ある国の、むか~しむかしのことです。
そのある国の、ある町のある家に、アリババとカシムと言う兄弟が住んでいました。
弟のアリババは、とても誠実でまじめな性格でした。
しかし、兄のカシムは外見も正確も黒い人物で、とても意地悪でした。
魔理沙「お~い、アリ婆。」
アリス「誰が婆ですって?」
魔理沙「誰も婆とは言ってないぜ、アリ婆。」
性格も外見も黒いカシムは、アリババをからかうことが多かったのです。
そんな兄に、アリババは少々うんざりしていました。
ある日アリババは、用事があって出かけました。
アリス「ったく、初っ端から老人呼ばわりだなんて、とんだ主役だわ。」
いくら誠実な性格とは言え、一人になれば文句の一つも言いたくなる時があります。
ぶつくさと何かを言いつつ、用事が終わったので家に帰ろうとしました。
と、その時です。
??「ケヒ~、今日も大量ね、大量。」
アリス「あら、あれは…。」
大変なものを見てしまったアリババは、急いで岩の陰に隠れました。
霊夢「ほらほら、人目につく前にさっさと運ぶのよ!」
そう、アリババが見たのは、悪い盗賊たちだったのです!
盗賊たちは、近くの村から奪ってきたと思われるお宝を運んでいます。
アリス「ここは、尾行するべきね。」
何故か、そうしなければならないと思ってしまったアリババは、
盗賊たちに見つからないよう、こっそりついて行くことにしました。
暫くすると盗賊たちは、岩の塊の前に止まりました。
アリス「あんなところで、何する気かしら?」
盗賊の頭らしき人が、岩の前に立ちました。
そして、
霊夢「開け、賽銭箱!」
と、呪文を唱えました。
すると、どうでしょう。
ゴゴゴゴゴ…
何と、岩が二つに割れました。
そして、洞窟が姿を現したのです。
霊夢「よし、運びなさい。」
盗賊たちは、お宝を洞窟へと運びます。
それが終わったのを見ると、盗賊の頭も洞窟の中へと入って行きました。
ゴゴゴゴゴ…
盗賊の頭が中で呪文を唱えたようです。
割れた岩が元に戻り、洞窟の入り口を塞いでしまいました。
アリス「……なるほど。とうとう、神社暮らしが成り立たなくなったのね。」
アリババは、その様子をじっと見ていました。
そして暫くすると、
ゴゴゴゴゴ…
洞窟が開きました。
中からは盗賊たちがわらわらと出てきました。
霊夢「閉じろ、賽銭箱!」
ゴゴゴゴゴ…
盗賊の頭の呪文とともに岩が動き、洞窟の入り口を塞ぎました。
それを見届けた盗賊の頭は、部下を率いて何処かへ行ってしまいました。
また、どこかへ盗みを働きに行ったのでしょうか。
アリス「…賽銭箱ってあんなに大きいものだったかしら?」
アリババは、中の様子が気になったので、洞窟へと近づきました。
今なら盗賊たちは居ないので、堂々と調べることが出来ます。
アリス「ええと、確か…開け賽銭箱!」
洞窟の入り口が開きました。
アリス「さて、鬼が出るか巫女が出るか。」
アリババは、洞窟の中に入って行きました。
洞窟はあんまり深くなく、すぐに一番奥に辿り着きました。
アリス「…なるほど。この中に、その辺から盗ってきたものを隠してたのね。」
そこには何と、金銀財宝や、ありとあらゆるお宝が数え切れない程沢山あったのです。
盗賊たちが、色んなところから集めてきたお宝のようです。
アリス「あら、この人形……す、凄いわ!」
メディスン「え、私?いや~、凄いだなんて~。」
アリス「書物にあった、外の世界の薬屋の人形…ケ○ヨンじゃない!」
メディスン「え~!ちょっと!そんなのより私の方が凄いでしょ?」
何か名前が誤解されてそうな人形や
アリス「こっちはレア物のグリモワール!何でこんなところに…!」
メディスン「こら~!私を無視しないでよ!」
怪しげな本など、とにかくお宝で一杯でした。
アリス「これだけあれば、あいつも羨ましがるわね、ふふふ。」
メディスン「ねぇちょっと~、何で私まで手伝わなきゃいけないの~?」
アリババは、盗賊たちのお宝を持って家に帰りました。
家に入ると、カシムが出迎えに来ました。
アリス「ただいま。」
メディスン「あ~、疲れた。」
魔理沙「遅かったな、婆。何処行ってたんだ?」
アリス「変な略し方しないでよ。…ふふ。」
魔理沙「?」
カシムは、アリババの機嫌が不気味なまでに良いことを不審に思いました。
いつもなら、からかったときにこんな笑い方はしないはず、と思ったのです。
魔理沙「おい、変な笑い方するな、気味が悪い。ワライタケでも食べたか?」
アリス「ふふん、何でか知りたい?」
魔理沙「いや、いい。」
アリス「知りたくなければ教えてあげるわ。これを見なさい!」
アリババは懐から、盗って来たお宝を取り出しました。
魔理沙「こ、これはっ!凄いレア物じゃないか!」
アリス「どう?羨ましい?」
魔理沙「ああ、ちっとも羨ましくないが、羨ましいと言う事にしておこう。」
メディスン「て言うか、何で私を話題にしてくれないのかなぁ。……ひょっとして古本以下?」
・
・
・
口ではそう言いつつも、やっぱりアリババがお宝を見つけたのを羨ましく思ってしまう微妙な乙女心。
かどうかはさておき、カシムも、その洞窟へと出かけて行きました。
魔理沙「おっと、私は盗むなんて無粋なことはしないぜ。借りるだけだ。」
とは言え、盗賊たちに許可を貰うつもりは全くありません。
しばらく歩くと、アリババから聞いた洞窟の近く辿り着きました。
霊夢「うちのもん盗んだ奴を探すのよ!大急ぎでね!」
盗賊の頭が、部下たちに指示を出していました。
アリババにお宝を盗まれた事に、だいぶ腹が立ってるみたいです。
しばらくすると頭も出かけてしまい、洞窟の周りには誰も居なくなってしまいました。
魔理沙「よし、今がチャンスだな……開け、賽銭箱!」
ゴゴゴゴゴ…
カシムが呪文を唱えると、洞窟の入り口が開きました。
カシムは洞窟の奥へ向かいました。
魔理沙「おお、これは凄い。」
アリババに色々持って行かれても、洞窟の奥はまだまだお宝がいっぱいです。
カシムはお宝を物色し始めました。
魔理沙「ふむふむ、この本は確保。この石は…とりあえず拾っておくか。
へえ、この薬は……なるほど……グビッ!と。あ~不味い。」
お宝を目の前にして、カシムはやりたい放題やってます。
と、その時です。
霊夢「人ん家のもん勝手に飲んでおいて、不味いはないでしょ?」
魔理沙「!?」
何と、盗賊の頭が、カシムの後ろに立っていたのです。
霊夢「………。」
魔理沙「……まぁ、事実、不味いしな。」
盗賊の頭は、鬼のような形相でカシムを睨んでいます。
霊夢「ちょっと忘れ物して戻ってきてみれば…あんただったのね、うちの家具食料その他を盗んだのは。」
魔理沙「まて、誤解だ。これは全て婆がやったことだ。」
霊夢「婆って誰よ?ていうか、婆なら黒いとんがり帽子被った魔法使いが定番よね。」
カシムが言い訳しても、盗賊の頭は聞く耳を持ちません。
何時の間にかその後ろには、部下の盗賊たちが控えていました。
頭は、部下たちに命令しました。
霊夢「全員!やってしまいなさい!」
萃香×39「「「「お~!!」」」」」
号令と共に、39人の盗賊たちが、一斉にカシムに襲い掛かりました。
魔理沙「って全部萃香じゃないか!いたたたた!髪引っ張るな!」
霊夢「人件費節約。足りない分は萃香で補う、これ基本よ。」
魔理沙「こ、こら!ちっちゃいからって服の中に入ってくるな!」
霊夢「うちから物と盗ると、こうなるのよ。覚悟しなさい!」
パチン、と頭が指を鳴らしました。
それを合図に、盗賊たちは、
魔理沙「あはははははははははは!!こ、こら、やめ…!あははははははは!」
カシムの笑いのツボを刺激し始めたのです。
魔理沙「あひゅあははははひゃははは!あっーーー……!!」
カシムは無惨にも、(笑い)殺されてしまいました。
霊夢「さて、私の勘が正しければ、あと一人…。婆ってのが居るわね。」
萃香「お頭。婆ってくれば魔女。魔女とくれば魔法使いよ。つまり…。」
霊夢「そうね。やったのはアリババだわ。」
盗賊たちは、アリババからお宝を取り返すため、また出かけて行きました。
・
・
・
一方アリババは、要らないお宝を売ったお金で、大きなお屋敷を手に入れ、
欲しいものも沢山買い、とても幸せな生活をしていました。
アリス「帰ってこなくていいけど、遅いわねぇ。」
メディスン「片付け終わったよ~。って、何で私がメイドっぽいことしなきゃいけないのよ?」
アリス「何よ、今更気にしなくてもいいじゃない。」
メディスン「気にするってば!大体、こんな可愛い人形を見てその態度は……。」
ガタッ
屋敷の玄関で、何やら音がしました。
アリス「あら、客かしら?」
メディスン「こんな所にお客さん何て来るのかな。」
アリス「友達少なくて悪かったわね。」
メディスン「別にそこまでは言ってないじゃない。」
アリババは玄関に行こうとしましたが、召使いがそれを止めました。
アリババには友達が居な……ではなく、お屋敷が建ったばかりなのに、
訪れるようなお客さんが居るのかどうか、疑問に思ったのです。
アリス「別に、近所の人とかが挨拶に来ても不思議じゃないと思うけどねえ。」
メディスン「あ!」
アリス「どうしたの?」
メディスン「そういえばようやく私の存在が認識された!」
アリス「やった、初台詞!ってやつ?」
メディスン「ずっと喋ってたでしょ!子獅子座の何とかじゃあるまいし。」
アリス「まぁ、とりあえず玄関を見てきてくれないかしら?」
メディスン「……もういいわよ!今度は主役になってやるんだから!」
霊夢「無駄話してないでさっさと出てきなさいよ!」
どかんばたんと勢いのよい音とともにドアが破られ、盗賊たちがアリババの部屋に乗り込んできました!
霊夢「泥棒の黒い方は始末させてもらったわ。次はあんたよ!」
アリス「酷いことするのね。まぁ自業自得だけど。」
霊夢「じゃああんたも自業自得でさっさとやられちゃいなさい!覚悟は良いわね?」
盗賊の頭はもうカンカンです。
とても、話し合いの出来るような状態ではありません。
アリス「よし、しんがりは任せたわ。」
メディスン「え?ええ!?ちょっと、いきなりそんなこと言われても!」
アリス「大丈夫、ピンチになったら、コレを使いなさい。」
メディスン「いやそうじゃなくて、何で私が盾にならなきゃいけないのよ~!」
アリス「何言ってるの。ここで活躍すればすごく目立つわよ?」
メディスン「それはそうだけど~。」
アリス「じゃ、よろしくね。」
アリババは、召使いに足止めを任せて、外へ飛び出しました。
霊夢「あら、見捨てられたの?」
メディスン「うう、気が進まないけどやらなきゃ目立てないしなぁ…。」
霊夢「まぁ、今日の私は悪役モード全開だから、あんたもちょいちょいと片付けてやるわ!」
盗賊の頭はやる気満々です。
霊夢「と言うわけで、後は任せたわ!ちょいちょいと片付けてやってね。」
萃香「え~!やる気満々じゃなかったの!?て言うか自分だけ良いとこ取るつもり?」
霊夢「脇役には脇役の役割があるのよ。」
萃香「霊夢は腋役。」
霊夢「あんたも人のこと言えないでしょ!」
盗賊の頭は、部下に召使いの始末を任せて、アリババを追いかけました。
萃香「まったく、勝手なんだから~。」
メディスン「あ~、一人減ったから何とかなるかな?」
萃香「ふん。新米妖怪の分際で、私に勝てると思ってるの?」
盗賊の部下たちは、召使いを囲みました。
メディスン「むむ?」
萃香「百万鬼夜行…といきたいけど、話の都合上三十九鬼夜行よ。」
メディスン「う~ん、何だか知らないけど早速ピンチっぽいから…。」
沢山の敵に囲まれたときは、基本的にピンチなのです。
そこで召使いは、アリババから渡された切り札を使うことにしました。
メディスン「何なに?ええと、『アーティフルサクリファイス』。」
萃香「んぇ!?」
どっか~~~~~~~~~~~ん!!!!
召使いを中心に、屋敷が大爆発を起こしました。
哀れ、召使いと盗賊の部下たちは、崩れ落ちる屋敷の下敷きになってしまいました。
メディスン「けほっ。あ~もう!一体なにがあったのよ!」
萃香「ぷはっ。ふ~、中々良いマダ○テだったね。」
メディスン「あ~?何だって?」
萃香「あんたの魔力が一気に放出されたの。無茶するわね~、意外と。」
メディスン「やりたくてやったわけじゃないわよ~。何でこんな扱いなのよ~!」
萃香「まぁまぁ、今夜は呑もう。どうせもう私らの出番終わりだし。」
メディスン「くそ~、絶対主役になって帰ってくるからね~!」
・
・
・
さて、逃げたアリババは、とある場所に向かっていました。
盗賊たちの洞窟です。
アリス「確かここには、アレやコレやソレとかがあったと思うんだけど…。」
どうやらアリババは、武器になるようなものを調達しに来たようです。
盗賊たちもまさか、アリババが自分たちのアジトに逃げ込んでいるとは思わないでしょう。
魔理沙「おや、誰かと思えばアリ婆じゃないか。」
アリス「!?」
何故かそこには、死んだはずのカシムが居ました。
アリババはびっくりしてしまいました。
アリス「……あんた、死んだんじゃなかったの?」
魔理沙「あ~、死んだ死んだ。軽く笑い殺されたぜ。」
アリス「じゃあゾンビね。今すぐ焼却してあげるから成仏しなさい。」
魔理沙「待て待て。多分、て言うか絶対、この薬のせいだな。」
アリス「薬?」
カシムはアリババに、空になった薬のビンを見せました。
そのビンには『無料お試し版 蓬莱の薬』と書いてありました。
アリス「リザレクション一回分だけ有効?あんたこんな物飲んだの?」
魔理沙「ロハだぜ。」
アリス「呆れた。ご都合主義もいいところね。」
悪い兄でも、身内が生きていたら嬉しいものです。
アリババは照れ屋さんなので、それを表に出さないだけです。
霊夢「追い詰めたわよ!」
と、感動の再会の所、顔も服の一部も真っ赤にした盗賊の頭が割り込んできました。
アリス「あら、早かったわね。」
魔理沙「おお、帰ったか。よし、私の仇だ、覚悟しろ。」
霊夢「って、あ~!何で生きてるのよ!」
魔理沙「それはさっき説明したから省略。」
霊夢「まぁいいわ。また始末すればいいだけの話だしね!」
あっちに行ったりこっちに行ったりで、盗賊の頭はもううんざりしています。
今度こそ、全ての因縁にケリをつけようと、頭は殺る気満々です。
包丁でも取り出しそうな雰囲気です。
魔理沙「ちょっと待ってくれ。お前に情けがあるなら、三分だけアリ婆と話をさせてくれ。」
霊夢「ふん。今日の私は悪役モード全開よ。今流行りのチョイ悪何とかってやつね。」
魔理沙「お前は何か悪い物に憑かれてるだけだ。とりあえず落ち着け。」
紫「あら、誰が悪い物なのかしら?」
何やら誰かの声が聞こえてきました。
霊夢「あ、こら、勝手に喋らないでよ。」
紫「でもここで喋らなきゃ、何時までたっても出番が無いじゃないの。」
盗賊は、懐からランプのようなものを取り出しました。
するとそのランプから、恐ろしい魔神が現れたのです。
アリス「悪い物ね。」
魔理沙「悪い物だな。」
霊夢「ほら、悪い物扱いされてるあんたは引っ込んでなさいよ。」
紫「あらあら。今回の悪者は霊夢の方じゃないの。」
霊夢「うっさい。さっさと戻りなさいってば!」
紫「むぎゅう。」
盗賊の頭は、ランプの精を無理矢理ランプの中に押し込めました。
霊夢「まったく。あんたが出てくるのは、ランプを擦った時か、くしゃみした時だけでしょ?」
アリス「ちょっと、何か話が色々混じってきてない?」
魔理沙「お得意の境界弄りか?」
紫「まぁ今日この時まで、汗と涙に塗れた物語がありまして…。」
霊夢「って~、だから出てくるなって言ってるでしょ!」
誰も聞いてないのに、ランプの精は、ここに至るまでの経緯を勝手に話し始めました。
______________________
このお話のちょっとだけ前のことです。
あるところに、一人の少年が居ました。
少年は貧乏でした。
霊夢「う~、お腹すいた~……。」
ある日、少年はボロっちいランプを拾いました。
霊夢「磨けば少しのお金にはなるわよね。」
そう思って少年は、ランプを磨きました。
すると、ランプから臭気…ではなく、瘴気が出てきました。
霊夢「げほっ、げほっ!な、何なのよ一体?」
?「呼ばれて飛び出て…。」
霊夢「誰…?」
ランプの方から声がしました。
少年がそこを見ると、何と魔神が居たのです!
紫「はい、八雲紫、12歳です。好きなスキマは、箪笥の裏のスキマです。」
霊夢「……………え?え~と……その、何って言ったの?」
紫「もとい、私は世にも奇抜なランプの精よ。」
魔神は、ランプの精と名乗りました。
霊夢「あ、ああ、そう。じゃ、私は忙しいから。」
紫「それは嘘ね。昔から貧乏暇無しとは良く言ったものだけど、ちょうどここに例外が…。」
霊夢「う~ん、とりあえずあんたをランプに押し込めて川に投げ捨てるだけの暇は出来たかな?」
紫「ああ、待って~。貴方の願いを三つだけ聞いてあげるから~。」
霊夢「え、ほんと?」
紫「ほんとよ。」
霊夢「それじゃ、神社の掃除と、宴会の後片付けをずっと手伝うこと!あと賽銭箱を満杯にして!」
紫「はい、確かに聞きました。それでは、これで失礼。」
霊夢「ちょっと待ちなさい!」
逃げようとしたランプの精を、少年は慌てて取り押さえました。
霊夢「聞くだけ聞いて、叶えてくれないって言うの?」
紫「『聞いてあげる』って言いました。叶えてあげるなんて言ってないわ。」
霊夢「ぐ……だ、騙したわね!」
紫「騙してないってば。」
霊夢「うるさ~い!あんたなんかこうしてやるわ!」
紫「うわー、何をするのきさまー。」
少年とランプの精は、その場で汗と涙と血に塗れた闘いを始めました。
_______________________
紫「と、言うわけで今に至るわけよ。」
魔理沙「肝心のところが抜けてる気がしないでもないが。」
アリス「気がしないとかそんなんじゃなくて、はっきり抜けてるわよ。」
紫「あの後捕まって、来る日も来る日も調教をされて……うう…しくしく。」
霊夢「大嘘ついてんじゃないわよ!」
紫「あ痛っ。」
盗賊の頭は、ランプの精の頭を思いっきり殴りました。
紫「ご主人さま~、乱暴はいやですわ~。」
霊夢「……やっぱりあんたは、川に捨てた方が良いわね。」
紫「その後、洗濯中のおばあさんに拾われて、ランプ太郎に…。」
霊夢「そのまま錆びて再起不能になるのよ!覚悟しなさい!」
何だか知りませんが、盗賊の頭とランプの精が、喧嘩を始めてしまいました。
この隙に二人は、策を練ることにしました。
アリス「で、話って何なの?」
魔理沙「ああ、そうだ。いいか、コレを見ろ。ここで拾ったモノだ。」
アリス「綺麗な石だけど…コレがどうかした?」
魔理沙「コレに向かって、二人でとある呪文を唱えると、絶体絶命のピンチでも助かるらしい。」
アリス「本当なの?」
魔理沙「伝説だけどな。」
どうやらカシムは、誰も居ないこの場所で、とんでもない秘密兵器を手に入れていたようです。
何でそんなことを知っているのかはともかく、それを使ってこのピンチから逃れようと考えました。
霊夢「ふう、封印成功ね。」
紫「むぐむぐ……。」
盗賊の頭は、ランプの精をふん捕まえてぐるぐる巻きにして口を塞いでしまいました。
霊夢「って、こっちのことすっかり忘れてたわ。」
魔理沙「忘れるなんて酷いぜ。」
アリス「出来るなら永遠に忘却して欲しかったけど。」
霊夢「だまらっしゃい。さあ、覚悟は良いわね?」
魔理沙「覚悟は良いよな?」
アリス「仕方の無い。覚悟してあげるわ。」
霊夢「よおし、それじゃあ覚悟しなさい!」
二人は、綺麗な石に向かって、呪文を唱えました。
『 バ ル ス 』
しかし なにも おこらなかった。
アリス「………。」
魔理沙「………。」
霊夢「………何?」
三人は、ちょっと困った顔をしています。
軽く説明しますと、θと言う少女かグラサンで生え際がちょっとヤバい大佐にしか使えないのです。
大佐と言っても、赤い何とやらじゃありません。
魔理沙「うお、まぶしっ。」
アリス「………。」
魔理沙「へあ~、目が、目があ~。」
霊夢「………。」
多分、何かが起こっていたら、カシムはこういう台詞を言ったりしたのでしょう。
ややあって、アリババが口を開きました。
アリス「その台詞、旬を軽く過ぎてるわよ。」
魔理沙「勘弁してやれ。ネタ起こしが丁度その頃だったんだ。」
アリス「…じゃなくて、何も起こらないじゃないの。」
魔理沙「おかしいなぁ。伝説は嘘だったのか?」
アリス「伝説に嘘も出鱈目もへったくれもないわよ。」
霊夢「急に場が白けたけど……気を取り直して、さあ、覚悟はいいわね!」
魔理沙「何回言ったんだよ、その台詞。」
霊夢「うるさい!今度こそ喰らいなさい!夢想封……」
もういい加減、待つのも飽きた盗賊の頭は、今度こそ二人を始末しようとしました。
二人の運命もこれまでか、と思われました。
が、その時です。
メディスン「人形解放運動~!脇役解放運動~!」
萃香「こら~!私の瓢箪もってかないでってば~!」
メディスン「脇役で悪いか~!」
萃香「ちょっと~!お酒~~~!!」
何と、アリババの屋敷の召使いと盗賊の部下たちが結託して、それぞれの主人に反旗を翻したのです。
新たに誕生した四十人の盗賊たちは、好き勝手に暴れて洞窟を荒らしまわっています。
霊夢「ちょっと!何よあんたたち!」
メディスン「お酒は何億もの人間を殺した恐怖の毒よ~!だから私がもって何が悪いのよ~?」
萃香「だからそれは私のお酒だってば!返しなさいよ~!」
霊夢「出番終わったやつはさっさと帰りなさい!」
メディスン「え~い、だまらっしゃい!必殺、スーさんミスト!」
霊夢「ぶはっ!」
萃香「うわ、臭っ!ってこら、密室で毒撒くな~!」
元召使いが、どさくさに紛れて毒を撒いたみたいです。
このままでは、毒が洞窟中に充満して、みんな死んでしまいます。
アリス「何だかよくわかんないけど、ピンチっぽいわね。」
魔理沙「何だかよくわからんが、ピンチっぽいな。」
霊夢「うう、げほ、げほっ…これはちょっと不味いわね。さっさと出なきふぎゅ!!」
盗賊の頭は、慌てて洞窟から出ようとしましたが、転んでしまいました。
紫「ご主人さまぁ~、私を置いて行くなんて酷いわ~。」
霊夢「こらちょっと!放しなさい!」
何と、縛っておいたはずのランプの精が、片腕だけを出して盗賊の頭の足を掴んでいたのです!
その力は怨念がこもっているせいかとても強く、逃れることが出来ません。
魔理沙「息苦しくて敵わん。さっさと逃げるぜ。」
アリス「そうね。さっさと逃げましょう。」
霊夢「待ちなさい!」
魔理沙「ふぎゃ!」
アリス「痛っ!」
逃げようとした二人の足を、盗賊の頭が掴みました。
二人は勢い余って顔面を強打しました。
魔理沙「こら馬鹿!離せ!」
アリス「こら!離しなさい!」
霊夢「逃げたかったらコレを何とかしなさい!」
紫「コレとか言わないで~。」
アリス「私たちには関係ないでしょ!」
魔理沙「ぐぅ、毒と酒でいい気分……げほ、げほ。」
盗賊の頭は、二人を道連れにする気です。
このままでは、アリババもカシムも死んでしまいます。
霊夢「離しなさいってば、この!あんたたちも何とかしなさい!」
アリス「だから私たちには関係ないってば!あんたこそさっさと離しなさいよ!」
魔理沙「…よぉし、何とかしてやろう!」
と、カシムは懐から何かを取り出しました。
そして、それを盗賊の頭に向けました。
霊夢「へ?」
アリス「ちょ、ちょっと魔理沙!」
魔理沙「この距離なら、霊夢だろうが紫だろうかイチコロだよなぁ…。」
カシムが取り出したのは、どうやら爆発物のようです。
それをこの中で使ったら、洞窟が崩れてしまい、みんな生き埋めになってしまいます!
紫「あら、酒霧プラス毒霧で頭がおかしくなっちゃったみたいね。」
霊夢「何よそれ!って言うか離しなさい!わ~!それこっちに向けないでってば!」
アリス「魔理沙!ここで撃ったらこっちも生き埋めよ!八卦炉しまいなさい!」
魔理沙「ああ、お前は立派に生きてくれ。ふ、最後くらい兄ちゃん役らしいことやらせてくれ…。」
アリス「あんたが撃ったら私も生き埋めになるの!やめなさいってば!」
二人は何とかカシムを止めようとしますが、
毒で頭がおかしくなってしまったカシムの耳には、二人の声は届きません。
カシムは盗賊の頭に向けてそれを突き出し、
魔理沙「アリ婆。ばかな兄ちゃんを許せ……。マスタースパーク!!」
霊夢「わ~!」
アリス「わ~!この馬鹿兄役~!」
紫「うっ、まぶ……。」
カシムのそれが、まばゆい光を放ち、盗賊の頭とランプの精を一瞬で飲み込みました。
二人を飲み込んだ光はその方向に向かって前進し、洞窟の壁に到達した瞬間!
どかぁああああああああん!!!
洞窟の壁が大爆発を起こしました!
爆発の衝撃で部屋が崩れ、天井から落ちてくる瓦礫が全てを覆ってゆきます。
メディスン「う~ヒック、頭がくらくらするぅ~……。」
萃香「ふう、やっとお酒が帰っていたわ。」
メディスン「わ~、天井ヒックが落ちてくる~ヒック。」
萃香「天井?…て、わ~~~~~!!!」
ガラガラガラガラ…………
こうして、欲望に塗れた洞窟は跡形も無く崩れ落ち、
盗賊の頭も、アリババも、カシムも、みんな死んでしまいました。
人の物を盗んだり、それをまた盗んだり盗み返したりと、
そんなロクでもないことをしていたら、ロクな目に遭わないのです。
良い子は、真似しちゃいけませんよ。
おしまい
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
永琳「と、言うお話だったのですよ。」
このお話は、とある国の王様に、とある女性が聞かせてあげたお話の中の一つなのです。
女性は一夜ごとに、一つのお話を聞かせたそうです。
輝夜「Zzz……。」
永琳「あら、寝ちゃったのね。」
こんな調子で女性は、千夜を通じて王様にお話を聞かせたそうですが、
王様はそれを大層気に入り、女性もお話を沢山知っていたものですから、
千夜どころか万夜に及び、万夜を経たその後も、ず~~~~っと続いたそうです。
永琳「まぁ、ネタはまだまだ有りますし、今日はこの辺にしましょうか。
お休みなさいませ、姫……じゃなくて、王様。」
後の世の人々は、この出来事や女性のお話を全部ひっくるめて、『永夜一夜物語』として語り継いだそうな。
永夜一夜物語 おしまい
キャスト
アリババ ・・・ アリス・マーガトロイド
カシム ・・・ 霧雨 魔理沙
盗賊の頭 ・・・ 博麗 霊夢
盗賊たち ・・・ 伊吹 萃香
召使い ・・・ メディスン・メランコリー
ランプの精 ・・・ 八雲 紫
女性 ・・・ 八意 永琳
王様 ・・・ 蓬莱山 輝夜
そのある国の、ある町のある家に、アリババとカシムと言う兄弟が住んでいました。
弟のアリババは、とても誠実でまじめな性格でした。
しかし、兄のカシムは外見も正確も黒い人物で、とても意地悪でした。
魔理沙「お~い、アリ婆。」
アリス「誰が婆ですって?」
魔理沙「誰も婆とは言ってないぜ、アリ婆。」
性格も外見も黒いカシムは、アリババをからかうことが多かったのです。
そんな兄に、アリババは少々うんざりしていました。
ある日アリババは、用事があって出かけました。
アリス「ったく、初っ端から老人呼ばわりだなんて、とんだ主役だわ。」
いくら誠実な性格とは言え、一人になれば文句の一つも言いたくなる時があります。
ぶつくさと何かを言いつつ、用事が終わったので家に帰ろうとしました。
と、その時です。
??「ケヒ~、今日も大量ね、大量。」
アリス「あら、あれは…。」
大変なものを見てしまったアリババは、急いで岩の陰に隠れました。
霊夢「ほらほら、人目につく前にさっさと運ぶのよ!」
そう、アリババが見たのは、悪い盗賊たちだったのです!
盗賊たちは、近くの村から奪ってきたと思われるお宝を運んでいます。
アリス「ここは、尾行するべきね。」
何故か、そうしなければならないと思ってしまったアリババは、
盗賊たちに見つからないよう、こっそりついて行くことにしました。
暫くすると盗賊たちは、岩の塊の前に止まりました。
アリス「あんなところで、何する気かしら?」
盗賊の頭らしき人が、岩の前に立ちました。
そして、
霊夢「開け、賽銭箱!」
と、呪文を唱えました。
すると、どうでしょう。
ゴゴゴゴゴ…
何と、岩が二つに割れました。
そして、洞窟が姿を現したのです。
霊夢「よし、運びなさい。」
盗賊たちは、お宝を洞窟へと運びます。
それが終わったのを見ると、盗賊の頭も洞窟の中へと入って行きました。
ゴゴゴゴゴ…
盗賊の頭が中で呪文を唱えたようです。
割れた岩が元に戻り、洞窟の入り口を塞いでしまいました。
アリス「……なるほど。とうとう、神社暮らしが成り立たなくなったのね。」
アリババは、その様子をじっと見ていました。
そして暫くすると、
ゴゴゴゴゴ…
洞窟が開きました。
中からは盗賊たちがわらわらと出てきました。
霊夢「閉じろ、賽銭箱!」
ゴゴゴゴゴ…
盗賊の頭の呪文とともに岩が動き、洞窟の入り口を塞ぎました。
それを見届けた盗賊の頭は、部下を率いて何処かへ行ってしまいました。
また、どこかへ盗みを働きに行ったのでしょうか。
アリス「…賽銭箱ってあんなに大きいものだったかしら?」
アリババは、中の様子が気になったので、洞窟へと近づきました。
今なら盗賊たちは居ないので、堂々と調べることが出来ます。
アリス「ええと、確か…開け賽銭箱!」
洞窟の入り口が開きました。
アリス「さて、鬼が出るか巫女が出るか。」
アリババは、洞窟の中に入って行きました。
洞窟はあんまり深くなく、すぐに一番奥に辿り着きました。
アリス「…なるほど。この中に、その辺から盗ってきたものを隠してたのね。」
そこには何と、金銀財宝や、ありとあらゆるお宝が数え切れない程沢山あったのです。
盗賊たちが、色んなところから集めてきたお宝のようです。
アリス「あら、この人形……す、凄いわ!」
メディスン「え、私?いや~、凄いだなんて~。」
アリス「書物にあった、外の世界の薬屋の人形…ケ○ヨンじゃない!」
メディスン「え~!ちょっと!そんなのより私の方が凄いでしょ?」
何か名前が誤解されてそうな人形や
アリス「こっちはレア物のグリモワール!何でこんなところに…!」
メディスン「こら~!私を無視しないでよ!」
怪しげな本など、とにかくお宝で一杯でした。
アリス「これだけあれば、あいつも羨ましがるわね、ふふふ。」
メディスン「ねぇちょっと~、何で私まで手伝わなきゃいけないの~?」
アリババは、盗賊たちのお宝を持って家に帰りました。
家に入ると、カシムが出迎えに来ました。
アリス「ただいま。」
メディスン「あ~、疲れた。」
魔理沙「遅かったな、婆。何処行ってたんだ?」
アリス「変な略し方しないでよ。…ふふ。」
魔理沙「?」
カシムは、アリババの機嫌が不気味なまでに良いことを不審に思いました。
いつもなら、からかったときにこんな笑い方はしないはず、と思ったのです。
魔理沙「おい、変な笑い方するな、気味が悪い。ワライタケでも食べたか?」
アリス「ふふん、何でか知りたい?」
魔理沙「いや、いい。」
アリス「知りたくなければ教えてあげるわ。これを見なさい!」
アリババは懐から、盗って来たお宝を取り出しました。
魔理沙「こ、これはっ!凄いレア物じゃないか!」
アリス「どう?羨ましい?」
魔理沙「ああ、ちっとも羨ましくないが、羨ましいと言う事にしておこう。」
メディスン「て言うか、何で私を話題にしてくれないのかなぁ。……ひょっとして古本以下?」
・
・
・
口ではそう言いつつも、やっぱりアリババがお宝を見つけたのを羨ましく思ってしまう微妙な乙女心。
かどうかはさておき、カシムも、その洞窟へと出かけて行きました。
魔理沙「おっと、私は盗むなんて無粋なことはしないぜ。借りるだけだ。」
とは言え、盗賊たちに許可を貰うつもりは全くありません。
しばらく歩くと、アリババから聞いた洞窟の近く辿り着きました。
霊夢「うちのもん盗んだ奴を探すのよ!大急ぎでね!」
盗賊の頭が、部下たちに指示を出していました。
アリババにお宝を盗まれた事に、だいぶ腹が立ってるみたいです。
しばらくすると頭も出かけてしまい、洞窟の周りには誰も居なくなってしまいました。
魔理沙「よし、今がチャンスだな……開け、賽銭箱!」
ゴゴゴゴゴ…
カシムが呪文を唱えると、洞窟の入り口が開きました。
カシムは洞窟の奥へ向かいました。
魔理沙「おお、これは凄い。」
アリババに色々持って行かれても、洞窟の奥はまだまだお宝がいっぱいです。
カシムはお宝を物色し始めました。
魔理沙「ふむふむ、この本は確保。この石は…とりあえず拾っておくか。
へえ、この薬は……なるほど……グビッ!と。あ~不味い。」
お宝を目の前にして、カシムはやりたい放題やってます。
と、その時です。
霊夢「人ん家のもん勝手に飲んでおいて、不味いはないでしょ?」
魔理沙「!?」
何と、盗賊の頭が、カシムの後ろに立っていたのです。
霊夢「………。」
魔理沙「……まぁ、事実、不味いしな。」
盗賊の頭は、鬼のような形相でカシムを睨んでいます。
霊夢「ちょっと忘れ物して戻ってきてみれば…あんただったのね、うちの家具食料その他を盗んだのは。」
魔理沙「まて、誤解だ。これは全て婆がやったことだ。」
霊夢「婆って誰よ?ていうか、婆なら黒いとんがり帽子被った魔法使いが定番よね。」
カシムが言い訳しても、盗賊の頭は聞く耳を持ちません。
何時の間にかその後ろには、部下の盗賊たちが控えていました。
頭は、部下たちに命令しました。
霊夢「全員!やってしまいなさい!」
萃香×39「「「「お~!!」」」」」
号令と共に、39人の盗賊たちが、一斉にカシムに襲い掛かりました。
魔理沙「って全部萃香じゃないか!いたたたた!髪引っ張るな!」
霊夢「人件費節約。足りない分は萃香で補う、これ基本よ。」
魔理沙「こ、こら!ちっちゃいからって服の中に入ってくるな!」
霊夢「うちから物と盗ると、こうなるのよ。覚悟しなさい!」
パチン、と頭が指を鳴らしました。
それを合図に、盗賊たちは、
魔理沙「あはははははははははは!!こ、こら、やめ…!あははははははは!」
カシムの笑いのツボを刺激し始めたのです。
魔理沙「あひゅあははははひゃははは!あっーーー……!!」
カシムは無惨にも、(笑い)殺されてしまいました。
霊夢「さて、私の勘が正しければ、あと一人…。婆ってのが居るわね。」
萃香「お頭。婆ってくれば魔女。魔女とくれば魔法使いよ。つまり…。」
霊夢「そうね。やったのはアリババだわ。」
盗賊たちは、アリババからお宝を取り返すため、また出かけて行きました。
・
・
・
一方アリババは、要らないお宝を売ったお金で、大きなお屋敷を手に入れ、
欲しいものも沢山買い、とても幸せな生活をしていました。
アリス「帰ってこなくていいけど、遅いわねぇ。」
メディスン「片付け終わったよ~。って、何で私がメイドっぽいことしなきゃいけないのよ?」
アリス「何よ、今更気にしなくてもいいじゃない。」
メディスン「気にするってば!大体、こんな可愛い人形を見てその態度は……。」
ガタッ
屋敷の玄関で、何やら音がしました。
アリス「あら、客かしら?」
メディスン「こんな所にお客さん何て来るのかな。」
アリス「友達少なくて悪かったわね。」
メディスン「別にそこまでは言ってないじゃない。」
アリババは玄関に行こうとしましたが、召使いがそれを止めました。
アリババには友達が居な……ではなく、お屋敷が建ったばかりなのに、
訪れるようなお客さんが居るのかどうか、疑問に思ったのです。
アリス「別に、近所の人とかが挨拶に来ても不思議じゃないと思うけどねえ。」
メディスン「あ!」
アリス「どうしたの?」
メディスン「そういえばようやく私の存在が認識された!」
アリス「やった、初台詞!ってやつ?」
メディスン「ずっと喋ってたでしょ!子獅子座の何とかじゃあるまいし。」
アリス「まぁ、とりあえず玄関を見てきてくれないかしら?」
メディスン「……もういいわよ!今度は主役になってやるんだから!」
霊夢「無駄話してないでさっさと出てきなさいよ!」
どかんばたんと勢いのよい音とともにドアが破られ、盗賊たちがアリババの部屋に乗り込んできました!
霊夢「泥棒の黒い方は始末させてもらったわ。次はあんたよ!」
アリス「酷いことするのね。まぁ自業自得だけど。」
霊夢「じゃああんたも自業自得でさっさとやられちゃいなさい!覚悟は良いわね?」
盗賊の頭はもうカンカンです。
とても、話し合いの出来るような状態ではありません。
アリス「よし、しんがりは任せたわ。」
メディスン「え?ええ!?ちょっと、いきなりそんなこと言われても!」
アリス「大丈夫、ピンチになったら、コレを使いなさい。」
メディスン「いやそうじゃなくて、何で私が盾にならなきゃいけないのよ~!」
アリス「何言ってるの。ここで活躍すればすごく目立つわよ?」
メディスン「それはそうだけど~。」
アリス「じゃ、よろしくね。」
アリババは、召使いに足止めを任せて、外へ飛び出しました。
霊夢「あら、見捨てられたの?」
メディスン「うう、気が進まないけどやらなきゃ目立てないしなぁ…。」
霊夢「まぁ、今日の私は悪役モード全開だから、あんたもちょいちょいと片付けてやるわ!」
盗賊の頭はやる気満々です。
霊夢「と言うわけで、後は任せたわ!ちょいちょいと片付けてやってね。」
萃香「え~!やる気満々じゃなかったの!?て言うか自分だけ良いとこ取るつもり?」
霊夢「脇役には脇役の役割があるのよ。」
萃香「霊夢は腋役。」
霊夢「あんたも人のこと言えないでしょ!」
盗賊の頭は、部下に召使いの始末を任せて、アリババを追いかけました。
萃香「まったく、勝手なんだから~。」
メディスン「あ~、一人減ったから何とかなるかな?」
萃香「ふん。新米妖怪の分際で、私に勝てると思ってるの?」
盗賊の部下たちは、召使いを囲みました。
メディスン「むむ?」
萃香「百万鬼夜行…といきたいけど、話の都合上三十九鬼夜行よ。」
メディスン「う~ん、何だか知らないけど早速ピンチっぽいから…。」
沢山の敵に囲まれたときは、基本的にピンチなのです。
そこで召使いは、アリババから渡された切り札を使うことにしました。
メディスン「何なに?ええと、『アーティフルサクリファイス』。」
萃香「んぇ!?」
どっか~~~~~~~~~~~ん!!!!
召使いを中心に、屋敷が大爆発を起こしました。
哀れ、召使いと盗賊の部下たちは、崩れ落ちる屋敷の下敷きになってしまいました。
メディスン「けほっ。あ~もう!一体なにがあったのよ!」
萃香「ぷはっ。ふ~、中々良いマダ○テだったね。」
メディスン「あ~?何だって?」
萃香「あんたの魔力が一気に放出されたの。無茶するわね~、意外と。」
メディスン「やりたくてやったわけじゃないわよ~。何でこんな扱いなのよ~!」
萃香「まぁまぁ、今夜は呑もう。どうせもう私らの出番終わりだし。」
メディスン「くそ~、絶対主役になって帰ってくるからね~!」
・
・
・
さて、逃げたアリババは、とある場所に向かっていました。
盗賊たちの洞窟です。
アリス「確かここには、アレやコレやソレとかがあったと思うんだけど…。」
どうやらアリババは、武器になるようなものを調達しに来たようです。
盗賊たちもまさか、アリババが自分たちのアジトに逃げ込んでいるとは思わないでしょう。
魔理沙「おや、誰かと思えばアリ婆じゃないか。」
アリス「!?」
何故かそこには、死んだはずのカシムが居ました。
アリババはびっくりしてしまいました。
アリス「……あんた、死んだんじゃなかったの?」
魔理沙「あ~、死んだ死んだ。軽く笑い殺されたぜ。」
アリス「じゃあゾンビね。今すぐ焼却してあげるから成仏しなさい。」
魔理沙「待て待て。多分、て言うか絶対、この薬のせいだな。」
アリス「薬?」
カシムはアリババに、空になった薬のビンを見せました。
そのビンには『無料お試し版 蓬莱の薬』と書いてありました。
アリス「リザレクション一回分だけ有効?あんたこんな物飲んだの?」
魔理沙「ロハだぜ。」
アリス「呆れた。ご都合主義もいいところね。」
悪い兄でも、身内が生きていたら嬉しいものです。
アリババは照れ屋さんなので、それを表に出さないだけです。
霊夢「追い詰めたわよ!」
と、感動の再会の所、顔も服の一部も真っ赤にした盗賊の頭が割り込んできました。
アリス「あら、早かったわね。」
魔理沙「おお、帰ったか。よし、私の仇だ、覚悟しろ。」
霊夢「って、あ~!何で生きてるのよ!」
魔理沙「それはさっき説明したから省略。」
霊夢「まぁいいわ。また始末すればいいだけの話だしね!」
あっちに行ったりこっちに行ったりで、盗賊の頭はもううんざりしています。
今度こそ、全ての因縁にケリをつけようと、頭は殺る気満々です。
包丁でも取り出しそうな雰囲気です。
魔理沙「ちょっと待ってくれ。お前に情けがあるなら、三分だけアリ婆と話をさせてくれ。」
霊夢「ふん。今日の私は悪役モード全開よ。今流行りのチョイ悪何とかってやつね。」
魔理沙「お前は何か悪い物に憑かれてるだけだ。とりあえず落ち着け。」
紫「あら、誰が悪い物なのかしら?」
何やら誰かの声が聞こえてきました。
霊夢「あ、こら、勝手に喋らないでよ。」
紫「でもここで喋らなきゃ、何時までたっても出番が無いじゃないの。」
盗賊は、懐からランプのようなものを取り出しました。
するとそのランプから、恐ろしい魔神が現れたのです。
アリス「悪い物ね。」
魔理沙「悪い物だな。」
霊夢「ほら、悪い物扱いされてるあんたは引っ込んでなさいよ。」
紫「あらあら。今回の悪者は霊夢の方じゃないの。」
霊夢「うっさい。さっさと戻りなさいってば!」
紫「むぎゅう。」
盗賊の頭は、ランプの精を無理矢理ランプの中に押し込めました。
霊夢「まったく。あんたが出てくるのは、ランプを擦った時か、くしゃみした時だけでしょ?」
アリス「ちょっと、何か話が色々混じってきてない?」
魔理沙「お得意の境界弄りか?」
紫「まぁ今日この時まで、汗と涙に塗れた物語がありまして…。」
霊夢「って~、だから出てくるなって言ってるでしょ!」
誰も聞いてないのに、ランプの精は、ここに至るまでの経緯を勝手に話し始めました。
______________________
このお話のちょっとだけ前のことです。
あるところに、一人の少年が居ました。
少年は貧乏でした。
霊夢「う~、お腹すいた~……。」
ある日、少年はボロっちいランプを拾いました。
霊夢「磨けば少しのお金にはなるわよね。」
そう思って少年は、ランプを磨きました。
すると、ランプから臭気…ではなく、瘴気が出てきました。
霊夢「げほっ、げほっ!な、何なのよ一体?」
?「呼ばれて飛び出て…。」
霊夢「誰…?」
ランプの方から声がしました。
少年がそこを見ると、何と魔神が居たのです!
紫「はい、八雲紫、12歳です。好きなスキマは、箪笥の裏のスキマです。」
霊夢「……………え?え~と……その、何って言ったの?」
紫「もとい、私は世にも奇抜なランプの精よ。」
魔神は、ランプの精と名乗りました。
霊夢「あ、ああ、そう。じゃ、私は忙しいから。」
紫「それは嘘ね。昔から貧乏暇無しとは良く言ったものだけど、ちょうどここに例外が…。」
霊夢「う~ん、とりあえずあんたをランプに押し込めて川に投げ捨てるだけの暇は出来たかな?」
紫「ああ、待って~。貴方の願いを三つだけ聞いてあげるから~。」
霊夢「え、ほんと?」
紫「ほんとよ。」
霊夢「それじゃ、神社の掃除と、宴会の後片付けをずっと手伝うこと!あと賽銭箱を満杯にして!」
紫「はい、確かに聞きました。それでは、これで失礼。」
霊夢「ちょっと待ちなさい!」
逃げようとしたランプの精を、少年は慌てて取り押さえました。
霊夢「聞くだけ聞いて、叶えてくれないって言うの?」
紫「『聞いてあげる』って言いました。叶えてあげるなんて言ってないわ。」
霊夢「ぐ……だ、騙したわね!」
紫「騙してないってば。」
霊夢「うるさ~い!あんたなんかこうしてやるわ!」
紫「うわー、何をするのきさまー。」
少年とランプの精は、その場で汗と涙と血に塗れた闘いを始めました。
_______________________
紫「と、言うわけで今に至るわけよ。」
魔理沙「肝心のところが抜けてる気がしないでもないが。」
アリス「気がしないとかそんなんじゃなくて、はっきり抜けてるわよ。」
紫「あの後捕まって、来る日も来る日も調教をされて……うう…しくしく。」
霊夢「大嘘ついてんじゃないわよ!」
紫「あ痛っ。」
盗賊の頭は、ランプの精の頭を思いっきり殴りました。
紫「ご主人さま~、乱暴はいやですわ~。」
霊夢「……やっぱりあんたは、川に捨てた方が良いわね。」
紫「その後、洗濯中のおばあさんに拾われて、ランプ太郎に…。」
霊夢「そのまま錆びて再起不能になるのよ!覚悟しなさい!」
何だか知りませんが、盗賊の頭とランプの精が、喧嘩を始めてしまいました。
この隙に二人は、策を練ることにしました。
アリス「で、話って何なの?」
魔理沙「ああ、そうだ。いいか、コレを見ろ。ここで拾ったモノだ。」
アリス「綺麗な石だけど…コレがどうかした?」
魔理沙「コレに向かって、二人でとある呪文を唱えると、絶体絶命のピンチでも助かるらしい。」
アリス「本当なの?」
魔理沙「伝説だけどな。」
どうやらカシムは、誰も居ないこの場所で、とんでもない秘密兵器を手に入れていたようです。
何でそんなことを知っているのかはともかく、それを使ってこのピンチから逃れようと考えました。
霊夢「ふう、封印成功ね。」
紫「むぐむぐ……。」
盗賊の頭は、ランプの精をふん捕まえてぐるぐる巻きにして口を塞いでしまいました。
霊夢「って、こっちのことすっかり忘れてたわ。」
魔理沙「忘れるなんて酷いぜ。」
アリス「出来るなら永遠に忘却して欲しかったけど。」
霊夢「だまらっしゃい。さあ、覚悟は良いわね?」
魔理沙「覚悟は良いよな?」
アリス「仕方の無い。覚悟してあげるわ。」
霊夢「よおし、それじゃあ覚悟しなさい!」
二人は、綺麗な石に向かって、呪文を唱えました。
『 バ ル ス 』
しかし なにも おこらなかった。
アリス「………。」
魔理沙「………。」
霊夢「………何?」
三人は、ちょっと困った顔をしています。
軽く説明しますと、θと言う少女かグラサンで生え際がちょっとヤバい大佐にしか使えないのです。
大佐と言っても、赤い何とやらじゃありません。
魔理沙「うお、まぶしっ。」
アリス「………。」
魔理沙「へあ~、目が、目があ~。」
霊夢「………。」
多分、何かが起こっていたら、カシムはこういう台詞を言ったりしたのでしょう。
ややあって、アリババが口を開きました。
アリス「その台詞、旬を軽く過ぎてるわよ。」
魔理沙「勘弁してやれ。ネタ起こしが丁度その頃だったんだ。」
アリス「…じゃなくて、何も起こらないじゃないの。」
魔理沙「おかしいなぁ。伝説は嘘だったのか?」
アリス「伝説に嘘も出鱈目もへったくれもないわよ。」
霊夢「急に場が白けたけど……気を取り直して、さあ、覚悟はいいわね!」
魔理沙「何回言ったんだよ、その台詞。」
霊夢「うるさい!今度こそ喰らいなさい!夢想封……」
もういい加減、待つのも飽きた盗賊の頭は、今度こそ二人を始末しようとしました。
二人の運命もこれまでか、と思われました。
が、その時です。
メディスン「人形解放運動~!脇役解放運動~!」
萃香「こら~!私の瓢箪もってかないでってば~!」
メディスン「脇役で悪いか~!」
萃香「ちょっと~!お酒~~~!!」
何と、アリババの屋敷の召使いと盗賊の部下たちが結託して、それぞれの主人に反旗を翻したのです。
新たに誕生した四十人の盗賊たちは、好き勝手に暴れて洞窟を荒らしまわっています。
霊夢「ちょっと!何よあんたたち!」
メディスン「お酒は何億もの人間を殺した恐怖の毒よ~!だから私がもって何が悪いのよ~?」
萃香「だからそれは私のお酒だってば!返しなさいよ~!」
霊夢「出番終わったやつはさっさと帰りなさい!」
メディスン「え~い、だまらっしゃい!必殺、スーさんミスト!」
霊夢「ぶはっ!」
萃香「うわ、臭っ!ってこら、密室で毒撒くな~!」
元召使いが、どさくさに紛れて毒を撒いたみたいです。
このままでは、毒が洞窟中に充満して、みんな死んでしまいます。
アリス「何だかよくわかんないけど、ピンチっぽいわね。」
魔理沙「何だかよくわからんが、ピンチっぽいな。」
霊夢「うう、げほ、げほっ…これはちょっと不味いわね。さっさと出なきふぎゅ!!」
盗賊の頭は、慌てて洞窟から出ようとしましたが、転んでしまいました。
紫「ご主人さまぁ~、私を置いて行くなんて酷いわ~。」
霊夢「こらちょっと!放しなさい!」
何と、縛っておいたはずのランプの精が、片腕だけを出して盗賊の頭の足を掴んでいたのです!
その力は怨念がこもっているせいかとても強く、逃れることが出来ません。
魔理沙「息苦しくて敵わん。さっさと逃げるぜ。」
アリス「そうね。さっさと逃げましょう。」
霊夢「待ちなさい!」
魔理沙「ふぎゃ!」
アリス「痛っ!」
逃げようとした二人の足を、盗賊の頭が掴みました。
二人は勢い余って顔面を強打しました。
魔理沙「こら馬鹿!離せ!」
アリス「こら!離しなさい!」
霊夢「逃げたかったらコレを何とかしなさい!」
紫「コレとか言わないで~。」
アリス「私たちには関係ないでしょ!」
魔理沙「ぐぅ、毒と酒でいい気分……げほ、げほ。」
盗賊の頭は、二人を道連れにする気です。
このままでは、アリババもカシムも死んでしまいます。
霊夢「離しなさいってば、この!あんたたちも何とかしなさい!」
アリス「だから私たちには関係ないってば!あんたこそさっさと離しなさいよ!」
魔理沙「…よぉし、何とかしてやろう!」
と、カシムは懐から何かを取り出しました。
そして、それを盗賊の頭に向けました。
霊夢「へ?」
アリス「ちょ、ちょっと魔理沙!」
魔理沙「この距離なら、霊夢だろうが紫だろうかイチコロだよなぁ…。」
カシムが取り出したのは、どうやら爆発物のようです。
それをこの中で使ったら、洞窟が崩れてしまい、みんな生き埋めになってしまいます!
紫「あら、酒霧プラス毒霧で頭がおかしくなっちゃったみたいね。」
霊夢「何よそれ!って言うか離しなさい!わ~!それこっちに向けないでってば!」
アリス「魔理沙!ここで撃ったらこっちも生き埋めよ!八卦炉しまいなさい!」
魔理沙「ああ、お前は立派に生きてくれ。ふ、最後くらい兄ちゃん役らしいことやらせてくれ…。」
アリス「あんたが撃ったら私も生き埋めになるの!やめなさいってば!」
二人は何とかカシムを止めようとしますが、
毒で頭がおかしくなってしまったカシムの耳には、二人の声は届きません。
カシムは盗賊の頭に向けてそれを突き出し、
魔理沙「アリ婆。ばかな兄ちゃんを許せ……。マスタースパーク!!」
霊夢「わ~!」
アリス「わ~!この馬鹿兄役~!」
紫「うっ、まぶ……。」
カシムのそれが、まばゆい光を放ち、盗賊の頭とランプの精を一瞬で飲み込みました。
二人を飲み込んだ光はその方向に向かって前進し、洞窟の壁に到達した瞬間!
どかぁああああああああん!!!
洞窟の壁が大爆発を起こしました!
爆発の衝撃で部屋が崩れ、天井から落ちてくる瓦礫が全てを覆ってゆきます。
メディスン「う~ヒック、頭がくらくらするぅ~……。」
萃香「ふう、やっとお酒が帰っていたわ。」
メディスン「わ~、天井ヒックが落ちてくる~ヒック。」
萃香「天井?…て、わ~~~~~!!!」
ガラガラガラガラ…………
こうして、欲望に塗れた洞窟は跡形も無く崩れ落ち、
盗賊の頭も、アリババも、カシムも、みんな死んでしまいました。
人の物を盗んだり、それをまた盗んだり盗み返したりと、
そんなロクでもないことをしていたら、ロクな目に遭わないのです。
良い子は、真似しちゃいけませんよ。
おしまい
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
永琳「と、言うお話だったのですよ。」
このお話は、とある国の王様に、とある女性が聞かせてあげたお話の中の一つなのです。
女性は一夜ごとに、一つのお話を聞かせたそうです。
輝夜「Zzz……。」
永琳「あら、寝ちゃったのね。」
こんな調子で女性は、千夜を通じて王様にお話を聞かせたそうですが、
王様はそれを大層気に入り、女性もお話を沢山知っていたものですから、
千夜どころか万夜に及び、万夜を経たその後も、ず~~~~っと続いたそうです。
永琳「まぁ、ネタはまだまだ有りますし、今日はこの辺にしましょうか。
お休みなさいませ、姫……じゃなくて、王様。」
後の世の人々は、この出来事や女性のお話を全部ひっくるめて、『永夜一夜物語』として語り継いだそうな。
永夜一夜物語 おしまい
キャスト
アリババ ・・・ アリス・マーガトロイド
カシム ・・・ 霧雨 魔理沙
盗賊の頭 ・・・ 博麗 霊夢
盗賊たち ・・・ 伊吹 萃香
召使い ・・・ メディスン・メランコリー
ランプの精 ・・・ 八雲 紫
女性 ・・・ 八意 永琳
王様 ・・・ 蓬莱山 輝夜
私も最近来たばかりの新参者ですが、Pikoさんの他の作品も読んでます。
応援させて下さいね。
しかし西瓜じゃ「あーいいお湯 てか油」程度で済みそうだな。なくて正解かな?
Pikoさんの独特の台詞回しと世界感。どちらも健在で素直に嬉しいです。
これからも楽しみにしてますw