Coolier - 新生・東方創想話

ノーフンドシ、ノーライフ

2006/12/19 23:37:24
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香霖堂の勝手口にある物干し台、そこに色とりどりの布が干されていた。
幻想郷で数少ない男性である彼の下着は、勿論『フンドシ』である。
「どしどし~ふんどしどし~♪」軽やかに鼻唄を口ずさみながら、明日の下着を
思案する、森近霖之助氏。通称『こーりんa.k.a褌』その日1日を共にする布には
並々ならぬこだわりを見せる男達を、幻想郷では敬意を持ってこう呼ばれる『フ
ンドシスト』と…
そんなフンドシストな霖之助氏が悩んでいた。
「明日は越中フンドシで、ちょっぴりワイルドな僕を魅せてみようかな?それと
も紅で情熱的に…イヤ、シースルーでセクシー路線を狙ってみるのも良いかもし
れない!…良し!」
どうやら、決まった様である。
いつも清潔なフンドシを着用するのがフンドシストとしての最低限のたしなみ。
例に漏れず、彼もフンドシの手入れには労を惜しまずに居た。
今日は週に一度の一斉干しの日。締めるフンドシが無いのだ。よって店は休業。
いつも開店休業みたいなモノだが…。
流石にノーフンドシでは人前に出れない。とは霖之助氏の談である。
「今日は魔理沙も霊夢も来ないから、ゆっくり出来るな…。ふぁ…」
心地よい麗らかな午後の日差しに思わず欠伸をしてしまう。
「乾くまでまだまだ時間がかかりそうだし…」
いつの間にやら船を漕ぎ始める霖之助氏。
いつも魔理沙や霊夢に売り物を略奪される不幸な星の元(ある意味幸福な)に生ま
れた彼である。不幸とは予期せぬ所からやって来るモノなのだ。
さっきまで快晴だった空が、徐々に曇りだしてきた。ポッ…ポツ…ザー………
「ん…、…!!!!!(声にならない悲鳴)」
突然の夕立ちに、夕立ちの域を軽く凌駕する大雨に、思わず絶句する霖之助氏。
急いで取り込んでみたものの、見事にフンドシはズブ濡れである。
「仕方無い、洗い直して部屋干しにしよう。本当はお日様の光をたっぷり浴びた
フンドシを締めたかったんだけど…」
こーりん洗濯中………


だがしかし、彼の不幸はこれだけではなかった。


―翌日――
「さぁ、締めるぞ~♪」
意気揚々と干してあるフンドシを手に取るが、見事に乾いていなかった様で。再
び固まる霖之助氏。
「ふぅ、こっちはどうかな?」
当然乾いてません。
「コレは?コレは?…マイガッ!!」
すべてのフンドシが生乾きと言う、フンドシストにとって、最悪な状況。フンド
シストとして生乾きで不衛生なフンドシなど締めるわけにはいかないのだ!!!……
病気になっちゃうし。
「くっ、な、何か締めるモノ…いやこの際履くモノでも良い…背に腹は変えられ
ない!」
そう言って霖之助氏が押入を開けると、押入から飛び出した大量の下着類が雪崩
となって彼を飲み込んだ。
その数、裕に数千枚…
「ぷはっ、酷い目にあった。…これだけあるんだ。きっと僕に合う下着があるは
ずさ。」


―こーりん下着捜索中……――


「無い、無い…。違う…、これも駄目!」
下半身全裸で下着類の山をあさっている様は、傍目に見るととても滑稽だが、当
の本人は至って真面目である。
「…これは流石に締める訳にはいかないよな。フンドシじゃないし…ん?」
締めるモノは無かった様だが、一筋の光明が差した。…もとい、魔が差した。
以前、永遠邸に住まう薬師から受け取った、とある物品。
俗に『SHIMAPAN』と言われる逸品である。
誰のモノかは書かなくても分かるだろうと思うが、尻の部分に穴の空いたそれを
手に取り、彼は思案する。
「履くべきか…、履かざるべきか…いっそ被るか…くっ、僕が何をしたって言う
んだ。ただフンドシを干してる間に寝ただけじゃないか。いつ何時仔猫ちゃんと
ナニがあっても良い様に毎日勝負フンドシを締めている僕の何がいけないんだ。
奮発して上質な絹素材なのに!」
…orzのポーズで理不尽な現実に対し号泣する霖之助氏。
まぁ、完全に自業自得なのだが。「…仕方ない、今日は1日コレで過ごすか。さす
がに『⑨には見えないフンドシ』なんてトンチは利きそうにないしね!」
どうやら履く事にしたらしい。
「フンドシの神、略してフ神よ。貴方の教えを破り、パンツを履く愚か者を…ど
うかお赦し下さい。」
そう、今から彼は禁忌を犯すのだ。フンドシストとして最もやってはいけない行
為。パンツを履くと言う禁忌を…――


「よ、良し。」
まずは前と後ろの確認から、穴が開いている方が後ろである。決して間違っては
いけない最初の関門。何処ぞのペンギンの尻尾は前にあるが、その穴から出す尻
尾は前には無い。出してはいけない。
更に右足、左足と順に通して、ゆっくりと布を引き上げていく…
下腹部を包み込む優しい肌触りに、若干の違和感と、月兎のショーツを着用して
いる事による興奮で、とある部分に血液が集中する感覚を覚えつつも、彼は着替
えを完了させた。
「こ、これは…良質なコットン素材が下腹部を優しく包み込んでくれる…褌とは
また違う趣が…」
下腹部に血液が集中すると同時に、ある種の脳内麻薬が分泌される。
『まだ時間はある…ハッスルしても良いんじゃないだろうか…』
頭の中の悪魔が囁く
『美少女の穿いた下着が、今僕の下腹部を優しく包み込んでいると言うこの現実
…』
『ここでイカなきゃ男として…こーりん(褌)として…変態として…(血涙)…』
「いや、僕はノーマルだから!」
数々の奇行を犯しておいて、まったくもって説得力に欠けるツッコミを頭の中の
悪魔にしてから
「くっ…やはり出来ない。するワケにはいかない!こんなモノを穿いているから
いけないんだ!」
下腹部を包み込む縞々模様の布をキャストオフし、再び全裸に戻る。
「他には…これは外の世界の踊り子が身に付ける為の服の用だな」股間の部分に
白鳥が付いたそれを手に取る。そして…やはり穿いてみる。
「こ、これは…!下半身から物凄い力がみなぎってくる!今なら何処へでも羽ば
たいて行けそうだ!!!」
股間に付いた白鳥が勢い良く天を向き、更に左右の羽が激しく羽ばたく。
「…何を言っているんだ僕は。これは…猿に育てられた密林の王の服か…」
そう言って次に手に取ったのは結婚当初はモデル体系で美人だったのに、今や激
太りの恐妻の尻に敷かれる、とある男の一張羅である…
他人の服、もとい下着を身に付けるなど、普段の彼なら決してしないだろう。
だが、褌が生乾きと言う現実が確実に彼の判断能力を奪っていた。…もう縞パン
穿いた時点で退路は塞がっているのだが。
「ふー、動物達が僕にパワーをくれてる様だ…」
もはや楽しくさえなってきているらしく、まんざらでもない様子だ。
「この身体の内側からみなぎって来るパワー、今なら誰にも負ける気がしない!
!」
帝国の戦士も四千年の歴史も、改造人間も吸血鬼もクローンも…全員まとめてか
かって来なさい!……とにかくそんな感じだ。
「…ふぅ、いけないいけない。流石の僕でも大切な部分を酷使する様なムササビ
飛行術は出来ないよ。そこまでして空を飛べなくても良いしね。次は…」
ゴソゴソ…
「…!これなら今日一日なんとかなりそうだ。」
そう言って次に取り出したモノはとある伝説の船大工の弟子であり、街のゴロツ
キをまとめる一家の親分…。コーラがパワーの源で身体の前半分がサイボーグの
あの人の海水パンツ…。
「なんてこった!まさに、『スゥーパァーッ!!』…って感じだ。」
何故か髪型もリーゼントっぽくなっている。これでコーラを飲んだらどうなって
しまうのか…
「なんて凄まじい力なんだ。流石は偉大なる航路に挑んだ百獣の王を造っただけ
の事はある!!…えと、次は……」
……
フ〇ンキーのパンツを脱いでから次に取り出したモノは…
「…これだけは締めまいと思っていたけど、流石にここまで来ると、締めざるを
得ないのか……。」
それは、その昔伝説となった超人が祖国の威信と己のプライドをかけて挑んだ闘
いにおいて装着した、時価四百万はくだらないと言われる伝説の化粧マワシであ
る。
でかい顔面…もとい邪悪の神すら『居反り投げ』で投げ飛ばす伝説のリキシの化
粧マワシである。…まぁ、バネ男にバラバラにされたり、ネジとケンダマの二人
に腹部を貫通されたり…とロクな目にあってなかったりする。とは言っても、文
字通りビッグボンバーされた二人に比べたら、その立ち位置は遥かに良いのだが
…。まさに、今まで装着したアイテムの中で最も危険(モストデンジャラス)なア
イテム。『化粧マワシ』―
幾つもの商品に触れて来た彼に備わったカンが告げていた。
見事なまでに神々しい姿の裏に潜む真の姿。
時価400万の、ある意味で呪いの装備
「付けたら大変な事になりそうだな…何か嫌なオーラも漂ってるし。いや、だけ
どなぁ…」
悩む霖之助氏。
「流石に僕には似合わないよ。うん。これが似合うのは妖忌殿位な者さ。」
そんなモノを装着しようモノなら、まず間違いなく命がいくつあっても足りない
様な目に合うだろう。流石に身の危険を感じたのか、化粧マワシを封印した。

………

――「……もう、駄目だ。フンドシが無いと…」
もうとっくに干してあるフンドシは乾いているのだが…。可哀想な事にこの男、
未だにそれに気付いていない。それどころかフンドシの替わりになるモノをまだ
さがしていた。
これまでに候補に上がった物品は…『月兎の縞パン』、『白鳥』、『密林の王者
の服』、『海パン』、『化粧マワシ』、『ばん〇ょうぱんつ』、『ぎゃるのぱん
てぃ』etc…彼にとってフンドシとはそれほどに重要なモノだったらしい。


―――既に陽は西へと傾きつつあるのだが、夢中になっていた彼はそんな事とは
つゆ知らず。
人目をはばからずに泣いた。下半身全裸で号泣した。
……相も変わらず店内は閑古鳥が鳴いているのだが。
「…クスン……もう寝よう。きっと明日には乾いているよ。おやすみ。」
いつも一緒に寝ている等身大人形を抱き締めながら、彼は部屋の灯りを消した。

……月灯りに浮かぶ彼の布団、腰の辺りが小刻に動いていたのは、きっと別のお
話。


―終―――
どしどしふんどし。はじめまして。こーりんが嫌いな訳ではありません。寧ろ大好きです。抱き枕の絵柄が誰かは、各自脳内保管の方向で・・・。
山犬
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コメント



0.520簡易評価
2.-30nanashi削除
ノーカンノーカンアウトアウト
8.-30名前が無い程度の能力削除
空気嫁
11.60名前が無い程度の能力削除
いや普通に面白かったですよ?
12.-30名前が無い程度の能力削除
はっちゃけてます
シモはこの程度なら許容されるのでしょうか(アウト?)
ただ面白おかしく読み進められる内容であったならば嫌悪感はないと思います
次に期待
14.30名前が無い程度の能力削除
下着ネタはセフセフ……
だと思うんだが、最後のはダメだろ。
18.40名前が無い程度の名前削除
ん~、ギリギリセーフだと思うけど……

それほそれとして、前半の褌選び→縞パン装着までは面白かったけど
その後が微妙にグダグダな展開で読んでてダレてきた。
最後もきっちりオチてないと思う。
もう1ネタ2ネタ入れて、話を転がした方がよかったかも。
19.-20名前が無い程度の能力削除
えーと…その物語の主人公って誰ですか?
名前は聞いたことあるけどそいつはそんなキャラでは無かったハズ。
25.-30禍を呼ぶ程度の能力削除
論外