※色々なSSからネタが続いておりますが、わからなくても問題は無いので気にせず読んじゃってください。
先生すらも走ると言われている12月。
今月は永遠亭にとっても忙しい月だ。
永遠亭の中も一通り綺麗にしないといけないし、永遠亭で作るお餅も今が一番売れ時。
12月~正月過ぎくらいまで続くイベントの準備をするウサギ達の様子を眺めながら、朝の遅い食事を取っていた永琳も自分の研究所に戻って研究所の掃除を始めた。
他の部屋はウサギたちに任せておいてもどうってことはないのだが、こと研究所に関しては自分の手でやらないと後が怖い。
いつだったか忘れたが、めんどくさいので他のウサギに命じて研究所の掃除を任せたところ大切な薬草の一部が間違った所に置かれてて使用不可となり、摘み直すのに3年ほどかかったこともある。
そんなこともあったので、研究所の掃除は自分。それから、一人では大変なので研究所と研究のことを良く知っている優曇華の二人で行うことにしていた。
軽く、はたきやら箒やらの用意をして優曇華が来るのを待っていると、結構急いだ様子で息を切らしながら研究所まで駆け込んできた。
「永琳様、おはようございます」
「おはよう、優曇華。それじゃあさっさとはじめちゃいましょうか」
「それで、私は何をすれば?」
優曇華の問いに答えて周りをざっと見渡すと床に散らかった本やらなにやらが目に留まった。
「そうね。まずは床掃除をお願いできる? 私はテーブルの実験道具を仕舞っちゃうから」
優曇華と作業の打ち合わせを軽くした後、掃除を開始した。
ビーカーやフラスコのうち、使わない物をしまい、年間を通して作っている薬の一部は一旦機械を停止させて埃等を取り除く。
年間を通して作り続けていると機械に多少の不調等が起きたりするので機械の整備もしておく。
慣れた手つきで床掃除を進めている優曇華の隣で、自分以外には使えない道具やらといった物を手入れしていく。
そうして3時間ほど経っただろうか?
優曇華が私のテーブルの下に入ったきりでてこなくなった。
テーブルの下も確かにそこそこ散らかってはいるけど、ちょっと時間がかかりすぎだ。
気になってのぞいてみると、優曇華が私のアルバムを興味深そうに覗き込んでいるのを発見した。
「ハッ、、永琳様!! え~と……これはですね~。決して見たいな~とかどんな事が書いてるんだろうとか気になったわけじゃなくて~」
全く、優曇華らしいと言えば優曇華らしい。
見たいなら……まぁちょっと恥ずかしいことも無いが優曇華になら見せてやらないこともない。
「優曇華がどうしても見たいなら仕方ないわね。私と一緒に見る?」
こうして、今年一年の記録が載ったアルバムを優曇華と一緒に眺めることにした。
1月……。
今年の初め頃の写真。
てゐが自慢そうに回収した賽銭箱を持ってピースマークまで見せている写真やら、
紅魔館のレミリア様とフランドール様の二人が酒に酔って永遠亭を襲撃した時の写真とコメントが載っている。
てゐに関しては年始の恒例行事で、今年は珍しく霊夢にまで賽銭をもらえたって自慢げに言ってたっけ。
ひよっとすると、本当にてゐの賽銭箱には幸運を呼ぶ魔法か何かがかかっていて、入れるとちゃんとご利益があるのかもしれない。
いつもは胡散臭い賽銭箱だよなぁ……なんて思ったり、霊夢に対する嫌がらせとしては最強よね……とか思ってるけれど、今度機会があったら入れてみようかな。
そして、続いて載っているのは永遠亭襲撃事件の写真。
いや~、あの時はかなり焦った。
永遠亭はあまり紅魔館とは関わりはないし、レミリアもフランドールもなにしろ酔っている上に元々の力が強い。
ウサギ達、優曇華やてゐだけではなく私も本気で抑えにかかないといけないほどの暴れっぷりで、本館の一部、それに大浴場の方も大崩壊をおこして修復が大変だった。
後から紅魔館より咲夜が手土産を直々に持って謝りにきてくれたので一応許したが、謝りに来なかったら永遠亭vs紅魔館という全面戦争に発展したかもしれない。
そのくらい姫様も怒っていたし、実際私も報復を考えていたのだから……。
さてさて、そうやって物騒な事態を危うく回避した1月から2月のページにと移っていく。
2月……。
2月と言えばやはりウドンゲインXを完成させたことは忘れられない。
アレを作ったきっかけは電波受信変換箱(通称はTV)で巨大合体ロボットといえばいいか?
そうそう……アバレン○ャーと言ったか?
巨大な龍の顔のついた巨大なロボットはなかなかステキで研究者として随分惹かれたものだ。
永遠亭で月を隠してから永遠亭の今の戦力を増強したいと思ったのも確かだった気がする。
それはともかく約半年の長き期間を費やしてウドンゲインXは完成した。
巨大な胴体を作って最終的に咲夜やら霊夢やら魔理沙やらの魔力を注入。
機体の操縦には優曇華を使った最強の兵器を作った筈だったのだが、最終的には咲夜&霊夢のコンビに撃退されてしまった。
やはりあの巨大な図体では霊夢達のような超破壊力を持った者に個別に攻撃されると弱いらしい。
次に製作する時はそこら辺も考えて作ることにしよう。
次の設計に関して色々考えていると急に隣から声がかかった。
「永琳様、何かこの写真に思い入れでも?」
「ああ、いや……今度作る時にはもうちょっと強いのを作りたいなぁと」
そう言った途端、急に嫌そうな顔をする優曇華。
「それで、メカの中心に入れられて巨大ロボットを操縦するのは私の役目になるんですよね」
「今度は優曇華だけじゃなくてゐとかも入れて作るから……」
「結局私が乗るのは確定じゃないですか~~~」
……っとまぁ、そんな事件があった2月も終了。
3月のページへと移っていく。
3月……。
姫様がアンリアルというパソコンゲームにはまり、部屋から出てこなくなっていた時期。
あの手この手で色々と対策は講じたのだが、未だに治っていないのが現状だ……。
この忙しい時期も勿論部屋の中でアンリアルをやっているであろうことを考えると余り精神衛生上宜しくないのだが、そこら辺は気にしないでおこう。
4月……。
魔理沙、アリスの東方マジカルステーションと言う企画が勃発して永遠亭にてラジオの調整等などをやっていた。
基本的な話として幻想郷内部にTVやラジオと言われるものは永遠亭周辺、それと限られたごく一部の場所にしか配備されていない。
何故、永遠亭周辺にしか配備されていないかって?
説明しないとわからないことなので一応説明しておこう。
幻想郷には電気を発電する発電所といわれるものが存在しておらず、そこら辺の供給は全く無い。
そこで、外の世界から幻想郷に届いた電気を必要とされる物のために、魔力を電気にする為の設備投資をしている訳だが、
この変換装置の材料とそれなりの魔力を持った者が必要なのだ。
また、電気を供給する変換機には魔力を注ぐ関係上トラブルが起こりやすくメンテナンスを時々必要とされるため、そもそも電気と言う物が使いにくい代物となっているのもある。
そう言うわけで、電気の供給に関する問題が第一点にあげられる。
さて、そんな幻想郷とは関係なく、世の中には衛星放送というどこの地域でも届く電波が存在してそれをアンテナと言う物を使って受信しているのが今の衛星放送なのは皆様もご存知のとうり。
衛星放送の電波と言う物は当然全世界のどこにでも届く電波であり、例え霊夢や紫が結界を張っていてもそう居言った放送電波と言う物は幻想郷にでも届いている。
その電波を受信する装置と選別する装置、それに受信後に映像や音といった形に変換しなおす装置を私とそれに助手の優曇華の力で共同制作したのが永遠亭内部のTVやラジオなのである。
動力源は優曇華の魔力。
勘の鋭い方はもう気づいたことだろうが、優曇華の電波を選別してシャットダウンしたり受け取ったりと言った狂わせる力の有効活用の結果であり、優曇華が居なければこのテレビやラジオと言った物はそもそも成り立たないのだ。
前置きが長くなったが、テレビの仕組みと言う物は理解できたと思う。
今回は先ほど言ったテレビやラジオと言う物に目をつけた文がラジオの放送をして幻想郷内に広めようと言う企画で、それに伴い永遠亭内部の装置を受信専用から発進できる装置に切り替える作業である。
勿論、切り替えている間は全てのラジオやテレビはマジカルステーション一色になっているのだが、それはこの際省いておこう。
大体、受信装置等の関係上、テレビとラジオは同じ放送をやっているのが当然なのだから……。
5月……。
「わぁ、コレはみんなで月見をした時の写真ですよね~」
隣で優曇華が懐かしそうに話すのを聞きながら当時のことを思い出す。
その日は、優曇華が珍しく月見をしたいと言い出したので、皆で一緒に月見をしていたのだ。
何故優曇華が急にそんなことを言い出したのかは今でも謎のままなのだが、優曇華の提案に単純に姫様が賛同したので、永遠亭の合同企画として月見をする羽目になった。
何故優曇華が急に月見をしたいと言い出したのか?
今でも謎のその質問を優曇華に聞いてみる。
「秘密です」
指を立てて振りながらチッ、チッ、チッとやるその姿が妙に可愛い。
妙に可愛いのは確かだが、いつまでも疑問のままと言うのはあまり宜しくない。
「秘密……ね、せめてヒントだけでも教えてくれない?」
「う~ん……そうですね~………。ヒントは、コレです」
優曇華はコレと言いながら自分の服を指差す。
大体わかった。
私にとっては大した日ではないが優曇華にとってその日は確かに大切な日なのだろう。
それに、大切な日と思っていてくれるならこんなにありがたいことはない。
「良かったわね、優曇華。まさかそんなに思っていてくれるなんて……」
「師匠にもわかっちゃったみたいですね」
「これでも幻想郷随一の天才と言われているんだから、あんなにわかりやすいヒントがあれば気づくわ」
「てゐには月見をしたいって言っただけでわかっちゃったみたいなんでそこら辺は負けてますけど♪」
「優曇華を思う気持ちではてゐには勝てないかな?」
少しだけ残念そうな顔をしてみせる。
「師匠~~~~」
「てゐの事は言わなきゃ良かったかなぁ……」
なんか色々複雑な思いで色々と写真を眺めていくと5月も終了。
いつのまにやら6月の写真に移っていた。
6月……。
姫様が涼宮ハルヒにはまってコスプレとか色々試みていた時の写真をバッチリ収めておいた写真が載ってたりする。
勿論、姫様には内緒……と言うことにしているのだが、まぁばれても問題は無いだろう。
しかし、姫様の姿は黒髪ロング、対して涼宮ハルヒと言えばショートヘアの元気娘だ。
おしとやかな雰囲気で普通に立っているのだが、ネット漬けのせいかどこと無く怪しげな雰囲気があって、
涼宮ハルヒというよりはむしろ朝倉涼子の方に近いと思うのだが、こんなことを姫様に言った日には天岩戸伝説の如く、
部屋に引き篭もったきり永遠に出てきてくれなくなりそうなので黙っておこう。
ちなみに、この写真集の中には姫様のハルヒコスにまぎれて私の長門有希コスバージョンもあるのだが、どんな姿なのかは皆様の……。
「師匠~~、いつのまにこんなのを用意したんですか、ずるいですよ~~」
むむ・・・ズルイとかいわれてしまった。
ここは仕方ない&大チャ~ンスと言うわけで、折角の天然ウサミミを利用した優曇華版みくるコスを試着してもらおう。
研究所の外に出て適当にウサギを探す……。
おっ、丁度良い所にてゐが居るわね。
「てゐ~~、お願いがあるんだけどー」
「なんでしょう、永琳様」
「私の衣装ケースから黒バニーのスーツを持ってきて欲しいんだけれど」
「黒バニー??」
てゐは少しだけ何か考えていた様子で、
「で、鈴仙ちゃんがここに居るから黒バニーのスーツを持ってきて欲しいと……」
「ふふ~ん、だったら私にも見せてもらいたいわね~~」
しまった……。私としたことがうっかりしていた。
てゐもこの永遠亭の中では私ほどではないにせよ頭の良いので知られている。
黒バニーのスーツと言った時点でこうなるのは目に見えていた筈なのだが、もう遅い。
「わかったわ……全くしょうがないわね。でも、優曇華のコスを見たいんだったら条件が有ります」
「なんです?」
「てゐも何かのコスプレ姿を披露しなさい」
「えっと、いいんですか。永琳様♪」
「どうせならてゐのバージョンも見てみたいし、折角の機会なのだから記念撮影とかもしたいじゃない」
「わかりました、私も密かにあのコスプレ話のときに色々着てみたかったんですよ」
「鏡の前で色々着て、楽しそうにしている姫様を見ていたらやっぱり一度くらいはやってみたくなるわよ」
「ですよね、だったら~~」
少し考えて出した答えはちょっとだけ意外だった。
「涼宮ハルヒが良いですね」
「姫様と同じコスプレとは良い度胸ね、てゐ」
「前に一度見た時に姫様より私のほうが似合うかも~とか結構考えてたんですよ」
「まぁ、良いわ。それじゃあてゐと優曇華のコスプレ、期待しているわ」
てゐが衣装を取りにいく。
さて、私のほうは優曇華にコスプレしてもらうことを説明しないと。
「優曇華、居る?」
「居ますけど。永琳様。先ほど、研究室の前で誰かと話をしていたことと関係が?」
研究室の出入り口前で誰かと話していたことをなんとなくわかっていたのだろうか。
優曇華がそのことも踏まえて聞いて来る。
「さっき研究室の前でてゐと話をしていたのよ、それでね。優曇華にもコスプレをしてもらおうかと」
「私は何の姿になるんです?」
「それは、着てからのお楽しみにしましょう」
私達は一旦アルバムを閉じると てゐの帰りを待つことにした。
研究室の戸棚に置いてある紅茶を取り出して用意、水をビーカーに注いだ後、アルコールランプを点火して暖める。
大体20分ほどあれば問題なく沸くだろうし、それまではゆったりと休憩をしていよう。
耐熱ガラスで作ったビーカーをゆったりと眺める。
その間に優曇華はヨーグルトを取り出してきたようだ。
ヨーグルトと言うのは、一旦牛乳を発酵させて作る製品で、保管場所さえそこそこきちんとさせていえばほぼ無限に近い時間食べられる乳製品。
こういった結構暗くて安定した場所なんかだと冷やさなくても美味しくいただけるのでお薦めだったりする。
……暮らしに役立つ豆知識なので覚えておくと便利かもしれない。
「永琳様、お召し物を用意して参りました」
ヨーグルトと紅茶の用意をして少し経った頃、てゐがコスプレをして戻ってきた。
入ってくるなり優曇華の姿を見つけると脱がせにかかる。
「えっと!! あのっ!! 自分でやりますから大丈夫ですからっつ!!」
な~んて抗議する優曇華の姿は妙に可愛い。
どれ、師匠としても弟子の成長(主に胸とか)を確かめてやるか。
うん、前より多少大きくなったようだ。
後ろから握ってみる胸の感覚はなかなか柔らかくてちょっと癖になりそうだが、そこら辺は置いといて、無事3人のコスプレ姿を写真に収めて……。
さて、掃除の続きでもやるか。
「ところで、さっきまで二人で一緒に何やってたんですか??」
キッチリ写真を撮り終えたところでてゐから質問が入る。
「永琳様のアルバムを拝見させてもらってたんです」
素直に答える優曇華。
言わなければうやむやに出来たのに……とか、てゐのことだから絶対見せてーとか言いそうだとか半ば諦めつつ見ていると、
「優曇華には見せられても私に見せられないなんてことはないはずよね~」
と、YESと言わなければなにか悪いことでもしでかいそうに目を細めて口に手を当て、悪巧みをしていそうな仕草を見せる。
こういう態度を取っている時のてゐに逆らうと本当に何を言われるかわかったもんじゃないのは説明するまでも無いことな訳で。
結局、アルバムを見る人間が一人増える状態になりました。
さて、そんなこんなで6月の纏めも終えて7月……。
7月……。
7月は神社で七夕祭りがあった。
その時は、七夕祭りとのことで、永遠亭の全員で出す物を色々相談して、境内の一角に休憩所を設けることにしたのだ。
ウサギ達で餅つきをして、飲み物と一緒に出して料金を稼ごうと言うアイデアだ。
こう言うアイデアを出すのは勿論てゐの仕事。
ウサギ達を纏めたり、細かい指示を出したりと、大活躍するてゐの姿はなかなか堂に入っていた気がする。
鈴仙の方は……。
私がふっと、鈴仙の方を向くと、丁度目が合う。
鈴仙は、きょとんとした顔で
「永琳様、何かありましたか?」
と聞いてきたので、
「ちょっと、鈴仙の方を向いたら目が合っただけ……」
とまぁ、そんな鈴仙ではあるが、根は結構しっかりしているらしく、店内のディスプレイやメニューを考えたり、会計やらをやっていた。
いつも着ている服が独特だったり、永遠亭に居るせいかあんまり服のレパートリーが多く無さそうに見えるが
こういったディスプレイやらメニューやらを考えるのは私達の中でも鈴仙が一番優れている。
看板の見える位置とか、テーブルの配置なんかも細かく気を配った配置にされていたり。
例えば、店に入った時には全体が見渡せるようになっているとか、外からは竹等をうまく一角に配置して見えにくくしてあり、
また、夜が祭りのメインの時間帯になるため、月の光をうまく集めるようにちょっとした工夫がしてあった。
こちらの月の光をうまく集める装置というのは私の研究所の一角においてあった物なのだが、きっちりそういったものを覚えていて使ってくれたのは師匠としても嬉しいかな。
七夕祭りらしく願い事を書けるようにと言い出したのは実は姫様。
いつも引き篭もってばっかりの姫様だが、こういうイベント時になると知恵を働かせてくると言うか、イベントを楽しむ為の方法を色々考えてくれる。
まぁ、考えるだけであんまり動いてはくれないのが姫様らしいといえば姫様らしいのだが……。
さて、鈴仙のディスプレイてゐの指示の元、七夕祭りは無事成功。
永遠亭の貴重な資金源として今の研究が出来ているのはこの時の資金繰りのおかげかもしれないとはちょっとだけ思う。
後は、眼鏡っ娘フェスティバルというイベントもあったか。
こっちの方は前回のハルヒの時とは違って全員でいろいろとやった。
イベントで使った眼鏡は各自一つづつだったけれど、それ意外にも色々な眼鏡を用意して、衣装とかも揃えてお祭り気分で楽しめた良い思い出だ。
今でも時々こっそり気分転換したいときは眼鏡をつけたりつけなかったりしているのは内緒。
イベントに事欠かない月だったかなぁ……なんて今になってみると思う。
そんな七月も終わり、次は8月。
8月……。
永遠亭のほぼ全員でキャンプに行った。
優曇華に休暇を与えたら紅魔館の咲夜やら冥界の妖夢あたりと一緒に色んなことをして回った写真を帰ってきた際に見せられて、それを見た姫様が
「優曇華だけ休暇を楽しんでくるのはちょっとずるいわ」
とか言い出したのがきっかけで永遠亭揃っての一日キャンプとなったのだ。
場所は優曇華のキャンプしたのとは違う場所で、紅魔湖のあたりに行くことに決まった。
写真、その他の物を色々と検討して永遠亭ご一行様で行っても問題ない立地条件の場所を探した結果が紅魔湖周辺という位置取りである。
紅魔湖周辺は夏らしく、泳ぐには絶好の状態。
優曇華やてゐ、基本的に部屋の中に篭りっきりだった姫様も含めて砂の城を作ってみたり西瓜割りをやったりと、いろいろと楽しんだ。
西瓜割りの時にはてゐが部下のウサギの頭を破壊し損ねる事態になったのはちょっと驚いたけれど。
後、姫様がどうせなら永遠亭もゴージャスなお城にしましょうとか言ってたのだが、管理とか掃除とか大変そうなので丁重にお断りしておいた。
どうせ城を建てても直ぐに飽きてしまわれてる可能性が高いし、なにより今の風通しがよく、綺麗な月が見やすい日本家屋は好きなのだから……。
9月……。
優曇華がメディスン・メランコリーに会いに行ったり、文が永遠亭にやってきて色々と取材をしていた月。
メディに関しては大分前に幻想郷が花に包まれる事件以来の付き合いで、いつもこのくらいの時期になるとメディに会いに行ってるようだ。
そうして、十五夜の時期に帰ってきて、なにやら鈴蘭等の花やら色々とお供えをしている。
優曇華がお供えをしている所を見ていると、あの閻魔とやらに言われたことを多少まだ気にしているのかもしれない。
それと、文についてだ。
どうやら新聞屋仲間の購買競争があるらしく、色々な取材対象を見つけては盛んに作っていたらしい。
例えば……姫様の五色の宝具についてやら宝物庫の中身について。
他には、私の薬について等々……。
まぁ対処するのもめんどくさくなっていたので、姫様と私で不可視の結界を張って文の目から永遠亭が映らないようにしてみたら、あっさりわからなくなったらしい。
そこら辺の事情は霊夢やら魔理沙やらでも同じらしく、購買競争の時の文の傍には近づかない方が良いというのは近頃密かに広まりつつある格言のひとつだ。
まぁ、そのくらい購買競争の時の文は大変だということで。
10月……。
姫様を元に戻そう計画を始動した月。
丁度、9月から10月にかけて永遠亭の防御に関する様々な方法やら、新しい収入の方法等について。
私がそうやって半月ほど四苦八苦して、久しぶりに姫様の部屋に行ってみたら酷い有様の部屋になっていて、
永遠亭の防御計画より先に姫様を元に戻す計画を進めようと思ったのが事の起こり。
色々な苦労をしてみたけれど、生活態度自体は結局変わらなかったみたい。
それでも、9月頭くらいの状態には戻ってくれたので一応は良かったのかな?
11月……。
永遠亭ではここらあたりが一番忙しい月。
例年どうりに米を永遠亭に持ち込んで、お餅を作って、てゐに売ってもらった。
その後の収穫祭は結構盛り上がってたな……。
12月……。
まだアルバムのページは白いまま。
残りのページは今まで読んだ部分を除いて結構余っている。
それでも、今まで読んだアルバムのページを振り返ると結構な厚さ。
我ながら良くコレだけのページを書いたものだ。
そんな風にふと思っていると、どうして来たのかわからないけれど姫様が研究所にやってきた。
「あら、永琳……それにてゐや鈴仙まで一体どうしたの?」
「永琳様のアルバムを見せてもらってました」
「本当は鈴仙だけだったのですが、気がつくと結構な人数になってまして……」
「まぁ、いいわ。ところで、話は変わるのだけどこれから村に買い物に出ようと思うの」
「丁度アルバムも読み終えたので、みんなで行きましょう」
「賛成~」
「それじゃあレッツ、ゴーーー」
今年一年を振り返ってみると、本当にいろいろなことがあった。
楽しかったこと。辛かったこと。
これからも色々な事があるだろうけれど、皆で力を合わせていけば何とかなりそうな。
……そんな気がする。
周りを見渡す……。
鈴仙やらてゐやらが準備を進めている中、ふと一枚付け足したい写真が出来たので皆で庭に並んでもらうことにした。
庭の周辺にある大きな木の下で全員集合。
三脚とかはないので周りに居たウサギに写真撮影を頼んで写してもらった。
パシャッ!!とカメラが光って、全員集合の写真が綺麗に取れたのを確認して、屋敷に戻り再度出発。
……さて、来年はどんな年になるかな??
先生すらも走ると言われている12月。
今月は永遠亭にとっても忙しい月だ。
永遠亭の中も一通り綺麗にしないといけないし、永遠亭で作るお餅も今が一番売れ時。
12月~正月過ぎくらいまで続くイベントの準備をするウサギ達の様子を眺めながら、朝の遅い食事を取っていた永琳も自分の研究所に戻って研究所の掃除を始めた。
他の部屋はウサギたちに任せておいてもどうってことはないのだが、こと研究所に関しては自分の手でやらないと後が怖い。
いつだったか忘れたが、めんどくさいので他のウサギに命じて研究所の掃除を任せたところ大切な薬草の一部が間違った所に置かれてて使用不可となり、摘み直すのに3年ほどかかったこともある。
そんなこともあったので、研究所の掃除は自分。それから、一人では大変なので研究所と研究のことを良く知っている優曇華の二人で行うことにしていた。
軽く、はたきやら箒やらの用意をして優曇華が来るのを待っていると、結構急いだ様子で息を切らしながら研究所まで駆け込んできた。
「永琳様、おはようございます」
「おはよう、優曇華。それじゃあさっさとはじめちゃいましょうか」
「それで、私は何をすれば?」
優曇華の問いに答えて周りをざっと見渡すと床に散らかった本やらなにやらが目に留まった。
「そうね。まずは床掃除をお願いできる? 私はテーブルの実験道具を仕舞っちゃうから」
優曇華と作業の打ち合わせを軽くした後、掃除を開始した。
ビーカーやフラスコのうち、使わない物をしまい、年間を通して作っている薬の一部は一旦機械を停止させて埃等を取り除く。
年間を通して作り続けていると機械に多少の不調等が起きたりするので機械の整備もしておく。
慣れた手つきで床掃除を進めている優曇華の隣で、自分以外には使えない道具やらといった物を手入れしていく。
そうして3時間ほど経っただろうか?
優曇華が私のテーブルの下に入ったきりでてこなくなった。
テーブルの下も確かにそこそこ散らかってはいるけど、ちょっと時間がかかりすぎだ。
気になってのぞいてみると、優曇華が私のアルバムを興味深そうに覗き込んでいるのを発見した。
「ハッ、、永琳様!! え~と……これはですね~。決して見たいな~とかどんな事が書いてるんだろうとか気になったわけじゃなくて~」
全く、優曇華らしいと言えば優曇華らしい。
見たいなら……まぁちょっと恥ずかしいことも無いが優曇華になら見せてやらないこともない。
「優曇華がどうしても見たいなら仕方ないわね。私と一緒に見る?」
こうして、今年一年の記録が載ったアルバムを優曇華と一緒に眺めることにした。
1月……。
今年の初め頃の写真。
てゐが自慢そうに回収した賽銭箱を持ってピースマークまで見せている写真やら、
紅魔館のレミリア様とフランドール様の二人が酒に酔って永遠亭を襲撃した時の写真とコメントが載っている。
てゐに関しては年始の恒例行事で、今年は珍しく霊夢にまで賽銭をもらえたって自慢げに言ってたっけ。
ひよっとすると、本当にてゐの賽銭箱には幸運を呼ぶ魔法か何かがかかっていて、入れるとちゃんとご利益があるのかもしれない。
いつもは胡散臭い賽銭箱だよなぁ……なんて思ったり、霊夢に対する嫌がらせとしては最強よね……とか思ってるけれど、今度機会があったら入れてみようかな。
そして、続いて載っているのは永遠亭襲撃事件の写真。
いや~、あの時はかなり焦った。
永遠亭はあまり紅魔館とは関わりはないし、レミリアもフランドールもなにしろ酔っている上に元々の力が強い。
ウサギ達、優曇華やてゐだけではなく私も本気で抑えにかかないといけないほどの暴れっぷりで、本館の一部、それに大浴場の方も大崩壊をおこして修復が大変だった。
後から紅魔館より咲夜が手土産を直々に持って謝りにきてくれたので一応許したが、謝りに来なかったら永遠亭vs紅魔館という全面戦争に発展したかもしれない。
そのくらい姫様も怒っていたし、実際私も報復を考えていたのだから……。
さてさて、そうやって物騒な事態を危うく回避した1月から2月のページにと移っていく。
2月……。
2月と言えばやはりウドンゲインXを完成させたことは忘れられない。
アレを作ったきっかけは電波受信変換箱(通称はTV)で巨大合体ロボットといえばいいか?
そうそう……アバレン○ャーと言ったか?
巨大な龍の顔のついた巨大なロボットはなかなかステキで研究者として随分惹かれたものだ。
永遠亭で月を隠してから永遠亭の今の戦力を増強したいと思ったのも確かだった気がする。
それはともかく約半年の長き期間を費やしてウドンゲインXは完成した。
巨大な胴体を作って最終的に咲夜やら霊夢やら魔理沙やらの魔力を注入。
機体の操縦には優曇華を使った最強の兵器を作った筈だったのだが、最終的には咲夜&霊夢のコンビに撃退されてしまった。
やはりあの巨大な図体では霊夢達のような超破壊力を持った者に個別に攻撃されると弱いらしい。
次に製作する時はそこら辺も考えて作ることにしよう。
次の設計に関して色々考えていると急に隣から声がかかった。
「永琳様、何かこの写真に思い入れでも?」
「ああ、いや……今度作る時にはもうちょっと強いのを作りたいなぁと」
そう言った途端、急に嫌そうな顔をする優曇華。
「それで、メカの中心に入れられて巨大ロボットを操縦するのは私の役目になるんですよね」
「今度は優曇華だけじゃなくてゐとかも入れて作るから……」
「結局私が乗るのは確定じゃないですか~~~」
……っとまぁ、そんな事件があった2月も終了。
3月のページへと移っていく。
3月……。
姫様がアンリアルというパソコンゲームにはまり、部屋から出てこなくなっていた時期。
あの手この手で色々と対策は講じたのだが、未だに治っていないのが現状だ……。
この忙しい時期も勿論部屋の中でアンリアルをやっているであろうことを考えると余り精神衛生上宜しくないのだが、そこら辺は気にしないでおこう。
4月……。
魔理沙、アリスの東方マジカルステーションと言う企画が勃発して永遠亭にてラジオの調整等などをやっていた。
基本的な話として幻想郷内部にTVやラジオと言われるものは永遠亭周辺、それと限られたごく一部の場所にしか配備されていない。
何故、永遠亭周辺にしか配備されていないかって?
説明しないとわからないことなので一応説明しておこう。
幻想郷には電気を発電する発電所といわれるものが存在しておらず、そこら辺の供給は全く無い。
そこで、外の世界から幻想郷に届いた電気を必要とされる物のために、魔力を電気にする為の設備投資をしている訳だが、
この変換装置の材料とそれなりの魔力を持った者が必要なのだ。
また、電気を供給する変換機には魔力を注ぐ関係上トラブルが起こりやすくメンテナンスを時々必要とされるため、そもそも電気と言う物が使いにくい代物となっているのもある。
そう言うわけで、電気の供給に関する問題が第一点にあげられる。
さて、そんな幻想郷とは関係なく、世の中には衛星放送というどこの地域でも届く電波が存在してそれをアンテナと言う物を使って受信しているのが今の衛星放送なのは皆様もご存知のとうり。
衛星放送の電波と言う物は当然全世界のどこにでも届く電波であり、例え霊夢や紫が結界を張っていてもそう居言った放送電波と言う物は幻想郷にでも届いている。
その電波を受信する装置と選別する装置、それに受信後に映像や音といった形に変換しなおす装置を私とそれに助手の優曇華の力で共同制作したのが永遠亭内部のTVやラジオなのである。
動力源は優曇華の魔力。
勘の鋭い方はもう気づいたことだろうが、優曇華の電波を選別してシャットダウンしたり受け取ったりと言った狂わせる力の有効活用の結果であり、優曇華が居なければこのテレビやラジオと言った物はそもそも成り立たないのだ。
前置きが長くなったが、テレビの仕組みと言う物は理解できたと思う。
今回は先ほど言ったテレビやラジオと言う物に目をつけた文がラジオの放送をして幻想郷内に広めようと言う企画で、それに伴い永遠亭内部の装置を受信専用から発進できる装置に切り替える作業である。
勿論、切り替えている間は全てのラジオやテレビはマジカルステーション一色になっているのだが、それはこの際省いておこう。
大体、受信装置等の関係上、テレビとラジオは同じ放送をやっているのが当然なのだから……。
5月……。
「わぁ、コレはみんなで月見をした時の写真ですよね~」
隣で優曇華が懐かしそうに話すのを聞きながら当時のことを思い出す。
その日は、優曇華が珍しく月見をしたいと言い出したので、皆で一緒に月見をしていたのだ。
何故優曇華が急にそんなことを言い出したのかは今でも謎のままなのだが、優曇華の提案に単純に姫様が賛同したので、永遠亭の合同企画として月見をする羽目になった。
何故優曇華が急に月見をしたいと言い出したのか?
今でも謎のその質問を優曇華に聞いてみる。
「秘密です」
指を立てて振りながらチッ、チッ、チッとやるその姿が妙に可愛い。
妙に可愛いのは確かだが、いつまでも疑問のままと言うのはあまり宜しくない。
「秘密……ね、せめてヒントだけでも教えてくれない?」
「う~ん……そうですね~………。ヒントは、コレです」
優曇華はコレと言いながら自分の服を指差す。
大体わかった。
私にとっては大した日ではないが優曇華にとってその日は確かに大切な日なのだろう。
それに、大切な日と思っていてくれるならこんなにありがたいことはない。
「良かったわね、優曇華。まさかそんなに思っていてくれるなんて……」
「師匠にもわかっちゃったみたいですね」
「これでも幻想郷随一の天才と言われているんだから、あんなにわかりやすいヒントがあれば気づくわ」
「てゐには月見をしたいって言っただけでわかっちゃったみたいなんでそこら辺は負けてますけど♪」
「優曇華を思う気持ちではてゐには勝てないかな?」
少しだけ残念そうな顔をしてみせる。
「師匠~~~~」
「てゐの事は言わなきゃ良かったかなぁ……」
なんか色々複雑な思いで色々と写真を眺めていくと5月も終了。
いつのまにやら6月の写真に移っていた。
6月……。
姫様が涼宮ハルヒにはまってコスプレとか色々試みていた時の写真をバッチリ収めておいた写真が載ってたりする。
勿論、姫様には内緒……と言うことにしているのだが、まぁばれても問題は無いだろう。
しかし、姫様の姿は黒髪ロング、対して涼宮ハルヒと言えばショートヘアの元気娘だ。
おしとやかな雰囲気で普通に立っているのだが、ネット漬けのせいかどこと無く怪しげな雰囲気があって、
涼宮ハルヒというよりはむしろ朝倉涼子の方に近いと思うのだが、こんなことを姫様に言った日には天岩戸伝説の如く、
部屋に引き篭もったきり永遠に出てきてくれなくなりそうなので黙っておこう。
ちなみに、この写真集の中には姫様のハルヒコスにまぎれて私の長門有希コスバージョンもあるのだが、どんな姿なのかは皆様の……。
「師匠~~、いつのまにこんなのを用意したんですか、ずるいですよ~~」
むむ・・・ズルイとかいわれてしまった。
ここは仕方ない&大チャ~ンスと言うわけで、折角の天然ウサミミを利用した優曇華版みくるコスを試着してもらおう。
研究所の外に出て適当にウサギを探す……。
おっ、丁度良い所にてゐが居るわね。
「てゐ~~、お願いがあるんだけどー」
「なんでしょう、永琳様」
「私の衣装ケースから黒バニーのスーツを持ってきて欲しいんだけれど」
「黒バニー??」
てゐは少しだけ何か考えていた様子で、
「で、鈴仙ちゃんがここに居るから黒バニーのスーツを持ってきて欲しいと……」
「ふふ~ん、だったら私にも見せてもらいたいわね~~」
しまった……。私としたことがうっかりしていた。
てゐもこの永遠亭の中では私ほどではないにせよ頭の良いので知られている。
黒バニーのスーツと言った時点でこうなるのは目に見えていた筈なのだが、もう遅い。
「わかったわ……全くしょうがないわね。でも、優曇華のコスを見たいんだったら条件が有ります」
「なんです?」
「てゐも何かのコスプレ姿を披露しなさい」
「えっと、いいんですか。永琳様♪」
「どうせならてゐのバージョンも見てみたいし、折角の機会なのだから記念撮影とかもしたいじゃない」
「わかりました、私も密かにあのコスプレ話のときに色々着てみたかったんですよ」
「鏡の前で色々着て、楽しそうにしている姫様を見ていたらやっぱり一度くらいはやってみたくなるわよ」
「ですよね、だったら~~」
少し考えて出した答えはちょっとだけ意外だった。
「涼宮ハルヒが良いですね」
「姫様と同じコスプレとは良い度胸ね、てゐ」
「前に一度見た時に姫様より私のほうが似合うかも~とか結構考えてたんですよ」
「まぁ、良いわ。それじゃあてゐと優曇華のコスプレ、期待しているわ」
てゐが衣装を取りにいく。
さて、私のほうは優曇華にコスプレしてもらうことを説明しないと。
「優曇華、居る?」
「居ますけど。永琳様。先ほど、研究室の前で誰かと話をしていたことと関係が?」
研究室の出入り口前で誰かと話していたことをなんとなくわかっていたのだろうか。
優曇華がそのことも踏まえて聞いて来る。
「さっき研究室の前でてゐと話をしていたのよ、それでね。優曇華にもコスプレをしてもらおうかと」
「私は何の姿になるんです?」
「それは、着てからのお楽しみにしましょう」
私達は一旦アルバムを閉じると てゐの帰りを待つことにした。
研究室の戸棚に置いてある紅茶を取り出して用意、水をビーカーに注いだ後、アルコールランプを点火して暖める。
大体20分ほどあれば問題なく沸くだろうし、それまではゆったりと休憩をしていよう。
耐熱ガラスで作ったビーカーをゆったりと眺める。
その間に優曇華はヨーグルトを取り出してきたようだ。
ヨーグルトと言うのは、一旦牛乳を発酵させて作る製品で、保管場所さえそこそこきちんとさせていえばほぼ無限に近い時間食べられる乳製品。
こういった結構暗くて安定した場所なんかだと冷やさなくても美味しくいただけるのでお薦めだったりする。
……暮らしに役立つ豆知識なので覚えておくと便利かもしれない。
「永琳様、お召し物を用意して参りました」
ヨーグルトと紅茶の用意をして少し経った頃、てゐがコスプレをして戻ってきた。
入ってくるなり優曇華の姿を見つけると脱がせにかかる。
「えっと!! あのっ!! 自分でやりますから大丈夫ですからっつ!!」
な~んて抗議する優曇華の姿は妙に可愛い。
どれ、師匠としても弟子の成長(主に胸とか)を確かめてやるか。
うん、前より多少大きくなったようだ。
後ろから握ってみる胸の感覚はなかなか柔らかくてちょっと癖になりそうだが、そこら辺は置いといて、無事3人のコスプレ姿を写真に収めて……。
さて、掃除の続きでもやるか。
「ところで、さっきまで二人で一緒に何やってたんですか??」
キッチリ写真を撮り終えたところでてゐから質問が入る。
「永琳様のアルバムを拝見させてもらってたんです」
素直に答える優曇華。
言わなければうやむやに出来たのに……とか、てゐのことだから絶対見せてーとか言いそうだとか半ば諦めつつ見ていると、
「優曇華には見せられても私に見せられないなんてことはないはずよね~」
と、YESと言わなければなにか悪いことでもしでかいそうに目を細めて口に手を当て、悪巧みをしていそうな仕草を見せる。
こういう態度を取っている時のてゐに逆らうと本当に何を言われるかわかったもんじゃないのは説明するまでも無いことな訳で。
結局、アルバムを見る人間が一人増える状態になりました。
さて、そんなこんなで6月の纏めも終えて7月……。
7月……。
7月は神社で七夕祭りがあった。
その時は、七夕祭りとのことで、永遠亭の全員で出す物を色々相談して、境内の一角に休憩所を設けることにしたのだ。
ウサギ達で餅つきをして、飲み物と一緒に出して料金を稼ごうと言うアイデアだ。
こう言うアイデアを出すのは勿論てゐの仕事。
ウサギ達を纏めたり、細かい指示を出したりと、大活躍するてゐの姿はなかなか堂に入っていた気がする。
鈴仙の方は……。
私がふっと、鈴仙の方を向くと、丁度目が合う。
鈴仙は、きょとんとした顔で
「永琳様、何かありましたか?」
と聞いてきたので、
「ちょっと、鈴仙の方を向いたら目が合っただけ……」
とまぁ、そんな鈴仙ではあるが、根は結構しっかりしているらしく、店内のディスプレイやメニューを考えたり、会計やらをやっていた。
いつも着ている服が独特だったり、永遠亭に居るせいかあんまり服のレパートリーが多く無さそうに見えるが
こういったディスプレイやらメニューやらを考えるのは私達の中でも鈴仙が一番優れている。
看板の見える位置とか、テーブルの配置なんかも細かく気を配った配置にされていたり。
例えば、店に入った時には全体が見渡せるようになっているとか、外からは竹等をうまく一角に配置して見えにくくしてあり、
また、夜が祭りのメインの時間帯になるため、月の光をうまく集めるようにちょっとした工夫がしてあった。
こちらの月の光をうまく集める装置というのは私の研究所の一角においてあった物なのだが、きっちりそういったものを覚えていて使ってくれたのは師匠としても嬉しいかな。
七夕祭りらしく願い事を書けるようにと言い出したのは実は姫様。
いつも引き篭もってばっかりの姫様だが、こういうイベント時になると知恵を働かせてくると言うか、イベントを楽しむ為の方法を色々考えてくれる。
まぁ、考えるだけであんまり動いてはくれないのが姫様らしいといえば姫様らしいのだが……。
さて、鈴仙のディスプレイてゐの指示の元、七夕祭りは無事成功。
永遠亭の貴重な資金源として今の研究が出来ているのはこの時の資金繰りのおかげかもしれないとはちょっとだけ思う。
後は、眼鏡っ娘フェスティバルというイベントもあったか。
こっちの方は前回のハルヒの時とは違って全員でいろいろとやった。
イベントで使った眼鏡は各自一つづつだったけれど、それ意外にも色々な眼鏡を用意して、衣装とかも揃えてお祭り気分で楽しめた良い思い出だ。
今でも時々こっそり気分転換したいときは眼鏡をつけたりつけなかったりしているのは内緒。
イベントに事欠かない月だったかなぁ……なんて今になってみると思う。
そんな七月も終わり、次は8月。
8月……。
永遠亭のほぼ全員でキャンプに行った。
優曇華に休暇を与えたら紅魔館の咲夜やら冥界の妖夢あたりと一緒に色んなことをして回った写真を帰ってきた際に見せられて、それを見た姫様が
「優曇華だけ休暇を楽しんでくるのはちょっとずるいわ」
とか言い出したのがきっかけで永遠亭揃っての一日キャンプとなったのだ。
場所は優曇華のキャンプしたのとは違う場所で、紅魔湖のあたりに行くことに決まった。
写真、その他の物を色々と検討して永遠亭ご一行様で行っても問題ない立地条件の場所を探した結果が紅魔湖周辺という位置取りである。
紅魔湖周辺は夏らしく、泳ぐには絶好の状態。
優曇華やてゐ、基本的に部屋の中に篭りっきりだった姫様も含めて砂の城を作ってみたり西瓜割りをやったりと、いろいろと楽しんだ。
西瓜割りの時にはてゐが部下のウサギの頭を破壊し損ねる事態になったのはちょっと驚いたけれど。
後、姫様がどうせなら永遠亭もゴージャスなお城にしましょうとか言ってたのだが、管理とか掃除とか大変そうなので丁重にお断りしておいた。
どうせ城を建てても直ぐに飽きてしまわれてる可能性が高いし、なにより今の風通しがよく、綺麗な月が見やすい日本家屋は好きなのだから……。
9月……。
優曇華がメディスン・メランコリーに会いに行ったり、文が永遠亭にやってきて色々と取材をしていた月。
メディに関しては大分前に幻想郷が花に包まれる事件以来の付き合いで、いつもこのくらいの時期になるとメディに会いに行ってるようだ。
そうして、十五夜の時期に帰ってきて、なにやら鈴蘭等の花やら色々とお供えをしている。
優曇華がお供えをしている所を見ていると、あの閻魔とやらに言われたことを多少まだ気にしているのかもしれない。
それと、文についてだ。
どうやら新聞屋仲間の購買競争があるらしく、色々な取材対象を見つけては盛んに作っていたらしい。
例えば……姫様の五色の宝具についてやら宝物庫の中身について。
他には、私の薬について等々……。
まぁ対処するのもめんどくさくなっていたので、姫様と私で不可視の結界を張って文の目から永遠亭が映らないようにしてみたら、あっさりわからなくなったらしい。
そこら辺の事情は霊夢やら魔理沙やらでも同じらしく、購買競争の時の文の傍には近づかない方が良いというのは近頃密かに広まりつつある格言のひとつだ。
まぁ、そのくらい購買競争の時の文は大変だということで。
10月……。
姫様を元に戻そう計画を始動した月。
丁度、9月から10月にかけて永遠亭の防御に関する様々な方法やら、新しい収入の方法等について。
私がそうやって半月ほど四苦八苦して、久しぶりに姫様の部屋に行ってみたら酷い有様の部屋になっていて、
永遠亭の防御計画より先に姫様を元に戻す計画を進めようと思ったのが事の起こり。
色々な苦労をしてみたけれど、生活態度自体は結局変わらなかったみたい。
それでも、9月頭くらいの状態には戻ってくれたので一応は良かったのかな?
11月……。
永遠亭ではここらあたりが一番忙しい月。
例年どうりに米を永遠亭に持ち込んで、お餅を作って、てゐに売ってもらった。
その後の収穫祭は結構盛り上がってたな……。
12月……。
まだアルバムのページは白いまま。
残りのページは今まで読んだ部分を除いて結構余っている。
それでも、今まで読んだアルバムのページを振り返ると結構な厚さ。
我ながら良くコレだけのページを書いたものだ。
そんな風にふと思っていると、どうして来たのかわからないけれど姫様が研究所にやってきた。
「あら、永琳……それにてゐや鈴仙まで一体どうしたの?」
「永琳様のアルバムを見せてもらってました」
「本当は鈴仙だけだったのですが、気がつくと結構な人数になってまして……」
「まぁ、いいわ。ところで、話は変わるのだけどこれから村に買い物に出ようと思うの」
「丁度アルバムも読み終えたので、みんなで行きましょう」
「賛成~」
「それじゃあレッツ、ゴーーー」
今年一年を振り返ってみると、本当にいろいろなことがあった。
楽しかったこと。辛かったこと。
これからも色々な事があるだろうけれど、皆で力を合わせていけば何とかなりそうな。
……そんな気がする。
周りを見渡す……。
鈴仙やらてゐやらが準備を進めている中、ふと一枚付け足したい写真が出来たので皆で庭に並んでもらうことにした。
庭の周辺にある大きな木の下で全員集合。
三脚とかはないので周りに居たウサギに写真撮影を頼んで写してもらった。
パシャッ!!とカメラが光って、全員集合の写真が綺麗に取れたのを確認して、屋敷に戻り再度出発。
……さて、来年はどんな年になるかな??
この作者は、東方キャラの名前を使えば東方の二次創作とでも思っているのだろうか?
名前だけ使った“二次創作まがいの雑文”は、チラシの裏にでも書いておけよ。
コメント欄自体見ないことにした、ってならどうしようもありませんが、いい加減同じようなポカ飽きずに繰り返すの止めませんか?
今の貴方は初投稿時から何も成長してません。まずは過去の指摘を見直すことから始めましょう
あともっと原作やりましょう
呼称諸々で若干モニョッた点を差し引いてこの点数で。まぁ次に期待しております