今夜は鳥鍋だ。
 朝絞めたばかりの鶏の血抜きは既に済んでいる。妖夢は羽を毟り、手際よく解体しながら、夕食の風景を想像し、一人頬を緩めた。長ネギ、春菊、白滝、豆腐、榎木、そして新鮮な鳥。それらを薄く醤油で味付けをする。自分の作った料理を美味しそうに頬張る主人の姿の中に一時の幸せを感じる。そんな自分は嫌いではない。
 と、トントンと音がし、そんな妖夢の夢想を中断させた。
 裏口の扉が叩かれている。
 来客だろうか。
 妖夢は慌てて割烹着を脱ぎながら、台所から程近い場所にある裏扉へと廻った。
「はい、どちら様でしょうか」
 白玉楼を訪れる者はそんなにいない。妖夢は訪問者の候補を何人かすぐに思い浮かべていた。しかし実際に眼にしたのは妖夢の予想の範囲外。全く見知らぬ二人組みの少女だった。
「西行寺幽々子か?」
 黒い井出立ちの少女が尋ねる。
「――違うよ、ユキ。こいつじゃない」
 横に立った白い少女が囁くように言う。
「確かに頭にアレがついてないな」
 黒い方が首肯する。
「えーっと、どちら様でしょうか」
 言いながら、妖夢の手は既に剣の柄へと伸びている。
「私の名はユキ」
「――マイ」
「私達はパンデモニウムが誇る壊し屋――マダムチンキの六姉妹よ」
「六姉妹?壊し屋?」
 穏便でない呼び名につぅっと妖夢の眉が上がる。
 白い方が無表情に続けた。
「――笑撃波で貴方の腹筋をぶっ壊してさしあげますわ。私達シスターズはお笑い担当なの」
「はぁ?」
 答える代わりに黒い方が懐より何かを取り出し、妖夢の足元へと放り投げた。それは主婦の味方、匂いや中身を零さない魔法の袋、ジップロック。そして透明な袋の中に入っていたのはフリルと可愛いリボンが付いた可憐な靴下だった。妖夢はその靴下に見覚えがあった。
「ゲーッ!紫さまの靴下ッ!?」
 反射的に鼻を抓む妖夢。長年の習慣が起こさせた無意識の行動だった。無理も無い。
「それは八雲紫の『C』だ。入手には困難を極めた」
 黒い少女がポツポツと語る。困難=臭いだなと妖夢はその疲れきった表情から察する。
「――だけどこれで儀式を執り行える。氷絶の魔女ルーフレンテが遺した『ドヴァ帝国黙示録』に記された禁断の魔法。大いなるCの召喚」
「マイ、喋り過ぎだぞ。それにまだ仕事が残っている」
「――西行寺幽々子のCも頂くわ」
「用件は良く分からないけど」と妖夢は腰を僅かに落とした。「今夜は鳥鍋だ。帰って貰おうか」
「奇遇だな。私達も今夜は鍋をする。お母様の為に」
「――そう、全ては大いなるCの為に」
 黒と白、二人の姿が重なった。
 同時に、チン、と鍔が鳴り、一瞬で抜かれた楼観剣の刃が飛んでくる炎と氷の塊を断ち切る。と、既に妖夢の体は後方へと飛んでいる。素晴らしい反射神経。修行の賜物だ。
「頂くわ。貴方を倒して、貴方の主人の持つ『C』を!!」
 妖夢を追撃する二人の声が重なる。
「一対二か」楼観剣に続き抜き放たれる白楼剣。「敵に不足は無い。魂魄二刀流、参る」
 ざん、と妖夢の足が地面を踏みしめた。




 ****





 博麗神社の居間。
 霊夢、魔理沙、アリス、三人仲良く炬燵に足を突っ込んで暖を取っている。
 部屋の隅に置かれた七輪からはチリチリと木炭の焼ける音がする。
「寒いな。雪が降りそうだ」
 ごろりと横になって本を読んでいた魔理沙が零した。
「積ったら雪掻きが面倒ねぇ」
 そう言う霊夢は、先程から蜜柑の白皮を剥くのに夢中になっていた。甘皮を剥かれた蜜柑の実は皿に上に山積みになっている。きっと全部の蜜柑の皮を剥ききってから、一気に食べるという趣向なのだろう。
「お、美味そう」
 しかし空気を読まない魔理沙は皿から蜜柑の実を摘み上げると、一言の断りも無くぽんぽんと霊夢のいじましい努力の結晶を口に放り込んだ。
「ああっ、魔理沙アンタねぇッ!」
 霊夢は意趣返しに、剥いた蜜柑の皮を掴むと魔理沙の目の前に持っていき、クッと折り曲げた。
 果汁が飛ぶ。
「うわっ!」蜜柑汁が眼に入り魔理沙が仰け反る。さらに狭い炬燵で転げまわった勢いで弁慶を炬燵の足にぶつけた。「くぅ、痛い痛い!」
「二人ともいい加減にしてよ!!」 黙々と編み物をしてたアリスがキレた。「ほら!ここの部分、糸を掛け間違ったじゃない!」
「おい霊夢、アリスが怒ったぞ」
「アンタが悪いんでしょうが!」
「違う。お前が蜜柑攻撃なんて事するから」
「二人とももっと大人しくできないの!?」
「そうだぜ霊夢」
「魔理沙、ちょっと表でなさいよ表」
「おいおい、何だ。ちょうど私も体を動かそうと思ってた頃だ」
「喧嘩はいけませんよ?」
 と聞きなれない声がした。ハッと三人は我に返ると、いつの間にか炬燵の輪に加わっていた四人目の人物に注目した。背の高い、金髪の女性。眼を細めてにこやかに笑っている。
「どうも。アリスの姉のルイズです」
 霊夢と魔理沙はあんぐりと口を開けたまま身動き一つ取れなくなった。
「ちょ、何でルイズ姉さんが――」
 アリスは緊張した。面倒見の良さから、幼い頃はしょっちゅう遊んで貰っていた第二の母親とでもいうべき存在。しかし柳のような柔らかい笑みの中にも、切れ者らしい鋭さを持ち合わせている油断のならない人物でもある。
「私だけじゃなくて皆来てるわよ」
「皆って」
「夢子もサラもユキもマイもね。お母様もその内来る筈」
「どうして」
「それはね」とルイズは片目を開けてにこやかに笑った。「私達がSOS団だからよ」
「SOS団?」
「神綺様を 大いに盛り上げる 姉妹達の 団よ」
「へ、へぇ、そうなんだ」
「それでね、今日はお鍋をする予定なの。ほら、今日はクリスマスというか異教のお祭りじゃない。ちょうど良いかなって思って」
「ちょっと待ちなさい」腋巫女が待ったを掛けた。「それうちでやる気なの?」
「ごめんなさい。私達、この辺の地理には疎くて、一番分かりやすそうな神社で集合って事になってるの」
「ここでやるのは構わない――その代わり、私にも食べさせなさいッ」
 食べさせなさい、と吼えた巫女の横顔は男前で、アリスも魔理沙も一瞬胸がときめいた。なんだろう、この気持ちは。
「勿論よ。ただ、もうちょっと待って貰わないと。皆が材料の調達に手間取ってるみたいだし」
 ルイズが微笑んだ。見た者の警戒心を緩めずにいられない、不思議な笑みだった。
 
 
 
 
  ****
 
 
 
 
 再び紅魔館。
「れ、れみりあ☆うーっ」
「声が小さい。ハイ、もう一度!」
 夢子がマイクをレミリアの口元に押し付け、その可愛い声を録音している。
「う・・・ぐす・・・れみりあ☆うーーっ!!」
「ダメダメダメ。ワンモアプリーズ」
「うーーーーッ!!」
「ヘイヘイヘイ。ほら、サラ、こしょこしょして差し上げなさい」
「イエスマイシスター。ほーらほら、コショコショコショ」
「アハハハハっ!止めて!助けて!咲夜ぁーー!」
「ふふ、ここのメイドは所詮シドニーとメルボルンの違いも分からない青二才よ。さっさと観念して、貴方の『C』を――つまり『れみりあ☆うーっ』を我々に渡した方が賢明よ。さもなければ――」
 夢子はスカートのポケットからニンニクを取り出した。
 レミリアの顔が蒼褪める。
「まさか」
「そのまさかよ」
 夢子は皮付きのニンニクを齧った。
 むしゃむしゃむしゃ――ゴクリ。
「うわぁ――」
 ドン引きの声をレミリアとサラが同時に上げた。まさか生のニンニクを齧るなんて誰が想像できようか。げふっ、とニンニク臭い息を吐きながら夢子が艶然と微笑む。
「これ以上、抵抗するようなら――ふふ、キスするわよ。もちろん、フレンチで」
 レミリアは表情は硬直したまま完全に固まった。完全に堕ちた瞬間でもあった。
「流石は夢子さん。魔界にその人ありと言われた、神をも畏れぬサディスティック・メイド――」
「まぁサラ、嬉しい事言ってくれるじゃないの」
 口臭攻撃だけはホント勘弁して下さい、とサラは心の中で思った。
 
 
 
 
  ****
 
 
 
 
 一方、冥界。
 妖夢が飛ぶ。
「ちぇすとぉぉぉぉ!!」
 唸る二本の刀。ぶぉんぶぉんと怪音を響かせる。
 雪国マイタケコンビは巧みに避けつつ、反撃する。
「マイ!あの魔法を使っちゃえ!」
「――エターナルフォースブリザード」
 マイが構える。しかし妖夢は臆す事無くそのまま突っ込み、マイを袈裟斬りにする。邪気眼を発動できないままマイはバタリと前のめりに倒れる。
「マイィィィィ!!」
「安心しろ。峰打ちだ」
「よくもマイを!本気だしちゃうから!!」
 ユキが拳骨を固めて殴りかかる。
「あらあら妖夢、何だか騒がしいわ妖夢、あらあら」
 ユキの進路上に唐突にのらりくらりと現れる亡霊嬢。
「ちょ、アンタ危ない!!」
「――あら?」
 勢いをつけすぎて止められないユキのゲンコが幽々子の首筋にクリーンヒット。
 ゴキリ、と厭な音がする。
「ゆゆこさまァーーーッ!!?」
 変な角度に首を曲げて倒れる幽々子。これが生きてる人間だったら確実に死んでいる。
「貴様ァッ!よくも幽々子様を!!」
 じゃきっと音を立てて刀を返す妖夢。峰打ちどころか本気で斬る気だ。
「タンマ!不可抗力!」
 背中にだらーっと冷や汗を掻きながらユキは言い訳をする。
「問答無用ッ!!」
 妖夢が踏み込もうとする。
 しかし妖夢が走り出す前にすっと白い手が伸び、その足首を掴んだ。
 マイだ。
『――ユキ、ジップロックの封印解除。敵目標沈黙までの使用を承認』
『マイ、無事だったのか!』
 フッとマイはニヒルに笑う。
『やられた振りをしただけ。敵を欺くにはまず味方から。私がこの程度でやられる訳ないじゃない』
『流石は「裏切りのマイ」――だけど私は知ってる。マイが本当に誰かが裏切ったりはしない事を!』
『バカ、恥ずかしい事を言わないで。こうした方が目的が達成しやすいから、そうするだけ。他意は無いわ』
『そんなだから皆に誤解される。私はそれが悲しいんだ』
『ユキが気にする事じゃない。六姉妹の中の徒花、それこそが私の役目。私は自分の役目を全うするだけよ』
『だったら私も役目を果たそう。私は全身全霊でマイを守る』
『それこそバカよ。私の予備の鍵の癖に』
『予備の鍵?』
『フン、でもそんなユキの気持ちだけは受け取っておいてあげる。万が一、私が失敗した時は、代わりに門番を探して「楽園」を目指すのよ――』
『ちょ、マイ、予備の鍵って何だよ!?』
 以上の高速会話は強い心の絆で結ばれた姉妹だからこそできる技であり、実時間にしては一秒にも満たない。そしてこの後、魔界に帰ったユキが、マイの机の中から変なノートを発掘したのはまた別の話である。
「キエエエエエェ!!」
 ユキは襲い掛かってくる妖夢の一閃を頭上に感じながら前転の要領で交わし、紫の『C』が入ったジップロックを拾い上げる。そしてチャックを開封。むっとした臭気が辺りに漂う。ユキは鼻をつまみ、顔を顰めながらジップロックを妖夢に投げ付けた。
「恨まずに成仏してくれよ!」
 ぺちん、と間の抜けた音を立て無防備な妖夢の顔面にそれが当たった。しかも運悪く、次の一撃の為に空気を吸った瞬間。モロに臭気を肺腑の置くまで吸い込んだ妖夢は、ぐらりと体を揺らした後、どうっと音を立てて崩れ落ちた。
「勝った!第三部完!!」
「――やれやれだわ」
 マイは鼻を抓みつつ立ち上がると、再びジップロックを封印(チャックを閉めるだけ)した。そして倒れている幽々子に近付くと、頭の@布を奪い、ポケットに突っ込む。
「――何とか目的は果たせた」
「なぁマイ、さっき言ってた予備の鍵って何だよ」
「――行きましょうか。幻想郷の博麗神社へ。皆も待ってるわ」
「え、無視!?」




 ****




「C計画なのよ」
 ルイズは出されたお茶を飲みながら呑気に言った。
「C計画?」アリスはハァと呆けた表情を作るしかない。「クリスマス計画とか?」
「まぁそれでも良いんだけどね。本当の意味は『charisma』とか『character』のイニシャルよね。平たく言えば、私達を表現する為の最も分かりやすい記号って事になるかな。アリスちゃんにも色々そういうのあるでしょ?」
「『人形遣い』とか『魔法使い』とか?」
「『七色魔法莫迦』に『さもしい一人芝居』もそうだぜ」
「最近じゃ『五寸釘』とかもあるんじゃない?」
「アンタらうっさいわよ!?」
 霊夢と魔理沙に噛み付こうとするアリスを、ルイズがまぁまぁと宥める。
「それだけアリスちゃんが皆に愛されてるって事よ。どちらにせよ、一意に私達を表現する記号は多いに越した事はない――この理屈は分かる?」
「まぁね」
「それであの人の事なんだけど――」とルイズは声の音量を落とした。「ここだけの話よ?ぶっちゃけカリスマとかチメイド低いじゃない?」
「うわぁ」
 三人の声が上手くハーモナイズした。ルイズはニコリと微笑む。しかしフォローになって無い。気まずい空気になった。それをたっぷり一分ほど味わってから魔理沙が口を開いた。
「ま、旧作の人だしな――」
 その一言で一層場の空気は重くなった。
「――ま、そういう訳だから、私達姉妹で何とかしようって話になったの」
 重い空気を跳ね除けてその一言を喋るのにどれ程のエネルギーが必要だったのか。ルイズはここ数分で随分とやつれて見えた。
 アリスはそっと姉の手を握り、囁くように言う。
「それでC計画?」
「ええ――別名『カリスマ祭り』」
「祭りィ!?」
「カリスマをアップする為に執り行われる神聖な儀式。カリスマの欠片を水で煮込んで作る『カリスマ鍋』を食し、皆で祝うの。でもこれ、実を言うと、命の危険も伴う秘儀なのよ」
「私そんな事に命を掛けたくないよ!?」
「時間的にも皆がそろそろ鍋の材料となるカリスマを集める為に『カリスマ狩り』を終えて、ここへやって来る頃かしら」
「カリスマ狩り――ってもしかして」
「ええ、幻想郷の要人達を片っ端から襲う」
「それヤバいから!普通にヤバいから!!」
「だから命の危険も伴うって言ったじゃない」
「まだ死にたくないから!ねぇ霊夢どうしよう!?」
 うーんと霊夢は考え込んでいるようだった。
 博麗の巫女としてこのような暴挙を許せるのか。そもそも求聞史記発売したばっかりで旧設定の魔界といざこざとかどうよ?魔界なんて本当は何処にも無いんじゃない?バカ、そんな訳あるかよ、魔界はあるんだ――私達の心の中に。というかお腹空いた。
「よし」と霊夢は立ち上がり、炬燵をバンと叩いて高らかに宣言した。「鍋食べてから考えましょうッ!!」
――あ、この霊夢カッコイイ。
 霊夢の男前っぷりに、魔理沙とアリスは同時に胸をキュンとさせた。
――何だろう、アタイのこのキモチ。
「あー、寒かった。んー、なんだか狭い部屋ね」
「夢子さん、人様の家でそれは失礼ですから――」
 まるで我が家のように傍若無人な態度で居間に入ってくるコンビの姿があった。態度もでかけりゃ胸もでかい。息がニンニク臭い暴れん坊メイド夢子と、いまいち影の薄いゲートキーパーである。
「あらあら夢子ちゃん、首尾はどうだったの?」
「完璧です。ほら、この通り」
 ルイズに応え、夢子はぽちりと手に持ったラジカセの再生スイッチを押した。
『れ、れみりあ☆うーっ』
『声が小さい。ハイ、もう一度!』
『う・・・ぐす・・・れみりあ☆うーーっ!!』
『ダメダメダメ。ワンモアプリーズ』
『うーーーーッ!!』
『ヘイヘイヘイ。ほら、サラ、こしょこしょして差し上げなさい』
 聞くに耐えない、れみりあ☆うーっの嵐だった。
 アリスはゴクリと生唾を飲み込んだ。
 あの幼き吸血鬼は、今どのような復讐法を考えているだろうか。想像するだけで寿命が縮まりそうだ。
「ひぇー、えらい目にあったよ」
「――ただいま」
 続いて黒白コンビも現れた。
 ジップロックに入った靴下。そして一度見たら忘れられない@布を無造作に炬燵の上に放り出す。
――本当に強奪してきやがった。
 アリスの額に脂汗が浮かぶ。
 ヤバイ、死亡確定だ。
「こうやって皆揃うのも久しぶりね」
 アリスを加えた魔界六姉妹が集まった為、部屋は一気に狭くなり、本来の住人である霊夢と魔理沙が隅に追いやられる。しかし二人とも文句は言えなかった。いや、むしろ言える雰囲気ではなかった。
「それでは我等がBC団の集合を祝して!」
 夢子が高らかに宣言する。
「――だから、マダムチンキの六姉妹だって」
 マイが文句をつける。
「あら?SOS団じゃないの?」
 ルイズが首を傾げる。
「アリスのお姉さん達は面白いなー」
「恥ずかしいだけだから!」
「それより鍋はまだかしらね」
 ルイズがガスコンロを取り出してきて、炬燵の上に備え付けた。霊夢へと振り返る。
「ごめんなさい。土鍋はあるかしら?」
「前の宴会の時に誰かが壊したからないわよ」
「困ったわねぇ」
「その石の鉢を鍋代わりにしたらどうでしょうか」
 サラが提案する。
 すぐさま全会一致でその案が了承された。
 輝夜所有のとても有り難そうな石の鉢に水が注がれ、火に掛けられる。水が沸騰してくると、その中へ集められた材料が次々と放り込まれた。@布、靴下、さらに道中でそんなモノまで拾ってきたのか――魔導書、座薬、鈴蘭、向日葵、狐の毛、マタタビ、蛍、凍った蛙、新聞紙エトセトラエトセトラ。さらにレミリアの艶声が録音されたテープは二つにへし折られ放り込まれる。
 最悪だ。パンドラの匣だとアリスは思った。
 鉢の中の液体の色が赤から青へ、そして緑、黄色、鼠色と色相環をぐるぐるとあっちにいったりこっちにいったりしてドドメ色になった所でようやく止まった。沸騰するグツグツという音は、いつの間にか煮詰まり、粘着力の高いくぐもったモノに変わっている。
「カリスマ鍋の完成!!」
 夢子が叫んだ。
 鍋の中身は煮詰まり、量が大分減っている。もはや鍋というよりも汁だろう。
 カリスマ汁だ。
 確かにこれを飲み干せるなら――カリスマの一欠けらでも認めてやっても良い。そんなシロモノだった。
「後は神綺様が来るのを待つだけかしら――」
 その時、ドドドドドド、と地面を走る音が聞こえた。
「神と聞いて歩いてきましたぁぁぁぁぁああああああッ!!!」
 障子を開いて、そこに立っていたのは紛う事なき、魔界の神の姿であった。
「キターーーーーッ!」
 姉妹の興奮した叫びがハモる。
「もう、死にたい」
 アリスが気絶する。
「し・ん・き!し・ん・き!し・ん・き!」
 やんややんやと拍手が巻き起こった。
「え、なになになに?」
 泡を食って驚いているが、満更でもない神様。
「お母様の為に、皆で料理を作ったのです」ルイズが説明する。「日頃のお返し。そして年末年始の忙しい時期を乗り越えれるように、滋養強壮と美容、そしてカリスマアップ効果を兼ねた薬膳料理を――」
 嘘も方便だなと魔理沙は思った。
「まぁ、なんて――嬉しい。有難う、みんなっ」
 ギュッと一人ずつ愛娘をハグする神様。気絶して皆に踏まれて揉みくちゃにされてるアリスの存在には気付かない。アリス哀れ。
「凄い匂いがするけど大丈夫かしら?」
 完成したカリスマ鍋は色も凄いが、臭いも凄い。大丈夫かしら?というレベルではないのだが、きっと感動の興奮で感覚が鈍っているのだろう。
「もちろん大丈夫です!!」
 太鼓判を押したのは夢子だ。しかし紫の靴下の入ってる汁が大丈夫な筈が無い。
「うん、夢子ちゃんが言うなら平気よね」
 鍋、というか鍋料理だったらしい、水分が飛んで粘塊質になった液状物体が湯飲みに注がれる。
「ささ、どうぞ」
「まぁ、有難う」
 神はニコニコと笑いながら異臭放つ湯飲みを受け取る。
 ふと魔理沙は思った。さてはコイツら母親を毒殺して遺産相続でもする気なんだな、と。
 霊夢は思った。お腹空いた。あとで蜜柑でも食べよう、と。
「いただきまーす!」
「カリスマうp!うp!」
「うpとか言うな!」
 グッと神が湯飲みを呷った。
 かみはバラバラになった。
 
 
 
 
  ****
  
  
 
 
「夢子っ」
「らめええええええッ!」
 パーン!
「サラっ」
「ごめんなさーい!」
 パーン!
「ルイズっ」
「すいません」
 パーン!
「ユキっ」
「もうしないからぁ!」
 パーン!
「マイっ」
「――くっ」
 パーン!
 合計五回。パーンと軽やかなビンタ音が響いた。
 カリスマ汁を飲んだ神の意識は一瞬でバラバラになったが、息を吹き返したアリスの必死の人工呼吸により蘇った。そして、事の次第を聞き及んだ神は般若の如き形相で怒り狂った。
「人様に迷惑を掛けるような子に育てた覚えはありませんッ!」
 そしてどこにそんな力が秘められていたのか、細い腕で一人ずつ抱え上げると、問答無用でスカートを捲くり上げ、パンツをずり下ろし、お尻に必殺のビンタをお見舞いした。
 その勢い足るや、地獄の獄率も玄人はだしの凄まじいものだった。カリスマ汁、多少の効果はあったのだろうか。
「今から謝って来ますからッ」
 頭に角生えてるんじゃないかと思うくらいぷんすかしながら神はそう言うと、娘達を寒い冬の空の下へと叩き出した。
「ほら、ちゃっちゃっと歩く!夢子はレミリアさん所に謝りに行くのよ!分かった!?」
「は、ハイ!」
「何処かで折包みでも買ってかなきゃいけないわ。全く、年末は出費が大変なのよぉ。結局、太田さんにお歳暮遅れなかったし――ああ、もう」
「神綺様、折包みは私が先に行って調達してきますので――」
「早く行きなさい!!あと、ニンニク臭いから寝る前にしっかりと歯を磨く事!」
「かしこまりー!」
 夢子が走っていく。あんなにキビキビと動いている彼女を見たのは何年ぶりだろうと皆が思った。
「ユキとマイはメーカイのしらたまろーに行って謝ってくる。分かった!?ルイズ、貴方も二人に付いて行きなさい。私は永遠亭にビビンバ鍋を返しに行きますからっ」
「はい。ほら、行きましょう」
 恐怖で震える雪国マイタケの手を掴んでルイズも歩き出す。
「あー、ホント、信じられない子達ね。親の顔が見たいわ」
 ブツブツと呟く神。
「――あの、お母さん」
 アリスが神綺の後を追って、屋外へ出てきた。
 陽はとっくの昔に沈んで、雪もちらほら降ってきている。
「ん、ごめんねアリスちゃん。今日はもう帰らないと」
「うん。まぁ仕方ないんだけど――これ」
 と、アリスは手編みの真っ赤なセーターを母親の首に掛けた。
「ちょっと不恰好になったけど、プレゼント」
「クリスマスの?」
「そう。それと年末年始も帰らないし、きっと今度のお母さんの誕生日とか、母の日も帰らない。だから、そういうのも全部ひっくるめての当面のプレゼント」
「そう、『帰らない』のね。『帰れない』じゃなくて」
 アリスは肩を竦める。
「有難う。とても暖かいわ。霊夢と魔理沙には貴方から謝っておいて。代わりといっちゃなんだけど、今度こっちに来た時はうんとご馳走するからって」
「了解」
「ん、そんな寂しそうな顔しないの」
「してないわ」
「なら、良いんだけどね」
 神綺が歩き出す。その背後をアリスは見詰める。
「あー、そうだアリスちゃん」と神綺が名残惜しそうに振り向いた。「クリスマスってどっかの神様の誕生日なんだよね。じゃあその神様ってのは何処に居ると思う?」
「私の目の前」
「違う違う。もっと普通の一般的な観念としての神様」
「えーっと、天とか?」
「じゃあ悪魔は?」
「地獄かしら」
「サンタクロースは?」
「サンタクロース島」
「んー、なんか答えが優等生って感じ。ホントは神様も悪魔もサンタクロースもここにいるの」
 神綺はトントンと自分の胸を突付いた。
「おっぱい?」
「今日のアリスちゃんはベタベタね。ハートよ、ハートにいるの」
「考える器官は心臓じゃなくて、脳よ」
「だったら頭の中でもいいわ」
「それで?」
「私もきっとそこにいるわ。家族ってそんなもんでしょう」
「――え?何で」
「寂しくなったら頭の中の私と話してみなさい。アリスちゃんなら私の言ってる事分かるよね?」
「何となく」
「それでもどうしても寂しい、耐えられないって思うなら故郷に帰って来なさい。貴方がもう一度戦えるように元気を分けてあげる。感じ無いわ、痛く無いわって強がってばっかりじゃダメよ。貴方、人形じゃないんだから」
「うんっ」
「じゃあね、アリスちゃん。ばははーい」
 神綺は前を向き、再び歩き出す。再び振り返ろうとはしなかった。
 遠くへと歩き去りながら、神綺はパンパンと手を二度叩く。
 急に雪が舞い上がり、アリスの視界を覆った。
「何――これ」
 アリスが再び眼を開くとそこは一面の雪景色。神社の境内が真っ白になっている。冬で葉っぱが一枚も残ってない桜の樹は、しかし代わりに青白く輝く光の葉をつけている。ルミナリエだ。アリスはそう思った。
「まぶし!何だこりゃ」
「綺麗――これ蛍なの?」
 霊夢と魔理沙も境内へと出てきて、闇夜に静謐に輝く光の洪水に見入った。
「さぁ、何なのかしら。私にも分からないけど――メリークリスマスって事なんでしょう、たぶん」
 アリスの視線の先、雪の積った神社の石畳には神綺の足跡だけが残っている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
お母さんは偉大なんだぞ!
さぁ神綺様に皆のカリスマパワーを結集して新作に出れるように神主にお願いするんだ!

当初はそんな感じのカオスなお話でした。
割と普通のオチに軟着陸できたとは思います。やや胴体着陸気味ですが。

タイトルのCはクリスマス、カリスマ、キャラクター、シンキとかまぁその辺くらいの意味で。
元ネタはラムレイの「大いなるC」。まぁそのまんまです。

今から神話幻想の入ってる次のよーがくだんが楽しみ楽しみなのですよ。
桐生
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コメント



0.4190簡易評価
1.90新角削除
どこから突っ込めというんだコンチクショウめ!!
2.70名前が無い程度の能力削除
ちょ、ちょ、ドヴァ帝国・・・・・・!
この後、皆様からは許して貰えるのでしょうか・・・・・・
6.100nanashi削除
感動巨編だったんですね!
最後まで気づかなかった
10.80名前が無い程度の能力削除
ドヴァ帝国の所でコーラ吹いたwww
13.100名前が無い程度の能力削除
ウホッ!いい魔界……
17.90名前が無い程度の能力削除
何このネタの宝石箱でIT革命で構造改革な小説はっ!
つまり夢子とユキマイ最高
22.100CACAO100%削除
ドヴァ帝国w某掲示板に行くんですかww
23.100名前が無い程度の能力削除
やっぱり
神綺様は
お母さんだ


それと夢子さん、オーストラリアの首都はキャンベラです。
24.80名前が無い程度の能力削除
>かみはバラバラになった
チェーンソーに勝るとも劣らぬ威力w
31.100名前が無い程度の能力削除
あったかいよ
40.無評価名前が無い程度の名前削除
最後の部分だけは、いい話に見えるが
「感じないわ」「痛くないわ」でカルピス吹いたw
というか小ネタ多すぎwww
44.無評価桐生削除
「夢子もオーストラリアの首都勘違いしてるじゃん」と思った読者の皆さん
どうもすいません
夢子ちゃんの勘違いではないのです。
作者が⑨なだけなのです・・・。


でも面白いからこれはこれで(
60.90名前が無い程度の能力削除
カリスマと言うか、母の強さを感じました。了。
64.100名前が無い程度の能力削除
ドヴァ帝国wwwwwwwwww
67.90名前が無い程度の能力削除
いやもう、ほんとごめんなさい。
さっきまで某陰陽球を蹴り合うゲームでアホ毛をたくさん使ってた罰当たりです。
ちょっと今から魔界に謝りに行ってきます。
69.60名前が無い程度の能力削除
いい話でした。
ところで幻想卿のカリスマたちの復讐譚はないのでしょうか?
71.80名前が無い程度の能力削除
エターナルフォースブリザード吹いたwwww
93.100名前が無い程度の能力削除
今ごろだが魔界再登場したな。神綺関係ないけど。
それはともかくとても面白かったと思います
101.90名前が無い程度の能力削除
小ネタの嵐に腹筋がwww
103.80名前が無い程度の能力削除
大田さんww涙目w