Coolier - 新生・東方創想話

星が一番綺麗だった日 ~ Mary's Story

2006/09/22 08:36:59
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世界を隔てる壁はあまりにも厚くて

世界を結ぶ入口は意外にも多くて






ピロリロリロリロリロ・・・・・
「ッ!!」
私は携帯のメール受信音と共に目覚めた。
あまり良い心地はしないけど・・・・・・・

「・・・・もう2時38分だって言うのに・・・・」
ある程度メールの送り主は検討がついていた。

そう、宇佐見蓮子だ。

ただでさえ最近良い夢が見られないのに・・・・
私はメールを見ることもなく消去を押した。


どうせ蓮子のことだ、またろくでもないメールを送ってきていたんだろう。

私は違和感がある左手に目をやる。
「・・・やっぱり・・・」
その手にはしっかりと1本の木の枝が握られていた。


明日、蓮子に夢の話を聞いてもらおう・・・・・。
じゃないと夢と現がごちゃまぜになって何がなんだかわからなくなりそうだった。







翌日、講義を一通り終えたところで蓮子に連絡を取ることにした。
今日は特に活動はなく、違う学部を専攻している蓮子ともあまり会う機会が無いからだった。

「もしもし、私、メリー」
『ああ、メリー。どうしたの?今日は特に何もないわよ?』
「それは分かってるわよ。ただ、ちょっと付き合って・・・」
『んー・・・・』

しばらく時間を置いて、蓮子が返答してきた。

『わかったわ、じゃあいつもどおり喫茶店で。』
「うん」

私は携帯を切り、次の講義の準備をする。





数時間後

私は講義を終え、喫茶店へと向かった。
もちろん時間通りに来る事も無く、タイマーにお世話になるわけだけど・・・

しばらくしてから蓮子が見えた。
「御機嫌ようメリー、しばらくぶッ!!」
と何の反省も見られそうにないからとりあえず帽子を投げといた。

「15分ね」
「ん~、今まででは一番早い方じゃない?」

蓮子は私に帽子を返しながら答える。

「それ以前に遅刻しないようにしなさい」
「あはは・・・・ッ!!」
「・・・・・」
とりあえず思いっきり足踏んでやった。

「はい、善処します・・・・」
「よろしい」
蓮子が近くの店員にアップルティーを注文していたので
「角砂糖5,6個くらい入れてやってください」
と耳打ちしといた。



「で?メリー、どうしたのよ?」
「そう、また変な夢を見たのよ。それであなたにカウンセリングしてもらおうと思って」


「ふ~ん・・・・・で?品はなに?」
「これよ」
私は今朝、左手に持っていた木の枝が入っている小さめの箱を蓮子の前に置いた。

蓮子は少し箱を開けて中を覗く。
「?何かしら、これ」
「さぁ、私にもさっぱりよ」
蓮子は箱から木の枝を取り出してまじまじと眺め始めた。

「夢の中に出てきた黒い髪の女の子が持っていたものみたいなの」
「ふ~ん・・・・」
「どう思う?それ・・・・」
「何かの薬の調合とかに使うとか?」
「う~ん・・・・・」
その時、私の中にあの光景が浮かんだ。

「よく判らないけど、私が見たときには・・・この実が宙を舞ってたの」
アップルティーを噴出しそうになる蓮子。
それもそのはず、私だって信じられないのだから。


「ええ!?め、メリー、それどういうこと?」
「私にも解るわけ無いじゃないの・・・」

その後しばらく蓮子は木の枝を見ながら何かと考え込んでいた。

「そうそう、夢の話がまだだったわ、聞いてくれるかしら?」

「ん」
蓮子は木の枝に夢中だった。
たとえここで断られていたとしても私は話すつもりだった。








==================================================================================





暗い。
「ここ・・・・・はどこ?」
いつか見たことのある竹林の中。
私はその中にいた。

そう、思い出した。
「ここは・・・・あの時の・・・・」
確か、前にも一度来た事があった。

「どうしよう・・・・・」
前もこの竹林で迷ったことがあった。
どこに行けばいいのだろうか。

私はただただその竹林の中を歩き続けた。
このまま彷徨い続けて飢え死にしちゃうのかしら・・・・。

夢なのに私何でそんな事を考えたのか、自分でもわからなかった。
ただ、そんな気がしたの。


その時、どこからとも無くガサガサって音がした。
「ひっ・・・・!」

兎に角ここにいたくない。

私は咄嗟に走った。
どこに行くかもわからない竹林の中を、ただただ、走り続けた。



どれくらい走っただろうか?
気がつけば私はちょっと古めな亭の前にいた。
どうやってここに来れたのかもわからなかった。

ここで少し休ませて貰おう。
私はその亭の中へと入っていった。



「すみませーん」


・・・・・・・


「あのーーー・・・」


・・・・・・・

中は静まり返っていた。
私は、中に入って行った。

中はどこを見ても扉ばかりだった、まぁ亭は休憩所みたいなものだから普通なのかしら?

どれほど歩いただろうか。
ずっと歩いてるのに、この廊下には突き当たりはないのかしら。


その時、一つの扉に不思議と違和感があったの。
なぜかは解らないけど、その扉だけ、

私は自分の中に目覚めた好奇心に負けて、その扉を開けてみた。


「あ・・・・・」

そこには黒い髪の女の子が居た。

「あら、いらっしゃい」
彼女もこちらに気づいたのか、にこやかに言った。

「でも、折角来てくれたのに残念、早く逃げなさい」
「え?」
話の展開が速すぎるわ、


女の子はまだにこやかな顔でコチラを見ている。

どうして?

そう聞こうとした刹那。
凄い爆発音と共に亭が揺れた

「きゃあっ!」

「さぁ、逃げなさい、早く!」
私はその女の子の言うとおり直ぐにその亭から脱出した。
ばぁーんとまた大きな爆発音。

一体何が起きたのか分からなかった。

ただ、私が見たのは、全身から炎を出している女の子。

以前も彼女を見たことがあった。


その時、彼女は私に気づいて少しずつ近付いてきた。

私は逃げたかったけど足が動かなかったわ
そのままどんどん近付いてきて・・・・・



その時よ、私がそれを見たのは。

私の横からいろんな色の玉が飛んでいった。
振り向くとそこにさっきの黒い髪の女の子が居たの。

「大丈夫?・・・全く、私達が戦っても何の意味もないのに・・・・」
と言いながら女の子は片手に持っている木の枝についている実を投げたの。

するとその実はゆっくりと空中を漂って止まったわ!
そしてその実から沢山の光の玉が出てきたの。

「さぁ、早く、道は白い兎が教えてくれるわ。」

私は軽く会釈する。
「それと」

女の子は自分が持っていた枝を私にくれた。

「お守りよ」

女の子は再び笑う。

「さぁ、行って!」

「え、でも・・・・」
その時、私は後ろから袖を引っ張られたの。

後ろを振り向くとそこには兎とは思い得ない白い髪をした女の子が立っていたの。


「こっちです、ついて来てください」
その女の子の後ろについて走ったわ。


しばらくまたあの暗い竹林の中を走った、女の子の後ろをついていきながら。


突然、その女の子が走るのを止めたの。

「ここです」
と女の子は指を指した。
「次は、迷い込まないように気をつけてくださいね」
女の子はそれだけを言い残すと竹林の中へと去っていったわ。






====================================================================================









「――ってところかしら、私が見た夢の話は」
私はすっかり冷めた紅茶を啜る。

どうにも蓮子の様子をみていると、あまり聞いてはいなかったようだ。
そう言えば言ってたっけ?
「他人の夢の話ほど、話されて迷惑なものはない」って

でもいいわ、私が話したい事は話したから、


「ありがとう、すっきりしたわ」
私は蓮子に笑いかける。


外はもう薄暗くなっていたわ。

「じゃあ、また明日会いましょう」
私は蓮子に手を振り、帰ろうとした。
その時

「メリー」
と蓮子が私を呼び止めた。

私は蓮子の方を振り向く。


「空を見て、今日は一番星が綺麗よ」
確かに綺麗だった。

空なんて見たのは何ヶ月ぶりだろうか。

「・・・・本当ね」
これは相槌ではなく、本当にそう思った。


「人間はいつからこの星空を見なくなったのか、メリーにはわかるかしら?」
蓮子が突然質問してきた。

「いいえ・・・・蓮子、あなたにはわかるの?」
今度は私が聞き返す。
「いいえ、わからないわ。ただ・・・」
「ただ?」
「人間は、文明の発達と共に空を見なくなった。それは、空の星よりも、月よりも、この地上が明るすぎたのよ」

そう言うと蓮子はもう一度、空を見た。



「じゃ、おやすみ!」
蓮子は手を振りながらその場を後にする。
私もそれを合図に、部屋へと急ぐ。




「ふぅ・・・・」
私は部屋の明かりをつけ、一息つく。

私は窓辺から、もう一度、夜空を見た。
「・・・・・綺麗・・・・」
こんな感情は久しぶりだった。


その時、テーブルの上に置いていた携帯が振動する。
蓮子からだ

今日は久しぶりに彼女のメールを見てみる。

『メリー、まだ起きてるかしら?もう一度空を見て。こんなに綺麗な星は今夜しか見れないわよ。』


たまには返してあげようかな。
私は返信を選択し、メールを打ち込む。

『ええ、あなたに言われるまでもなく、もう見てるわ。久しぶりの素敵な星空ね』
初めて書いた長文SS。

だが私には文章を繋げる事はできませんでした。


今回の作品は、前作「星が一番綺麗だった日」の裏ルート(?)です。
ので、蓮子の時には書いていなかった細かい部分まで(コメントにあったメリーが枝を貰うまでの経由)
をHPの続く限りメチャクチャに書かせて頂ました。(自爆

これで満足してもらえるかどうかはわかりません。
多分、不満がどっさりt(ry


それでも、読んでいただけたなら、ありがたいです。


では、龍我[蓮]でした~~!!
(ついでに話の展開が速すぎるは自分に対するツッコミなのでお気になさらずに・・・)
(白い髪をした女の子ってのはきっとUDONですよ、UDON。)
龍我[蓮]
[email protected]
http://ryuuga.yukishigure.com/
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