パサリパサリと羽音が響く
青い空を羽ばたくのは、ピンクの洋服に身を包んだ銀髪の少女、
レミリア・スカーレットは今日も優雅に空を舞い、今日も今日とて神社へと……
「え、霊夢がいない?」
「ああ、今は洞窟に篭ってるよ、最近は食費に苦労するほど賽銭が無いもんでね」
神社に着くと、代わりに出てきたのは変な幽霊だった、
上から下まで、全身をくまちゃんパジャマに身を包んだ緑髪の女性、
一見何の変哲も無い相手に見えるが、レミリアにとっては違った
「(この女……底知れぬカリスマを感じる、一体何者!?)」
「(こいつがレミリアかい……成る程、言われるだけあってそこそこの物だねえ)」
二人から湧き出る闘気によって、ぐにゃりと二人の間が歪む、
互いに知らずとも互いに偉大なるボスとして君臨した者同士、
旧カリスマ王者と現カリスマ王者の視線が合わさり火花が散り……
「わっ! 神社に燃え移った! 水! 水!!」
「あ、ここに水が……ってぎゃああああああ! これ聖水いいいいいいい!!」
真昼の神社に小火騒ぎ発生というオチが付いた。
序章 最強兵器
レミリアは聖水で焦げたのとついでに神社が焦げたので、
巫女に見つかってしばかれる前に早々と180度リターン、勿論今日も門番が元気に門前に立っていた
「あれ? お早いお帰りですねお嬢様」
「……嫌味? 門番のくせに一丁前に私に嫌味? ねえ、嫌味なの?」
「ちっ、違いまああー! 胸を揉まないでくださいー! お嬢様ー!!」
「揉んでやる! 撫でてやる! 抓って捻ってたっぷり可愛がってやる!!」
「ひゃぃぃぃぃぃぃ、許してくださいぃぃぃぃ……」
紅魔館の前には巨乳の門番がいる、サイズはGともHとも、Iかもしれない、
彼女はいつも中国と呼ばれているため、本名で呼んであげると胸を揉ませてくれるらしい、
だが誰も彼女の本名は知らない、一説によればメイド長のみが知っているらしいのだが……
「はぁ……はぁ……ですがその程度では私の胸は攻略できませんよ!」
「何っ!?」
「今度は私の番です! いきますよ! 爆乳の抱擁!!」
「(いけない、近づきすぎた! 避けられない!)」
成すすべなく弄られるだけだった門番のおっぱい、しかし門番が気合を入れると
おっぱいは圧倒的な握力を持つ吸血鬼の手すらその弾力で跳ね飛ばし、
最強の捕獲兵器となって左右からレミリアを襲った、その姿、まさにダブルICBM
そして最強の吸血鬼は最強のおっぱいに抵抗する間もなく捕獲されたのだった
「ふ……どうですか私のおっぱいの威力は!」
「うふふふふふもうこんなの私に効くわけ無いじゃないのよふにゅぅ~ふふふふ~♪」
「では今お部屋の方にお運びいたしますから、しっかり掴まっててくださいね」
「仕方ないわね~そこまで言うならもう少しだけぎゅっぎゅしてあげるわよ~ふふふ~♪」
中国の胸の中で満面の笑みを浮かべるレミリア、それはまさに母親に甘える子供の姿、
ちなみに紅魔館正門前では一週間に二度か三度はこの光景を見る事が出来る、
ただし周りをよく見渡すと塀の影辺りでメイドが一人ハンカチを噛み締めていたりもする、
探してみるのも一興だが目が合うと周囲をナイフで囲まれるぞ! 気をつけろ!
「お嬢様、部屋に着きましたよー」
「えー! もっともにゅもにゅしていたいのー!」
「まったくもう仕方ないですねー、ふふふー」
スカーレットデビルという名のいわれには二つの説がある、
一つは血を上手く吸えずに自分の服を紅まみれにしてしまう説、
もう一つは周囲の従者達の噴射した鼻血によって紅まみれになってしまう説、
少し前までは、本人が認めている為に前者の説が有効だったのだが、
最近は幻想郷知識人連合によって後者の説が後押しされているとかいないとか。
「巨乳はいいわぁ……巨乳は心を癒してくれる、門番の生み出した文化の極みね……」
「私たちにとってはお嬢様の存在こそが最大の癒しです……」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「咲夜が来ないわね」
「いつもならこの辺で私にナイフが飛んできますよね」
歯止め役がいないとこういうのは中々やめられないものである、
そもそも中国の胸は中毒性が非常に高い、常人であれば数日は胸に埋もれたままだろう、
レミリアは鉄の意志で胸から頭を引き剥がすと、名残惜しみながらも咲夜を探す事にした。
「パチェ、咲夜知らない?」
「知らないわ」
「……メイドを縛る薔薇の紐、まぁたエロ本を読んでるの?」
「頭のいい人ほどエロい、とこの前読んだ本に書いてあったもの」
「エロエロね」
「エロエロよ」
結局図書館にいたメイドに聞いたらすぐに居場所が分かった
「洞窟があるのはこの先?」
「はい、そうですよ」
二人が向かったのは木々が鬱蒼と生い茂る魔法の森、幻想郷でも一、ニを争う広大な森林である、
その名の通り普通の魔法使い霧雨魔理沙や、都会派の魔法使いなどが何故か住んでいる、
あまりの広さに迷いやすく、野良妖怪等も多いので飛べない方は迂闊に立ち入らない方がよい、
極稀にふわふわでぱちぱちな通り魔と出会うが、誰もわからないので割合する。
「そういえば霊夢も洞窟に向かったと言っていたわね」
「そうでしょうね、今流行ってますからー」
「……流行る? 洞窟が?」
「はい、幻想郷中の有名な方々は皆洞窟に入りびたりですよ?」
「それで咲夜が居なかったのね」
「お嬢様が遊びに出てらっしゃる間は咲夜さんは暇ですからね~」
流行る洞窟、その事をまったく知らないレミリアにとってそれは凄く奇怪な物に思えた、
やがて二人の視界に一つの巨大な岩山が映る、そして洞窟であろう穴も見える、
徐々に高度を下げ、洞窟の前に開く広場へと降り立つ、周囲に人影は見かけなかったが
誰かが居た形跡はあちらこちらに見えた、というかテントとかもあった。
「ここが魔法洞窟です!」
「魔法洞窟ね……で、咲夜はどこ?」
「まだ潜ってる最中だと思いますよ、結構時間がかかりますから」
「ふぅん……」
洞窟に近づいて中を覗き込む、見えたのは奥へと進む階段状の道、
しかしいくら覗き込んでも洞窟が流行る理由は見つかりそうになかった。
「どうせでしたらお嬢様も潜ってみてはいかがですか?」
「……そうね、洞窟とやらがどんなものか、試してみる価値はある、か」
「あ、入るのはまだお待ちくださいお嬢様、その前に色々とお伝えする事がありまして……」
レミリアを引きとめ、人差し指を立ててなにやら解説を始める中国
「この洞窟は特殊な洞窟でして……あれ、お嬢様? お嬢様ー?」
返事は無い、どうやら置いてけぼりにされたようだ。
第1章 毛玉伝説
「……?」
レミリアは階段状の道を降りていくと、突如空間が歪んだような感覚を受けた、
気づけば立っていたのは、周りを石壁に囲まれた大き目の部屋のど真ん中、
明かりらしき物は無いのに部屋は明るく、まるで壁自体が発光しているようであった。
「中々趣向が凝ってるじゃない」
状況の変化にも慌てずにゆっくりと辺りを見渡す、
どんな時でも慌てないのがヴァンパイアクオリティという物だ、
特に部屋そのものに何かがあるわけでもなく、程なく出られそうな通路が見つかった。
「先に進めという事かしら?」
兎にも角にもじっとしているだけでは何も始まらない、
レミリアは優雅に、そしてゆっくりと歩を進め、通路へと入っていく……
「さあ、この洞窟は私をどれだけ楽しま『もふっ』ぶっ!!」
それは毛玉の奇襲攻撃だった
「…………うざい!!」
赤い爪を伸ばし、邪魔をする毛玉を真っ二つに切り裂く、
一撃で毛玉はただの毛の塊となり、ぱさぱさと地面へ落ちた、
それを見てレミリアも満足し、すっきりとした顔でまた歩を進めて……
「ふんっ、私の邪魔をするのがいけな『もふっ』ぶぶっ!!」
「あーもう、さっきから何な『もふっ』ぶふぇっ!!」
「いい加減にうざいの『もふっ』ぶふぁっ!!」
「むきーーーー『もふっ』ぶふぉっ!!」
毛玉はしつこかった、そしてタイミングも絶妙だった。
「く……この洞窟は私を舐めているっ!」
あれからさらに毛玉に遭遇する事四回、その全てが奇襲攻撃である、
今更毛玉に衝突されたぐらいでダメージを負うようなやわな体では無いのだが、
それでも精神的には非常に来る物があったようだ、というかもはや切れている。
「玉め! 次は握りつぶしてやる!」
人類の半分が聞けばキュンとする言葉を発しながらプンスカプンスカと通路を疾走するレミリア、
もはや優雅さは何処にも無い、そこにいるのは敵を倒す本能に縛られた獣だった。
「ケェーダァーマァー!! ……ら?」
ふと気づけば通路の出口、その先に広がる巨大な空間、そして……
「もふー」
「もふふー」
「もっふぁー」
レミリアを取り囲む毛玉の群れ、その数およそ七匹、
しかしレミリアは動じない、その姿は逆に冷静さを取り戻したようでもあった。
「ふっ……たとえどれだけ群れようが、突き詰めた質は量を上回ることを知れ!!」
『もっふぁーーー!!』
結局、群れても毛玉は毛玉、四方八方に毛は飛び散り、辺りを白く染める、
舞い落ちる毛の中に一人佇む紅き吸血鬼、特に美しいと言うわけでもない。
「これに懲りたら私に近寄らない事ね」
聞いてる相手が居るわけでもないが勝ち名乗りは重要だ、
それからレミリアは軽く部屋を見回したが、階段のようなものを見つけるとスタスタと降りていった。
第二章 一本のナイフと狗
「この洞窟は何処まで続くのよ……」
洞窟に入ってからはや数十分、毛玉を切り裂き、野良妖怪を殴り倒し、
階段を見つけては降り、段々と洞窟の奥深くへ潜っていく……
しかし終わりはまだまだ見えそうに無い、そうレミリアは感じていた。
「帰ろうにも上る階段は見つからないし……困ったわね」
下り階段は見つかるのだが、逆に上がる為の階段は見つからない、
一方方向に潜っていくのがこの洞窟の仕様なのだろうか?
そんな疑問を浮かべながら部屋を出、通路を進み、敵をなぎ倒して洞窟を探索してゆく、
すると、とある部屋にて何か光る物体がその両目に飛び込んできた。
「これは……咲夜のナイフ!?」
拾い上げたナイフが淡い光を放つ、レミリアの手には少し大きめのソレは
咲夜がいつも使っているナイフであり、見間違える余地は何処にもなかった。
「咲夜! 近くにいるの!?」
顔を上げるとすぐに辺りを見回すレミリア、
そして視線を自分の後ろへと向けたとき、その視界についに待ち望んだメイドの姿が映る。
「咲っ…………ぅぅ?」
声が止まる、勢いついた空気がわずかな音を発する、確かに真後ろに居たのはメイドだった、
それも短い袖、ミニスカート、まさしく咲夜と同じ服でもある、
だがしかし、そのメイドには咲夜とは明確に違う点があった。
「…………咲夜?」
一つ、背が小さい、少なくとも咲夜はレミリアと同じぐらいの背ではない。
二つ、犬耳である、少なくとも咲夜は人間である、犬耳のわけが無い。
三つ、尻尾が生えている、間違いなく咲夜は人間である、尻尾などもってのほかだ。
「じゃ、ないわよね、やっぱり……」
銀髪とお下げは咲夜と一緒だが、やはりこれは咲夜ではない、
そう確信するとレミリアはメイドへと一歩歩み寄る、
するとメイドも一歩歩み寄り、またレミリアも歩み寄る。
「あなたは一体何者な『えいっ』はうっ!!」
四つ、咲夜はご主人様に対して全力でナイフを突き刺したりはしない。
「咲夜ぁ……否っ! 小狗咲夜! お仕置っ!!」
「んきゃうっ!!」
威力の乗る拳を打ち出すのは簡単だ、美鈴の分かりやすい解説曰く、
まず軸足で地を噛む、次に足の筋力と軸足の足首を捻った勢いを上手く合わせて前に、
もう片方の足で地面を捉えると下半身の勢いを止め、上半身の勢いをそのままにさらに前へ、
後は腰、胸、肩、腕へと力を完璧に伝達し、拳に乗せて思いきり振りぬけば完成である。
しかしもっと簡単なのは吸血鬼になってしまうことだ、何十年もかける修行など馬鹿馬鹿しい。
「くぅーん……」
「ふん、私に逆らうのが全ての間違いよ……んっ!?」
ふと気づけば消えていた、額に刺さっていたナイフも、
今倒したばかりのメイドも、跡形もなく消えていた、それはもうあっさりと。
「ちっ、ペット用に捕まえて置くべきだったか……惜しい事をした」
軽く舌打ちをしながら、見つけた通路へと歩み行くレミリア、
後に何十匹もの小狗咲夜に襲われてそんな考えが失せることも知らずに……。
第三章 私との出会い
レミリアは戸惑っていた。
「れみ!」
「……」
「りゃー!」
「…………」
「うー!」
「(……どうしよう……本当にどうしよう……)」
レミリアは戸惑っていた、ソレはもうとにかく戸惑っていた、
どれぐらいかというと、咲夜が自分の下着の臭いを嗅いでいた瞬間を目撃した時ぐらい戸惑っていた。
「どう見ても私……なのよね」
「のーあるたかはシッポかくさないの~?」
ソレは階段を下りきった直後の事であった、どこか遠くから響く、獣の叫びのような謎の声、
さらに見事な木拍子が響き渡った音にレミリアは一瞬警戒を取らざるをえなかったのだが、
周りに何か異変が起きた様子は無く、結局はどうでもよくなり探索を始めることにした。
「段々と飽きてきたわ、ゴールはまだなのかしら?」
レミリアは軽く溜息をつきながら部屋と部屋をつなぐ通路を進んでいく、
途端、彼女の目の前に一人の少女が現れて彼女の道を塞いだ、
どこかで見た事がある格好、どこかで見た事がある顔、どこかで見た事がある羽、
そこには自分が立っていたのだ、しかし明確に言えば自分ではない、何せ自分より背が低いからである
「…………私?」
「うー!!」
「いだぁおっ! 何するこんガキがっ!」
「やー!!」
勿論ソレは今まで通り敵であり、今まで通りに攻撃され、今まで通りに叩き伏せた、
だが今までの敵と違い、目の前のソレは倒れても立ち上がった、しかも満面の笑みを浮かべながら。
「あーもう! 何故ついてくる!」
「病弱っ娘なのー」
「嘘付け!」
「あーそーかい」
「それは私のセリフじゃない!」
どれだけ歩こうが走ろうが空を飛ぼうが、後ろをぴったりと付いてくる小レミリア
さらに何か話しかけると、自分が昔どこかではなったであろう言葉をリフレインしてくるのだ、
これは昔書いた小説を読み返すぐらい恥ずかしいかもしれない。
「もう……勝手になさい!」
「私は小食なのー」
心の恥部を突きながらパタパタと付いてくるもう一人の小レミリア、
レミリアは例え自分といえども、最初はただウザイとしか思えずにそっけない態度を取っていた、
だがしばらく一緒に潜っていると、レミリアはこの存在がなかなか便利だという事に気づく。
「いけ! 小レミリア!」
「うー!!」
何故かは知らないが強かったのだ、それはもうそこら辺の雑魚を蹴散らす自分のように、
さらに命令はきちんと聞くし、行動も自分だけあって魅力的かつ完璧、出来のいい妹のようなものである、
ここまで好条件が揃えば何時の間にやらすっかりお気に入りになってしまうのも当然であった。
「んっんーそうね、小レミリアと呼ぶのもなんだから、名前でも付けてあげる」
「私の名前? れみりゃ! れみりゃー!」
「れみりゃ……ねぇ、まあ私だし、それぐらいは許すわ」
「わーい! れみりゃ! れみりゃ! うー!!」
「はいはい、ま、しっかり私のために役に立ちなさい」
「コンゴトモ ヨロシク」
「WHAT!?」
第四章 中国中国、不幸の女中国
魔法洞窟、終わり見えなき闇の洞窟、
巫女が、魔法使いが、吸血鬼が、メイドが、皆それぞれの思いでもぐる処、
そしてここにもう一人、洞窟を歩む物がいた。
「お嬢様どこまで潜ったんだろう……追い越しちゃったかなぁ」
門番である、中国でもよい。
「会えるといいんだけど、まず無理だろうし……」
「キシャーオ!!」
「はいはい、邪魔邪魔!」
突如襲い来る敵を軽いスウェーで回避し、カウンター気味に数発の打撃を叩き込む、
ソレを数回繰り返し敵が倒れたのを見ると、一瞥もくれずに彼女は通路へと走り出した。
「もう考えてても埒が明かないわ、とにかく駆け回ってれば運がよければ……!」
「雑魚が! 私の道を塞ぐなぁぁぁぁぁ!!」
「へっ!?」
― バットレディスクランブル ―
「うごふぁっ!!」
「うーー!!」
― ミニバットレディスクランブル ―
「うげふっ!!」
「輸血パック! 輸血パックは落ちてないか!!」
「うー!!」
「落ちてない!? ならば次の部屋だ!」
「たべてもいーのよー?」
「お、おぜうさま……がふっ」
中国は薄れゆく意識の中、走り去るお嬢様の後姿をみてこう呟いた、
見事なまでの暴虐、立派な悪魔になられましたね……と。
最終章 終焉
「輸血パックは何処だ!!」
「うー!!」
空腹、それは人間でも妖怪でも吸血鬼であっても不老不死であろうとも辛きもの、
特に偉い立場にある者は人前であろうとなかろうと腹を鳴らすというのは恥である。
「(駄目だ!! 腹の虫の戦闘力がどんどん上がっていく!!)」
今頃レミリアの腹の虫は、これでもまだ30%だ……とか言っている頃だろう。
「こんな事ならB型じゃ無くても捨てずに持っておけばよかった……!」
「八割減ねー」
後悔しながらも長い長い通路を疾走する紅い悪魔、
途中道を塞いだ敵など、もはやその姿すら認識してもらえずにただの肉塊と化していく、中国とか。
「(ぐっ! 腹の虫がさらに戦闘力を上げた!?)」
「(これが俺の80%の力だ!)」
「(こ、こんな所で……負けるわけにはいかないのよ!)」
レミリアの額から冷や汗が流れ落ちる、もはやその胃は限界に近い、
もし胃が鳴った音をどこかの隙間やら新聞記者やら覗き鬼に聞かれようものなら
彼女の権威は地の底まで失墜しかねない、もはや失墜してる事についてはスルーだけれども!
「唸れ我が羽! 突き進め我が足! 限界を超えて輸血パーックーー!!」
「まー、別に飢えてはいないけどー」
多少、後ろの小レミリアの言葉が癪に障る、しかし気にしている余裕も無い、
そうこうしている間についに次の部屋がその視界に飛び込んできた。
「おおおおおお!! アイムラーヴィニー!!」
「急いでるんだけどねー、物凄く」
「いらっしゃいませ」
「は?」
部屋に飛び込んだ瞬間、何かが隣に居た。
「いらっしゃいませ」
「あ、ああ、古ぼけた道具屋の店主か」
部屋の中を見れば、敷かれたカーペットの上に置かれている色々な商品、
こんな所でも商売しているのか? と不思議に思いながらも、レミリアは道具の中にあるものを見つけた。
「ゆ、輸血パーック!!」
透明のプラスチックに包まれた紅い紅い液体、それはまさしく血であった、
レミリアは間髪居れずにソレに飛びつくと、まるで子供のように満面の笑みでちうちうと吸い始める。
「B型……おいしぃ……」
口の中に浮かぶ甘み、突き抜ける爽快感、まさしく極上の甘露、
一気に血を飲み終えたレミリアは、しばらくの間その余韻に浸っていた。
「ふぅ……っと、いくわよれみりゃ」
「あなた、さつじんはんねー」
相変わらずリフレインするれみりゃを引き連れて通路へ向かう、
すると、さっきまで通路の横に立っていた店主が道を塞いでいた。
「200円になります」
「そういえば売り物だったわね、つけておいて、後で咲夜に払いにこさせるわ」
「200円になります」
「だから咲夜が払うといってるのよ」
店主に動く気配は一切無い、勿論レミリアにも引く気配は一切無い。
「私が誰だか分かっているのか?」
「200円になります」
「……どけ!」
「200円になります」
「いい度胸だ!!」
幻想人番付 魔法洞窟
17位 霧雨魔理沙 20F LV22 37621
番中国にたおされる
18位 霧雨魔理沙 20F LV22 33974
店主にたおされる
19位 博麗霊夢 20F LV19 32886
店主にたおされる
20位 紅美鈴 19F LV21 29899
れみりゃにたおされる
21位 レミリア 20F LV15 24720
店主にたおされる
透き通るような晴天の中、門番の詰所へと向かう一人の少女、
それを待ち受けるのは一人の門番、二人は顔をあわせると門番が軽く一礼した。
「いつの間にか、すっかり私も洞窟にはまってしまったわね」
「ふふ、そうですね」
美鈴が連れて行ってくれた初めての洞窟
それはとても不思議な洞窟で、私は何も知らないお嬢様でした
「それではお嬢様、今回のお供はどうなされますか?」
「勿論、あの子よ」
洞窟の中は刺激的でスリリングで
こんなすばらしい体験をした私は
きっと特別な存在なのだと感じました
「それでは今連れてきますね」
「やっぱりあの子じゃないと私のお供は勤まらないもの」
いまでは、私も風来人
お供に連れて行くのはもちろんれみりゃ
なぜなら彼女もまた特別な存在だからです
「お嬢様! おめでとうございます!」
「え?」
「れみりゃがバットレディに進化しましたよ!!」
「な、何だってー!?」
シレンジャーの自分としては1000回笑えるSSでした
っていうか背景が! 背景が何気に番付にマッチしすぎ!!
良いものそろった時に限って食糧出ないんだよなぁ………。
初代のSFC版のパターンは
良い装備が揃う→食料でない
食料たんまり→装備貧弱
装備も食料もOK→イッテツに出あ(ry
ええ。幾度と無く倒れましたとも。
倒れてもお金は半分手に入るなら霊夢が入り浸るのもわかりますねw
……幻想人番付1位は誰だっ?
>巨乳はいいわぁ……
同感、エロエロよ♪
図らずとも泥棒扱い…
くまちゃんパジャマなんて可愛いもの着たって、ごまかされないんだからねっ!
この…かりしゅまぁ…っ!
…ところで、タイトルスペルミスじゃないでしょうか…?
美鈴が遠距離攻撃でレベルアップしたにちがいない
絶対買うから!
あと魅魔様(*´ー`)b
いかにして店主から物をパチるかが勝負の分かれ目さね
つ【食神ユユーの洞窟】【西行ラン】
主人公は……こーりんとかがいいかな、アイテム集めってことで。
まぁ入った瞬間に食い殺されるだろうけどね!
これは最高だ
番中国にやられたり店主にやられたりと流石は魔理沙、泥棒に失敗し放題ですね
ところどころの小ネタも効いてるし、いい感じです。つーか、誰かこれゲーム化してくださいいやマジで!!
あ、1つ誤字発見。
洞窟前のシーンの『割合する』→『割愛する』ですね。
仮にこーりん出しぬけても倍速で追いかけてくる番犬と警官みたいの(名前わすれた)は誰になるんだろうとふと思ったw
中毒レベルまではまったゲームをここで見られるとはw
このゲームに限ってはいいアイテムを拾ったら逆に死を覚悟しないといけませんからねぇ・・・・
1回目マムルマークにしようとして78階で西のイッテツ、東のアークのコンビネーションで殺された思い出が・・・・
番付は誰でも一度ならず百は通る道ですねw
続編を期待します
そういえば、フェイ役は誰なんだろう?
パチェリーか? 香霖か? 慧音か? 紫か? 藍さまか?
とりあえず麻雀モノとダンジョンモノは誰か作ってほしい。
もちろん前者は脱衣ナシ、後者は底無しはナシで
このダンジョンは面白い。
銀の矢を撃ったら隣の部屋の店主に当たったのはいい思い出です