Coolier - 新生・東方創想話

春泥棒(仮)

2006/10/02 04:58:55
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※旧作キャラ主軸のため、二次設定を付け足してます。



第百十八季 3月下旬

山間に、小さな家があった。
家の中で、その住人は嘆く。

?① 「食料が・・・尽きた」
?② 「武士は食わねど、高楊枝でしょう?」
?① 「されど腹は減る。このままだと・・・『武士道とは、耐える事と見つけたり』・・フッ」
?② 「ねね、『メイちゃん』は、凍死と餓死、どっちがいい?」

明羅   「その呼び方はよせ!『明羅 (めいら)』と呼べと言ってるだろう!」
紅い羽織の下に白の紋付と袴、後ろで縛った紫の髪。一見、美男子にも見える『女性』。

鎖奈水 「やだこわ~い。『鎖奈水 (さなみ)』困っちゃ~う」

気温が一段と下がった気がした。

黒い長髪に紫色のリボン。更に暗さを印象付ける黒いワンピースの少女。
しかし、その表情と性格と声は、外見と裏腹に明るい。

明 「(ピクピクピク)」
鎖 「それに、さっきメイちゃんが言ったのって『武士道は、死ぬ事と見つけたり』じゃない?
   メイちゃんも、『仲間』になりなよ~」
明 「誰が好き好んで『幽霊』になるか・・・」

もう春だというのに、雪は止むことなく、幻想郷を銀世界に閉じ込めたまま。
生命の息吹を氷中に封印した実り無き春は、全ての生き物の食糧事情を混迷に落した。
明羅もそんな不自然に続く冬の被害者の一人である。

勿論、彼女も幻想郷の住人だ。前もって冬の用意はしてあった。
が、ここまで長引くとは予想外だ。燃料の薪も、備蓄の食糧も尽きた。
質素な作りの家は寒く、余分な布や服も無い。

明 「(このままじゃ、本当に餓死か凍死・・いやいや、気をしっかり持て)」
鎖 「あ、しまった。今朝、私が起こさなかったら、メイちゃん、仲間にできたんだ」
明 「!?」
鎖奈水の言葉に驚くと、明羅はできる限りの厚着をし、更にその上に、刀と壁にかかってる『ばんどり』と『ずんべ』を身に着けた。

鎖 「お出かけ?」
明 「ここで手をこまねいていても仕方ない。せめて、薪ぐらいは拾ってくる」
鎖 「いってらっしゃ~い」

こんな山奥でなければ、積雪も少しは少ないのだろう。と、明羅は思った。
しかし、山での生活を気に入り、住み着いたのは自分の意思だ。一概に、後悔はできない。
女伊達らの侍の生き様は、少々不便だ。

生まれた里では、妖魔退治に関し、そこそこ名の知れた女侍だった。
もてはやされた挙句に彼女は、侍としての名声を向上すべく、里を離れ旅に出た。

明 「(未熟だったんだな・・・)」
積もった雪に、出した足が、足首まで沈む。

道中の妖魔撃退に関しては、問題は無かった。彼女の侍としての腕は、未熟ではなかったからだ。
未熟だったのは、精神と、里の外に対する認知力。
外から来た者。しかも、女の自分に妖魔退治の依頼が来る事は少なかった。
地元に居た時、依頼が多かったのは、彼女の腕前と、彼女の家名があったから。
しかし、里の外では家名は通用しない。その事に気づいた時、明羅は家名を名乗らなくなった。

明 「・・・あ、笠」
頭に積もった雪で、自分が笠を忘れた事に気づく。
振り向けば、まだ家は見える。ただでさえ小さい家が、更に小さく見える。
大した距離でもないが、雪のせいで、おっくうに感じる。

旅の当初は余裕があった路銀も少なくなり、旅先の宿屋で過ごしていた夜は、次第に野宿が多くなった。
旅に出て最初の冬は、とある里の長屋に住む事になった。
少ない仕事で得たお金は食費に回し、着替えとして持ってきた服を売り、家賃として払った。

明 「やっぱり、笠取りに戻ろうかな・・」
頬を切る冷たさに、言葉が漏れた。
が、戻るより、このまま薪を拾った方が早いと判断した。

冬が過ぎ、地元の里に帰ることも考えた。が、たかが1年足らずで、なんの名声も立てずに戻っては
「女伊達らに、侍を気取るから」 と言われる気がした。それは悔しい。
春が訪れた日、長屋を出て、再び旅に出た。
大敵は空腹。

明 「・・・やっぱ、乾いた薪なんて無いか・・」
されど、他に木々は無い。仕方なく、湿ってる薪を拾う。

「アナタの求めてる物、全部手に入れられるわよ」
旅先で行き倒れた明羅を助けた者は言った。
その者の依頼は、人に危害を与えず、平穏を好む妖魔に対しても、見境無く攻撃を仕掛ける巫女への仕返し。
しかも、その巫女は 『捕まえた妖魔を操り、里を襲わせ、自分がそれを退治して報酬を貰う』 という自作自演で私腹を肥やしてると言うのだ。
ヒモジイ日々が続いている明羅は、激怒した。
その巫女は『博麗の巫女』。倒せば、名声も上げられるし、巫女が持っている宝は、強大な力を与えてくれるらしい。
もし失敗しても、その善意ある行為に対し、多少の報酬をくれると言うのだ。明羅に断る理由は無い。
ただ一つ気がかりだったのは、依頼主が『幽霊』と言う事である。
そして、依頼主の言葉が全てウソだった事に、巫女に倒されてから気づく。
その後、自分と同じように利用された少女と共に、巫女によって封印された依頼主を助け、未払いの報酬を払わせた。


元々、浪人の様な暮らしをしてた明羅は、巫女に倒された後、修行のために山篭りをした。
ここで明羅が感激したのは、山の実りである。
平地の里を点々とする日々と違い、山は数多くの実りがあったため、ソレまでに比べると、ヒモジイ思いをせずにすんだ。
明羅が山の生活を気に入ってる理由である。

鎖 「大丈夫かな、笠忘れて。まぁ、死んでも仲間が増えるからいいけどね~」
鎖奈水は、明羅が巫女と戦う時、明羅をサポートするように依頼主から命令された怨霊。
しかし、巫女の霊力に引き寄せられ、鎖奈水が先行したために、あえなく倒されてしまう。
それ以来、特に行く当てもないので、そのまま明羅に付き(憑き)まとっている。

~少女祈祷中~

結局、明羅は、湿った薪しか拾えず、食料にいたっては、収穫無しだった。
と言っても、わずか30分程度しか散策してない。
が、この雪の中、笠を忘れた状態で、これ以上林の中を歩くのは危険。
食料を本気で探すなら出直すしかないと思い、一度帰る事にした。
林を抜け、家を視認した。

その時である。

「あなた、人間ね?」

どこから声がしたのか・・・木々が開いた視界の上方。つまりは、空に人が浮いていた。

明 「!? 物の怪か!」
左脇に抱えていた薪を捨て、刀を抜き構える。
雪と『ずんべ』が邪魔だと感じた。

?? 「(こんな所に人が住んでいたとは・・・だが) 丁度いい!」

春泥棒 「あなたが持ってる、なけなしの春を頂く!」
言うが早いか、その者は刀を構え、明羅の上方から突っ込んできて・・・・刀を横に一線、振り抜いた。

明 「(居合い抜刀術!)」
後ろに身を引き、かわす。今度は、明羅が縦に一線。が、相手は、後ろに跳び下がった。
やはり、『ずんべ』だと動きずらい。

泥 「(私の間合いだったはず・・)」
体勢を立て直す。
この雪で、地上戦はしずらい。相手が人間なら、空から攻撃した方が有利か。

2人は、改めて向き合う。
明羅を襲った者は、顔を隠すように笠を被っている。顔は口とアゴしか見えない。
上半身に蓑(みの)を着け、下は緑のスカートと、スネ当て。靴は・・普通の革靴か。
そして、腰後ろには、今抜いている刀の鞘と、短刀が刺さったままの鞘。
身長から見るに、まだ少女だろうが・・・

明 「(操られているのか・・・人ではないのか)」
少女の傍には、霊魂が浮遊していた。

明 「何者か?目的は物取りか?今の私には、金も食料も無いぞ?」
泥 「その境遇には同情する。
   私の目的は、あなたが持つ『春』そのもの」
明 「は?」
泥 「行くぞ!」
結局、明羅は何一つ、相手の事が判らなかった。

一振り、二振りと、少女の攻撃を、刀で受け流す。
少女は地面スレスレを飛び、時には上方から斬りかかって来る。
一方の明羅は、雪と『ずんべ』で、ろくに移動できず、その場での旋回もままならない。

泥 「(く・・・強い)」
これだけ有利でありながら、なかなか隙がない。

明 「な、逃げるか!?」
少女は、高く飛翔した。

泥 「接近戦が得意なようだが・・この弾幕は、裁き切れるかな?」
少女の太刀筋から、無数の弾が放たれた。

明 「空からとは、卑怯な」
明羅は飛べない。しかも、足元は雪に埋もれて動きずらい。
不得意ながらも、霊気弾を放つが、弾幕とは、とうてい言えない。
必死に逃げ回りながら、刀を鞘に収めた。

泥 「観念したか?」
明 「まだだ!『嗚手魂 (おてだま)』!」【霊術・「嗚手魂」】
懐から出した幾つかの珠が、明羅より放たれた。
その動きは遅く、それぞれが、てんでんバラバラの方向に飛んでいる。

泥 「何がしたいんだ」
明羅は、少女の弾幕を逃げかわしながら、何やら唱えている。
嗚手魂は、明羅が持つ唯一の霊術道具だ。が、霊術に関しては、専門外。
変則的に角度を変えて飛び回るので、厄介と言えば厄介だが。

泥 「賢しい!」
少女は、飛び交う珠を切り払う。

明 「うわ、った!?」
嗚手魂に集中していた明羅は、足を滑らせて尻餅をついてしまった。

泥 「もらった!」
少女が明羅に一気に間合いを詰めようとした、その時である。
少女の右方向から、『何か』が飛んできた。少女は、飛んで来たソレを切り払う。

泥 「笠?」
鎖 「メイちゃん、大丈夫!?」
明 「鎖奈水か!」
明羅は、急いで立ち上がろうとした。
地面に手をやった時、明羅は、自分が今居る場所に気づいた。
そして、刀を抜きながら叫ぶ。

明 「鎖奈水!手を貸せ!」
鎖 「で、でも私、『水』)が無いと何もできないよ?」
明 「『水』なら、ここにある!」
と、同時に刀をその場に突き刺す。何か・・・割れていく音がする。
すると、突き刺した場所を中心に、地が崩れ、水が吹き出た。

~BGM「やみのちから」~

刀を抜き、崩れた足場から跳ぶ明羅。

泥 「自分の足を!?」
跳ぶと同時に、明羅は自分の足を斬りつけた・・・ように見えた。
が、実際は邪魔な『ずんべ』を斬っただけだ。『ずんべ』の下には、地下足袋を履いていた。

明羅が居た場所は川。しかし、寒さで氷が張り、さらに雪のせいで地面と見分けがつかなかった。
明羅は、気づかないうちに、川に逃げていたのだ。

少女は、飛翔した明羅に狙いを絞る。相手は空が飛べない。なら、相手が地に付く前に勝負を決める。

明 「鎖奈水!」
鎖 「・・・・・」
泥 「! 妖気!?」
鎖 「・・・仄暗い水の底へ・・・」 【呪水・「仄暗い水の底へ」】
鎖奈水は顔を少女に向け、手を伸ばした。
川の水が人の腕の形を成し、水面から少女へと伸ばされた。

泥 「な!?」
無数の水の腕をかわす。が、一本の腕が少女の右足を掴んだ。
そのまま、急速に水面に引っ張られていく。

鎖 「・・・沈め」
泥 「冗談じゃ・・・!」
足を掴んだ水の腕を切り払う。

鎖 「呪水を斬った!?」
水面ギリギリまで引っ張られた少女に、次々と腕が伸びる。

泥 「しつこい!」
明 「二刀流か」
少女は腰の短刀を左手に構え、無数の腕を裁きながら、川の上から移動した。

泥 「(あの幽霊、水仙術使いか)」
着地して構えなおした所に、明羅が斬りかかって来る。それを、長剣で受ける。

泥 「!」
明 「2対1だ。おとなしく退けい!」
泥 「何が!」
明羅の刀を弾くと、高く飛翔した。

泥 「そっちが2人なら、こちらも2人で行くまで!」
少女の近くに浮遊していた霊魂が、少女と同じ姿になった。

明 「分身!?」
一方は明羅の上方から弾幕を放ち、もう一方は鎖奈水へと斬りかかった。
反撃ができない明羅は、空の少女見上げ呻く。
鎖奈水は、水の腕で応戦してるが、少女は腕を切り払いながら鎖奈水に迫る。剣士だけに、間合いの詰め方は速い。

明 「鎖奈水!」
泥 「逃げるか!」
明 「ソイツは任せて、上の奴の牽制を!」
鎖 「う・・うん!」
鎖奈水に斬りかかっていた少女の背後から明羅は斬りかかった。

泥 「くぅ!」
空から眺めていた少女は、自分の半身を元の霊魂に戻し、明羅の刀をかわした。

明 「(空のが本体か)」
鎖 「・・・鎖異煉・・・・」【紅水・「鎖異煉」 (こうずい・「さいれん」) 】

紅い水が、少女の上から降り注ぐ。
頭を抑えられた少女は、回避しながらも、地面に追いやられた。そこに明羅が間合いを詰めようとする。

泥 「・・・・」
少女から見て、明羅と鎖奈水は一直線上に位置する。手前に明羅、その後方に鎖奈水だ。
少女も、明羅との間合いを詰めようとする。

ここからは、明羅にとって一瞬の出来事に見えた。

少女は両方の刀で明羅の刀を受けると、無理な体勢で明羅の後ろに回り、二人は背中合わせになる形になった。
そして少女は一呼吸置き、

泥 「二百由旬の一閃!」【獄界剣・「二百由旬の一閃」】

振り向こうとした明羅の視界の端には、少女の背中の残像が一瞬見えた。
次の瞬間、少女は、仰け反り天を仰ぎ見る鎖奈水の後ろに居た。
倒れる鎖奈水から、花弁のような物がヒラヒラと舞い、ソレが吸い込まれるかのように、少女の手に集まった。

明 「鎖奈水!」
泥 「アナタの春度も頂く!」
明 「(さっきの花弁みたいな物が?)」
少女は高く飛翔した。

明 「また、遠巻きに弾幕か」
泥 「今度は、確実に!」
明羅の背後から、もう一人の少女が斬りかかる。

明 「(分身を地上に残していたか)」
少女の刀を受ける。

明 「(く・・これでは)」
泥 「・・・・(スゥッ)・・・・業風閃影陣!」【獄炎剣・「業風閃影陣」】
次の瞬間、少女は明羅が『居た』場所に刀を振り下ろしていた。

泥 「・・・何振りか裁かれたか・・・・」
少女の刀には、明羅の服の切れ端が垂れ下がっていた。

ザバッ  ドサッ

明羅はさっき居た場所とは、川を挟んで反対側の陸地に、水中から出てきた。というより、水中から『投げ出された』
刀を使い、なんとか起き上がる。

明 「(鎖奈水に助けられたな・・・)」
少女の半身に行動を抑えられていた明羅の足を、水の腕が掴み、一度水中に引きずり込んだ。
そして、反対側の陸に放り投げたのだ。

泥 「まだ呪術を使う力が残ってたか」
鎖 「私の存在自体が呪いみたいなもんだしね」
鎖奈水は、地に伏したまま答えた。

明 「(また来るな・・)」
向こうに見える少女は、刀を構え呼吸を整えている。次の一撃で決める気だ。

明羅は右半身を、はだけ出し、刀を構える。
体が異様に熱い。

少女が水面上を滑空しながら間合いを詰めてくる。
水面からは水の腕が伸びるが、少女の動きに追いつかない。
明羅は黙って少女を見つめ、深く息を吸うと・・・

泥 「(逆手?)」
逆手に持ち変えた刀を地面に突き刺した。

泥 「・・・(スゥッ)・・・未来!永ごぉおざあああん!」 【人鬼・「未来永劫斬」】
懇親の力を込めた必殺の一振り!しかし、少女はすんでの所で、振り上げた刀を防御のために構え直した。

明 「天地返し!」【気斬・「天地返し」】
突き刺した刀を抜き上げると同時に、地面から目も眩むような光と共に地面がめくり上がった。
足元から振り上げられた明羅の刀を受ける。

キーーーーン

甲高い金属音が、冷たい空気を裂く様に響いた。

めくり上げられた地面と共に、少女は空高く弾かれた。
空中で、体勢を整えると、右腕を押さえた。

泥 「(く・・・なんていう威力)」
防御した時の衝撃で、右腕が痺れる。
あの威力・・・・妖怪が鍛えた『楼観剣 (ろうかんけん)』でなければ、防御すらできず、刀ごと私は斬られていただろう。

助っ人が居たとはいえ、雪でロクに動けない人間相手に、自分の剣術を破られた。
さっきの一撃で助かったのも、楼観剣の強度のおかげ。

泥 「・・・・未熟」
痺れて力の入らない、自分の右手の平を見てつぶやく。・・・・右手の平?
あれ?私の刀は?

辺りを見ると、刀は自分より高く、遠くに飛ばされ森に落ちた。

泥 「ゲッ」
少女は急いで刀が落ちた場所に向かった。


明羅は技を出し終えたままの体勢で、動かずに居た。
地面から刀を振り上げ、少女の刀とぶつかり合った次の瞬間、フッ・・・・と刀が軽くなったのを感じた。
ソレが意味する事は一つ。

明 「・・・刀が・・・折れた・・・・」

深々と静かに積もる雪景色。
ボチャンッ・・・と、水面に、折れた刃が落ちる音が鮮明に聞こえた。

鎖 「ま、追っ払えただけでも良かったんじゃないの?」
明 「生きてたか」
鎖 「死んでるって」
川の中を通って、鎖奈水が明羅の居る陸地に這い出てきた。
水中で拾ったのか、右の親指と人差し指で、折れた刃を摘んでいる。

鎖 「どうする?メイちゃん」
明 「刀は侍の命。それが折れた以上、私は死んだも同然。侍は名乗れん」
鎖 「じゃぁ、さしずめ『幽霊侍』?」
明 「刀・・命無き侍だから、幽霊侍か・・・・」
鎖 「私は、メイちゃんに本当の幽霊になって欲しいんだけど」
明 「冗談じゃない」
鎖奈水は、折れた刃を摘んで弄んでいる。

明 「(折れた刃・・柄・・・刀・・くっ付ける・・修理・・精錬・・・!)」
明羅は、折れた刃を取り上げた。

鎖 「どうしたの?」
明 「・・もう一度、侍の命を取り戻す!」
鎖 「どうやって?」
明 「心当たりがある、出かけるぞ!」
鎖 「え?今から?」
明 「当たり前だ!家に居ても、何も無いしな」

以前、自分と同様に幽霊に騙された人間が製造師だったはずだ。
確か、近くの里の外れで修理業を・・・行ってみよう。そこから先は、その時に考える。

が・・・・

明 「ぶぇっくしぃ!」
鎖 「熱く感じたのは、風邪熱のせいだったのねぇ」
明 「が・・・・丸薬・・・・・」

明羅が、侍の命を取り戻せるか・・・ソレ以前に、この冬を無事に乗り切れるかどうかは・・・また別の話。


~~少女祈祷中~~

長き石階段を登った先に、広い庭の屋敷がある。
その屋敷の入り口に、明羅と刀を交えた少女が入ってきた。

泥 「『幽々子』様、ただいま戻りました」
幽 「あら、お帰り『妖夢』。『春』は恙無く集められたようね」
妖 「はぁ・・・そう見えます?」

『妖夢』と言われた少女は、結構ボロボロだ。

幽 「でも、まだ『足りない』わね」
妖 「はい・・・スミマセン」
幽 「何を謝ってるのかしら?足りなければ、また『春を集めに』行けばいいのよ」

幻想郷の冬は、まだ長く続きそうである。

~完~

::おまけのキャラ紹介::
以下、旧作を知らない人向けのキャラ紹介(二次設定含む)

雷獣狩り
明羅 (めいら)
分類:侍 (人間)
義を重んじるコテコテの侍。
修行のために各地を転々とし、悪霊に騙され博麗霊夢と戦ったが敗退。埋められそうになった。
その後、更なる修行のために山に篭る。
剣技は勿論、素手でもかなりの体術の使い手。でも霊術は苦手。飛行能力は無い。
真面目な性格が、逆に弄られる。
:補足:
旧東方作品第二弾「東方封魔録」の二面ボス。霊夢と漫才のような会話を繰り広げた挙句、埋められそうになった。
本人は真面目で、少しキザな印象を受ける。彼女のスペカは、完全に二次創作。
明羅の公式設定は、見つからなかったので、私の二次創作。


流れ繋がる呪縛
鎖奈水 (さなみ)
分類:怨霊 (幽霊)
地獄から出てきた悪霊に封印を解かれた怨霊。
明羅が霊夢と戦った際に、霊術面で、明羅を援護するはずだった。
呪いの言葉を吐き、水を操る力を持つ。
:補足:
旧東方作品第二弾「東方封魔録」の二面の道中に出てくる、『アレ』。元祖十進法。
こいつの呪弾は、いやらしい起動で攻めてくるので、二面中ボスのクセに、被弾率がやたらと高い。嫌い。
キャラとして確立するために、性格、名前を二次創作。(日本のホラー映画のイメージ)
::あとがき::
まぁ、「妖夢が幻想郷の春度を集めてる過程で、明羅と遭遇してたら面白いかな」という、思いつきだけ。
サヂテリアス
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