第0話「少女居眠り中...」
「郷立 東方幻想学園」
少数の人間と多数の人間以外が生活する『幻想郷』に唯一存在する学園。
幻想郷の中心に位置する学園で、校庭の真ん中には一年中咲かないと言われる巨大な妖怪桜が聳え立っている。
季節は春。
様々な種族、怪異、矛盾を擁するここ郷立 東方幻想学園-通称「幻想学園」の体育館では今、新学期を迎える始業式が行われていた。
「そう、あなたたちは休みボケが抜けなさ過ぎている」
壇上で延々と喋り続ける学園長-四季映姫のいつのまにか挨拶から説教に変わった子守唄を聞きながら博麗霊夢は大きなあくびをした。
「このままでは学業が疎かになってしまう」
もうかれこれ1時間は一人で喋り続けているだろうか、というかまだプログラム2番だ。
幻想郷に人の言うことを素直に聞く奴なんかいやしないのに。
「はぁ……」
と霊夢は大きなため息をもらす。
きっとあれは学園長の趣味なのだろう。
でなければ挨拶が説教に摩り替わることもないだろうし、生徒の半分以上が船漕いでいる状態でなおも話を続けられる筈がない。
おぼろげな頭でそう思案しながらふと隣の席を見遣る。
隣では黒いのが実に折り目正しい姿勢でパイプ椅子に座っていた。
ぴくりとも動かない。
眠っていた。
隣の黒いのは実に折り目正しい姿勢で目をパッチリと開けて、しかし鼻ちょうちんを呼吸に合わせて大きくしたり小さくしたりしながら眠っていた。
「……すぴー……」
「……………………」
霊夢はおもむろに右手を貫手の形にすると隣の黒いのの肋骨と肋骨のスキマに突き込む。ずぶり、と、指先に肉と骨の感触。
「ホグワーッ!」
どこかの魔法学校のような叫び声を上げながら黒色-霧雨魔理沙は椅子から飛び上がったかと思うと体をくの字にして声にならない声をあげる。
隣では同じポーズで霊夢が必死に笑いを堪えていた。
「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ。ほ、ほぐわ、ほぐわーってっひゃっひゃ」
堪えきれてなかった。
しばしの間魔理沙の苦悶と霊夢の笑いが体育館内にかすかに響き渡る。
映姫の小言はにわかにザワついた雰囲気に構うことなく、依然として続いている。
「おい霊夢! いきなり何するんだ」
「いや、あんたがあんまり見事な開眼睡眠してるもんだからなんとなく」
小声で叫ぶという器用な真似をしながら抗議する魔理沙と平然と受け流す霊夢。
場内の雰囲気はもういつも通り静かなものに戻っていた。
「なんとなくでするな! 目からスターダストレヴァリエが出るところだっだろ」
「何言ってるの? まぁほら、起こしてあげたんだしむしろ感謝して欲しいくらいよ」
そう言われては仕方ないとばかりに魔理沙は渋々顔で椅子に座りなおす。
さっきの謎の発言といい恐らくはまだ完全に目が覚めておらず、霊夢に加えられた肉体障害によって記憶が混乱しているのだろう。
ぶつぶつと言いつつもそれ以上何かを言ってくることは無い。
「まったく。人がなんのために目を開けたまま寝たと思って・・・・・・せっかく気持ちよく寝「寝・る・な!」」
魔理沙が最後まで言い終えることなく上から怒りのこもった声が被さる。
「あら、教頭」
「教頭だな」
声のした方向を振り向くとそこには幻想学園教頭―小野塚小町が仁王立ちに立っていた。
「お前達。学園長が話しているときに騒ぐとは何事だ。怠けてないでちゃんと聞きな」
「涎たらした顔でいわれてもねぇ」
「説得力って言葉知ってるか?」
にやにやとした顔で指摘され、小町はあわてて口の端に残る涎の跡をゴシゴシと拭う。
「あ、あたいはいいんだよあたいは。とにかく今は映姫様が話してるんだから騒ぐな」
早口でそう捲くし立てるとバツが悪かったのかそそくさと戻っていく小町、教師の威厳も何もあったものじゃなかった。
「勝ったぜ」
「ええ」
どこか誇らしげな笑みを浮かべながら2人は座席の位置を調整し座り直す。
壇上を見上げれば、いつのまにか映姫の話は「それぞれの種族の生き方」にまで及んでいる。
幸い今の騒ぎはバレてないらしい。
まだまだ先は長そうだ、隣で性懲りも無く寝なおそうとする魔理沙のわき腹を抉りながら嘆息する霊夢だった。
「そうそう、そこの紅白、黒白、死神はホームルーム終了後、学園長室に来るように」
「えぇ!?」
「げっ!?」
「きゃん!?」
1時間後、話を終えた映姫は壇上を降りる際、ついでのように罪人3名に判決を言い渡した。
郷立 東方幻想学園―――そこは、少女の園。
「郷立 東方幻想学園」
少数の人間と多数の人間以外が生活する『幻想郷』に唯一存在する学園。
幻想郷の中心に位置する学園で、校庭の真ん中には一年中咲かないと言われる巨大な妖怪桜が聳え立っている。
季節は春。
様々な種族、怪異、矛盾を擁するここ郷立 東方幻想学園-通称「幻想学園」の体育館では今、新学期を迎える始業式が行われていた。
「そう、あなたたちは休みボケが抜けなさ過ぎている」
壇上で延々と喋り続ける学園長-四季映姫のいつのまにか挨拶から説教に変わった子守唄を聞きながら博麗霊夢は大きなあくびをした。
「このままでは学業が疎かになってしまう」
もうかれこれ1時間は一人で喋り続けているだろうか、というかまだプログラム2番だ。
幻想郷に人の言うことを素直に聞く奴なんかいやしないのに。
「はぁ……」
と霊夢は大きなため息をもらす。
きっとあれは学園長の趣味なのだろう。
でなければ挨拶が説教に摩り替わることもないだろうし、生徒の半分以上が船漕いでいる状態でなおも話を続けられる筈がない。
おぼろげな頭でそう思案しながらふと隣の席を見遣る。
隣では黒いのが実に折り目正しい姿勢でパイプ椅子に座っていた。
ぴくりとも動かない。
眠っていた。
隣の黒いのは実に折り目正しい姿勢で目をパッチリと開けて、しかし鼻ちょうちんを呼吸に合わせて大きくしたり小さくしたりしながら眠っていた。
「……すぴー……」
「……………………」
霊夢はおもむろに右手を貫手の形にすると隣の黒いのの肋骨と肋骨のスキマに突き込む。ずぶり、と、指先に肉と骨の感触。
「ホグワーッ!」
どこかの魔法学校のような叫び声を上げながら黒色-霧雨魔理沙は椅子から飛び上がったかと思うと体をくの字にして声にならない声をあげる。
隣では同じポーズで霊夢が必死に笑いを堪えていた。
「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ。ほ、ほぐわ、ほぐわーってっひゃっひゃ」
堪えきれてなかった。
しばしの間魔理沙の苦悶と霊夢の笑いが体育館内にかすかに響き渡る。
映姫の小言はにわかにザワついた雰囲気に構うことなく、依然として続いている。
「おい霊夢! いきなり何するんだ」
「いや、あんたがあんまり見事な開眼睡眠してるもんだからなんとなく」
小声で叫ぶという器用な真似をしながら抗議する魔理沙と平然と受け流す霊夢。
場内の雰囲気はもういつも通り静かなものに戻っていた。
「なんとなくでするな! 目からスターダストレヴァリエが出るところだっだろ」
「何言ってるの? まぁほら、起こしてあげたんだしむしろ感謝して欲しいくらいよ」
そう言われては仕方ないとばかりに魔理沙は渋々顔で椅子に座りなおす。
さっきの謎の発言といい恐らくはまだ完全に目が覚めておらず、霊夢に加えられた肉体障害によって記憶が混乱しているのだろう。
ぶつぶつと言いつつもそれ以上何かを言ってくることは無い。
「まったく。人がなんのために目を開けたまま寝たと思って・・・・・・せっかく気持ちよく寝「寝・る・な!」」
魔理沙が最後まで言い終えることなく上から怒りのこもった声が被さる。
「あら、教頭」
「教頭だな」
声のした方向を振り向くとそこには幻想学園教頭―小野塚小町が仁王立ちに立っていた。
「お前達。学園長が話しているときに騒ぐとは何事だ。怠けてないでちゃんと聞きな」
「涎たらした顔でいわれてもねぇ」
「説得力って言葉知ってるか?」
にやにやとした顔で指摘され、小町はあわてて口の端に残る涎の跡をゴシゴシと拭う。
「あ、あたいはいいんだよあたいは。とにかく今は映姫様が話してるんだから騒ぐな」
早口でそう捲くし立てるとバツが悪かったのかそそくさと戻っていく小町、教師の威厳も何もあったものじゃなかった。
「勝ったぜ」
「ええ」
どこか誇らしげな笑みを浮かべながら2人は座席の位置を調整し座り直す。
壇上を見上げれば、いつのまにか映姫の話は「それぞれの種族の生き方」にまで及んでいる。
幸い今の騒ぎはバレてないらしい。
まだまだ先は長そうだ、隣で性懲りも無く寝なおそうとする魔理沙のわき腹を抉りながら嘆息する霊夢だった。
「そうそう、そこの紅白、黒白、死神はホームルーム終了後、学園長室に来るように」
「えぇ!?」
「げっ!?」
「きゃん!?」
1時間後、話を終えた映姫は壇上を降りる際、ついでのように罪人3名に判決を言い渡した。
郷立 東方幻想学園―――そこは、少女の園。
次の話を楽しみにしてます。
まったり次回作を待つ。ワクテカ(゚∀゚)ワクテカ(゚∀゚)
待ってます。