Coolier - 新生・東方創想話

魔女達の饗宴

2006/12/06 06:15:23
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 ぱらぱらと、本のページを繰る音だけが響く。
 静謐にして静寂。そして何よりも精緻。そんな空気が満たされる場において、こつこつ、という靴音は、存在そのものが無粋とでも言おうか。しかしながら、足が生えていて、靴を履いているのなら、床に足を降ろせば靴音が鳴る。それは世の中の摂理であり道理であり、また同時に、当然の常識でもある。
 ――とまぁ、よくわからない言葉の羅列はここまでとしておこう。

「パチュリー様、アリスさん。お茶が入りました」
「ありがとう。そこに置いておいて」
「いつもありがとう。何だか悪いわね、私は基本的にお邪魔ものなのに」
「本を愛し、知識を探求し、智恵を蓄えようと研鑽をたゆまぬものは私の同志よ。アリス」
 謙遜したセリフを口にする金髪の少女に、視線を外さぬまま、紫色の髪を蓄えた少女が一言。そうして、二人の前には、そんなやりとりなど関係ないかのようにティーカップと、お茶請けとしてクッキーの載った皿が置かれた。
「今日はどのような魔法をお勉強中なんですか?」
「別に、これと言って目的はないわ」
「今、研究しているのは、いわば研究のために研究することに意味のある研究なのよ」
「哲学的ですねぇ」
 それってつまり、何の役にも立たないんじゃなかろうか、と彼女――この図書館にて司書をしている小悪魔は思ったが、一応、相手は自分の主人とそのご友人様である。無粋な物言いは控えるように、とのお達しを受けているため、お口にチャック。
「楽しいわ。こうやって友人がいると」
「本当。パチュリーの場合は、この図書館で一人で研究していたのでしょう?」
「そうね。あなたもそうでしょ? 家で、一日、ひがな」
「そうね」
「友人はいいものだわ。うちの吸血鬼は、事、本が苦手で」
「そうなの?」
「ええ。本を渡したら、途中で投げ出すか飽きて居眠りするかのどっちかだもの」
 それは意外、とつぶやいてから、彼女は――図書館の客人であるアリスは、ティーカップを手に取ると、その中身を一口した。
「小悪魔。これの続きを持ってきて」
「かしこまりました」
 そして、司書に注文を出してから、図書館の主、パチュリーも手元のティーカップに手を伸ばす。
「それにしても、アリスは礼儀正しいわね」
「そう? これが常識でしょう? 人の家に上がる時は、きちんと礼節を尽くす」
「その礼節の欠片もないのが、約一名、ほぼ毎日のように押しかけてくるからね」
「……ああ」
 その人物については、アリスも充分、心当たりがあった。つぶやいた声も引きつっている。とりあえず、それは忘れましょう、とばかりに話を打ち切って、彼女は本を、一度机の上へと戻す。
 見上げるような高さの書棚。端がかすんで見えない、本棚ばかりの通路。辺りに満ちているのは本の空気。そこは、永遠の知識と知恵の集積所。これからも、ずっと、その立場は変わることなく続いていく場所。
「……確かに、魔理沙にこの空気は似合わないわ」
「全くね。あれで、『お願いします』って頭を下げてきたら、まだかわいげがあるものを」
「本当よ。うちに押しかけてきて、『これ使わないだろ? じゃ、借りるからな』って、何冊の本を持ち逃げされたことか」
「いつか、誰かが教育してやる必要があるわね」
「ほんと。あれよ、パチュリー。一度、魔理沙の家に押しかけてさ、徹底的に家捜ししてやらない?」
「それは賛成。いつにしましょうか」
 と、少女二人の話題は、主に共通している人物の対処法へと移っていく。これで、二人とも、その人物と、なかなか良好な関係を築いているのだから、本当に人間関係というのはわからないものだ。
 話が盛り上がっている中、言われた本を持ってきた小悪魔は、その光景を見て思う。「憎さ余ってかわいさ百倍ってところでしょうか」と。本来なら、言葉の順番は逆なのだが、しかし、この光景を見ていると、むしろそちらの方が正しい使い方のような気がしたらしい。
 ――と。
「よーっす!」
「……来たわ」
「噂をすれば何とやら……」
 唐突に、図書館の大扉を破って現れる、話の話題の魔法使い。二人はそろってため息をついた。
「ん? 何だ、アリスもいたのか。珍しいなー。
 おっ、うまそうな紅茶にクッキー。私にもくれよ」
「魔理沙。その前に、何か言うことはないのかしら」
「ここは他人の家よ。土足で上がり込む道理を、まずどうにかしなさい」
「何だよ、固いな。パチュリーもアリスも意地悪だぜ」
「勝手に人のクッキー食べるな!」
 ひょいぱく、とクッキーを取られたアリスが声を上げる。さっとお皿を取り上げて、じろりとひとにらみ。しかし、魔理沙はそれに全く堪えた様子を見せず、「んじゃ、こっちだな」とパチュリーのティーカップから勝手に紅茶を飲んでしまう。
「……あなたね。もう少し、礼儀とか、常識とか、そう言う言葉を辞書に加えた方がいいのではない?」
「あるぜ、常識も礼儀もな。ただ、私の心得ているそれが、お前達のそれとはちょっとばかり違うのが問題だ」
 けけけけ、とでも表現しようか。そんな笑い方をする彼女に、二人は心底、大きなため息をつく。つくづく、困った友人を持ってしまった、とでも言いたげだった。
 ……しかし、実際問題、二人が、それほどこの相手を邪険に思っていないのは確実だろう。徹底して、相手のことが嫌いなら、構う必要はない。無視すればいいだけだからだ。それなのに、結局、あれこれと手出しをして口だししてしまう。それはつまり、二人にとって、この厄介な友人もまた、立派な友人であるという理由に他ならない。
「というわけでだ。パチュリー、今日も本を貸してくれ」
「断るわ」
「そんなこと言わないでくれよ。いや、今な? とっても面白い魔法が出来上がりそうなんだ。すごいんだぜ~、Gを完全に撃滅する魔法だ。完成したら教えてやるからさ。な?」
「それは確かに有用かもしれないけれど、あなたの場合、それは頼む態度ではないわ。額ずきひれ伏せ、とは言わないけれど、もう少し、自分の立場を考えなさい」
「やなこった。
 ま、別にいいんだぜ~? そんならいつも通り、実力行使だ」
「……そう言えば、魔理沙。あなた、ここに来る前に、美鈴さんとか咲夜さんは?」
「美鈴はマスタースパークで吹っ飛ばした。咲夜はスカートめくりで黙らせた」
「……咲夜さんって、そんなので撃墜されるの?」
「あの子、この頃、妙に乙女チックだから……」
「というわけで、問題なしだぜ」
 ありまくりじゃ、バカたれ、と言わんばかりの眼差しを向ける二人。
 しかし、この困った闖入者は、全く自分の非を詫びるつもりはないようだった。仕方ないわね、とがたんと腰を浮かす二人。
「お、何だ?」
「魔理沙。悪いのだけど、お引き取り願うわ」
「私たち、今、研究の最中なの。邪魔しないでちょうだい」
「何でだよ。何でアリスだけよくて私はダメなんだよ」
「アリスとあなたの違いを、よぉぉぉぉぉぉっく、理解してから言うのね」
 ぱりぱりと、二人の掌に魔力の光が点り始める。そして、その二人の目つきは、完全にマジだった。
 魔理沙も、さすがに足を引く。この二人が結託した場合、その実力は、とてもではないが自分にかなうレベルではないからである。とっとと帰れ。さもなくばぶっ飛ばす。そんな目つきの二人に、ついに根負けしたのか「あーもー、わかったよ!」と魔理沙は大声を上げた。
「本を貸してください、お願いします! これでいいのか!?」
「もっと誠意を込めて」
「……うぐ……」
「魔理沙、お姉さんは魔理沙がいい子だってわかってるわよ」
「誰がお姉さんだ、アリス!
 ……あ~……ったく。
 ……わかりました。本を貸してください。ここの本がないと研究が進まないんです。お願いします、パチュリーさん」
「……ま、いいでしょ。
 小悪魔、案内してあげて」
「はい」
「……絶対恨むからな」
「それが常識でしょ」
 小悪魔と一緒になって飛んでいく魔理沙を見送り、二人は再び席に着く。そうして、ぱらぱらと、本をめくり始める。静かに。だが、さっきまでのにぎやかさを、どこか残したままに。
「さすがはアリスね。魔理沙の扱い方を心得ているわ」
「そう言うパチュリーこそ。やっぱり、あいつには、きちんと睨みを利かせないとね」
「あら。私の目つきが悪いって言うの?」
「そう言うパチュリーこそ、私が年を取っているとでも言いたいのかしら」
 何やら、にぎやかな笑い声が響き渡る。
 本を手に戻ってきた魔理沙が「仲良さそうだな、お前ら」とつぶやくほどに。

 魔法使い三人の研究は続く。
『本を貸してもいい。だけど持ち出しはダメ。返さないから』とのパチュリーの言葉に、渋々、魔理沙も彼女たちの机についての読書である。
 そうこうしている間に、騒ぎを聞きつけて、まず、館の主であるレミリアがやってきた。続けて、スカートめくりにかんかんの咲夜がやってきて、そして同時に沈黙する。
「……何だか邪魔しちゃ悪そうな雰囲気ね」
「ええ……。ああ、憎たらしい……」
「いいじゃない、スカートの一枚や二枚」
「何を言うのですか、お嬢様。婦女子にとって、スカートは、常に鉄壁ですわ」
「あら、そう。今日はレースかしら?」
「おっ、お嬢様っ!?」
 がばっ、とスカートめくられ、下着を覗き込まれて乙女なメイド長がぺたんとその場にへたりこむ。「……変わったわね、咲夜。さすが、恋を知ると女は変わると言われるだけあるわ」と、なぜか感心するお嬢様。
 ともあれ、そんな珍問答はさておき、二人は机へと近づいていく。
「あら、レミィ」
「お邪魔させてもらってます」
「よ」
「よ、じゃないわよ、魔理沙。あとで勝負に付き合ってもらうわ」
「うるさいなぁ、咲夜。そんなら、お前も見られていい下着にすりゃいいじゃないか」
「お黙りなさい。……全く。あなたと違って、私は……その……」
「咲夜はおしゃれなのよ」
 見えないところも凝るのが主義だそうよ、とレミリア。その一言に、咲夜は顔を赤くして沈黙する。
「何をしているの?」
「研究よ」
「それは見たらわかるわ」
「なら、レミィも参加する? そっちに、まだ読んでない本があるから、読んで端的にまとめてくれると嬉しいわ」
 そう、パチュリーが視線で示すのは、傍らにうずたかく積み上がった本の山。一冊一冊の分厚さは百科事典もかくやというほどだ。それを見て、レミリアの頬に汗一筋。そして、それを見なかったことにしたのか、「ま、まあ、それはさておいてよ」と話を逸らす。
「あなた達、そう言うことをしていて楽しいの?」
「楽しいわ」
「……ふぅん。理解できないわね」
「そう言えば、どうして魔理沙まで大人しくここにいるのかしら?」
「あ、それはですね」
 咲夜の疑問に、小悪魔がかくかくしかじかと答えた。思わず、彼女が、へぇ、と声を上げる。そんな珍しいこともあるものだ、という瞳を魔理沙に向ける彼女。その視線を受けて、魔理沙は、不機嫌そうにかぶっていた帽子を目深にかぶり直す。
「確かに、パチェとアリスが手を組んだら、わたしでも敵に回したくはないわね」
「ありがとう」
「だけど、ふと思ったのだけど」
 ちんまりとした腕を組み、体とのバランスがちぐはぐな大きな頭をわずかにかしげて、レミリアは言う。
「パチェとアリスはどっちが強いのかしら」
「は?」
「え?」
「いえ、何となくね。
 二人とも、真っ向勝負で魔理沙とやった場合、やはり苦戦するでしょう? それに、魔理沙も、一対一なら逃げる理由もない。矛先を収めたのは、あなた達二人が結託したから。
 となれば、よ? 魔理沙はどちらに恐れをなしたわけでもない。あなた達に恐れをなした。そこから導き出される答えは一つ」
 すなわち、あなた達二人のどっちが強いのかしら、ということだった。
 その言葉に、二人は本から視線を外し、互いに見つめ合う。しばし――と言っても、だいぶ時間が過ぎてしまってからだが――してから、二人は肩をすくめ、
「別に、どちらが強いというわけでも……」
「でも、気にならないかしら? なれ合っているとはいえ、お互い、いつ、また敵になるかわからないのだし。相手の実力のほどを知っておきたいとは思わなくて?」
「それ……は……」
 言われてみれば、という視線をパチュリーに向けるアリス。一方のパチュリーは、下らない質問はするな、とばかりに本に視線を落としてしまう。
「小悪魔。あなたの目から見てどうかしら?」
「え? えっと、それは……」
 さすがに、ここで主人であるパチュリーの名前を挙げないわけにはいかない。さりとて、パチュリーのことだ。『私の友人を、私以下の存在に貶めるつもり?』とでも、後で因縁をつけてくるだろう。かといって、ここでアリスの名前を出したりしようものなら、それは彼女の精神と忠誠に反することにもなる。
 返答に窮している小悪魔を見て、ふぅん、とうなずいたレミリアは、次に咲夜へと視線をやる。
「あなたは?」
「そう……ですね……。私としては……」
 レミリアの友人であるパチュリーの名前を挙げないわけにはいかない。しかし、ここでアリスの名前を出さなければ、恐らく、パチュリーは怒る。もちろん、理由は先のような理由だ。
 やはり、答えに困る咲夜に肩をすくめ、レミリアは、最後に魔理沙を見た。
「……ま、そうだな。どっちがどっちってことでもないだろうさ。
 力と技、剛と柔、動と静。その両方の釣り合いが取れているなら、どっちだって強い」
「だそうだけど? あなた達の意見はどうかしら?」
「……まぁ、私は、パチュリーは強いと思うけど……」
「私も同じ意見ね。アリスは、私の知り合いの中では群を抜いて強いわ」
「じゃあ、どっちが強いのかしら?」
「……それは……」
「えっと……」
 お互い、沈黙。
 互いの名前を挙げるのは簡単である。しかし、ここであっさりと自分の名前ではなく、相手の名前を出してしまうというのは自分たちのプライドに関わる。どうしたものか、と困った二人に、ついにいらいらが頂点に達したのか、レミリアが叫んだ。
「もう、いい加減になさいな! ストレートに答えればいいでしょう!」
 それはお子様特有の癇癪なのだが、しかし、だからといってないがしろにするべきものでもなかった。
「そう……ね。パチュリーは……まぁ、もう少し、体を強くしたらいいとは思うけど……」
「私も、アリスは、もう少しだけ、芸術だけでは相手に勝てないことを学んだ方がいいとは思うわ」
「……何それ。私の戦い方にケチをつけるの?」
「そういうつもりではないわ。
 ……それに、アリス。あなたの言葉だって聞き逃せないわ。人の身体的特徴を揶揄するなんて」
「そんなつもりはないわよ。アドバイスじゃない」
「じゃあ、私だってアドバイスよ。それを素直に受け入れないと言うことは、あなたも、やっぱり、自分の欠点を認識していると言うことでしょう?」
「その言葉、そっくりそのまま、あなたに返すわ」
 何やら、雰囲気ががらりと入れ替わってしまった。
 互いに剣呑な眼差しを相手に送り、がたん、と席を立つ。蹴倒された椅子が床の上で騒々しい音を立てる。
「言ってくれるじゃない、パチュリー。私は、ちゃんとあなたのことを考えて言葉を選んだのに」
「それは私の言葉よ。私のアドバイスを受け入れたら、あなたはもっと強くなると言うのに」
「へぇ、そう。そう言う押し付け、私、大嫌い」
「あら、私も嫌いよ。あなたのそう言うところ。前々から。
 何かと言っては素直じゃなくて。無駄に虚勢を張っていて。無様なことこの上ないわ」
「言ったわね! この根暗引きこもり!」
「お黙りなさい! 友達いない強がり娘!」
「……あ、あの……お嬢様? 何だか、とんでもないことをしでかしたような気がしませんか……?」
「……うん。今、ちょっと後悔してる……」
 にらみ合いは、すでにいがみ合いにすら発展している。ここぞとばかり――というわけではないが、売り言葉に買い言葉。どんどん言葉の内容は、互いに辛辣なものになっていき、とうとう我慢が鳴らなくなったのか、アリスが、だんっ、と床を踏みつける。
「わかったわ! そこまで言うのなら、いいわよ! やってやろうじゃない!」
「面白いわね! この私を散々、侮辱した罪、身をもって知りなさい!」
 パチュリーも、片手で机を叩き、怒鳴り声を上げた。直後、けほけほと咳き込み、「そんな病弱お嬢様に何が出来るかしら?」とアリスが彼女を見下し、「他人を見た目だけでしか判断できない狭量な子がよくもまぁ」とパチュリーがそんな態度をせせら笑う。
「……ねぇ、咲夜。どうしよう?」
「……さあ」
「世の中、開けちゃいけないパンドラの箱ってものがあるんだぜ」
 魔理沙の一言は、実に的を射ていたと言うべきだろうか。
「勝負よ、アリス! 強い相手からは逃げ回るしかできない臆病者に何が出来るか、きっちり教えてあげるわ!」
「こっちこそ! 他人を見くびるしか出来ない、頭でっかちに教えてあげる! 世の中には、自分より強い奴がごまんといるってことをね!」
「その言葉、忘れないことね!
 さあ、あなた達、出て行きなさい!」
「ええ、ええ、言われなくても出ていくわよ!」
『ふんっ!』
 ――さてさて。どうしたものか。
 困りきった表情を浮かべているレミリアに咲夜、小悪魔。そして一人、飄々とした顔で本を読んでいる魔理沙。彼女たちを完全に無視する形で話は進み、アリスは全身で怒りを表しながら図書館を後にし、パチュリーはさっさとどこかへと去っていってしまう。
「……レミリア、反省」
「お嬢様、よい機会です」
「と言うか……仲のいい人達ほど、一度こじれてしまうと大変って言いますよねぇ」
 小悪魔の一言に。
 一同(一人除く)は、はぁ、と大きなため息をついたのだった。


「ああ、腹立つ!」
 家に帰ってきても、アリスの怒りは収まらない。そのまま一晩を過ごし、その間中、パチュリーに対しての文句や愚痴を人形達にぶつけ、人形一同からも『……アリスって怒ったら怖いよね』という印象を、再度、植え付けるに至ってしまうと言う状況の中。
「よう」
 ドアからではなく、窓からの来訪者。
「何よ?」
 ぎろりという擬音がしっくり来る眼差しで、その来訪者をにらむアリス。ちなみに現在は朝食の時刻。他人の家を訪れるには、ちょっと早すぎる。
「いやな、昨日は大変だったなー、って思ってさ」
「冷やかしに来たわけ? とっとと帰らないと痛い目を見るわよ」
 私は怒ってるの、と言わんばかりの一言。そんなもの、その姿を見れば誰だって察するのだが、悲しいかな、アリスは自分の状況に気づいていないらしい。
「で? お前、本当にパチュリーと一戦交えるのか」
 アリスの言葉などどこ吹く風で家に上がり込んできた魔理沙が言う。当たり前よ、とアリスは答えた。それが当然、とばかりに。
「あそこまで言われたんだもの。徹底的にぼっこぼこにして吠え面かかせてやる」
「出来るか? お前に」
「……どういう意味よ」
「パチュリーは強いぜ?」
 その一言に。
 彼女の勢いはくじかれ、そして、静かに収まっていく。
「……わかってるわよ」
「あいつは強い。それは間違いない。
 お前のように技に長けているだけじゃない。何と言っても、元の地力が、私たちよりワンランク上なんだ。私のようにパワーもある。そして、厄介なのが、ここだ」
 とんとん、と自分の頭を叩く魔理沙。
「あいつの智恵は、力も技も、それを凌駕する。何仕掛けてくるかわからないからな。
 そんな相手を前に、お前、本気で勝てると思ってるか?」
「……さあね。わかんないわ。
 だけど、負けるわけにはいかないのよ」
「何で?」
「何で……って……」
 先日のことを思い返すが、たった一拍おいただけで、その怒りも霧散してしまう。冷静になって考えてみれば、何を下らないことで怒っていたんだろうと、まず、自分を恥じる気持ちが最初に出てきてしまうのだ。
 ほっといてよ、とそっぽを向くアリスに、しゃーないな、と魔理沙は笑った。
「私がいいことを教えてやる。パチュリーに勝つ方法だ」
「……パチュリーに?」
「そうだ」
「……別にいいわよ。私は私だけの力で頑張るから」
「そう言うなって。人の好意は素直に受け取るもんだぜ」
「人の好意……か」
 本を読ませて欲しい、と頼み込んだ最初の日。パチュリーは『好きにすれば?』と素っ気なかった。それは、彼女の性格が関係する発言であり、当初は、大変、アリスもそんな態度に憤ったものだ。
 しかし、日々を過ごし、図書館に足を運んでいるうちに、相手にも、そして自分にも変化が現れたのは、しっかりと覚えている。
「……そうだね」
 きっと、パチュリーにとって迷惑だったこともあるだろう。それでも彼女は、アリスを断ることなく『好きにすれば?』と言い続けてくれたのだ。
 それは……恐らく、彼女の好意だったのだろう。
「よっし、そんじゃ、善は急げだな。
 あ、ちなみに、手伝いの報酬は請求するぜ?」
「好きにしなさいよ。それで? パチュリーに勝つ方法ってのは?」
「それはだな――」

「パチュリー様、意地を張ってないで、アリスさんに謝った方がいいですよ」
「何を言ってるの。どうして私が謝らなければいけないの」
 謝るのはアリスの方よ、とパチュリー。
 さて、こちらも、アリスと同じような状況に陥っているのは明白だった。片手に本を持ち、一見して普段通りの生活を送っているように見えるのだが、どうにも動作がぎこちない。今朝の朝食の時など、ぼーっとしていて、目覚ましのためのコーヒーに砂糖ではなくて片栗粉を放り込んだほどだ。
「……第一、アリスが悪いのよ。私のこと……」
「あれは、その場の勢いですよ。パチュリー様ほど聡明な方がそれを理解できないとは思えません」
「ええい、うるさいうるさい! とにかく、勝負を申し込まれた以上、私は負けるわけにはいかないのよ!」
「そうは言いますけどね?」
 と、小悪魔が、何とかこの頑なな主人の気持ちを動かそうと四苦八苦していた時である。
「よーう」
「ああ、魔理沙さん。申しわけありませんけど、本日は……」
「不景気な顔してるな、パチュリー」
「からかいに来たのなら、ちょうどいいわ。魔法の的になりなさい」
 普段より三割り増しほどで目つきの悪い視線を向けるパチュリーに、魔理沙は苦笑しながら肩をすくめた。
「いやな、パチュリー。実は、お前にちょうどいいアドバイスを持ってきたんだ」
「アドバイス?」
 その一言に興味が引かれたのか、わずかに顔を魔理沙の方へと向ける。小悪魔は『よけいなことしないでください』と口パクで抗議するのだが、魔理沙はそんなことを意に介さず、「実はだな――」と話題を切り出してしまう。
 もう、こうなってしまえば小悪魔の出番はない。彼女はため息をついてその場を後にする。
「お前、アリスに勝ちたいか?」
「当たり前よ。……まぁ、私と彼女の実力差ははっきりしているわ。当日は、徹底的にぼこぼこにして謝らせてみせるつもりよ」
 アリスとほとんど同じ事を彼女は口にする。そういうもんなのかねぇ、と魔理沙は首をかしげながらも「油断は禁物だぜ」と、おもむろに神妙な口ぶりで口を開いた。
「は?」
「確かに、アリスにパワーはない。だが、あいつの技は大したもんだろう?」
「……まぁ、ね」
 人形達を扱う多面的攻撃。
 それに、確かに威力はない。だが、死角からの攻撃、アリス本体との攻撃との搦め手。さらに、人形相互の連携など、言われてみれば油断できる攻撃手段ではないのだ。確かに、パチュリーとはいえ、真っ向から――バカ正直に正面からぶつかり合って楽に勝てる相手ではない。
「だろ? だからだな、お前にいい作戦を持ってきてやったぜ」
「……作戦?」
「そうだ。アリスに勝てる作戦だ」
「……ふぅん。どんな下心があっての話かしら」
「お? 見抜かれてるか?」
「当然でしょう? どうせ、それを教える代わりに本をよこせとか、そんなところでしょう」
 まあな、と彼女は悪びれもなく応えた。
 しかし、パチュリーは、『それならいいわ』と断ることもなく、「それで?」と話の続きを促してくる。
「……どういう腹づもりだ?」
「どういうもこういうも。
 私はパチュリー・ノーレッジとして、アリスに勝ちたいのよ。そのために、一分の隙もあってはならないわ。完璧かつ完全なる勝利を手に入れる」
「入れてどうする?」
「……さあ、ね」
「わからないのか?」
「わかりたいとも思わない」
「知識人としてはあり得ない発言だな」
「うるさいわね!」
 怒鳴ってしまってから、別段、魔理沙には非がないことに気づき、ため息と共に、視線だけで謝意を示す。まあ、いいや、と魔理沙は言う。「でだな――」と彼女の口が動くのを、ぼーっと、パチュリーは見つめていた。
 そう。
 アリスに勝って、どうする? 彼女に勝つことの意義は? 意味なんてないんじゃないだろうか?
 小悪魔の言う通り、ここは素直に自分の方から折れて頭を下げるのが正しい選択肢ではないだろうか。無駄に意地を張って、無駄に強がりを言って、そして無駄に争うことに何の意味があるというのだ。
 自分はもっと冷静なものではなかったのか? 何のために『智恵』の存在を名乗る? その意味は? 意義は? 言葉の定義は?
「……はぁ」
 考えても答えなんて出ないことだとはわかっている。元々、そう言うフレーズの追求というものに深い時間を費やすことほど無駄なことはないのだから。
 しかし――それでもだ。
 私は失敗したのかな、と彼女は思った。


 パチュリーが指定した日は、二人がケンカした日からちょうど一週間後である。
「あの……お嬢様? 何で紅魔館の中で行うのでしょうか」
「だって、パチェが『私は広い空間でも狭い空間でも戦える。だけど、アリスは限定空間の方が得意でしょ? なら、彼女にあわせるのもルールよ』って……」
「……片づけるの、私たちなんですけど」
「だってぇ……」
 最近、カリスマが急降下してきているお嬢様の言葉に、咲夜は頭を抱え、その場のセッティングをしたメイド達に「あなた達、今夜は貫徹だからね」と宣言した。当然、メイド一同、涙したのだが、それはともあれ。
「パチュリー、がんばれー」
 無邪気な応援をするフランドールに、ある意味、この場においての原因となった魔理沙、そしてはらはらしながら見守る小悪魔が、それ以外の観客である。
「逃げずに来たのね」
「あら、自分より弱い相手を前に逃げる理由なんてあるの?」
「その減らず口、すぐに黙らせてあげる」
 両者、すでに気合い充填、やる気満々、といった感じである。……もっとも、どちらも、その雰囲気にはどこか無為なものを感じさせるのだが。
「よーし、それじゃ、そろそろ勝負の開始だ」
 立ち上がったのは魔理沙である。
 そういうのはわたしの役目じゃないの? とぶつくさ文句を言うレミリアを尻目に、彼女は、帽子の中からごそごそと取り出したものを読み上げる。
「ルールは簡単。撃墜された方の負け。もしくは敗北宣言をしたら負け。
 基本勝負は弾幕。ただし、接近戦になったら肉弾戦もあり。まぁ、何でもありのアルティメットルールだな。ただし、相手の急所を狙ったりする反則技は不可。制限時間はなし。
 基本ルールは以上。そして、基本以外もなし。いいな?」
「いいわ」
「さっさと始めてよ」
「ほいよ。
 それじゃ、パチュリーVSアリス、魔女達のプライド勝負、スタートだぜ!」
『プライドはよけいよっ!』
 両者、息のあったツッコミを繰り出した。『あんた達、やっぱり仲いいんじゃない』と、その場にいる面々(フランドール除く)が思ったのは、もはや言うまでもないだろう。
「じゃあ、まずは小手試しね? これで落ちてくれないでね」
 まず、最初に動いたのはパチュリーである。アリスから距離を取り、高速の閃光弾を連射する。飛んでくる位置、角度、その全てがばらばらの不規則な配列で迫るそれを、アリスは最小限の動きで回避する。しかし、その直後、よけた閃光弾が炸裂し、辺りを真っ白な光で覆い尽くす。
「ちっ……!」
 攻撃がメインではなく、あくまで回避を誘った上での目くらまし。目を服の袖で覆ったからいいものの、直視していれば、間違いなく数秒間は視力を潰されていただろう攻撃に、アリスは舌打ちする。
 当然、パチュリーの攻撃がそれで終わるわけではない。
 その目くらましで相手の足を止めた上での本命弾――渦巻く火炎がアリスに襲いかかる。威力はあっても直線的な攻撃であるそれを、彼女はぎりぎりで回避。あくまで、アリスがよけられるぎりぎりの速度と位置で放たれたのだとわかる。なめられている。彼女は舌打ちし、回避からの攻撃に転じた。
 なお、その火炎は紅魔館の天井を直撃し、メイド達が絶叫していたりするが、ともあれ。
「行って!」
 放たれるのは無数の人形達。それらがアリスの指示を受け、別々に行動しながら空間に散っていく。
「ふぅん」
 アリスの力の媒体は、この人形達。それがわかっているパチュリーは、片手間に生み出した渦巻く光で次々に人形を迎撃していく。しかし、アリスは一体どこにそれだけの人形を隠し持っているのか、やがてパチュリーの迎撃が追いつかなくなるほどの量の人形が辺りに展開される。
 そして、一斉に人形達からの射撃。
 縦横無尽に走るそれを、彼女は必死に回避する。
「パチュリーの弱点は、機動力のなさ――さすがね、魔理沙」
 元々の体力不足に加え、図書館にこもってばかりで実戦経験の薄い彼女の移動には、とにかく無駄が多い。それを完全に読んだ上での、アリスの高速精密射撃は、まさに針の穴を通す精度でもってパチュリーを責め立てていく。
「……ふぅ。やっぱり、回避には限界があるわね」
 よけてもよけても攻撃は終わらない。迎撃に放つこちらの一撃も、周囲を機敏に飛び回る人形達には、この嵐のような攻撃の中で当てるのは難しい。
 いつしか自分は防戦一方。逆にアリスは調子に乗って、さらに攻撃を苛烈にしてくる始末。
「ちょっと思い知らせてやるわ」
 パチュリーが唐突に動きを止めた。それを訝しむアリスだが、このチャンスを見逃す理由はない。
 相手の回避が追いつかなくなるくらい、完全にパチュリーを囲んでの一斉十字砲火。
 だが、パチュリーの周囲に、次の瞬間に結界が展開される。無論、多少の結界なら突き破る威力で放っているのは言うまでもない。
 しかし、だ。
「……っ」
 アリスは、歯がみした。
 人形達の攻撃全てが彼女の結界によって遮断されてしまったのだ。
「あなたの弱点は、技に頼っているが故の、直線的攻撃力のなさね」
「多面的防御結界……。やってくれる」
 無数の六角形が組み合わさった、そしてその頂点に、魔力を統括してコントロールしていると思われる結合部を持った結界。通常の球形、もしくは平面結界よりも高い防御力を有していると判断するのに充分なそれの中で不敵な笑みを浮かべるパチュリーに、アリスはため息を一つ。
「やっぱり強いのね」
 今度は相手からの反撃である。
 上空から降り注ぐ雷の槍と、地面から突き上げる岩のつぶて、そして前方から飛んでくる、目には見えない風の刃の集中攻撃だ。
 雷撃と岩は、何とかよけられる。しかし、目に見えない風をよけるのは不可能に近い。加えて、その風の刃には突風という、行動制限のおまけつきだ。動きの鈍った彼女を、次々に風の鋭さが切り裂いていく。
「……まずいなぁ」
 このままよけ続けていては、完全に攻めの機会を逸することになる。なお、今も人形達による攻撃は続いているのだが、パチュリーの指摘する通り、一撃の攻撃力に劣るアリスでは、その結界を貫くことは出来なかった。これをチャンスとばかりに、パチュリーの攻撃は激しくなるばかり。このままでは追い込まれる。
「……仕方ないっ」
 アリスがここで前に出た。
 一気に距離を詰めてくる彼女に、わずかに驚きながらも、瞬時に冷静さを取り戻したパチュリーが、何やら結界の中で術を紡ぐ。
 回避行動に出るアリス。パチュリーの反撃を警戒したのだろう。
 だが、それすらも先読みしていたパチュリーの術が、彼女の移動先で展開する。
「……っ……!」
 広域に広がった雷のネットに自らつっこみ、伝わってくる雷撃のダメージに顔をしかめながら、アリスの指示が下る。
 散開して攻撃を仕掛けていた人形達が一カ所に集中していく。さては、集中攻撃で防御を破るつもりか。それを見て取ったパチュリーが、逆に一カ所に集まったことで撃墜しやすくなった人形達に攻撃を仕掛ける。
 放たれる魔術の連続に、人形達が弾けていく。それすらも恐れず、やがて、人形の集中砲火が始まった。その時には、何とか、アリスも雷の網の束縛から逃げ出しているが、感電のダメージが癒えることは、しばらくないだろう。動きの鈍った彼女へと、パチュリーの放っている自動制御の魔術が襲いかかる。
「アリス、そろそろ降参したら?」
 結界の中で不敵に笑うパチュリー。
 人形の攻撃を、さらに無数に重ね合わせた結界で弾き、自分の絶対的優位を確信しているのだろう。実際、誰の目から見てもアリスの劣勢は明らかだった。
「そろそろ終わりかしら」
「どうでしょうか」
 レミリアは、『さすがはパチェね』と言わんばかりの口調。一方の咲夜も、レミリアのそんな言葉にコメントしつつ、次から次へと壊されていく部屋の有様にため息をつくばかり。ちなみにフランドールはきゃっきゃとはしゃぎ、小悪魔は「……本当に意地っ張りなんだから。二人とも……」と頭を抱えている。
 ただ一人、魔理沙だけが、事をじっと見つめている。
「降参? バカなこと言わないでよね」
 アリスの指示を受けて、人形達の間に、一瞬だけ一気に魔力が集中した。そして、発射。それまで放たれていた攻撃よりも遙かに強力な威力を持つそれに、さしものパチュリーも回避行動を取る。直撃を受ければ、重ねた結界すら貫通されると判断したのだろう。
「人形制御用の魔力を攻撃に転換……。なんてことを……」
 人形そのものを魔力のエネルギータンクとし、動かすことに必要な、最低限のエネルギーすら攻撃に注ぎ込む、いわば捨て身の攻撃。それをこの状況であっさりと行うというのは、見事と言うしかない。敗北を覚悟したものの破れかぶれ? いや、違う。
「しまっ……!」
「パチュリー、あぶなーい!」
 直後、回避したパチュリーめがけて、人形達の放った攻撃が直撃する。
 一体、今、何が起きたのか。
 結界を完全に崩され、さらに攻撃の余波によろめくパチュリーが見たのは、一体の人形だった。
「あいにくと、結界くらい、私だって扱えるのよ」
「鏡面反射……! それ、私との研究の……完成させていたの……」
 そこにいたのは、一体の人形。他に何がいるわけでもない。だが、その人形の手には、直径三十センチほどの鏡のような物体があった。それがきらきらと光を放っている。
 ――パチュリーがよける方向とよけるタイミングを完全に操った上での、対角線上に配置した反射器による、不意を突いた奇襲攻撃、といったところか。
 パチュリーは自分を叱咤する。攻撃をよけたことで、そして、自分が有利に進めていた戦いの中で、完全に慢心していたことを。
「伊達に、技巧派は名乗ってないわ。
 ……ま、それに、このレベルのは一度使えば壊れてしまう安物だから、一発逆転にしか使えないっていうのが欠点だしね。チャンスは逃さない」
 人形が抱えていた鏡が、粉々に砕けて散った。
 だが、アリスが得たものは大きいだろう。パチュリーの結界を崩しただけでなく、彼女の集中を途切れさせることによって、放たれていた魔術の全てを消失させたのだ。
 ここで、一旦仕切り直し、といったところか。
 二人の距離が離れていく。追撃のチャンスを、アリスは持っていたものの、攻撃に使っていた人形の全てが使い物にならなくなってしまっていたため、勢いを維持することが出来ず、一方のパチュリーも、展開していた魔術全てを無為にされ、新たに攻撃の手段を練り直さなくてはいけなくなったのだから。
 充分に距離を取ったところで、再び、二人は攻撃を開始する。
 パチュリーの行うのは、徹底した牽制射撃。アリスの周囲で炸裂し、小さな散弾となって襲いかかるもので彼女の動きを封じ、ラインを維持しながらの足の速い一撃で迎撃を狙う。一方のアリスは散弾の回避に精一杯。自分を狙ってくる高速の一撃をよけるのには体が追いつかず、スカートなどがそれに触れて黒こげとなる。
 行けるか? パチュリーはそう思いながら、攻撃を連射する。
「……とはいえ、安物と言ってもね。
 ねぇ、パチュリー。知ってる? 私の座右の銘」
「あら、何かしら」
「質より量」
 アリスの額を狙って放たれる閃光が、次の瞬間、澄んだ音を立てて弾かれた。そればかりではなく、弾かれたそれがパチュリーを狙って帰ってくる。
「……へぇ」
「廉価版ならいくらでも」
 新たに用意された人形は五体。数こそ少ないものの、それらの手には、パチュリーの結界を破るほどの魔力を反射する例の反射鏡が用意されていた。
「さっきのものより、ずっと質は落ちるから、これで相手に決定打を与えることは出来ない。
 でもね、威力さえ絞れば、都合十回程度なら、充分使用に耐えるのよ」
「……あら、そう」
「さあ、行きなさい。あなた達」
 五体の人形が、一斉に宙を舞った。
 それらが動く。視線だけで、パチュリーはそれらを追いかける。
 ――違う。
 真っ先に感じたのはそれだった。
 人形達の相互連携。攻撃の精密さ。どれをとっても、最初に仕掛けられた攻撃には劣っている。これは一体? 相手の動きの稚拙さに戸惑いながら、しかし、パチュリーは苦戦を免れず、舌打ちを一つ。
 人形達が手にした鏡は、お互いの放つ攻撃を反射させる。連携が、それほどなってないため、最初のように針の穴を通すような正確さで攻撃が反射され、あらぬ方向から襲いかかってくると言うことは少ない。だが、言ってみれば、光の乱反射に近いものがあるだろうか。とにかく相手の攻撃を予測するのが難しい。
「あなたの攻撃は、正確故に読みやすい……」
 だが、これは逆に読みづらい。
「何をしたのかしら?」
「さあ?」
 アリスは両手を、軽く上に掲げるように、そうして小さく肩をすくめる。
 ――それで、パチュリーも気づく。
「そうか……」
 恐らく、アリスは、自分の手で人形達を操るのをやめたのだろう。あくまで、人形達に仕込んだ『性格』という名前のプログラムに従って、彼女たちが動かしているのだ。自分自身を。
 アリスは、自分の人形一つ一つに名前を付け、それぞれに違う性格をインプットしていると聞く。ならば、これらが見せるのは、人形達の、言ってみれば『個性』。決してあり得ない、人格という名の美しいアルゴリズム。それが、人形達を動かす原動力となる。
 傍目に見れば完全なアットランダムにしか見えない攻撃だが、それでもアリスにはわかっているのだ。次に、どの人形が、どのタイミングで、どのような攻撃を行うか。なぜなら、彼女がこの人形達の『親』なのだから。
「……考えたわね」
 こちらからはてんでばらばらにしか見えない攻撃でも、アリスから見れば、完全に予測済みの攻撃。故に、パチュリーが、次、どのように動くかを、アリスはある程度予測することが出来る。今度は、完全に立場が逆になったというところか。
「しかし、芸術的だわ」
「ありがとう。嬉しいわ」
「こういう攻撃を仕掛けられるというのは、やはりあなたの個性ね」
「ええ」
 その個性溢れる攻撃は、確かに美しかった。
 撃たれる。よける。次の瞬間、背後からそれが飛んでくることもあれば、全くあさっての方向に飛んでいって壁や天井を崩したり、「ふにゃぁぁぁぁぁ!」「お、お嬢様ぁぁぁぁぁぁ!」とレミリアを直撃したりもした。それすらも、アリスにとっては、全てが予測の範囲内。彼女というコンダクターによって描き出される戦いのリズム。
「……楽しいわ」
 少しだけ、パチュリーは笑った。
 だが、次の瞬間、彼女は表情を引き締める。
「だからといって、やられっぱなしと言うのも癪に障るのよ」
 天井に向かってかざした掌から、真っ白な閃光がほとばしる。
 アリスが目を、わずかに覆った瞬間、部屋中を閃光が満たし――それが消える頃、空中を飛び交っていた人形達が全て撃ち落とされていた。
「……なるほど。一点集中の攻撃なら、あの子達が持っていた反射鏡が弾くけれど、広範囲を焼き尽くすなら関係ない……か」
「そう……さすがに疲れるから、あんまり使えない大技だけど」
 苦しそうに笑いながら、パチュリー。元から体力がない彼女にとって、大技の行使というのは、それだけで苦痛なのだ。アリスにはわからない苦しみである。
 わずかにアリスも表情をゆがめる。彼女が気丈に、その場に立っているのを見るのが辛いのだろう。だが、戦いを前に油断は禁物。そして、情に負けてはならない。アリスは、そんな自分を振り払い、冷徹な表情へと、顔を戻す。
「……さて。お互い、手は出尽くしたようね?」
「そのようね……」
「じゃあ、どうする?」
「純粋な実力勝負よ」
 再び、始まる。
 パチュリーは、さすがにこれまでの術の行使で疲れがたまっているのか、アリスという存在そのものを集中的に狙う小技で攻撃を仕掛ける。小技とはいえ、当たれば大ダメージは免れない威力があるのは、もはやさすがと言うしかないだろう。
 それを回避しながら、アリスは前に出る。手持ちの人形はほぼ出尽くし、得意技としている包囲攻撃が使えなくなっているのだから、パチュリーが完全に回避できない距離へと移動し、一撃必殺の攻撃を放つしかないというのが彼女の本音である。
 無論、パチュリーがそれを許すわけもなく、近づけば近づくほど攻撃が苛烈になる。たまらず、一旦距離を取り、再び別角度からのアプローチ。斜め方向から、フェイントをかけつつの突進に、パチュリーの対処がわずかに遅れ、アリスは相手の懐に飛び込むのに成功する。だが、刹那、アリスの眼前をかすめていくものが一つ。
「至近距離専用の迎撃魔術……!」
 この期に及んで、こんなに技術を使うものを放てるとは。
 上空から突き刺すように降ってくるそれらを何とか回避しながら、アリスも奥の手を取り出した。スカートの裾から滑り落とすように取り出されたのは二本の剣。それらを、彼女は空中めがけて放り投げる。
「剣は手に持って使うものよ、アリス」
「そうね。普通の剣ならね」
 アリスの手から離れた剣は、そのまま宙を飛び、空中に停滞していた――恐らく、アリスの死角を計算して作り出されていたのだろう、一抱えほどの魔力球を一閃する。
「……へぇ」
「さあ、行きなさい!」
 パチュリーの攻撃を打ち破った剣が、そのままの勢いを維持しつつ、今度はパチュリー本人に襲いかかった。
 宙を縦横無尽に飛び交う二本の刃。射撃系攻撃とはひと味違った回避を要求されるそれは、戦い慣れしていないパチュリーにとっては、確実に脅威だった。ついによけきれない一撃が、彼女のかぶっていた帽子を飛ばす。
「何も人形は人間の形をしていなければならないというルールはないわ」
 これもまた、アリス製作の『人形』なのだろう。剣という媒体を持った、人の形を逸したもの。しかし、彼女の術によって操られる、まごうことなき『人の形』。
 一度、パチュリーはアリスから距離を取った。
 剣にどれほどの剣術を仕込んでいるのかはわからないが、少なくとも、刃の届く範囲で戦っていてはやられると判断したのだ。アリス本人からの射撃もよけながら、何とか剣の範囲を脱したパチュリーは、振り返りざまにアリスに向けて右手の平を広げた。
 その瞬間、空中を飛び交っていた剣が動きを止め、そのまま落下する。床に落ちた刃は、その上で澄んだ音を立てて砕け散る。
「……ちっ」
「あなたの扱う人形には『性格』がある。言うなれば、こちらの魔力の干渉をはねのける防壁がね。
 だけど、それにはないのでしょう? あなたが指示した通りに、無線で動く。その程度のものに過ぎないのなら、あなたの魔力干渉を断ち切ってやれば、ただのゴミよ」
「……ほんと、冷静よね」
「ええ。魔法使いだもの」
「そろそろ、本気で、こっちも手がなくなってきたわ」
 力押しではパチュリーに勝てない。手持ちの札は全部出し尽くした。
 真っ向からのぶつかり合いなら、まだまだパチュリーに分があるだろう。疲れを顔ににじませているものの、アリスの操っていた『剣人形』を『破壊』してしまえるのだから。
 それならば――もはや、これしかないか。
「行くわよ!」
「かかってきなさい!」
 展開される無数の魔術の術式。それらが迎え撃つ中へと、アリスが果敢に飛び込んだ。放たれる無数の攻撃をよけようともせず、突っ込み、すれ違いざまにパチュリーへと両手に巻き付けた糸を投げつける。
「こんなもの!」
 それらを片っ端からパチュリーは撃墜するが、まるで蜘蛛の糸のように広がったそれを完全に断ち切ることは出来ず、ついに何本かの糸に絡め取られてしまう。
「さあ、大人しく、私の言うことを聞きなさい!」
「誰がっ!」
 人形達を操る際に使う魔術の繰り糸。そこから伝わるであろう、『制御』の術は、恐らく、生き物すら自己の支配下に置くことが出来るのか。
 自分の体を絡め取ったパチュリーは、糸から伝わってくる『意識』をはねのけるべく、魔力を拡大する。
「この糸はそう簡単に切れないわよ。魔力を持った石を特殊な手法で錬成して糸にする――最後の切り札なんだからね」
「ああ、そう。それなら、返し技もよく通用しそうだわ」
「くっ……!」
 糸から送り込まれてくる、強烈な『返し技』。ともすれば意識を丸ごと飛ばされそうな衝撃に、アリスは歯を食いしばる。
 ――端から見れば、空中での、ただのにらみ合いに過ぎないそれは、しかし、まさに手に汗握る激闘の終結にふさわしい力の応酬だった。
 両者、全く引かず、何とかして相手を叩き伏せようとしている。制御を離れて暴走を始めた魔力が辺りでぱちぱちと弾け、時たま、激しい衝撃となって紅魔館の壁を崩す。
 そのにらみ合いが、どれほど続いただろう。
 両者が顔面蒼白になり、おびただしい量の汗を額に浮かべ、息を切らし――、
「そこまで!」
 魔理沙の声がかかった瞬間、ふっ、と二人が意識が遠のくような仕草を見せる。
 しかし、それでも二人は膝を折ることはなかった。なお、にらみ合いを続ける二人の間に割って入った魔理沙が、彼女たちを繋ぐ糸を箒で断ち切る。
「それ以上続けたら、アリスは両手の指が吹っ飛ぶぞ。パチュリーは魔力の使いすぎで、下手したら一生ベッドの上だ」
「……わかってるけど」
「負けられない……」
 事実として、アリスの両手の指は、残らず、糸を巻き付けた部分が黒こげになっている。一方のパチュリーは、心臓を抑えながら、苦しそうに息をしているのだ。確かに、誰かが止めなければ危ない状況であると言える。
「充分だろ、お前ら」
「だけど……」
「お互い、強さがわかったんじゃないのか? お互いの」
「……」
 その一言に。
 最初に、戦場を離脱したのはアリスだった。
 続けてパチュリーが彼女と一緒に床へと降りて、そのままへたり込む。疲労困憊と言った様子の二人は立ち上がることも出来ず、大きく息をつくばかりだ。
「……結局、こういうオチなのね」
「まぁ……予想通りだったけどね」
「何、それ。どういう意味よ、パチュリー」
「どういう意味もこういう意味も、私とあなたが真っ向から真剣勝負をしたら、どっちかが死ぬか、お互いが死ぬかのどっちかでしょ」
「……ま、それもそうね」
 これがいい例だ、とパチュリー。
 それから……何となく、笑みがこぼれた。
 小さな笑い声を二人はそろえ、そうして、ようやく、お互いの顔を見る。疲れ切った表情の中に、どこか晴れ晴れしたものを浮かべている二人は、しばらくぶりに互いの手を取った。
「やっぱり強いじゃない、パチュリー」
「ええ、当然。でも、あなたもかなりのものよ。まぁ、私には及ばなかったけどね」
「またそう言うことを言う。
 でも、そう言う自信家なところ、嫌いじゃないわ」
「私も、あなたのそう言うところ、好きよ」
 静かに。
「……ごめんね」
「こっちこそ」
「言い過ぎたわ」
「私もよ。礼儀と礼節は、私たち、魔法使いが一番重んじなければならないものなのにね」
「ほーんと。やんなっちゃうわね」
「全くよ」
 互いに、そんな、冗談とも本気の言葉ともつかない言葉をかけあって。
 そうして、笑う。
「……結局、何だったの?」
「雨降って何とやら、ですわ」
「お姉さま、お尻大丈夫ー?」
「……うう……大丈夫じゃないわ……」
 ――かくして、二人の魔法使いの戦いは終局を迎えたわけである。
 結局、最初から意地の張り合いに過ぎなかった戦いは、その意地を張り合う理由さえ消えてしまえば、戦いの意味すら失われてしまう。意味のない戦いをすることほど、彼女たちのポリシーに反するものはないのである。
「やー、よかったじゃないか」
「ええ、そうね」
「まぁ、魔理沙の心意気には、今回、感謝してるわ」
「あら、どういうこと? アリス。あなたも、もしかして魔理沙にアドバイスをもらったのかしら」
「あなたも、ってことは、パチュリーもなの? 道理で、私の弱点をよく知っていると思ったわ」
「はっはっは。いやぁ、両者に公平に、が魔理沙さんの信条だしなぁ」
 そう言って笑う魔理沙の後ろから走ってきた小悪魔が彼女を押しのけ、「大丈夫ですか? パチュリー様」とパチュリーに駆け寄る。大丈夫よ、と笑うパチュリーと、「私の心配はなし?」と冗談を言うアリス。そして、よろける魔理沙――というところで。
 ――ごとん。
「……ごとん?」
「あ、まりさー、なんかおちたよー」
 フランドールが指摘したものを見て。
 ――アリスの表情が硬直した。
「それ……私の家にあった……」
「……あ、いや、これは……」
「お母さんから『大切にするのよ』ってもらった魔力石……何で魔理沙が持ってるの!?」
「い、いや、お前が『お礼なら好きにしろ』って言ったから……」
「あっ! ちょっと、魔理沙! その本っ!」
 よく見れば、魔理沙の帽子の一部に穴が空いていた。恐らく、アリス達の攻撃の流れ弾がかすったか直撃したかしたのだろう。
 先ほどまでへたり込んでいたのはどこへやら。神速を思わせる速さで立ち上がったパチュリーが、彼女の帽子を取り上げる。
「やっぱりっ! 苦労して手に入れた魔法書じゃない!」
「だ、だって、お前、『好きなもの持って行け』って……!」
「……魔理沙」
「あなたね……」
 ゆらり、と二人が立ち上がる。背後に『ごごごごごごごご!』という擬音と共に立ち上る炎をともなって。
「お、おい、ちょっと待て! 私はただ、アドバイスに対する正当な報酬を……!」
「……そう言えば……」
「魔理沙、あなた、言ったわよね?」
『下心があってアドバイスする、って』
「うぐっ……!」
「……へぇ、そういうこと」
「私たちを仲直りさせようとか、そういう意図は全くなしに」
「単に、私たちの所からめぼしいものをかっぱらうつもりだったの」
「ち、ちょっと待て! 誤解だ! 私は、お前達がケンカしているのを見ていられなくて……!」
 慌てる魔理沙を尻目に、二人の魔法使いは言う。
「ねぇ、パチュリー」
「ええ、アリス」
「あと一発くらい、行けるよね?」
「一発と言わず、十発でも百発でも」
「うふふ。よかった。私もなの」
「それじゃ――」
「そうね」
 完全に、顔を青ざめさせた魔理沙へと向かって。
 二人は、ゆっくりと手を振り上げる。
「だ、だからぁっ!」
「問!」
「答!」
「わ、私はただ、純粋にお前達のことを心配してぇーっ!?」
「無!」
「用っ!」
『星の彼方まで吹っ飛んできなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!!』
「ふきゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


 その時、放たれた力の放出は、幻想郷のどこからでも確認できるほど、それはそれは凄まじいものだったという。高さ数キロに渡って立ち上った七色の光の柱は幻想的な美しさと共に、どこか禍々しさも兼ね備え、それを見た巫女はつぶやいた。
「……また何か悪いことが起きないといいけどね」
 無論、そのつぶやきは、ある意味では大正解なのであるが。
 その七色の光の中、見知った人物が吹っ飛ばされていくのを、その後、何となく確認してしまって、巫女はとりあえずそれを見なかったことにしたのだった。



「ねぇ、パチュリー。そっちの本、貸してくれない?」
「ええ、いいわよ。アリス、その理論書、解読できた?」
「もちろん」
「さすがね。やっぱり、さすがは私の友人だわ」
 それから数日も経たないうちに、図書館内では、いつものように二人が協力して研究に当たる姿が目撃されたという。やはり、二人とも、どこか以前よりも仲良くなった様子を漂わせながら、のんびりと、それでいて緻密に研究を重ねて。そして完成した研究の試す相手はと言うと、
「魔理沙。本、追加で持ってきて」
「うぅぅ……何で私が滅私奉公させられなきゃならないんだ……」
「当然でしょ。これくらいで罰が終わるのだから、むしろありがたく思ってもらいたいわ」
「人のこと、博麗大結界の彼方まで吹っ飛ばしておいてよくも……」
『何か言った?』
「言ってませんっ! 持ってきますぅっ!」
「……魔理沙さんは、将来、どっちにしろ尻に敷かれること確定ですね」
 その様子を眺める小悪魔は、一人、つぶやき。「……ま、どうせ、当分はこのままですね」と続けるのを忘れなかったのだが。

 今回の騒動を経てわかったのは、アリスとパチュリーの絆の深さ。魔理沙は人を出し抜けるような人間ではないこと。
 そして――、


「ねぇねぇ、あなたはかっこいいレミリア様とへたれてるレミリア様、どっちが好き?」
「ん~、どっちも好きだけど、へたれてるお嬢様はかわいいわよねぇ」
「ほんとよね~」
「ああ、お嬢様だっこした~い」
「わたしも~」

 ――と、絶賛、カリスマ下降中のレミリアの存在なのであった。
ア・パ:『めでたしめでたし』
魔:「めでたくないぜっ!」
レ:「めでたくないわよっ!」
haruka
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コメント



0.4560簡易評価
34.100無梨削除
…はっ!? 乙女な咲夜さんに心奪われていたらいつのまにか終わっていた!!
つまり、何が言いたいかというと、

>「あと一発くらい、行けるよね?」
「一発と言わず、十発でも百発でも」
「うふふ。よかった。私もなの」

いやらしい
36.90rino削除
>お口にチャック

か、かわいい!
39.無評価CACAO100%削除
>カリスマ下降中のレミリア

総じて之をヘタレミリア化現象と言う
40.90CACAO100%削除
点数入れ忘れ OTL
48.90名前が無い程度の能力削除
良かったです。
49.80名前が無い程度の能力削除
素晴らしいガチバトルでした。
たった一拍→泊では?
52.80眼帯兎削除
二人は仲が良いですね……読んでいてスッキリしました。
そして魔理沙はやはりこういう役割が似合っていますね。

それにしてもへたれているレミリア様は可愛いな。
64.80名前が無い程度の能力削除
魔理沙の2人へのアドバイスを考えるに、アリスとパチュリーに機動力と火力を兼ね備えた魔理沙が加われば完全無欠ということですか…
67.100名前が無い程度の能力削除
見なかった事にする巫女が素敵。
79.100時空や空間を翔る程度の能力削除
アリスとパチュリー
仲良くケンカして。
80.90名前が無い程度の能力削除
小悪魔の無意識ながらの活躍に拍手
87.無評価突っ走る程度の能力削除
な、長い・・・・・

2/3ていどで46~;;
94.100名前が無い程度の能力削除
よかたー
96.100名前が無い程度の能力削除
おもしろかったですw
104.100名前が無い程度の能力削除
読んでいてとても楽しかったです。
109.100名前が無い程度の能力削除
イイネ
116.90名前が無い程度の能力削除
七曜と七色、きっと相性良いよね