Coolier - 新生・東方創想話

予報外れの雨、万象に

2006/10/16 08:58:25
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人妖問わず来訪を拒絶する竹林。そこに、今は穏やかな喧騒があった。
震源には陽光が射し、日陰の群れは避けるように広がっている。
スポットライトを浴びているのは、制服を着た月の兎だ。
その兎と臼を中心に、餅を待つ人々の列が輪となって囲んでいた。



「ほらほら、餅もってこーい」
「はーい、ただいま……って、またあんた! いったい何個目よ!」

餅は一人一つずつだ。
なのにこの巫女、いつのまにか待機列の間に現れて、何度も餅を奪っている。
私は八つ当たり気味に杵を振り下ろし、なんでこんなやつの言いなりにと思う。
けれど相棒役の兎が絶妙な間で餅をこねるものだから、手を止めるわけにもいかない。

「こんなの誰がついても同じ餅だって。ちょっと少し休ませてよ~。
そもそも月の兎なんて私一人しか居ないんだから、この企画自体に無理があるんだってば」

ぐにょりと粘りつく餅に、苛立ちが高まる。癇癪を起こしそうになったときだった。
腕を地面に引き続けていた杵が、不意に軽くなった。

「じゃあちょっと見てなさい」
「あ、……えぇ!?」

傍らを見遣れば、半眼で不敵な笑みを浮かべた姫がいた。
袖をまくった白い腕で、倍近い太さの杵を掴んでいる。
止める間もなく私から杵を奪い、大上段へ振りかぶった。

「ほら、せっ」
「わっ」

切れた風の波長。そして杵は臼の縁にあたり、硬い木の鳴らした波紋が広がる。
こねようと手を出していた兎の、耳の白い毛が数本舞った。はらはら。

「あら、ごめんなさいごめんなさい」

ギャラリーの空気が薄くなり、月の雰囲気が再現される。
張本人の姫は鼻歌混じりで杵を足元に放り投げていた。
肩の黒髪はうなじにまとめ、ドラゴンバレッタでぱちりと止める。
肩を回して深呼吸。ちょっといきいきしすぎです、姫。
いつしか右手に持った玉の枝を、手品のように取り出した御石の鉢に突き刺した。
枝はぐんぐんにょきにょき伸びて、姫の背を超え成長を終えた。
ひしゃくの先を伸ばしたような、それはもう杵というか戦槌です、姫。
掲げたそれを一瞬溜めて、やぁっ、と掛け声。
蓬莱の石の杵(ビビンバハンマー)は虹色の軌跡を描き――餅を叩き潰した。
小さい餅の塊が、無残に無念に飛び散った。どうみてもやりすぎです、姫。
誰も動けない。

「よし。さぁこれを食べなさい」
「むぐ」

素手で掴んだいびつな白塊を口に捻じ込まれる。何か固い部分が歯茎にささりました、姫。
そのまま顎を挟まれホールドアップ、

「噛みなさい」
「はむ」
「飲み込みなさい」
「ぅぐっ」
「詰まらせなさい」
「……っ、ぶはっ、ごほっ」

いったいこれは何のショーですか、姫。

「どう? 誰がついても同じ餅かしら?」
「い、ぃいえ、けほっ、そンなこと、ありませ――ォ、美味しかった、です、姫」
「私もね、貴方がたった一人の月の兎だから頼んだの」
「……え?」

むせび終えたころには、姫は背を向け飛び去っていた。
兎たちはせっせと餅を丸めているし、人間たちは列にならんで待っている。
わざとらしいくらい何事もなかったかのように。
私は萃まる視線から目を逸らすように下を向く。
胸いっぱいに息を吸い、一拍休み、そして吐きだすゆっくりと。
さっきまで喉に詰まっていた溜息は、餅と一緒に飲み込んでしまった。

一人ぼっちの月の兎にも、仕事と居場所がここにある。
ありがとうございます、姫。
皮の捲れた指を握って、声を張り上げ宣言する。

「お待たせしました! 月の兎による餅つきショー、再開します!」



――予報外れの雨、万象に――



私が離れてしばらくした後、宣言が聞こえ、餅つきが始まった。
会場の外れで見回りをしていると、人の輪から少し離れた所に、
挙動不審にうろうろしている狐を見つけた。狐に見えるが尻尾が多い。
いつぞやの夜は回転タックルをされた気もするが、今日は大切な客だ。

「どうかしました?」
「おお、いいところに来てくれた。実は連れとはぐれてしまったんだ」

そう言いながらもきょろきょろと視線と尻尾を巡らせている。落ち着きがない。
右手にはマタタビらしきものを持っていて、お払いするように動かしている。

「お連れさんの見た目は?」
「10台半ばくらいか。帽子をかぶっていて、耳が出ている」
「ふむふむ。そこのイナバ、貴方たちは探しに散って」

警備として巡回しているイナバ(二羽一組だ)を呼び止め指事を出す。
イナバたちはこっくり頷くとぴょこぴょこ跳ねながら駆けて行った。
一応緊急事態の部類なのだけれど、全くそれを感じさせない。
むしろ子供達が真似をしながら追い掛けていて、少し和む。
適材適所、よい人選兎選だ、さすが私。

「そうそう、尻尾が二股なんだ」
「尻尾?」

あぁ連れも妖怪なのねと納得しかけて、そのときだ。永琳の術による放送が聞こえた。

「お客様のお呼び出しを申し上げます。マヨヒガからお越しの八雲藍様、
 水色のお洋服をお召しの橙ちゃんをお預かりしております。
 至急、月史館場前受付までお越しください」

これのことじゃないのと問う前に、狐はすごい勢いで飛んで行った。回転しながら。
さっきの子供も真似をしてでんぐり返りをしだした。
何かのパフォーマンスだと思っているのだろうけれど、
妖怪を恐れない人間を見ていると、思わず頬が緩む。
昔は見られなかった光景だ。



///

会場の入り口には、小さなテーブルを置いただけの受付がある。
八意永琳によって、どちらから来てもそこを通るような結界が張られていた。
今テーブルで頬杖をついているのは年長の妖怪兎だった。



箱いっぱいにたまった丸い物を目にし、ため息が出た。
来場者が多いから、一人当たりは僅かな入場料でも、かなり集まっている。
私が賽銭詐欺までしてせっせと溜めた苦労はなんだったんだか。

「展示系ならあちらですね、本日から隣で餅つきショーも開催中です」

営業スマイルは板についた。収穫といえばそれくらい。
訪れる人妖は多種多様でも、内心を出さずに笑顔を振りまくのは簡単だ。
が、受付嬢といえば聞こえはいいけれど、要は道案内。
餅つきショーの主役との扱いの差を考えると、どうしても耳が下を向いた。

「あのー、すみません、前からこのあたりの林に住んでいるの?」

少しぼうっとしていると、そんな質問が聞こえた。
声の主は、ついさっき迷子として保護された妖怪だった。
ちらちらとこちらを窺っている気配は感じていたのだけれど、気に留めていなかった。
帽子をはみ出す猫の耳、爪が長くて尻尾は二本、丸い瞳に細めの瞳孔。
さほど怪しさは感じないのでにこりと笑って返しておく。

「企業秘密です」
「小さい頃ここらで迷ったことがあって、そのとき見かけたような気がしたの」
「……さぁ、そういう話は知らないわよ」

これで話は終わりと、態度で示す。
むぅ、と肩が落ち、うねうねしていたニ本の尻尾も垂れる。わかりやすかった。

「そう……里の猫も助けられているから、お礼しようと思ったのになぁ」
「迂闊に筍採りをしようなんて考えるから迷うのよ」

こっちの苦労も知らないで、と胸中で呟いて、猫が目をぱちくりしているのに気付く。

「あれ、筍?」
「だ、大体このあたりに来る人間は山菜目当てなの。猫は知らないけどさ」
「うんうん。おいしいんだよねぇ」

嬉しそうに頷くものだから、ちょっと焦った。
意外と覚えているものなんだと思い、少し喜んでいる自分がいたから。
竹林に人間がいると、変な妖怪まで釣られて呼び込まれることがある。
だから私の領地を守るための、人間や動物を追い出すためだけのつもりだった。
どうもむずがゆくてかなわないので、話題をタケノコ料理にでもそらすかと考え、

「お客様のお呼び出しを申し上げます――」

迷子の呼び出しに遮られた。すると、あ、と呟いた猫が耳を立ててなにかに反応。
ほとんど間をおかずして、竹林から巨大な毛玉が高速回転しながら飛んできた。

「藍さま!」
「橙!」

腕を広げた猫に激突したように見えたけれど、吹き飛んだりはしなかった。頑丈な奴らだ。

「もう、あれほど離れるなと言ったのに」
「ごめんなさい」
「まぁ、無事でよかった。紫様は?」
「なんとかタンサシャに乗っていっちゃった」
「そ、そうか」

しばし抱き合ったままごにょごにょ会話がなされた後、少し離れた。
猫は狐の後ろに回り、無駄に多くてふかふかの尻尾を掴んだ。少し羨ましい。
そんなこと永琳が耳にしたら悪夢が現実になるから間違っても口にはしないけれど。

「ん、尻尾を掴むな尻尾を、動きにくいだろう」
「……ごめんなさい」
「だから、な。こうしよう」
「わ」

狐は、猫の爪の伸びた小さい手を握る。恥ずかしそうに視線をそらすな。こっちが照れる。
猫が嬉しそうに目を細めていた。私は安心したやら何やらで大きく息を吐いた。

「兎の貴方も、ありがとう」

と、猫がこちらを振り返り、ぺこりと頭を下げた。
帽子がずり落ちそうになったところを狐が押さえ、そのまま頭を撫でている。
仕方ないから、私も手を(肘から上だけ)振ってさっさと行けという念を送る。
が、猫があいた方の手を大きく振るものだから、つい笑顔までサービスしてしまった。

――百年に一度くらいなら、こういうのも悪くない。
もちろん、餅をついて晒しものになるよりは、という意味で。



///

盛況をみせる餅つき会場の傍らで、月史館は閑散としていた。
そんな人影もまばらな展示場に、日傘を差して悠々と歩く二人連れもあった。



「咲夜、あの変な衣装は何かしら。頭の部分は抜け殻みたいだわ」
「宇宙服というそうです。空気がないところで活動するためのものだとか」

へぇ、と頷くお嬢様。一介の客として訪れている手前、自制はしているようだけれど
猫の瞳よろしくすぼまった眼は、今にも引っ掴んで触ってみたいと告げていた。
普段のお洒落にもこれくらい関心を示してくだされば、と思わないでもない。

「じゃぁ月に行く時までには用意しないとね」
「えぇ。そのためにもお嬢様、今試着してみますか?」

目を丸くして私を見上げる様子は、見た目相応の子供らしい愛らしさだった。
時を止めてしばし眺める。あぁ、幸せ。誘ってよかった。
新しい玩具を手にしたときの妹様と、実によく似ていらっしゃる。
いろんな角度から堪能した後、再び流れを取り戻す。
が、手を引かれて近寄ると、お嬢様のお顔に影が差した。

「――私には少し大きいように見える」
「生地が厚いようですから、そうでもありませんよ」

戸惑いながらこちらを窺うお嬢様に、私はゆっくりかぶりを振る。
目を合わせ、眉を上げて微笑むと、つられたようにお嬢様も笑みを取り戻した。
私は頷き、宇宙服を着せて差し上げようと手を伸ばしたときだった。

「残念だったわね! この服はあたい、宇宙妖精チルノがいただいたわ!」
「咲夜。服が喋った」
「いえ。曇っていて顔は見えませんが中に何か居るようです」

宇宙服の機能なのか、中の気配がほとんど感じられなかったのが誤算だった。
表情が険しくなるのを抑えつつ、服を観察する。

「今のあたいは暑さもカット、いつにもまして最強ね!」

ため息が重なる。

「確かに、あの服を傷つけずに追い出すのは少し面倒ですわ」
「んー。門番はそういうの得意なのにね」
「……少々時間を頂いても?」
「あれ、咲夜怒ってる?」

牙を見せて私をからかうお嬢様。苦笑して、ナイフを収める。
優しく、だ。自分に優しく。
ここで暴れるのは簡単だが、揉め事を起こせばこのスイートタイムも失われる。

「いいえ――いえ、はい。誤解を生むような言い回しをした私自身に対して、ですが」
「もう、ムキになるから可愛いのに。聞き分けがいいのもつまらないわ」
「っ」

お嬢様は羽を動かさずにふっと浮くと、私の頭をぽんぽんと叩く。
私は黙って俯くしかない。

「餅つきとやらを見に行きましょう。バカならいつでも見れるんだから」
「はい、お嬢様」



///



仏頂面した妖夢はいつものこと。半霊が無口なのもいつものこと。
けれど、こんな日くらい楽しませてあげたいと思う。

「幽々子様、もう少し落ち着きましょう」
「見て見て妖夢、天の羽衣だって」

半透明の布と言ってしまえばそれまでなのに、
羽衣と言われると急に神々しく見えるから不思議だ。

「モノ欲しそうな顔したってダメですよ。おやつとは違うんですから」
「衣と食。どちらも生きていく上で大切なものよ」

腕を組み、目を閉じて諭すように言うのがポイントだ。
それなのに妖夢ときたら半人前に溜め息なんてつきながら

「死んでいくには不要です」
「えー。ほーしーいー!」
「ええい、駄々をこね「いいわよ」

遮って答えたのは、ここの主人。騒いでいたから目に留まったのだろう。

「わ、ありがとう」
「って輝夜さん! 幽々子様を甘やかさないでください!
 幽々子様も扇出さない! 踊らない!」

くるくる回って喜びを表現する私に、むすっとした顔の妖夢。
上下運動している半霊は何が言いたいんだろう。
と、輝夜がしたり顔で頷きながら言った。

「いいじゃない。お嬢様は甘やかされて育つものなの」
「そうよそうよ」
「まだ育つ気ですか貴方は」

私は輝夜と横目を見合わせ、ついで視線を妖夢の胸元へ。
にやけそうになる口元を扇で隠す。

「な、なんですかその憐れみの視線は!」

刹那。轟音とともに、白黒の直線が視界の端を飛び去っていった。
輝夜はそれを目で追うと、笑顔を崩さず告げた。

「じゃぁ、私は失礼するわね」

あら、いってらっしゃいと手を振っておく。
主催者は大変ねぇ、そうですねなどと見送り。隙をついて、

「はい、妖夢」
「……へ?」

ふわりと羽衣を肩にかぶせる。
妖夢は死にたての霊みたいに何がなんだか分からないと言った顔をしている。

「もう。最初から2番目くらいに言ったわよ」
「生きていく――って、もしかして最初からそのつもりで?」
「主の話はちゃんと聞くのでしょう?」
「あ……はいっ」

半霊ともども気をつけの姿勢で頷いた。

「よろしい。次は宇宙食コーナーよ!」



///



「姫」
「物好きもいたものね。警備のイナバたちは?」
「無事です。が、兎たちで追撃するには荷が重い相手です。私が密葬してきましょうか?」
「うーん。宴もたけなわなのよね。ちょっと散歩に行きたくなったわ」
「……わかりました。こちらは何事もなかったことにします」
「えぇ、よろしくね。あと、そう、持っていかれたのは?」
「それが……一冊の書物、と」
「あら、見る目があるわね」



///



「ほぅ、月人達はこの牛車で空を渡ってきたのか」

磨耗しているものの、朽ちる気配のない車輪。軽くなぞり、歴史に想いを馳せる。
妹紅は何の興味も感慨も湧かないらしく、お手上げのポーズで

「あいつは乗らなくても飛べるじゃん」

などと言いおった。あまつさえ乗り込んで寝ようとしている。羨ましい、もとい図々しい。
無理矢理連れてきた手前、あまり強くは言えない。と思いつつも口が動く。

「妹紅。それは浅慮というものだ。歩ける人間でも馬に乗るだろう?
 そもそも乗り物とは、船のように歩いては行けないところへ行くための必要性、
 そして速くあるいは楽に移動したいという欲求、この二つの歴史だと言えるものでな、
 さっき飛んで行った魔女の空飛ぶ箒などは正にその両者を実現しえた珍しい例で——」

引きずりおろすか、私も乗り込むか。実は乗ってみたい。こんな機会そうないのだ。
人目は気になるが、迷った挙げ句に乗ろうとして――しかし後ろから襟首を掴まれた。
あぁ、普段私に叱られる子供たちはこういう気分なのか。首をすくめて恐る恐る振り返る。
笑顔の自称薬師がいた。いや、イイ顔をしている。実に怖い。

「やんちゃを見逃す代わりにお願いがあるんだけど」
「断る」
「お願いがあるんだけど」

心なしか、彼女の服に縫い込まれた星座の模様が光ったように見えた。
いやだ。天文密葬はいやだ。あんなろくな歴史もないところはいやだ。

「記憶を消したいのよね」
「は!?」
「いえね、記憶を消す方法もないではないけれど、私だと加減が効かないのよね。
 主な客層の、ただの地上人相手には貴方の力がベストだと判断したの」
「ん、地上人相手? まずちゃんと説明しろ」
「えぇ。展示物一つ分の歴史、隠して貰えないかしら」
「私は便利屋か」

半眼で睨んでも、動じもしない。

「あら、違ったかしら、人間好きなハクタクさん?」
「ふん、変な脅しをせずとも良い。隠す期間は?」
「今から永遠」
「無理だ」
「永遠はこっちで用意するわ。まぁ、そこは百年くらいで止めてもいいでしょう」

頭を抑えたくなった。
つまり、今生きている人間は死ぬまで思い出させるつもりはない、ということか。
気にかかるが、この天才薬師が私を頼るくらいだ。やんごとなき事情があるのは判る。

「だが、せっかく展示した物だろう、本当になかったことにしてしまっていいのか?」
「姫は、過ぎたことに囚われたりしない」
「ふむ……よし、里の者達も楽しんでいることだしな、私なりの礼として引き受けよう」

薬師が余裕の笑みから安堵した表情に変わったのを見て、私も少し笑った。
優先すべきものが明確なだけで、『地上人』がどうでも良い訳ではないのだろう。
この薬師の、手段を選ぶために労を惜しまないところは嫌いではない。

と、そういえば。
妹紅はどこに行った?



///



餅つき会場には人の山。いざという段になって私と半獣は立ち止まった。

「混乱を呼びそうだな。記憶が欠けてもおかしくない状況になればいいんだが」
「記憶が、ね」

できれば自然な流れが良い。口元に握った手を当てしばし思案。
薬品庫の貯蔵を考え、響いた抜けるような音に思考を中断させられた。
視界が一瞬白く染まり、夜空に花火が咲いた。
二段階に広がった華は、赤から黄、白へと変わり、すう、と落ちて消えていく。
ぱらぱらとかかる火の粉に、遅れて周囲から歓声があがった。
さらにそれらを上回る声が轟く。

「さぁさぁ、餅を食べたら酒も呑め、月の酒・試飲会を始めるよ!」
「……月の酒?」

見れば、瓢箪を持った子供がぴょこんぴょこんと飛び跳ね腕をぐるぐる回している。
人波の中でも目立つのは、折れ曲がった二本の角。鬼だ。いつの間に。

「細かいことは呑んだらわかる! 酔って吐いたらこっちの姉さんに介抱してもらえ!」

びしっと私を指差して、不敵に笑う小鬼。
まず頭に浮かんだのは珍しい生き物だと言うこと、ついでどう捕獲しようということ。
そしてこの小鬼が言わんとしていることを理解し、私に視線が集まっていることに気付き、
腕を組みながら不承不承に頷いた。

「そうね……二日酔いの薬なら用意するわ」

再び歓声と花火が上がるのを聞きながら、この突発イベントは姫が怒るだろうなと思う。
よくも私のいない時にそんな楽しそうなことを、と。



///



すっかり日の落ちた空は暗く、急ぎ飛行しながらそれに気付いたのは声がしたからだ。

「ちぇっ、しょうがないな」
「まったく、どうしたものかしら」

と、上海人形に急制動。私より低空、竹林すれすれを飛んでいたのは、

「「あ」」

忘れもしない。札を張り付けたもんぺ、足下まで伸びた白い髪。
そして背に負う炎の鳥。

「な、何してるのあんた。まさかお姫様のところへ?」
「お前こそ、そうだ、凄い勢いで飛んでいったのは確かお友達じゃないのか?」

運の悪さを後悔しながら、間合いをとって身構える。

「友達なんかじゃないわよ! 暑くて、そう夜風にあたっているの」
「私だって、花火を見やすい場所を探しているだけだ」

互い、目をそらした。嘘だとまるわかりだ。どん、と後方で花火が上がり、
別方向、やや離れた上空でも赤い光が走った。あちらでは弾幕ごっこが始まったらしい。
勢いで出てきたものの、よく考えれば行ったところでどうしたいのかもわからない。
始まる前ならともかく、決闘に横やりを入れるほどの理由もない。
なんとなく気まずい空気が流れ、視線が会う。どうせ同じことを考えていたのだろう。
どちらからともなく苦笑が漏れた。

「私はここらで見ているわ」
「私もそうするか」

いいの? と言いたげな上海人形の頭を撫でる。
いいの、と自分に言い聞かせる。
派手な光を目で追いながら、和やかでもない、殺伐でもない、不思議な空気が流れる。
誰かとこう、何もしないで一緒にいるということはあまりないから。

「そうだ、お前に訊きたいことがある」
「なに?」

思考を中断して、相手を横目で見る。

「新しい人形を手に入れたら、古い人形には興味がなくなるのか?」
「そんなことないわよ。なに、古くなった人形がほしいの?」
「違う」
「なんだ、一つくらいならあげるのに」

上海がびくりと震えた、ような気がした。無論、気のせいだ。

「じゃぁそこまで言うならせっかくだしやっぱり貰おうかな――って違う!
 それでも、新しいものを創るってことは古いものでは満足できないからだろ?」
「ちょっと違う。飽きなくても、同じものだけだと単調になるから。
 別のものをみることで、また見えてくることもあるし。温故知新、は違うか」

ひゅるる、という柳のような花火が滴るように咲いて、散って行った。
相手は腕を組んで黙ってしまったので、私も気になったことを訊いてみる。

「ところで貴方が輝夜とばっかり遊んでいるのは、輝夜が死なないから?」
「遊んでるわけじゃ――」

いきりたつ相手を手で制して、言い直す。ストレートにいこう。

「あんたは私達を、自分より先に死ぬ相手をどう想ってるの」
「そんな後先は考えないな」

なんだかあいつも同じことを言いそうだなと思った。

「私らは、過ぎたこと、先のことを考えてたらキリがないからな」
「まぁそうでしょうね」
「だから、せいぜい今を楽しむしかない」

そういいながら、遥か彼方に目を向ける彼女を見て、
まったく、人間らしい言い分ねと、私は思った。



///



目立たないように低空で竹林を抜けようとしたのがまずかった。
迷った。
たまに花火のあがる場所が永遠亭だとすると、ほとんど離れていないことになる。
そして追ってくる風は速い。覚悟を決めた。停止、そのまま急上昇。
木々の上、冷えた空気に身震いして、相手を待つ。

奴は顎に手を当て僅かに首をかしげる。黒い髪がたなびいた。

「考古学者さんだったかしら」
「あぁ。ちょうど帰って考古するところだ。土産はもう貰ったぜ」

奴は腰の左右に両手を運び、憮然とした表情で、

「そんな土産は渡してない。このまま帰す訳にはいかないわ」
「貰った以上は私のものだ。返す訳にはいかないな」

ふむ、と腕を組んで口を結ぶ。

「そうね。そんなに欲しいならあげたっていいわ」
「いいのか。じゃ」
「でもね。貴方は私たちの万象展をぶちこわした。こっちは見逃さないわよ」
「宝を持ってくるのが難題なら、宝を持っていくのも難題か」

ぱちぱち、と手を打つ音。

「わかってるじゃない」
「いいぜ。難題なんてちゃっちゃと解いて、正々堂々盗んで帰る!」

奴は眼を閉じ、黙想するように動きを止めた。私も静止。
遠く、腹に響く音とともに大輪の華が三つ、開いて消えた。
風が凪ぎ、開いた瞳は月と同じ円。

「ただでは何も得られない。
 物には代価を。願いに魂を。永遠(とわ)の生には須臾の死を。
 千年の日々に等しいものが、果たして貴方にあるかしら?」

鼓動が加速し、周囲のすべてが遠ざかる。風を切る音も、笹の擦れる音もない。
口の端を吊り上げた相手の笑み。
空気を灼く音。
そして輝夜に世界が萃まる。

「光あれ」

その色は赤。
ぎらぎらと明滅する石に収束した力は、一次元の矢となって世界を削る。
私は箒を軸として体を横に倒し、落下しながら急速旋回。帽子を抑えて星をばら撒く。

「っと」

箒の尻で火花が散った。が、箒、紐でくくりつけた魔導書とも無事。
肩口をかすめた第二波を見送り、大きく弧を描きながら立て直す。

「怒ってる割には楽しそうだな」
「楽しまなきゃ損でしょう?」

さらに二発。風に煽られ波に乗り、描く軌跡はミルキーウェイ。
木の葉のように舞いながら、白光瞬く呼吸を掴む。

「溜め、そしてロックから発射までの間。隙だらけだぜ」

八卦炉に力を集め、苦笑が漏れる。
隙だの駆け引きだのの些事を無視して、全力絞ってぶっ放すことは私も好きだ。だが、

「私は、一歩たりとも譲れない。煌めく星は、夜には負けない!」

地面から光が生え、奴を照らすように狙う。
時間稼ぎと牽制のつもりだったが、相手の切り替えは速かった。

「残念、我が家に入れるのは月明かりだけなの」

奴は先の赤い余波が消えるのも待たず、空に腕を掲げている。
そして、指揮者よろしく振りおろした。

「霧も、雨も、入らせない。永遠亭はこの一つ屋根で守ってみせる」

視界いっぱいの空を、金色の光幕が一瞬で覆った。でかい。
天井が落ちてきて、さらに青の弾群が薙ぐように撒かれる。

「輝く夜に、星を隠すは天井か」

これだけ明るいと星もへったくれもない。
輝夜の真下が弾幕薄め、慎重に行けば避けれないこともない、が、ダメだ。それは逃げだ。
自分に嘘はつけない。ほしいものは、この手で掴むんだ、なんと言われようと。
私に、普通の魔法使いに手段を選ぶ暇なんてないんだから――

「千年なんて知らないぜ、」

ゆっくりと腕を伸ばし――力を――放つ――行くぞ、行くぞ行くぞ「行くぞッ!」
光が爆発し膨れ意識を前へ集め引き絞り収束し熱が振動が歓喜が指から伝わり解放し叫ぶ
声は轟音にかき消される歌となって大気を震わせ天井に竹林に世界にさざなみが津波が
涙を恋を魂をかっ攫えこれが魔法魔砲霧雨魔理沙だ「この一瞬が! 私のすべてだ!」

「いい答えね」

まっすぐ天井をぶち抜いた光の柱は、狙い違わず輝夜を飲み込んだ。
あっけなく白の瀑布に掻き消えた相手に、怪訝に眉を潜め――箒が下に引っ張られた。
首を曲げて振り返れば、いた。燃える皮衣を背に羽織り、私の後ろに腰掛けていた。
――こいつわざと死にやがったのか、一気に距離を詰める為に。
近い。小回りは苦手だがこのまま魔砲を振り回そうとして、見た。

「何をする気だ」
「魔導書ってね、処分するのが結構難儀なのよ」

輝夜は箒にくくりつけた書を引き剥がすと、ひょいと気軽に身を翻した。
私の眼前へ回りこみ、私の腕は彼女の方を向いて。気付いた。
マスタースパークは力を出し尽くすまで止まらない、こいつの狙いは、

「待て!」
「これでこの件はなかったことになる。楽しかったわ」

白に塗り潰される直前、輝夜は魔導書を両手で胸にかかえ、自慢げに言った。

「そうそう。これ書いたのは永琳なのよ」

子供っぽい笑顔の残像を網膜に残し、輝夜は光に呑まれて消えた。
ばちんという衝撃と閃光。赤い皮衣が落下していく。
乾いた風が吹き抜けた。


落ちるに任せ、地上へ帰る。
なんとか着地を成功させて、放心気味にへたりこんだ。脱力。
あの本は、今まで見たどのグリモワールとも違った。
なぜか、なぜだか中身を知りたいではなく、読みたいと感じた本だった。
だのに結果的には自分で消してしまった。

やりきれない。

と、少し先に誰かが立っていた。俯き気味に、じっとしている。
視線を追えば、彼女の足元、皮衣が落ちている。

「む、お前は」
「貴方、書が消えたのを見た?」
「あぁ……お前の魔導書ならな。うーん、私も不本意だが、すまなかったぜ」
「――姫は過去に拘らない。盗んだことを責めもしない。ただ今を大事にするだけ」

横を向いたまま、彼女は言った。
いやに落ち着いた声だった。私は頷いておく。

「そうか」
「そう、姫は過去に拘らない。今を楽しむために。でも」
「どうしたんだ?」

座っている私からは、立っている彼女は夜を背負っているように見えた。

「私の不注意が万象展に、姫の楽しみに傷をつけた。私のせいで」
「あぁ」

彼女はひどくゆっくりと振り向いた。無表情に噛んだ唇からは、紅い血が流れていた。

「姫は過去に拘らない。でも私は」

月が雲間に沈んで、彼女の表情が見えなくなった。私は知らず箒を掴んでいた。

「私は死ねない。だから」

二つの目が、こっちを見ている。

「貴方を」

動けなかった。夜中に目をあけたら真っ暗だった時のような。

永琳は左手に弓を持っている。

星は。星がない。どこいった。寒い。寒い。

永琳は右手で矢をつがえている。

冗談じゃない。どうして声が出ない。どうして目を逸らせない。

永琳の矢は私に向けられている。

はは、なんだこれ。なんの芝居だ。こっちを見るな。

永琳の弓がひかれていく。

見るな、みるなみるなみるな

弦がきりきりとしぼられ、

永琳は、

寂しそうに笑った――

「魔理沙!」

遠い、けれど確かに私を呼ぶ声。少女と人形が飛んでくる。
気がそれたその須臾に、永琳は忽然と消えていた。
箒を離し、背からぱたりと倒れ込む。

底の見えない暗がりに、ぽつんと蒼白な月が浮いていた。

あの永琳が書いた書。いつ書いたものかは知らないが、
貴族に仕える従者が主のために書を記した例はしばしばあるから、恐らく真実だ。
とすれば、あの本は他の展示物とはまったく異なる価値があったわけだ。
欲しがる輩が居るなんて考えもしなかったのかもしれないが――

私は、夜のまぶしさに目を閉じた。

「……千年の日々、か」



///



酒が入れば展示場は宴会場です。
メモを片手に目と耳をすませば、

「ここなら月の音が聞こえるわ」
「もしもー生まれ変わってもーまた私に生まれたいーこの小骨とこの歌でー生き抜いてきたんだからー」

騒霊と夜雀が騒いでいたり、

「貴方は少し日陰過ぎる」
「何よそれ」

閻魔と魔女が議論していたり、

「すまないね、説教好きな上に空気の読めない上司なもんで」
「いえいえ、私の主人も人使い、いえ悪魔使いが荒くて――」

死神と悪魔が愚痴をこぼしていたり、

「どうして月面探査車が地上を走れるの?」
「外力というものを使っているのよ」

人形と妖怪が、興奮毒を撒き散らしながら車で走っていたり、しています。
どれもネタにするほどでもないので、少しのんびりすることにしました。
宴会場の中央、あるいは累々と横たわる酔っ払いの山の真ん中に近付きます。

「ただの酒を月の酒とは、鬼も人を騙すようになったんでしょうか?」

質問に構わず酒を呷ってから、そこにいた鬼は答えました。

「月光あびれば月の酒なんだよ。そういうあんたこそ、のんびりしてていいのかい?
事実を伝えるべき記事に書いてないことがあるんじゃないの?」
「お見通しですか」

頷き、そしてかぶりを振ります。本当は、まだ迷っていたのですから。
万象展から消えた財宝の謎。ネタとしては十分です。
ただ。泥棒が入ったという記事は、読んだ者にどういう事実を生み出すか。
――私は新聞で何がしたいのか。
じっとこちらを見ている鬼に、笑って答えました。

「私だって何でもかんでもネタにしているわけじゃありません。
 私は――私の伝えたい事実を書くだけです」



///



花火の終わった空には静寂と雲が流れ、地上では宴が続いている。
屋根というその境界に座り、私は慧音の杯に酒と愚痴を注ぐ。

「あんな奴に協力することないのに」
「そういうな。大体、妹紅だって慌てて飛び出していったじゃないか」
「私は! 私はあいつのところに行ったわけじゃないわ」
「歴史だけ見ればそうなっているな」

慧音は喉を鳴らして一息に飲むと、振仰ぎながら抑えた調子で続けた。

「偉そうなことを言っても、私の力でわかるのは結果だけだ。
 一番大事なことはわからない」
「結果より、大事なこと?」
「お前が何を想い、本当は何をしたかったのか、さ」

そう言われても、何をしたかったか自分でもわからない。何もしなかったのだから。
言えるのは、やはり結果として得た感想だけだ。
気付いた時には口に出してしまっていた。

「あいつが殺し合い以外の遊びを見つけたんなら、それでいい」

ちかちかと、星が瞬いている。
空を見上げて物思いなぞ、いつしか忘れていたことだ。
慧音はしばしきょとんとした後、ふっと微笑み、頷きながら目を閉じた。

「と、強がりながらも寂しそうな妹紅であった」
「ってもう、変なナレーション入れるなー!」

と、立ち上がって鳳凰を背負いかけたのがまずかった。

「あら妹紅、こんなところにいたの」
「な、なにしにきたっ」

手を振りながら飛んでくる人影。反射的に放った火玉はしかし、何かに遮られた。

「餅を焼いてほしかったんだけど……言わずとも伝わったのね。ありがとう!」
「あ、あぁ。……って、待ーてー!」

輝夜は巻き戻しのように、こちらを向いたまま器用に後ろへ飛んで行く。
手には大きな白い手毬――いや、餅? あれで炎を受け止めたのか?
唖然とし、追うのも面倒になった。隣の慧音は下を向いて笑いを堪えている。
癪に触ったのでその額に手刀を入れつつ、わざとらしく溜め息をついた。

「今度会ったら殺してやるんだから」



///



姫の寝室へ向かう。長かった一日を終え、少し気が滅入っていた。
先刻一芝居うったせいだ。演技をしているとどうもその気になってしまうから。
しかし姫に会わぬまま寝ることもできない。平静を装い障子を開いた。
姫は既に臥していた。室内はもともと暗いので、寝ていたのかはわからない。
ただ、筋肉痛なのだろう、上半身を起こす動きがどこかぎこちなかった。
それでも私の顔をみて澄ました顔をしてみせるのが、少し寂しい。
私の前ですら痛いときに痛いと言わない方だ。

布団の傍らに腰を下ろし正座。火鼠の皮衣を姫に返す。
姫は黙って受け取り、くるまれていた一冊の本を眺める。
顔をあげ、睫毛の長い目を挑戦的に開いて、にっと笑った。

「ふふ、私の手品ショーもなかなかのものでしょう?」
「えぇ、本当に……このようなもののために、お疲れ様でした」
「違うわ。それのためじゃない」

真顔で首を振る姫に、少なからず動揺を隠せないまま尋ねていた。

「では、なぜ?」
「だって」

と、姫は吹き出すように息を吐く。そして、僅かに眉を下げて私を見つめ、呟いた。

「失敗を思い出しては責任を感じる人がいるんだもの」

私は息が止まるかと思った。いや死ぬかと思った。本当に。

「な……あ、あぁ、申し訳ありません」
「だから謝らないでいいんだってば。今日も万象展は成功、事なきを得た」
「は、はい」
「これはもう展示しない。今日の件は忘れる。いいわね?」
「――はい」

姫は満足そうに小さく二回頷くと、本を掴んだまま横になって布団をかぶってしまった。
おやすみなさいと呟くと、姫は僅かに体を動かして応えた。



そうして起きた時には、本当に忘れてしまっているのだろう。
私の過ちも。私の罪も。私と創った薬のことも。

だから私は忘れない。
罪悪感ではなく、姫への恩を。



やがて穏やかな寝息が聞こえてきた。



私は、いつまでも姫の傍らに座っていた。



――宿る屋根はひとつ、永遠に――
春雨
[email protected]
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コメント



0.1970簡易評価
16.50名前が無い程度の能力削除
みすちーが懐かしい歌を…
17.70名前が無い程度の能力削除
これはいい輝夜ですね
26.60へにょり削除
月の都は遠い故郷、万象はあらゆるものの姿である。
まるで誰かのようではないか。変わらぬ永遠を宿しながら、過ぎ行くものとあらんとする、そのさまは。そしてもこたん萌え。
29.80削除
本当ににぎやかな展示会ですね。このシリーズのその雰囲気が好きなのですが…しかし、今回は何より、「宇宙妖精チルノ」のインパクトが全てを凌駕しましたw
32.90名前が無い程度の能力削除
あなたの書く輝夜が好きです。
34.100deso削除
ああ、これ良いなぁ。輝夜と永琳が特に良いです。
///が、各場面のそれぞれの照れてる様に見えたのは自分だけでしょうかw