「朝刊、朝刊~。」
朝早くから文の声が境内に響く。
その声を聞いた霊夢は、朝食の準備を一旦休んで新聞を取りにいく。
いつもと同じ朝の風景。だが、新聞一面の見出しを見た霊夢は驚いた。
『博麗霊夢は水羊羹がお好き?』とか言う見出しと共に、魔理沙と縁側で水羊羹を食べている写真が大きく掲載されている新聞で、中の文を見てみると昨日の霊夢の一日の行動が色々と細かく書かれたレポート。
曰く、昨日は好物の水羊羹を魔理沙と共に食べただの、一緒に飲んでいるお茶の銘柄はどこどこ産だのと、かなりどうでもよさそうな情報だ。
とはいえ当の霊夢にしてみれば気持ちの良い事ではない。
書いたのが文本人と言うのは間違いないのだろうが、昨日一日文にも会っていないし写真を撮っているところも見ていない。
だいたい霊夢の一日など毎日代わり映えが有るはずも無いのだからニュースソースとしての価値はゼロのはずなのだ。
いつ撮影したのかわからないが、一応念のため……と朝から新聞のネタにされた霊夢は回りを探ってみるも、当然のごとく文の姿は見つからない。
まぁ、ネタに困った文が霊夢のことを気まぐれでネタにしたのだろうと思い一日を過ごす事にしたのだ……が。
次の日。
朝、文の配る新聞を見ると、見出しに『博麗神社の謎、なぜか入らない博麗神社の賽銭!!』と書いてあり、博麗神社の賽銭箱の写真が貼ってあった。
中を見るといつの間に聞き込んだのやら魔理沙やら咲夜やらてゐやらといった面子のコメントまで入った細かい物で、どう考えても霊夢に対するあてつけか嫌がらせの類としか思えない。
あまりに嫌がらせのような報道攻勢に腹を立てた霊夢は新聞を配りおえた文が飛んで帰っているのを探し出して追いかける。
だが、慌てて逃げる文に追いつく事が出来ずに逃げられてしまった。
仕方なく家路に着くと、紫が待っていて、「私の家で藍とか橙と一緒に働かない? 霊夢が余裕で食うに困らない賃金を出してあげるわよ」とか言ってきたので陰陽玉をぶつけて追い返した。
その日は新聞の効果からかいつの日よりも多くの参拝客(主に霊夢の賽銭箱を見る為に集まった)がやって来た。
賽銭箱にお金が入っていくのは嬉しいのは嬉しかったけれど、乞食に恵みを与えるような目で賽銭を入れていく参拝客を見ているとなんていうか悲しくなった。
更に次の日。
新聞の見出しには『これが博麗神社の霊夢の秘密だ!!』とか書いてあり、写真の部分には霊夢の絵が描いてある。
霊夢の絵には矢印が幾つか書き込まれていて、霊夢頭脳→いろんな敵の攻撃を瞬時に見切る天才的な判断力を生み出すぞ!!とか 霊夢腋→霊夢の色気はここから来る、その魅力で筆者もたちまちメロメロ!!とか、
見ているだけで頭が悪くなりそうな文がそこかしこに書いてある。
その新聞を見た霊夢は、何かを決めたように真剣な顔になると、裏の倉庫に行く。
探すこと数分、幾つか道具を取り出した霊夢は、道具の様子を確かめると神社の周辺にセットしていった。
博麗神社に大きな結界を張って、新聞を配る文が飛んできたらたちどころに発動、通りかかった文を捕ま獲る為の道具である。
こうして一通り境内を回って、下準備をした霊夢は、いつもどおりの日課を済ませると文が来るのを待つことにした。
博麗神社の敷地に文を捕まえる為の大結界をセットして一旦眠りにつき、朝早く起きる霊夢。
いつもは朝起きると朝ごはんの用意とか、色々とやらなければならないのだが、そこら辺を後回しにしてこっそり待つこと一時間ほど……。
上空で新聞を落すところを狙って発動する結界でうまく文を捕まえると、ここのところ毎日新聞に霊夢のことが載っている理由を問いただしてみることにした。
文はどう見ても怒っている霊夢の顔を見て、苦笑いを浮かべつつ答え始めた。
「それはですね~、今度また購読者数勝負をやる事になってまして、今幻想郷内で一番人気の高い霊夢さんに関するニュースをのっけて購読者数アップ作戦をやることにしたんですよ」
「…………で、なんでまた私なの? 魔理沙やらチルノやら年がら年中騒動を起こしている連中が居るじゃない?」
「今何故か霊夢さんの人気が凄くて幻想郷の話題になっているからとしかいえませんね~。細かい理由は私も知らないんですけれど、比較的小さな小烏丸新聞とかでも霊夢さんを記事にして購読者数を伸ばした実績もあるんですよ」
「で、私に許可無く毎日妙なニュースを流し続けていると……」
霊夢の声が心なしかちょっとずつこわばっていく。
「レミリアさんとか紫さんとかにはとっても大好評で、私の新聞の購読者数も近頃上がっているんです。……と言う訳で、この話をしたついでに直接的な取材許可を……」
こわばっていく声を聞きつつ、文は話しながら横を見る。すると、人を殺せるんじゃないかってくらい凶悪な視線で霊夢が睨んでいた。
「直接的な取材許可ね……、私がすると思う?」
「わかりました。わかりましたからそんなに怖い顔で睨まないでください」
「じゃあ、私のことを新聞に載せるのをやめてくれるのね」
「今は購読者数勝負の真っ最中、私としてもここで最大のニュースソースを逃す訳には行きません。弾幕勝負をして霊夢さんが私に勝ったら載せるのはやめる。私が勝ったら霊夢さんの一日を密着取材させてもらうと言うことで」
「私が勝てば良いのね、今まで載せられた恨みも込めて弾幕を叩きこんであげる」
こうして、霊夢と文は互いに距離を置いて、必勝の弾幕を繰り出す。
しかし、弾幕勝負に関しては殆ど負け無しの霊夢だが、大結界のために使った魔力とかその他もろもろの要因なのか結局文の勝ちで終わった。
「私の勝ちですね、それじゃあ今日は霊夢さんの一日を密着取材させてもらっちゃいます」
嬉しそうな声をあげる文と、心底がっくりした表情を見せる霊夢。
結局霊夢は、その日一日文の取材とかで写真を撮られまくりながら一日を過ごすことになった。
霊夢が文から取材を受けたり、いろんな写真を撮られる事に許可を出してから数日。
文が来る回数も減り、物見のための参拝客も減って比較的平穏な日々が送れるようになったそんな日。
ここの所見ていなかった新聞の見出しを見ると『霧雨魔理沙の八卦炉の謎』と書いてあり、取材対象が霊夢から魔理沙に移ったんだとわかった。
確かに昨日来た文は霊夢の事よりも魔理沙のことをよく聞いていた気がする。
霊夢は新聞を折りたたむと、ちょっと気が抜けたような表情をした後、いつもどおりの一日を始めた。
霊夢から魔理沙へと取材対象が移ってから更に10日。
博麗神社は昔あったとおりの平穏を取り戻し、今日は朝から一人も参拝客が来ない。
幻想郷の噂や興味が移るそんなブームの推移はただただ驚くばかり。
霊夢は時間の流れを感じながら縁側でお茶をすすりつつ、ただ一言呟いた。
「過ぎてみると、あの毎日も楽しかったかもね……」と。
-----END-----
朝早くから文の声が境内に響く。
その声を聞いた霊夢は、朝食の準備を一旦休んで新聞を取りにいく。
いつもと同じ朝の風景。だが、新聞一面の見出しを見た霊夢は驚いた。
『博麗霊夢は水羊羹がお好き?』とか言う見出しと共に、魔理沙と縁側で水羊羹を食べている写真が大きく掲載されている新聞で、中の文を見てみると昨日の霊夢の一日の行動が色々と細かく書かれたレポート。
曰く、昨日は好物の水羊羹を魔理沙と共に食べただの、一緒に飲んでいるお茶の銘柄はどこどこ産だのと、かなりどうでもよさそうな情報だ。
とはいえ当の霊夢にしてみれば気持ちの良い事ではない。
書いたのが文本人と言うのは間違いないのだろうが、昨日一日文にも会っていないし写真を撮っているところも見ていない。
だいたい霊夢の一日など毎日代わり映えが有るはずも無いのだからニュースソースとしての価値はゼロのはずなのだ。
いつ撮影したのかわからないが、一応念のため……と朝から新聞のネタにされた霊夢は回りを探ってみるも、当然のごとく文の姿は見つからない。
まぁ、ネタに困った文が霊夢のことを気まぐれでネタにしたのだろうと思い一日を過ごす事にしたのだ……が。
次の日。
朝、文の配る新聞を見ると、見出しに『博麗神社の謎、なぜか入らない博麗神社の賽銭!!』と書いてあり、博麗神社の賽銭箱の写真が貼ってあった。
中を見るといつの間に聞き込んだのやら魔理沙やら咲夜やらてゐやらといった面子のコメントまで入った細かい物で、どう考えても霊夢に対するあてつけか嫌がらせの類としか思えない。
あまりに嫌がらせのような報道攻勢に腹を立てた霊夢は新聞を配りおえた文が飛んで帰っているのを探し出して追いかける。
だが、慌てて逃げる文に追いつく事が出来ずに逃げられてしまった。
仕方なく家路に着くと、紫が待っていて、「私の家で藍とか橙と一緒に働かない? 霊夢が余裕で食うに困らない賃金を出してあげるわよ」とか言ってきたので陰陽玉をぶつけて追い返した。
その日は新聞の効果からかいつの日よりも多くの参拝客(主に霊夢の賽銭箱を見る為に集まった)がやって来た。
賽銭箱にお金が入っていくのは嬉しいのは嬉しかったけれど、乞食に恵みを与えるような目で賽銭を入れていく参拝客を見ているとなんていうか悲しくなった。
更に次の日。
新聞の見出しには『これが博麗神社の霊夢の秘密だ!!』とか書いてあり、写真の部分には霊夢の絵が描いてある。
霊夢の絵には矢印が幾つか書き込まれていて、霊夢頭脳→いろんな敵の攻撃を瞬時に見切る天才的な判断力を生み出すぞ!!とか 霊夢腋→霊夢の色気はここから来る、その魅力で筆者もたちまちメロメロ!!とか、
見ているだけで頭が悪くなりそうな文がそこかしこに書いてある。
その新聞を見た霊夢は、何かを決めたように真剣な顔になると、裏の倉庫に行く。
探すこと数分、幾つか道具を取り出した霊夢は、道具の様子を確かめると神社の周辺にセットしていった。
博麗神社に大きな結界を張って、新聞を配る文が飛んできたらたちどころに発動、通りかかった文を捕ま獲る為の道具である。
こうして一通り境内を回って、下準備をした霊夢は、いつもどおりの日課を済ませると文が来るのを待つことにした。
博麗神社の敷地に文を捕まえる為の大結界をセットして一旦眠りにつき、朝早く起きる霊夢。
いつもは朝起きると朝ごはんの用意とか、色々とやらなければならないのだが、そこら辺を後回しにしてこっそり待つこと一時間ほど……。
上空で新聞を落すところを狙って発動する結界でうまく文を捕まえると、ここのところ毎日新聞に霊夢のことが載っている理由を問いただしてみることにした。
文はどう見ても怒っている霊夢の顔を見て、苦笑いを浮かべつつ答え始めた。
「それはですね~、今度また購読者数勝負をやる事になってまして、今幻想郷内で一番人気の高い霊夢さんに関するニュースをのっけて購読者数アップ作戦をやることにしたんですよ」
「…………で、なんでまた私なの? 魔理沙やらチルノやら年がら年中騒動を起こしている連中が居るじゃない?」
「今何故か霊夢さんの人気が凄くて幻想郷の話題になっているからとしかいえませんね~。細かい理由は私も知らないんですけれど、比較的小さな小烏丸新聞とかでも霊夢さんを記事にして購読者数を伸ばした実績もあるんですよ」
「で、私に許可無く毎日妙なニュースを流し続けていると……」
霊夢の声が心なしかちょっとずつこわばっていく。
「レミリアさんとか紫さんとかにはとっても大好評で、私の新聞の購読者数も近頃上がっているんです。……と言う訳で、この話をしたついでに直接的な取材許可を……」
こわばっていく声を聞きつつ、文は話しながら横を見る。すると、人を殺せるんじゃないかってくらい凶悪な視線で霊夢が睨んでいた。
「直接的な取材許可ね……、私がすると思う?」
「わかりました。わかりましたからそんなに怖い顔で睨まないでください」
「じゃあ、私のことを新聞に載せるのをやめてくれるのね」
「今は購読者数勝負の真っ最中、私としてもここで最大のニュースソースを逃す訳には行きません。弾幕勝負をして霊夢さんが私に勝ったら載せるのはやめる。私が勝ったら霊夢さんの一日を密着取材させてもらうと言うことで」
「私が勝てば良いのね、今まで載せられた恨みも込めて弾幕を叩きこんであげる」
こうして、霊夢と文は互いに距離を置いて、必勝の弾幕を繰り出す。
しかし、弾幕勝負に関しては殆ど負け無しの霊夢だが、大結界のために使った魔力とかその他もろもろの要因なのか結局文の勝ちで終わった。
「私の勝ちですね、それじゃあ今日は霊夢さんの一日を密着取材させてもらっちゃいます」
嬉しそうな声をあげる文と、心底がっくりした表情を見せる霊夢。
結局霊夢は、その日一日文の取材とかで写真を撮られまくりながら一日を過ごすことになった。
霊夢が文から取材を受けたり、いろんな写真を撮られる事に許可を出してから数日。
文が来る回数も減り、物見のための参拝客も減って比較的平穏な日々が送れるようになったそんな日。
ここの所見ていなかった新聞の見出しを見ると『霧雨魔理沙の八卦炉の謎』と書いてあり、取材対象が霊夢から魔理沙に移ったんだとわかった。
確かに昨日来た文は霊夢の事よりも魔理沙のことをよく聞いていた気がする。
霊夢は新聞を折りたたむと、ちょっと気が抜けたような表情をした後、いつもどおりの一日を始めた。
霊夢から魔理沙へと取材対象が移ってから更に10日。
博麗神社は昔あったとおりの平穏を取り戻し、今日は朝から一人も参拝客が来ない。
幻想郷の噂や興味が移るそんなブームの推移はただただ驚くばかり。
霊夢は時間の流れを感じながら縁側でお茶をすすりつつ、ただ一言呟いた。
「過ぎてみると、あの毎日も楽しかったかもね……」と。
-----END-----
過ぎ去ったものが幻想となる…何処かルーツを感じました。
閑話休題は「本題に戻ります」という意味
文章全体に何となく感じる脱力感が霊夢霊夢してて良いです。
皆さんの意見を参考に、修正できる所は修正して次回に生かせるところは生かしてみようと思います♪
読点の位置にもう少し気を付ければ文章も読みやすくなると思います。
>家路に帰る
家に帰るか家路につくでしょう。
>陰陽弾
陰陽玉でしょう。
>私としてもここで最大のニュースソースを載っけない訳には行きません
ニュースソースとは記事の情報提供者、ネタ元のことなので新聞には載りません。
>幕間話
後日談のような意味で使われていますが不適切です。