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大妖精奮闘記~紅い悪魔の館編~

2006/10/22 14:11:58
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注)このお話は、作品集34『幻想郷大ガマ宣伝委員会』の外伝になります。一応読まなくても大丈夫なように作りましたが、読んでいただけるとよりお話がわかりやすくなるかと思います。















「はぁ」


 私はため息を一つついて空を眺めます。
 雲ひとつない空は、遥か彼方まで青く澄みわたり、私はそのまま溶けていってしまいそうです。



「はぁ」
 私はもう一度ため息をつきます。そんな空に向かって。







 頭上に広がる澄みきった空とは正反対に、私の心はどんよりどんより曇っていたのです。

 私の心の天候が悪化した理由、それは私が今手元に持っている五枚の紙でした。

 その紙には、それぞれ『遊び相手が欲しい、出来れば壊れないのが』『賽銭…ごはん…おかず』『魔理沙に盗られた本を取り返して』『実験材料…もとい新薬の臨床試験に協力してくれる人希望』『友達が欲しい』と、それぞれ書かれていました。
 そう、これは、私がこれから叶えなければならない願いたちなのです…





 で、こんな願いなら、そこまで落ち込む事はないだろうと言った人、それは間違いです!

 問題は、願いを書いた人なのです!!





 一つめの願いをだしたのは『紅魔館の火薬庫』との異名を持つ悪魔の妹、フランドール・スカーレットさんです。

 なんでも、悪気なくなにもかも『壊して』しまうとか。私は若い身空で薄暗い地下室にその身を散らしたくはありません。
 その地下室の場合、本当に『身を散らす』が洒落にならないのです。

 私は、この紙を見た時、衝撃のあまり目の前が真っ暗になりました。ついでに言うと、目の前が真っ暗なまま飛行してカラスさんと正面衝突してしまいました。
 ごめんなさいカラスさん…





 そして、恐る恐る見た二枚目の紙もまた恐ろしいものでした。
 何か切迫した雰囲気が文字から伝わるその紙に書かれていた名前…それは『楽園の困窮巫女』と呼称される博麗霊夢さんでした。

 昔は泰然としていたらしいのですが、最近は神社にお賽銭が入らないせいで食費がなくなり、いつしか食料を求めて『暴れまわる』ようになったそうです。
 なんでも、ミスティアさんのお友達を襲おうとしたり、兎鍋を作ると言って永遠亭を強襲したりしているそうです。

 さすがに、以前聞いた『遊びに来た魔理沙さんの箒を強奪して「食物繊維は体にいいのよ」と言いながら、泣き叫ぶ魔理沙さんを踏みつけて、鍋に箒を削って入れていった』というのは嘘だと思うのですが…っていうか嘘だと言って下さい!お願いです!

 もしこれが本当なら『空を飛ぶものは箒以外、四足のものは椅子と机以外何でも食べる』という噂すら嘘になってしまうのです…
 そして、除外対象に妖怪とか人間とか妖精とかが入っていないのが気になります。本当に気になります…

 ちなみに、私がこの紙を見た時には、衝撃で気を失ってそのまま森へと落下してしまいました。
 意識を取り戻した時に、しっかり握ったままの紙を見て『夢ならよかったのに…』と呟いてしまったのは、仕方がないと思うのですよ。





 次は『年中むきゅーなネグリジェ少女』こと、パチュリー・ノーレッジさんからの依頼ですが、問題はその依頼です。盗られた本を取り返して欲しいとのその相手、彼女は『黒い悪魔』という聞くからに近寄りたくない仇名を持つ霧雨魔理沙さんです。

 なんでも『お前のものは私のもの、私のものも私のもの』をモットーに、興味を持ったものを片っ端から強奪していく方だそうです。
 そして、彼女が持つ『マスタースパーク』は、私みたいな妖精なんて一瞬で蒸発させる化け物魔砲だそうで、被弾したくないスペルカードナンバーワンなのです。
 彼女を相手にできるのは、先にあげたフランドールさんか霊夢さん程度のものでしょう。

 私がこの紙を見た時には、あまりの衝撃でなぜか笑いだしてしまって、気がつくと友達がずいぶん減っていました。うう…





 そして、お次は『月から来た天災薬師』と仇名される八意永琳さんです。

 何でも、永遠に続く暇を持て余し、各種薬品を製造するのに精をだしているそうなのですが、問題はその種類です。
 大半が『一撃必殺』な程度の毒薬だとかで、他にも小さくなったり大きくなったりする薬もあるとのこと。
 当人曰く「質量保存の法則なんて私には関係ないわ」だそうです。

 『しつりょーほぞんのほうそく』がどういう意味なのかは、物識りな大ガマさんも知らなかったのできっと凄いものなのでしょう。
 そして、それを『関係ない』と言い切る永琳さんはもっと凄いんだと思います。

 私は、この紙を見た瞬間からしばらく記憶がありません。
 そして、それ以後、お友達が私の姿を見た瞬間にぱっと身を隠すようになってしまいました。

 何故かは分かりませんがとても悲しいです。





 最期は…間違えた、最後は『さびしんぼうの人形遣い』ことアリス・マーガトロイドさんです。

 チルノちゃん曰く「他にも『七色魔法莫迦』とか『友達なし』だとか『意地っ張り』だとか色んなあだ名があるわ」だそうですが、そんな事を言うと私の『妖生』がそこで終わってしまいそうなのでやめておきます。
 ちなみに、チルノちゃんは、この発言の直後に何故か爆弾を抱えた人形に突入自爆されそうになり、慌てて大ガマさんの口の中に退避、冷静な大ガマさんに高速で吐きだされ、人形の追撃を振りきって(?)事なきを得たみたいです。

 でも、着地…というか着弾に失敗してボロボロになったので、よかったとも言い切れませんが…

 さて、そのアリスさんは、私たち妖精の間で『見つかると家に引きずりこまれ、三日三晩休みなしでおしゃべりの相手をさせられる』ともっぱらの噂になっています。
 ちなみに、好奇心旺盛な妖精が彼女の家に行ったのですが、四日後にボロボロになって帰ってきて、うつろな目で「おしゃべりも紅茶もケーキもいやぁ~そんな目で私を見ないでぇ~!」とばかり叫んでしばらく再起不能になってしまいました。
 以来、誰も彼女の家には近寄りません。

 あと、これ本当は依頼者の名前が『上海人形』になっているのですが…まぁ…ですよね。





 と、ここまで話した事で、私がいかなる状況に置かれたかはおわかり頂けたかと思います。
 それでは、次に何でこんな事になったのかを簡単にご説明いたしますね。
 そう、これは今出てきた『チルノちゃん』の突発的な行動がそもそものきっかけでした。
 ちなみに『突発的じゃない行動』がないんじゃないかというつっこみには、心よりの同意をさせていただきます。



 あ、話が飛びましたね、それじゃあ今度こそ何があったのかご説明させていただきます。その事件がおきたのは数日前…私とチルノちゃんたちが湖上で遊んでいた時に起こりました…








~回想~

「あんた最強最強言ってるわりに弱いし馬鹿じゃない!」
「なっなんてこと言ってくれるのよ!この最強氷精チルノさまに向かって…」
 私が他の子と遊んでいた時、何やら聞きなれた声が聞こえてきたのでそっちを向くと…

 チルノちゃんが何やら他の妖精さんと言い争っています。
 ああ、またいつものケンカです…チルノちゃんは身の程もわきまえず、自分のことを最強最強言ってまわるものだから、いろんな他の妖精さんとケンカになるのです。
 だから「自分のことをそうやってひけらかすのはよくないよ」って言っているのですが「あたいは最強だからいいのよ!」と答えになっていない答えを言って、全然聞く耳をもってくれないのです。

「はぁ」
 私はため息をひとつついてチルノちゃんの所へ向かいます。
 チルノちゃんと付き合っているとこんな出来事は日常茶飯事なのです。ところが…



「何よ!あんたなんてあの大ガマにだって負けたんでしょ?あんな無名なボケ老妖にまで負けるなんてどうしようもない負け妖精じゃない!!」
「な…何ですってー!!」

 相手の妖精さんの言葉に、チルノちゃんの頭から湯気が立ち昇りました。比喩ではなく…正確に言うと、チルノちゃんの周辺全体から立ち昇っています。
 多分、激昂したあまり『周囲を冷やしすぎて』大きな温度差が出たのでしょう。
 あまりの迫力に相手の妖精さんが思わず後ずさりするのが見えました。確かに『最強』などとはとてもいえないチルノちゃんですが、それでも妖精の中では結構強いほうなのです。



 いつも怒ってばかりのチルノちゃん、でも今回ばかりは仕方がないと思います。だって…



「あたいの友達に…大切な友達に『無能でバカで激弱で耳が遠いボケ老妖』ですって!?確かにあたいに比べればそうだけど…だけどあんたごときにそんなに言われるほど大ガマは弱くなんてないわ!!なんてったって、あたいが手加減したとはいえこのあたいに勝ったことのある奴なのよ!!あんたなんて一撃よ!!」
 あーチルノちゃん?相手はそこまで言ってなかったと思うんだけど…?しかもさりげなく自己主張してるし…本当にもう!

 …と、それはともかく、チルノちゃんが怒るのももっともです。自分の大切な友達をそんな風に言われて怒らない方が不思議です。
 でも、そんな不思議な人妖が不思議と増えている今日この頃、だけどそんな中でチルノちゃんはまっすぐです。

 いろんな方から『あんなバカなのと付き合うのなんてやめなさいよ』と『忠告』されていますが、私はそう言われるとこう言い返すことにしています。

「チルノちゃんは確かにバカだけどまっすぐなの、自分が思った通りにまっすぐ進むの。そして…まっすぐ私を想ってくれるの、こんな純真な子他にいる?どんなに迷惑をかけられても、チルノちゃんがまっすぐな限り、私はチルノちゃんを見捨てないわ」

 私がそう言うと、大体の方は不思議そうに首を傾げながら去っていきます。
 みんなは…チルノちゃんの良いところを良いところと思ってくれないような気がするのです…



 と、それはともかく、いくらなんでもチルノちゃんが本気で攻撃したなら、さすがに相手の妖精さんが危険です。
 私は、今にもスペルカードをとりださんとしてるチルノちゃんへと『飛びより』ました。



「チルノちゃんストップ!待って!!」
 手を引く私にチルノちゃんはいきりたって言います。
「だってこいつらあたいだけじゃなく大ガマのことまでバカに!!」
 ますます周囲に湯気を漂わせるチルノちゃんの背中を、私はゆっくりさすってあげました。
「うん、気持ちはわかるから…ね、別なやり方で見返してやろうよ、ね。ほら深呼吸深呼吸…」

 背中をさする私に少し気持ちを落ち着けたのか、チルノちゃんは深呼吸してこう言います。

「違うやり方って…?」
 よかった…気を引けたようです。意外な質問に私は一瞬慌てましたが、すぐに言いました。
「え…あの…ほら、例えば大ガマさんを有名にしちゃうとか…ここでチルノちゃんがこの子をやっつけても『言い負かされてやっつけたんだ』とか言われちゃうよ?」
「む…な…なるほど、あたいは天才だから大ちゃんが言いたいことはよくわかったわ。つまりあたいたちが大ガマを有名にしたらあたいが最強って証明されるのね」
 あれ?話が意外な方向に飛んでいきます。このままだとお空の彼方まで飛んでいってしまいそうです。私は目が点になりました。

「え…え…?」

 どこがどうなってこうなったんでしょう?戸惑う私にチルノちゃんは胸をはってこう言い放ちました。



「よーしっ!あたいが大ガマを有名にしてやるわ!そうすればあたいが幻想郷最強っていうことがこいつにもわかるってもんよ。見てなさいあんた、近いうちに大ガマを知らない奴なんていなくしてやるんだから!!…あ、大ちゃんも手伝ってね」
 戸惑う相手の妖精さんにビシッと指を突きつけた後、私に振り向き笑顔で言うチルノちゃん。
 身から出た錆…やぶ蛇…自業自得…色々な言葉が頭に思い浮かびましたが、私は色々な方に頭の中で謝ります。大ガマさん、そしてこれから『間違いなく』迷惑をかけるであろう色々な方々、本当にごめんなさい。

 そして…未来の私にもごめんなさい。



 何が起こったのかわからず、唖然としている相手の妖精さん。
 そして、彼女の前で胸を張って高笑いしているチルノちゃんを見ながら、私はどんどん膨らんでいく不安に押しつぶされそうでした。





 …でも、チルノちゃんの気持ちは知っているから、私にはチルノちゃんの頼みを断るなんてできなかったんです。






~回想終わり~

 その事件の後、チルノちゃんは大ガマさんを有名にしようとなんともいえないアイデアを出して私と大ガマさんを振り回したのですが、その極め付けがこれなのです。
 『大ガマ相談所』なるものを設立して、幻想郷中の困りごとを解決、それで大ガマさんの評判を高めようという、都合のいいアイデアです。

 ちなみに、他のアイデアがどんなアイデアかは企業秘密です。これ以上友達を減らしたくはないですから…ふふふふふ





 あ、ちょっと心がまずい方にいってしまったみたいです。気を取り直して続けましょう。
 さて、チルノちゃんは色々なところから『よろず困りごと承って候、どんな難題もたちどころに解決。大ガマ相談所。依頼は沼の畔の大ガマポストまで』と勝手に依頼を集めた挙句、大ガマさんはそんなに動き回ることなどできない事に気づき、私に泣きついてきたのです。

 もっとも、コレは大ガマさんにやらせるわけにはいかないので、どっちにしても責任をとって私がやるしかないのですが…




「はぁ」
 何度目か知れないため息をつきながら、私は前進します。あの時の私が心を鬼にしてチルノちゃんの頼みを断っていたのなら…今頃こんなには悩まなかったのに…

 だけど歴史に『もしも』はありません、私は、気を取り直して最初の依頼地へと向かいました。







 そう、私の不安は、考えてみたら全部『噂』なのです。噂なら、チルノちゃんだって『バカで乱暴な妖精』っていうことになっちゃうんですから。
 噂には尾びれ背びれがつくもの、チルノちゃんの噂だって八割九割くらいしか当たってないじゃないですか…あれ?

 こほん、ともかく、ちょっとの危険があったとしても、私は向かいます。



 だって…私も大ガマさんは大好きなんです。

 いたずらをしていたチルノちゃんを『叱って』くれて…私たちのおじいさんみたいな方なんです。

 大ガマさんにとっては、有名になるなんて迷惑なだけかもしれないんですが、でも周囲にあんな風に思われているなんて悔しいんです。
 多分、チルノちゃんの悔しさと同じくらいに悔しいんです。でも、私にはあの時チルノちゃんみたいな行動には出られませんでした。
 私には、怒るべきことに怒れるチルノちゃんがとても羨ましいです。だから…



「よしっ!この依頼やり遂げよう!!」
 私はそう自分にかつを入れて、最初の依頼地…紅魔館へと向かいました。









 見慣れた湖上を進むこと十数分、その紅い館は周囲からの関わりを拒むかのように、そこに建っていました。
 私は、敵意がないことを示すため、ゆっくりと高度を下げ、低速で門前へと舞い降ります。

「誰かいませ…」
 私が言いかけた時、幾人かの門番さんが私の目の前へ現れました。一体どこにいたんでしょうか?全然気がつきませんでした。





「どちらさまでしょうか?ご用件は?」
 さて、その中の一人が一歩進み出ると、笑顔で私に言いました。

 …笑顔、ですが、その笑顔には回答拒否など認めないという確固たる意志が見え隠れしています。
 他の方は、その人の後方に速やかに横列をつくり、私の進路を塞ぎます。

 来客…私に対する笑顔は忘れずに、だけど警戒も怠らない、さすがです。



 ですが、私は別にケンカしに来たわけではないので、例の依頼書を見せながらこちらも笑顔で言いました。

「『大ガマ相談所』の者です、フランドールさんとパチュリーさんからこのような依頼をいただいたのですが、入ってもよろしいでしょうか?」
「はい、聞いております。一応確認したいのでお借りしてもよろしいでしょうか?」
「はい、どうぞ」
 私の言葉を聞いた相手の方は、同じく笑顔で…今度は少し優しげな…受け取って、後ろの方にまわしました。



「少々お時間を頂きますのでこちらへどうぞ」
「え…あ、はい」
 一体何があるのか、依頼書を持った方は、そのまま門に隣接する建物へと入っていきます。
 走っていないのに走っているかのような速度で歩いていますね、瀟洒というのはこういうのをいうのでしょうか?
 
 一方、私も、相手の方に案内されて、先の建物の反対側へと通されました。







~控え室~

「お嬢様はとても有名な方です。ですので、倒して名を上げようとあの手この手でこの館に進入してくる手合いが多くて…」
 テーブルの反対側に座り話すその方…先ほど聞いたところによると、リンナさんという名前だそうですが…は、そう言ってため息をつきました。

 何でも、幻想郷においてその強さをもって名を知られるこの館の主、レミリアさんを倒そうとしてこの館に押しかける妖怪は後をたたず、それを防ぐ門番さん達を倒して…もしくは騙して通ろうとする手合いが非常に多いそうなのです。

 そして、偽の手紙をもって通ろうとする輩も多く、この紅魔館では『筆跡鑑定部』なる部門が全ての手紙を一度検査し、その真偽を見分けているそうです。
 


 目の前に置かれた紅茶を飲みながら私は考えます。有名になるっていうのも楽ではないのですね。
 私のやっていることは大ガマさんにとっていいことなのかどうか…ちょっと不安になりました。

 果たして、無名のまま蔑まれて生きていくのがよいのか、有名になり怖れられながら生きていくのがいいのか…お馬鹿な私にはわかりません。
 




 さて、そんなこんなをしている内に、さっき別な建物に入っていった方がやってきました。そして、彼女がリンナさんに何事か囁くと、リンナさんは笑顔で言いました。

「お待たせしました、本物ということが分かりましたのでこちらにどうぞ」
「あ…はい、ありがとうございます」





 リンナさんは私を先導し進みます。長い長い廊下には塵一つ落ちておらず、その手入れにあたっている方達の凄さを教えてくれました。





 さて、三十分も歩いたでしょうか、いくつもの曲がり角を曲がり、さらにまっすぐな廊下に出たとき、リンナさんは突然立ち止まりました。

「ここです」
「へ?」
 リンナさんが指さしたのは、見たところ何の変哲もない壁です。一体どういう意味なのでしょうか?

 ですが、戸惑う私にリンナさんは微笑むと、壁の一部分を押しました。

「えっ…」

 その瞬間、リンナさんが押した所が押し込まれ、同時に『壁が開き』ます。





「どうぞ」
 重々しい音を立てて扉…じゃなかった壁が開いた時、私の目の前には長く長く続く螺旋階段が見えていました。





コツンコツン

 蝋燭の灯りで照らされた薄暗い階段に、私とリンナさんの靴音だけが響きます。
 紅を基調とした丁寧な装飾があった今までの廊下とは違い、ひたすら頑強な造りの階段です。
 途中にはいくつもの鉄の扉があり、その分厚い扉はいつでも降ろせるようになっていました。リンナさんが言うには、次の依頼人パチュリーさんが施した防御魔法も備えているそうです。 
 
 もっとも、マスタースパーク級の攻撃を想定したその扉でさえ、フランドールさん相手ではスープ缶並の強度しかないそうなのですが…



「うう…」
 前途がとても不安です。



 でも、そんな不安そうな私を見て、リンナさんがにっこり笑って声をかけてくれました。

「大丈夫ですよ、部屋の前にはレミリア様とフランドール様の専属護衛隊…通称『紅衛隊』が控えておりますし…頑張れば死ぬことは『あんまりない』と思いますよ」
「は…はぁ…」
 
 いえ、リンナさん、励ますつもりが励ましになっていないんですけど。

 っていうか不安がますます膨らんでいます…



 でも、もうそんな風に悩んでいる時間はなくなりました。





「こちらです」
 リンナさんが指さしたのは今までの扉に比べても、ひときわ分厚い鉄の扉です。

 リンナさんが前に立つと、その分厚い扉が内側から開かれました。





「ようこそおいで下さいました、フランドール様がお待ちかねです。こちらへ」
 私の視界が広がり、その中に幾人かの方が並んで立っています。
 そして、目の前に立った方は、そう言うと私を部屋の奥へと案内して下さいました。



 上の階の過剰なまでの装飾が施された部屋とは異なり、そこは最低限度の家具等しか置かれていない合理的な部屋でした。ですが、その中に一つだけ、とてもきれいな模様が描かれた扉がありました。



 私を案内して下さった方は、その扉の前で止まり、そして言いました。



「大妖精様、フランドール様はとても可哀想な方なのです。決して悪い心を持った方ではありません、とても純粋な心をお持ちなのです。なのに、その力の使い方を知らないばかりにこんな所に閉じこめられて…大妖精様、もし貴方が危険になれば私達が全力で護衛いたします。ですから、どうか少しでも長くフランドール様と共に過ごしてあげて下さい」

「え…はい!」
 少し寂しげに言ったその方の言葉に、私はしっかりと答えました。

 チルノちゃんと一緒なのかも…純粋なばかりに逆に周りから遠ざけられる、うん、そんな子のために頑張ろう!



 私は、そう決意して一歩前へと進みます。



「よろしいですか?それでは開きますね」
 そんな言葉と共に、扉がゆっくりと開かれ、私の目の前にその部屋が現れました…



「おじゃまします…」
 薄暗いその部屋に私は足を踏み入れました。



と…



「それではよろしくお願いします。ご安心下さい、足や手はよく壊されますが、首が飛んだり心臓が壊されたりということは『ほとんど』ありませんので。あ、もし壊されたとしても、運がよければパチュリー様に『直して』いただけます。種族が変わってしまうのが難点ですが。それでは」

「え…ちょ…待って!?」
 次の瞬間、全然安心できない言葉が背後から届けられ、あっという間に扉が閉じられました。

 っていうか種族が変わるって…それ死んでませんか?



 何はともあれ、私は周囲を見回します。薄暗い部屋に目が慣れてくると、いくつかの金属製の家具と、そしてその周囲にいろいろなおもちゃが無造作に飛び散っているのがみえました。



 …ばらばらになって『飛び散って』いるのとかも、とても不安なんですが…



 でも、当人はどこにもいらっしゃいません。私は、思い切って呼んでみることにしました。

「あのーフランドールさん?依頼を受けて来た『大ガマ相談所』の大妖精です。いらっしゃいますかー?」

 私の言葉が部屋に響き渡り、やがてそれが消え去る頃…突然頭上から『何か』が降ってきました。

「こんにちわー!!」
「きゃっ!?」
 『何か』はそんな陽気な声を出しながら、私に覆い被さってきました。



「ねぇねぇ、遊んでくれるんでしょ?」
「フ…フランドールさん?」
 私に覆い被さってきたその暖かくてやわらかい『何か』に私は言いました。



「うん、フランでいいよ。本当に来てくれた…お姉様ちゃんとお手紙届けてくれたんだ」
 フラン…さんは、そう言うと私の上から降りてにっこり笑います。冷たさのかけらも見当たらないような可愛い女の子。
 
 そんな彼女から、何の悪意も感じられない笑顔が私に届けられました。



「はい、その為に来たんですから!あ…でも私は壊れ物なので大切に扱って下さいね?」
 少し安心した私は、フランさんに私はそう言って微笑みます。もっとも、言葉の後ろ半分には若干の怯えが混じっていたことは否定しませんが…



「うん、わかった。そこまで贅沢は言わないから大切に遊ぶよ。ねぇ早く遊ぼ」
 そう言って私の手を引くフランさん、何か…チルノちゃんとはちょっと違った素直さです。
 そんなフランさんに私は言いました。



「うん、喜んで」







「じゃあ…弾幕ごっこね」
「え…」
 あ…あの?フランさん?さっき『大切に扱って下さいね?』って…

「大切に弾幕撃つから…アソボ?」
「ひっ!?」
 次の瞬間、私の言葉を聞いたフランさんの瞳が冷たく光り、さっきとは全く違う形容しがたい笑顔が私に向けられます…次の瞬間、次々と弾幕が私に襲いかかりました。





「痛っ痛い!フランさん!!やめて下さい!!やめて!!」
「アソボアソボアソボっ!ねぇ、壊れないでねっ!!」
 フランさんは、さっきの暖かな様子をがらりと変え、感情が感じられないようなからからとした笑い声で私に迫ってきます。



 次々と迫る弾幕、私は直撃こそ避けますが、至近弾でも十分な威力です。たちまち私の身体は傷だらけになってしまいました。
 いくらチルノちゃんに振り回されて打たれ強くなっているとはいえ、その威力は段違いでした。

 次の瞬間、私の隣にあった鋼鉄の椅子が吹き飛ばされ、壁に叩きつけられて粉砕されます。
 続いてがっちりと床に固定されていた鉄製のテーブルが被弾、たちまち原型を留めないほどに大破しました。

 いずれも、当たったのはほんの小さな弾です。大型弾が直撃したら…私は飛び散るどころか一瞬で蒸発することになるでしょう。
 
 その時、小さな一弾が私を直撃し、私は壁へと叩きつけられました。





 衝撃で息ができなくなった私は、そのままずるずると床に座り込みました。 

「だっ…誰かっ!」
 苦しい呼吸の中、私は絞り出すように言います、そして、そんな私の声に応えてくれた方たちがいらっしゃいました。




「フランドール様!落ち着いて下さい!!」
「A班左翼へ!B,C班は大妖精さんを護衛しつつ後退!!」
 そう、『紅衛隊』の方々です。

 次々と室内に入ってきた紅衛隊の方々は、たちまちフランさんの周囲に展開し、私を助け起こして下さいました。

 よかった、これでやっと… 



「みんなも遊んでくれるの?」
「「「!?」」」
 でも、そんな安心はフランさんの笑顔で消し飛びました。

「あははっ!アソボっ!!みんなでアソボっ!!!」
 ますます声を高くしたフランさんは、狂ったように弾幕を放ち出します。何か状況が悪化した気がするのは気のせいでしょうか?

 でも、今度は『紅衛隊』の皆さんがいらっしゃいます。普段からフランさんの相手をしている方々なら、フランさんを落ち着かせる方法もご存知でしょうし、適切な対応をしてくださるでしょう。

 私は期待の目線で紅衛隊の皆さんの方を見ました。そして、皆さんは私の期待に応えるかのように…










「ちょっ!レミリア様落ち着いて下さい!!」
「違うでしょ、いくら同じ羽根つきだからって何間違えてんの!パチュリー様よ!!」
「同じ密室少女だからって何言ってんの!小悪魔様よ!!」
「悪魔違いよ、腐乱人形様よ!!」
「あんたわざと!?」
「あははっあはははっ!!」
「戦闘神経症!?正気に戻りなさい!!」
「助けてっ!私まだ死にたくない!!」
「箒…箒はどこ!?掃除よ!掃除をしなきゃ!!」
「ここは危険よ即時移動!」
「扉が…扉が開かない!」
「そこは壁でしょっ!扉はここよ!!」
「なんで上に扉があんのよ!天井でしょ!!」
「メイデー・メイデー・メイデー。我攻撃さる、被害甚大、至急救援乞う」
「ゴミ箱で救援要請しても誰も来るはずないでしょう!!」
「今夜はカレーだったのにー!!」
「うう、先輩、メイド長、同期のみんな…お世話になりました。私は先に逝きます、白玉楼の桜の下で会いましょう」



 大混乱に陥っている皆さんの姿でした。…あれ?



「ちょ…紅魔館の精鋭部隊だったんじゃないんですか!?」
 私は側にいた一人のメイドさんを捕まえて言います、が…

「紅衛隊が精鋭部隊だったのは昔の話なんです!フランドール様の所を訪れるのはレミリア様か咲夜様位、暴れるようなこともあまりありませんでしたし…戦況が逼迫しているヴワル魔法図書館や正門戦線にだんだん主力が引き抜かれて、いまでは、隊長以外はダメメイドのたまり場みたいに…いつも紅茶を飲んでお茶会を開いてばかりなのにフランドール様なんて相手にできるわけがないじゃないですか!」

 なぜか逆に半泣きなメイドさんに怒られました。

「あ…そのごめんなさい」
 あれ?なんで私が謝っているんでしょうか?



「あ…その隊長さんはどこに?」
 しばしの沈黙の後、一縷の望みを託して私の言った言葉はたちまち打ち消されました。
「知りませんよ!ちょっと留守にするっていったっきりどこにも…」
 怒ったように言うメイドさん、と…



 その時、何かがひしゃげる音がしました。



「ねぇ…アソボ」
 こっちを向いてにやりと笑うフランさん、その背後では扉がひしゃげています。そう、私たちの力ではとうてい開けないくらいに…

「「「「「あ」」」」」

 あちこちでメイドさんが泡を吹いて倒れます、幾人かの方は何か祈っています。

「チルノちゃん…大ガマさん…ごめんなさい、これまでみたいです」
 そんな中、私も覚悟を完了しました。

 …いつかはチルノちゃんの行動に巻き込まれて儚く消え去ることは予想していたのですが、まさかそれがこんなに早く訪れることになろうとは思ってもいませんでした。
 大ガマさん、どうかチルノちゃんのことをよろしくお願いします。チルノちゃん、あんまり喧嘩はしないでね、大ガマさんの言うことをよく聞いて、ちょっとは落ち着いてね。あと、あんまり熱いものを食べておなかを暖めないようにね、保存食は床下に置いてあるけど無駄に食べたりしないでね、あと…あと…



「ねぇ、もう終わり?コンティニューはできないよ?」
 フランさんがふわっと私の目の前に舞い降ります。



 どうしよう…どうしましょう?かくなる上は…















「あ…あの、トランプでもしませんか?」
「え?」
 そう言って懐からトランプを取り出す私、こんなことで気をそらせるとも思いませんが…



「うん、いいよ!」
 予想通りフランさんはそう言って無情にも私に弾幕を…あれ?

「ねぇねぇババ抜き?それとも神経衰弱?七並べ?」
 フランさんは無邪気な笑顔で私を見てきます。
「え…え?」
 戸惑う私に、フランさんは不思議そうに首を傾げながら言いました。
「…トランプ、しないの?」

「あ…ううん、じゃあ七並べしよっか!」
 私はそうフランさんに答えます。フランさんにとっては『弾幕ごっこ』も、トランプ遊びも、多分同じようなものなのでしょう。
 それに…狂気に駆られたりしなければ、とっても可愛い女の子です。
 
 素直すぎて誤解される…チルノちゃんと似ているのかも知れません。危険度は段違いですけど…







数分後…

「フランドール様!後生ですからハートの5を出してください!!パスがもうないんです!!」
「どーしよっかなーじゃあコレ、ダイヤの5」
「ひどっ!?」
「ジュノーパス3、もうコンティニューできないね♪」
「わーん!フランドール様の悪魔ー!!」
「あははっ悪魔だもん」
「あ…」
「…ハートの9止めんの誰よ?」
「…あんたこそスペードの8出しなさいよ、わかってんのよ?」
「紅茶淹れてきました~」
「「いる!」」
「あははっ!」
 


 さっきまでの地獄の光景はどこへやら、薄暗い室内に、明るいフランドールさんの声が響きます。
 そして、さっきまであれほどパニックに陥っていたメイドさん方も、しっかりちゃっかり紅茶を飲みながらトランプをしていたりします。
 適応力が凄いですね…
 一時はどうなることかと思いましたが、どうやら無事に第一の仕事を終えることができそうです。

「大妖精様、次です、お願いします」
「あ…はい」
 いけないいけない、考え込んでしまったせいで、ついつい自分の番を忘れてしまったようです。
 
 じゃあ…

「ジョーカー!スペードの5!!」
「げ?」
「やったー」
 
 私の出したカードで、笑顔と悔しげな表情が交錯します。でも…

「あははっ!」
 フランドールさんはいつも笑顔です。みんなと遊ぶことがそんなに楽しいんでしょうか…?



 それは間違いなくそうだと思います。自分と遊んでくれる人がいなかったら…話してくれる人がいなかったら…そして自分に笑ってくれたり怒ってくれたりする人がいなかったら…?
 
 たぶん、誰もそれには耐えられないと思うのです。



「今日は楽しいな」
 フランさんが陽気に言ってカードを出します、そのカードを見て必死で考え込むメイドさん。そんな一つ一つのことが、フランさんにはとても嬉しいことなのかも知れません。

「そうですね」
 私はそう答えて次に出すカードを考え出したのでした。












「ばいばい!それじゃあね」
「はい、じゃあまた今度お会いしましょう」
「絶対来てねっ!」
 数時間後、手を振るフランさんに手を振りかえした私は、復旧作業中の扉を抜け、外に出ます。

 あれからは、フランさんも狂気にとらわれることがなく、とても和やかな時を過ごすことができました。

 私はふと思います。
 狂気にとらわれさえしなければあんなに明るくて陽気なフランさん、自分では抑えきれない衝動のせいであんなところに閉じこめられて…それでもなおあの明るさを保てるのは凄いです。
 私があんな所に閉じこめられたら…多分三日と保たずにそれこそ狂気にとらわれてしまうでしょう。



 私は、扉の向こうのフランさんに、沢山の同情と、そしてもっと沢山の尊敬をもって呟きました。

「また遊びましょう、そして…いつか、外でお会いしましょうね」





「そうしてくれるとありがたいわね」
「え?」
 そんな私の呟きに、なぜか言葉が返ってきました。私は慌てて声がした方向を向きました。
 
 そこにいたのは、水色の髪に真紅の瞳をした小さな女の子です。見たところ外見は私と同じくらいでしょうか?

「よく来てくれたわね、ここのメイドから今ここにいるって聞いて来てみたんだけど、本当に来るなんて思ってもいなかったから驚いたわ」
 戸惑う私に、椅子にゆったりと座るその子はかまわず話しかけてきました。う~ん、呼んできたのはいなくなったっていう隊長さんのことなのでしょうか?
 
 状況が把握できない私をよそに、その子は続けます。

「これでフランもちょっと気分転換になればいいんだけどね」
 フランさんを呼び捨て…外見に似合わずずいぶん偉い方なんでしょうか?でもこの館でフランさんより偉い人って…あれ?





 一瞬私の思考が停止しました。





「あの…つかぬことをお伺いしますが」
 私は、ちょっと間をおいて目の前の『方』に話しかけます。
「何よ?」
 


 私は、もう一度間をおいてからこう言いました。



「もしかしてあなたはレミリア・スカーレット…さん?」
 おどおどとした私の質問に、間髪を入れずに答えが返ってきます。

「そうよ、見て分からないの?」
 レミリアさんはきょとんとしたように言いますが、様々な強者狂者凶者がいる紅魔館の主にして極悪非道で唯我独尊出会った者は問答無用で全て切り裂きその血を浴びてけたけたと笑うという噂が絶えず幻想郷最強にして最悪と言われるあの紅い悪魔がこんな小さな女の子だなんて分かるわけがないじゃないですか!

 私の小さな頭脳は高速回転してオーバーヒート寸前でした。ちなみに、こんな事口にしたら昇天確実な気がします。

 と…



「…なにかあなた色々と失礼なことを考えていない?」
 あああ…私は嘘がつけない自分の頭を呪いました。
 ふと我にかえると、レミリアさんがジト目で私を睨んでいます。
 
 多分、私はこの後レミリアさんにばらばらにされて最後の一滴まで血をすすられる運命なのでしょう。せめて痛くないようにしてもらいたいです…



 ところが…



「やれやれ、本当にどんな噂が流れているのかしら。少し調べた方がいいようね」
 …あれ?でもそのレミリアさんはそう言って苦笑するだけで、私に襲いかかってくる気配など全くありません。何故なのでしょう?

「あの…えーと?」
 私は首を傾げます、と…

「一体あなたは私のことをどう聞いているの?」
 悪戯な笑みを浮かべて私に聞いてきたレミリアさんに、私は毒を喰らわば皿までと思い、先程脳内を駆けめぐった言葉をそのまま伝えました。

「様々な強者狂者凶者がいる紅魔館の主にして極悪非道で唯我独尊出会った者は問答無用で全て切り裂きその血を浴びてけたけたと笑うという幻想郷最強にして最悪と言われる紅い悪魔…さん」

 一息に言い切った私に、レミリアさんは一言「よく息が続くわね…」と言ったあと、半分呆れながらこう続けました。

「あのね…一体誰からどういう風に聞いたのかは知らないけど、それは噂に尾びれ背びれ胸びれ以下略がついているわ。本当、そんな噂があるもんだから私を倒そうなんてバカな事考えて来る輩が多いのね。で、噂の発生源はどこなの?」
 レミリアさん…でもそんなジト目で睨まれるとやっぱりちょっと怖いです…かわいいですけど。
 私は、そんなことを思いつつ、レミリアさんにこう答えました。

「えっと…文々。新聞の記事にそう書いてあったって…」
 チルノちゃんが言っていました…と私は続けようとしたのですが、レミリアさんは私の言葉を途中で区切り、こう言いました。

「咲夜、ちょっと行って懲らしめてきなさい」
「はい、お嬢様をそのように書くなど許せませんわ。少々教育して参ります」
「ええ、任せたわ」

 ちなみに、ごく自然に会話してらっしゃいますが、咲夜さん…メイド長さんですね…は、さっきまでこの部屋にいませんでした。
 一体どこから現れたのか…本当に不思議です。そして、多分、噂は8割9割本当なのだろうと私は思いました。
 


 だって…



「A,B,C班に出撃準備を命じなさい、通常装備で15分以内に正門まで。以後直ちに紅魔館を出撃、出鱈目な記事を書いた新聞記者を教育してやるわ」
 毅然と指示を出しているのがなんかとっても怖いんですメイド長さん。しかも、そんな適切な指示の合間合間に「…私の可愛いお嬢様をそんな風に書くなんて許せませんわ。あの黒いの羽根を全部むしって今夜は『烏』鍋にでもしましょうか」とか呟いているあたりが半ば本気っぽくて本当に怖いです…
 別な意味でフランさんより怖い気もしないではないんですが、そんな事を口に出したら今度こそ昇天確実、ヴァルハラまでノンストップで送り届けられることは間違いないので必死に表情を隠しました。



 さて、咲夜さんが歩きながら指示を出し、それを受けてメイドさん達が次々と動き出します。



 …ちなみに、こういっちゃなんですが、今もまだフランさんとトランプをしているメイドさん達より有能そうな感じでした。







「さて…と、あなたはパチェの依頼も受けていたのよね。どんな依頼なの?」
 咲夜さんが部屋の外へ出るのとほぼ同時に、レミリアさんが興味深げに言いました。不思議なほど優しげなその言葉に、私は自然に頷きます。

「パチェ…パチュリーさんですね。はい、えっと…これです」
 私はそう言って『魔理沙に盗られた本を取り返して』と書かれた紙を懐から取り出しました。二つ目の依頼ですね。



「パチェらしいわね、でも…私に頼めばすぐにやってあげるのに、そんなに頼りないのかしら?」
 それを見たレミリアさんは、半ば独語するように言って立ち上がりました。



「ついてきなさい、私が案内してあげるわ。パチェがいるのはヴワル魔法図書館っていうんだけど、初めての人にはわからないでしょうしね」
「え…でも?」
 そして私にかけられる意外なお誘い。戸惑いつつも私はふと思います、やっぱり噂というのはあてにならないものですね。
 だって、あれほど恐ろしい噂が流れていたレミリアさんですけど、いざ会ってみるとこんなに優しい方なんですから。

「いいからついてきなさい、私の気が変わらない内に」
 高圧的な中にも優しさが混じるレミリアさん、そんな彼女に、私は微笑みを返してこう言いました。

「はい、よろしくお願いします!」











~廊下~
 
「…本当、パチェったら引きこもってばかりでね。ちょっとは外に出なさいって言ってるんだけど聞く耳持たないのよ。あのままじゃ本当にもやしになっちゃうんだから」

 長い長い廊下を、私とレミリアさんは歩き続けます。ちなみに、その間にレミリアさんはいかにパチュリーさんが困ったさんなのかを延々力説しているのですが…何か楽しそうなのは気のせいでしょうか?

「あ、そうそう、この前なんて図書館の予算増額を要求しに来たまではいいんだけど、手みやげに持ってきたケーキが何だったと思う?ショートケーキに見せかけて、苺の中身が全部唐辛子だったのよ!思わず吹き出したわ、火を。しかもパチェったら「ああ、言い忘れてたけど苺が足りなかったから悪戯用の模造品で代用したのよ、なかなか刺激的でしょう。刺激の少ないレミィにはぴったりだと思うわ。食べたからには予算は増額してもらうからね」とか言った挙げ句、辛さのあまりじたばたしてる私を見て「そんなに喜んでもらえて嬉しいわ、じゃあ予算増額は当然いいわよね、返事がないって事は肯定と受けとるわ」とか言ってとっとといなくなったのよ。辛さで喋れなかっただけなのに…本当、困ったさんなのよパチェは」

 身ぶり手振りをまじえて話すレミリアさんは、もう喋ることに熱中しています。…う~ん子どもっぽいような気はしないでもないんですけど、表情に出さないように気をつけないと…



 あと…



「…まああの時は仕方ないから予算は増額してあげたんだけど、一週間後にまた来たのよ!魔導書買いたいから予算よこせって!居候のくせに何様なのかしらパチェは。まぁその時も予算はあげたんだけどその五日後にもまた…」
「あの…レミリアさん?」
「何よ?」
 思い切って言った私に、話を遮られたレミリアさんは不機嫌そうに言いました、でも…





「今通り過ぎた扉に『ヴワル魔法図書館』って書いてあったんですけど…」
「…あ」

 喋るのに熱中するあまり、目的地を通過してしまったレミリアさんに私は言いました。レミリアさんは照れ隠しのような表情をしながらこう言います。

「あ、えっと…そう、ここがヴワル魔法図書館よ。ここはパチェと小悪魔が対侵入者用トラップを仕掛けているから、私みたいによく遊びに来て慣れてないと痛い目を見ることになるわ。しっかりついてきなさい」
 そう言って扉に手をかけるレミリアさん、でもなんか嫌な予感がするんです。私ってこういう時にやたらと痛い目に遭うっていうか…不幸の星の元に生まれてる気がするんですよ。
 
 と、レミリアさんがドアノブに手をかけます。私は何が起こってもいいように身構えますが、いつものパターンだと、そんなのはあまり役に立たないのです…はぁ。





「パチェ、入…ふきゃっ!?へぶ…きゅう…」
 でも…あれ?扉を開けて、レミリアさんが一歩足を踏み入れた瞬間、不思議な悲鳴と共にその姿が消えました。一体何が起こったんでしょうか?

 そして、もしかして私より不幸な方がいらっしゃったのでしょうか?でもレミリアさんの能力って『運命操作』じゃありませんでしたっけ?



…もしかして自分の運命は変えられないってオチですか?



 何はともあれ、私はレミリアさんの救援に向かいますが、レミリアさんの姿も声も全く見えない(聞こえない)のです。

 これは一体どうしたことなのでしょうか?



 私が周囲に警戒しつつ一歩足を踏み入れたとき、目の前に翼をはやした紅毛の女の子がやってきました。

「こんにちわ、あなたが大妖精さんですね、門の方からお話は聞いています。で、申し遅れましたが私は小悪魔って言います、どうかよろしくお願いします。あ、パチュリー様の所ですよね、こちらへどーぞ」
 にこにこ笑って言うその子は、ずいぶんと早口で説明自己紹介その他を済ませると、私の手を引いて図書館の奥へと進み出します。問答無用です。

 なんというか…会話の途中に言葉を挟めません、例えば「レミリアさんが行方不明なんですけど…」とかの言葉が。





「あ、私の後をしっかりとついてきて下さいね。一歩でも『通路』から外れるとちょっと大変ですよ」
 にっこり笑って言う小悪魔さんは、巨大な図書館内をくねくねと曲がりながら飛行していきます。
 ちなみに、ふと周囲に目を転じると、方々にピアノ線が張ってあったり、怪しげな水晶球がふよふよと漂ったりしています。
 
 危険な香りがぷんぷんしていますね…



「~あっもう、何でいきなり落とし穴がってぶ!?」



 それにしても、この本棚の数、連綿として絶えざるがごとしとはこういったことをいうのでしょう。
視界が全部本棚です。これほどの本…全て読むことなどできるのでしょうか?



 さて、私がそんなことを考えている間に、目的地に到達したみたいです。小悪魔さんは「あ、ここです。パチュリーさまー!お連れしましたー」とか言いながら高度を下げていきます。私も、彼女にならって床に降り立ちました。

 さて、そんな私の目の前には、色々と紫な方が本を読んでいました。この方がパチュリーさんですね。



「痛っ!?何で水晶が爆発するのよ!!…他人の館に、勝手に機雷原を作らないで欲しいわ」



 さて、彼女は小悪魔さんの声を聞いて本を閉じると、こちらを向いて言いました。

「よく来てくれたわね、やり始めたのがあの妖精のだから、そうあてにしてはいなかったのだけど…」

「あはは…」
 そんな身も蓋もないことをストレートに言いながら、パチュリーさんは続けました。

「私の用件はあの手紙の通りよ、手段は問わないから、あの黒い悪魔から本を取り戻してちょうだい。もちろんやりとげてくれたら報酬は出すわ」
 そう言ったパチュリーさんはそう言うと一口紅茶を飲み、続けます。
 
「まぁ紅茶の一杯でも飲んでいきなさい。それぐらいは出すわ」
 そう言うなり小悪魔さんに紅茶を頼むパチュリーさん、は「小悪魔の淹れる紅茶は格別なのよ」と付け加えて言いました。



「ちょっ!?何で本が噛みついてくるのよ!ここの本は肉食なの!?おかしいじゃない!!」



 それにしても報酬とかはいいんですけど…でも断るのも悪いので触れずにおきましょう。

 …もっとも、成功させるどころか生きて帰れるかも怪しいのですが。

 さて、しばらくしてやってきた小悪魔さんは、爽やかなグレープフルーツの香りを漂わせた紅茶を届けて下さいました。

「ささ、どうぞ。これが最後の一杯なんですよ、明日には補充に行かないと…なにはともあれ疲れたときにはこれが一番です、一口飲めば疲れを忘れ、二口飲めば疲れは消え去り、三口飲めば元気がもりもりわいてきます」


「おいしい…」
 そう言う小悪魔さんから渡された紅茶を飲むと、なるほど確かに爽やかな気分になりました。せっかくですし、依頼を達成したら報酬はこれをお願いしようかとも思いました。



「あ、いたいた、パ…げふっ!?何!?この本棚なに!?なんで私をしまいこもうとしてるの!私本じゃないったら!!」



 それにしても、紅魔館の紅茶は有名ですが、なるほど、お茶っ葉もさることながら淹れた方の技量もまたなかなかです。不安なこと嫌なことも頭の中から飛んでいきます。







 こくこくと飲みすすめた私は、この素敵な差し入れでちょっとだけ幸せな気持ちになりました。





 …ん?そしてさっきから何か声や物音が聞こえているような気がするんですが…何か忘れちゃいけないことを忘れているような…あれ?





「パチェ!何なのよこれは!!」
「あ…」
 ふと記憶を辿っていた私ですが、突然目の前にやってきた本棚…に挟まれていた女の子を見て思い出します。傷だらけで穴だらけ(槍かなんかでしょうか?)、おまけになぜか本だらけな女の子。



 …レミリアさんのこと忘れてました。



「あらレミィ、面白い服ね」
 そんなレミリアさんにパチュリーさんが言います。服ではないと思うんですが…

「面白くないわよ、じゃなくてあのねパチェ!図書館に一歩足を踏み入れたとたん落とし穴、竹槍に串刺しにされながらも閉じた蓋を吹っ飛ばして外に出たら、今度は頭上から岩が降ってくるし、その後も『水晶機雷』にひっかかりながらどうにか辿りつこうとしたら、今度は本に噛みつかれるわどうなってんのよここは!」

 しれっとしているパチュリーさんに対し、レミリアさんは『プンプン』といった言葉が似合いそうな雰囲気で続けます。

「その後もパチェったら名前呼んでも気が付かないし、本棚には挟まれるし…私じゃなきゃ死んでるわよ。本当、一体この図書館はどうなってるの!」
 そう言いつつレミリアさんは椅子をひいて座り…飛び上がりました。

「画鋲!?何古典的な悪戯までしてるのよ!!」
 そう言って腕をぶんぶんと振り回すレミリアさん。ああ…もう何かいっぱいいっぱいになっていませんか?



 一方、パチュリーさんは至極普通の表情でこう言いました。

「引っかかる方が悪いのよレミィ、せっかくの対黒い悪魔用のトラップだったのに、レミィがかかったんじゃ仕方ないじゃない。…あ、画鋲は悪戯に仕掛けて回収してなかっただけだけど。まぁそういうことで復旧の予算はもらうわね、レミィ、今度からは気をつけてね」
「…え、何で私が悪い事になってるの?え?」
「そういうことで復旧費用と…まぁついでに増設費用も後で明細送っておくから」
「え…え…」
 矢継ぎ早に繰り出されるパチュリーさんの言葉に、レミリアさんは対抗できません。たちまち思考停止状態に追い込まれました。

 そして、何かとんでもなく自分勝手な理屈をもってレミリアさんを沈黙させたパチュリーさんは、続いてこちらを振り向きこう言いました。

「それで、大妖精…だったかしら、ひとまず『最重要奪還目標』のリストを渡しておくわね」
 混乱状態のまま沈黙させられたレミリアさんをよそに、私に何かのリストを渡すパチュリーさん。

「それじゃあ頼むわね」
「あ…はい」
 無表情のまま言うパチュリーさんにそう答えると、私は残った紅茶を一息で飲み干し、立ち上がりました。



「それじゃあ行って来ますね」
 私はにっこり笑って立ち上がると、再び小悪魔さんの後ろについて図書館から離脱したのでした。







 私は、小悪魔さんから励ましの言葉をもらって別れると、さらに紅魔館から出るときにも門番隊の皆さんから激励して頂いて、勇躍空へと舞い上がりました。
 次なる目的地は博麗神社、その後パチュリーさんの依頼を達成すべく、魔理沙さんの所ですね。

 ずいぶんと酷い目には遭いましたが第一の依頼は無事に達成、美味しい紅茶も飲めて、ちょっとは元気を取り戻した私、さてと、次の依頼も頑張らないといけないです。
 まだ終わった依頼は一つだけ、残る四つの依頼…というか難題を終わらせて、無事にチルノちゃんと大ガマさんの所に戻れますように…

 私は、門外に広がる青い青い空へと、ささやかなお願いをしていたのでした。













~大妖精及び小悪魔離脱後の図書館内~

「…ねぇ、パチェ、その紅茶美味しそうね」
「もうないわよ」
「…はぁ、じゃあもうなんでもいいわ。ずいぶん血を出しちゃったからのどが渇いて…これもらうわね」
「…別にいいけど」
「~~~~~っ!?」
「…小悪魔が最初に出してくるのって大体が『なにか』入ってるのよね、だから最初に出されたティーポッドは使わないのが鉄則よ、わきにどけておくの。ねぇレミィ、聞いてる?」
「きゅー」





『続く』










以下、余話として

 この日、射命丸文が『自宅』に帰った時に目にしたのは、柱一本障子一枚に至るまで完全に解体された我が家と、同じく釘一本に至るまで完全に分解された家財道具達の姿だった。
 それらは、家があったところに整然と並べられており、むしろそれが不気味さを増加させていたという。

 尚、現場には『紅い月』のバッジが置かれていたとの噂があるが、その詳細は不明である。
 







 


 


 



 ここまで読んで頂きましてありがとうございました。そして登場人物のファンな方へ…ごめんなさい。書いている内に色々と暴走してしまいました。
 特にレミリア様に被害が集中しているような気が…orz

 尚、既に本編より長い外伝ですがまだまだ続きます。次回予告をしてみるとこんな感じです。

 第一の依頼を達成した大妖精であるが、その戦いはまだ始まったばかりであった。次なる目標は博麗神社、強力な戦闘力を誇る巫女『博麗霊夢』が、紅魔館で傷ついた大妖精の前に立ちふさがる。
 しかし、大妖精に『後退』の二文字はない。傷つきながらも博麗神社を目指す大妖精の運命は!?

 …なんなんでしょうこのテンション、色々とやることが溜まっていて続きは遅れそうですが、ここまで書いた以上はしっかり完結させますのでどうか気長にお待ち下さい。
 ちなみに、このお話は一応単体でも楽しんで頂けるよう、連作短編の形(のつもり)で書いたのですがいかがでしたでしょうか?

 あと、『幻想郷大ガマ宣伝委員会』の二人目の名前が無い程度の能力様、アドバイスありがとうございました。ご期待に添えたかどうかは分かりませんが、少しでもお楽しみ頂けましたなら幸いです。

 いつも通り、ご意見ご感想その他色々をお待ちしています。それではまた次回作で。
アッザム・de・ロイヤル
[email protected]
http://blogs.yahoo.co.jp/s310hantou
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コメント



0.3320簡易評価
1.90名前が無い程度の能力削除
この話のパチェは魔理沙並に傲岸不遜ですねw そのパチェに金銭的に搾取されたり酷い目に合わされてるへたレミリア様もすごく可愛いです。
ていうかまさか本当に書いて下さるとは!読めるとは!しかも後四つも!!
6.100空欄削除
おそらく記事が気に入らない連中の仕業
っていうかレミリア配下の十六夜以外にここまで完璧はできまい

と思いつつとりあえず一から組み立てるふーみん(文)であった……
15.90名前が無い程度の能力削除
うわー、大ガマの話めっちゃ好きだったんです。
このシリーズも期待してます。
21.100名前が無い程度の能力削除
このパチェから本を取っていくとは…
ここの魔理沙はとんでもないですね。
23.90偽皇帝削除
非常に面白そうなので期待させていただきます。
27.90削除
ここまで倣岸不遜なパチェ初めて見た。しかしよい。レミリア様のじたばた具合とか笑顔のフランも。まさかこれらの難題を全部読めようとは…先を楽しみにしています。
36.90名前が無い程度の能力削除
大妖精ピンチ
48.100SETH削除
大妖精以上にお嬢様の可愛さがw
50.無評価アッザム・de・ロイヤル削除
ご感想ありがとうございます!励まされました。

>名前が無い程度の能力様
 >この話のパチェは魔理沙並に傲岸不遜ですねw そのパチェに金銭的に搾取されたり酷い目に合わされてるへたレミリア様もすごく可愛いです。
 調子に乗って書いている内にこんな事に…愛が暴走したと解釈してくださいませorz
 >ていうかまさか本当に書いて下さるとは!読めるとは!しかも後四つも!!
 もしや先の名前が無い程度の能力様ですか?いえいえ、こちらこそありがとうございました。こうして反応が返ってきた時ほど嬉しいことはないのですよ。ちなみにあと四つ難題は書きますが、四話になるかは微妙です。霊夢はかなり短くなりそうですし…こんなのですがどうか今後とも見てやって下さい。

>空欄様
 うわ…感想で技量の差を感じます。というわけで感想に100点を…

>二人目の名前が無い程度の能力様
 おおっ…いつか大ガマの偉い人と呼ばれることが夢な私にとって、なんとありがたいお言葉、ご期待に添えるか自信はありませんが、精一杯頑張ります。

>三人目の名前が無い程度の能力様
 >このパチェから本を取っていくとは…
 >ここの魔理沙はとんでもないですね。
 ヴワル魔法図書館を巡る戦闘では、図書館ズの二人以上に周囲に甚大な被害が出ているとか…

>偽皇帝様
 プレッシャーが…(笑)頑張ります。

>翼様
 >ここまで倣岸不遜なパチェ初めて見た。しかしよい。レミリア様のじたばた具合とか笑顔のフランも
 何か、回を重ねる事にレミリア様の権威低下、パチェの権威上昇が進んでいるような気が…
 そして、フランはこんだけ紅魔館モノを書いておきながら、今回が初書きだったので不安でした。そう言って頂けると嬉しいです。

>四人目の名前が無い程度の能力様
 大丈夫ですよ、いつもチルノに振り回されて死にかけていますから♪きっと死にかけ慣れ(?)しているに違いありません。

>SETH様
 書いている内にどんどんと…でも、私もあんなレミリア様は大好きです。
52.70変身D削除
チルノと大ガマの為にここまで頑張る健気な大妖精可愛いよ!
……そしてカリスマダダ落ちのレミリア嬢も可愛いよ!(w
56.無評価アッザム・de・ロイヤル削除
>変身D様
ご感想ありがとうございます!
けなげ大妖精とへたレミリアは当SSの標準装備となっておりますwww
78.100名前が無い程度の能力削除
パチェ強いw
お嬢様ヘタレでかわいい