*注意
作品の展開上、人によっては嫌悪感をもつ描写が含まれています。
ご注意ください。
焦げたルーミアがうつ伏せに倒れていた。おまけに頭からはぶすぶすと煙を出していた。
「……どうしたんだ?」
親切心を出して――というよりは、どちらかと言えば興味半分で慧音は声をかけた。
元より何か用事があっての散歩ではない。里周辺のパトロールをかねた、半ば暇つぶしも兼ねている散歩だ。何もなければそれでよし、何かあれば関わる。その程度の気概だったから、倒れているルーミアを無視する法はなかった。
実際、興味もあった。
本来、慧音は里の人間を妖怪から守っている立場にある。つまり、普通ならば妖怪は戦うべき相手なのだが――その相手が、焦げて倒れている。
気にはなった。
「……大丈夫か?」
返事がないので、次の言葉を投げかける。先にこれを言うべきだったな――と思うが、今更言葉を言い直すことはできない。
歴史を隠す程度の能力で、失言をごまかすことくらいはできるが、この場合そんなことをしても意味はない。
なおも返事がないので、意識を確認しようかと思った瞬間、
「うー……」
呟きとも呻きともつかない声が洩れた。
生きてはいるな、と思いながら、
「ルーミア、どうした?」
できるだけ優しく、声をかけた。
ルーミア。暗闇の妖怪。昼間ならば、ただの球形の暗闇にしか見えない妖怪が、今はその闇を出していない。夕暮れ時という日光が弱い時間のせいなのか、単に弱って能力が使えないのか、慧音には分からなかった。
「く……」
「く?」
「黒白がー」
うつ伏せになったまま、ルーミアは弱々しい声でそう言った。
ただのひと言だけだったが、それだけで慧音は、ルーミアの言いたいことをすべて悟った。
慧音の知る限り、妖怪をこんな目にあわせられる『黒白』は一人しかいない。
「なんだ、魔理沙にやられたのか? あの黒白は、そこらの妖怪よりも恐ろしいから手を出さない方が無難だぞ。ついでに言えば、紅白はもっと危険だ」
本人たちが聞いたら憮然としそうな、それでいてもっともな台詞を慧音は吐く。ルーミアは「違うー」とやはり呻き、
「箒で轢かれたー」
「…………それは災難だったな」
心の底から同情をこめて慧音は言う。
だが、ルーミアはなおも続けた。
「でっかいお札も飛んできたー」
「………………それはそれは、とても災難だったな」
本気で同情して、ありったけの心をこめて慧音は言う。
お札。それは言うまでもなく、紅白こと博麗 霊夢の博麗アミュレットだろう。誘導性がある弾で、視界に映る敵すべてに飛んでいく迷惑極まりない弾幕だ。
つまるところルーミアは、幻想郷で関わってはいけない人間一位二位を誇る黒白と紅白、両方にやられたのだろう。おそらくは、弾幕遊びの巻添えとして。
災難を通り越して、天災にあったようなものだ。
「怪我の方は大丈夫か?」
一歩近づき、慧音は心配そうに尋ねた。妖怪とはいえ、死ぬときは問答無用で死ぬ。
ルーミアはごろりと転がり仰向けになり、眩しそうに目を細めて、
「明るいー」
「……もう夕暮れだぞ?」
「私はー夜の妖怪だから」
手で顔を覆い隠すが、それでも眩しいのか「うー」と不満げに唸った。
「闇を出せばいいだろう」
「疲れて出せないー」
子供のように手足をばたばたとさせて、ルーミアはそう言った。
慧音は両手を腰にあててため息を吐き、
「仕方ないな、ほら」
そう言って、慧音はルーミアを身体を抱き上げた。同じ少女には違いないが、小柄なルーミアを慧音は苦もなく持ち上げた。それが楽しかったのか、ルーミアは「わーい」と楽しそうな声をあげた。
慧音はそのまま、ルーミアの身体を木陰まで運んだ。辺りは明るいが、木の陰に入れば光が強いというほどでもない。ルーミアがどうだかは知らないが、慧音にとっては薄暗いとすら感じた。
それがルーミアにとっては心地いいのか、辛そうだった表情が和らいだ。背を幹に預けて座り、傍に立つ慧音を見上げて、器用に首だけを前後に曲げた。
「ありがとー」
「いや、気にしなくていい」
ぱたぱたと手をふって慧音は苦笑した。感謝されるようなことをしたとは、自分では思っていなかったからだ。
上白沢 慧音は、人里を守る存在である。
が、その一方で、身体の半分は人間以外の血が流れている。そのせいか、やたらめったらに妖怪を殺すようなことをしなかった。消極的に里を守るだけで、妖怪を退治しようとしたことはない。それどころか、できることならば共存していきたいと思っているほどだ。
完全に人ならざる、自分が人里で暮らしているように。
だからこそ、弱っているルーミアにトドメをさそうなどということはしなかった。
ルーミアはそんな慧音をしばらく見上げ、やがて何を思ったか、服のポケットに手を突っ込んだ。ごそごそと中をあさり、
「あのね、あのね、」
「どうした?」
慧音はしゃがみ、ルーミアと目線をあわせる。ポケットの中から取り出したものを、ルーミアは恥かしそうに笑って突き出した。
「これ、あげる」
「…………」
差し出されたものを、慧音はしげしげと見詰めた。一瞥しただけでは、それが何なのか分からなかったのだ。
竹皮でオニギリを包んだものだと、じっくり見ないと分からなかった。
お弁当、だった。お弁当箱、ではない。竹の皮を薄くしたものを二枚使い、中のおにぎりを保存する古くからの遣り方。受け取って開いてみると、案の定中にはおにぎりが二つ入っていた。
お世辞にも、うまく作ってあるとはいえなかった。
まず形がおかしい。おにぎりは普通三角形に――せめて玉子型に――なっているべきなのに、そのおにぎりは球体だった。綺麗な球体にはほど遠い、握り方が甘くてボロボロと崩れる球体。茶色い中の具は詰め込みすぎて、米よりも量が多くなっていた。
外見としては、子供がおままごとで作ったような泥ダンゴに近い。
慧音の頬が無意識にひくつく。それに気付いていないのか、ルーミアは能天気に笑って言った。
「知ってる? おにぎり。魔理沙に教わったの。自分で作ってみたのよー」
声は、どこか自慢げだった。『おにぎり』というものを知っていることを誇らしいと思っている声。慧音は何も言えず、おにぎりとルーミアの顔を交互に見る。
――あの魔法使いらしい、と思う。
ある意味では、自分以上に、人間も妖怪も区別なく付き合っているのだろう。だからこそ、幻想郷の中でも人気があるのだろう。
人と妖怪にどこかこだわっている、自分と違って。
そんな思いを顔に出さないように努め、慧音は微笑を浮かべ、
「これ、くれるのか?」
うん、とルーミアが頷く。
「お礼。一個食べていいよ」
「……じゃあ、一個だけ」
二個とも食べていいよ、と言われなかったことに安堵した。おにぎりは控え目に表現しても泥ダンゴで、下手に食べれば腹を下してしまいそうだったからだ。
いざとなったら、永遠亭の薬師を頼ろう――そう心に覚悟を決め、慧音はおにぎりに手を伸ばす。強く握れば崩れてしまいそうなそれを、そっと掴み取る。
口まで運ぶのには、覚悟が要った。
「――いただきます」
覚悟を口に出して、慧音はおにぎりを食べた。決意が萎えるのが嫌で、ばくばくと、一気に食べてしまう。その様を見ながら、ルーミアも小さく口をつける。
食べるまでは、味に期待などしていなかった。腹を壊さないことを祈るだけだった。
が。
「……美味しい」
口の中にあるものを咀嚼した慧音は、思わず呟いていた。
おにぎりは――予想に反して美味しかった。
米が特殊だというわけでも、炊き方が特別だというわけでもない。単純に美味しかったのだ。見た目よりはまともに作ってあったし、味わったことのない具も美味しかった。
こんなことなら、もっとゆっくり味わって食べればよかったと慧音は後悔する。なんだか、ルーミアの親切を無碍にしてしまった気がした。
「うん、美味しかった。ありがとうルーミア」
今度は、意識して礼をいった。ルーミアは「えへへ」と嬉しそうに笑う。
残ったおにぎりをルーミアもぱくぱくと食べた。慧音はその様を見つつ、「もう少し食べたい」と言うのは大人げないだろうかと考える。
食べたことのない味だったのだ。
何のおにぎりなのか、少し気になった。
「ルーミア」
「んんー?」
「この具は、何の肉なんだ」
そう、尋ねて。
自身の言葉にひっかかるものを感じた。『何の肉』。
意識していなかった。
意識していなかっただけで、気付いていた。おにぎりの具が、肉であることに。茶色いそれが、肉片であることに。
それが何を意味するか理解するよりも早く。
おにぎりを食べ終わったルーミアは、満面の笑みを浮かべて答えた。
「――人間のお肉だよ?」
何を言われたのか、理解できなかった。
「え、」
声が洩れる。意味も意志もない、ただの空気の塊が。
その反応をどうとったのか、ルーミアは笑ったまま言葉を続ける。
「おにぎりは保存食にいいって言われたの。新聞屋のカラスにも人間を襲えって言われたし、その時作ったの。偉いでしょ?」
褒めて褒めて、といわんばかりにルーミアは笑う。無邪気としかいいようのない笑顔から、慧音は目が離せない。
ルーミアは笑っている。
何の悪意もなく。それが正しいと思って、笑っている。
――堪えきれなかった。
「ぐ、げぇええええぇぇぇえっ!」
吐いた。喉の奥までこみ上げていたものを残らず地面にぶちまけた。胃に入ったばかりの米と人肉が逆流し、胃液と混ざって土の上に垂れる。喉と鼻に酸っぱいものが広がり、それがたまらなく心地悪かった。
吐いた。吐いた。吐いても――少しも気分は良くならない。
胃の中が空になるまで吐いてもそれは変わらなかった。むしろ、吐くものがなくなった分だけつらくなった。すべて吐き出してしまいたかった。
心の中に、どす黒い嫌悪感が噴き出ていた。
人肉を食べた自分に対して。人肉を食べさせたルーミアに対して。
そして――それを、美味しいと思ってしまった自分を、殺したいほど憎悪した。
「うー、大丈夫?」
ルーミアが顔を覗きこんでくる。彼女からしてみれば、おにぎりを食べた慧音がいきなり吐き出したのだ。純粋に心配してくれていることは分かったし、悪意がないことも知っていた。
知っていても――我慢がならなかった。
――彼女は人喰いであり、人肉を自分に食べさせたのだ。
その思いが、理性を駆逐して、慧音の身体を動かした、吐いていた口を拭った手で、そのまま力の限り――ルーミアの頬を叩いたのだ。
加減もなにもない、全力での一撃だった。
ルーミアの軽い体は堪えようもなく吹き飛び、地面の上を転がって日陰から日の下へと出る。頬が見る間に赤く染まったが、『心配』という二文字は少しも浮かび上がってこなかった。
吐き気に襲われて、慧音は喘いだ。吐くものが何もないのが余計に苦しかった。
「……な、なんで……」
げぇげぇと喘ぐ慧音の側、倒れていたルーミアが身を起こした。腫れた頬を手で押さえ、力なく立ち上がる。
その目からは、涙が流れ出ていた。
「酷いよぉ……痛い、痛いよ……」
声を押し殺してルーミアは泣き出した。その泣き声が癪にさわり、慧音は耳を塞ぎたくなってしまう。
「酷い、酷い……うぁ、あああんっ!」
泣きながら、ルーミアは力なく飛び立つ。高く飛ぶことも早く飛ぶこともできず、苦手な日の光の中を、左に右に揺れながら飛ぶ。
飛び、慧音から離れていく。
飛び退るルーミアの後ろ姿を見ることもせず、慧音はいつまでも、いつまでも吐き続けている。
† † †
――酷い。
それだけを思いながらルーミアは飛んだ。涙は流れても流れても止まることはなかった。服の袖で目元を拭うが、涙はまた溢れ出てきてしまう。
涙は次から次へと溢れ出てくる。大泣きすると頬が痛むので、ルーミアは声を押し殺し、頬を押さえたままさめざめと泣いた。
ルーミアからしてみれば、親切をした相手にいきなり殴られたのだ。なぜ殴られたのかすら分からない。理不尽を通り越して横暴だった。
何よりも――親切を裏切られたことが、心に痛かった。
一刻も早くその場を離れたいと思ったから。
慧音の側になど、いたくなかった。
それほどに悲しかったのだ。
親切にしてくれたから親切を返した。
具合が悪そうだったから心配した。
それだけだったのに。
純粋に、好意からしたのに。
なのに――返って来た仕打ちは、容赦のない暴力だった。
霊夢や魔理沙のような通り魔的な攻撃ならまだ良かった。あれは公平な弾幕遊びであり、負けたとしても悔しいだけで、怨むような気持ちはない。
けれど、今度のは違った。
妖怪でも人間でも、裏切られれば悲しいことに変わりはない。
二度と慧音なんて信用するか、そう思いながらルーミアは飛び、
――横腹に衝撃を感じた。
殴られたのだ、と理解できなかった。ただ途方もない衝撃が、慧音に殴られたのよりもはるかに強い衝撃がきた。強すぎて、痛みに直結しなかった。わけもわからぬままに地面に叩きつけられた。
何が起きたのかが分かる前に、ニ撃目がきた。
背中を叩かれて、肺から空気が跳び出た。ようやく遅れてきた痛みが頭にがんがんと響く。顔を無理やりあげて、涙に霞む視界を見た。
人影がいた。
数人の、人影が、手に鍬や鋤を持って、倒れたルーミアを囲んでいた。
「×××××!」
人影が何かを叫ぶ。恐怖と怒りが入り混じった叫び。叫びながらその男は、力いっぱいに鋤を振り下ろした。尖った部分が足に突き刺さり、叫び声をあげようとした喉を蹴られた。
わけもわからぬままに――ルーミアは、恐怖で、泣いた。泣き声をあげようとしたが、もう一度顔を蹴られた。
ルーミアが何かをしようとするたびに、周りを囲んだ男たちはそれを阻害した。
仕方のないことだ。男たちは知らなかったのだから。ルーミアが疲れ果てて、弾幕もろくに放てないことを。そして、男たちは知っていた。相手が、自分たちよりも強い妖怪であり、一度攻撃されれば簡単に殺されてしまうことを。
だからこそ、人数の利を取った。――多くの数で、妖怪を囲んで。
だからこそ、武器の利を取った。――鍬や鋤で武装して。
だからこそ、地の利を取った。――太陽の出る昼間を使って。
魔法使いに妖怪が跳ねられたのを確認して、今が好機と男たちは武器を取ったのだ。つい先日、長老の息子が、道行く途中に妖怪に襲われていたから。慧音は里を守るだけで復讐に出るようなことはしないし、かならずしも守りきれるわけではない。
だからこそ、男たちは立ち上がった。
憎き妖怪に復讐するために。
手に持った武器を泣きじゃくる少女に向かって振り下ろす。その手にこもるのは怒りであり、同時に自分たちが殺されるかもしれないという恐怖を振り払うためだった。
一切――気力を振り絞れば、必死になれば、弾幕の一つや二つは放てただろう。
けれども、慧音からぶたれたという心理ショックから立ち直れていなかったルーミアには無理だった。そして、男たちは、立ち直る暇を与えなかった。
ルーミアは泣く。鋤の一撃でつぶれた目の奥から、紅く染まった涙が流れる。頭めがけて、とどめとばかりに鍬が振り下ろされる。
――慧音と、仲直りしたかった。
潰れる寸前、その頭は、辛そうな慧音の顔を思い出していた。
† † †
立ち直るのには、数日の時間が必要だった。
人肉喰いのショックから立ち直った慧音は、久しぶりに人里を訪れた。ここ数日家にこもり、死んだように眠っていたのでパトロールもしていなかったのだ。それを悔やむ気持ちもあり、足取りはあまり進まなかった。
けれど、今は。
今ばかりは、妖怪ではなく、人間たちと関わりたかった。
「おお、久しぶりです慧音さま! お元気でしたか」
予想に反して、里には温かく迎え入れられた。里はどこか活気に満ちていて、誰の顔にも明るい笑顔が浮かんでいた。
理由は分からなかったが、皆が明るい顔をしているのが、慧音には嬉しかった。
「ああ。皆も変わりないか?」
慧音が問うと、村の男性はほがらかに笑った。
「いいことがありましてな。皆浮かれとります」
そう言って、男性は里の中心へと慧音を案内した。『いいこと』が何か気になったが、聞くのを躊躇った。以前のルーミアの件があり、『尋ねる』という行為をどうしても躊躇してしまうのだ。
――聞かなくても、あとで話してくれるだろう。
そう思い、慧音は苦笑して男の後に続く。
村の中心では、昼間からささやかな宴会が始まろうとしていた。慧音がきたのを見て、あわてて準備したのだろう。
誘われるままに、慧音は中央の席へと進む。
そして――男は、慧音に。
「慧音様。珍しい食べ物が手に入りましたから、ひと口いかがですか?」
よく焼けた、それはそれは美味しそうな――なにかの肉を差し出した。
(了)
作品の展開上、人によっては嫌悪感をもつ描写が含まれています。
ご注意ください。
焦げたルーミアがうつ伏せに倒れていた。おまけに頭からはぶすぶすと煙を出していた。
「……どうしたんだ?」
親切心を出して――というよりは、どちらかと言えば興味半分で慧音は声をかけた。
元より何か用事があっての散歩ではない。里周辺のパトロールをかねた、半ば暇つぶしも兼ねている散歩だ。何もなければそれでよし、何かあれば関わる。その程度の気概だったから、倒れているルーミアを無視する法はなかった。
実際、興味もあった。
本来、慧音は里の人間を妖怪から守っている立場にある。つまり、普通ならば妖怪は戦うべき相手なのだが――その相手が、焦げて倒れている。
気にはなった。
「……大丈夫か?」
返事がないので、次の言葉を投げかける。先にこれを言うべきだったな――と思うが、今更言葉を言い直すことはできない。
歴史を隠す程度の能力で、失言をごまかすことくらいはできるが、この場合そんなことをしても意味はない。
なおも返事がないので、意識を確認しようかと思った瞬間、
「うー……」
呟きとも呻きともつかない声が洩れた。
生きてはいるな、と思いながら、
「ルーミア、どうした?」
できるだけ優しく、声をかけた。
ルーミア。暗闇の妖怪。昼間ならば、ただの球形の暗闇にしか見えない妖怪が、今はその闇を出していない。夕暮れ時という日光が弱い時間のせいなのか、単に弱って能力が使えないのか、慧音には分からなかった。
「く……」
「く?」
「黒白がー」
うつ伏せになったまま、ルーミアは弱々しい声でそう言った。
ただのひと言だけだったが、それだけで慧音は、ルーミアの言いたいことをすべて悟った。
慧音の知る限り、妖怪をこんな目にあわせられる『黒白』は一人しかいない。
「なんだ、魔理沙にやられたのか? あの黒白は、そこらの妖怪よりも恐ろしいから手を出さない方が無難だぞ。ついでに言えば、紅白はもっと危険だ」
本人たちが聞いたら憮然としそうな、それでいてもっともな台詞を慧音は吐く。ルーミアは「違うー」とやはり呻き、
「箒で轢かれたー」
「…………それは災難だったな」
心の底から同情をこめて慧音は言う。
だが、ルーミアはなおも続けた。
「でっかいお札も飛んできたー」
「………………それはそれは、とても災難だったな」
本気で同情して、ありったけの心をこめて慧音は言う。
お札。それは言うまでもなく、紅白こと博麗 霊夢の博麗アミュレットだろう。誘導性がある弾で、視界に映る敵すべてに飛んでいく迷惑極まりない弾幕だ。
つまるところルーミアは、幻想郷で関わってはいけない人間一位二位を誇る黒白と紅白、両方にやられたのだろう。おそらくは、弾幕遊びの巻添えとして。
災難を通り越して、天災にあったようなものだ。
「怪我の方は大丈夫か?」
一歩近づき、慧音は心配そうに尋ねた。妖怪とはいえ、死ぬときは問答無用で死ぬ。
ルーミアはごろりと転がり仰向けになり、眩しそうに目を細めて、
「明るいー」
「……もう夕暮れだぞ?」
「私はー夜の妖怪だから」
手で顔を覆い隠すが、それでも眩しいのか「うー」と不満げに唸った。
「闇を出せばいいだろう」
「疲れて出せないー」
子供のように手足をばたばたとさせて、ルーミアはそう言った。
慧音は両手を腰にあててため息を吐き、
「仕方ないな、ほら」
そう言って、慧音はルーミアを身体を抱き上げた。同じ少女には違いないが、小柄なルーミアを慧音は苦もなく持ち上げた。それが楽しかったのか、ルーミアは「わーい」と楽しそうな声をあげた。
慧音はそのまま、ルーミアの身体を木陰まで運んだ。辺りは明るいが、木の陰に入れば光が強いというほどでもない。ルーミアがどうだかは知らないが、慧音にとっては薄暗いとすら感じた。
それがルーミアにとっては心地いいのか、辛そうだった表情が和らいだ。背を幹に預けて座り、傍に立つ慧音を見上げて、器用に首だけを前後に曲げた。
「ありがとー」
「いや、気にしなくていい」
ぱたぱたと手をふって慧音は苦笑した。感謝されるようなことをしたとは、自分では思っていなかったからだ。
上白沢 慧音は、人里を守る存在である。
が、その一方で、身体の半分は人間以外の血が流れている。そのせいか、やたらめったらに妖怪を殺すようなことをしなかった。消極的に里を守るだけで、妖怪を退治しようとしたことはない。それどころか、できることならば共存していきたいと思っているほどだ。
完全に人ならざる、自分が人里で暮らしているように。
だからこそ、弱っているルーミアにトドメをさそうなどということはしなかった。
ルーミアはそんな慧音をしばらく見上げ、やがて何を思ったか、服のポケットに手を突っ込んだ。ごそごそと中をあさり、
「あのね、あのね、」
「どうした?」
慧音はしゃがみ、ルーミアと目線をあわせる。ポケットの中から取り出したものを、ルーミアは恥かしそうに笑って突き出した。
「これ、あげる」
「…………」
差し出されたものを、慧音はしげしげと見詰めた。一瞥しただけでは、それが何なのか分からなかったのだ。
竹皮でオニギリを包んだものだと、じっくり見ないと分からなかった。
お弁当、だった。お弁当箱、ではない。竹の皮を薄くしたものを二枚使い、中のおにぎりを保存する古くからの遣り方。受け取って開いてみると、案の定中にはおにぎりが二つ入っていた。
お世辞にも、うまく作ってあるとはいえなかった。
まず形がおかしい。おにぎりは普通三角形に――せめて玉子型に――なっているべきなのに、そのおにぎりは球体だった。綺麗な球体にはほど遠い、握り方が甘くてボロボロと崩れる球体。茶色い中の具は詰め込みすぎて、米よりも量が多くなっていた。
外見としては、子供がおままごとで作ったような泥ダンゴに近い。
慧音の頬が無意識にひくつく。それに気付いていないのか、ルーミアは能天気に笑って言った。
「知ってる? おにぎり。魔理沙に教わったの。自分で作ってみたのよー」
声は、どこか自慢げだった。『おにぎり』というものを知っていることを誇らしいと思っている声。慧音は何も言えず、おにぎりとルーミアの顔を交互に見る。
――あの魔法使いらしい、と思う。
ある意味では、自分以上に、人間も妖怪も区別なく付き合っているのだろう。だからこそ、幻想郷の中でも人気があるのだろう。
人と妖怪にどこかこだわっている、自分と違って。
そんな思いを顔に出さないように努め、慧音は微笑を浮かべ、
「これ、くれるのか?」
うん、とルーミアが頷く。
「お礼。一個食べていいよ」
「……じゃあ、一個だけ」
二個とも食べていいよ、と言われなかったことに安堵した。おにぎりは控え目に表現しても泥ダンゴで、下手に食べれば腹を下してしまいそうだったからだ。
いざとなったら、永遠亭の薬師を頼ろう――そう心に覚悟を決め、慧音はおにぎりに手を伸ばす。強く握れば崩れてしまいそうなそれを、そっと掴み取る。
口まで運ぶのには、覚悟が要った。
「――いただきます」
覚悟を口に出して、慧音はおにぎりを食べた。決意が萎えるのが嫌で、ばくばくと、一気に食べてしまう。その様を見ながら、ルーミアも小さく口をつける。
食べるまでは、味に期待などしていなかった。腹を壊さないことを祈るだけだった。
が。
「……美味しい」
口の中にあるものを咀嚼した慧音は、思わず呟いていた。
おにぎりは――予想に反して美味しかった。
米が特殊だというわけでも、炊き方が特別だというわけでもない。単純に美味しかったのだ。見た目よりはまともに作ってあったし、味わったことのない具も美味しかった。
こんなことなら、もっとゆっくり味わって食べればよかったと慧音は後悔する。なんだか、ルーミアの親切を無碍にしてしまった気がした。
「うん、美味しかった。ありがとうルーミア」
今度は、意識して礼をいった。ルーミアは「えへへ」と嬉しそうに笑う。
残ったおにぎりをルーミアもぱくぱくと食べた。慧音はその様を見つつ、「もう少し食べたい」と言うのは大人げないだろうかと考える。
食べたことのない味だったのだ。
何のおにぎりなのか、少し気になった。
「ルーミア」
「んんー?」
「この具は、何の肉なんだ」
そう、尋ねて。
自身の言葉にひっかかるものを感じた。『何の肉』。
意識していなかった。
意識していなかっただけで、気付いていた。おにぎりの具が、肉であることに。茶色いそれが、肉片であることに。
それが何を意味するか理解するよりも早く。
おにぎりを食べ終わったルーミアは、満面の笑みを浮かべて答えた。
「――人間のお肉だよ?」
何を言われたのか、理解できなかった。
「え、」
声が洩れる。意味も意志もない、ただの空気の塊が。
その反応をどうとったのか、ルーミアは笑ったまま言葉を続ける。
「おにぎりは保存食にいいって言われたの。新聞屋のカラスにも人間を襲えって言われたし、その時作ったの。偉いでしょ?」
褒めて褒めて、といわんばかりにルーミアは笑う。無邪気としかいいようのない笑顔から、慧音は目が離せない。
ルーミアは笑っている。
何の悪意もなく。それが正しいと思って、笑っている。
――堪えきれなかった。
「ぐ、げぇええええぇぇぇえっ!」
吐いた。喉の奥までこみ上げていたものを残らず地面にぶちまけた。胃に入ったばかりの米と人肉が逆流し、胃液と混ざって土の上に垂れる。喉と鼻に酸っぱいものが広がり、それがたまらなく心地悪かった。
吐いた。吐いた。吐いても――少しも気分は良くならない。
胃の中が空になるまで吐いてもそれは変わらなかった。むしろ、吐くものがなくなった分だけつらくなった。すべて吐き出してしまいたかった。
心の中に、どす黒い嫌悪感が噴き出ていた。
人肉を食べた自分に対して。人肉を食べさせたルーミアに対して。
そして――それを、美味しいと思ってしまった自分を、殺したいほど憎悪した。
「うー、大丈夫?」
ルーミアが顔を覗きこんでくる。彼女からしてみれば、おにぎりを食べた慧音がいきなり吐き出したのだ。純粋に心配してくれていることは分かったし、悪意がないことも知っていた。
知っていても――我慢がならなかった。
――彼女は人喰いであり、人肉を自分に食べさせたのだ。
その思いが、理性を駆逐して、慧音の身体を動かした、吐いていた口を拭った手で、そのまま力の限り――ルーミアの頬を叩いたのだ。
加減もなにもない、全力での一撃だった。
ルーミアの軽い体は堪えようもなく吹き飛び、地面の上を転がって日陰から日の下へと出る。頬が見る間に赤く染まったが、『心配』という二文字は少しも浮かび上がってこなかった。
吐き気に襲われて、慧音は喘いだ。吐くものが何もないのが余計に苦しかった。
「……な、なんで……」
げぇげぇと喘ぐ慧音の側、倒れていたルーミアが身を起こした。腫れた頬を手で押さえ、力なく立ち上がる。
その目からは、涙が流れ出ていた。
「酷いよぉ……痛い、痛いよ……」
声を押し殺してルーミアは泣き出した。その泣き声が癪にさわり、慧音は耳を塞ぎたくなってしまう。
「酷い、酷い……うぁ、あああんっ!」
泣きながら、ルーミアは力なく飛び立つ。高く飛ぶことも早く飛ぶこともできず、苦手な日の光の中を、左に右に揺れながら飛ぶ。
飛び、慧音から離れていく。
飛び退るルーミアの後ろ姿を見ることもせず、慧音はいつまでも、いつまでも吐き続けている。
† † †
――酷い。
それだけを思いながらルーミアは飛んだ。涙は流れても流れても止まることはなかった。服の袖で目元を拭うが、涙はまた溢れ出てきてしまう。
涙は次から次へと溢れ出てくる。大泣きすると頬が痛むので、ルーミアは声を押し殺し、頬を押さえたままさめざめと泣いた。
ルーミアからしてみれば、親切をした相手にいきなり殴られたのだ。なぜ殴られたのかすら分からない。理不尽を通り越して横暴だった。
何よりも――親切を裏切られたことが、心に痛かった。
一刻も早くその場を離れたいと思ったから。
慧音の側になど、いたくなかった。
それほどに悲しかったのだ。
親切にしてくれたから親切を返した。
具合が悪そうだったから心配した。
それだけだったのに。
純粋に、好意からしたのに。
なのに――返って来た仕打ちは、容赦のない暴力だった。
霊夢や魔理沙のような通り魔的な攻撃ならまだ良かった。あれは公平な弾幕遊びであり、負けたとしても悔しいだけで、怨むような気持ちはない。
けれど、今度のは違った。
妖怪でも人間でも、裏切られれば悲しいことに変わりはない。
二度と慧音なんて信用するか、そう思いながらルーミアは飛び、
――横腹に衝撃を感じた。
殴られたのだ、と理解できなかった。ただ途方もない衝撃が、慧音に殴られたのよりもはるかに強い衝撃がきた。強すぎて、痛みに直結しなかった。わけもわからぬままに地面に叩きつけられた。
何が起きたのかが分かる前に、ニ撃目がきた。
背中を叩かれて、肺から空気が跳び出た。ようやく遅れてきた痛みが頭にがんがんと響く。顔を無理やりあげて、涙に霞む視界を見た。
人影がいた。
数人の、人影が、手に鍬や鋤を持って、倒れたルーミアを囲んでいた。
「×××××!」
人影が何かを叫ぶ。恐怖と怒りが入り混じった叫び。叫びながらその男は、力いっぱいに鋤を振り下ろした。尖った部分が足に突き刺さり、叫び声をあげようとした喉を蹴られた。
わけもわからぬままに――ルーミアは、恐怖で、泣いた。泣き声をあげようとしたが、もう一度顔を蹴られた。
ルーミアが何かをしようとするたびに、周りを囲んだ男たちはそれを阻害した。
仕方のないことだ。男たちは知らなかったのだから。ルーミアが疲れ果てて、弾幕もろくに放てないことを。そして、男たちは知っていた。相手が、自分たちよりも強い妖怪であり、一度攻撃されれば簡単に殺されてしまうことを。
だからこそ、人数の利を取った。――多くの数で、妖怪を囲んで。
だからこそ、武器の利を取った。――鍬や鋤で武装して。
だからこそ、地の利を取った。――太陽の出る昼間を使って。
魔法使いに妖怪が跳ねられたのを確認して、今が好機と男たちは武器を取ったのだ。つい先日、長老の息子が、道行く途中に妖怪に襲われていたから。慧音は里を守るだけで復讐に出るようなことはしないし、かならずしも守りきれるわけではない。
だからこそ、男たちは立ち上がった。
憎き妖怪に復讐するために。
手に持った武器を泣きじゃくる少女に向かって振り下ろす。その手にこもるのは怒りであり、同時に自分たちが殺されるかもしれないという恐怖を振り払うためだった。
一切――気力を振り絞れば、必死になれば、弾幕の一つや二つは放てただろう。
けれども、慧音からぶたれたという心理ショックから立ち直れていなかったルーミアには無理だった。そして、男たちは、立ち直る暇を与えなかった。
ルーミアは泣く。鋤の一撃でつぶれた目の奥から、紅く染まった涙が流れる。頭めがけて、とどめとばかりに鍬が振り下ろされる。
――慧音と、仲直りしたかった。
潰れる寸前、その頭は、辛そうな慧音の顔を思い出していた。
† † †
立ち直るのには、数日の時間が必要だった。
人肉喰いのショックから立ち直った慧音は、久しぶりに人里を訪れた。ここ数日家にこもり、死んだように眠っていたのでパトロールもしていなかったのだ。それを悔やむ気持ちもあり、足取りはあまり進まなかった。
けれど、今は。
今ばかりは、妖怪ではなく、人間たちと関わりたかった。
「おお、久しぶりです慧音さま! お元気でしたか」
予想に反して、里には温かく迎え入れられた。里はどこか活気に満ちていて、誰の顔にも明るい笑顔が浮かんでいた。
理由は分からなかったが、皆が明るい顔をしているのが、慧音には嬉しかった。
「ああ。皆も変わりないか?」
慧音が問うと、村の男性はほがらかに笑った。
「いいことがありましてな。皆浮かれとります」
そう言って、男性は里の中心へと慧音を案内した。『いいこと』が何か気になったが、聞くのを躊躇った。以前のルーミアの件があり、『尋ねる』という行為をどうしても躊躇してしまうのだ。
――聞かなくても、あとで話してくれるだろう。
そう思い、慧音は苦笑して男の後に続く。
村の中心では、昼間からささやかな宴会が始まろうとしていた。慧音がきたのを見て、あわてて準備したのだろう。
誘われるままに、慧音は中央の席へと進む。
そして――男は、慧音に。
「慧音様。珍しい食べ物が手に入りましたから、ひと口いかがですか?」
よく焼けた、それはそれは美味しそうな――なにかの肉を差し出した。
(了)
人喰いってのは人間の視点からみれば残酷ですが、人以外の視点でみればただの食事に過ぎない。頭じゃ解っているんですがねぇ。
でもまぁそういう視点があるって事を知る事は、とても大事な事だと思います。
割と展開が序盤で読めてしまったので、「そんなSSが好き」の評価でご了承下さい。
内容が内容なので読む人を選ぶかもしれませんが、私的には(適切な表現でないかもしれませんが)面白かったです。
里の人間が取った行動も、八百比丘尼などに見られる民間伝承の事を考えれば、有り得る話なのかなぁ、と。
話中でルーミアと慧音、里の人間(はちょっと違うかも)それぞれの倫理観が見えて、食という咎の重みは誰が決める
んだろうなぁ、みたいな事を読んでいて感じました。
ただ、下で床間たろひ氏も仰ってますが、序盤(おにぎり)のあたりでオチが見えてしまいました。
(前作を読んでいた為かもしれませんが)
あとコメント欄にある「前作品集に出したかった」のは、共通したテーマで三部作が構成されているからでしょうか。
それはさておき、残りのひとつも期待してお待ちしております。頑張って下さいませ。
・・・とにかく、命(資源)は大切ですね
完璧に不意打ちでした。
30点分は感性のみで引いてます。……慧音が吐いたのと、同じ理由だと思ってください。ルーミアぁ……。
…とはいえ、自分達も他の生き物を殺して生きているのも事実、
そこには驚きもなければ悲しみも無い。
今一度自分がどれだけの業を背負って生きているのかを認識する必要性を感じました。
人と妖の溝はあらゆる意味で深そうです。
人を食うということは結局別段悪いことではないのですよねぇ。確かに私的には気持ちは悪いのですが
しかし、同属食い自体はどんな生物もやるわけですから
実に好みの分かれる作品です。
何より酷いと思うところは、主人公が慧音だったことかもしれません。
カニバリズムな話って大体展開が同じなんですよね。
特に最近似たような話が多かったせいかマンネリと言うかなんと言うか。
まぁこんな事を個人にだけ言うのもバカげてるとは思いますが
率直に言っちゃえばもう一捻りあったらよかったなぁ。なんて
まぁそれはそういうものなんです、って言われればそれまでなんですが
個人的にこういう話は大好きですので、楽しんで読めました。
あと後書きの最後がツボにきて大変なことに
惜しむらくは、他の方も述べられておりますが、少々展開が在り来たり+(そういう視点から見た場合)ソフトだった事でしょうか・・・。氏ならばもっと素晴らしいものが書けると思います。この場で発表出来なくなりそうですが。
まあ、少数派とは思いますがこんな視点の人間もいると言う事で。氏の励みになれば幸いです。
ルーミアは柔らかくてとても良さそうですよね。ほら、二の腕とか、指とか。
まぁ、四半分程度冗談ですが。そういう方面でのSSとしてはかなり良かったです。
作者の意図した方向とは135゚程度違うと思いますが。
同じ嗜好の持ち主がいたことに軽く驚いたり。
かく言う私自身、気付いていないだけで間接的に多くの命を奪って生きているのでしょう。
私の場合、無理矢理にでもハッピーエンドにしてしまいますが、たまにはこういう雰囲気の作品も良い刺激になります。
食う食われるということに善悪はないですからね。
こういう話は大好きです。
マジで捕食者側が食べられるって考えるとゾッとしますね。