Coolier - 新生・東方創想話

As I am

2006/12/20 12:49:15
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「おかわり」
「幽々子さま、食べすぎです」
妖夢はごはんをつがなかった
「そんなぁぁ」
「食べすぎは体によくないですよ」
「それが私の生きがいなのにぃぃぃ」
「そんなこといって、もう死んでるじゃないですか」
「死んでるんだからいくら食べても体によくないことはないわ」
白玉楼の従者は大変だ。なんといっても、このつかみどころのないお嬢様の世話をしないといけないからだ。
しかも妖夢のまじめな性格をおもちゃにしているのである。そしていつも妖夢はふりまわされるのである。

「はぁぁぁ」
まじめな妖夢に幽々子の世話は本当に大変だろう。そんな幽々子にも従者がいるのはカリスマのなせる業...なのか。
「私は半分生身ですけど、全部幽霊の幽々子さまがたくさん食べてどうするのですか」
「私の生きがいを否定したわね」
「だからさっき言っ」
「いいことをひらめいたわ」
妖夢には悪いことのような気がして仕方ない。この天真爛漫お嬢様の思いつくことはろくでもないことが多い。
「みんなの生きがいってなんなのかしら」
「はぁぁぁぁぁ」
これはもうみんなのところへわざわざ行って話を聞こうということなんだろうと思い妖夢は大きくため息をついた。
「なによ、乗り気じゃないの?」
「わかりました。外出の準備をします」
「さすが妖夢、私のやろうとしてることはお見通しね」

(これだから、幽々子さまは...)
と思いながら妖夢は外出の準備をした。ようはお菓子を準備することだが。
ふと妖夢は思った。
(なぜ私に聞かないのか)
しばし、作業がとまる。
(まぁいいや。あの幽々子さまのことだ。何も考えていないんだろうし、考えていたとしても私には量りかねるにちがいない)
妖夢は自分を納得させながら食器を片付け、食卓を拭きお菓子を用意した。
その間は幽々子は縁側に座りお茶を飲んでいるだけだ。
妖夢はあたかもそれは存在してないことにして作業を終わらせた。
「準備できました」
「じゃあいくわよー、しゅっぱぁぁぁつ♪」
幽々子が楽しそうだし、ご飯のおかわりも忘れ去っていたので妖夢はよしとした。



「にゅーくれらっぷー♪にゅーくれらっぷー♪♪」
白玉楼をでて顕界にでると、さっそく夜雀のよくわからない歌が聞こえてきた。
「彼女の生きがいわね...」
幽々子は舌なめずりをしている。
「幽々子さまいけません。さっき食べたばっかです」
「結局おかわりしてないじゃない」
(げっ、覚えていたか)
妖夢はとりあえず幽々子を羽交い絞めにして、夜雀に目配せをした。目が会うと夜雀は一目散に逃げ出した。
「逃げちゃったわ、妖夢。追うのよ」
「拾い食いにみたいな事はだめです」
ほんとうに幽々子の従者は気苦労が絶えないだろう。


「ふらふら彷徨うだけじゃ、またあのハクタクに怒られますよ」
「今は焼肉なんて食べたくないわ」
「誰が焼肉だ」
(あぁぁぁぁ、タイミングわるいよー。)
後ろには面白い帽子を被った美少女、上白沢慧音が立っている。
「あら、ごきげんよう」
あぁ、この人はなんてマイペースなんだ。妖夢はもうあきらめの境地だ。
「さっき人を焼肉扱いしておいてそれはないだろう。それより、人里になんのようだ」
「カンニバ...」
「幽々子さまが、みんなの生きがいを調査すると言い出したので...」
幽々子の爆弾発言の尻拭いをする妖夢は不憫だ。
「私の生きがい...か」
「愚かな人間守っていて楽しいの?」
(あぁぁぁぁ)
妖夢はもう帰りたくなった。
「人間は確かに愚かだ。だが私は人間が好きなんだ。それに私の知っている歴史を...」
「妖夢、紅魔館に行ってみない?」
幽々子はもうその場を立ち去っている。
「幽々子さま、まだ慧音さんの話がって、あぁぁぁ!!!ごめんなさい慧音さん。これでお暇させていただきます」
慧音は無言だった。妖夢は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


「あ、あれはチルノとかいう...」
「妖精は生きがいとか考えるほどの頭脳がないのよ」
「そうなんですか」
「あぁぁぁ、今あたいことバカって言ったな!!」
「行くわよ、妖夢」
「あたいだって、最強なんだから生きがいくらいっ...って生きがいって何なのよ。貝の一種?」
明らかに全く理解できてない。
「パーフェクトフリーズで凍らせてやるわ。あたいってば最強ね!!」
チルノが答えを出した時には周りに誰もいなかった。


紅魔館正門。門番はあくびをしている。
「はぁぁ、今日も暇ですね」
「ふぅん。あなたは何のために生きてるの?」
「ハッ...幽霊?」
「そう、幽霊よ。あなたは何のために生きてるの?」
「幽霊を紅魔館に入れてたまるものか!!!」
妖夢は抜刀する構えをしている。
「いつぞやのバカ幽霊じゃない。何してるの?」
瀟洒で完全なメイドがそこに立っている。
「そこの役立たず門番が幽々子さまの質問に答えてくれないのです」
「まぁこの中国女はいいわ、あなたの生きがいは?」
「まぁ、あんたを屋敷に入れるのは何だからここで答えてあげるわ」
「幽霊は怪しくない!それが客人に対する態度か?」
「別におなかすいてないからここで話を聞くわー」
(問題点はそこなのか...)
妖夢は気が滅入りそうだ。
「私の生きがいは紅魔館に仕えることね、胸張って言えるわ。そして何よりお嬢様の笑顔」
「犬みたいね。犬じゃなかったら変態ロリコンかな?」
咲夜はナイフを用意した。
「犬?」
「そういえばそこの門番、さっきあくびしてたわ。じゃあね、メイドさん。ごきげんよう」
「めぇぇりぃぃぃんんんん???」
門番はいつもかわいそうだ。


「幽々子さま、どこへ向かってるのですか?」
「神社でお菓子食べてお茶飲みましょ」
「幽々子さま、お茶持ってきてません」
「巫女がお茶くれるから大丈夫よ」
そして博麗神社に着いた。まぁ当然のように魔理沙がいた。
「よう、幽々子」
「あら、幽霊が神社に何のよう?」
妖夢が事情を説明すると、妖夢が持ってきたお菓子をみんなで分けることを条件にお茶を出してもらえた。
「ふーん、幽霊は暇そうでいいな、私なんて魔法の研究で忙しいぜ」
(どうせまた意味のない研究なんだろう)
妖夢は自分のほうが数倍忙しいと思った。
「そう思うんだったら死ねばいいのに...」
(幽々子さま、もう勘弁してください)
「遠慮しとくぜ」
まぁ当然だろう。
「パチェに本返さないといけなくなるしな」
(この魔法使いも魔法使いだ)
妖夢はいろいろ突っ込みたくて仕方ないがこういった。
「話題がもどるが、お前たちの生きが..」
「妖夢、こんなグータラに聞いたっ」
「失礼ね。縁側でお茶を飲むことが生きがいなのよ」
「あら、私にそっくりね」
(この人さっきといってることが違う...)
妖夢は笑顔の幽々子に突っ込みたくて仕方ない。
「霊夢はおばさんくさいぜ」
「だったらあんたの生きがいはなんなのよ」
「パチェから本をパクっ、借りて魔法を勉強したり、魔法を乱射したり、宴会企画したり、マジックアイテム収集したり...」
おそらく自分の生きがいはたくさんあるといいたいのだが思いつかなくなっている。
「とりあえず、楽しく生きることだぜ」
「とりあえず私に迷惑がかかる宴会企画を生きがいにするのをやめてくれ」
霊夢はお茶をすすった。
「何でだ?」
「くだらないからよ」
(って幽々子さまいっつも宴会超楽しんでるじゃないですか)
「あんたも楽しんでるじゃない」
妖夢は霊夢に感謝した。
こうして夕暮れが近づいた。
「それじゃあそろそろお暇させてもらうわ」
「結局幽々子さまが一人でほとんどお菓子食べちゃったじゃないですかー」
霊夢も魔理沙もはじめからわかってたようで怒ってはいなかった。



白玉楼
妖夢は精神的にくたびれているようだ。彼女の足取りは重い。
「妖夢、今日は楽しかったわ」
(ただみんなをからかいに行っただけじゃないですか)
「!!」
幽々子は微笑んで妖夢の頭をなでた。


幽々子さまは今、微笑んでいる。だが昔は、生前は...

人を死に誘う能力への目覚め。その能力への恐れ。生前の彼女は...
人が持つべきでない強大な力...
苦悩
そして
自ら選んだ


妖夢にとって、最近知ったばかりのものだった。

だが、今は微笑んでいる。楽しんでいる。
生前のことを知らないだけかもしれない。西行妖のことがそれを裏付けている。

それでも過去は変えられない
背負っている暗い過去


幽々子さまには笑っていてほしい。なんかあのメイドみたいなことを考えてるな、私。
  でも、幽々子さまの笑顔を守ること、それが私が私であること。
     そして生きがい    


妖夢も微笑んだ。今日の精神的な疲れも忘れていた。
部屋にもどると紫がいた。
「あら妖夢ちゃん、こんばんわ」
「紫、、妖夢を子供扱いするのそろそろやめたら?」
「あら、幽々子こそ子供扱いしてるじゃない」
「そんなことないわ、ねぇ妖夢」
「え、えぇ」
「そんなことより紫、夕飯食べていかない?」
「もとよりそのつもりよ」
藍と橙がスキマから出てきた。
「多いほうが楽しいものねぇ」
妖夢の顔が青ざめていく。
「妖夢」
「はい」
「五人もいるんだから、十人分ぐらい用意して。お願いね」
妖夢準備中...
「だんだん妖夢もあのメイドに似てきたわね、紫」
「口ではそんなこと言って、幽々子もいじわるねぇ」


今回は白玉楼のお話にしました。白玉楼に帰ってから少々読みにくいですが、一応自分なりに考えてみました。
読みにくいとこ発見したので少々修正しました。
スカーレットな迷彩
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コメント



0.570簡易評価
15.70A・D・R削除
SSを読みながらにやにやくすくす(←変な人じゃんorz)
強烈な一撃はないかわり、絶えず笑いのネタが供給されているので、お話にいい具合に合っていました。

ちょっと全般的にネタに対し文章が少なめで、特に地の文が少ないかなぁとも思ったのですが、セリフやネタがいい味を出していて、とても楽しめました。
↑いや、私が言えたもんじゃないんですが…(地の文苦手)orz
16.無評価スカーレットな迷彩削除
>A・D・Rさん
もっと地の文がんばります
読んでくださりどうもありがとうございます