この物語は、ゲーム「アーマードコア」と東方を合わせたパロディです。
今回、劇中で出てくる田吾作どんの名はほととぎす氏の作品から、弾幕アリーナのルールについてはどんきち氏の設定を借用しました。
代価と引き換えに困りごとを処理する、という仕事をパチュリーとリトルが初めて間もない
ある日の午後、1羽のうさぎが二人の下宿している香霖堂に尋ねに来た。
彼女は因幡てゐと名乗った。
ピンク色のワンピースを着た姿は可愛らしく、長いうさぎ耳さえなければ人間と見分けがつかないほどだ。
霖之助の話によると、ときどきこうして得体の知れない古物を売りつけようとやってくるのだという。
しかし、その口から出た言葉は、外見のイメージからは10光年ほど離れていた。
「ねえ、あんたらお金が欲しいんだって? じゃあいい仕事紹介するわよ」
てゐは、昼食後のまったりしている二人に確かにそう話し掛けた。
「霖之助さん、私たちのこと話したんですか」
リトルが驚いて霖之助に尋ねた。彼は目の前の古い置時計を修理しようと悪戦苦闘している。
「いや、君たちの事情に深入りするようなことは話してないよ」
「ねえねえ、霖之助さん、悪いんだけど、私たちだけで話したいから二階へ上がっていい?」
てゐは勝手知ったる我が家のごとく、ぴょんぴょん階段を飛び跳ねて二階へ上がっていった。
二人も顔を見合わせて、しょうがないな、という表情で後へ続いた。
「えっ、弾幕使いアリーナで賞金稼ぎを?」
「そう、私がプロデュースするからさ、挑戦してみない?」
「胡散臭いわね、八百長でもしろと? リトル、世の中にはそうそう美味しい話は転がってないわ
気をつけなさい」
パチュリーが疑いの視線を向ける。同時にこのうさぎの言葉を信じてしまいそうなリトルを牽制する。
悪魔のくせに、誘惑するよりされる側になってしまいそうな雰囲気がリトルにはある。
てゐはひるまず、鍛えられたセールストークを続ける。
「八百長なんてとんでもない。ただ、無名の弾幕使いが集うオリキャラアリーナってのがあるじゃない、
あそこの最強弾幕使いも、私たちからすればちょっとした中ボス程度」
「それで?」
「そこにあなたたちが無名の弱小オリキャラと偽って参加する。で、強めの選手と戦う。
当然賭け率で言えば大穴。そこで本性現して瞬殺。配当金山分け」
「ねえパチュリー様、乗っちゃいましょうよ、私が出場しますよ」
リトルはやけに乗り気だ。生来のいたずら好きがなせる業なのだろう。
「わかったわ、あまり紅魔館への送金も出来てないし。やってみましょう」
「じゃあ商談成立ね、今度の満月の夜、魔法の森に来て頂戴」
てゐが満面の営業スマイルで応えた。
真夜中の魔法の森、満月の夜空に展開される弾幕ごっこを、妖怪たちが思い思いに見物している。
満月の夜だけに開催される賭け弾幕ごっこ、通称「アリーナ」である。
無名の人妖が参加するので「オリキャラアリーナ」とも呼ばれている。
ちなみに賭けは見物人たちが勝手に始めたものだ。
パチュリーとリトルの二人は、変装して太い木の枝に腰掛け、出番を待った。
両隣に妖怪や妖精の観客もいて、弾幕使いたちに声援を送っていた。熱い実況が響き渡る。
「メイドヒース、メイド長直伝のナイフを放ったぁ。対する中妖精選手、もう力場が薄くなっていて後がありません。
必死に避ける、1本、2本、3本、かわし切れるか? ああっ、最後のナイフが額に刺さった。
中妖精選手ダウン。 メイドヒース、今年に入って無敗記録更新中です」
なお出場する弾幕使いや観客には、少数ながら人間も混じっている。配当金を手に喜ぶ人間の女の子が二人の横を通り過ぎた。
「ケヒヒ、これで当分の食費は頂いたわ」
「霊夢さん・・・・・・」
「・・・・・・それはそうとあのメイドヒースっていう娘、うちの副メイド長じゃない」
「ああ、パチュリー様知らないんですか。趣味と実益と実戦訓練を兼ねて時々参加してるんですよ」
パチュリーは意外と自分は紅魔館のことをろくに知らないのだと思った。ここ最近、外の世界を出歩くようになってから、
本によらない発見が多い。
「ああ、おふた方。探しましたよ」 てゐの声だ。
「出番はまだかしら」 パチュリーが気だるそうに言う。
てゐは目を閉じ、恋する乙女のようなうっとりしたような表情で語った。
「この次よ、いい、小悪魔さんは素人同然の弾幕少女ということになってるから、オッズは10倍以上になってるわ。
ここで勝てば大もうけ。ああ、なんてローリスクかつハイリターンの勝負」
「不安だけど、乗りかかった船。リトル、存分にやりなさい」
「頑張ります!」
「さあ次の対決は、平凡な野良仕事に飽きて、弾幕使いを志した人間、田吾作どんVS、
今回アリーナ初登場の無名の新人、リトル選手だあっ。
決して派手さは無いものの、上位ランカーも目指せる逸材、意外と妖怪にもファンの多い田吾作どん。
対するリトル選手、少ない弾幕経験を、妖のパワーでどれだけ補えるかが勝敗のカギとなるでしょう。
なお、実況、解説はこの私、解説する程度の能力、名も無き妖怪がお送りします」
「いい、リトルさん、ルールは簡単。弾幕を撃ち合って先に相手が纏う力場、まあバリアーみたいなものを削りきるか、
気絶させるか、ギブアップさせるか、あるいは死なせたら勝ち。でも殺すような弾幕は禁止。
で、報酬だけど、前にも言ったとおり賞金は全てあなた達のもの、配当金はアリーナ紹介料込みで、私とあなた達で4対6でいいわね」
「ええ、了承したわ」
「オッケー、じゃああそこのフィールドまで飛んでって」
「お嬢ちゃん、悪いけど、勝負だかんな」 田吾作は空飛ぶ箒ならぬ空飛ぶ鍬の上に両足で立ち、両手に霊力を集中させる。
「こっちこそ、小悪魔の力を見せてあげます」 リトルが応じた。
煌煌と輝く満月が二人の決闘者を妖しく照らす。リトルは全身の血がざわつくような感覚を覚える。
(うっかり殺してしまわないようにしなきゃ)
「殺試合(コロシアイ)始めッ」 興奮した解説者が叫ぶ。
「いくべ、田符『一粒万倍』」
田吾作が先制のスペルを放つ。彼の両手から出た霊気の塊がいくつにも分裂し、シャワーのようにリトルに降りかかる。
「この程度、魔理沙さんとやりあったときに比べれば・・・・・・」
「リトル選手、小刻みな動きで攻撃をかわす、しかし、カスリが多いぞ」
リトルは最小限の動きで弾幕をかわす。ときどき翼にかする。相手がただのオリキャラだと思って甘く見ていたようだ。
「さあ、私の番ですよ」
リトルは負けじと大玉を撃ち、その隙間をつくようにクナイ弾を放つ。
「あんらー、結構きついでねえか」 田吾作は攻撃の何発かを避けきれず、身に纏う力場を削られる
「田吾作どん、新人の攻撃で押され気味です。ここからどう盛り返すかっ」
「このまま負けるわけにはいかねえ、女房と子供が腹空かして待ってるだ」
「ええい、魔法の鍬よ、おらに力を!」
田吾作は足を乗せていた鍬を両手で持ち、弾幕を払いのける。
弾幕が一通りやんだあと。渾身の力を込めて鍬を振る。鍬の軌道が光となり、刃となった光がリトルに襲い掛かる。
「田子作どんの必殺技『鍬ビーム』が出たぁっ」
「きゃっ」 予想もしない光波により、リトルの力場が半分近く削られる。なおも連続して放たれる光波。
リトルは浮き足立ち、防戦一方となる。
「ちょっと、あの子押されてるじゃないのよ、あの子に5万紅夢も賭けてるのよ」
てゐがパチュリーの袖を掴んで抗議した。
紅夢(コーム)とは妖怪たちの間で流通している貨幣であるが、この世の物理法則が通用しにくい妖怪たちにとって、
べつに無ければ生きていけないわけではない。なお紅魔館発行かどうかは不明。
「まあ、見てなさい」 パチュリーは動じない、勝敗を気にするというより、早く帰りたそうな顔をしている。
「リトル選手劣勢。これがアリーナの壁なのです、しかしアリーナ初参加でありながら、田吾作どん相手に
良くぞここまでというべきか」
解説もリトルの負けをほぼ確信したようだった。
(悪魔の力を解放したら、あの人を殺してしまう。でも負けるのも悔しいです!)
リトルは魔力を充填したカードを取り出す。
「魔符『おーびっときゃのん』」
リトルの背中から4つの使い魔が飛び出し。田吾作を取り囲む。それぞれがクナイ弾やレーザーを放ち、
田吾作は弾幕の縦糸、横糸にはさまれる格好になる。攻守が逆転する。
「くぅ~っ、お嬢ちゃん強い! こうなったらおらも腹くくるだ」
田吾作がダメージ覚悟で強引に弾幕の網をかいくぐり、リトルに接近しようとする。
「田吾作どん、賭けに出た! 自分のバリアが消えないうちに、至近距離からの鍬ビームでリトル選手を倒すつもりか?」
リトルとの距離が縮まるに連れて、田吾作を守る力場が確実に薄まっていく。
(大丈夫、計算どおりなら、おらのバリアが消える一瞬前、お嬢ちゃんの正面で鍬ビームを撃てるはず)
リトルはこの捨て身の接近をまたもや予期していなかった。
すぐに頭を切り替え、魔力を使い魔である、『おーびっと』の操作から迎撃に集中させる。
しかし田吾作は目前に迫っていた。
(大玉!) (鍬ビーム!)
魔法の森を超新星爆発かと思えるような閃光が包む。光が消えた後。二人はお互い背を向け、
最初とは正反対の位置に浮かんでいた。二人とも小さな火傷や擦り傷だらけだったが、
それでも命に別状は無く、宙に浮かんでいられる程度の霊力は保っている。
てゐが二人を注視する。リトルを包む力場は完全に消滅していた。たいして田吾作の力場は・・・・・・。
「おおっと、ぎりぎりだが田吾作どんの力場はかすかに生きている! 田吾作どんの執念勝ちだ」
「ふう、お嬢ちゃん、なかなかの強敵だったな」
「そちらこそ。もう一度お手合わせしたいものです」
健闘をたたえあう、恨みや利害による戦いではないのだ。
「ふう、まああの子の訓練と思えば安いものね」
「ああ・・・・・・、わたしの・・・・・・5万紅夢が」
肩をすくめてため息をつくパチュリーの傍ら、てゐが真っ白に燃え尽きていた。
「リトルー、もう用は済んだわ。帰るわよ」
リトルはすたすたと歩きだすパチュリーに慌ててついていく。一度だけ振り返り、てゐに会釈しといた。
ちょっと気まずかった。
「ねえリトル、そろそろ新しい本が読みたいわ」
アリーナの日から数日後、香霖堂の二階、パチュリーがリトルの出した緑茶をすすりながらつぶやく。
もともとパチュリーとリトルが香霖堂に部屋を借り、トラブル解決の仕事を始めたのは、紅魔館の財政問題解決のためと、
パチュリーの病気療養が目的である。
財政悪化の直接の要因は、病に倒れたパチュリーの治療費であるが、レミリアのわがままで開催された多くのイベントや、
霊夢たちに出会ってから毎月のごとく開かれる宴会が根本的な原因だった。
「動かない大図書館」の異名を持つ知識人魔女、パチュリーは意外とこの出稼ぎ生活が嫌いではなかった。
むしろ外の世界の空気を吸うのが好きになった。でもやはり知識欲は抑えがたい。そんなわけで、三日に一度、
リトルに紅魔館から本を持ってきてもらうのだった。
「パチュリー様、紅魔館へ行くついでに、簡単そうな依頼をさくっと解決してきちゃって良いですか」
「いいけど、夕方までには戻るのよ」
「はーい」
依頼内容は次の通り。
反抗イナバ排除
依頼人 八意永琳
成功報酬 たけのこどっさり 八意印の傷薬
なぜかうちのイナバたちが働かず、暴動やストライキをおこしています。
私ひとりで鎮圧しようにも数が多すぎるのです。
鈴仙は優しすぎてイナバに対して強く出られないし、姫様はめんどくさがって動いてくれません。
説得しようとしても、「てゐ様を出せ」の一点張り。永い人生の中でこんな事もたまにあるでしょうけれど、
いつまでも付き合っているわけにはいかないわ。
いっしょに鎮圧してくれる人を募集します。
なるべく早くお願いね。
「てゐ様を出せー」
「出せー」
「給料払えー」
「払えー」
∩ ∩
\(`・*・´)/
「******ー」
「*ー」
リトルが永遠亭の門をくぐると、庭や屋根に妖怪化したうさぎがひしめいている。
人間そっくりに化けるほどの強い者もいれば、うさぎが単に二足歩行したのと変わりない
姿の者、ほとんど普通のうさぎと変わりない者が、日本語や兎語で叫んでいる。
永琳は弾幕を放ち、鎮圧しようとするが、数が多過ぎて対処できない。
弾幕で追い散らしても、すぐ別の場所にぴょんぴょん移動してシュプレヒコールをあげる。
リトルに気付くと、疲れた笑顔を向けた。
「来てくれたのね、どうやら皆を扇動している一派がいるらしいの、そいつを捕まえてきて頂戴」
「了解です」
高度を上げて飛び、リーダーを探す。暴動の原因として思い当たるフシがリトルにないわけではなかったが、
今は考えないことにした。
各うさぎ集団は、主に男性の姿をした人型うさぎ集団、女性の人型うさぎ集団、
そして人型になりきってない集団の三つに大別されるらしい。それぞれにリーダーらしき個体がいた。
「えいっ」
誘導機能を持たせた魔力弾を、それぞれのリーダーらしき三体のうさぎにぶつける、殺傷力は抑えてあるが、
高速で避けにくい「仕事用」の弾丸だった。
「ぐえっ」 「きゃん」 「**!」
あっさり気絶する三体、その他のうさぎ達はリーダーが倒れたのを見ると、みんな慌てて屋敷に取って返し、
ふすまの奥からじっとこちらを伺っている。とりあえずこの三体を永琳の元へ連れて行くことにした。
「で、まずあなた達の名前を聞くわ」
永琳が客間で、三体の首謀うさぎと向き合って座っている。
その表情は怒りよりも疲労の色が濃く、不死の人間とは思えないほどだった。
首謀うさぎ達はみなリトルによって縛られていたが、永琳は戒めを解くように言った。
「僕の名は因幡太郎」
男性うさぎが胸を張って応えた。
「私はジョゼフィーヌ・イナバ、ちなみに私達二人共、てゐ様に名前を頂いたの」
女性うさぎも負けじと強気に答える。
「そう、で、このイナバは?」
∩∩
(.・*・)/
「***********」
「俺の名はイナバックス東海だ、と申しております、ちなみに彼は人語を理解できないイナバのトップです」
太郎がフォローした。しかし永琳とリトルには、今言った声のどこにそれに相当する
音があったのか、皆目検討がつかなかった。
「それで、どうしてこんな事をしたのかしら」
「はい、いつも僕達三人はてゐ様から給金を頂き、それを各イナバグループのリーダーたちに分け、
その小リーダーが各々のイナバに分け与えます。ですが、てゐ様が見当たらないのです」
「給料日の三日前、満月の晩にちょっと出かけてくるって言って、そのままドロンなのよ。
5万紅夢相当の給金や人参と一緒に」
∩∩
(`・*・)/
「******* ***** **** *****」
「・・・・・・子分達に食わせる人参のストックがもうない、だから姫様や永琳様に直訴しようとした
そう申しております」
「はあ、てゐが原因ね、あなたたち、同情できなくもないけれど、騒ぎの罰として一ヶ月間、私の術で
ただのイナバとして生活してもらうわ。
「分かりました、直訴のつもりが暴動に発展してしまったのは私達の責任です。申し訳ありませんでした」
二人と一匹の妖怪うさぎは深々と頭をたれた。
「それで、今度はてゐを探さなくちゃね」
ふと、周りの空気が変化した様な気がして・・・・・・。
「お探しのうさぎはこいつかしら」
唐突に目の前にてゐをぶら下げた咲夜が目の前に立っていた。
右手に剣を持ち、左手でてゐの両耳を掴んでいる。
「咲夜さん、どうしてここに?」
リトルが聞いた。その質問を「どんなトリックでここに現れたのか」という意味に捉える者はここにはいない。
咲夜の時間と空間を操る能力を持ってすれば、いきなりここに現れることなど造作ないからだ。
「この子が言葉巧みに、『この魔道具は呪われているから封印しなければ』といってこの剣をパクろうとしたのよ、
ナイスな度胸ですわ」
「ああ、これはムーンライトソードですね、へぇ~まだ残ってたんだ」
おそらく騙し取った剣をどこかに転売するつもりだったのだろう。
リトルが興味深そうに剣を見つめている間、永琳と咲夜はお互いの顔を見つめる。すこし緊張した空気が漂う。
「何か?」 咲夜が切り出した。
「はやくその子を下ろしてあげて」
「三枚に?」
「おもしろそうだけど、考えさせて」 引き攣った笑顔の永琳。
咲夜はかぶりを振ると、永琳の求めに応じててゐを開放した。耳を掴んだまま、無造作に畳に放り投げられる。
だが、てゐは空中で一回転して鮮やかに着地、ふうーと息をついて服のほこりをぱんぱんと払った。
「あのね、その剣の魔力は力のない者にとっては危険なのよ。私はウソなんか吐いちゃいないわ」
「あらあ、私は非力なメイドですけど、何ともなかったわ」
「それこそウソよ」
永遠亭の中堅うさぎリーダー三人が会話に割り込んでくる。
「てゐ様、探したんですよ」
「てゐ様、どうして給金を持ち逃げしたんですか」
∩ ∩
(`・*・´)/
「********!」
「リーダーとして不適切ですぞ、と申しております」
太郎とジョゼフィーヌとイナバックス東海が口々に抗議した。
ちなみに、イナバックス東海の通訳はもっぱら太郎の役目である。
「だって、アリーナで確実に儲けるチャンスがあったのよ、だから後で返せばいいと思ってちょっと・・・・・・」
「それで、丸ごとスッたわけ、呆れた」
「ちょっと、ジョゼ、リーダーに向かってその言い方はなによ」
「てゐ様がしっかりしないせいですよ」
「はいはい、みんな静かにしなさい」
永琳が手を叩いてうさぎ達を静める、まるで保母のようで微笑ましいとリトルは感じる。
似たようなドタバタがここ永遠亭でも繰り広げられているのだろう。ちょうど紅魔館のように。
「いいこと、てゐ。あなたお金いくら持ってるの、給金の弁償は出来るの?」
「うう、12万紅夢ほど貯金が」
「じゃあ、余裕で弁償できるわね。明日までにちゃんと払うのよ」
「うう、本当はもっとお金を貯めて、それを外界でも価値のある貴金属に変えて、それで
スバルインプレッサを買って、WRCに出場するのが私の夢だったのに~」
免許はあるのか?
「ダメ、姫様のVラリーで我慢しなさい」
「そんな~、決して妖力とか使わず、純粋なドライビングテクニックだけで臨むつもりなのに」
「そういう問題じゃないでしょ」
「あのう、もう戻らなければならないんですけど・・・・・・」
白熱するやり取りの中、リトルはおずおずと切り出した。
その後、永琳に報酬をもらい、帰ろうとして、リトルはまだ紅魔館に用事が残っていることに気付く。
永琳はしばらくの間、咲夜と話をしているようだった。
「では、仕事が残っていますので、私はこれで」
「ええ、身体に気をつけて、何かあったらこっちに来てもいいのよ」
「大切な仲間や、主がいます。だから大丈夫です、では」
咲夜は一礼して永遠亭を後にした。その後、リトルといっしょにしばらく竹林を歩いた。
欠けた月が、弱く二人を照らしている。
「ごめんね、ちょっと長話しちゃった」
「咲夜さん、永琳さんと何を話してたんですか」
「リトル、これをパチュリーさまに」 咲夜は一冊の魔法図書館の本を手渡した。
「あっ、咲夜さん、ありがとうございます」 はぐらかされたようだ。だがリトルは気にしない。
「そろそろ持ってきた本を読み尽くして、知識中毒の禁断症状が出るころでしょうね。それと・・・・・・」
咲夜は続いて、ムーンライトソードもリトルの背負う風呂敷に挿した。
「これも持ってなさい、近頃人里も何かと物騒だから」
「ありがとうございます。これって、伝説の魔道具職人唐澤の最高傑作のひとつですよね、いいんですか?」
「いいの、紅魔館はあなたが思っているよりずっとタフだから、それより、パチュリー様をお願いね、
あと、お嬢様、けっこう寂しそうだったわ」
「分かりました、パチュリー様にも伝えときます」
「じゃあ、お大事に」
リトルが前を向くと、不意に咲夜の気配が消えた。背中の風呂敷を見る。
食糧確保はともかく、あんまり紅魔館への財政支援になっていない様な気がするが、気を取り直して家路を急ぐ。
パチュリーへの言い訳を考えながら。
遠距離重装備型AC乗りだったので唐沢にはお世話になりますた
今回の武装ネタは唐沢、月光、EOが出てきてますね(推測)
これ以降も期待して待ってます。
今後も楽しみに待ってますよ。
ナツカシスw
というか次回作先取りで『コジマ技術 プライマルアーマー』が出ましたね。
AC本作、SSアーマード こあ両作品とも
首をながーくして待つことにいたしましょう……
ローマ字に直すと…
ARMORED KOA (Koakuma is Operation Assistant 「小悪魔は作業のお手伝いさん」)
とでもいったところだろうかw
何はともあれGJ 唐澤さんちの魔導具はハイスペック超重量が売りなんだろうなぁやっぱり。