Coolier - 新生・東方創想話

幼女

2006/12/17 12:11:46
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ある昼下がり。

私、十六夜咲夜はお嬢様とそのご友人、パチュリー様のテラスでのティータイムのお世話をしている。
「パチェ」
「何?」
「パチェは前からそうだけど、私とお茶しながら話すときでも本を読んでるのね。こういうときぐらい私の顔を見て話したらどう?まず私の話に集中してるの?」
「本を読むのには頭がいるわ。でもレミィと話すのには頭を使わないから集中しなくても大丈夫だし本を読みながらでも会話できるわ。」
「ひどい言われようですわ、お嬢様。」
「咲夜、会話ごときで頭を使うのは咲夜のような人間だけだわ。」
「まぁ、ひどいですわ。」
非常に和やかな雰囲気だ。

お嬢様は変わられた。こういう会話のときに気づかされる。

昔は、パチュリー様はお嬢様のことを「レミィ」なんて愛称で呼んでなかった。「お嬢様」と呼んでいた。
パチュリー様が「レミィ」と呼ぶようになったときは今でも覚えている(まぁそんなに昔のことではないのだが)

紅白巫女とあの魔法使いが館に初めて来てから少したったある日。お嬢様は図書館にチェスをしにいかれた。私も同行させられた。もちろんお相手はパチュリー様だった。知識人であるパチュリー様は強く、お嬢様はなんどやってもかなわない。私は不思議だった。お嬢様の運命を操る能力を使えば簡単に勝てるのではないか?でも負けていた。
「レミィのチェスは短絡的ね。子供みたい。」
あのときの私はその発言を聞いて電撃が走った。お嬢様にそんな口をきいてもいいのか?たしかにお嬢様の頭は子供だ。
「レミィだなんて愛称で呼ぶなんて生意気ね。チェスで勝ったぐらいで。それともあの生意気な魔法使いに感化されたのかしら?」
「悔しければ自分の能力を使えばいいじゃない。それとも本当は運命なんて操れないのかしら?」
「生意気ね!それなら次は本気で行くわ。私に勝てたら好きに呼べばいいわ。ただし私が勝ったら殺してあげるわ。」
「やすやすとは殺されないわ。」
まさに修羅場だった。だがお嬢様は負けた。能力を使わなかった。
「レミィはうそつきね。」
「誰も能力を使うなんて言ってないわ!」
お嬢様はそういって図書館を立ち去られた。そのときは満足げな笑みを浮かべていた。

お嬢様は寛大になられた。

ほかにも思い当たる出来事があった。
あの月の異変の時、私はお嬢様と異変を解決しに夜の幻想郷に飛び出した。
その時は私が夜を止めさせられ霊力的に余裕がなかったうえに、お嬢様が異変解決に乗り気だったから手を抜いていた。
月の人間と邂逅したとき私はお嬢様にこう言われた。
「咲夜、ここは手加減なしよ。」
私は内心ドキッとしたが
「今までの敵も手加減してないですよ。」
と瀟洒な笑みを浮かべておいた。

お嬢様が変わられる前だったら、私はずっと本気を出していただろう。それが生死に関わるからだ。

そうお嬢様が変わられる前.... あの紅白巫女と魔法使いがこの館に来る前までは、紅魔館には常に緊張とお嬢様への恐れが漂っていた。私もお嬢様を恐れていた。慕っていたわけでなく、外の世界から追い出された私は生きるためだけにこの紅魔館でお嬢様に仕えていた。瀟洒で完璧であることがこの館で生き延びる絶対条件だった。お嬢様の犬であることが。

強大な力への恐れ。それだけだった。人間に忌み嫌われようとも。

強大な力を持つもの、それは孤独でもあるのだ。私がこの館へ来て間もないころ、お嬢様はこう言っていた。
「私は不自由だ。この館に閉じ込められているようだ。太陽が私を密室に閉じ込めるの。」
お嬢様は無表情だった。それが恐ろしかった。
だが、あの日以来、お嬢様は無邪気な幼女のようになった。お嬢様はあの自由奔放な訪問者たちに触れて変わられたのだ。お嬢様は密室から解放されたのだ。今では日傘をさして外出されるし、こうやって屋根のついたテラスでティータイムをとられる。
そして私も変わった。パチュリー様も変わった。館がどこか和やかな雰囲気になった。

「パチュリー様ぁー。図書館にやつが侵入しましたぁー!」
私が昔のことを思い出していると、一人のメイドが走って報告に来た。
「美鈴は何してたの?」
「妹様と遊んでました。」
....自由になるのはいいのだが...。
「もっていかないでー」
パチュリー様は図書館に一目散に向かっていった。なぜか私は微笑んでいた。報告にきたメイドは不思議そうな顔をしていた。私はそれに気づくとこう言った。
「下がってよいわ、仕事場に戻りなさい。」

そう。わたしは完璧で瀟洒なメイド。何よりも今の紅魔館が大好きで紅魔館のメイド長であることを誇りに思う。

「パチェが行ってしまったわね。咲夜、私の話し相手になりなさい。」

美しい顔で命令する、強大な力を持つ永遠に幼い私の主、レミリア・スカーレット。

私は幼女の世話係....
始めまして。スカーレットな迷彩です。これまでは中国に追い払われる程度の能力でしたが最近は咲夜さんにやられます。紅魔館が大好きです。お嬢様が大好きです。
拙い文章ですがよろしくお願いします。
スカーレットな迷彩
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コメント



0.1040簡易評価
12.20反魂削除
格好いい咲夜さんと、幼女でも格好いいレミリア。
作者様の抱く紅魔館像、しっかり受け取りました。

技術面で少々。
会話文が終始単調なのが気になります。同じような語尾や言い回しで受け答えしてる場面が多く、キャラの個性が埋没気味に。やたら長ゼリが多いのも加わって、演劇台本をなぞっているかのように現実感が伝わってきません。
もっと日常会話っぽさを強く意識して、生き生きとテンポの良い、軽妙な会話を心がけてみて下さい。話にぐっと抑揚が生まれ、読み手が引き込まれていける作品になると思います。
あとルールという程ではないですが、会話文の末尾には原則、句点は必要ありません。

僭越ながら色々偉そうなことを書いて申し訳ありません。
今後も頑張って下さいませ。
13.無評価スカーレットな迷彩削除
>反魂様
妄想を具現化するのは難しいです。
反魂様の指摘を次の作品に生かしたいと思います
19.60名前が無い程度の能力削除
 >紅魔館が大好きです。お嬢様が大好きです。
 私も大好きですww
 あーなんか読み終わった時に和みました。
24.無評価スカーレットな迷彩削除
>あーなんか読み終わった時に和みました
どーもありがとうございます
これからはもっと精進します